2020年11月28日

100日間のシンプルライフ(原題:100 Dinge)

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監督・脚本:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ
出演:フロリアン・ダーヴィト・フィッツ(パウル・コナスキー)、マティアス・シュヴァイクホファー(トニー)、ミリアム・シュタイン(ルーシー)、ハンネローレ・エルスナー(レナーテ・コナスキー)、カタリナ・タルバッハ(オマ・コナスキー)

スマホ依存症で、ネットショッピングと人工知能搭載アプリ「NANA」に満足、生身の恋人不要のパウル。金儲け大好きなイケイケのハンサム、実はコンプレックスの塊のトニー。2人は幼なじみのビジネスパートナー。質素だったご先祖様とは違って、多くの好きなモノに囲まれて暮らしている。酔って大げんかした2人は、とんでもない勝負をすることになった。負けたら財産は社員たちが山分け。それは家財道具全てを倉庫に預け、素っ裸の状態から1日1つずつ必要なモノを取り戻し100日間生活する、というものだった。

ベースのドキュメンタリー『365日のシンプルライフ』(2013/フィンランド)は日本でもヒットしました。たった一人で1年間という長丁場。ご本人が来日して舞台挨拶されたのを見ていました。映画にすっかり感銘を受けて断捨離を試みましたが、早々に挫折したのでした。モノを減らすのは難しいです。
この作品は舞台をドイツに移し、2人のイケメンの意地と財産をかけたエンタメ作品に変えています。人生にほんとに必要なものは何か?二人と一緒に観客も考えることになります。初めは大笑いして次第に共感していくのは、ドキュメンタリーと同じ。コナスキー家の一癖も二癖もある家族、個性的な社員たち、倉庫仲間のルーシーの秘密など、退屈反対の要素がいっぱい。観終わったころには大切なものに気づいているはず。(白)


パウルが開発したアプリ「ナナ」はまるで生きている人間のように話しかけてくれ、買いたくなるものを勧めてきます。パウルはナナの甘い言葉に釣られて、ついついクリック。家の中は使っていないモノで溢れています。一方のトニーは見た目を磨くことに必死。体を鍛えて、髪を整え、洋服にもこだわります。そんな二人が仕事上の行き違いでケンカをし、シンプルな生活に耐えられるかで賭けをしました。
ベースになっている『365日のシンプルライフ』は主人公とモノの関係をストレートに映し出していますが、本作は2人の関係の変化を通じて、人との向き合い方も見る人に問いかけてきます。隣の芝生は青く見えるといいますが、パウルとトニーも親しいゆえに相手が完璧に見えて、お互いのコンプレックスを刺激したのです。
でも、完璧な人なんていません。みんな、どこか不完全な部分があるもの。だからこそ、相手の不完全さも受け入れられる。自分の心に空いている穴を埋めようと、モノや形に依存じていた登場人物たちがそれに気がつくラストは清々しく、観ている私たちにも自分で考えようとメッセージを投げ掛けています。(堀)


冒頭、第一次世界大戦の時代を生きた曾祖父母、ヒトラーにすべてを奪われた祖父母、ベルリンの壁崩壊を経験した両親、そして物に溢れた時代に生きる私たちと、この100年の変貌ぶりを一気に見せてくれます。ついポチって物を買ってしまう主人公のパウルを、フロリアン・ダーヴィト・フィッツ監督自身が自虐的に演じて、笑わせてくれます。
でも、笑ってはいられません。スマホを片時も離せなくなった私たち。検索履歴から好みをしっかり把握されていて、購買意欲をそそる情報が届くのですから。私はネットでは買わない主義だけど、妹はすぐポチるので、今、我が家の玄関には洋梨、お米、オイルヒーター、テーブルと椅子のセットが山積みになっています。いるものではあるのですが、箱を開けるのも一仕事! 
映画の中で、パウルのおばあちゃんが収容所から持ち帰ったトランクが出てきます。中に収めてある品々から、人生で何が大事かのヒントを貰えたような気がします。(咲)



2018年/ドイツ/カラー/111分
配給:トランスフォーマー、フラッグ
(C)2018 Pantaleon Films GmbH / Erfttal Film & Fernsehproduktion GmbH & Co. KG / WS Filmproduktion / Warner Bros. Entertainment GmbH
https://100simplelife.jp/
★2020年12月4日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 00:44
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