大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター(映画流れ者)”を自称する映画監督リム・カーワイ。2025年、15年の時を経て幻のデビュー作『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』が公開され、その圧倒的な構造美が大きな話題となり、特集上映の開催が決定。知られざる無国籍映画一挙10作品が一挙に上映される貴重な機会です。
★リム・カーワイより
日本でサラリーマン生活をやめたのが、31歳。その後、未知の中国大陸で映画界に飛び込み、映画監督に転身した。長編デビューは37歳。「50歳までに長編10本撮る」という理想を持っていたが、できる根拠も基盤もなかった。ただ、やるしかないと思って続けてきた。50歳で、11作目『ディス・マジック・モーメント』が完成して、目標より1本多い11本の長編を世に送り出した。
未来を考えなかったこと、そして多くの人に迷惑をかけ、多くの諒解と協力があった。相変わらず順風満帆とは言えないが、残りの人生も映画と歩もうと思う。
今回の特集上映は、僕にとって今までの人生を賭けたすべてをテーブルに出す、ショーダウンのようなものです。ぜひ、僕の映画に賭けて観てください。
【上映作品】
『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』デジタル・リマスター版(2025/2010)
『マジック&ロス』(2010)
『新世界の夜明け』(2011)
『Fly Me To Minami 恋するミナミ』(2013)
『どこでもない、ここしかない』(2018)
『いつか、どこかで』(2019)
『COME & GO カム・アンド・ゴー』(2020)
『あなたの微笑み』(2022)
『ディス・マジック・モーメント』(2023)
『すべて、至るところにある』(2024)
※全作品英語字幕付き上映
配給:Cinema Drifters 宣伝;大福
公式X:@LKWfilms
リム・カーワイ監督公式X:@cinemadrifter
★2026年3月20日(金)よりシモキタ-エキマエ-シネマ「K2」他、全国順次開催
リム・カーワイ(林家威)
1973年7月28日生まれ、マレーシア出身。大阪大学基礎工学部電気工学科卒業後、通信業界を経て北京電影学院監督コース卒業。卒業後、北京にて『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』(10)を自主制作し、長編デビュー。監督作品に『マジック&ロス』(10)、『新世界の夜明け』(11)、『Fly Me To Minami恋するミナミ』(13)、中国全土で一般公開された商業映画『愛在深秋』(16) 、バルカン半島三部作『どこでもない、ここしかない』(18)、『いつか、どこかで』(19)、『すべて、至るところにある』(23)など。大阪三部作の3作目となる『COME & GO カム・アンド・ゴー』(20)は、東京国際映画祭でも上映され大きな話題になった。実在の映画監督渡辺紘文を主人公に、全国のミニシアターを行脚するロードムービー『あなたの微笑み』(22)は、日本に続き香港でも劇場公開し話題となった。日本全国のミニシアター22館をインタビューした映画『ディス・マジック・モーメント』(2023年11月25日公開)など、近年はドキュメンタリー映画も手掛けている。
香港、大阪、中国、バルカン半島などで映画を製作、国籍や国境にとらわれない創作活動を続け、東京、大阪、台湾、ニューヨークのアート系劇場で特集を組まれるなど、その活動は国内外から注目されている。「2021香港インディペンデント映画祭」主催者、「香港映画祭2021/2022」、2024年より「台湾文化センター台湾映画上映会」キュレーター、香港映画『星くずの片隅で』(22/ラム・サム監督)、『香港の流れ者たち』(21/ジュン・リー監督)の配給を手掛けるなど、映画監督以外でも活動の場を広げている。
【boid paper vol.3】リム・カーワイ特集
リム・カーワイがその生い立ちから現在までと15年間に11作という驚異の映画作りの裏側を語る超ロング・インタビューを中心に、さまざまな筆者がそれぞれのリム・カーワイを書き尽くす大特集。
3月20日発売/予価 1800円/A5サイズ96ページ予定
公開劇場およびboidオンライン・ショップにて販売予定。
◆上映作品 詳細◆
『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』デジタル・リマスター版
(C)cinemadrifters
出演:大塚匡将、ゴウジー(狗子)、ホー・ウェンチャオ(何文超)
監督・脚本:リム・カーワイ
撮影:メイキン・フォン・ビンフェイ 録音:山下彩 編集:奥原浩志、Phillip Lin 美術:Amanda Weiss 音楽:Albert Yu
2025/2010/マレーシア・中国・日本/98分
≪STORY≫
10年ぶりに故郷に帰ってきたア・ジェ。
しかし、家族でさえ彼の存在を知る者はいない─
唯一ア・ジェを覚えているのは、レストランの店主ラオ・ファンだけだ。ラオ・ファンに連れられ、秘密の鍵を握る男に会いに行くが、ア・ジェは殺人の濡れ衣をきせられ処刑されてしまう…。
死んだはずのア・ジェが、再び街に戻ってきた。空虚な日常を生きるラオ・フアンは、過ぎし日々に思いを寄せる。町に起こる奇怪な事件をきっかけに、彼らは新しい人生を手に入れられるのか─
第一部で自己の存在についての恐怖と疑いを、第二部で退屈な日常生活からの逃避を、空想と幻想を通して描かれていく。
二つの異なった視点で世界を覗いたとき、観客は自然と白昼夢に引き込まれていく─
シネジャ作品紹介
『マジック&ロス』
(C)cinemadrifters
出演:杉野希妃、キム・コッピ、ヤン・イクチュン
監督・編集・構成&プロット・原案:リム・カーワイ
撮影:メイキン・フォン・ビンフェイ 音楽:Jo Keita
2010/日本・韓国・マレーシア・香港・中国・フランス・アメリカ/81分
≪STORY≫
香港のムイウォという妖しいリゾート地で共に旅することになった2人、日本人のキキと韓国人のコッピは、島の不思議な力に取り憑かれ、いつしか奇妙な関係に陥っていく。ムイウォは、文明から孤立し時間が止まってしまったような魅力がある一方、そこにある滝は多くの人が身を投げる自殺の名所とも言われている。リム・カーワイ監督はたった3人の俳優の関係と表現力によって、個のあいまいさ、生と死の境界を描く多重的な物語を築き上げた。誰が実在するのか、何が現実で何が幻影なのか、謎が謎を呼ぶ。
『新世界の夜明け』
(C)cinemadrifters
出演:史可(シー・カー)、小川尊、宮脇ヤン、友長えり、友長光明、安藤匡史
監督・脚本・編集:リム・カーワイ
撮影:加藤哲宏 美術:塩川節子 録音・整音:宮井昇 照明:福田良夫 音楽:albert Yu
2011/日本・中国/93分
≪STORY≫
北京に暮らす若い女性ココは、日本の洗練された都会的なクリスマスに憧れ大阪にやってくるが、辿り着いたのは想像していたメトロポリタンな日本とは遠くかけ離れた雑多な繁華街の大阪・新世界。言葉の通じない異国の地で、てんやわんやの騒動に巻き込まれていく。
中国や香港、日本、マレーシアなどアジアの国境をまたいで活躍するリム・カーワイ監督が、異邦人の目を通して日本の今を笑いを交えて描いた無国籍ドラマ。
『Fly Me to Minami 恋するミナミ』
(C)cinemadrifters
出演:シェリーン・ウォン、小橋賢児、ペク・ソルア、竹財輝之助、藤真美穂、石村友見
監督・編集・脚本:リム・カーワイ
撮影:加藤哲宏 録音:山下彩 美術:塩川節子
2013/日本・シンガポール/106分
≪STORY≫
言葉、国籍を超えた、二つの異なるラブストーリーは運命の悪戯で大阪・ミナミで集結し、すれ違い、そして交差する…。香港でファッション誌の編集者として働くセリーンは、取材のため年末にミナミを訪れる。しかしカメラマンが急きょ同行できなくなり、現地通訳ナオミの弟である大学生タツヤを雇うことに。一方、キャビンアテンダントの仕事をしながら洋服を仕入れ、ソウルでセレクトショップを経営するソルアには、シンスケという日本人の恋人がいたが…。
『どこでもない、ここしかない』
(C)cinemadrifters
出演:フェルディ・ルッビシ、ヌーダン・ルッビシ、ダン、アンニャ・キルミッスイ
監督・編集:リム・カーワイ
撮影:北原岳志 録音:山下彩 音楽:Lantan
2018/スロベニア・マケドニア・マレーシア・日本/90分/
≪STORY≫
バルカン半島で暮らすトルコ人夫婦の物語。妻に逃げられた男の物語を軸に、東ヨーロッパで現地の人びとと即興で作り上げた異色ドラマ。バルカン半島・スロベニアの首都リュブリャナ。近年の観光と不動産ブームは、ゲストハウスとアパートメントを経営するフェデルに経済的な成功をもたらした。イスラム教徒でありながら、ゲストハウスに宿泊した女性や知人の彼女にまで手を出す女癖が悪いフェデルに、妻のヌーダンは愛想を尽かして家を出て行ってしまう。ようやく妻の大切さに気付いたフェデルは、ヌーダンを取り戻すためにマケドニアの田舎町へ向かうが……。
シネジャ作品紹介
『いつか、どこかで』
(C)cinemadrifters
出演:アデラ・ソー(蘇嘉慧)、カタリナ・ニンコヴ、ピーター・シリカ、ホスニー・チャーニー、マティ・ミロサヴリェヴィッチ
監督:リム・カーワイ
2019/セルビア・クロアチア・モンテネグロ・マカオ・日本・マレーシア/81分
≪STORY≫
マカオ人女性アデラは、自分が寄付した、亡くなった彼氏が残したスマホの展示を観るために、クロアチアにある「別れの博物館」を訪れる。その後、インスタグラムで知り合ったセルビア人のアレックスに会うために、ベオグラードに向かう。しかし、アレックスがいっこうに現れない。アレックスの到着を待っている間、アデラは見知らぬ土地で、自分の生まれた国とは違う、歴史や文化を持つ人々との非日常的な出会い、ささやかな冒険を通じて知らない世界を知り、新たな自分を発見する。最後にアレックスがようやく現れ、アデラはアレックスから予想外の結果を知らされるが、バルカン半島の旅は続く。
あるアジア人女性バックパッカーがクロアチア、セルビア、モンテネグロを旅をする中で、バルカン半島の複雑な歴史に翻弄されながらも前向きに普通に暮らしている人々の生活を知る。そして、いま世界が置かれている現状が浮かび上がる。
シネジャ作品紹介
『COME & GOカム・アンド・ゴー』
(C)cinemadrifters
出演:リー・カーション、リエン・ ビン・ファット、J・C・チー、モウサム・グルン、ナン・トレイシー 、ゴウジー、イ・グァンス、デイヴィッド・シウ、千原せいじ、渡辺真起子 、兎丸愛美 、桂雀々、尚玄、望月オーソン、天人純
監督・脚本・プロデューサー:リム・カーワイ
撮影:古屋幸一 録音:松野泉 美術:藤原達昭 音楽:渡邊崇
2020/日本・マレーシア/158分
≪STORY≫
大阪を中心に活動しながらアジアやヨーロッパなど世界各国を舞台に映画を撮影している中華系マレーシア人のリム・カーワイ監督が、「新世界の夜明け」「恋するミナミ」に続いて大阪を舞台に描いた群像劇。通称「キタ」と呼ばれる大阪の繁華街で生きるアジア人たちの人生を描く。春のある日、大阪のキタにある古びたアパートの一室で白骨化した老女の死体が発見された。警察は捜査を開始し、アパート周辺で聞き込みを続けるが、孤独死なのか、あるいは財産がらみの謀殺なのか、さまざまな噂が飛び交っていた。同じころ、中国・台湾・韓国の観光客、マレーシアのビジネスマン、ネパールの難民、ミャンマー人留学生、ベトナム人技能実習生など、キタにやってきた外国人たちと、彼らと日常を共有する日本人たちの間に、さまざまな出来事が起こっている。やがて事件の捜査が終わるとき、人びとは新たな人生の岐路を迎える。ツァイ・ミンリャン作品の常連として知られる台湾のリー・カンション、ベトナム映画「ソン・ランの響き」のリエン・ビン・ファットのほか、アジア各国のキャストが参加し、日本からは千原せいじ、渡辺真起子、兎丸愛美、尚玄らが出演。
シネジャ作品紹介
『あなたの微笑み』
(C)cinemadrifters
出演:渡辺紘文、平山ひかる、尚玄、田中泰延
監督・脚本・編集:リム・カーワイ
撮影:古屋幸一 録音:中川究矢、松野泉 音楽:渡辺雄司 サウンドデザイン:松野泉
2022/日本/100分
≪STORY≫
何もない栃木の田舎町で、くすぶり続ける“世界の渡辺”こと映画監督の渡辺紘文。ある日、世界的映画監督”KOREEDA”の代打で沖縄での映画制作の話が舞い込む。久々の映画制作に浮足立つ渡辺が沖縄に向かうが、結局映画の話は流れてしまう。仕事を失った渡辺は、ひとり映画館へ足を運ぶ。
「すみません。映画監督の渡辺紘文という者なんですが、自分の映画を上映してもらえる劇場を探しています。」
自分の映画を売り込みに沖縄から北海道まで、ミニシアター行脚にでるも、誰も“世界の渡辺”を知らない…。
遂に日本最北端の映画館・大黒座に行きついた “世界の渡辺”は、映画を愛する人たちと出会い、何を見つけるのか――。
シネジャ作品紹介
『ディス・マジック・モーメント』
(C)cinemadrifters
出演:木幡明夫(テアトル梅田)、景山理(シネ・ヌーヴォ)、志尾睦子(シネマテークたかさき)、石橋秀彦、田中亜衣子(豊岡劇場)、上野迪音(高田世界館)、木全純治(シネマスコーレ)、上野克(シネモンド)、樋口裕重子(ほとり座)、井上経久(シネ・ウインド)
監督・脚本・編集・ナレーション:リム・カーワイ
撮影:大窪竜司 録音:山下彩 音楽:石川潤
2023/日本/90分
≪STORY≫
世界でも有数の“独立系ミニシアター大国”である日本には、家族経営、クリーニング店兼映画館、市民がつくる映画館、文化財として観光名所になった映画館など、多種多様なミニシアターが存在する。カーワイ監督は全国各地22館のミニシアターを訪ね、劇場を支える人たちの思いに耳を傾けていく。解体の決まった沖縄最古の映画館・首里劇場の最後の姿や、火災により全焼した小倉昭和館の再建前の跡地など、貴重な映像も収録。
大阪を拠点に香港、中国、バルカン半島などで映画を制作するマレーシア出身のリム・カーワイ監督が、日本全国のミニシアターを巡ったドキュメンタリー。
シネジャ作品紹介
『すべて、至るところにある』
(C)cinemadrifters
出演:アデラ・ソー(蘇嘉慧)、尚玄
監督・脚本・編集:リム・カーワイ
撮影:ブラダン・イリチュコビッチ 録音・サウンドデザイン:ボリス・スーラン
2023/日本/88分
≪STORY≫
旅行でバルカン半島を訪れたマカオ出身のエヴァは、そこで映画監督のジェイと出会う。その後、パンデミックと戦争が世界を襲い、ジェイはエヴァにメッセージを残して姿を消してしまう。彼を捜すためバルカン半島を再訪したエヴァは、かつて自分が出演したジェイの映画が「いつか、どこかに」というタイトルで完成していたことを知る。ジェイの行方を追ってセルビア、マケドニア、ボスニアを巡る中で、エヴァは彼の過去と秘密を知る。
大阪を拠点に国境と言葉を越えて映画を撮り続けるマレーシア出身のリム・カーワイ監督が、「どこでもない、ここしかない」「いつか、どこかで」に続いて制作したバルカン半島3部作の完結編。
シネジャ作品紹介


