2026年05月04日
幕末ヒポクラテスたち
監督:緒方明
脚本:西岡琢也
原案:映画『ふんどし医者』(1960/稲垣浩監督)©1960 TOHO CO., LTD.
撮影:清久素延
出演:佐々木蔵之介(大倉太吉)、 藤原季節(相良新左)、藤野涼子(相良峰)、真木よう子(大倉フミ)、柄本明(弾蔵)、内藤剛志(荒川玄斎)、室井滋(ナレーション)
幕末。京のはずれにある村で、蘭方医の大倉太吉は貧しいものには無償で診療をしていた。子沢山の家計を支えるしっかり者の妻・フミは畑を作り、子どもたちもよく母を手伝った。村には漢方医の荒川玄斎もいたが、何にでも葛根湯を処方するのでヤブにもならないタケノコ医者と陰で呼ばれている。二人は互いの領分を守りつつも顔を合わせれば口喧嘩の日常だった。
太吉は村医者ながら新しい医学の学習に熱心で、解体新書を読み、罪人の腑分けにも立ち会う。新左は京の呉服屋の跡取り息子だが、ばくち好きの放蕩者だ。妹の峰が太吉の治療で快癒し、自身も喧嘩で大けがをして太吉の手術で命を救われる。心を入れ替えて弟子になりたいと申し出た。太吉はまじめに働く新左を見守り、長崎でさらに新しい医術を学べと送り出す。そして15年が経過した。
医学生たちの映画『ヒポクラテスたち』(80)の大森一樹監督の生前最後の企画の映画化。大森監督や京都にゆかりのあるスタッフが結集しました。稲垣浩監督の旧作を原案に、脚本の西岡琢也さんが大胆に脚色。時代をさかのぼり、『ヒポクラテスたち』の先祖たちの奮闘ぶりを描いた医療ドラマが完成しました。内藤剛志さん、柄本明さんは『ヒポクラテスたち』にも医学生として出演しているそうです。
人間臭い登場人物たちが生き生きと動いて、ことに好奇心旺盛な太吉が腑分けに見入ったり、すっかり医者らしくなって戻った新左に思わず嫉妬心を抱いたり、葛藤しながら所見を受け入れる表情が良かったです。激しく移り行く時代に生きる人々、医術の進歩、未来へ託す希望など、今の私たちにも十分理解できるものです。その時代に励んでくれた先人たちのおかげで医療の恩恵を受けることができます。感謝。(白)
2025年/日本/カラー/108分
配給:ギャガ
(C)2026「幕末ヒポクラテスたち」製作委員会
https://gaga.ne.jp/bakuhippo_movie/
★2026年5月8日(金)全国ロードショー
2026年05月03日
旅立ちのラストダンス 原題:破・地獄 英題:The Last Dance
5月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテ、新宿武蔵野館他にて全国公開
劇場情報
「家族」「伝統儀式」「死生観」という普遍的なテーマを描く
監督:陳茂賢(アンセルム・チャン)
出演:黄子華(ダヨ・ウォン=ウォン・ジーワー) 魏道生(ドミニク)役 元ウェディングプランナー、負債を抱え葬儀業界に転職
許冠文(マイケル・ホイ) - 郭文(文哥)役 道教の伝統に厳格な道士
衛詩雅(ミシェール・ワイ) - 郭文玥(ユェト)役 郭文の娘で救急隊員。父の道教に忠実な女性蔑視に苦しむ
朱栢康(チュー・パクホン)郭文の息子。家業を継ぐことを強要されるが…
周家怡(キャサリン・チャウ)、秦沛(ポール・チン)、金燕玲(エレイン・ジン)
ウエディングプランナーのトウサン(黄子華)は、コロナ禍で多額の負債を抱え、葬儀業者への転身を余儀なくされる。しかし結婚式と葬式は大きく違い、トウサンは様々な困難に直面する。最大の難関は、共に葬儀を取り仕切る「葬儀道士」であるマン師匠(許冠文)に認められることだった。利益の追求が第一のトウサンと、伝統を重んじるマン師匠は、考え方の違いから絶えず衝突、2人の関係は最悪に。だがマン師匠と娘・マンユッ(衛詩雅)、その一家と関わるうちに、マン師匠へのわだかまりは徐々に消えていく。
そしてトウサンは次第に、マン師匠が葬儀で行う儀式「破地獄」の真の意味を理解していくのだった。
香港の葬儀業界を題材に、道教の葬儀儀式「破地獄」を通じて、生と死、家族の絆を描く。本作は、若者からシニア層まで幅広い世代の共感を呼び、劇場では涙する観客が続出。批評家からも「2024〜25年において最も力強い香港映画」と絶賛され、コロナ禍に不安な日々を送る人々の心に、深く静かに感動を広げていった。黄子華と許冠文の共演も話題となり、香港の歴代広東語映画興行収入第1位を記録した。
監督のアンセルム・チャンは、「他者を助けることで自分も救われる」というテーマを掲げ、香港映画では異例となる実際の葬儀場・遺体安置所でのロケを敢行。圧倒的なリアリティの中で、生と死、そして人と人との絆を鮮烈に描き出した。
公式サイト:https://lastdance-movie.com/
2024|香港|広東語|140 分|カラー|シネマスコープ|5.1ch
|日本語字幕翻訳:鈴木真理子 字幕協力:大阪アジアン映画祭
提供:ツイン、Hulu 配給:ツイン
※本上映はディレクターズカット版での上映
劇場情報
「家族」「伝統儀式」「死生観」という普遍的なテーマを描く
監督:陳茂賢(アンセルム・チャン)
出演:黄子華(ダヨ・ウォン=ウォン・ジーワー) 魏道生(ドミニク)役 元ウェディングプランナー、負債を抱え葬儀業界に転職
許冠文(マイケル・ホイ) - 郭文(文哥)役 道教の伝統に厳格な道士
衛詩雅(ミシェール・ワイ) - 郭文玥(ユェト)役 郭文の娘で救急隊員。父の道教に忠実な女性蔑視に苦しむ
朱栢康(チュー・パクホン)郭文の息子。家業を継ぐことを強要されるが…
周家怡(キャサリン・チャウ)、秦沛(ポール・チン)、金燕玲(エレイン・ジン)
ウエディングプランナーのトウサン(黄子華)は、コロナ禍で多額の負債を抱え、葬儀業者への転身を余儀なくされる。しかし結婚式と葬式は大きく違い、トウサンは様々な困難に直面する。最大の難関は、共に葬儀を取り仕切る「葬儀道士」であるマン師匠(許冠文)に認められることだった。利益の追求が第一のトウサンと、伝統を重んじるマン師匠は、考え方の違いから絶えず衝突、2人の関係は最悪に。だがマン師匠と娘・マンユッ(衛詩雅)、その一家と関わるうちに、マン師匠へのわだかまりは徐々に消えていく。
そしてトウサンは次第に、マン師匠が葬儀で行う儀式「破地獄」の真の意味を理解していくのだった。
香港の葬儀業界を題材に、道教の葬儀儀式「破地獄」を通じて、生と死、家族の絆を描く。本作は、若者からシニア層まで幅広い世代の共感を呼び、劇場では涙する観客が続出。批評家からも「2024〜25年において最も力強い香港映画」と絶賛され、コロナ禍に不安な日々を送る人々の心に、深く静かに感動を広げていった。黄子華と許冠文の共演も話題となり、香港の歴代広東語映画興行収入第1位を記録した。
監督のアンセルム・チャンは、「他者を助けることで自分も救われる」というテーマを掲げ、香港映画では異例となる実際の葬儀場・遺体安置所でのロケを敢行。圧倒的なリアリティの中で、生と死、そして人と人との絆を鮮烈に描き出した。
公式サイト:https://lastdance-movie.com/
2024|香港|広東語|140 分|カラー|シネマスコープ|5.1ch
|日本語字幕翻訳:鈴木真理子 字幕協力:大阪アジアン映画祭
提供:ツイン、Hulu 配給:ツイン
※本上映はディレクターズカット版での上映
2026年04月21日
LOST LAND/ロストランド(原題:HARA WATAN)
監督・脚本:藤元明緒
撮影:北川喜雄
音響:弥栄裕樹
カラリスト:ヨヴ・ムーア
音楽:エルンスト・ライジハー
共同プロデューサー:ジャウディン・カリムディン、アンジェル・デ・ロルム、エリス・シック
プロデューサー:渡邉一孝
出演:ソミーラ&シャフィ
バングラデシュの難民キャンプで暮らしている5歳のシャフィと9歳の姉ソミーラ、離ればなれの家族との再会を願って、叔母と一緒にマレーシアへと向かった。子どもたちは向こうにより良い暮らしがあると信じている。パスポートを持てない彼らは、密航業者を頼りに脱出する。夜にまぎれて金網をくぐり抜け、小さな漁船に乗る。大人にとっても過酷な道のりを、ソミーラはシャフィを励ましながら進んで行く。
総勢200人ものロヒンギャの方々が出演しています。姉弟役の子どもたちは実のきょうだいで、難民キャンプにいるところを藤元監督に見い出されました。二人の仲の良さ、無邪気な明るさが、この辛いドラマの中での一筋の希望となっています。
たまたまそこに生まれただけで、なぜそんなに理不尽な目にあわなければいけないのでしょうか? こんなに信心深い人たちの祈りはどこにも届かないのでしょうか? 何も知らないでいた私たちができることは何でしょう? ともかくも、私はシャフィ君とソミーラちゃんを知りました。忘れません。(白)
「ミャンマーで長く映像制作の仕事をしていて、ロヒンギャの人々が受けてきた迫害の話を幾度となく耳にして、これほどまでに残酷な現実が存在するのかと思ったけど、ミャンマーではロヒンギャの話題を口にすること自体がタブーで、仕事を失うことへの恐れから声を上げることができなかった、見て見ぬふりをしてしまった。その罪悪感こそが、『LOST LAND/ロストランド』制作の原点となりました」とHPにありましたが、藤元監督の勇気に感服。私は何ができるのだろうと考える(暁)。
●第82回ベネチア国際映画祭オリゾンティ部門審査員特別賞を受賞したのをはじめ、9ヶ国の映画祭で15冠。
●藤元監督インタビュー記事掲載できました。こちら
2025年/日本、フランス、マレーシア、ドイツ合作/カラー/99分
配給:キノフィルムズ
(C)2025 E.x.N K.K.
https://www.lostland-movie.com/
★2026年4月24日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、kino cinéma新宿、ポレポレ東中野ほか全国公開
=公開記念舞台挨拶情報=
シャフィ&ソミーラのオンラインでの登壇が決定!!
4月25日(土)12:30の回(上映後)ポレポレ東中野
14:15の回(上映後)kino cinéma新宿
あの可愛い二人に画面越しですが会えます!もちろん藤元監督も登壇。
ほかの舞台挨拶情報は公式サイトで。
https://lostland-movie.filmtopics.jp/2026/04/17/0417/
月の犬
監督・脚本・編集:横井健司
撮影:松本貴之
音楽:遠藤浩二
出演:萩原聖人(東島)、渋田そらじ(将吾)、やべきょうすけ、中村映里子、原日出子、大後寿々花、沖山翔也、寺島進、深水元基(南)、黒谷友香(沙織)
愛妻を病気で亡くし、生きる気力を失ってしまった東島。仕事にかまけて妻の病気に気づかなかった自分を責めずにいられない。それまで生きてきた場所を離れ、すべて処分して知らない町に流れ着いた。たまたま入ったのは、ぼったくりバーだったが言われるままに大金を払う。女主人の沙織はそんな東島に興味を持ち、店で働かないかと持ちかけた。裏社会の一員の南は、沙織から男の話を聞いて、飽き飽きしていた日常が動き出すのを感じる。東島は沙織の指示通り、部屋に一人でいる少年将吾の面倒を見る。日の差さない部屋で、口も利かずにいる将吾にはある役目があった。
香港映画あたりでありそうな設定ですが、日本の裏社会のストーリー。寡黙な男、東島を萩原聖人さん、酷薄な南を深水元基さん、大河ドラマに出ていたときは髭の武将役、今回はつるりとしたお肌の2枚目で同じ俳優さんとは思いませんでした。生きることに何の楽しみも、将来の計画もない人が出てきてどんよりしますが、闘う場面はすごみと迫力があります。したたかに前を向くのは沙織だけ。そんなに強いなら将吾をなんとかしてと、怒っては筋違いでしょうか。ひどい。(白)
2025年/日本/カラー/シネスコ/101分
配給:渋谷プロダクション
(C)PYRODIVE
https://tsukinoinu.com/
★2026年4月24日(金)シネマート新宿ほかにて全国順次公開
2026年04月12日
五月の雨
監督:冨田玲央
脚本:藤平久子
撮影:井手口大騎ダグラス 豊島潤子
音効:金田智子
ナレーション:中沢有美子
出演:安川まり(長谷川香織)、巴山祐樹(長谷川直樹)、楠田悠人(天音・小学生)、酒井禅功(天音・中学生)
長谷川香織は夫直樹と息子天音(あまね)の3人家族。直樹は物言いは丁寧だが、専業主婦の香織に些細なミスがあると執拗に理由を説明させる。自分の思った通り、言うとおりにならないと機嫌が悪くなり、謝っても「謝罪してほしいわけじゃない」と突っぱねる。しかも自分がしていることが精神的暴力だと気づいていない。香織はついに耐えかね、息子を連れて、家を出る。弁護士に助けを求め離婚調停をすることになった。双方の主張が食い違い、成立まで3年もかかった。夫が強硬に「共同親権」を主張し、離婚の条件と言われて香織は受け入れてしまう。それが離婚後も夫の精神的支配が続く原因になった。
離婚調停で「共同親権」を受け入れるまでをドラマで再現。夫の言い分を聞いているとなんだかゾワゾワします。四六時中これでは病んでしまいます。離婚調停に携わる人はみな、そんなに家庭円満で、問題ひとつないのでしょうか? 職務上公平な判断が必要とは思いますが、あまりにもわかってもらえないのに驚きました。
後半は外国の当事者の離婚後に起きた元夫による凄惨な事件が紹介されます。共同親権が元で起きた殺人事件でした。日本のDV被害者の「夫の暴力は自分のせい」と当初思っていたこと、これはDVと気づくのに時間がかかったことなど具体的でした。国会前で「共同親権いらない!」という反対の声が上がっているシーンがありますが、過半数の賛成で改正民法法案は成立しました(2026年4月1日より施行)。
(白)
2025年/日本/カラー/74分
配給:ちょっと待って共同親権ネットワーク「五月の雨」製作委員会
(C)ちょっと待って共同親権ネットワーク「五月の雨」製作委員会
https://maydayrain.com/
★2026年4月11日(土)全国ロードショー


