2021年08月29日

その日、カレーライスができるまで

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監督・脚本・編集:清水康彦
原案・脚本:金沢知樹
脚本:いちかわニャー
撮影:川上智之
主題歌:安部勇磨「テレビジョン」(Thaian Records)
出演:リリー・フランキー(健一)、神野三鈴(美津子/声)、中村羽叶(映吉)

土砂降りの中、くたびれた様子の男がアパートに帰ってきた。独り住まいの健一。今日はカレーを作る日だ。薄暗い台所で材料を取り出し、丁寧に調理する。いつも聴いているラジオ番組では、リスナーの「マル秘テクニック」を募集している。ガラケーに文字を打ち込んでみる。「妻の誕生日にカレーを作っています。3日後が、誕生日です…」
心臓病で亡くなった幼い息子・映吉の写真が父を見守っている。

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ほぼワンシチュエーションで、リリー・フランキーの一人芝居。部屋の壁は薄くて、ラジオの音が少し大きいと「うるさい!」と隣人に壁を叩かれます。わびしい住まいの中で、笑顔の息子の写真を眺めながら思い出を反芻しています。子に先立たれた親は後悔に苛まれます。健一は同じ心臓病で苦しんでいる子どもたちのために街頭募金をしているようです。
3日がかりでカレーを作るのは、妻が3日目のカレーが好きだったから。息子が亡くなった後、妻は出て行ってしまいましたが、例年通りにカレーを煮込んでいます。
リリー・フランキーの細やかな表情の変化に目が吸い寄せられます。息子の写真を見ながらだんだん鼻の頭が赤くなり、目がうるんでくるのに釘付けになりました。もらい泣きしたのは言うまでもありません。寂しいばかりでなく、愛聴しているラジオ番組が一役買う嬉しいできごとも起こります。観終わるとカレーが食べたくなること請け合い。
『37セカンズ』(18)の神野三鈴が健一の妻役で声の出演。齊藤工が企画・プロデュース。

併映作品に『HOME FIGHT』。伊藤沙莉、大水洋介(ラバーガール)が兄妹に扮してリモートで会話する短編。軽妙な二人の会話に笑えます。どこまで脚本で、どこからアドリブなんでしょうか?(白)


2021年/日本/カラー/52分  *併映作品あり
配給:イオンエンターテイメント
(C)2021「その日、カレーライスができるまで」製作委員会
https://sonocurry.com/
★2021年9月3日(金)全国公開
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科捜研の女 劇場版

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監督:兼崎涼介
脚本:櫻井武晴
撮影:朝倉義人
音楽:川井憲次
出演:沢口靖子(榊マリコ)、内藤剛志(土門薫)、佐々木蔵之介(加賀野亘)、若村麻由美(風丘早月)、風間トオル(宇佐見裕也)、金田明夫(藤倉甚一)、渡辺いっけい(倉橋拓也)、小野武彦(榊伊知郎)、戸田菜穂(芝美紀江)、斎藤暁(日野和正)、西田健(佐伯志信)、田中健(佐久間誠)、佐津川愛実(秦美穂子)、野村宏伸(佐沢真)、山崎一(宮前守)、長田成哉(相馬涼)、奥田恵梨華(吉崎泰乃)、崎本大海(木島修平)、渡部秀(橋口呂太)、山本ひかる(涌田亜美)、石井一彰(神原勇樹)ほか

京都・洛北医科大学で女性教授が転落した.落下していくのを見てしまった法医学教室の風丘教授が発見者となった。殺人事件を疑うが、証拠もないまま初めは自殺として処理されそうになった。しかし、京都から始まった不審死は、日をおかずロンドン、トロントなど世界各国で同時に発生した。それも科学者ばかりが亡くなっている。悪意を持つ誰かが企んだものなのか?何のために?死者たちに共通するものは何か?科捜研のメンバーは一丸となってこの難事件に立ち向かう。浮上してきたのは帝政大学の微生物学教授の加賀野亘。通称「ダイエット菌」と呼ばれる腸内細菌を発見し、最初の被害者である教授とも会っていた。

1999年から20年以上に渡って放映された人気ドラマ初の映画化。マリコの京都府警科学捜査研究所(略称:科捜研)の新旧メンバーが勢ぞろいして書ききれません。
背景となる京都の秋の風情も美しく、緊迫した事件の間に、ちょっとした遊び心もはさんであります。伊東四朗がカフェでマリコをナンパする老紳士役を粋に演じているほか、現場から実況するアナウンサーに人気声優の福山潤が扮しています。
映画『校庭に東風吹いて』(2016)で小学校の先生を演じた沢口さんを取材させていただきました。若く溌剌とした「藍より青く」(1972年の連ドラ)から拝見していますが、成熟した女性になられてますます美しいのに驚きました。
本作は映画ならではの多くのキャスト、美しいロケ地を舞台に沢口さんも「ある初体験」に挑戦しています。複雑な難事件、縦横に張り巡らせたトリックをマリコたちはどう見抜いていくのか?お見逃しなく。

9月3日の劇場版公開を記念して8月16日~9月10日、テレビ朝日にて番組がリピート放送されています。始まりの第1話からシーズン20までの中からスタッフや各界のファンが選んだベストエピソードまで。番組表を確認してお楽しみください。(白)


子供のころからミステリー小説や探偵小説、SF小説などが好きで文庫本をよく読んでいた。でも、20代~50代くらいまで、そういうのを読んだり、見たりする余裕やチャンスもなく過ごした。しかし、2011年、TVがデジタル方式に移行した時に録画が容易になり、その頃から、この「科捜研の女」や「相棒」を録画しては見るという生活様式(笑)が日課になり、かつて好きだった「事件解決もの」の番組を見るようになった。
工業化学出身ということもあり、その中でも<科学の力で事件を解決する>「科捜研の女」は、私のお気に入り。それにマリコさんの諸突猛進型の事件解決はあっぱれと思い大好き。と言っても、いつもパソコン作業をしながらの「ながら見」なので、画面をしっかり見ることはあまりないし(食事をしながら見ている時だけ)、集中して見ることもほとんどない。それでも、ほとんど毎日録画して見ている。今も数日前に録画した「科捜研の女」を観ながら、この文章を書いている(笑)。そんな私だけど、高校時代、工業化学科だったこともあり、聞いたことのある化学薬品の名前や、化学現象などの名前などが出て来たり、植物にとても興味がある私にとって、事件があった場所の植物の名前や分布などがわかる方法があるんだとか、そんなにいろいろなことが科学でわかるということに驚きの連続。しかし、防犯カメラや科学を使っての事件解決から感じるのは、なんでもかんでも、すぐに事情が見えてしまうんだなと思い、いかに私たちは管理されているかを思う。
それにしても、この番組は20年も続いていると知り驚いた。私が見ているのは、この10年くらい。科捜研のメンバーも、沢口靖子さん以外も変わらないのだろうか。多少の移動や新規参加などは見てきたけど、大きな変更もあったのでしょう。
映画化は初めてのことらしいが、科捜研や警察側のメンバー以外の、いろいろな回でのゲスト出演者も出てきて、その時のキャラクターのまま出ていて、その回のことを思いだしたりした。映画化を記念して、初期の頃の回とか、この映画を観るのに参考になるような作品の上映が何回かあった。そして何より驚いたのはマリコさんはかつて結婚していたということだった。ずっと独身できたのかと思っていたけど、そうではなかった。それも、8月16日くらいの回の放映で出てきて、そうだったんだと思っていたら、この映画でも元夫が出てきて「なるほど!」と思った。映画を観るための下準備の古い作品のTV再放映、結構参考になりました(暁)。


2021年/日本/カラー/ビスタ/108分
配給:東映
(C)2021「科捜研の女 -劇場版-」製作委員会
https://kasouken-movie.com/
★2021年9月3日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 00:49| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

くじらびと

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監督・プロデューサー:石川梵
エクゼクティブ・プロデューサー:広井王⼦
撮影:石川梵、⼭本直洋、宮本麗
編集:熱海鋼⼀、簑輪広⼆
録⾳:Jun Amanto
⾳響:帆苅幸雄
⾳楽:⽥⼤致 *はなおと* 歌:森⿇季

インドネシアの東の島にラマレラ村がある。ガスも水道もない素朴な村に1500人が暮らす。火山岩に覆われた土地は作物が育たず、太古さながらのクジラ漁が村の生活を支えていた。年間10頭獲れれば村人全員が生きていけるという。「ラマファ」と呼ばれるクジラの銛打ち漁師たちは最も尊敬される存在だ。彼らは手造りの小さな舟と銛1本で、命を懸けて巨大なマッコウクジラに挑む。
2018年、ラマファのひとりであるベンジャミンが捕鯨中に命を落とした。人々が深い悲しみに暮れる中、舟造りの名人である父イグナシウスは家族の結束の象徴として、伝統の舟を作り直すことを決意。1年後、彼らの舟はまだ見ぬクジラを目指して大海へと漕ぎ出す。

写真家であり映画監督の石川梵監督の2作目のドキュメンタリー。1991年からこの村を取材、過去の貴重な記録とともに2017年から2019年までの3年間に撮影された映像が本作として結実しています。30年の間に世界も村の生活も変わり、伝統的な漁だけでは暮らしがたちいかなくなっています。石川監督はいつ来るかわからないクジラを待ち、最初のクジラ漁を撮影するまでに4年かかっています。海の上での人間とクジラの闘いは写し取ったものの、何かが足りない。それがクジラの心だと、今度は水中撮影を試みます。よく無事に戻ったこと!また3年。成功した日は大漁でしたが、一人が大怪我をします。漁は命がけなのです。そこまでは2011年発行の新書「鯨人」に書かれています。当時の貴重な映像に、その後のラマレラ村の人々の映像を加えて丁寧に見せているのが本作。新しく作り直された船はクジラに逢えるのでしょうか?
潮風に焼かれたラマファたちの精悍な表情、男たちを支えて働く女たち。屈託ない子供たちの笑顔にラプラック村のアシュバドルやプナムを思い出します。ドキュメンタリーには珍しく、シネコンでの上映です。大きな画面で雄大な海とクジラ漁に出会ってください。

ネパール地震後のラプラック村を撮影した前作『世界でいちばん美しい村』(2017)石川梵監督のインタビュー記事はこちら。(白)


石川梵監督は、映画を撮る前から写真家として素晴らしい写真を撮ってきた。じっくり被写体と向き合い、長い年月をかけて撮ってきた。このラマレラ村のクジラ漁にしても30年近い取材を行うことで村人にとけ込み、彼らの自然な姿を捉えている。
精霊とともに生きる村人たちは「雨ごい」のように、クジラがこの島にやってくるようにと「クジラごい」をする。そして20人くらいしか乗れないような小舟で海に漕ぎ出す。もちろん島人たちはクジラばかりでなく、マンタやサメ、トビウオなども捕る。でも村人たちが生きていくためにはクジラを年に10頭くらいは捕らないと生活していけないらしい。そして島人たちはクジラ漁に出る。そこには漁師を目指す10歳くらいの少年も。村の男たち総出の漁へのデビュー。でも船酔いしてしまったのがなんだか気の毒でもあり可愛かった。
30年の間にカメラの技術は進歩しドローンも出現。この作品ではドローンを結構使っていたけど、海の綺麗さ、クジラたちの動き、島人たちの舟団の姿、配置。動きなども撮影されている。それが作品に躍動感を与えている。舟も手ごきではなく、エンジンで動くものがほとんどに。それでも銛を打ち込む時の躍動感や危険性は変わらない。そういう緊迫感ある漁の光景がたくさん出て来る。
そしてカメラはじっくりと人々の生活を捉える。捕らえた魚たちを捌くシーンは何回も出てきた。クジラを捌くシーンは、対象が大きいだけに圧倒的。取れたクジラの肉や油は、村人で分け合うし、あますところなく全部使うという。
週に1回の市で山の幸と海の幸が交換されたり、教会に通う人々の姿も。90%以上がキリスト教徒だという。こんな離島にまでキリスト教布教に行った人がいたということに驚いた。そして人々は漁を始める前に舟の上で、命をもらう魚たちのために十字を切る。
新しい舟を作るシーンや伝統的な舟の作り方を学ぶ姿も映している。
ベンジャミンが亡くなって1年。あかりを灯したたくさんの紙の舟たち。それはまるで灯篭流しのようだった(暁)。


石川梵監督著作
☆「鯨人 」(集英社新書) 2011/2/17発行
☆「くじらの子」(少年写真新聞社 写真絵本) 2021/5/28発行

2021年/日本/カラー/ビスタ/113分
配給:アンプラグド 配給協力:アスミック・エース
(C)Bon Ishikawa
https://lastwhaler.com/
https://www.instagram.com/kujirabito1/
★2021年9月3日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
posted by shiraishi at 00:12| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年08月22日

ホロコーストの罪人 原題:Den største forbrytelsen 英題:Betrayed  

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監督:エイリーク・スヴェンソン
出演:ヤーコブ・オフテブロ、ピーヤ・ハルヴォルセン、ミカリス・コウトソグイアナキス

ノルウェー警察&市民がホロコーストに加担していた!

1942年10月26日、早朝。まだ薄暗い中、秘密警察を乗せたタクシーが一斉にユダヤ人宅に向かう。その日、ノルウェーに住むユダヤ人全員がオスロ港へと強制連行された。港で待ち構えていたのは、アウシュヴィッツへと向かう船“ドナウ号”だった。

リトアニアからノルウェーに亡命してきたユダヤ人のブラウデ家。次男チャールズは、ノルウェーを代表するボクサーとして活躍し、非ユダヤ人の女性ラグンヒルと結婚し、幸せな日々を送っていた。
1940年4月、ナチス・ドイツがノルウェーに侵攻。ユダヤ人は身分証明書にユダヤ人の印「J」のスタンプが押される。男性はベルグ収容所に連行され、過酷な労働を強制される。ブラウデ家もチャールズと兄イサクに弟ハリー、そして父ヘンツェルの4人が収容所に連行され、家には母サラと、チャールズの妻ラグンヒルが残される。スウェーデンに逃れた姉ヘレーンを追って、母もスウェーデンに逃れることを考えていた矢先、1942年10月26日の朝を迎える・・・

ベルグ収容所にいたチャールズは、「非ユダヤ人の妻に感謝しろ」と、アウシュヴィッツ行きを免れ、生き延びます。本作は、家族を引き離されたブラウデ家に焦点を当てて描いたマルテ・ミシュレのノンフィクションの原作を基に映画化したもの。エイリーク・スヴェンソン監督は、ノルウェー警察や市民がホロコーストに加担していたことを知って、過去のあやまちを知らしめ、今も世界にはびこる人権侵害に目を向けてほしいと警鐘を鳴らしているのです。
なお、事件から70年経った2012年1月、当時のノルウェー・ストルテンベルグ首相は、ホロコーストにノルウェー警察や市民らが関与していたことを認め、政府として初めて公式に謝罪の表明を行っています。
フランスでは、1995年にシラク大統領が、ナチス占領下のヴィシー政権がユダヤ人の強制連行に加担していたことを国家として認めて謝罪しています。
「当時の状況下では仕方なかった」ではなく、二度と過ちを繰り返すことのないよう、映画で描かれた悲劇を胸に刻みたいものです。
もちろん、匿うことで罰せられることも恐れず、ユダヤ人を救った人たちもいて、美談を描いた映画も数多く作られています。本作と同じ8月27日に公開される『沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家』も、後にパントマイムの神様と称えられたマルセル・マルソーが、ナチスに親を殺されたユダヤ人の子どもたちを助けた実話に基づく映画です。併せてご覧ください。(咲)

2020年/ノルウェー/ノルウェー語・ドイツ語/126分/カラー/ビスタ/5.1ch/PG12
日本語字幕:高橋澄
後援:ノルウェー大使館
配給:STAR CHANNEL MOVIES
©2020 FANTEFILM FIKSJON AS. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:https://holocaust-zainin.com/
★2021年8月27日より新宿武蔵野館ほか全国順次公開




posted by sakiko at 13:04| Comment(0) | ノルウェー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家   原題:Resistance

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監督・脚本・製作:ジョナタン・ヤクボウィッツ
出演:ジェシー・アイゼンバーグ、クレマンス・ポエジー、マティアス・シュヴァイクホファー、フェリックス・モアティ、ゲーザ・ルーリグ、カール・マルコヴィクス、ヴィカ・ケレケシュ、ベラ・ラムジー、エド・ハリス、エドガー・ラミレス

1938年、フランス、ドイツ国境に近いストラスブール。アーティストを夢見る青年マルセルは、昼間は精肉店で働き、夜はキャバレーでチャップリンに似せた姿でパントマイムを披露していた。戦争が激化し、親をナチに殺されたユダヤ人の孤児たち123人がストラスブールに疎開してくる。マルセルは、兄アランや従兄弟のジョルジュ、思いを寄せるエマと共に、子どもたちの世話にあたる。悲しみに暮れる子どもたちをパントマイムで和ませるマルセル。
そんな中、フランスでもユダヤ人迫害が激化。マルセルはフランス風にマルソー名乗る。
“リヨンの虐殺者”と恐れられたナチのクラウス・バルビー親衛隊中尉がユダヤ人やその協力者たちを拷問し射殺。それに対し武力で復讐しようという恋人エマに、マルソーは一人でも多くの命を救おうと、ユダヤ人孤児たちをフランスからスイスへと逃がすことを提案する・・・

<パントマイムの神様>と称えられたマルセル・マルソーですが、2007年9月22日にパリで亡くなるまで、第二次世界大戦中にナチスに加担したフランスのヴィシー政権に対するレジスタンス運動に身を投じていた活動内容を自ら語ることはなかったとのこと。没後10年以上の時を経て、マルセルたちがユダヤ人の孤児たちを助けた実話が映画化されました。ジョナタン・ヤクボウィッツ監督は、1978年、ベネズエラ、カラカス生まれのポーランド系ユダヤ人。
マルセルの家族も食事の前のお祈りのあとの「ポーランドでのユダヤ人差別から逃げてきたのに、ヒトラーはいずれフランスにも侵攻してくる」という言葉からポーランド系ユダヤ人だとわかります。
ナチスの侵攻を察知して、ストラスブールのフランス人の多くが南部に疎開する中、マルセルたちは逃げることなく、ユダヤ人の孤児たちを助けたのです。
父に、「芸術に何の意味が?」と尋ねられたマルセルが、「なぜトイレに?」と問い、「体が求めるから」と答える父に、「僕の答えも同じ」という場面があります。そんな父も、歌手になることが夢だったのです。「戦争が終わったら一緒に舞台に立とう」と父はマルセルに語るのですが、父はホロコーストの犠牲になり、夢が叶うことはありませんでした。
戦後、マルセルがどんな思いを抱えて、パントマイムで皆を笑わせていたのかと思うと涙が出ます。人種や宗教で人を差別する風潮は、今また激化しています。差別することなく共生できる世界の実現を願うばかりです。
本作はユダヤ人を救った美談ですが、同じ8月27日公開の『ホロコーストの罪人』は、ノルウェーで警察と市民がホロコーストに加担していたことを暴いた物語です。人は状況次第で善にも悪にもなりえることをずっしり感じます。(咲)


2020 年/アメリカ・イギリス・ドイツ/英語・ドイツ語/120 分/カラー/スコープ/5.1ch
日本語字幕:高内朝子
配給:キノフィルムズ
公式サイト:http://resistance-movie.jp/
©2019 Resistance Pictures Limited.
★2021年8月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほかにて全国ロードショー




posted by sakiko at 12:55| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする