2026年02月01日
射鵰英雄伝(原題:射鵰英雄伝 侠之大者)
監督:脚本:ツイ・ハーク
原作:金庸
出演:シャオ・ジャン(郭靖)、ジュアン・ダーフェイ(黄蓉)、レオン・カーフェイ(欧陽鋒/西毒)、フー・ジュン(洪七公/北乞)、チャン・ウェンシン(コジン)、バヤルトゥ(チンギス・ハーン)、アールナー(トゥルイ)、エイダ・チョイ(リペイ/郭靖の母)、ウー・シンクォ(一灯大師/南帝)
北宋末期、金の侵攻により国は滅び、南宋が建国されるも屈辱の従属を強いられていた。その頃、蒙古ではチンギス・ハーンが勢力を拡大し、金との戦いが激化。蒙古で育った宋人の青年・郭靖は、黄蓉と出会い桃が咲き乱れる桃花島での修行を経て成長していく。いつしか愛し合う二人だったが、陰謀と戦乱が二人を引き裂き、試練が次々と襲う。郭靖は国と民族、そして黄蓉のため、信念の拳で宿命に立ち向かう。
二人は再び巡り合うことができるのか。愛と戦乱が激しく交錯する、切なくも熱い宿命の物語(公式サイトより)
郭靖(かく・せい)は不器用で物覚えは悪いし、進捗も遅い、しかし勤勉、誠実、優しさがそれを補ってあまりある青年です。黄蓉(こう・よう)は「東邪/黄薬師」の娘。利発で人をまとめるリーダーの素質も備わっています。この上なくお似合いの二人が出会い、さまざまな困難に遭いながらも互いを信じ、成長していく物語。香港のドラマをわからないなりに見ながら日本語訳の本の出版を心待ちにしていました。岡崎由美さんの訳で「射鵰英雄伝」「神鵰剣俠」「倚天屠龍記」3部作をわくわくしながら読みました。
ツイ・ハーク監督は製作、脚本、出演とマルチに活躍し、私たち香港映画ファンはおおいに楽しませてもらいました。久々の監督作は監督が大好きな金庸原作、鉄板の武侠映画です。中国ではとてもよく知られた小説ですが、登場人物が多いので新しい香港映画ファンの方々は混乱するかもしれません。私は懐かしさいっぱいで鑑賞しました。もっと詳しく知りたい方は日本語訳の小説やコミックなどもありますので、探してみて。
劇伴に香港の歌手ロマン・タム(羅文)とジェニー・ツェン(甄妮)が歌う名曲「鐵血丹心」、「世間始終你好」が流れます。(白)
2025年/中国/カラー/147分
配給:ツイン
(C)2025 CHINA FILM CO.,LTD.ALL Rights Reserved.
https://shachoeiyuden.com/
★2026年2月6日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
2026年01月31日
神社 悪魔のささやき 原題:신사: 악귀의 속삭임 英題:THE SHRINE
監督:熊切和嘉(『私の男』『#マンホール』)
出演:キム・ジェジュン、コン・ソンハ、コ・ユンジュン、木野花
神戸の山中に佇む廃神社で、日韓文化交流プロジェクトに参加していた大学生たちが忽然と失踪した。その中には、プロジェクトの責任者であるユミ(コン・ソンハ)の妹・ヒジョンも含まれていた。ユミは、大学の先輩で祈祷師のミョンジン(JAEJOONG)に助けを求める。ソウルから神戸に駆け付けたミョンジンは、さっそく失踪事件の調査に乗り出す。二人は地元の牧師ハンジュ(コ・ユンジュン)や、大家の佐藤(木野花)の協力を得ながら手がかりを追うが、事態は思わぬ方向へと向かい、やがて真の恐怖と対峙することとなる・・・・
廃神社で見つけた石像。羅刹天の文字。ヒンドゥー教の鬼神ラークシャサが仏教に取り入れられたもの。キリスト教のサタンとくらべものにならないほどの悪の神だとか。なぜこの廃神社に?
