2024年02月04日

Firebird ファイアバード   原題:Firebird

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(C)FIREBIRD PRODUCTION LIMITED MMXXI. ALL RIGHTS RESERVED / ReallyLikeFilms

監督・脚色ペーテル・レバネ 
共同脚色 : トム・プライヤー、セルゲイ・フェティソフ 
原作 : セルゲイ・フェティソフ 
出演 : トム・プライヤー、オレグ・ザゴロドニー、ダイアナ・ポザルスカヤ

1977年、ソ連占領下のエストニアの空軍基地。間もなく兵役を終える二等兵セルゲイ(トム・プライヤー)の夢はモスクワで役者になることだ。そんなある日、パイロット将校のロマン(オレグ・ザゴロドニー)が着任し、セルゲイは部屋への案内係を担う。ロマンのカメラで一緒に写真を撮り、ロマンの部屋で現像する。チャイコフスキーを聴きながら、写真や演劇など共通の趣味で話がはずみ、「仕事を命じたことにするから泊まっていけ」と言われる。やがて二人の友情は愛へと変わっていく。当時のソ連では同性愛はタブーで、発覚すれば罪に問われる。一方、セルゲイの同僚で友人の女性将校ルイーザ(ダイアナ・ポザルスカヤ)も、秘書としてロマンに仕えるうちに彼に思いを寄せるようになっていた。そんな折、セルゲイとロマンの関係を怪しむクズネツォフ大佐は、二人の身辺調査を始める・・・

※ファイアバード  火・熱・太陽の象徴である“火の鳥(ファイアバード)”には、永遠の命と大きな愛の力が宿っている。しかしその圧倒的な強さ ゆえ、触れると火傷をすることもある。


同性愛が厳罰に処されるソ連、しかも、さらに規律の厳しい軍の中で、自分の気持ちに忠実であろうとする男たちの思いが、切々と伝わる物語。実は、役者になる夢を叶えたセルゲイ・フェティソフが、自ら綴った回想録「ロマンについての物語」がペーテル・レバネ監督の手にわたったことから、この映画は出来上がったとのこと。初長編映画の題材を探していたレバネ監督は、読んですぐに本作の映画化を決め、2014年には、俳優のトム・プライヤーと共にセルゲイ・フェティソフにインタビューを重ね、3人の共作で脚本を完成。ところが、2017年、セルゲイが65歳の若さで急逝。セルゲイへの追悼の思いを胸に、レバネ監督とトム・プライヤーが執念で完成させた映画。
このところ同性愛を描いた作品が多くて、またか・・・と思ったのですが、驚くべき実話がベースになっていて、胸に迫りました。セルゲイの同僚であり友人でもある女性ルイーザを巻き込んでの、あの時代だったからこその微妙な三角関係が切ないです。
トム・プライヤーもオレグ・ザゴロドニーも美男ですが、レバネ監督も負けず劣らずの美男! 公開にあわせて3人が来日とのこと。楽しみです。(咲)



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『Firebird ファイアバード』初日舞台挨拶

Facebook アルバム 『Firebird ファイアバード』初日舞台挨拶
2月9日(金)@新宿ピカデリー

ペーテル・レバネ監督、主演トム・プライヤー&オレグ・ザゴロドニー
緊急来日舞台挨拶のスケジュール

詳細は各劇場公式サイトでご確認ください。

新宿ピカデリー
横浜ジャック&ベティ
名古屋ミッドランドスクエアシネマ
なんばパークスシネマ
MOVIX京都


2021年/イギリス・エストニア/英語・ロシア語/107分/5.1ch/DCP & Blu-ray
日本語字幕 : 大沢晴美
配給:リアリーライクフィルムズ
公式サイト:https://www.reallylikefilms.com/firebird
★2024年2月9日(金)より新宿ピカデリーほか全国にて公開

posted by sakiko at 19:16| Comment(0) | エストニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年10月25日

ノベンバー   原題:November

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(C)Homeless Bob Production,PRPL,Opus Film 2017


監督・脚本:ライナー・サルネ
原作:アンドルス・キビラーク「レヘパップ・エフク・ノベンバー(Rehepapp ehk November)」
撮影:マート・タニエル
出演:レア・レスト、ヨルゲン・リイイク、ジェッテ・ルーナ・ヘルマーニス、アルヴォ・ククマギ、ディーター・ラーザー(『ムカデ人間』)

エストニアの寒村。そこには、精霊、人狼、疫病神が徘徊している。貧しい村人たちは「使い魔クラット(★注)」に隣人から物を盗ませながら、寒い冬に備えている。
11月1日の「諸聖人の日(万霊節)」は、死者が蘇る(死者の日)。村人たちは森の中の墓に亡くなった家族を迎えに行く。一緒に家に帰り食事をし、サウナに入る。自分が遺した宝を確認する死者もいる、農夫の娘リーナも亡くなった母とのひと時を過ごす。
リーナは村の青年ハンスに思いを寄せているが、強欲な父親は豚のような農夫エンデルに、リーナとの結婚を約束してしまう。一方、ハンスは領主のドイツ人男爵の娘に恋している。それを知ったリーナが、村の老いた魔女に相談すると、「その女を殺すしかない」と、矢を渡される・・・

★注:使い魔クラット
古いエストニアの神話に登場する「クラット」は、悪魔と契約を交わした生意気な精霊。主人のために仕事をこなすクラットは、家財道具の釜や斧、時には雪や頭蓋骨などで作られる。クラットは農家の助け手として、家畜や食料を盗んだり、スケープゴード(家財道具の盗難を彼らになすりつける)として扱われたりする。十分な仕事が与えられないと気性が荒くなり「仕事をくれ!」と言って主人の顔に唾を吐く。


モノクロームで描かれる妖気漂う不思議な世界。
ハンスは、美しいリーナから思いを寄せられているのに、彼女には目もくれず、男爵の娘に恋い焦がれて、とんでもない行動にでます。リーナはリーナで、自分を美しく見せようと、老婆が男爵の家から盗んできたドレスを手に入れようとします。リーナとハンスが両想いになれば、めでたしめでたしなのに・・・
領主の男爵はドイツ人。「レンピトゥ王の頃に、ドイツ人は不当にエストニアを支配し始めた」という台詞がありました。大嫌いだったソ連から独立したこと位しか、エストニアについて知りませんでしたが、エストニア人は、古くから色々な勢力に支配されてきた歴史があることを知りました。
そして、キリスト教化されたのは、13世紀初頭のことで、それ以前は、本作で描かれているようなアニミズム的世界だったようです。
監督は、“すべてのものには霊が宿る”というアニミズムの思想をもとに、異教の民話とヨーロッパのキリスト教神話を組み合わせて、本作を仕上げています。
魔女、幽霊、得体が知れない老婆などの多くは役者経験のない村人が演じたそうですが、その存在だけで不気味さを醸し出しています。なんとも凄い映画です。 (咲)


2017年/ポーランド・オランダ・エストニア/B&W/115分/5.1ch/16:9/DCP
日本語字幕:植田歩
配給:クレプスキュールフィルム
公式サイト:http://november.crepuscule-films.com/
★2022年10月29日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
posted by sakiko at 00:50| Comment(0) | エストニア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする