2026年03月22日

私たちの話し方 原題:看我今天怎麼說 英題:The Way We Talk

3月27日より東京・新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、アップリンク吉祥寺ほか全国でロードショー
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©2024 One Cool Film Production Limited, Lee Hysan Foundation. All Rights


聴覚に障害のある3人の若者、それぞれの会話表現のこだわりと変化、成長をみずみずしく描く

監督:黄修平(アダム・ウォン)
出演:ジーソン役:游學修(ネオ・ヤウ)、ソフィー役:鍾雪瑩(ジョン・シュッイン)、アラン役:吳祉昊(マルコ・ン)
字幕:最上麻衣子  

3歳で聴力を失い、聴者の母の意向で人工内耳を装用し、「聴こえる人」として“普通”の生活を送ろうとしているソフィー。手話を禁じられて育った。生まれながらの聾者であり、手話話者であることを誇りに思い、手話を使うことに誇りを持っているジーソン。そして、ジーソンの幼馴染みで、手話と口話を使いこなす人工内耳装用者のアラン。
アランとソフィーは人工内耳を推奨するアンバサダーとして出会う。しかし、人口内耳を推奨するイベントで、ソフィーが「科学が発展すれば、この世から聾者はなくなる」と発言したことにジーソンは激怒する。最悪な出会いから始まったソフィーとジーソンだったが、アランのとりなしで、ソフィーがジーソンから手話を習うことになり、3人の関係、それぞれの生き方に変化をもたらしていく。

※人工内耳とは、補聴器では十分な効果が得られない人がつける医療器具。受信コイルを皮下に挿入するため手術が必要。外部に送信コイルなどの器具を付けることで使用できる。

昨年2月に香港で公開されると、若者を中心に大きな話題を呼び、2025年上半期、香港での香港映画興行収入ランキングでNo.1に輝いた。第43回香港電影金像奨では作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞を含む計7部門にノミネートされた。
さらに、第61回金馬奨(台湾)ではソフィー役のジョン・シュッインが最優秀主演女優賞を受賞。日本では3月、第20回大阪アジアン映画祭で初上映され、満席の盛況となりスペシャル・メンションを獲得。1月には、東京・高円寺で開催された「手話のまち 東京国際ろう芸術祭2025」にてアダム・ウォン監督が来日し、熱気あふれるティーチインも実施された。

聾者のアイデンティティの確立という社会課題を青春ドラマに昇華させたのは、香港のアダム・ウォン監督。ソフィーにはラジオDJ出身のジョン・シュッイン。パンサー・チャンの主題歌「What If」の作詞も担当。ジーソンにはアダム・ウォン監督作『私たちが飛べる日』(15)で主人公を演じた若手演技派で、Youtuberでもあるネオ・ヤウ。手話を、一年間におよぶ猛特訓で体得した。アランには中等度難聴で実生活でも口話と手話を使う、演技未経験のマルコ・ンを大抜擢。また、少年時代のジーソンとアランを演じた2人の演技も素晴らしい。

人口内耳による口語話者ソフィ、人口内耳による口語と手話も使えるアラン、手話者ジーソン。ソフィとアランは人口内耳を広めようとする旗振りをしているが、ダイビングコーチを目指すジーソンは手話にこだわっている。人口内耳の施術をすると海に潜ることはできない。耳に水が入って機械が使えなくなるというのもあるが手話を使うことに誇りを持っている。聴覚障害をもつ3人の若者が、それぞれ自分が使いたい方法(手話や口話)でコミュニケーションをとり、友情を深め。それぞれの道を見出していこうとする姿がとても輝いていた。特にソフィが手話に出会って世界が広がっていく感じがよかった。そして、聾者の中では手話を使う人、口話の人、両方使う人などいろんな人がいて、その使用について、それぞれの考え方や葛藤があるということを知った。
去年3月に開催された第20回大阪アジアン映画祭で、黄修平監督は「聴覚障害がある人たちのコミュニケーションと誇りを作品にした」と語っていたが、聴覚障害をどのように克服して生活するかということに当事者の人たちはこだわりがあるということが伝わり、彼らの心意気を感じられる感動作だった。
この数か月の間に、『みんな、おしゃべり!』『ぼくの名前はラワン』、そしてこの『私たちの話し方』と、聾者が出てきたり、聾をテーマにした映画が公開され、5月にも『幸せの、忘れもの。』という作品が公開される。これらの作品で聾者に対する理解が進み、偏見がなくなっていくといいな(暁)。


公式サイト  https://mimosafilms.com/thewaywetalk/
2024 年/香港/広東語・香港手話/132分/カラー
バリアフリー版制作協力:Palabra株式会社  
字幕協力:大阪アジアン映画祭 配給:ミモザフィルムズ

黄修平監督_第20回大阪アジアン映画祭2025_R.JPG
黄修平監督 第20回大阪アジアン映画祭2025にて 撮影 宮崎暁美
posted by akemi at 20:36| Comment(0) | 香港 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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