日本映画界史上初、アメリカ・ニューヨークのブロードウェイ舞台を特別撮影し、日本語字幕付きで映画館でお届けする「松竹ブロードウェイシネマ」。2017年の特別上映の成功を受け、2019年4月からシリーズ化。そして今回、トニー賞を総なめにした、伝説の傑作ロングラン・ミュージカル3作品を「松竹ブロードウェイシネマ 2025 秋」として、全国順次公開
監督・演出:キャスリーン・マーシャル、 ロス・マクギボン
原作・脚本:P・G・ウッドハウス、ガイ・ボルトン
作詞・作曲:コール・ポーター
出演:サットン・フォスター、ロバート・リンゼイ、フェリシティ・ケンダルほか
大西洋を横断する豪華客船「SSアメリカン号」の出発が間近にせまった。乗り合わせたのはナイトクラブの歌姫リノ、実業家と秘書、大富豪と婚約者、変装した有名な犯罪者とその愛人・・・と多種多彩な旅客たち。勘違いからくる恋のすれ違い、追うFBIと追われる犯罪者、海の上でのドタバタ騒動が続く。
いつも注目され口説かれる歌姫のリノ、ほかの男と違うビリーはてっきり本気だからと誤解してしまいます。ところがビリーには「運命の人」と思ったホープがいました。ボスの秘書として乗船すると、大富豪と婚約したばかりのホープと鉢合わせ。リノは落胆したビリーを友人として励まします。あれやこれやとあった挙句、ラストでは幾組かのカップルができあがります。さて、誰と誰?
ヒロインのリノはほぼ出ずっぱり、どの衣装も着こなし、ヒールで踊ります。ダンスも歌も全力で、笑顔を絶やしません。このリノ・スィーニー役で、2011年トニー賞ミュージカル部門主演女優賞を受賞しました。ブロードウェイでロングランを続けるミュージカルです。
11月14日(金)より『インディセント』、11月28日(火)より『タイタニック』と公開が控えています。お楽しみに(白)
2021年/イギリス/カラー/138分
配給:松竹
(C)Tristram Kenton
(C)BroadwayHD/松竹
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★2025年10月31日(金)より全国順次公開
2025年10月31日
2025年10月30日
てっぺんの向こうにあなたがいる
10月31日(金)全国公開 劇場公開情報
“てっぺん”に挑み続けた女性登山家と家族の物語
監督:阪本順治
原案:田部井淳子「人生、山あり“ 時々”谷あり」(潮出版社)
脚本:坂口理子
製作総指揮:木下直哉
エグゼクティブプロデューサー:武部由実子
プロデューサー:冨永理生子
アソシエイトプロデューサー:椎井友紀子
音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:笠松則通 照明:渡邊孝一 録音:照井康政
美術:杉本亮 編集:普嶋信一
音楽:安川午朗 音響効果:小島彩
製作担当:松田憲一良
出演
多部純子:吉永小百合 多部純子(青年期):のん
多部教恵:木村文乃 多部真太郎:若葉竜也
多部正明(青年期):工藤阿須加
北山悦子(青年期):茅島みずき
新井涼子:和田光沙
岩田広江:円井わん
北山悦子:天海祐希
多部正明:佐藤浩市
1975年、エベレストに女性として初めて登頂した田部井淳子さん。その後、世界七大陸 最高峰を制覇した世界初の女性登頂者でもある。その田部井淳子さんの原作を元にした物語。
1975年、エベレスト日本女子登山隊の副隊長兼登攀隊長として世界最高峰エベレストの女性世界初登頂に挑戦した多部純子。一歩一歩、山頂(てっぺん)を目指して登ってゆく。そして、純子は女性として初の世界最高峰登頂を果たした。世界中を驚かせた輝かしい偉業だったが、純子の山仲間や家族たちに光を与えると共に深い影も落とした。
晩年、がんで余命宣告を受けながらも「苦しい時こそ笑う」と家族や友人、周囲をその朗らかな笑顔で逆に励まし続けた。そして、東日本大地震で被災した東北の高校生を対象にしたプロジェクト「東北の高校生の富士登山」でのシーンも。
人生をかけて山へ挑み続けた。登山家として、母として、妻として、一人の人間として。純子が、最後に「てっぺん」の向こうに見たものとは。
主人公の純子を演じるのは今作で映画出演124本目となる吉永小百合。純子を支える夫正明を演じるのは佐藤浩市。取材から、純子の盟友になった新聞社の記者北山悦子役には、吉永と『最高の人生の見つけ方』以来6年ぶりのタッグとなる天海祐希。青年期の純子役は俳優以外にもアーティスト活動など多方面で才能を発揮するのん。また、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずきなど、実力派の俳優たちが揃った。
監督は、吉永主演の『北のカナリアたち』でメガホンを取った阪本順治。同作以来13年ぶりに吉永とタッグを組んだ。
田部井淳子さんは、生涯で76か国の最高峰・最高地点を登頂。ネパール王国から最高勲章グルカ・ダクシン・バフ賞をはじめ、文部省スポーツ功労賞、日本スポーツ 賞 大賞、朝日体育賞(現在朝日スポーツ賞)など数多く、受賞している。
1970年に登山を始めた私は、1975年5月16日に「エベレスト日本女子登山隊」(久野英子隊長)の田部井淳子さんがエベレスト(標高8848m)に登頂したというニュースを見て、とても誇らしかった。1975年は国際婦人年で、この「女性の活躍」のニュースは世界の女性たちにも勇気を与えた。彼女たちが「女子登攀クラブ」というのを作って、エベレスト登頂を目指しているというのは知っていたけど、まさか登頂できるとは思ってもみなかったのでとてもうれしかった。私自身は山頂登頂が目的ではなく山の自然を楽しんだり撮影したりという登山をしていたので、彼女たちのようなロッククライミングとかサミッターを目指すという山登りの形とは違う山の登り方をしていたけど、こういう登り方をできる方たちはすごいなと思っていた。
登山隊の中で、田部井淳子さんはエベレストのサミッターになれたけど、その他の方は、実力はあったのに天気が左右して登頂には恵まれなかった。田部井さんはユーモアもあり、とても好感度で大好きだったけど、その後「エベレスト日本女子登山隊」として語られなくなり、田部井さんだけが取り上げられ語られていくのを見て、私はどうなんだろうと思っていた。そういうこともあり、仲間たちとの別れがあった。そういうこともこの映画では描かれていてよかったと思う。エベレストに登れたのは、彼女だけの手柄ではないのだから。
夫の協力のこともしっかり描かれていた。そして、私がいつかお会いしたいと思っている北村節子さんのことも描かれていた。最初は新聞記者として取材に行ったけど、一緒にエベレストに行くことになり、その後、田部井さんと親しい山仲間になっていったのですね。そんなこともちゃんと織り込まれていた。
そんな、田部井さんの生きて来た道、やってきたことが描かれていた。最初、吉永小百合さん、のんさんが田部井さんの役?、全然違うイメージなので、どうなんだろうと思ったけど、登山シーンも様になっていたし、相当頑張って山に登ったのだな、彼女たちの努力が素晴らしい。
実は田部井さんには2回会っています。また、2016年、ピースボートで世界一周しようと思った時、田部井さんがゲスト乗船するというので申し込んだのですが、半年くらい前に申し込んだので、船室のことや、オプショナルツアーなども希望のようにいかなくてキャンセルしました。田部井さんが参加できなくなったのも大きな要因でした。彼女はその年の10月20日に亡くなりました。とても残念でした。田部井さんのエベレスト登頂から50年の今年、このことを忘れないためにもこの映画の意味は大きいと思う(暁)。
公式HP https://www.teppen-movie.jp/
2025年製作/130分/G/日本
配給:キノフィルムズ
*シネマジャーナル田部井さん関連記事
『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』公開記念
女性世界初エベレスト登頂者 田部井淳子&エドモンド・ヒラリーの子息 ピーター・ヒラリートークショー
http://www.cinemajournal.net/special/2014/bte/index.html
“てっぺん”に挑み続けた女性登山家と家族の物語
監督:阪本順治
原案:田部井淳子「人生、山あり“ 時々”谷あり」(潮出版社)
脚本:坂口理子
製作総指揮:木下直哉
エグゼクティブプロデューサー:武部由実子
プロデューサー:冨永理生子
アソシエイトプロデューサー:椎井友紀子
音楽プロデューサー:津島玄一
撮影:笠松則通 照明:渡邊孝一 録音:照井康政
美術:杉本亮 編集:普嶋信一
音楽:安川午朗 音響効果:小島彩
製作担当:松田憲一良
出演
多部純子:吉永小百合 多部純子(青年期):のん
多部教恵:木村文乃 多部真太郎:若葉竜也
多部正明(青年期):工藤阿須加
北山悦子(青年期):茅島みずき
新井涼子:和田光沙
岩田広江:円井わん
北山悦子:天海祐希
多部正明:佐藤浩市
1975年、エベレストに女性として初めて登頂した田部井淳子さん。その後、世界七大陸 最高峰を制覇した世界初の女性登頂者でもある。その田部井淳子さんの原作を元にした物語。
1975年、エベレスト日本女子登山隊の副隊長兼登攀隊長として世界最高峰エベレストの女性世界初登頂に挑戦した多部純子。一歩一歩、山頂(てっぺん)を目指して登ってゆく。そして、純子は女性として初の世界最高峰登頂を果たした。世界中を驚かせた輝かしい偉業だったが、純子の山仲間や家族たちに光を与えると共に深い影も落とした。
晩年、がんで余命宣告を受けながらも「苦しい時こそ笑う」と家族や友人、周囲をその朗らかな笑顔で逆に励まし続けた。そして、東日本大地震で被災した東北の高校生を対象にしたプロジェクト「東北の高校生の富士登山」でのシーンも。
人生をかけて山へ挑み続けた。登山家として、母として、妻として、一人の人間として。純子が、最後に「てっぺん」の向こうに見たものとは。
主人公の純子を演じるのは今作で映画出演124本目となる吉永小百合。純子を支える夫正明を演じるのは佐藤浩市。取材から、純子の盟友になった新聞社の記者北山悦子役には、吉永と『最高の人生の見つけ方』以来6年ぶりのタッグとなる天海祐希。青年期の純子役は俳優以外にもアーティスト活動など多方面で才能を発揮するのん。また、木村文乃、若葉竜也、工藤阿須加、茅島みずきなど、実力派の俳優たちが揃った。
監督は、吉永主演の『北のカナリアたち』でメガホンを取った阪本順治。同作以来13年ぶりに吉永とタッグを組んだ。
田部井淳子さんは、生涯で76か国の最高峰・最高地点を登頂。ネパール王国から最高勲章グルカ・ダクシン・バフ賞をはじめ、文部省スポーツ功労賞、日本スポーツ 賞 大賞、朝日体育賞(現在朝日スポーツ賞)など数多く、受賞している。
1970年に登山を始めた私は、1975年5月16日に「エベレスト日本女子登山隊」(久野英子隊長)の田部井淳子さんがエベレスト(標高8848m)に登頂したというニュースを見て、とても誇らしかった。1975年は国際婦人年で、この「女性の活躍」のニュースは世界の女性たちにも勇気を与えた。彼女たちが「女子登攀クラブ」というのを作って、エベレスト登頂を目指しているというのは知っていたけど、まさか登頂できるとは思ってもみなかったのでとてもうれしかった。私自身は山頂登頂が目的ではなく山の自然を楽しんだり撮影したりという登山をしていたので、彼女たちのようなロッククライミングとかサミッターを目指すという山登りの形とは違う山の登り方をしていたけど、こういう登り方をできる方たちはすごいなと思っていた。
登山隊の中で、田部井淳子さんはエベレストのサミッターになれたけど、その他の方は、実力はあったのに天気が左右して登頂には恵まれなかった。田部井さんはユーモアもあり、とても好感度で大好きだったけど、その後「エベレスト日本女子登山隊」として語られなくなり、田部井さんだけが取り上げられ語られていくのを見て、私はどうなんだろうと思っていた。そういうこともあり、仲間たちとの別れがあった。そういうこともこの映画では描かれていてよかったと思う。エベレストに登れたのは、彼女だけの手柄ではないのだから。
夫の協力のこともしっかり描かれていた。そして、私がいつかお会いしたいと思っている北村節子さんのことも描かれていた。最初は新聞記者として取材に行ったけど、一緒にエベレストに行くことになり、その後、田部井さんと親しい山仲間になっていったのですね。そんなこともちゃんと織り込まれていた。
そんな、田部井さんの生きて来た道、やってきたことが描かれていた。最初、吉永小百合さん、のんさんが田部井さんの役?、全然違うイメージなので、どうなんだろうと思ったけど、登山シーンも様になっていたし、相当頑張って山に登ったのだな、彼女たちの努力が素晴らしい。
実は田部井さんには2回会っています。また、2016年、ピースボートで世界一周しようと思った時、田部井さんがゲスト乗船するというので申し込んだのですが、半年くらい前に申し込んだので、船室のことや、オプショナルツアーなども希望のようにいかなくてキャンセルしました。田部井さんが参加できなくなったのも大きな要因でした。彼女はその年の10月20日に亡くなりました。とても残念でした。田部井さんのエベレスト登頂から50年の今年、このことを忘れないためにもこの映画の意味は大きいと思う(暁)。
公式HP https://www.teppen-movie.jp/
2025年製作/130分/G/日本
配給:キノフィルムズ
*シネマジャーナル田部井さん関連記事
『ビヨンド・ザ・エッジ 歴史を変えたエベレスト初登頂』公開記念
女性世界初エベレスト登頂者 田部井淳子&エドモンド・ヒラリーの子息 ピーター・ヒラリートークショー
http://www.cinemajournal.net/special/2014/bte/index.html
2025年10月28日
ホン・サンス監督デビュー30周年記念「月刊ホン・サンス」
1996年の長編デビュー作『豚が井戸に落ちた日』から30年。
謎めいた映画世界に導かれるように、この秋、ホン・サンスの“いま”に出会える企画が始まります。
2025年11月から2026年3月まで、2023年以降につくられた新作5本を5カ月連続で公開する「月刊ホン・サンス」。
さらに、ユーロスペース限定で、新作にリンクしたテーマで過去作を振り返る特集「別冊ホン・サンス」も同時開催されます。
偶然に出会った人々が語らい、道に迷い、酒を飲んではまた語らい合う。果てしないくりかえしのなかから、ふいに見えてくる小さな真実と、美しさに満ちた景色。この独特で不思議な世界は、どんなふうに私たちの生きる日常と重なり合うのか。ミステリアスでユーモアに満ちたホン・サンス映画とともに、世界の新たな見方を発見してください。
公式サイト:https://mimosafilms.com/gekkan-hongsangsoo/
配給・宣伝:ミモザフィルムズ
〖第一弾〗11月1日(土)よりユーロスペース他全国順次公開
『旅人の必需品』
第74回ベルリン国際映画祭銀熊賞(審査員グランプリ)受賞
ソウルを旅する謎めいたフランス人女性イリス。風変わりな方法で韓国人にフランス語を教え、年下のボーイフレンドの家へと帰っていく。一体、彼女は何をしに韓国へやってきたのか。足取りを追ううち、謎に満ちた日常が浮かび上がってくる。
2024年/韓国/韓国語・フランス語・英語/90分/カラー/16:9/ステレオ/英題:A Traveler’s Needs
出演:イザベル・ユペール、イ・ヘヨン、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、ハ・ソングク、キム・スンユン
シネジャ作品紹介
★別冊ホン・サンス 『自由が丘で』11/1(土)~11/7(金)
〖第二弾〗12月13日(土)公開
『小川のほとりで』
第77回ロカルノ国際映画祭最優秀演技賞(キム・ミニ)受賞
演劇祭まであと10日。美大の講師でテキスタイルアーティストのジョニムは、問題を起こしてクビになった若手演出家の代わりに、かつて演劇界で名を馳せた叔父に協力を求める。学生たちとの寸劇づくりは、徐々に熱気を帯びていくがー。
2024年/韓国/韓国語/111分/カラー/16:9/ステレオ/英題:By the Stream
出演:キム・ミニ、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、ハ・ソングク
★別冊ホン・サンス 『逃げた女』12/13(土)~12/19(金)
〖第三弾〗2026年1月10日(土)公開
『水の中で』
前代未聞の全編ピンボケ作品・第73回ベルリン国際映画祭出品
元俳優のソンモは、自主制作映画を撮るために、夏の済州島にカメラマンの友人と後輩の女優を集める。何を撮るのが決まらぬまま、三人はひたすら島を歩き回るが、岩場でゴミ拾いをしている地元の女性との出会いをきっかけに、撮影が静かに動き始める。
2023年/韓国/韓国語/61分/カラー/ステレオ/16:9/英題:In Water
出演:シン・ソクホ、ハ・ソングク、キム・スンユン
★別冊ホン・サンス 『イントロダクション』1/10(土)~1/16(金)
〖第四弾〗2026年2月14日(土)公開
『私たちの一日』
第76回カンヌ国際映画祭監督週間クロージング作品
靴デザイナーの先輩宅に居候中の元女優のサンウォンと、禁酒・禁煙中の身で隠遁生活静を送る老詩人ウイジュ。そんな二人の元にそれぞれ夢を追う若者が訪れた時、飼い猫が消えてしまう。交わりそうで交わらない、ふたりの一日がゆるやかに並走していく。
2023年/韓国/韓国語/84分/カラー/ステレオ/16:9/英題:In Our Day
出演:キム・ミニ、キ・ジュボン
★別冊ホン・サンス」『川沿いのホテル』2/14(土)~2/20(金)
〖第五弾〗2026年3月21日(土)公開
『自然は君に何を語るのか』
第75回ベルリン国際映画祭出品・ホン・サンス監督最新作
若き詩人のドンファは、3年間交際している恋人を家まで送り届けると、玄関先で彼女の父と鉢合わせ、流れで彼女の両親と一日を過ごすことになる。ぎこちない夕食の席、ドンファは緊張から酒が進み、やがて険悪な空気が漂いはじめる。
2025年/韓国/韓国語/108分/カラー/ステレオ/16:9/英題:What Does That Nature Say to You
出演:ハ・ソングク、クォン・ヘヒョ、チョ・ユニ、カン・ソイ、パク・ミソ
★別冊ホン・サンス 『正しい日 間違えた日』 3/21(土)~3/27(金)
2025年10月26日
佐藤忠男、映画の旅 英題:Journey Into SATO TADAO
監督:寺崎みずほ
出演:佐藤忠男、秦早穗子、イム・グォンテク、シャージ・N・カルン ほか
映画評論家・佐藤忠男の“たからもの”を探し求めるたびに出かけよう!
日本を代表する映画評論家、佐藤忠男。独学で映画評論の道を拓き、60年にわたる批評人生で日本映画史を体系化した功績、そして後年、ライフワークとしてアジア映画を発掘し、日本に先駆的に紹介した功績から、日本におけるアジア映画研究の第一人者として知られる。アジアとの映画交流や後進の育成にも尽力し、韓国、フランス、モンゴル、ベトナムなどから勲章を授与した唯一無二の存在である。庶民の目線から多岐に論じ、150冊を超す著作を有する映画評論の巨人をアジアへと突き動かすものは果たして何だったのか?
佐藤忠男が学長を務めた日本映画学校(現日本映画大学)で教え子であった寺崎みずほが、カメラを手に2019年より密着。少年期の戦争経験、映画を通して受けたカルチャーショック、映画への憧れ、映画人生の長い道のりをともに歩いた最愛の妻・久子との出会い。そして1万本を優に超す映画を鑑賞した彼が「『東京物語』と比肩するくらい世界で一番好きな映画」と言い残した1本のインド映画『魔法使いのおじいさん』への想い……
韓国映画界の巨匠イム・グォンテク監督や韓国ニューウェーブを代表するイ・ジャンホ監督をはじめ、親交のあったアジアの映画関係者の証言から人物像を紐解くとともに、佐藤の“たからもの”を探しに、韓国、そして南インドのケーララ州へと旅に出た。生涯、一途に映画を愛し続けた映画の伝道師が私たちに残したメッセージとは?
2022年に91歳でご逝去された佐藤忠男先生。私は教え子ではないけれど、やっぱり先生とお呼びするのがしっくりきます。 1988年~2002年の間、NHK教育テレビで放映された「アジア映画劇場」での解説は、毎回、ほんとに楽しみでした。 1995年のアジアフォーカス・福岡映画祭でイラン映画特集が組まれた折に、ディレクターを務めておられた佐藤忠男先生に初めてお目にかかることができました。その後、毎年のように通っていたアジアフォーカスで、佐藤忠男先生にはご挨拶するのが精一杯でしたが、奥さまの久子さんとは、時折お話しする機会がありました。「うちのは不愛想でごめんなさい」と言われたことも。 (今回、初めて奥さまとの馴れ初めを知ることができました!) 佐藤忠男先生ご夫妻がアジアフォーカスの上映作品を選択されていた頃の映画は、ほんとうに私好みでした。福岡市がお金を出していることもあって、子どもにも見てもらえるよう、どぎつい映画は選べないともお聞きしたことがありますが・・・
アジアフォーカスでは、招聘したアジア各国の監督や俳優たちが交流を図れるよう、佐藤先生ご夫妻が自費で交流の宴を開かれていたことも思い出します。
教え子であった寺崎みずほさんが、佐藤忠男先生に注目し、カメラを回し始めたのは、2019年。結局、看取られることになってしまいましたが、よくぞ撮ってくださったと感謝です。佐藤忠男先生が大好きだった『魔法使いのおじいさん』 の舞台である南インドを訪ねてくださって、その後の子どもたちのことも知ることができて、ほんとに感慨深い1作です。(咲)
2022年4月発行の本誌シネマジャーナル105号に、「アジア映画へ導いてくれた佐藤忠男さん」というタイトルで追悼文を書かせてもらいましたが、まさか、佐藤さんのドキュメンタリー映画が作られていたとは知りませんでした。
年に10本も映画を観ていなかった私は、1988年『芙蓉鎮』という映画を観て以来、中国映画にハマって、それから2年の間に200本近い中国映画を観ることに。そして、中国映画に関する情報をあちこち探すようになった。その頃はまだインターネットはなかったので、神保町に行き中国書を扱う東方書店や内山書店などに通っていた。その時に佐藤さんの著書を見て、何冊か買った。その頃、韓国映画にも興味を持ち始めていたし、神保町にはアジア映画というビデオ屋もあった。それでますますアジア映画にハマって行った。
佐藤さんはその頃、TVのアジア映画番組の解説もしていたし、中国映画祭や韓国映画特集などに行くと映画の解説、映画の周辺のことも話していた。そのうち、インドや東南アジア、中東圏の作品も日本で紹介されるようになり、佐藤さんのアジア映画の守備範囲は広がり、私はそれを吸収させてもらった。
いろいろな映画祭で、アジアの映画の上映会場に行くと姿を見かけたし、そのうち私がシネマジャーナルの編集に関わるようになって、試写に行くようになると、試写会場でもお会いするようになった。紹介もしてもらったこともあり、お会いする時には会釈はしていた。亡くなる2年くらい前から、佐藤さんと試写室で会うことがなくなり、体調がすぐれないのかなと思っていたけど、それでも80代後半まで試写に来ていた。
その後の佐藤さんの姿が、この映画で描かれていた。そして、思いもかけなかったインド映画『魔法使いのおじいさん』への想い。その想いを辿る旅も描かれ、新しい発見もある作品になった(暁)。
第38回東京国際映画祭<アジアの未来>部門・特別オープニング作品
10/28(火)21時よりワールドプレミア上映
https://2025.tiff-jp.net/ja/lineup/film/38003ASF00
2025年/日本/ 98分/カラー/DCP/ステレオ
製作・配給:グループ現代 宣伝:スリーピン
公式サイト:https://satotadao-journey.com/
★2025年11月1日(土) より新宿K's cinemaほか全国順次公開
ひとつの机、ふたつの制服 原題:夜校女生 英題:The Uniform
監督:ジュアン・ジンシェン(荘景燊)
出演:チェン・イェンフェイ(陳妍霏)、シャン・ジエルー(項婕如)、チウ・イータイ(邱以太)
1997年台北。受験に失敗し、強引な母の勧めにより名門女子校「第一女子高校」の”夜間部”に進学した小愛(シャオアイ)。同じ教室で同じ机を使うことになった全日制の成績優秀な生徒、敏敏(ミンミン)と、小愛は机に手紙を入れるやりとりから“机友(きゆう)”=デスクメイトになる。夜間と全日制。制服は同じでも、胸の刺繍の色が違う。ある日、小愛は敏敏から学校をサボるために制服を交換することを提案され、次第に、小愛が敏敏からもらった全日制の制服を来てふたりで遊びに行くようになるなど行動は徐々にエスカレートしていく。
小愛はバイト先の卓球クラブで知り合った名門男子校の路克(ルー・クー)に密かに憧れていたが、敏敏もまた同じ塾に通う路克に想いを寄せていることを知ってしまう・・・
『あの頃、君を追いかけた』(2011)のギデンズ・コー監督が絶賛していますが、本作もまた、高校時代を思い出して胸がキュンとなる物語。
私の高校にも定時制があって同じ教室を使っていましたが、定時制の方との交流は残念ながらありませんでした。でも、教科によって教室を移動した時に、憧れの君の机を狙って座った記憶が・・・ (はい、手紙を残しました!)
本作の脚本は、脚本家のシュー・フイファンが、⾃ら北⼀⼥中の「進修補習学校」に通っていた体験をもとに書いたもの。90年代の台北がぎっしり詰まった映画です。
小愛はニコール・キッドマンに憧れていて、叔母さんの経営するレンタルビデオ店で働く男性に、彼女への英語の手紙を書いてもらうというのも、90年らしい設定。 今やレンタルビデオも、手紙を書くということもなくなってしまいました。
この映画で強烈な印象を残したのが、小愛のお母さん。シングルマザーで、小学生相手に私塾を経営しているのですが、徹底した節約は料理のメニューにも反映されていて、思わず笑ってしまいます。
また、小愛のクラスメートで、一度社会人を経験して勉学の大切さを知って入学した3~4歳年上の于澄月(ユー・チョンユエ)の存在も光っています。大人びていて、とてもクール。進学した先がロシア語科というのも彼女らしいと唸りました。(咲)
2024年/台湾/5.1ch/2:1/カラー/中国語/109分
配給:ムヴィオラ、マクザム
公式サイト:https://www.maxam.jp/hitofuta/
★2025年10月31日(金)より新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺 ほか全国順次公開


