2023年04月23日

セールスガールの考現学(原題:Khudaldagch ohin /英原題 THE SALES GIRL)

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監督・脚本・プロデューサー:ジャンチブドルジ・センゲドルジ
撮影:オトゴンダワー・ジグジドスレン
音楽:ドゥルグーン・バヤスガラン
出演:バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル(サロール)、エンフトール・オィドブジャムツ(カティア)、ドゥルグーン・バヤスガラン、マグノリアン

モンゴル大で原子威力工学を学んでいるサロールは、親に言われるままに進路を決めた。将来の展望も夢もないが、絵を描くことだけは続けている。地味で目立たない女子大生だったが、怪我をした顔見知りの学生にバイトの代理を頼まれる。「秘密を守ってくれそうだから」と紹介された仕事は、セックスショップの店員だった。親には適当ないいわけをし、毎日バイトに通い、売り上げをオーナーのカティアに届ける。サロールを気に入ったカティアは、食事やドライブに連れ出し、サロールの不安に思っていたことまで取り除いてくれた。

奥手な女子大生が、リッチで自由奔放な女性経営者と友情を結び、成長していくストーリー。ちょっと気難しく見えたカティアは、酸いも甘いもかみ分けた大人でした。対極にあるような二人が世代も超えて、心を開いていく様子は観ていてほほえましく、サロールは良いメンターを得ました。女優としても息長く活躍してきたエンフトール・オィドブジャムツが貫禄たっぷりに演じています。
監督は女性かと思えば、そうではなく男性でした。センゲドルジ・ジャンチブドルジ監督は内向的だった少年時代を反映させているそうです。
サロール役のバヤルツェツェグ・バヤルジャルガルはこれが映画初出演、オーディションで初の主役を射止めました。ノーメイクで手入れをしていない髪の毛、野暮ったいファッションのサロールが、カティアに目を開かされて、だんだんとあか抜けていきます。実際は綺麗な女優さんなので、野暮ったくするのが大変だったようです。(白)


冒頭、バナナの皮がポイと捨てられて、あ~誰かが滑る・・・と思っていたら、案の定、若い女性が滑って怪我をして松葉杖をつく羽目に。その彼女が、クラスメイトのサロールに「高給なうえ楽な仕事」とバイトの代わりを頼むのです。それがアダルトグッズ・ショップという次第。商品知識もないまま、勝手なことをいう客の相手をするサロール。口数も少なくて地味なサロールが、元バレリーナだったという店主のカティアから刺激を受けるうちにどんどん輝いていきます。
存在感あるカティアを演じたエンフトール・オィドブジャムツは、モンゴルで有名な俳優で現在ドイツ在住。30年ぶりの映画出演です。
モンゴルというと大草原のイメージですが、都会で暮らす人々の姿を垣間見ることができるのも本作の魅力。最後にまたバナナが登場して笑わせてくれます。(咲)



2021年/モンゴル/カラー/シネスコ/123分
配給:ザジフィルムズ
(C)2021 Sengedorj Tushee, Nomadia Pictures
http://www.zaziefilms.com/salesgirl/
★2023年4月28日(金)新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

posted by shiraishi at 14:33| Comment(0) | モンゴル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする