2025年09月21日

サッパルー!街を騒がす幽霊が元カノだった件   英題:The Undertaker  原題:สปัเหรอ่

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監督・脚本:ティティ・シーヌアン
出演:チャーチャイ・チンナシリ、ナルポン・ヤイイム、アチャリヤー・シータ、スティダー・ブアティック、ナタウット・セーンヤブット

会いたくて❤幽体離脱。いざ死者の世界(マルチバース)へ!?

タイ東北部のイサーン地方。霊の存在を信じるこの土地で、妊婦バイカーオの亡霊を目撃する住人が多数あらわれる。しかし、同じ街に住む元カレのシアンのもとには一向に姿を現さない…。どうしてもバイカーオに会って話がしたいシアンは、街でただ一人の葬儀屋のもとを訪れ、幽体離脱の術を伝授してくれと頼み込む。霊体になってバイカーオのいる死者の世界へ向かおうというのだ!老い先の短さを自覚している葬儀屋は、息子と共にこの街の葬儀屋を継ぐことを条件に指南を開始するのだが――。街を騒がす元カノの本当の目的とは一体⁉

弁護士を目指して勉強中の青年が、父親から余命わずかなので葬儀屋を継げと言われ、葬儀屋になるための訓練を始めるのですが、人が亡くなってからの様々な儀式が細かく語られて、興味津々でした。
監督の得意分野はブラックコメディーで、ホラー映画は好きではないけれど、自分のファンがホラー映画を見たがっていると知り、死をサッパルー(タイの葬儀屋)を通して描こうと、葬儀屋や研究者にインタビューを重ね、脚本を書いたとのこと。イサーンの人々の生活や葬式の儀式を半ばドキュメンタリーのように記録したいと思って撮った本作。笑える場面もあって、幽霊が怖いというより、イサーン独特の文化を楽しく味わえました。
イサーン人の俳優たちによって、イサーン語で語られているので、タイ本国では標準語のタイ語字幕を付けて公開されるのだそう。ホラーが苦手な方も、ぜひどうぞ!(咲)


2024年 大阪アジアン映画祭上映時のタイトル:『葬儀屋』

元カノに執着するシアンですが、別れた後にできた新しい彼女がいるんです。笑うと仲野太賀くんに似て気はよさそうですが、働いている風でもなく、たった一人の身内らしいお祖母ちゃんに甘えています。新カノはやさしくてお祖母ちゃんを手伝っているというのに。葬儀屋の息子は怖がりで、幽霊も暗いのもキライ。出てくる男性が頼りなくて、しっかりせい!と言いたくなります。
父親に代わって葬儀を執り行うようになってから、連日誰かが亡くなって宗派が違うために、その都度あんちょこに頼ります。原題のようにサッパルー(葬儀屋)のことが主で、元カノの幽霊はいたっておとなしいので安心して。(白)


2023年/タイ/タイ語(イサーン語)/125分/2.39:1/5.1ch/DCP
字幕翻訳:大沢晴美、ワイズ・インフィニティ  字幕監修:高杉美和
協力:大阪アジアン映画祭
後援:タイ国政府観光庁
配給:インターフィルム
公式サイト:https://motokano-yurei.jp/
★2025年9 月 26 日 ( 金 ) より新宿武蔵野館 、ヒューマントラストシネマ有楽町 ほか全国順次公開
posted by sakiko at 19:31| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月07日

親友かよ(英題:Not Friends)

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監督・脚本:アッター・ヘムワディー
プロデューサー:バズ・プーンピリヤ
出演:アンソニー・ブイサレート(ペー)、ピシットポン・エークポンピシット(ジョー)、ティティヤー・ジラポーンシン(ボーケー)、

ある事情で急に転校したペーは、人懐こいジョーの隣の席になった。ジョーは一人でいたいペーにぐいぐい接近してくる。押し切られた形で、彼と友達になった矢先、ジョーは交通事故で亡くなってしまう。
ペーはジョーの文章が評価されていたのを知り、ジョーが遺していたストーリーを借りて、短編映画を作ろうと思い立つ。友情からだけではなく、コンテストに入賞すれば、無試験で大学に入学できると聞いたのだ。ペーは「親友の自分が彼を追悼する」と熱くアピール、学校のパソコンも使わせてもらえるとあって、予想外に助っ人が集まった。同級生のボーケーは、ジョーとは中学からの友達。短い付き合いのペーがジョーと親友というのを疑っているが、ジョーの母を喜ばせたいと映画作りに協力することにした。それぞれが得意分野を担当してペーは監督になったのだが。

日本でもヒットしたタイの青春映画『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』のスタジオが、昨年紹介した『ふたごのユーとミー 忘れられない夏』の主演2 人と再度タッグを組みました。
ジョーの事故の後、過去と現在を交互に見せていきます。前作では双子を一人で演じて驚かせたティティヤーは、今作でペーには壁になります。双子に好かれるハンサムボーイ役だったアンソニーが、今度はわけありの暗い転校生役と、だいぶん雰囲気が違いました。
ジョーはいかにも良い奴です。どんな友情物語になるかと思っていると、ストーリーが二転三転。これはどこに行ってしまうのか?ペーが「映画の作り方を知らない」とボーケーに頭を下げ、やっと映画作りがスタートします。ペーが躓きながらも前進、映画が少しずつ形をなしていくその過程も面白く観ました。(白)


タイ映画の公開や上映が続いています。これは学園もの。そして映画好きには、随所にニヤリとできる部分が出てきます。でも、最初はこの主人公に共感できなくて、ちょっとイライラしたことも。途中から俄然面白くなります。
転校したペーは、隣の席になった人懐こいジョーと知り合ったものの、そんなに彼のことを知らないうちに事故で亡くなってしまい、その後、彼に関する映画を撮ることになったが、ジョーのことをよく知らないまま撮り始めたものの、本当のことがわかって、さてどうするかというのがこの映画の肝。「嘘から始まる物語」だったけど、最後の帰結は素晴らしい。そして最後の締めでは涙が…。こんな青春映画もいい(暁)。


2023年/タイ/カラー/130分
配給:インターフィルム
©2023 GDH 559 Co., Ltd. All Rights Reserved / ReallyLikeFilms
https://notfriends.jp/
★2025年月13日(金)全国ロードショー


posted by shiraishi at 11:20| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年06月23日

ふたごのユーとミー 忘れられない夏(原題:You & Me & Me)

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監督・脚本:ワンウェーウ & ウェーウワン・ホンウィワット
製作:バンジョン・ピサンタナクーン
出演:ティティヤー・ジラポーンシン (ユー/ミー) アンソニー・ブイサレー (マーク)

一卵性双子のユーとミーは生まれたときからずっと一緒、何でも分け合い育ってきた。中学生になった今は、レストランの食べ放題や観たい映画をちゃっかり一人分の料金で楽しんでいる。違いはミーの頬にあるホクロ。ユーが苦手な数学の追試は、得意なミーがホクロを消して受けてきた。ところがこの追試で、ハーフの素敵な男の子マークと知り合い仲良くなった。これまで隠しごとなく、どんなことも打ち明けてきた一番の仲良しの2人に、初めてシェアできない“感情”が芽生えてしまった。

1999年が舞台の物語。「ノストラダムスの大予言」や「Y2K問題」で揺れていたのを思い出します。いつも屈託ない姉妹ですが、不仲の両親や自分たちの将来も実は不安です。長編映画デビューの姉妹監督は一卵性双子。もしも見分けがつかないほどそっくりだったら「やってみたいこと」を、映画館やレストランで実践して見せてくれて大いに笑えます。しょっちゅうやったらばれますよね。監督姉妹も試したことがあったのでしょうか?
驚くのは、ユーとミーを演じたのが双子ではなく、ティティヤー・ジラポーンシンの「一人二役」だったことです。それまで演技経験がなかったのに大抜擢されて、この難役です。見た目そっくりでも積極的なミーと堅実なユーの性格も演じ分け、タイ映画監督協会賞の最優秀新人女優賞を受賞しています。ほのぼのしてちょっと胸キュンな青春ストーリー。(白)


2023年/タイ/カラー/122分
字幕翻訳 : 宮崎香奈子  字幕監修 : 高杉美和
配給・宣伝 : リアリーライクフィルムズ 
後援 : タイ王国大使館・タイ国政府観光庁 
(c)2023 GDH 559 Co., Ltd. All Rights Reserved / ReallyLikeFilms
www.reallylikefilms.com/futago
★2024年6月28日(金)よりより新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー

posted by shiraishi at 15:27| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年08月20日

卒業 Tell the World I Love You

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監督:脚本:ポット・アーノン
撮影:ティワ・モエイサイソン
音楽:ジャイアント・ウェーブ
出演:スラデット・ピニワット(ケン)、タナポン・スクムパンタナーサーン(ボン)、シラホップ・マニティクン(タイ)、クナティップ・ピンプラダブ(ニック)

高校生のケンは母親と生き別れ、身寄りがなく同級生のタイの家に居候中。タイの兄は食堂を切り盛りして弟を養っている。成績優秀なケンは、奨学金で中国留学し、母親を探すつもりだ。たまたま数人に囲まれて袋叩きにあっている青年を助けた。薬の密売組織から足を洗いたいボンが制裁を受けていたところで、逃げるのに手を貸したケンも一緒に追われる羽目になってしまった。タイの家にも追手がやってきて、店をめちゃめちゃにしていった。タイに迷惑をかけたことを詫び、ケンはボンの元へいく。ボンとケンは、ボンの祖母の家に隠れ住むことにした。留学資格試験のために登校したケンは見張っていた密売組織に捕まり、大けがを負ってしまう。

タイの青春ものには欠かせない綺麗な男の子たちがたくさん登場します。ケンは顔も頭も良くて、モテモテ。しかし好いた好かれたの甘いBLものではなく、密売組織や貧困、学校でのいじめなど社会問題も盛りこまれています。高校生にこんなに問題が降りかかっていいのか、と思ってしまうのは、ぬるま湯の日本に慣れてしまっているせいかも。
ケンに頼ってほしいタイですが、自分も兄に養われている身。ケンがボンと親しくなって行くのを歯がみしつつ見守っています。ケンを目の敵にするニックもハンサムで、タイは美男美女率が高いのでしょうか??この長さに、都会や郊外の村の生活のようすに加えて、銃撃戦やカーチェイスまで入っています。3人それぞれの思いがどう帰結するのか、スクリーンでご覧ください。(白)


男の子たちも綺麗がいっぱいですが、監督がこだわったのが、バンコクの街の美しさ。チャオプラヤー川や、大きな仏像がさりげなく背景に映し出されています。追っ手が、ケンたちの潜むボンの祖母の家にもやってくるのですが、お祖母ちゃんは追っ手4人を家の中に招き入れた上に、お茶まで出すのです。狭いところに密着して隠れているケンとボン、ひそひそ話すのでハラハラ。 監督が2016年にメガホンをとったコメディ映画『Joking Jazz 4G(原題)』はその年のタイ国内興行収入1位の大ヒット。コメディ映画を期待していた観客へのサービス場面!? (咲)

2022年/タイ/カラー/シネスコ/107分
配給:ギャガ
(C)2021 FLIM GURU CO. LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
https://gaga.ne.jp/telltheworldiloveyou/
★2023年8月25日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 10:05| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月31日

プアン/友だちと呼ばせて(原題:One For The Road) 

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監督:バズ・プーンピリヤ
脚本:バズ・プーンピリヤ、ノタポン・ブンプラコープ、ブァンソイ・アックソーンサワーン
出演:トー・タナポップ アイス・ナッタラット プローイ・ホーワン ヌン・シラパン ヴィオーレット・ウォーティア AND オークベープ・チュティモン

ニューヨークでバーを経営するボスのもとに、タイで暮らすウードから数年ぶりに電話が入る。 白血病で余命宣告を受けたので、最期の頼みを聞いてほしいというのだ。バンコクに駆けつけたボスが頼まれたのは、 元カノたちを訪ねる旅の運転手。カーステレオのカセットテープから流れる思い出の曲が、二人がまだ親友だった頃の記憶を呼びさます。 かつて輝いていた恋への心残りに決着をつけ、ボスのオリジナルカクテルで、この旅を仕上げるはずだった。 だが、ウードがボスの過去も未来も書き換える〈ある秘密〉を打ち明ける──。

死期が迫った男性が別れた元カノに返したいものを渡すために会いに行く。男性とのことはすでに過去で、自分の人生を生きている女性側からすればいい迷惑だろうなと思っていたら、案の定。男性は夢見がちで、女性は現実的といわれるが、その違いが明確に表現されていて、さすがにちょっと男性がかわいそうに思えてきたとき、この旅の本当の意味が見えてくる。過去の恋愛のお詫び行脚は彼の本当の思いを隠す言い訳に過ぎなかったとは!
人は死を目の前にすると人生で後悔していることをいろいろ思い出すものなのかもしれない。さて、私はどうなんだろう。何を後悔し、それをどうやり直したくなるのか。そして、それをすることは相手を傷つける自己満足に過ぎなかったりしないだろうか。
登場人物たちの倍くらい生きているから、人生でやり残したままのことをどう決着つけるのか、そろそろ考えておいたほうがいいかもとこの作品を見ていたら思えてきた。
ところで、この作品、いろいろなカクテルが登場する。どれも色合いが素敵で、アルコールが飲めない私でさえ、ちょっと飲んでみたくなる。ノスタルジックな風景とこのカクテルを見ているとタイに行きたくなってしまうかもしれません。(堀)


2021年/タイ/2021年/カラー/シネスコ/5.1chデジタル/129分
配給:ギャガ
(c)2021 Jet Tone Contents Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:https://gaga.ne.jp/puan/
★2022年8月5日(金)新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、渋谷シネクイントほか全国順次公開

posted by ほりきみき at 19:25| Comment(0) | タイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする