2024年10月21日
破墓/パミョ 原題:破墓 파묘
監督・脚本: チャン・ジェヒョン ;
出演, チェ・ミンシク、キム・ゴウン、ユ・ヘジン、イ・ドヒョン
アメリカ、ロサンゼルス。巫堂(ムーダン)のファリム(キム・ゴウン)と弟子のボンギル(イ・ドヒョン)は、裕福な韓国人一家から、代々跡継ぎが謎の病に苦しめられているという相談を受ける。先祖の墓に原因があると推測したファリムたちは韓国に帰国し、墓を良い場所に移し変える「改葬」のためにベテラン風水師サンドク(チェ・ミンシク)と葬儀師ヨングン(ユ・ヘジン)に協力を求める。田舎の山の上にある墓に嫌な気配を感じたサンドクは一度は依頼を断るが、跡継ぎの子の命がかかっているといわれ、多額の謝礼にも惹かれ引き受ける。お祓いをし、改葬に取りかかるが、掘り返した墓には恐ろしい秘密が隠されていた・・・
富豪一族のご先祖には、日本が深く関わっていたらしく、日本人としては、どうにも居心地悪くなってしまいます。日本の将軍らしきオバケが出てくるのですが、それが キム・ミンジュンが演じていたと後から知りました。もう一度観ても、もしかしたらわからないかも。
ユ・ヘジンが葬儀師役で、絶対面白いはず・・・と思っていたのですが、それほど弾けず、神妙な面持ちでした。おまじないに、4人とも顔一面に文字を書いていて、まるで耳なし芳一のよう! なんともおどろおどろしい物語でした。(咲)
第74回ベルリン国際映画祭正式出品
第60回百想芸術大賞 監督賞・主演女優賞・新人男優賞・芸術賞4冠受賞
2024年/韓国/134分
字幕翻訳:根本理恵
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
公式サイト:https://pamyo-movie.jp/
★2024年10月18日(金)より新宿ピカデリー他にて全国ロードショー
2024年10月20日
まつりのあとのあとのまつり まぜこぜ一座殺人事件
監督:齊藤雄基
脚本:エスムラルダ
企画・プロデューサー・キャスティング:東ちづる
撮影:砂原洋一/やまだこうた/新島克則
エンディングテーマ曲:「Get in touch!」
出演:東ちづる、大橋弘恵、ダンプ松本、ドリアン・ロロブリジーダ、桂福点、野澤健、マメ山田、三ツ矢雄二、峰尾紗季、森田かずよ、矢野デイビット、悠以、石井正則、芋洗坂係長、山野海
打ち上げ中、座長の東ちづるの楽屋から悲鳴が響く。座員たちが駆けつけると、そこには首を絞められて息絶えた東の姿。 驚愕する座員と関係者。だが楽屋のフロアのエレベーターは使えず、携帯の電波も遮断されていた。「犯人はこの中にいる」と確信するドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダが、義足のダンサー森田かずよを助手に犯人探しを始める。なぜ?誰が?座長 東に憎しみを抱く者なのか?ドリアンが探る中で、座員、それぞれが抱えていた不満が露わになり、事件は思いがけない展開に!
殺人事件をきっかけに、車椅子ユーザー、発達障害、全盲、ダウン症、聾、こびとなど、特性を活かして活躍するマイノリティパフォーマーたちの本音と疑問、怒りと笑いが爆発する。
映画の冒頭に主演の東ちづるさんが登場して、自身のこれまでの経歴とこの映画について語ります。いろんな活動をしておられるのを知りました。誰も排除しない「まぜこぜ一座」を作ったけれど、夢は「解散」。?と思ったら、まぜこぜが世の中で当たり前になったら、必要なくなるから、と。舞台のダイジェストで、個性的な出演者たちの紹介がひととおり済みました。
ちづる座長の事件で、座員それぞれが自分の想いを口にします。マイノリティ側ではない、プロデューサー、タレント事務所社長、代理店の3人の本音もぽろぽろと吐かれます。表向き、愛想はいいけれど「いつか」とか「でも」ばかり。責任転嫁も上手です。
私や観客の多くもマイノリティ側でなくそちらです。たまたまそちら側になっただけで、歳をとれば誰もがこの先マイノリティに変わっていくはず。けれども当事者にならないとわからないんですよね。両者の境目はあいまいなのに、距離は果てしない気さえします。この乖離がとても痛い。ラストのセリフがグサグサと刺さりました。
マメ山田さんがお元気で、『エゴイスト』挨拶以来のドリアンさんの迫力あるクイーンっぷりが嬉しかったです。(白)
2024年/日本/カラー/92分/バリアフリー日本語字幕・音声ガイド
配給:一般社団法人Get in touch
配給協力:ポニーキャニオン
(C)2024一般社団法人Get in touch
★2024年10月18日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷/キネカ大森ほか全国順次公開
The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。
監督:新山正彰
ナレーター:花江夏樹
出演:上地結衣
2022年、空港から欧州遠征に向かう上地結衣の姿からドキュメンタリーが始まる。彼女は先天性の病気のため成長と共に歩行が難しくなり、11歳で車いすテニスを始めた。高校3年生でパラリンピックに出場し、卒業後プロの世界に転向。20歳で世界ランキング1位を獲得。2017年、各地のオープンで優勝して年間王者となった。しかし上地にはどうしても勝てないライバルが現れる。オランダのディーデ・デフロート選手、上地は最後まで戦って最後に敗れる。金メダルにあと一歩で届かない。いつも2位だ。
上地は負けず嫌いだ。どうして勝てないのか? 練習方法を変え、ついに車椅子の改造を始めた。
2024年8~9月に開催されたパリ2024パラリンピック競技大会、あのメダルラッシュはまだ記憶に新しいですよね。どの選手も目標を掲げ、努力し続けてそこまでやってきています。きっと共通しているのは、「負けず嫌い」なことなのではないでしょうか。
なかでも「世界一、負けず嫌い」と自認する車いすテニスプレイヤー上地結衣さん、その筋金入りの雄姿をご覧ください。女子シングルス・ダブルスで金メダルを獲得するまでの、コツコツと積み上げてきた日々に密着したドキュメンタリーです。コーチや車椅子のエンジニア、さらに引退を発表した大先輩 国枝慎吾さんも彼女の力になります。連敗にめげず立ちはだかる壁を越えていく姿は、どんなスポーツ、職種を問わず憧れのまととなるでしょう。車椅子を自在に操り、笑顔で挑戦し続ける上地さんに、たくさんパワーをいただきました。(白)
2024年/日本/カラー/74分
配給:日活
(C)2024「The Break 世界一、負けず嫌いのテニスプレイヤー、上地結衣。」製作委員会
https://yuikamiji-movie.com/
★2024年10月18日(金)ほか全国ロードショー
恋するピアニスト フジコ・ヘミング
監督・構成・編集:小松莊一良
撮影監督:藤本誠司
録音・整音:井筒康仁
出演・音楽:フジコ・ヘミング
スウェーデン人の画家で建築家の父のジョスタ・ゲオルギー・ヘミングと、ピアニスト・大月投網子の間に生まれる。5歳からピアノを始め、東京藝大を卒業後、28歳でドイツ留学、ヨーロッパでキャリアを積む。リサイタル直前に風邪をこじらせて聴力を失い、治療しながらピアノを弾き続けた。
1999年にNHKで放映されたドキュメンタリー「フジコ~あるピアニストの軌跡~」が大きな反響を呼ぶ。同年発売のファーストアルバム「奇跡のカンパネラ」が200万枚以上の売上げを記録、クラシック界では異例のことで注目を集めた。
2018年、小松莊一良監督のドキュメンタリー映画『フジコ・ヘミングの時間』が公開。ロングランヒットとなる。その後、90代に入っても精力的に演奏するフジコさんの飾らない姿を撮り続けた第2弾がこの作品。
2024年4月21日、フジコ・ヘミングさんが亡くなられました。享年92歳。私もフジコブームが起こったころ、初めて知りました。60代を過ぎて花開いた遅咲きのピアニストは、志半ばであきらめずに挑戦する人をどんなにか力づけたことでしょうか。
音楽には詳しくない私でも聞き覚えのある曲を楽しそうに弾く様子や、一風変わった衣裳に目がひきつけられました。着物をアレンジしたもので、スカーフは帯揚げ、髪飾りなどアクセサリーもフジコ流です。大好きなものを身にまとって、軽々と名曲の数々を披露するフジコさんはとても輝いています。
いくつになっても純粋な少女のような心を持っていたフジコさんが、大好きなパリで好きなものに囲まれて暮らした日々が残されています。たくさん描かれた絵も愛らしいです。あのお部屋がどこかに再現されていたら、ぜひお邪魔して一つ一つをゆっくり見せていただきたい…(白)
『フジコ・ヘミングの時間』を観て、フジコ・ヘミングさんが家にこだわりをお持ちであることを知りました。本作でも、そのことが大いに語られています。1889年に建てられたパリ・マレ地区のアパルトマン、アメリカ西海岸サンタモニカの風情のある家、壊されそうになった京都の町家も購入して救っています。どれも自分の死後も残してほしいという思いをお持ちでした。どのように今後保存されていくのでしょう。フジコ・ヘミングさんの愛した家具や蒐集品とともに、公開されれば嬉しいです。
戦争中、フジコ・ヘミングさんが疎開した岡山県総社市美袋(みなぎ)で弾いたピアノは、保管されていた小学校が廃校になって、捨てられそうになったところ、フジコ・ヘミングさんが有名になったお陰で命拾い。2022年5月の総社の小学生たちとの演奏会には、ほろっとさせられました。
10年以上前に、国際交流基金の授賞式のレセプションだったと思うのですが、一度だけフジコ・ヘミングさんの生演奏を聴いたことがあります。情感たっぷりで迫力もあって聴き惚れました。私も小学生の頃からピアノを習って、中高校生の頃には、今回の映画の中に出てきた曲のいくつかを弾いたことがあります。こんな風に弾くものだったのだと、楽譜だけを追っていた私は恥じ入るばかりです。
今は先に旅立たれたご両親や愛猫や愛犬に迎えられて、幸せな時を過ごされていることと思います。ご冥福をお祈りいたします。(咲)
2024年/日本/カラー/119分
配給:東映ビデオ
©2024「恋するピアニスト フジコ・ヘミング」フィルムパートナーズ
公式サイト https://fuzjko-film.com/
公式X(旧Twitter) @Fuzjko_film
★2024年10月18日(金)新宿ピカデリーほか全国公開中
2024年10月18日
国境ナイトクルージング 原題:燃冬 英題:The Breaking Ice
10月18日(金)新宿ピカデリーほか全国公開
Ⓒ 2023 CANOPY PICTURES & HUACE PICTURES
『イロイロ ぬくもりの記憶』(爸媽不在家2013)、シンガポールの陳哲藝(アンソニー・チェン)監督最新作
監督・脚本:陳哲藝(アンソニー・チェン)
出演:
ナナ 周冬雨(チョウ・ドンユイ)『少年の君』
ハオフォン 劉昊然(リウ・ハオラン)
シャオ 屈楚蕭(チュー・チューシアオ)
日本語字幕:本多由枝
やり場のない寂しさに閉じこめられた若者たち
偶然の出会いが孤独な魂をリスタートさせる
母のプレッシャーに心を壊したエリート社員。オリンピック出場を断念した元フィギュアスケーター。勉強が苦手で故郷を飛び出した料理人。挫折感を抱え、閉塞感の中で生きる3人が、中国と北朝鮮の国境の街、延吉で出会った。磁石のように引き寄せられ、数日間を過ごす。極寒の延吉をクルーズするうちに孤独がほどけていった。国境沿いの凍てついた街で偶然出会った3人の男女の5日間を描いた。
選ばれた地は中国東北部、吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉。北朝鮮と国境を接していて、中国と朝鮮の文化が混ざり合う都市。漢字とハングルが混じり合う異国情緒豊かなネオンサインは夜の延吉名物で、本編にも収められている。中国と北朝鮮との国境を流れる豆満江(とまんこう)を渡り、北朝鮮から密入国する人も多く、脱北者が身を潜めて暮らす都市でもある。
ストーリー
友人の結婚式に出席するため、冬の延吉を訪れたハオフォン(リウ・ハオラン)。披露宴が終われば、翌朝のフライトまで予定はない。観光ツアーに参加したら、スマートフォンを紛失。観光ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)がお詫びにハオフォンを夜の延吉に連れ出した。男友達のシャオ(チュー・チューシアオ)も合流し、飲み会は盛り上がり、ナナの部屋にまでなだれ込んで朝方まで飲み明かした。
翌朝、ハオフォンは寝過ごし、上海に戻るフライトを逃し途方に暮れる。運に見放されたハオフォンだが、逆に心は開放された気分になり、シャオの提案で3人はバイクに乗り、国境クルージングに出掛ける。雪山と冷たく澄み切った空の中、凍った川の向こうに広がる隣国を眺めながらクルージングは続く。極寒の延吉をクルーズするうちに3人は少しづつ絆を深めてゆく。
