2026年07月03日
カウント・ベイシー 原題 Count Basie: Through His Own Eyes
2026年7月3日 (金)からYEBISU GARDEN CINEMA、新宿武蔵野館、シネマリス ほか全国順次ロードショー 劇場情報
偉大なるジャズピアニスト&バンドリーダー、カウント・ベイシー。ブルースとジャズを融合させスウィングジャズの黄金時代を築いた人生と音楽に迫ったドキュメンタリー
監督:ジェレミー・マー
撮影監督:イアン・ワッツ
出演:カウント・ベイシー、家族、カウント・ベイシー楽団メンバー、ジョン・ウィリアムズ、クインシー・ジョーンズ、ノーマ・ミラー
“キング・オブ・スウィング” 自らが語る人生と音楽
日本でもよく知らてれていますが、アメリカを代表するジャズピアニストであり、ビッグバンドのリーダーとしても知られるカウント・ベイシーは、20代でジャズピアニストとして活動を開始。仕事でミズーリ州のカンザスシティを訪れた際、多くのミュージシャンたちと出会い、1928年にブルー・デヴィルズに加入。その後、ベニー・モーテン楽団でも研鑽を積み、1935年にベイシー楽団を結成。1936年には拠点をニューヨークに移し、精力的に活動。
ジャズにブルースを持ち込み、抜群のリズムと即興性を含んだダイナミックで華麗なアンサンブルが特徴で、リズム革命を引き起こしたカウントと彼の楽団はスウィングジャズの黄金時代を築き、カウント・ベイシーは“キング・オブ・スウィング”と称されました。1984年のベイシー没後も、彼の名を冠する楽団は活動を続けており、昨年、2025年に結成から90周年を迎え、現在も日本を含む世界各国で公演を続けています。
本作は、カウント・ベイシー自身が生前残した言葉で語られた伝記的映画ですが、華々しい表舞台での活躍のみならず、これまで彼があまり語ってこなかった、カウントの知られざるプライベートにも焦点を当て、家族が撮影したホームムービーや写真アルバム、手紙等によって、アフリカ系アメリカ人の人権啓蒙運動を初期の頃から支援し、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアの傍らに立っていた妻キャサリンや、脳性麻痺の障害を持って生まれた娘ダイアンへの、慈愛に満ちた愛情も映し出されます。
映画にハマる前は音楽にハマっていて、1970年代から2010年ころまでCDを買い続け1000枚以上持っているのだけど、ジャズ関係は持っていないかも。そんな私だけど、カウント・ベイシーのことは顔と名前が一致しています(笑)。彼の音楽は日本ではジャズバンドばかりでなく、ブラスバンドなどでも演奏され、日本人にもなじみ深い。ジャズを聴かない私でも知っている「Fly Me To The Moon」や「On The Sunny Side Of The Street」などは、何度も聴いているような気がするけど、これはカウント・ベイシー楽団の演奏だったのかも。
この映画では、カウント・ベイシーの音楽活動だけでなく、プライベートもかなり出てくる。家族が撮っていたムービーから家族と過ごす彼の姿、家族や楽団の人たちとの姿も映し出され、とても興味深い。温厚そうな顔立ちの人だなとは思ったけど、家族や楽団員に対する接し方も支配的な様子ではなかった。脳性麻痺の娘さんがいることも隠さず出てきて、彼女と接する姿に温かさを感じ、愛情に満ちた家族生活に、見ているほうも心温まる思いだった。
人種差別が色濃く残っていた1960年代の楽団の演奏ツアーでの苦労。黒人解放運動に積極的に名前を出していたわけではないけど支援をしていたという。そして、自分たちの実力をアップさせ、演奏を認めさせる形で、それまで黒人が入れなかったところにも入れるようになっていった。そんなカウント・ベイシーが切り開いていった姿は、私たちにも勇気を与えてくれる(暁)。
カウント・ベイシーの名前はさすがに知っていましたが、どんな人物だったのかは知りませんでした。プライベートなことは、もともと語らなかった方だったそうですが、本作で明かされるのは、人を大切にした謙虚な人物像。メンバーは、まず「人」として接しました。1年の内、10か月以上は演奏ツアーの為、バスの中で過ごしたけれど、家族を大事にして、特に脳性麻痺の娘さんは施設に預けることなく自宅で育てることを選んだそうです。離れていても、いつも心には娘ダイアンがいました。
「カウント」とは伯爵の意味。人種差別のひどい中で育ちましたが、怒ることなく、自分たちの価値がわからないのだと。そんな思いで、「カウント(伯爵)」を名乗ったのでしょうか。
黒人として初めてグラミー賞を受賞。差別を受けていた時代に、黒人たちに勇気を与えました。それでも、フランク・シナトラに招かれてラスベガスに行った時、ベイシーたちはカジノに入れてもらえず、ホテルも冷遇されました。それをシナトラが1年かけて解消。カジノにも入れるようにしたそうです。
ユダヤ人だけでなく黒人も嫌いだったヒトラーが、カウント・ベーシーが好きだったとか。価値は人種とは関係ないもの。
ベイシーが一目惚れして結婚した妻キャサリンもまた、公民権運動や慈善活動に邁進して、黒人の若者に奨学金を出し、勇気を与えています。
カウント・ベーシの生き様を知ることのできる素敵なドキュメンタリーです。(咲)
公式HP
2018年 / イギリス / 英語 / 75分 / カラー
字幕:山口三平 / 配給:ディスクユニオン
配給協力:ALFAZBET
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