2024年03月17日

ボンゴマン ジミー・クリフ デジタル・リマスター   原題:Bongo Man

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(C)2022 Stefan Paul All Rights Reserved


監督:ステファン・ポール
編集:ヒルデガルト・シュレーダー
撮影監督 マイク・コンデ、ウド・ヒッツラー、ハインツ・レクサー、ヘリベルト・シュースター
出演:ジミー・クリフ、ナディーン・サザーランド、ムタバルーカ、バーバラ・ジョーンズ、ミリアム・マケバ、ボブ・マーリー

【2010年ロックの殿堂入り】
【1985年「Cliff Hanger 」グラミー賞受賞】
【2013年「Rebirth」グラミー賞受賞】

レゲエ界の生ける伝説ジミー・クリフの全盛期を納めたミュージック・ドキュメンタリー

総選挙が近い1980年秋のジャマイカ。
パトカーのサイレンが鳴り響き、燃えさかる街並み。二大政党JLPとPNPの激しい抗争で一触即発のトレンチタウン。
「欲をかくものは、全てを失う」と高らかとアジテートするジミー・クリフ。
故郷サマートンで、2万人を見込むフリーコンサート「アフリカ国民の日」を企画する。小さいときから、ここで開きたいと思っていた空地。地元の人たちがボランティアで手伝ってくれて、重機でならし、ステージを作る。当日、雨が降る。それも神の意思だ。
さらにカメラは、南アフリカのソウェト、ドイツのハンブルグのツアーを追う・・・

「ジャマイカに来たら、人々の心をみてほしい」
♪ボンゴマンが来た、太陽の島に♪ 
冒頭、のどかな風景が一転し、選挙を巡り抗争中の町。
映画は、ジミー・クリフの楽曲と共に、ジャマイカの歴史を辿る興味深いものでした。
JAMAICA という国の名前
J ユダヤ人
A アフリカ人
M マルーン(逃亡奴隷)
A アメリカ人
I インド人
C 中国人
A アラワク・インディアン(先住民)
と、ジャマイカの人種構成によるものとの説明がありました。
コロンブスがやってきた時に、闘った先住民であるアラワク、その後、17世紀にイギリスが来てスペインからジャマイカを奪ったとき、山に逃げた奴隷たち(マルーン)がイギリスと闘い、自治権を持ったことなど、この映画を通じて学びました。
ちなみに、ユダヤ人は、15世紀、レコンキスタでスペインやポルトガルから追放されて、ジャマイカにも来ていたことを知りました。人数は少ないようですが。

ジミー・クリフが、1980年7月のハンブルグのコンサートで「ベトナム戦争を誰か止めてくれ」と歌う中で、アフガニスタン、イラン、南アフリカでの戦争も止めてくれという言葉がありました。どこも、当時、戦争に見舞われていたのを思い出します。
また、女性解放についても歌う場面があって、「アフリカの女性は元々解放されていた。ヨーロッパの文化に触れて、女性解放の戦いを知った」という言葉が気になりました。

ジャマイカで生まれたレゲエについては、2024年2月9日に公開された『ボブ・マーリー ラスト・ライブ・イン・ジャマイカ レゲエ・サンスプラッシュ デジタルリマスター』でも学ぶことができました。1992年12月19日に日本初公開された『ボンゴマン ジミー・クリフ』も、今のこの時期にデジタル・リマスター版が公開されることの意義を噛みしめたいと思います。(咲)


1981年/ジャマイカ・ドイツ合作/英語/93分
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:https://jimmy-cliff-movie.com/
★2024年3月22日(金)より新宿シネマカリテほか全国ロードショー
posted by sakiko at 12:02| Comment(0) | ジャマイカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする