2026年05月17日

ヴィヴァルディと私  原題:RIMAVERA

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(C)2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

監督・脚本:ダミアーノ・ミキエレット  
原作:ティツィアーノ・スカルパ 「ヴィヴァルディと私」(河出書房新社刊/中山エツコ訳)
出演:テクラ・インソリア、ミケーレ・リオンディーノ、アンドレア・ペンナッキ

1716年、ヴェネツィアのピエタ院。ここで育ったチェチリアは、貴族に向けての教会での演奏の練習に励みながら、赤ちゃんポストに自分を置き去りにした、姿を知らない母に宛てて手紙を綴る日々をおくっている。
そんな中、ピエタ院にアントニオ・ヴィヴァルディがヴァイオリン教師として赴任する。彼は、卓越したヴァイオリンの技術を持つチェチリアを見出し、第一ヴァイオリンのリーダーに任命する。ヴィヴァルディからの厳しい練習に耐え、ヴァイオリンの腕があがっていくチェチリア。いつしか二人は心を通わせるようになる。
そんな折、ピエタ院が決めたチェチリアの結婚相手である将校がトルコとの戦争から戻り、結婚が迫ったある日、事件が起こる……。

ヴェネツィアの貴族たちに演奏する教会の格子越しに垣間見る外の世界。孤児院で育ったチェチリアは、自分を産み落とした母親がどんな思いで自分を捨てたのか、いつか迎えに来てくれるのかと思いを巡らします。
院から出て外の世界で暮らすには、母親が迎えに来るか、貴族に見いだされ結婚するかしかないのですが、結婚は貴族から院への寄付が前提。お金と引き換えに、後妻として迎えられるケースもあったようです。もちろん本人は処女であることが条件。
ヴィヴァルディがピエタ院でヴァイオリン教師をしていた40年の間に、孤児たちの中で数名の女性ヴァイオリニストは有名になり、人気を博しましたが、本作の主人公チェチリアは架空の人物とのこと。

ヴィヴァルディというと、「四季」の明るく洗練された曲調から、華やかな人生をおくった音楽家だと想像していました。実は、病を患い、極貧のまま亡くなったことを本作を通じて知りました。
幼少期から名手として有名だった父からヴァイオリンを学んでいたヴィヴァルディは25歳で司祭になり、ソナタ集などを出版し、音楽家としての道を歩み、同年、ピエタ院のヴァイオリン教師に任命され、少女たちに音楽を教え、世界最高のオーケストラと賞され、ヨーロッパ各地の貴族や知識人たちを魅了しました。そんなバロック時代を代表する作曲家の一人でありながら、その作品は200年にわたり忘れ去られていて、20世紀初頭、偶然発見された大量の自筆譜によって、ヴィヴァルディへの関心は高まり、 その才能は世界中で再評価されたという次第。
本作は、『ヴィヴァルディと私』という邦題が示すように、ヴィヴァルディという音楽家を通して描いた、孤児として育った女性が自我を求める物語。
全編、ヴェネツィアとローマで撮影されていて、バロック調の豪華なインテリアや服飾と、それとは対照的に質素に暮らす孤児たちの生活の様子がみどころです。もちろん、ヴィヴァルディの音楽も! (咲)

2025年/イタリア・フランス/イタリア語/110分/1.85:1/5.1ch/G 
字幕翻訳:関口英子
後援:イタリア文化会館
配給:彩プロ 
公式サイト:https://vivaldi.ayapro.ne.jp/
★2026年5月22日(金)より、シネスイッチ銀座、ユーロスペース ほか全国順次公開
posted by sakiko at 21:23| Comment(0) | イタリア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

OXANA/裸の革命家・オクサナ   原題:Oxana 

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© 2024 - Rectangle Productions - 2.4.7. Films - Hero Squared - France 3 Cinéma - Tabor Ltd

監督:シャルレーヌ・ファヴィエ
脚本:シャルレーヌ・ファヴィエ、ダイアン・ブラッスール、アントワーヌ・ラコンブルズ
出演:アルビーナ・コルジ、マリア・コシュキナ、ラダ・コロヴァイ、オクサナ・ジュダノワ、ヨアン・ジメル、ノエ・アビタ

情熱と芸術を武器に、裸で世界へ抗った女性〝オクサナ・シャチコ″。
21世紀で最もセンセーションナルなフェミニスト活動団体【FEMEN】を
共同創設し生涯を闘いに捧げた彼女の壮絶な半生を描く、燃える魂の物語

2002年、ウクライナ西部フメリニツキー。
オクサナはアルコール依存症の父とそれを献身的に支える母と暮らし、イコン画を描いて家計を支えていたが、教会からの不当な扱いや男尊女卑が根深い社会の理不尽に耐えきれず、家を飛び出す。
2008年、街頭討論で出会った仲間たちとともにフェミニスト活動団体「FEMEN」を結成。医療過誤による女性患者の死への抗議を皮切りに活動を拡大させる。
2009年、首都キーウでセックスツーリズム撲滅を訴える中、オクサナは注目を集めるため上半身を脱ぎ、身体を「戦闘服」として使う表現にたどり着く。
やがて活動は国境を越え、2011年にはベラルーシ・ミンスクでアレクサンドル・ルカシェンコ政権に抗議し拘束と拷問を受け、モスクワではウラジーミル・プーチンヘの抗議で重傷を負う。
FEMENへの監視と弾圧が激化するなか、オクサナは政治難民としてパリへ逃れる決断を迫られていく……

オクサナは、8歳の時に、普通は男性しか入れないイコンを描くことを学べる学院に入り、若くしてイコンを教会の司祭に売って収入を得ています。洗礼式や結婚式に使うイコンを司祭を通じて引き受けるのですが、依頼者が予定の金額を用意できなかったと言われることも。 父親は、工場が閉鎖されて以来、アルコール依存症が進み、暴力を振るい、家に放火したこともあり、母とオクサナは苦しめられてきました。
母から花をあしらった冠をもらい、首都キーウに向かう列車に乗るオクサナ。
女性解放運動に身を投じるオクサナ。 
「結婚か売春、ウクライナの女性の選択肢は二つ」という悲しい現実。
「身体が武器」と、潔く服を脱ぎ、上半身裸で闘う女性たち。
場面は、亡命したパリでの個展に移り、仲間たちと共同設立した「FEMEN」に、インナという女性が加わってから、何かあったらしく、世間からはオクサナがFEMENを脱退したと思われていることが暗示されます。そして、自ら命を絶つのですが、いったい何がオクサナを追いやったのか? 身体を張って女性の人権のために闘ったオクサナ。 彼女の心境は彼女にしかわからないこと。長生きすれば、その後、どんな闘いを展開したことでしょう。(咲)



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シャルレーヌ・ファヴィエ監督
フランス映画祭2026のオープニングにて 撮影:景山咲子

2024年/フランス・ウクライナ・ハンガリー/103分
配給:スターキャットアルバトロス・フィルム
公式サイト:https://cinema.starcat.co.jp/oxana/
★2026年5月22日(金)より、ヒューマントラスト有楽町ほか全国公開




posted by sakiko at 14:19| Comment(0) | ウクライナ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年05月14日

ニッポン狂想曲

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監督・構成:太田隆文
企画:木村 朗
ナレーション:酒井康行 阪口久美子
出演:山本太郎、大石あきこ、船瀬俊介、小林興起、孫崎尊、原口一博、ピーター・カズニック、鳩山友紀夫ほか

「コロナーワクチン問題」「能登地震と万博の関係」「ワシントン議事堂襲撃事件」「トランプ暗殺未遂事件」「元総理暗殺事件」、大きな事件が続いた日本、世間はニュースに驚愕し、しばらく話題になった。その後、事件の真相や詳細は知らされただろうか? 毎年のように頻発する地震、24年の新年早々震度7を記録した能登半島。立ち直りかけた9月に豪雨が襲った。被災地への支援は迅速で、十分だったのか? 復興が遅々として進まないのはなぜなのか? それらの真相を解明すべく、鹿児島大学の木村朗名誉教授を中心に挑んだドキュメンタリー映画。

「なんだかどこかおかしくない?」と思ったニュースやその後のこと。気になりながらも日々に紛れて上書きされ、いつしか私たちは忘れてしまいます。それらの事件や疑問を様ざまな人に取材し、解き明かしていきます。目からうろこの情報次々と現れます。真実かどうかを判断するのはあくまで自分自身ですが、材料がなければそれもできません。事実が報道されていないとしたら、日本の行き先を想像することさえできません。日本はどこへ向かっているのか、はっきりした時はもう遅い、そんなことにならないよう気にしましょう。(白)

2026年/日本/カラー/105分
制作・配給:青空映画舎
公式 HP https:// nipponkskk.com
公式 X https://x.com/nipponkskk
FACEBOOK https://www.facebook.com/nipponkskk
★2026年5月16日(土)K's cinemaほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 22:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

廃用身

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監督・脚本:𠮷田光希
原作:久坂部羊『廃用身』(幻冬舎文庫)
出演:染谷将太(漆原糾)、北村有起哉(矢倉俊太郎)、六平直政(岩上武一)、瀧内公美(漆原菊子)、廣末哲万、中村映里子、中井友望、吉岡睦雄

ある町のデイケア施設「異人坂クリニック」で、「廃用身(はいよう-しん)」をという治療法が広まっている。漆原院長が考案した“画期的な”治療でAケアと呼ばれている。従来の常識を覆す“身体のリストラ”により、「憑き物がとれたように、身も心も軽くなった」、「厳しい性格が柔らかくなった」と予想外の“好ましい副作用”が現れたという。これを知った編集者の矢倉は漆原院長に著書の執筆を薦める。矢倉にも寝たきりの家族があった。
ところが、ある人物からの内部告発が週刊誌に掲載される。追い打ちをかけるように、患者宅で衝撃的な事件が発生した。

【廃用身】とは:麻痺などにより、回復の見込みがない手足のこと。医師の久坂部羊(くさかべ よう)氏の2003年のデビュー小説が原作。【廃用身】や【Aケア】とは小説の中で使われた造語。
映画化不可能と言われたこの作品を映画化したのは、𠮷田光希監督。ボロボロになるまで読み込んだ原作を脚本化、このほど完成しました。原作者が宛書きしたっけ?と思うほどピタリの配役を得て、映画が生きて動き出しました。染谷じゃなかった漆原医師にまっすぐ見つめられて説明を受けたら、医療従事者として患者の生活をよりよくするためのサービスだと納得して、私もうんと言ってしまいそうです。自分が介護される身だったらなおさら。これが20年も前に書かれていた小説です。今はさらに高齢化が進んでいます。作品内の事件は衝撃ですが、密室になってしまう介護現場では事件が起こっても不思議ではなく、虐待も実際に起きています。
医療の現場はいつも人手不足で、負担も大きいのは事実。いつかこれが現実化するかもしれません。ホラーじゃないんですが、ホラーよりじわじわ怖いと書いておきます。観た方は話したくなるはず。それと自分で死ぬことを選べる尊厳死も議論されなければと思います。今、様々な治療法を試しながら命をつないでいる人や家族の方々には、どう見えるでしょうか?(白)


2026年/日本/カラー/125分
配給:アークエンタテインメント
©2025 N.R.E.
公式サイト:https://haiyoshin.com/
公式X:@Haiyoshin_movie  https://x.com/Haiyoshin_movie
★2026年5月15日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

posted by shiraishi at 21:20| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

チェイサーゲームW 水魚の交わり

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監督:太田勇
脚本:アサダアツシ
出演:菅井友香(春本樹)、中村ゆりか(林冬雨)、岡本望来(林月)、黒谷友香(呂麻美)、伊藤歩(秋野梢)

樹と冬雨は、中学生になった娘・月と3人で静岡県・伊東市で暮らしている。家事や子育て、仕事に追われる日々の中で、共に過ごす時間は少なくなったがいつのまにかそれも「当たり前」に。表向きは穏やかな家庭に見えたが、娘の月は両親の間の空気を敏感に感じ取っていた。
ある日、トラブルに巻き込まれた月は、タクシードライバーの梢に助けられ自宅まで送られてきた。その出会いをきっかけに、樹と冬雨は初めて互いの本音と向き合い、相手に伝えることを疎かにしていたことに気づく。

ドラマ「チェイサーゲームW2 美しき天女たち」から7年後のカップルと娘のストーリー。異性カップルでも同性カップルでも愛情が時間と共に変化し、問題が生じてくるのに違いはありません。家事を担う方が仕事に出ている方においていかれる感覚を持つのも、よくわかります。二人の当たり前になり過ぎた日常に、変化を起こしたのは娘の月と新しい友人となった梢、慣れすぎた家族にも違う空気が流れ込んでくることで新しい発見があります。煮詰まったカップルには、ぜひ新しい空気を。(白)

2026年/日本/カラー/84分
配給:NAKACHIKA PICTURES

https://chasergamew-movie.jp/
★2026年5月15日(金)ほか全国ロードショー



posted by shiraishi at 21:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする