2025年03月13日

Flow(原題:Straume)

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監督・脚本・音楽:ギンツ・ジルバロディス

世界が大洪水に見舞われ、人間の住んだ街が沈みつつあった。一匹の黒猫が水を避けながら逃げ、流れてきた船に飛び乗った。先客の動物たち、後から仲間に入る動物たちと、さまざまな目に遭いながら漂っていく。

昨年のTIFF(東京国際映画祭)でひとあし早く上映されました。
魔女の宅急便に登場するジジのような黒猫が、人間のいなくなった世界で生き残った動物たちと、どこへたどり着くのかわからない船で流されていきます。動物たちのセリフはなく、私たちに身近な猫や犬の動きはとてもリアル。どれだけ観察したのかと感心してしまいます。カピバラやワオキツネザルのシーンでは、笑い声があがっていました。
これまでいくつもの短編を一人で作ってきた監督は、今回は小さなチーム(なんと50人!)で長編を作り、変更、追加などが意思の疎通がスムーズだったそうです。監督担当のカメラは実写版のカメラのように、主人公の猫の目線になって動きます。よく描きこまれた背景や。様々な表情を見せる水も美しく、何度見ても楽しめる作品です。(白)


2024年アヌシー国際アニメーション映画祭はじめ、各映画祭において受賞多数。
つい先日アカデミー賞において長編アニメーション賞を受賞。
『Flow』本編には、水が押し寄せるシーンや濁流、波や水中での揺れ等の描写が含まれております。
お客様によっては、体調などに影響を及ぼす可能性がございます。ご注意ください。ご鑑賞の皆様におかれましては、予めご了承いただけますようお願い申し上げます。

2023年/ラトビア・フランス・ベルギー合作/カラー/85分
配給:ファインフィルムズ
(C)Dream Well Studio, Sacrebleu Productions & Take Five.
https://flow-movie.com/
★2025年3月14日(金)大ヒット上映中
posted by shiraishi at 14:17| Comment(0) | ラトビア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年04月15日

プーチンより愛を込めて(原題:Putin's Witnesses)

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監督・脚本・撮影:ビタリー・マンスキー
出演:ウラジーミル・プーチン、ミハイル・ゴルバチョフ、ボリス・エリツィン、トニー・ブレア、アナトリー・チュベイス、ベロニカ・ジリナ、ライサ・ゴルバチョフ、ミハイル・カシヤノフ 、ミハイル・レシン、ドミトリー・メドヴェージェフ、グレブ・パブロフスキー、クセーニャ・ポナマロワ 、ウラジスラフ・スルコフ

1999年12月31日、ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンが辞任した。彼は自身の後継者としてウラジーミル・プーチンを指名、3ヶ月後に行われる大統領選挙までの間、ロシアの新しい憲法、国旗は若き指導者に引き継がれた。プーチン大統領候補の選挙用PR動画の撮影を依頼されたヴィタリー・マンスキー監督は、大統領選挙への出馬表明をせず、公約を発表しないまま、名目は違えど“選挙運動”を展開するプーチンの姿を記録していく。
ロシア各地へ足を運び、諸問題の解決、第一次チェチェン紛争の"英雄"たちへの慰問や恩師との再会を"演出"したプーチンのPRチームは、国民が抱く彼のイメージを「強硬」から「親身」へと変化させる。マンスキー監督は、オフィシャルカメラマンながら、ソ連時代の旗や国歌が使用されていることに不安を覚え、プーチンに直接斬り込んでいく。1999年と2000年の大晦日、2000年3月26日の開票日当日の、エリツィン元大統領の自宅での貴重映像を辿ることで、プーチンの本当の姿が炙り出されていく。

冒頭はマンスキー監督と家族のやりとり、プーチンが大統領になることへの危惧もこぼしていて、思わず「これ大丈夫なの」と思ってしまいます。大丈夫じゃないので、今はロシアを出ています。
24年前の若々しいプーチン大統領が観られて、現在とずいぶん違うのに驚きます。長いことトップにいることで、外側も内側も川津のでしょう。教え子が大出世して、自分に会いにくると知った先生が舞い上がる様子がほほえましいです。これは彼のイメージ戦略におおいに役だったようです。当選に歓喜するチームだった人々は、今や一人を残してそばにはいません。
バトンを渡したはずのプーチン大統領から電話がくるだろうと、エリツィン元大統領が電話機から離れずに待っているシーンがあります。胸中を去来するのはなんだったのか、憮然とした表情と、後につぶやく一言が忘れられません。
(白)


「ソビエト帝国の崩壊は、20世紀最大の地政学的悲劇」と称したプーチン。ロシアの国歌を、ソ連時代の国歌に歌詞は変えてはいるものの復活させ、「国民の大半がソ連時代を懐かしく思っている」と豪語。プーチンに密着して撮影していたマンスキー監督の映像の数々から、プーチンの本質が見えてきます。
元は、大統領候補としてのプーチンの選挙用PRに撮ったものだったはずなのに、「エリツィンが幸せだった時代の象徴になりそう」とつぶやく女性の姿もちゃんと捉えています。
1回の選挙で決まったものの、モスクワでプーチンが獲得したのは44%。エリツィンが20名の中から後継者に選んだプーチン。歴史に「もし」はありませんが、違う選択をしていたら、今の世界はどうだっただろうと思わざるをえません。辞任し、後継者を決め「重圧から解放された」と、家族に囲まれ笑みを浮かべるエリツィンでしたが、その後の後継者の動きに去就する思いも監督はしっかり伝えてくれます。 そして、未だにロシアを支配するプーチンに対する監督の思いも。「自分はただの証人と甘く見た代償を払った」という言葉が重く突き刺さります。 (咲)



2018年製作/ラトビア・スイス・チェコ・ロシア・ドイツ・フランス合作/カラー/102分
配給:NEGA
(C)Vertov, GoldenEggProduction, Hypermarket Film-ZDF/Arte, RTS/SRG, Czech Television2018
https://fromputinwithlove.jp/
★2023年4月21日(金)アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサ他全国順次公開
posted by shiraishi at 01:08| Comment(0) | ラトビア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする