2026年07月09日
ドゥランダル作戦 原題:DHURANDHAR
監督:アディティヤ・ダール(『URI サージカル・ストライク』 )
出演:ランヴィール・シン(『ガリーボーイ』)、サンジャイ・ダット(『K.G.F: CHAPTER 2』)、アクシャイ・カンナー
1999年の航空機ハイジャック事件、そして2001年のインド国会議事堂襲撃事件―
相次ぐテロに揺れるインド政府は極秘裏に「ドゥランダル作戦」を発動させる。パキスタンの都市カラチで最も危険な都市リヤリに巣食う最凶ギャング組織から、事前にテロの情報を掴むこと。潜入という最高難度の任務に選ばれたのは、死刑囚ハムザ(ランヴィール・シン)。身分を偽り組織に入り込んだ彼は、血塗られた抗争と裏切りの連鎖に巻き込まれながら、徐々に組織の中枢へと迫っていく。だがその先で待っていたのは、国家を揺るがす巨大な陰謀だった。任務か、信念か―逃げ場なき極限の中、彼が下す決断とは。
アフガニスタンからパキスタン北部に入国し、カラチの中でも特に治安が悪いリヤル地区に赴くハムザ。下働きの仕事を見つけ、住みつきます。町を仕切るギャングは、パターン人系とバローチ人系の二手。パターン人は、アフガニスタンとまたがって暮らし、バローチ人はイランとまたがって暮らす人たち。パターンの方が、より保守的で果敢なイメージがあります。
やがてバローチ人組織に入り込んだハムザは、彼らを支援しているパキスタン大衆党議員ジャマリの娘ヤリーナと恋仲になります。利用するつもりが本気になった? 残酷な殺戮シーンが続く中、このハムザとヤリーナの愛に満ちたシーンにほっとさせられます。
本作には、冒頭の1999年の航空機ハイジャック事件、2001年のインド国会議事堂襲撃事件に続いて、2008年11月26日のムンバイ同時多発テロが登場します。パキスタンのカラチから海路で上陸した若者たちが、タージマハル・ホテル、CST駅、レオポルド・カフェなどを襲撃し、160名以上が犠牲となった事件。こちらは私の記憶にも鮮明に残っています。本作には実際の事件音声も出てきます。
ハムザが潜入したパキスタンでの数年。印象深いのは、2007年のベーナズィール・ブットー首相時代や、彼女が暗殺された後に大統領となった夫ザルダーリーの時代。ベーナズィール・ブットー首相の政権時代に、政府の公共事業や契約の許可と引き換えにリベートを要求したという汚職疑惑から、「Mr.10%(ミスター10パーセント)」という愛称で知られるザルダーリーの演説は、まるで本物の場面のようでした。
パキスタンで撮影するのは、もちろん無理なので、どこで撮影したのか興味津々。
「撮影はスタジオのほか、ムンバイ市中、パ\ンジャーブ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、北のラダック地方など。カラチの下町リヤリ地区のシーンはタイで撮影されたほか、ムンバイの下町、CST駅南側に広がる地区でも撮影」とありました。
ウルドゥー語等の看板をあちこちに配置して、パキスタンらしく見せているのが面白かったです。
そして、インドルピーの偽札製造も大事な要素。モーディー政権が2016年に高額紙幣廃止を強行した背景にある“パキスタンによる偽札流通”問題を想起させるものとのことですが、劇中では諜報機関と結びついた実業家が偽札を作り、インド経済を揺さぶるという設定。実は、先日、平和教育登戸研究所資料館(川崎市)で、日中戦争期に日本陸軍が中国の経済かく乱を目的に行った偽造紙幣製造についての展示を見たばかり。どこでも同じようなことを考える人がいるのだと感心した次第です。
インドとパキスタンの関係を背景にした本作。インド側から描いたものということを念頭に置いて、壮大なスパイアクションを楽しみました。
★公式サイトの人物関係図を頭に入れて観ることをお薦めします。(咲)
2025年/インド/ヒンディー語他/シネスコ/5.1ch/206分
字幕翻訳:藤井美佳
配給:ツイン
公式サイト:https://dhurandhar.jp/
★2026年7月10日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
2026年05月30日
わたしの聖なるインド 原題:Land of My Dreams
監督・撮影・編集:ノウシーン・ハーン
⾳楽:クシュ・アシェール
2019年12⽉、モディ政権はイスラム教徒を意図的に排除した市⺠権改正法(CAA)を制定。イスラム教徒の間で市⺠権を剥奪される危機感が⾼まった。法案に対する批判の声が増す中、反対運動の拠点だったジャミア・ミリア・イスラミア⼤学構内に警察が乱⼊。無抵抗の学⽣を襲い、200⼈もの負傷者と多くの逮捕者を出した。この暴⼒的な対応と差別的な法案への抗議として、デリー南部のイスラム教徒居住区のシャヒーン・バーグで、⼤規模な座り込みが始まる。その中⼼にいたのはムスリムの⼥性たち。⽇々の暮らしを営みながら、100 ⽇以上にわたって幹線道路を封鎖した。この⾮暴⼒で平和的な活動は多くの共感を呼び、世代、⽂化、宗教を超えてインド全⼟に広がった。しかし、デリー議会選挙を機に状況は緊迫。トランプ⼤統領の訪印に注⽬が集まる中、警察による強制排除が起こり・・・
2023年 山形国際ドキュンメンタリー映画祭市民賞受賞
(映画祭での上映タイトル:『我が理想の国』)
「この大きなこけしが欲しかったの」とノウシーン・ハーン監督。
ほかの賞のこけしは、これより小ぶりでした。 授賞式後、声をかけて少しお話。
「ほんとに今、インドでムスリムの扱いはひどいの」と嘆く監督でした。
あれから3年。モディ政権のヒンドゥー至上主義はますますエスカレートしているように思えます。
公開を前に、4月に再度来日した監督。本作は世界各地の映画祭で受賞したり、上映会が開かれたりしているのに、インドでは特殊な場所でしか上映されておらず、日本での劇場公開はほんとに嬉しいと語っていました。
本作を作る前には、自分がムスリマ(イスラーム教徒の女性)であることを、あまり意識していなかったのが、本作を作る過程で、自分自身のイスラーム教徒の女性であるというアイデンティティに向き合うようになったと言います。
イギリス統治からの独立運動の過程で、ガンディーなどが目指した統一インドではなく、ヒンドゥー教徒とイスラーム教徒の分離独立という形に帰結したものの、パキスタン(今のバングラデシュも含む)に移住せずインドに留まったイスラーム教徒も多く、現在のインドの人口の約1割といわれています。その人たちをないがしろにする法律改正に対して、普段は表に出ない女性たちが抗議運動に立ち上がったことを捉えた本作。彼女たちの思いが、世論を動かし、すべての宗教やカーストの人たちが、インドで公平に暮らせる日が来ることを願うばかりです。(咲)
2026年4月23日 専修大学文学部「映像ジャーナリズム論」で、ノウシーン・ハーン監督特別講義が行われました。
https://cineja-film-report.seesaa.net/article/520814825.html?1780199869
2023年 インド・ケーララ国際ドキュメンタリー&短編映画祭最優秀長編ドキュメンタリー賞
2023年 オーストリア・カルロタ政治映画&ビデオフェスティバル特別賞
2023年/インド/ヒンディー語、英語/74分
配給:きろくびと
公式サイト:https://landofmydreams-film.com/
★2026年6月6日(土)より渋谷ユーロ・スペースほか全国順次公開
2026年04月28日
特集上映 ル・コルビュジエとドーシ インドのモダニズム『ユートピアの力』『誓い 建築家B・V・ドーシ』
インドに刻まれた、巨匠たちの対話
ル・コルビュジエとB・V・ドーシ。インドの地に2人の建築家が遺した建築と思想。
西洋のモダニズムとインドの精神性や風土が融合し実現した“奇跡”を、2つのドキュメンタリーで紐解く。
『ユートピアの力』
『誓い 建築家B・V・ドーシ』
企画・配給:トレノバ
公式サイト: https://trenova.jp/coranddosh
★2026年5月1日(金)より、ユーロスペースほか全国順次公開
ユートピアの力 原題:THE POWER OF UTOPIA - Living with Le Corbusier in Chandigarh
監督・撮影:カリン・ブッハー、トーマス・カラー
編集:トーマス・カラー、ミリアム・クラーケンベルガー、ファビアン・カイザー
音楽:アトゥール・シャルマ
出演:グルチャラン・シン・チャンニ、ディーピカー・カンディー、シッダールタ・ウィグ、ディワーン・マーンナー
2023年/スイス/85分/カラー/5.1ch/英語、ドイツ語
1947年、イギリス領インド帝国はイギリスからの支配を脱し、インドとパキスタンとして分離独立を果たす。パンジャーブ州は両国に分割され、州都ラホールはパキスタンに帰属した。インドは早急な州都建設を迫られ、初代首相のネルーは、過去の伝統に縛られない、未来への信条と民主主義を象徴する都市の建設を望んだ。1950年、こうしてル・コルビュジエ(1887-1965)が計画都市チャンディーガル(チャンディガール)の設計を担うことになった。彼は自然の秩序と近代技術が完全に調和した、人間中心のユートピアを造り出そうとした。都市設計も人体をイメージし、圧倒的な存在感を放つ州議会議事堂、高等裁判所、合同庁舎が鎮座するキャピトル・コンプレックスを頭に、商業の中心部を心臓に、緑地帯や公園を肺に、道路を循環器系に見立てた。また、都市をグリッドで区切ってセクターという単位を設け、道路システムを7つの階層に分け、人と自動車の交通を分離し、緑地を整備し湖を造り、建築の規則を細かく定めた。そしてその実現には彼の従兄弟である建築家ピエール・ジャンヌレが大きな役割を果たした。
ヒマラヤの麓の荒野にゼロから誕生した、ル・コルビュジエの“輝く都市”チャンディーガル(チャンディガール)。コルビュジエが唯一実現できた計画都市は、新生インドを象徴する都市として、人を中心に置き、「より良く、より公正で、より調和のとれた世界」を目指した。70年を経て、このユートピアはどのように変容したか。建築物と歴史を追いながら、住民である建築家、都市活動家、芸術家などがチャンディーガルの直面している課題や揺るがない魅力について語る。
荒野に新しく作られた都市には、劇場、大学、美術館などが数多く作られ、古い歴史を持つ他のインドの都市よりも文化的施設に恵まれ、芸術家も多く集まりました。
オープンで自由な町で、恋人や妻と手を繋いで歩けるのは、ほかの町では出来ないことと語る男性。一方、階級の烙印や不名誉は深く刻み込まれていて、公正な行政や万人の平等な扱いを実現するには、法律が存在しているにもかかわらず、何世紀もかかると憂います。歴史のない新しい町でも、インドに根付いたカーストに基づく社会は、なかなか変わらないのだと教えてくれました。
チャンディーガルの町に、もう40年程前に、予定外に宿泊したことがあります。その時には、町の成り立ちを知らなかったのですが、明らかにほかのインドの町と作りが違うのを感じました。北のマナリの町から飛行機でデリーに戻る時、上空から見たチャンディーガルは、碁盤の目の様に区画がはっきりしていて、計画的に新しく作られた都市だと知りました。さらに、ル・コルビュジエが手掛けたと知り、彼のモダニズム建築が実はあまり好きでない私は、どうりであまり居心地のいい町と感じなかったのだと納得したのでした。(咲)
誓い 建築家B・V・ドーシ 原題:THE PROMISE. ARCHITECT BV DOSHI
監督:ヤン・シュミット=ガレ
撮影:ディートハルト・プレンゲル
編集:サラ・J・レヴィン
音楽:バルトーク・ベーラ
出演:バルクリシュナ・ドーシ、スフリド・サラバイ、スーリヤ・カカニ
2023年/ドイツ/90分/カラー/5.1ch/英語、グジャラート語、ヒンディー語
