2020年08月23日

マイルス・デイヴィス クールの誕生(原題:Miles Davis: Birth of the Cool)

『マイルス・デイヴィス クールの誕生』メイン・ヴィジュアル.jpg

監督:スタンリー・ネルソン
出演:マイルス・デイヴィス、クインシー・ジョーンズ、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ロン・カーター、ジミー・コブ、マーカス・ミラー、マイク・スターン、ジョシュア・レッドマン、カルロス・サンタナ、ジュリエット・グレコ、クライヴ・デイヴィス、フランシス・テイラーほか

“ジャズの帝王”と称されるトランペット奏者マイルス・デイヴィスのドキュメンタリー映画。貴重なアーカイブ映像や写真に加え、マイルスの家族、友人、多くの音楽関係者のインタビューがびっしりと詰め込まれている。華やかな足跡ばかりではない。人種差別に怒り、酒や麻薬に溺れたダークな面も隠さない。自信家で好き嫌いが激しく、愛した女性に嫉妬し暴力も振るう。病気や事故による痛みと闘っていた空白の5年間。文字通りの闇から完全復活し、力量のある若手を見い出しては次々と新しいことに挑戦し続けた。一人の天才の鮮烈な一生が浮かび上がる。
2019年、第37回サンダンス映画祭をはじめ、世界各国の映画祭に正式出品。第62回グラミー賞では〈最優秀音楽映画部門〉にノミネートされた。
1926年5月26日米国イリノイ州オールトン生まれ。1991年9月28日死去 (享年65)。

マイルス・デイヴィスの独特の声は、喉の手術をした後、喋りすぎたせいだそう。本人のインタビュー音源は残っているものの、背後にある生活音などを除くことができなかった。俳優のカール・ランブリーが、マイルスの自伝などから選ばれた言葉でナレーションを入れている。
パリに数週間滞在したマイルスは、歌姫ジュリエット・グレコほか、多くの文化人や芸術家に出逢い、ルイ・マル監督の『死刑台のエレベーター』(1958)の映画音楽を作っている。登場人物の心のありようを、映像を観ながらトランペットひとつで即興演奏するシーンに見とれた。このサウンドトラックから映画の人気に火がついた様子も紹介される。
眼光鋭い孤高の天才かと思えば、吸引力のある“人たらし”でもあったらしい。友人たち、特に女性たちが彼の魅力を愛し気に語る。試写の後、2枚組のベスト盤を手に入れた。(白)


題名が「クールの誕生」なので、てっきり1950~60年代のマイルスが中心と思いきや、91年に亡くなるまでの人生をしっかり描いてくれた。マイルスに寄り添った女性たちのインタビューは、人間マイルスを知るうえで実に興味深い。若手ミュージシャンの抜擢で知られるだけに、綺羅星のごとく豪華な面々がマイルスの思い出を語るが、これが実に味がある。ハービー・ハンコックはマイルスの音色を“水面を跳ねる石”に喩え、ウェイン・ショーターは人となりを表すエピソードを打ち明け、歳の離れたマーカス・ミラーは共演できた喜びを昨日のことのように語る。
マイルスの後にマイルス無し。偉大な足跡を実感させる2時間である。(堀)


「ソー・ホワット」でポール・チェンバースがつま弾くベースについて言及する場面がある。"そう!同じく!"と心中、叫んでしまった。"帝王マイルス・デイヴィス"の楽曲は、自身が吹くトランペットだけではなく、全ての楽器が共振しているのだ。
振動は聴く者の心を揺るがし、蕩けさせてしまう。ワンノートで魅了されるジャズとはこういうことを言うのだろう。
70年近くを経ても少しも陳腐化しない"帝王"のサウンド。物心付いた時から聴いてきた身には、いつだって音色を、響きを脳内再生することができる。
オールドファンにとって、18歳の"帝王"とチャーリー・パーカー、ディジー・ガレスピーとの共演逸話が楽しい。反面、アート・ブレイキーらの映像がなかったのは残念だったが贅沢は言うまい。ジョン・コルトレーンの生演奏が聴けたのだから…。
名編曲家ギル・エヴァンスへの尊敬が生涯続いた逸話に頬を緩めていたら、NYの路上でタクシー待ちをしていただけで、「退かなかった」ことを理由に白人警官に殴られ逮捕される場面が出る。血だらけの"帝王"の姿は衝撃だ。
白人富裕層が「金を払う価値がある」と認め、ジャズ界の頂点を極めるほど成功を収めた"帝王"でも黒人扱いに変わりはないのだ。
米国の闇は深い。(幸)


「モダンジャズの帝王」マイルス・デイヴィスの素顔に迫るドキュメンタリー映画。
歯科医の父と音楽教師の母を持ち、裕福な家庭に育ったというマイルスだが、彼が生きた時代の人種差別は、並大抵なものではなかったはず。
白人社会が押し付けて来る偏見をすべてぶち壊したように見えるマイルスは、ひたすらクールな男だった。すべてを超越してジャズの可能性の追求に捧げた生涯。
ミュージシャンとして成功し名声を得ても、決して守りに入ることなく、常に最先端、最前線に立ち、若手をリードして行く姿勢に感動した。
人生は一回だけの即興演奏のようなもの。変わり続けることでしか、守れないものもある。
友人やパートナー、ミュージシャンたちのインタビュー映像にグイグイ引き込まれた。
静止画像を多用した超スピードの編集も気持ち良かった。ジャズファンならずとも必見。(千)


2019年/アメリカ/115分
配給:EASTWORLD ENTERTAINMENT
協力:トリプルアップ
https://www.universal-music.co.jp/miles-davis-movie/
★2020年9月4日(金)アップリンク渋谷、池袋HUMAXシネマズほか全国順次ロードショー
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posted by shiraishi at 12:31
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