2020年08月30日

宇宙でいちばんあかるい屋根

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脚本・監督:藤井道人
原作: 野中ともそ「宇宙でいちばんあかるい屋根」(光文社文庫刊)
出演:清原果耶、桃井かおり、伊藤健太郎 水野美紀 山中 崇 醍醐虎汰朗 坂井真紀 吉岡秀隆

14歳のつばめ(清原果耶)は、父親と血のつながらない母親との3人暮らし。両親に子供ができたことから生まれる疎外感とともに幼なじみの大学生への恋心も抱いていた。ある日、つばめは唯一の心休まる場所だった書道教室の屋上で派手な老婆がキックボードに乗って空を飛んでいる姿を見かける。つばめは「星ばあ」と呼ぶことになったその老女に恋や家族の話をするようになり……。

改めて藤井道人監督の振れ幅の大きさに驚かされた。コメディタッチの『オー!ファーザー』、独特な閉塞感と作家性を表現した『幻肢』、お蔵入りの危機を乗り越えたと思えない爽快な『青の帰り道』、人間の二面性に着目した『デイアンドナイト』、『新聞記者』は昨年の日本アカデミー賞を受賞し、社会派とエンタメ性の均衡が取れていた。そして、本作のファンタジーと叙情性…。それぞれ別な監督がメガフォンをとっているかのようだ。

列挙した作品群の実績からも、完成度の質は担保された監督といえる。

星々が瞬き、満月が照らす夜空。空撮映像で鮮やかに彩られる屋根。カーテンを通した柔らかな光線。青空に呼応する海の色。少女が横たわる緑の草原…。
これまでの作品と比して、自然描写が著しく眼に焼き付いた。主役のつばめの心象風景と同一化する意図が、藤井監督に有ったのかもしれない。

一方、ゆったりとしたリズムが、時に緩慢な印象も受け、藤井監督らしさが削がれているとも感じた。水墨画個展の場面などは編集のテンポをもう少し速くしたほうが全体的に小気味良さが生まれたのではないか。

物語としては、つばめと星ばぁの交流が楽しく、桃井かおりが身体性と精神性の靱やかさを表出して出色である。(幸)


いつも優しいお向かいの大学生のお兄ちゃんに憧れる主人公のドキドキ感がファンタジーなストーリー展開と相まってほんわかと伝わってきます。
そして、かつて、憧れのお姉さん的存在だった桃井かおりがノーメイクで登場。「声は確かに桃井かおりなのに。。。」と時代の流れを否応もなく感じさせられましたが、キックボードで空を飛ぶ星ばぁという設定も桃井かおりが演じることで妙なリアリティが生み出されました。
主人公のほかにも、いくつかの淡い恋物語を描きつつ、作品のベースにあるのは家族の絆。幼い頃に両親が離婚し、再婚した父と義理母に育てられた主人公は義理母の妊娠に戸惑いが隠せません。お向かいのお兄ちゃんの家にも問題が起きますし、超越した存在のような星ばぁさえ実は家族の問題に蓋をして生きてきたのです。
登場人物たちは失敗もするけれど、前に進もうと奮闘します。家族だから我慢したり、諦めたりするのではなく、家族だから思いはちゃんと伝えなきゃ。作品は見る者の背中もそっと支えてくれることでしょう。(堀)


配給: KADOKAWA
© 2020『宇宙でいちばんあかるい屋根』製作委員会
2020年製作/115分/G/日本
公式サイト:https://uchu-ichi.jp/
© 2020『宇宙でいちばんあかるい屋根』製作委員会
★9月4日(金)より全国ロードショー
posted by yukie at 18:20
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