チャンディーガルの計画が始まるころ、パリのコルビュジエのもとで一人のインド人建築家がキャリアを歩み始める。その名はバルクリシュナ・ヴィタルダス・ドーシ(1927-2023)。のちに建築界のノーベル賞とされるプリツカー賞に輝く建築家である。彼はインド西部の都市アーメダバードのコルビュジエのプロジェクト(サラバイ邸、ショーダン邸、繊維業会館など)の実施を担った。その後、アーメダバードで独立し、巨匠ルイス・カーンとも協働した(インド経営大学)。コルビュジエやカーンに薫陶を受けたドーシは、インド学研究所や自身の設計事務所サンガトなどで早くからサステナブルやエコの思想を建築に取り入れ、アランヤ低コスト住宅プロジェクトやCEPT大学の創設など、社会課題の解決や教育にも尽力した。
2018年にインド人初のプリツカー賞に輝き、2023年に95歳で死去した世界的建築家バルクリシュナ・ドーシが、師匠であるル・コルビュジエやルイス・カーンと協働した建築物や自身が手掛けた建築物を訪れ、建築哲学や制作過程、そして70年におよぶキャリアについて語る姿を追う。モダニズムとインドの伝統、風土、精神性を融合した独自のスタイルを確立し、社会や環境に貢献する建築や、生活に根差した“人々のための建築”を志向した彼の最晩年の内面に迫る。
西欧でモダニズム建築を学びながら、インドの伝統も大事にした、インドの風土に合った建築物の数々。ドーシ自身の自宅も、実に居心地が良さそうでした。インドの偉大な建築家を知ることのできる1作。(咲)
2026年02月12日
ANIMAL 原題:ANIMAL
監督:サンディープ・レッディ・ヴァンガ
脚本:サンディープ・レッディ・ヴァンガ プラナイ・レッディ・ヴァンガ スレッシュ・バンダル
出演:ランビール・カプール(『バルフィ! 人生に唄えば』)、アニル・カプール『スラムドッグ$ミリオネア』、ラシュミカー・マンダンナ、ボビー・デーオール
第24回国際インド映画アカデミー賞最優秀作品賞ほか最多9部門受賞
第69回フィルムフェア賞最優秀男優賞ほか最多5部門受賞
世界興収150億超の大ヒットも賛否両論を呼んだ
衝撃のインド・バイオレンスアクションが日本上陸
愛か、狂気か。この男は誰にも止められない。
飢えし獣は、一家の宿命を背負い、終わりなき復讐への道へ––––
デリーの鉄鋼王バルビール(アニル・カプール)の長男として生まれたランヴィジャイ(ランビール・カプール)。仕事一筋の父を尊敬していたが、父からの愛には飢えて育った。高校時代、姉のリートをいじめた先輩に銃をぶっ放す事件を起し、怒った父はランヴィジャイを米国の寄宿制学校に入れる。父の60歳の誕生日パーティーに合わせ帰国するが、姉リートの夫ヴァルンと喧嘩になり、父から拒絶されてしまう。そんな折、友人の妹ギータンジャリ(ラシュミカー・マンダンナ)の婚約式で、美しく育った彼女をみたランヴィジャイは、婚約者から彼女を奪って、駆け落ち結婚して再び米国に渡る。
8年後、父親が何者かに襲撃されたとの知らせを受けたランヴィジャイは、ギータンジャリと二人の子供を連れてデリーに舞い戻る。復讐を誓い、故郷パンジャーブの男たちを手下にし、父親の影武者を用意して暗殺者が再び襲ってくるのを待つ。実行犯アスラールの影にいる宿敵を突き止め、復讐の道へと突き進んでいく・・・
暗殺者たちを撃退した際に、重傷を負って、心臓も弱り、ランヴィジャイは心臓移植手術を受けるのですが、みごと復活! そこへ、ゾーヤーという美女が現れます。ランヴィジャイに移植した心臓のドナーは自分の婚約者だったので、心音を聴きたいという次第。ランヴィジャイはゾーヤーに一目惚れして、情事を繰り広げます。かなり大胆で驚きました。
後に、妻のギータンジャリが、ゾーヤーとの営みについて、かなり具体的に問い詰めるのですが、インド映画でここまで表現する? と、これまた驚きでした。
情事にご熱心なのもですが、父親を襲った宿敵たちへの復讐も激しくて、心臓移植した人がそんなに元気になるもの?と。ま、映画ですから。
『バルフィ! 人生に唄えば』の時には、恋する甘い青年を演じたランビール・カプールが、復讐に燃える精悍な男を演じていることにも、びっくりです。それにしても二転三転、スピード感もあって、先が読めない物語です。(咲)
2023年/インド/ヒンディー語・パンジャーブ語・英語/201分/シネマスコープ/カラー/5.1ch
⽇本語字幕: 藤井美佳
配給:ギークピクチュアズ
公式サイト:http://animal-movie.jp
★2026年2月13日(金)よりグランドシネマサンシャイン 池袋、新宿ピカデリー他全国順次公開
2026年01月31日
ツーリストファミリー(英題:Tourist Family)
監督・脚本:アビシャン・ジーヴィント
撮影:アラヴィンド・ヴィシュワナーダン
音楽:ショーン・ロールダン
編集:バラト・ヴィクラマン
出演:シャシクマール(ダース)、シムラン(ワサンティ)、ミドゥン・ジェイ・シャンカル(ニドゥ)、カマレーシュ・ジャガン(ムッリ)、ラメーシュ・ティラク(バイラヴァン巡査長)、ヨーギ・バーブ(ブラカーシュ)
スリランカからインドに密入国をはかる一家、夫のダース、妻のワサンティ、2人の息子ニドゥとムッリの4人。スリランカでの貧困から抜け出すため非合法な難民となった彼らは、船に乗り闇にまぎれて海岸に到着した。ワサンティの兄ブラカーシュの助けで、チェンナイに住むことになった。ニセの身分証を作り、密入国がバレない様に近所との接触に気をつけろと兄から申し渡され、新生活が始まる。しかし、素朴で気の良い一家は、つい近所とも関わってしだいに溶け込んでいく。そんな中、テロ事件を血眼で追っている警察の捜査の手が彼らに伸びてきた。
スリランカの内戦は26年にもおよび、困窮した人々が隣国のインドへと逃れました。悲惨なストーリーになるのかと身構えましたが、そうではありませんでした。海岸で警察に遭遇した時の次男の対応に笑ってしまい、今後の方向が見えて安心しました。様々な問題が起きてきて、一騒動あるのですが。身分を偽らず、正直に生きたいと願う父親、誰にでも優しく手を差し伸べる母親、ご近所さんたちの対応も変わっていきます。労働力は歓迎しながらも、難民受け入れには厳しい日本を顧みると、こうなったらいいのにと思ってしまいます。
監督・脚本のアビシャン・ジーヴィント、記念すべき長編デビュー作です。それまではyoutuberとして、短編の動画を発表して好評だったそうですが、映画業界の経験はないとか。それなのにこのデビュー作ができちゃうんですね!2作目が待たれます。監督はダース一家の近所で迷惑がられている酒浸りの青年役で出演もしています。もう一つ注目なのは、ダースやワサンティの使うスリランカなまりの言葉。字幕担当の方が苦心されたのでしょう。こんな風に聞こえるのか!と、とても面白かったです。日本の方言も外国ではなんと訳されるのか、気になるところです。(白)
チェンナイは、タミル・ナードゥ州の州都で、英領インド時代マドラスと呼ばれていた都市。タミル・ナードゥ州の公用語はタミル語。スリランカからやってきたダースたち一家はタミル語が母語なので、言葉の面であまり苦労せずに済みそうですが、基本は同じながら表現や語彙が違うのでしょう。スリランカから来たとは言えないので、お隣りのケーララ州から来たことにするのですが、わかる人にはスリランカ訛りのタミル語とわかるのですね。そこが、この物語の大事なポイント。
ダースたちが住むことになった家の大家さん一家、ダースが運転手として試用されることになった金持ちのリチャード氏、ご近所の仲睦まじい老夫婦等々、まわりの登場人物も丁寧に描いていて、それぞれに物語があって、なんどもほろりとさせられました。(咲)
2025年/インド/タミル語/シネスコ/カラー/127分
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/touristfamily/
★2026年2月6日(金)シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー


