2021年01月02日

甦る三大テノール 永遠の歌声(原題:THREE TENORS VOICES FOR ETERNITY 30TH ANNIVERSARY EVENT)

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出演:ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラス、ズービン・メータ、ニコレッタ・マントヴァーニ、 マリオ・ドラディ、ラロ・シフリン、ポール・ポッツ他

1990年イタリア、ワールドカップ・サッカーの前夜祭として、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスがローマ、カラカラ浴場で伝説のコンサートを開催した。‟三大テノール”のはじまりである。同じ時代に活躍したライバルたちが何をきっかけに同じ舞台で競演を果たし、どのように成功を手にしたのかを紐解いていく。

同じパートを歌う歌手が同じ舞台に立つ。本来ではあり得ない舞台のきっかけは白血病から奇跡の復活を遂げたホセ・カレーラスの舞台にローマ市長が来て「来年W杯を開催するのでコンサートをやってほしい」と頼んだこと。カーラスが「ローマでは10回もコンサートをやっている。何か違うことをやってはどうだろうか」とマリオ・ドラディに相談し、マリオがルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴとの競演を提案したのです。マリオ・ドラディの自宅に保管された貴重な記録写真や映像などもふんだんに使って、選曲から当日のバックステージの様子まで映し出します。多くの放送クルーがW杯に行ってしまっているため、せっかくのコンサートを少人数体制で撮らねばならなかった撮影スタッフの苦労話はここでしか聞けません。
このコンサートは1回だけのはずでしたが、成功がビジネスを引き寄せてしまいます。4年後にはアメリカのドジャースタジアムで再演が行われ、さらにパリ、横浜と続きました。ローマとロサンゼルスでの選曲の違いやどんな有名人が来場したのかも興味深く語られます。
作品では三大テノールコンサートの商業主義について批判的な声もあったことを取り上げていますが、3人の歌声の素晴らしさの前にはその批判は何の意味もないことが伝わってきました。(堀)


2020/ドイツ/ビスタ/94分/英語・イタリア語 
配給:ギャガ
© C Major Entertainment2020
公式サイト:https://gaga.ne.jp/threetenors/
★2021年1月8日(金)よりBunkamura ル・ シネマほか全国順次公開

posted by ほりきみき at 02:26| Comment(0) | ドイツ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年01月01日

スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち(原題:STUNTWOMEN THE UNTOLD HOLLYWOOD STORY) 

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監督:エイプリル・ライト

映画史に残るアクションシーンの裏側に迫る、知られざるスタントウーマンたちのリアルを捉えたドキュメンタリー。息を呑むような名シーンの数々を彼女たちはいかに作りあげてきたのか。彼女たちスタントウーマンたちの日々の鍛錬の様子やスタントウーマンの歴史を通して、ハリウッド映画の最前線で活躍するプロフェッショナル達の姿を映し出す。

映画が今ほどメジャーな娯楽でなかった1910年ころ、ハリウッドでは多くの女性がスタントをしていましたが、映画はお金になるとわかり、その仕事を男性が取って代わっていったそう。ちょっと意外な話からこの作品は始まります。
男性は衣装の下に保護パッドをつけられるけれど、女性は男性に比べて肌の露出が多いため、保護パッドがつけられないという話など、女性ならではの悩みやそれでもスタントが好きで止められない気持ちを先達や現役スタントウーマンたちが赤裸々に語ります。危険な仕事への恐怖から逃げるためでしょう、薬物を使う人もいる話はやっぱりと思いつつ、それによって危険な目にあったジュール・アン・ジョンソンが薬物使用の禁止を主張して仕事を干されたと聞くと憤りを覚えます。
TVシリーズの「空飛ぶ鉄腕美女ワンダーウーマン」(1975〜1979)でワンダーウーマンを演じたリンダ・カーターのスタントや、「チャーリーズ・エンジェル」(1976〜1981)のケイト・ジャクソンのスタントを務めたジーニー・エッパーが70歳を超えた今もスタントがしたいと語る姿にスタントという仕事への愛を感じました。(堀)


2020/アメリカ/84 分
配給:イオンエンターテイメント
© STUNTWOMEN THE DOCUMENTARY LLC 2020
公式サイト:http://stuntwomen-movie.com/
★2021 年 1 ⽉ 8 ⽇(⾦)TOHO シネマズ シャンテほか全国公開
posted by ほりきみき at 02:27| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月30日

ハッピー・バースデー 家族のいる時間(原題:Fete de famill)

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監督・脚本:セドリック・カーン
出演:カトリーヌ・ドヌーヴ(アンドレア)、エマニュエル・ベルコ(クレール)、ヴァンサン・マケーニュ(ロマン)、セドリック・カーン(ヴァンサン)

アンドレアの70歳の誕生日。夫のジャンと孫娘のエマと、いつもは穏やかに暮らしているが今日は特別。長男ヴァンサンの家族が早くからやってきてお祝いの食卓準備をしている。気のいい次男ロマンはまた違う恋人ロジータとカメラを持ってやってきた。家族が揃ったところを映像に残すのだという。クレールから電話が入った。3年前に一人娘エマをアンドレアに預けて出たまま音沙汰がなかった長女だ。
久しぶりに家族が揃い楽しい祝宴になるはずだったが、情緒不安定なクレールの言動が混乱を引き起こす。

カトリーヌ・ドヌーブは、1943年生まれ。『シェルブールの雨傘』(1967年)で有名女優の仲間入りを果たしてから半世紀余り。フランスの大女優としてすっかり貫禄がつきました。近年も『アンティークの祝祭』、是枝裕和監督の『真実』に出演し、いつまでも主役の存在感を見せました。本作でも家族の中心で、めんどくさい長女のクレールをしっかり受け止めて揺るぎません。フランス南西部の陽光、邸宅のインテリアや何気ない衣裳も素敵です。
日本の女優で70代というと吉永小百合、富司純子、松原智恵子、三田佳子、宮本信子、加賀まりこさんたちが思い浮かびますが、みんなが主演とはいきません。つい先日ベテランのハリウッド女優たちの『また、あなたとブッククラブで』が公開されたばかりですが、日本でもぜひ元気なシニアの映画を切望。(白)


フランス南西部の郊外の邸宅に住む母親。長男一家、次男カップルが母親の誕生日を祝いに集まってきます。そこに、3年前アメリカに行ったままだった長女が突然帰ってきます。
感情の起伏が激しく、周りが驚くような行動を起こす長女。飽きっぽく、それなりの年齢にもかかわらず定職についておらず、今は映画監督志望の次男も大人としての分別のある行動が取れません。2人に未熟さを感じます。とばっちりを受ける長男が気の毒になってきます。なぜこんなことになってしまったのだろう…。
何かトラブルが起きても、母親はその問題に正面から向き合ってこなかったことが次第に分かってきます。子どものためと見せて、本当は自分が面倒なことや傷つくことを避けたかったからかも。でも、どんな家族でも多かれ少なかれ同じようなことがあるのではないでしょうか。登場人物たちにイライラしつつも目が離せません。
つけが溜まった主人公一家がどうするのか。ぜひ作品をご覧ください。(堀)


2019年/フランス/カラー/ビスタ/101分
配給:彩プロ、東京テアトル、STAR CHANNEL MOVIES
(C)Les Films du Worso
https://happy-birthday-movie.com/
★2021年1月8日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 19:06| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年12月29日

おとなの事情 スマホをのぞいたら

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監督:光野道夫
原作:映画“Pefettie Sconosciuti”
脚本:岡田惠和
撮影:須藤康夫
音楽:眞鍋昭大
出演:東山紀之(小山三平)、常盤貴子(園山薫)、益岡徹(六甲隆)、田口浩正(園山零士)、木南晴夏(向井杏)、淵上泰史(向井幸治)、鈴木保奈美(六甲絵里)

ある事情で知り合い、毎年食事会を催している三組の夫婦と中年の独身男性。今回も賑やかなパーティでお酒もほどよく回ったころ、一番若い向井杏が「今からスマホをスピーカーにして、届いたメールも公開しよう」と提案する。ほかのみんなは内心ギョッとするものの、作り笑顔でしぶしぶ応じることになった。それからスマホが鳴るたびに戦々恐々。こんなときに限ってかかってくる電話、隠しておきたい秘密がさらされて、楽しいはずのゲームは修羅場と化していった。

イタリアのコメディ映画『おとなの事情』(Perfetti sconosciuti)は2016年制作。日本では翌17年に公開されました。7人の男女が食事会に集い、スマートフォンをテーブルに出してゲームをしようというところは同じ。スマホの機能がどんどん向上し、世界中に普及している今、このドラマは他人事でなかったのでしょう。18か国でリメイクされたとか。各国の暮らしぶりを反映した作品になっているはずで、どれどれと見比べたいものです。日本版は芸達者な俳優陣が集まって、重くなりすぎずにまとまりました。
笑って済むなら良いけれど、これで人間関係にヒビが入ったり後々まで響いたりするなら困ります。秘密がなければいいんですけどね。あなたとあなたのスマホは大丈夫ですか?
スマホだけでなく、パソコンもたくさんのサイトに登録しパスワードを使っています。もし急に倒れたりしたら、本人が使えないのに有料サイトの会費引き落としが続くということもあります。亡くなっても死亡証明書一つではすまないそうで、これはなんとかしなくてはと目下の懸案事項。(白)


セレブな医者夫婦、パラリーガルの夫とパート務めの妻、カフェレストランの雇われ店長の夫と獣医の妻という3組の夫婦と1人の独身男性が集まってテーブルを囲む。結婚間もない獣医妻が夫を信じられなくなり、夫婦間に秘密はあるのかと他の夫婦に疑問を投げ掛けた。
気持ちは分かる。雇われ店長の夫はちょっと女にいい加減そうですから。しかし、夫婦間で秘密は持たないことと、みんなの前でスマホをオープンにするのは意味が違う。他人には言えない夫婦としての秘密もあるはず。と思いながら見ていましたが、誰もそんなことは気にしません。こんなときに限って、この人からこんな連絡が…ということが次々起こり、見ているこちらはほとんどワイドショー感覚。独身男性も含め、パートナーとの関係に亀裂が入ったかのように見せて、それぞれの機微に触れた修復が見事です。特に益岡徹と鈴木保奈美が演じたセレブな医者夫婦は夫婦の絆が深まったかもしれません。
東山紀之が無駄にイケメンで人が良すぎる中年男性を演じているのがとても新鮮!(堀)


2021年/日本/カラー/シネスコ/101分
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
(C)2020 Sony Pictures Entertainment (Japan) Inc. All rights reserved.
https://www.otonanojijo.jp/
★2021年1月8日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:42| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エポックのアトリエ 菅谷晋一がつくるレコードジャケット

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監督:南部充俊
撮影:千葉真一
音楽:青柳拓次
出演:菅谷晋一、ザ・クロマニヨンズ(甲本ヒロト、真島昌利、小林勝、桐田勝治)、THE OKAMOTO’S(オカモトショウ、オカモトコウキ、ハマ・オカモト、オカモトレイジ)、青柳拓次、VLADO DZIHANほか

デザイナーの菅谷晋一は元々大学では建築を学び、卒業後は家業の町工場を手伝った。デザインは全くの独学でどこにも属さず、今もたった一人でものづくりをしている。南部充俊監督は自分の会社のロゴマークデザインを菅谷に依頼している。好きなことを仕事にし20年続けている菅谷の生き方に共鳴して、自ら監督として菅谷に密着した。作品の製作過程を記録したドキュメンタリー。

見覚えのある絵柄にこの人が描いていたのか!と興味深々。技法が多岐にわたっているというのに、アトリエが整然としているのにまずびっくりしました。モノづくりを始めると(私は)周りにあれこれ積みあがったり拡がったり、どんどんモノが増えていってしまいます。菅谷さんは頭の中にすっかりイメージが出来上がっていて、必要なものがすぐに取り出せて無駄がないのでしょう。ああ羨ましい。作っている間中楽しそうで、迷って悩む風もありません。物腰も柔らかく、それでいてきっぱりと納品します。
レコードジャケットは最初に目にする手にできる「情報」で、デザインはとっても大事なんです。ジャケ買いするほど。菅谷さんの一見ヘタウマ風のデザインはすごく印象的です。中身とぴったりで「これ面白そう」な感じがするんですよね。
高校の美術の時間、一度だけレコードジャケットを作りました。いろいろな文字を組み合わせて作った、たった一枚のレコードジャケット、どこへいっちゃったかな。(白)


菅谷晋一さんは絵を描き、オブジェを作り、版画を刷り、写真を撮り、コラージュをし、映像のディレクションまで、ビジュアルをあらゆる手段で表現し、ザ・クロマニヨンズ、OKAMOTO'Sなどのアートワークを手がけてきました。
作品ではザ・クロマニヨンズの13枚目となるアルバム「PUNCH」の制作に密着しながら、本人やこれまで菅谷さんと仕事をしてきたザ・クロマニヨンズとOKAMOTO'Sのメンバー、関係者のインタビューを織り交ぜながら、菅谷さんのアートワークの「つくりかた」を紐解いていきます。
菅谷さんのソフトな話しぶりから穏やかな人柄が伝わってきます。しかし、ザ・クロマニヨンズとOKAMOTO'Sのメンバーが口を揃えて話すには、菅谷さんは捨て案を一切用意せず、自信を持って完成した作品を提出するとのこと。プロとしての矜持を感じます。最新作はボルト2つをデザインしたものですが、なぜボルトなのか。その謎は作品の最後に明らかにされ、菅谷さんの仕事に対する意識の高さを改めて感じました。(堀)


2020年/日本/カラー/96分
配給:SPACE SHOWER FILMS
(C)2020「エポックのアトリエ」製作委員会
https://epok-film.com/
★2021年1月8日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 13:19| Comment(0) | 日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする