2025年06月20日

突然、君がいなくなって(原題:Ljósbrot/英題:When the Light Breaks)

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監督・脚本:ルーナ・ルーナソン
撮影:ソフィア・オルソン(『サーミの血』「ザ・クラウン」)
音楽:ヨハン・ヨハンソン(『メッセージ』『博士と彼女のセオリー』)
出演:エリーン・ハットル(ウナ)、ミカエル・コーバー(グンニ)、カトラ・ニャルスドッティル(クララ)、バルドゥル・エイナルソン(ディッディ)

アイスランドの首都レイキャビクの美大生のウナには、大切な恋人ディッディがいる。しかし、彼には遠距離恋愛をしている長年の恋人、クララがいた。ディッディはクララに別れを告げに行くと家を出た後、事故に巻き込まれ帰らぬ人となってしまう。誰にも真実を語ることができないまま、ひとり愛する人を失った悲しみを抱えるウナの前に、何も知らないクララが現れる――。

アイスランド映画を何本観たか数えていませんが、背景になる風景にいつも目を奪われます。たくさんの映画のロケ地にもなっていて、氷河やフィヨルド、白夜が思い浮かびます。この作品では海辺で恋人たちが並んで観る夕陽が印象的。教会の前では映画と同じように「飛べる」人が出現しそうです。
突然恋人を失ったウナは、悲しみの持って行き場所がありません。日本のドラマだったら、もっとすったもんだになりそうですが、淡く品よくまとまっています。しかし、もとはと言えば二股かけたデッディがあかん。2人泣かせたではないかっ。(白)


第 77 回カンヌ国際映画祭ある視点部門オープニング上映
第 48 回ヨーテボリ映画祭ドラゴン賞最優秀北欧映画賞
第 26 回エッダ賞 作品賞/主演女優賞(エリーン・ハットル)/助演女優賞(カトラ・ニャルスディットル)/視覚効果賞
第 49 回トロント国際映画祭センターピース部門上映
第 29 回釜山国際映画祭ワールド・シネマ部門上映

2024年/アイスランド、オランダ、クロアチア、フランス/カラー/ビスタ/80分
配給:ビターズ・エンド
(C)Compass Films,Halibut,Revolver Amsterdam,MP Filmska Produkcija,Eaux Vives Productions,Jour2Fete,The Party Film Sales
https://www.bitters.co.jp/totsuzen/
★2025年6月20日(金)Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー

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2025年04月30日

未完成の映画 原題:一部未完成的電影 英題:An Unfinished Film

2025年5月2日より 角川シネマ有楽町、池袋シネマ・ロサ、渋谷シネクイント、アップリンク吉祥寺ほか、全国順次公開

監督:婁 燁 ロウ・イエ( LOU Ye )
製作:マー・インリー、フィリップ・ボベール
脚本:ロウ・イエ マー・インリー
撮影:ツォン・ジエン
出演
ジャン・チェン:秦昊(チン・ハオ)
マオ・シャオルイ:毛暁瑞(マオ・シャオルイ)
サン・チー:斉渓(チー・シー)
イエ・シャオ:ホアン・シュエン

未完成の映画をコロナ禍で完成させようとするドキュドラマ。
時は2019年。10年電源を入れてなかったパソコンが起動され、そこに入っていた未完の映画を完成させたいと(婁燁監督と思われる)シャオルイ監督は思い、この映画の主演俳優ジャン(秦昊)を呼び出し「この映画を完成しよう」と説得。本人っぽく演じているので、そこもクスっと笑える。しかし「クイア映画」で、ジャンは10年前だったらよかったけど、今は妻子がいるので出演したくないと渋る。しかも公開されるあてもない。しかし、結局、撮影は開始される。
撮影もあと少しという頃、武漢からコロナによるパンデミックに。程なくしてホテルはロックダウンされ、主演俳優とクルーはホテルのそれぞれの部屋に閉じ込められる。部屋に閉込められた人達は身動きが取れず、コミュニケーション手段はスマホだけ。劇中ではコロナ禍で撮影されたスマホの動画が次々とスクリーンに映し出される。スマホでニュースを追いかけたり、オンライン会議や通信手段などなど。混沌とした画面が続く。コロナ禍、世界中の人々が体験したことがここに。そして映画はまた中断?
東京フィルメックスで上映され、「観客賞」受賞。
カンヌ映画祭でも特別上映作品として上映された。

これまでコロナ禍の映画をいくつか観てきたが、これほど、その状況をうまく活用した作品はなかったかも。現実とフィクションが入り交り、混乱ぶりがすごく出ていて、今となっては防護服など、あのコロナ禍の過度の服装が、笑い話にも思える。でもあの頃は真剣だった(暁)。

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第25回 東京フィルメックス(2024)でのロウ・イエ監督とマー・インリーさん


公式HP https://www.uplink.co.jp/mikansei/
シンガポール、ドイツ / 2024 / 107分
配給:アップリンク
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2025年04月26日

王兵(ワン・ビン)監督最新作『青春 -苦ー 第2部』『青春 -帰ー 第3部』2作品同時公開

2025年4月26日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次(2作同時公開) 一部の公開劇場では『青春 -春-』(第1部)のアンコール上映も 上映情報

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© 2023 Gladys Glover – House on Fire – CS Production – ARTE France Cinéma – Les Films Fauves – Volya Films – WANG bing
『青春 -苦-』(第2部)監督:王兵(ワン・ビン) 
原題:青春 苦  英題:YOUTH (HARD TIMES) 2024 年 
フランス=ルクセンブルク=オランダ 226 分(3 時間46 分)字幕:磯尚太郎

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© 2023 Gladys Glover - House on Fire - CS Production - ARTE France Cinéma - Les Films Fauves - Volya Films – WANG bing
『青春 -帰-』(第3部) 監督:王兵(ワン・ビン)
原題:青春 帰 英題:YOUTH (HOMECOMING) 2024 年 
フランス=ルクセンブルク=オランダ 152 分(2 時間32 分)字幕:磯尚太郎

『青春 -春-』第 1 部 青春 春 はこちら
2023年 フランス=ルクセンブルク=オランダ 215分
第1部は昨年4月に日本公開

『鉄西区』『三姉妹 雲南の子』『死霊魂』などで知られる中国のドキュメンタリー作家、王兵(ワン・ビン)の最新作『青春』。3部作のうちの第2部『青春 -苦-』と第3部『青春 -帰-』が公開される。
第1部は2023年カンヌ国際映画祭で初上映され、翌年に日本公開。第2部『青春-苦-』は2024年8月のロカルノ映画祭、第3部『青春-帰-』は2024年9月のヴェネチア国際映画祭で世界初上映。今回、1,2,3ブ同時公開される映画館もあり、3本一緒に上映されるのは日本が初めてとのこと。

2部、3部は、1部同様、長江デルタ地域の「子供服の製造」で有名な、織里(しょくり)という町の縫製工場で働く若者たちの労働と日常が描かれる。農民工と呼ばれる、出稼ぎの若者たちを通して、中国の若者たちの姿、出稼ぎの街の姿、農民工たちの故郷の姿を通し、てこの時代の中国の姿が浮かびあがってくる3部作。

『青春』-苦-(第2部)
第2部タイトルは「苦」。中国、織里。ある縫製工場で繰り広げられる若者たちの姿。1部と同じく、ものすごいスピードでミシンで子供服を縫製するシーンが繰り返し映し出される。子供服製造の速度を競い合ったり、歌を流しながら、おしゃべりをしながら、ミシンに向かう若者たち。笑い合ったり、ふざけ合ったり、喧嘩したり、そんな光景が続く。ミスばかりする者もいて仲間に呆れられ、働きたくない者も。帳簿をなくして、社長に賃金は払えないと言われたり、賃上げ交渉のシーンも。交渉決裂で、なかなか妥結しない。そういうのが延々映し出される。別の工場では、社長が全財産を持ち逃げしてしまい、賃金が支払われなかったり、生々しい状況が続く。気楽に働いているようだけど、そういうリスクもいろいろ出てくる。そして、春節を祝うため、故郷へ帰る人々。そして、故郷までカメラは追いかける。

『青春』-帰-(第3部)
春節の休暇が近づき、職工たちは故郷で春節を祝うため郷里に順次戻り、織里の縫製工場は閑散としている。わずかに残った労働者たち。カメラは彼らの故郷まで追いかける。故郷で春節を祝う人々。休暇中に結婚式を挙げる人もがいる。それぞれの故郷での出来事を追う。でも、故郷には仕事がない。春節の休暇が終わり、労働者たちはまた織里の縫製工場に戻る。働き場所がなくなって、職場が変わった人もいる。そして、新たに若い世代の出稼ぎが工場にやってきた。変わらない生活、変わっていく生活。でも同じように、ミシンの音は続く。

予告編
公式HPはこちら 
ムヴィオラ創立25周年記念作品
配給:ムヴィオラ

シアター・イメージフォーラム
●1週目4/26(土)〜5/2(金)&3週目5/10(土)〜5/16(金) 
1部『青春-春-』(3時間35分)11:00-14:40
2部『青春-苦-』(3時間46分)14:55-18:56(休憩あり)
3部『青春-帰-』(2時間32分) 19:10-21:47
●2週目5/3(土)〜5/9(金)&4週目5/17(土)〜5/23(金)
2部『青春-苦-』11:00-15:01(休憩あり)
3部『青春-帰-』15:30-18:07
1部『青春-春-』18:20-22:00
●4/29(火・祝)、5/10(土)は特別上映『鉄西区』(9時間5分)11:30-20:55(休憩2回あり)
●5/5(月・祝)は特別上映『死霊魂』(8時間28分)12:00-20:48(休憩2回あり)
※上記3日は『青春』は休映となります。
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2024年04月19日

ラ・カリファ 原題:LA CALIFFA

2024年4月19日 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー 劇場情報

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91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)

必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。

昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。

これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。

『ラ・カリファ』

監督・脚本:アルベルト・ベヴィラクア 撮影:ロベルト・ジェラルディ 音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ロミー・シュナイダー、ウーゴ・トニャッツィ、マリーナ・ベルティ、マッシモ・ファネッリ、ロベルト・ビサッコ
★1971年度カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品
★1971年度デヴィッド・ディ・ドナテッロ賞主演男優賞受賞(ウーゴ・トニャッツィ)

モリコーネの甘美なメロディが心に沁みる─。
最盛期のロミー・シュナイダーが許されぬ恋におちる女性を体当たりで演じた社会派メロドラマが、待望の日本初公開!
ストライキでイタリアが混乱する中、イレーネの夫は殺害され、彼女は亡き夫に変わって労働者たちの情熱的な先導者となった。 イレーネはかつて同じ仲間だった工場経営者のドベルドと対立するが、聡明なドベルトの考え方に共鳴するうち、いつしか彼にひかれていく。互いの立場の違いを抱えながらもふたりは逢瀬を重ねていくが、やがて悲劇が彼らを襲う。

かつての仲間だった工場長とストライキの女性リーダーが恋におちてゆく社会派メロドラマ。32歳の女盛りを迎えた凛々しいロミー・シュナイダーと、『Mr.レディ Mr.マダム』シリーズのウーゴ・トニャッツィが禁断の恋を演じる。本作のテーマ曲は、数あるモリコーネのスコアの中でも人気の高い曲として知られているが、映画自体は日本では劇場未公開だった。今回ファン待望の日本初公開が実現する。監督は脚本家出身で、本作で監督デビューを飾ったアルベルト・ベヴィラクア。

「ルートヴィヒ」「夕なぎ」などに出演しヨーロッパ映画界で人気を誇った女優ロミー・シュナイダーが、許されざる恋に落ちた女性を体当たりで演じた1970年製作の社会派メロドラマ。

亡き夫の遺志を継いでストライキのリーダーとなった女性が、かつての仲間であった工場長の男性と対立しながらも次第にひかれ合っていく姿を、巨匠エンニオ・モリコーネの甘美なメロディに乗せて描き出す。「Mr.レディMr.マダム」シリーズのウーゴ・トニャッツィが工場長を演じ、イタリアの脚本家アルベルト・ベビラクアが長編初メガホンをとった。

モリコーネによるテーマ曲は数ある彼の作品の中でも特に人気が高いことで知られるが、映画自体は日本では長らく未公開のままだった。2024年4月、特集企画「エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2」にて日本初公開。

公式HP https://www.morricone-ss.com/
1970年/イタリア・フランス合作/91分
カラー/ビスタサイズ/DCP/イタリア語モノラル 
配給:キングレコード
posted by akemi at 21:09| Comment(0) | 合作 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

青春 原題:青春(春)英題:Youth(Spring)

4月20日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国順次公開 劇場情報

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© 2023 Gladys Glover - House on Fire - CS Production - ARTE France Cinéma - Les Films Fauves - Volya Films – WANG bing

監督:王兵(ワン・ビン)


上海を中心に広がる「長江デルタ地域」。
地方から出稼ぎに来ている若者たちが働く縫製工場。彼らはミシンで子供服を縫っている。手持ちカメラによって捉えられた雑然とした作業場では若い男女が猛烈なスピードで子供服をミシンで縫っている。決まった時間に何枚縫えるか競争までしている。そのような作業をしながら、彼らはその反復労働に慣れて、手を動かしている間でも、同僚同士で活発な会話を続けている。あちこちで言い争いも起こる。また、カップルもいる。
ワン・ビン監督の新作は、中国の10代後半から20代の若い世代を、衣料品製造の中心地である浙江省湖州市の織里鎮という町での彼らの青春と反復労働の日々に焦点を当てた作品。
カメラはあくまで観察的な姿勢で、若者たちの劣悪な労働環境や、彼らの人生や恋愛、賃金交渉にどのように対処しているかを淡々と捉える。若者たちの多くにより良い未来が待っているようには思えないが、今ここを楽しもうとする彼らの楽観主義的な姿が印象に残る。

彼らのような若者も、実は長江デルタの経済を支えている一員であることを認める人はほとんどいない。世界は彼らに注目しない。しかし、ここには驚くほどにみずみずしい青春がある。自分がやるべき仕事は「世界から見えない人たちの生を記録すること」と語る王兵監督。

王兵(ワン・ビン)WANG BING HPより
1967年11月17日、中国陝西省西安生まれ。
街で生まれたが、飢饉のため幼少時に農村に移り住む。父は出稼ぎに行き、母・妹・弟と暮らした。14歳のとき、父が病死し、当時の「接班」政策により父の仕事を受け継ぐことになり、父の職場だった「建設設計院」に職を得て、14歳から24歳まで一家の大黒柱として働く。職場で知り合った建築士らの影響で学問と写真に興味を持つようになり、1991年、人の紹介を得て、瀋陽にある魯迅美術学院で学び始める。翌92年、正規の試験を受けて写真学科に入学。3年間学んだのち、95年から1年間は北京電影学院撮影科で学ぶ。97年に魯迅美術学院に復学し、卒業するが、当時は仕事がなく、新聞映画撮影所に入り、1年半ほど知人の監督の手伝いなどをして過ごしたが、1999年、その生活に見切りをつけ瀋陽に戻り、1999年から中古のデジタルカメラひとつで、『鉄西区』の撮影に着手。2002年に5時間ヴァージョンの『鉄西区』がベルリン国際映画祭フォーラム部門で上映され、世界に衝撃を与える。その後、再編集し、2003年に9時間を超える画期的なドキュメンタリーとして完成させた。同作品は山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞はじめリスボン、マルセイユの国際ドキュメンタリー映画祭、ナント三大陸映画祭などで最高賞を獲得するなど国際的に高い評価を受ける。続いて、「反右派闘争」の時代を生き抜いた女性の証言を記録した『鳳鳴―中国の記憶』(2007年)で2度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞を獲得。2010年には、同じく「反右派闘争」時代の飢餓を題材に、初の長編劇映画となった『無言歌』を発表。初めて日本で劇場公開され、キネマ旬報の外国映画監督賞にも選ばれた。2012年には雲南省に暮らす幼い姉妹の生活に密着したドキュメンタリー『三姉妹〜雲南の子』を発表し、ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門グランプリなど数々の国際賞に輝く。
2013年には本作の配給であるムヴィオラが製作出資した『収容病棟』を発表。中国・雲南省の精神病院を撮影し、収容された一人一人が愛を求める姿を感動的に描き、ナント三大陸映画祭銀の気球賞などを受賞。2016年にはミャンマー内戦により中国国境に逃れて来た中国系のタアン族を描いた『TA'ANG』、浙江省の出稼ぎ労働者を題材にした『苦い銭』、2017年には『ファンさん』と国際映画祭で話題作が続いたが、2018年、カンヌ国際映画祭でついにこれまで記録し続けた題材、「反右派闘争時代の飢餓」の集大成となる8時間越えの大作『死霊魂』を発表。3度目の山形国際ドキュメンタリー映画祭最高賞の栄誉に輝いた。
また、ワン・ビン監督の場合、映画作品と美術作品のフィールドが交差しているが、傑作『名前のない男』(2010)をはじめギャラリーや美術祭の委嘱作品も多い。2014年には現代アートの殿堂であるパリのポンピドゥー・センターにて1カ月以上にわたる回顧展、2017年にはドイツのドクメンタ14に招聘。2021年には、パリのル・バルで「The Walking Eye」と題した展覧会が開催され、フランス・シネマテークでは映画のレトロスペクティヴも行われた。2023年にはドイツに住む中国人亡命作曲家・王西麟(ワン・シーリン)を描くビデオアート『黒衣人』を発表し、東京フィルメックスでも上映されて話題を呼んだ。

最初に彼らが出てくるときには、出身地と名前が出てくるがほとんどが近県の出身。しかも10代後半から20代前半がほとんど。作業場のすぐ並びに宿泊施設もある。そんな、2,30人規模の工場が通り沿いにたくさんあり、たくさんの若者が働いている。季節が冬に向かっているのか、彼らが製作していたのは冬用の子供服。こんな風に服は作られているのだなと、制作過程を知った。
最初、これまでの王兵監督の作品とは
「春」という言葉があるけど、これはまだ途中だそう。この作品は215分だけど、最終的に9時間くらいになるらしい。3時間半でも長いのに、9時間かとため息。前作『死霊魂』も8時間を超える作品だった。

2023/フランス、ルクセンブルグ、オランダ/215分
配給:ムヴィオラ

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