やがて、舞台は地元の韓国人のハンジュ牧師の教会へ。ここもちょっと不思議な場所。
霊感が強くムーダン(祈祷師)となったミョンジンを、鋭い眼のジェジュンが体現していて、彼なら失踪事件の謎を解決してくれそうと期待が高まります。
神戸でオールロケされたとのことで、神戸で生まれ育った私は、どこが出てくるのかと興味津々。海が遠くに見える山間の町には、「長田天神町7丁目」の住居表示。私には残念ながら馴染のないところでした。最後のほうに出てきた高取神社も、長田区の山間部。高台の神社からは、やはり海が遠くに見えて、一度行ってみたいと思いました。(咲)
◆JAEJOONG来日舞台挨拶開催◆
[日程]2月11日(水・祝)
[会場]新宿バルト9
[時間]13:50の回(上映後)、16:40の回(上映前)
[登壇]JAEJOONG、木野花、熊切和嘉監督(予定)
[時間]15:40の回(上映後)、18:30の回(上映前)
[登壇]JAEJOONG、熊切和嘉監督(予定)
2025年/韓国/96分/5.1ch/シネマスコープ
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx-asia.com/jinja/
★2026年2月6日(金)より、新宿バルト9ほか全国公開
ツーリストファミリー(英題:Tourist Family)
監督・脚本:アビシャン・ジーヴィント
撮影:アラヴィンド・ヴィシュワナーダン
音楽:ショーン・ロールダン
編集:バラト・ヴィクラマン
出演:シャシクマール(ダース)、シムラン(ワサンティ)、ミドゥン・ジェイ・シャンカル(ニドゥ)、カマレーシュ・ジャガン(ムッリ)、ラメーシュ・ティラク(バイラヴァン巡査長)、ヨーギ・バーブ(ブラカーシュ)
スリランカからインドに密入国をはかる一家、夫のダース、妻のワサンティ、2人の息子ニドゥとムッリの4人。スリランカでの貧困から抜け出すため非合法な難民となった彼らは、船に乗り闇にまぎれて海岸に到着した。ワサンティの兄ブラカーシュの助けで、チェンナイに住むことになった。ニセの身分証を作り、密入国がバレない様に近所との接触に気をつけろと兄から申し渡され、新生活が始まる。しかし、素朴で気の良い一家は、つい近所とも関わってしだいに溶け込んでいく。そんな中、テロ事件を血眼で追っている警察の捜査の手が彼らに伸びてきた。
スリランカの内戦は26年にもおよび、困窮した人々が隣国のインドへと逃れました。悲惨なストーリーになるのかと身構えましたが、そうではありませんでした。海岸で警察に遭遇した時の次男の対応に笑ってしまい、今後の方向が見えて安心しました。様々な問題が起きてきて、一騒動あるのですが。身分を偽らず、正直に生きたいと願う父親、誰にでも優しく手を差し伸べる母親、ご近所さんたちの対応も変わっていきます。労働力は歓迎しながらも、難民受け入れには厳しい日本を顧みると、こうなったらいいのにと思ってしまいます。
監督・脚本のアビシャン・ジーヴィント、記念すべき長編デビュー作です。それまではyoutuberとして、短編の動画を発表して好評だったそうですが、映画業界の経験はないとか。それなのにこのデビュー作ができちゃうんですね!2作目が待たれます。監督はダース一家の近所で迷惑がられている酒浸りの青年役で出演もしています。もう一つ注目なのは、ダースやワサンティの使うスリランカなまりの言葉。字幕担当の方が苦心されたのでしょう。こんな風に聞こえるのか!と、とても面白かったです。日本の方言も外国ではなんと訳されるのか、気になるところです。(白)
チェンナイは、タミル・ナードゥ州の州都で、英領インド時代マドラスと呼ばれていた都市。タミル・ナードゥ州の公用語はタミル語。スリランカからやってきたダースたち一家はタミル語が母語なので、言葉の面であまり苦労せずに済みそうですが、基本は同じながら表現や語彙が違うのでしょう。スリランカから来たとは言えないので、お隣りのケーララ州から来たことにするのですが、わかる人にはスリランカ訛りのタミル語とわかるのですね。そこが、この物語の大事なポイント。
ダースたちが住むことになった家の大家さん一家、ダースが運転手として試用されることになった金持ちのリチャード氏、ご近所の仲睦まじい老夫婦等々、まわりの登場人物も丁寧に描いていて、それぞれに物語があって、なんどもほろりとさせられました。(咲)
2025年/インド/タミル語/シネスコ/カラー/127分
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/touristfamily/
★2026年2月6日(金)シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー
トゥギャザー(原題:TOGETHER)
監督・脚本:マイケル・シャンクス
出演:アリソン・ブリー(ミリー)、デイヴ・フランコ(ティム)
ミュージシャン志望のティムと小学校教師のミリーは長く付き合っているカップル。苦手なものや得意なものが違い、お互いに補完しあってなくてはならないパートナーなのだが、最近は倦怠気味。都会を離れて、田舎の一軒家に引っ越してきたばかりだ。近所の森に散策に出かけ、道に迷って大きな穴に落ちてしまう。そこには不気味な地下洞窟が拡がり、二人は上がるすべもなく一晩を過ごすことになった。
やっと帰宅してからティムの身体に異常が起きる。突然意識が混濁し、身体が暴走してしまう。ミリーは困惑するが、やがて同じ症状が現れてきた。どんなに離れても磁力のように二人は互いにひきつけられ、触れたところが離れなくなる。
いや、びっくり!!ジャンルは身体が変異してしまう”ボディホラー”です。不気味で気持ち悪さがありながら笑えてしまうという不思議な感覚でした。なんでこんなユニークな作品ができたのかと、シャンクス監督のコメントを見ました。監督自身が、パートナーと15年以上一緒で、その経験をベースにして物語を膨らませて展開していったそうです。
演じるアリソン・ブリーとデイヴ・フランコは実際に長年連れ添った俳優カップルで、リアリティも深みも加えてくれたと監督。この作品にもプロデューサーとして参加、おおいに力となったそうです。これはホラー苦手な人も見て楽しめます。カップルにどう働くか、ちょっと想像がつきませんが、お試しください。(白)
2025年/アメリカ、オーストラリア/カラー/101分/カラー/ビスタ/PG12
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
c 2025 Project Foxtrot,LLC
https://together-movie.jp/
★2026年2月6日(金)ほか全国ロードショー
2026年01月30日
ボーイ・ミーツ・ガール 4Kレストア版 英題:Boy Meets Girl
監督・脚本:レオス・カラックス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
美術:セルジュ・マルソルフ
編集:ネリー・ムニエ
録音:ジャン・ユマンスキ
製作:アラン・ダアン
出演:ミレーユ・ペリエ、ドニ・ラヴァン
夢の断片のように美しいモノクロームの映像
夜のパリをさまようアレックスの恋
レオス・カラックスすべての出発点、アレックス3部作の始まり
夜のセーヌ川。幼い少女を抱きながら運転する女性。助手席にはスキーの道具。「出てけというから出てきたの。山へ行くわ」。川べりで数珠を繰る男トマに、「今日は何日?」と尋ね、スカーフを落として去る女。トマのところに来たアレックスが、女の落としたスカーフを拾う。そのアレックスは部屋の壁に描いたパリの地図に、自分のしてきたことを記している。今日は初めての殺人未遂。
失恋したアレックスは、パーティーでミレーユと出会い、お互いの恋について語りあう。1年前、男と暮らすためパリにきたミレーユ。CMモデルになる夢は破れたという。一目でミレーユに心奪われたアレックスはうたた寝する彼女の短く切られた髪を撫でる。明日は兵役につくというアレックス。自分はシネアスト。将来作る映画のタイトルを考えているとミレーユに語る・・・
ドニ・ラヴァン演じるアレックス(カラックスの本名)を主人公とする、カラックスの出発点となる長編デビュー作。
1960年生まれのカラックスが『ボーイ・ミーツ・ガール』(83年)を監督したのは22歳のとき。カンヌ映画祭ではヤング大賞を受賞し「神童(ヴンダーキント)」「恐るべき子供(アンファン・テリブル)」と騒がれ始め、多くの国際映画祭にも招待、85年度シネデクヴェルト(映画発見)賞も受賞。
美男とはいえない、ちょっとゴツい顔だちのドニ・ラヴァン演じるアレックスの恋物語。一度観たら、忘れられない顔。恋には程遠いなんて言ったら失礼だけど、およそ甘い恋物語にはなりそうにないドニ・ラヴァンを、自分の分身ともいえるアレックスに起用したカラックス監督の思いを知りたいです。
その後の、『汚れた血』も『ポンヌフの恋人』も、ドニ・ラヴァンあっての作品。ごつい顔が愛おしくなってくるのも不思議です。(咲)
1983年/フランス/モノクロ/104分
日本語字幕:関美冬
配給:ユーロスペース
公式サイト:https://carax4k.com/
★2026年1月31日(土)よりユーロスペースほか全国公開
◆レオス・カラックス監督 初期傑作4Kレストアで2026年1月より連続公開◆
弱冠26歳でルイ・デリュック賞、ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー賞に輝きカラックスの評価を決定づけた『汚れた血』1月10日(土)~
“ゴダールの再来”とカンヌを沸かせた長編デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』1月31日(土)~
カラックス最大の衝撃作『ポーラX』2月21日(土)~


