2025年12月03日
殺し屋のプロット(原題:Knox Goes Away)
監督・製作:マイケル・キートン
脚本:グレゴリー・ポイリアー
出演:マイケル・キートン(ジョン・ノックス)、ジェームズ・マースデン(マイルズ・ノックス)、スージー・ナカムラ(イカリ)、ヨアンナ・クーリク(アニー)、マーシャ・ゲイ・ハーデン(ルビー)、アル・パチーノ(ゼイヴィア)
かつて情報部で活躍し、博士号も持っている異色の殺し屋ジョン・ノックス。長い間凄腕の殺し屋として生きてきたが、予期せぬ事態が降りかかる。認知症と診断され、それも急速に記憶を失っていくというもの。医師によれば残された時間はわずか数週間。この世界から身を引くしかないノックスの前に、疎遠だった一人息子マイルズが現れ、娘を傷つけた男を殺してしまったとうちあける。父の手でなんとかならないかと涙ながらに訴えるマイルズ。ノックスは息子のために、人生最期の完全犯罪に挑む。記憶がなくなる前にやりとげねばならない。
監督・主演・製作 をマイケル・キートンが担い、長いキャリアの集大成とも見える作品。いかに有能でも避けられない老いと対峙することになったことを思うと、そちらは身につまされます。ショックで打ちひしがれることもなく、すがりついてきた息子を受け入れます。緻密な頭脳を駆使して考え、記憶が消える前に時間と戦いながら我が子を救おうとするジョン。プロの殺し屋の面目躍如・・・と感心してはいけませんが、警察を欺いていくその過程がなんともスリリングです。
ただ一人の友人といえるゼイヴィアをアル・パチーノが演じてさすがの存在感。(白)
2023年/アメリカ/カラー/ビスタ/115分
配給:キノフィルムズ
(C)2023 HIDDEN HILL LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
https://kga-movie.jp/
https://x.com/5648_plot
★2025年12月5日(金)よりkino cinéma新宿他全国公開中
2025年11月23日
ドミニク 孤高の反逆者(原題:Dominique)
監督・脚本:マイケル・S・オヘダ
撮影:ジム・オア
美術:アンドレス・ベラスケス
音楽:ナレク・ミルザエイ
出演:オクサナ・オルラン(ドミニク)、モーリス・コンプト(サンティアゴ警察署長)、ホセ・コネホ・マルティン(チャゴ)、セバスティアン・カルヴァハル(フリオ)、マリア・デル・ロサリオ(パウリナ)、アラナ・デ・ラ・ロサ(ブリル)、グスタヴォ・アンガリタ(祖父)
南米コロンビアの小さな街に流れ着いたウクライナ人の女ドミニク。知り合った警官フリオとその家族との平穏な日常は長くは続かなかった。腐敗した警察と麻薬カルテルによってフリオが惨殺され、非力な家族に危機が迫る時、ドミニクは封印していた戦闘スキルを発動させる。無法地帯を舞台に正体不明のグリンガ(よそ者の白人女)が警察とカルテルとの壮絶な戦いが展開する!
最強のヒロイン、ドミニクはウクライナ系アメリカ人のオクサナ・オルランが演じてなんともカッコイイです。何者なのか、かつて何かあったのだろうと思わせる戦闘能力、沈着冷静な頭脳、非情かと見せて実は一片の情もあります。敵対する警察署長役のモーリス・コンプトはこれまで何度か見ている俳優さん、善悪どちらもいけそうで、悪に回った時に余計憎らしい感じです。
ドミニクが大金を持って流れ着いた街は、警察と麻薬カルテルが手を結んでいました。最初に知り合った珍しく正義漢の警察官フリオの義姉家族のところに身を寄せると、フリオは非業の死を遂げ、次から次へと敵が襲ってきます。
身重のママを守り、ドミニクの指揮のもと勇気を振り絞る子どもたちやお爺ちゃん、家族総力戦です。目を覆いたくなる拷問や処刑、容赦ない戦闘のシーンが多く、R15+なのでご注意ください。(白)
2024年/アメリカ、コロンビア合作/カラー/シネスコ/100分/R15+
配給:彩プロ
(C)2023 DOMINIQUE THE MOVIE, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
https://dominique.ayapro.ne.jp/
★2025年11月21日(金)より全国ロードショー
クリスマス・イブ・イン・ミラーズ・ポイント(原題:Christmas Eve in Miller's Point)
監督:タイラー・タオルミーナ
脚本:エリック・バーガー タイラー・タオルミーナ
出演:マイケル・セラ、エルシー・フィッシャー、マリア・ディッツィア、ベン・シェンクマン、グレッグ・ターキントン、そして新人マチルダ・フレミング、ソーヤー・スピルバーグ
ロングアイランドにある小さな町のバルサーノ家。クリスマス・イブの夜に、4世代が集まった。毎年恒例のこの集まりは、もしかしたら最後になるかもしれない。家族の中心である祖母も高齢となった。陽気に飲み語らうおばやおじ、いとこたち、皆が賑やかな祝宴に夢中になる中、若いエミリーとミシェルはこっそり抜け出し、郊外の雪景色に車を走らせる。
アメリカでのクリスマスは一族が集まって互いにプレゼントをし、無事を喜び合うもののようです。日本のお正月も同じで、子どもたちはお年玉をもらい、大人たちは近況を話しながら飲んだり食べたり。中途半端なところにいるのが十代の反抗期に入った若者たち。もうお子様ではなくかといっておじさんおばさんの話につきあっても退屈。てきとうに抜け出して自分たちで楽しみます。
タイラー・タオルミーナ監督は詩情豊かな映像表現と実験的な映画作りで高く評価されたそうです。このクリスマスの映画では、複数の世代や立場の人物たちの断片的なエピソードで構成され、まるで家族のアルバムをめくっているよう。
出演者にはマーティン・スコセッシ監督の娘フランチェスカ・スコセッシ、スティーブン・スピルバーグ監督の息子も、さてどの人でしょう?
前作『ハム・オン・ライ』と『ハッパーズ・コメット』も公開になります。(白)
2024年/アメリカ/カラー/106分
配給:グッチーズ・フリースクール
(C)2024 Millers Point Film LLC. All rights reserved.
https://www.christmas-eve-in-millers-point.com/
★2025年11月21日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国ロードショー
2025年11月13日
インディセント 原題:Indecent ★「松竹ブロードウェイシネマ 2025 秋」第二弾
監督&演出:レベッカ・タイチマン
原作&脚本:ポーラ・フォーゲル
出演:リチャード・トポル、カトリーナ・レンク、アディナ・ヴァーソン、他
第71回トニー賞にて3部門ノミネートされ、最優秀演出賞 &
演劇照明デザイン賞を受賞した社会派ミュージカルの傑作!!
その衝撃的内容から、逮捕され有罪判決を受けたショーレム・アッシュの演劇『復讐の神』をめぐる論争を描いた傑作演劇初のODS映画化。アメリカン・シアター・ウィングが授与するオビー賞演出賞受賞作品。ピューリッツァー賞受賞の脚本家でアメリカ演劇の殿堂入りを果たした、ポーラ・フォーゲルによる原作のアメリカ演劇である。オリジナルは1923年にブロードウェイで上演され、ショーレム・アッシュの演劇『復讐の神』(「God of Vengeance」)をめぐる論争を描いた舞台。
★ストーリー★
1907年のポーランド。売春宿の娘とその父のもとで働く女性の恋愛を描いた「復讐の神」が生まれた。この歴史的な戯曲を再び舞台に蘇らせるために、演劇の持つ愛と魔法を信じて、芸術家たちは困難に立ち向かっていく・・・。
1907年 ベルリンのドイツ劇場で「復讐の神」上演
1911年 サンクトペテルブルク、1914年 コンスタンティノープル、1918年 ブラチスラヴァと各地で上演
1920年 エリス島 米国移民局に並ぶ多くのユダヤ人たち
1921年 ニューヨークで上演 英語で上演するが楽屋ではイディッシュ語
1923年 ルー、ヨーロッパと米国のユダヤ人合同委員会の代表団団長として、ホグロム(ユダヤ人迫害)の調査のため、ヴィリニスとキーウへ。
1923年 ニューヨーク公演 女性同士のキスの場面を問題視して警察がくる。
出演者とプロデューサーがわいせつ罪で逮捕される。
1939年 移民先を探すユダヤ人。パスポートを没収され、黄色い星を胸につけ上演。観客は数人。キャストの何人かは欠けている。
1943年 ポーランドのゲットーの屋根裏で上演
1952年 ロンドン。アッシュのもとへ祖父母がイディッシュ語話者だったというイェール大学を卒業した青年が「復讐の神」を上演したいと訪ねてくる・・・
ショーレム・アッシュはポーランドのイディッシュ語作家。イディッシュは、高地ドイツ語の方言にスラヴ系言語(特にポーランド語)やヘブライ語などが混じり合って生まれた言語。ドイツや東欧諸国に住んでいたユダヤ系の人々が使用していましたが、ナチスによるホロコーストで話者が激減。アメリカやイスラエルに移住したアシュケナジー系のユダヤ人が今でも使用しているといわれています。
『インディセント』からは、ポーランドで暮らしていたアシュケナジー系のユダヤ人の辿った運命を知ることができ、興味津々でした。
それにしても、父親が売春宿で1年かけて稼いだお金で、立派なトーラー(モーゼ五署)を娘に買い与えるということに、まず驚きます。さらにその娘は女性と恋愛。挑戦的な内容ゆえに、問題になるのですが、現代ならばともかく、100年以上前になんと大胆な!と。 だからこそ、今の時代にも通じる作品といえそうです。 (咲)
2017年/米国/ビスタ/105分/5.1ch
配給:松竹
公式サイト:https://broadwaycinema.jp/
★2025年11月14日(金)より1週間限定 全国順次限定公開(※東劇のみ2週間限定)
松竹ブロードウェイシネマ 2025 秋
日本映画界史上初、アメリカ・ニューヨークのブロードウェイ舞台を特別撮影し、日本語字幕付きで映画館でお届けする「松竹ブロードウェイシネマ」
「松竹ブロードウェイシネマ 2025 秋」は、トニー賞を総なめにした、伝説の傑作ロングラン・ミュージカル3作品。
第一弾 『エニシング・ゴーズ』 10月31日(金)~
第二弾 『インディセント』 11月14日(金)~
第三弾 『タイタニック』 11月28日(金)~
2025年10月17日
ローズ家 崖っぷちの夫婦(原題:The Roses)
監督:ジェイ・ローチ(『ミート・ザ・ペアレンツ』)
脚本:トニー・マクナマラ(『哀れなるものたち』)
原作:ウォーレン・アドラー
撮影:フロリアン・ホーフマイスター
音楽:セオドア・シャピロ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ(テオ・ローズ)、オリヴィア・コールマン(アイヴィ・ローズ)、アンディ・サムバーグ(バリー)、アリソン・ジャネイ(エレノア)、ケイト・マッキノン(エイミー)ほか
建築家のテオはこれまで仕事は評価され、順調なキャリアを築いてきた。料理家の妻アイヴィはチャンスを逃さず、仕事も拡大していく。男女一人ずつの子供に恵まれ、完璧な家庭生活に彩られたカップル…のはずだった。一見幸せな家庭に見えていたが、胸には互いの競争心と不満が渦巻き、口に出せない分が積もり積もっていた。
ある晩、テオのキャリアは一夜にして崩壊、信用を失い事業は破綻する。愛する妻と建てた理想の家は、二人の争いの元になってしまう。ついに友人の弁護士に離婚の相談をするに至るのだが…
『ローズ家の戦争』(1989/ダニー・デヴィート監督)のリメイクです。旧作はキャスリーン・ターナーとマイケル・ダグラスが夫婦を演じました。自分の気持ちや要求を主張するのがあまり得意ではない日本の夫婦は度肝を抜かれましたっけ。
今回はイギリスの名優ベネディクト・カンバーバッチとオリヴィア・コールマンが、熱烈な恋愛結婚をしたものの、いつしか心はすれ違い夫婦喧嘩に突入。前作と筋立ては同じながら、パワーアップしてこれはケガで済まない!命がけ!という、アクション映画さながらの進展となります。いやはや。
演技巧者の二人にキャラの濃い友人たち、それぞれが抱える不満や要求があらわになって、大小の差こそあれ「夫婦あるある」に胸が痛むこと必至のブラックコメディです。傷つくかと思われた子供たちはとてもクールで、安堵したり先々を憂えたりでした。不満はゴミと同じ、ため込まずに小まめに出すに限ります。(白)
2025年/アメリカ/カラー/105分
配給:ディズニー
(C)2025 Searchlight Pictures. All Rights Reserved.
https://www.searchlightpictures.jp/movies/theroses
★2025年10月24日(金)より全国ロードショー


