2019年08月04日

カーマイン・ストリート・ギター  原題:Carmine Street Guitars

劇場公開日 2019年8月10日
上映情報 http://www.bitters.co.jp/carminestreetguitars/theater.html

★カーマイン・ストリート・ギター_ヴィジュアル.jpg
©MMXVⅢ Sphinx Productions.


監督・製作:ロン・マン
(『ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』)
扇動者:ジム・ジャームッシュ
編集:ロバート・ケネディ
出演:リック・ケリー、シンディ・ヒュレッジ、ドロシー・ケリー
ジム・ジャームッシュ(スクワール)、ネルス・クライン(ウィルコ)、カーク・ダグラス(ザ・ルーツ)、ビル・フリゼール、マーク・リーボウ、チャーリー・セクストン(ボブ・ディラン・バンド)他
音楽:ザ・セイディーズ

伝説のギタリストたちを虜にする職人は、建物のヴィンテージ廃材から、世界でひとつのギターを生み出す

ニューヨーク、グリニッジ・ヴィレッジに位置するギターショップ「カーマイン・ストリート・ギター」を追ったドキュメンタリー作品。
この店ではギター職人のリック・ケリーが、長年愛されてきた街のシンボル、チェルシー・ホテル、ニューヨーク最古のバー・マクソリーズなど、ニューヨークの古い建築物の廃材を使いギターを製作している。世界中のギタリストを魅了する、この店製作のギター。それはニューヨークの建物の廃材から作られている!
古い木材のほうがギターの響きがいいということを発見したリックは、廃材があると聞くと引き取りに行き、ギターとして復活させる。こうして、長年愛されてきた街の歴史がギターの中に生き続ける。何年も前に映画監督ジム・ジャームッシュが、改築中だった自宅の屋根裏の木材をこの店に持ってきて、ギター作りを依頼。そのギターが素晴らしい音を奏でたので、それからリックがニューヨークの古い建物の木材を使うようになったという逸話が語られる。
工事の知らせを聞きつけると、現場へ行きヴィンテージ廃材を持ち帰るリック傷も染みもそのままにギターへ形を変える。そんな店の1週間を追った、極上の愛に満ちたドキュメンタリー。
ルー・リード、ボブ・ディラン、パティ・スミスら、フォーク、ロック界の大御所がリックのギターを愛用。劇中でも、次々と有名なギタリストが来店し、リックが作ったギターを手に、幸せそうに演奏する姿が随所にに収められている。

この店は、ほかに見習いのシンディ、リックの母親が働いている。
リック・ケリーは、ニューヨーク州南東部・ロングアイランド育ち。幼い頃から木材職人の祖父の仕事をそばで見ていた影響から木材に興味をもち、ギター職人の道へ。1970年代後半にグリニッジ・ヴィレッジに店を出し、そして90年に、現在のカーマイン・ストリートに店を。パソコンも携帯も持たない昔気質のギター職人。
それに対してパンキッシュな装いの見習いシンディ・ヒュレッジは、カーマイン・ストリートギターで働いて5年。大工だった父親の影響で物作りに興味を抱き、父親が趣味にしていたギターも彼女には身近なものだった。アートスクールに通ってからこの店に入ったことから細かい作業が得意で、ウッドバーニングやペイティングを施したギター、ストラップも作っている。
そしてリックの母親ドロシー・ケリーの主な仕事は、店番・電話番・店のはたき掃除。ドロシーが壁に飾っている写真の額の曲がりを直すのだけど、直しても直しても斜めになってしまうシーンが面白いのだけど、その写真の方はロバート・クワインという有名なロック・ギタリスト。

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©MMXVⅢ Sphinx Productions.


監督は、カナダとアメリカのポップカルチャーを題材にしたドキュメンタリーを多く手掛ける他、『ロバート・アルトマン ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男』(2014)を製作したロン・マン。この作品は、2018年・第31回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門でも上映された。ロン・マン監督は「この映画ができたのはジム・ジャームッシュのおかげです。彼は私にギター職人のリック・ケリーと彼の店「カーマイン・ストリート・ギター」を紹介してくれた人物です。何年も前に、ジムはリックに改築中だった自宅の屋根裏の木材を持っていき、ギター作りを依頼しました。それが、リックがニューヨークの建物の再生木材を使うきっかけ。私は、音のいいかっこいいギターだけではなく、独特な空気が漂うユニークなこの店と、リックの禅のような哲学に魅了されました。そして、そのすべてが静かに消え去ってしまう前に、カメラに収めておかなければならないと感じるに至ったのです」と語っている。

約50年前の1969年、高校2年生だった私はフォークソングのグループをやっていた。その頃、ギターがどうしてもほしくて、初めてバイトをしてギターを手に入れた。この作品に出てくるようなギターではなく、中に空洞のあるガットギター。そういうわけでギターに思い入れがあり、そのギターを弾かなくなって久しいけど、ずっと持ってはいる。でも50年も前のギターだからもう楽器としては使えないかもと思っていた。でも、この作品で古い木材のほうが音の響きがいいと出てきて、ちょっと期待している私です(暁)。


建材の時の傷が味となって甦るオンリーワンのギター。次々と訪れる音楽のプロたちが愛おしむように試し弾きする。コンサートでは見られない素の姿は宝物を手にした子どものよう。リックと弟子のシンディは一見、共通点などなさそうだが、互いにリスペクトしているのが伝わってくる。店番をするリック母の何気ない行動が微笑ましい。
音楽に疎い私は店を訪れたギタリストの中で知っていたのは、ジム・ジャームッシュだけ。それもギタリストとしてではなく、映画監督として知っていたのだから、猫に小判と言われてしまいそう。しかし、物づくりのドキュメンタリー作品と思って見ていたら、最後までワクワク。音楽に疎くても、すっかり引き込まれた。
作品の終わり近くに、ギターにしか見えないケーキが登場する。本物のギターのようにネックの部分がテーブルから浮いていたように見えたのだが、ケーキでそれができるのだろうか。作品を見終わっても、そのことが気になった仕方がない。(堀)


公式HP http://www.bitters.co.jp/carminestreetguitars/
2018 年/カナダ/80 分
配給:ビターズ・エンド
posted by akemi at 21:52
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