2020年12月08日

戦車闘争 

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監督・撮影・編集:辻 豊史
プロデューサー: 小池和洋
ナレーター:泉谷しげる

ベトナム戦争終盤を迎えていた 1972 年、アメリカ軍は破損した戦車を神奈川県相模原市の在日米陸軍相模総合補給廠で修理し、再び戦地に送るべく横浜ノースドックへ輸送していた。それを知って「アメリカの戦争に日本が加担するなんて許せない!」と憤った市民がノースドック手前の村雨橋で座り込みを敢行、戦車の輸送は断念された。この事件をきっかけに相模総合補給廠の前にはテントが立ち並び、およそ 100 日間におよぶ抗議活動がはじまる。映画『戦車闘争』は、抗議活動参加者、機動隊員、地元商店主、運送会社社員、市議会議員など座り込みをしていた側から彼らを排除する側、活動に巻き込まれてしまった立場までのあらゆる当事者やジャーナリスト、専門家など総勢 54 人の証言によって、日本現代史上希に見る約 100 日間の闘争の顛末を明らかにする白熱のドキュメンタリー映画である。

ベトナム戦争で使われた戦車を相模原市で修理していたことも、それを再び戦地に送ることを阻止しようとした市民がいたことも知りませんでした。いろいろな形で関わった人たちが次々と登場し、当時のことを振り返ります。話を聞いているうちに、座り込みをしていた人たちが一枚岩ではなかったことが分かってきました。同じように阻止しようとしていても、立場が違うと考え方がこんなにも違うのかと驚きます。
また、市民vsアメリカ軍でもなかったことも分かってきます。戦車の修理をしていたのは3500人の日本人技術者たち。座り込んだ人たちを排除しようとしたのは日本の機動隊。そして、車両制限令で重量オーバーだった戦車やトレーラーの通行を禁止できていたのに、「車両制限令は米軍と自衛隊は不適用」と政令改正したのは閣僚たち。その結果、戦車の搬出を請け負った民間の運送業者。さまざまな立場が入り乱れます。
作品の後半は戦車闘争そのものだけでなく、日米安保条約や日米地位協定、そして憲法第九条について、いろいろな立場から解釈が繰り広げられます。岸信介が極東の範囲をふわっとさせて、憲法第九条と日米安保条約を両立させたのに、孫が台無しにしたなどと結構、過激な発言もあり、最後まで興味深いです。(堀)


1969年~1970年頃、高校生だった私はベトナム戦争に反対し、べ平連のデモに何度か参加していた。べ平連は各地の市民がべ平連を名乗り、地域単位だったり、職場単位、学校単位と、様々な形で存在した。そして、あちこちの地域でベトナム戦争に反対しべ平連デモが行われていた。私は同級生に誘われ都内でのデモに参加していたが、この映画にも出てきた小田実さんや吉岡忍さん、和田春樹さんなども参加していたので、いわゆる中心的な行動に参加していたのかもしれない。そのデモにはヘルメットに角棒を持った学生運動の人たちも参加していたこともあったので、「ベトナム戦争に反対する」誰でもが参加自由のデモだったのでしょう。その程度の意識ではあったけど、あの当時は「戦争に反対する」気持ちを持ったたくさんの人たちが行動していた。まだ高校生であまり詳しくは知らなかったけど、一枚板ではなく、それぞれの単位で行動していたように思う。社会党や共産党など党派系、学生運動各派、そして市民運動というように。
ベトナム戦争は1975年に終わったが、その間、日本にあるアメリカ軍の基地からは、ベトナムに向け兵士や武器、戦闘機などが運ばれていた。沖縄からが多かったが、日本各地にある米軍の基地から運ばれていた。その中で相模原市にある在日米陸軍相模総合補給廠から、戦車が修理され運ばれているということがわかり、1972年に相模総合補給廠の門の前にたくさんの人が阻止のため座りこみをしたというのは知ってはいたけど、ここには参加しなかったので、こんな風に党派を超えてたくさんの人たちが座り込んでいたというのは知らなかった。このドキュメンタリーで知った。当時のことを知っている人からすれば、これはすごいことだと思う。「アメリカの戦争に日本が加担するなんて許せない!」という思いは同じでも、その人たちがこの一箇所にまとまって100日もの阻止を続けたというのは画期的なこと。それにしても、この100日間に渡った「戦車闘争」のことは、これまで知られてこなかったことが多いと感じた。当時、どの程度、新聞やTVなどで報道されていたかというと、余り多くなかったと思う。そういう意味でこのドキュメンタリーは大きな役割を果たしている。映像記録として残すことで、バラバラの個人の記憶として残っていた状況を総合的に記録として残し、参加しなかった人や、このことを知らなかった人の記憶にも残っていく。
これを観て、この「アメリカ軍」に対する闘争で闘わされていたのは日本人同士、これは今の辺野古の闘争も通じると思った。反対する市民、機動隊、工事や運搬をする日本人がアメリカ軍のために闘わされている。50年近く前も、今も同じことを繰り返している。経済的に基地に頼らざるを得ない地元の人の思いと、危険との隣り合わせ。米軍と日本政府の対応は変わっていない(暁)。


2020 年/日本/DCP/104 分/ドキュメンタリー
配給:マーメイドフィルム/コピアポア・フィルム
(C)2020 戦車闘争の映画をつくる会/フィルム・クラフト
公式サイト:https://sensha-tousou.com/
★2020年12月12日(土)より、ポレポレ東中野、あつぎのえいがかんkik他、全国順次ロードショー
posted by ほりきみき at 22:19
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