アンソニー・チェン監督
1984年生まれ。シンガポール出身の脚本家、監督、プロデューサー。2007年に短編映画『AH MA(原題)』でシンガポール人として初めてカンヌ国際映画祭で特別賞を受賞。長編デビュー作『イロイロ ぬくもりの記憶』(2013年)はカンヌ国際映画祭カメラドールを受賞したのを皮切りに、第14回東京フィルメックスで観客賞を受賞、台湾金馬奨では、作品賞・新人監督賞・助演女優賞・脚本賞の4冠に輝き、世界の映画祭を席巻した。 2作目の『熱帯雨』(2019年)はトロント国際映画祭でプラットフォーム賞にノミネートされ、東京フィルメックのコンペ部門に出品。続く、長編3作目『DRIFT(原題)』は、初の英語作品であり、2023年のサンダンス映画祭でプレミア上映された。『国境ナイトクルージング』は初の中国語作品である。
公式HP https://kokkyou-night.com/
2023年/中国・シンガポール/中国語・一部韓国語/100分/1:2.00/5.1ch/
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
Ⓒ 2023 CANOPY PICTURES & HUACE PICTURES
『イロイロ ぬくもりの記憶』(爸媽不在家2013)、シンガポールの陳哲藝(アンソニー・チェン)監督最新作
監督・脚本:陳哲藝(アンソニー・チェン)
出演:
ナナ 周冬雨(チョウ・ドンユイ)『少年の君』
ハオフォン 劉昊然(リウ・ハオラン)
シャオ 屈楚蕭(チュー・チューシアオ)
日本語字幕:本多由枝
やり場のない寂しさに閉じこめられた若者たち
偶然の出会いが孤独な魂をリスタートさせる
母のプレッシャーに心を壊したエリート社員。オリンピック出場を断念した元フィギュアスケーター。勉強が苦手で故郷を飛び出した料理人。挫折感を抱え、閉塞感の中で生きる3人が、中国と北朝鮮の国境の街、延吉で出会った。磁石のように引き寄せられ、数日間を過ごす。極寒の延吉をクルーズするうちに孤独がほどけていった。国境沿いの凍てついた街で偶然出会った3人の男女の5日間を描いた。
選ばれた地は中国東北部、吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉。北朝鮮と国境を接していて、中国と朝鮮の文化が混ざり合う都市。漢字とハングルが混じり合う異国情緒豊かなネオンサインは夜の延吉名物で、本編にも収められている。中国と北朝鮮との国境を流れる豆満江(とまんこう)を渡り、北朝鮮から密入国する人も多く、脱北者が身を潜めて暮らす都市でもある。
ストーリー
友人の結婚式に出席するため、冬の延吉を訪れたハオフォン(リウ・ハオラン)。披露宴が終われば、翌朝のフライトまで予定はない。観光ツアーに参加したら、スマートフォンを紛失。観光ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)がお詫びにハオフォンを夜の延吉に連れ出した。男友達のシャオ(チュー・チューシアオ)も合流し、飲み会は盛り上がり、ナナの部屋にまでなだれ込んで朝方まで飲み明かした。
翌朝、ハオフォンは寝過ごし、上海に戻るフライトを逃し途方に暮れる。運に見放されたハオフォンだが、逆に心は開放された気分になり、シャオの提案で3人はバイクに乗り、国境クルージングに出掛ける。雪山と冷たく澄み切った空の中、凍った川の向こうに広がる隣国を眺めながらクルージングは続く。極寒の延吉をクルーズするうちに3人は少しづつ絆を深めてゆく。
アンソニー・チェン監督
1984年生まれ。シンガポール出身の脚本家、監督、プロデューサー。2007年に短編映画『AH MA(原題)』でシンガポール人として初めてカンヌ国際映画祭で特別賞を受賞。長編デビュー作『イロイロ ぬくもりの記憶』(2013年)はカンヌ国際映画祭カメラドールを受賞したのを皮切りに、第14回東京フィルメックスで観客賞を受賞、台湾金馬奨では、作品賞・新人監督賞・助演女優賞・脚本賞の4冠に輝き、世界の映画祭を席巻した。 2作目の『熱帯雨』(2019年)はトロント国際映画祭でプラットフォーム賞にノミネートされ、東京フィルメックのコンペ部門に出品。続く、長編3作目『DRIFT(原題)』は、初の英語作品であり、2023年のサンダンス映画祭でプレミア上映された。『国境ナイトクルージング』は初の中国語作品である。
公式HP https://kokkyou-night.com/
2023年/中国・シンガポール/中国語・一部韓国語/100分/1:2.00/5.1ch/
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム