4月3日(金) ポレポレ東中野ほか全国順次公開 その他の劇場情報
3万人にも及ぶ無差別虐殺が行われたにもかかわらず、韓国現代史において光州事件と共に隠蔽されてきた「済州島四・三事件」 また一枚、歴史の闇が剥がされる
監督・脚本:ハ・ミョンミ
プロデューサー:ヤン・ヨンヒ 撮影:オム・ヘジョン
音楽:キム・ジヘ 音響:ムン・チョルウ
編集:イ・ヨンジョン 照明:シン・テソプ 美術:キム・ジンチョル
出演:キム・ヒャンギ(『神と共に』2部作、『無垢なる証人』)、キム・ミンチェ、ソ・ヨンジュ、キム・ウォンジュン
理不尽な暴力に追い詰められ極限の中を生き抜く母と娘
1948年4月3日、米ソ勢力による干渉に反発し、南北の分断を危惧する済州島の住民が武装蜂起した「済州島四・三事件」。政府による「赤狩り」と称した無差別な武力鎮圧が起こり、同年10月から政府が「海岸線より5キロ以上の地域に出入りする人々を暴徒と見なし、無条件射殺する」という布告を発令。南朝鮮国防警備隊、韓国軍、韓国警察などが島民虐殺事件を起こし、2万5千人以上が犠牲になったとされる。
村民たちは難を逃れるため、漢拏山(ハルラサン)を目指す。一時的に村を出ることになったアジン(キム・ヒャンギ)は、村に残した6歳の娘ヘセン(キム・ミンチェ)のことが心配でたまらない。その頃、村では韓国軍が老人たちまで容赦なく射殺していた。祖母がかばってくれて生き残ることができたヘセンは、母を捜してひとり山へと向かう。奇跡的に再会した母と娘は、生き延びるため命がけの逃避行を始める。
気丈な幼い娘と、娘の無事を心配する母親を主人公に、済州島の女性の強さ、権力によって翻弄される名もなき人々の姿を鮮烈に描く。
2007年にユネスコの世界自然遺産に登録され、リゾート地として観光客にも人気の高い済州島。しかし、かつて凄惨な事件があったことはあまり知られていない。長く闇に葬られてきた「済州島四・三事件」をテーマに描いた。
監督は、商業映画の脚本家としてキャリアを積んだハ・ミョンミ。移住した済州島で、名もなき女性の犠牲者たちの姿を描きたいと企画し、史実を基に母と娘の物語を完成させた。冬に漢拏山で咲く蘭〈ハラン〉のように強い人間の意志と生命力を作品名に込め、全編を済州島で撮影した。主人公アジンを演じるのは、天才子役から演技派女優へと成長したキム・ヒャンギ。大ヒット映画『神と共に』2部作で第39回青龍映画賞の助演女優賞、『無垢なる証人』では第39回韓国映画評論家協会賞の最優秀女優賞を受賞し、その演技力が高く評価されている。
いまなお繰り返される国家権力による悲劇は、世界のあちこちで起きている。いつの時代も罪のない“弱き者”たちが翻弄される姿を描き出す。
政府軍、警察、反共団体による無差別な島民虐殺事件が起きた済州島 四・三事件。四・三事件のことは、これまでも『チスル』(2012)、『スープとイデオロギー』(2021)など、いくつかの映画で描かれてきたが、この事件のことが日本で一般的に知られるようになったのは、『チスル』が上映された頃くらいからかと思う。
この作品では、娘のことを思う母親と、離れた母を追いかけてたった一人山に分け入っていった気丈な娘の再会と逃避行を描き、済州島の女性力強さを描いた。また、軍の側にも住民を無差別に殺していくことに疑問を抱く討伐隊の兵士の葛藤も描いた。
この事件によって、済州島から日本に逃れた村人もたくさんいたという。そのことはヤン・ヨンヒ監督の『スープとイデオロギー』で両親がそういう立場だったと描いていた。
この作品は、去年の「あいち国際女性映画祭」で上映され、ハ・ミョンミ監督、母親を演じたキム・ヒャンギさん、ヤン・ヨンヒプロデューサーがゲストで来日した。在日のヤン・ヨンヒ監督がプロデューサーなのかなと思ったら、同姓同名(日本語読み)の韓国の方だった(暁)。
2025年 第30回あいち国際女性映画祭にて 左から三島有紀子監督(同映画祭アンバサダー)、ハ・ミョンミ監督、キム・ヒャンギさん、ヤン・ヨンヒプロデューサー
公式サイト https://hallan-movie.com/
2025年|韓国|韓国語|カラー|119分|シネスコ|5.1ch|
配給:シネマスコーレ、MYSTERY PICTURES
2026年04月02日
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