2022年11月13日

奇跡の人 ホセ・アリゴー  原題:Predestinado, Arigó e o Espirito do Dr. Fritz 英題:A Dangerous Practice

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©2019 WMIX DISTRIBUIDORA LTDA. TODOS OS DIREITOS RESERVADOS.

監督::グスタヴォ・フェルナンデス
出演::ダントン・メロ/ジュリアナ・パエス/ジェームズ・フォークナー/アントニオ・サボイア

1955年、ブラジル南東部ミナスジェライス州の小さな町コンゴーニャス。鉱員だったホセ・アリゴーは、鉱員組合を作りながらも身体を壊し、今は雑貨店を営んでいる。ある日、夢にドイツ人医師アドルフ・フリッツが現れ、「お前の使命だ」と人々を治癒するよう諭される。何かに憑かれたように、アリゴーは病に冒された人たちに対し、素手で癌を取り除いたり、ナイフで白内障や傷口の施術を施したりする。神父からは、心霊治療は許されないと脅されるが、噂を聞いて大勢の人が押しかけ、奇跡を見たいと国外からも取材にやってくる。偽医者と告発され、実刑判決も受けるが、彼を慕う人々からの抗議が殺到。その後、釈放され治療を続けるが、やがて、使命の終わりと死を察知。自らの予言通り、1971年に交通事故で命を落とす。

無学にもかかわらず、200万人もの人の癌や白内障などを心霊手術で治した実在の人物ホセ・アリゴーの物語。本名は、ホセ・ペドロ・デ・フレイタス。小さい時から、「ホセ・アリゴー(農場の少年、愚か者と言った意味合い)」のあだ名で呼ばれていたとのこと。
信じがたいですが、映画の最後には、実際にナイフを目に突き刺して治癒している様子や、手を突っ込んで悪い部分を取り出したりしている本物のホセ・アリゴーの映像が出てきました。多くの人の病を治しながら、治療費を一切受け取らなかったことも、人々から敬愛された理由なのでしょう。
その一方で、神父をはじめ、ホセ・アリゴーのことをよく思わない人々がいたのも事実。従妹である奥様との間に、7人の子に恵まれましたが、何かに取りつかれ、自分であって自分でないような人生、果たして幸せだったのでしょうか・・・ (咲)

2022年/ブラジル/カラー/108分
共同製作:パラマウント・ピクチャーズ/協力:エデン
配給:エクストリーム
公式サイト:http://kisekinohito.com/
★2022年11月18日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、UPLINK吉祥寺他全国ロードショー!
posted by sakiko at 02:20| Comment(0) | ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年03月26日

私はヴァレンティナ(原題:Valentina)

 
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監督・脚本:カッシオ・ペレイラ・ドス・サントス
出演:ティエッサ・ウィンバック、グタ・ストレッサー、ロムロ・ブラガ、ロナルド・ボナフロ、マリア・デ・マリア、ペドロ・ディニス

ブラジルの小さな街に引っ越してきた17歳のヴァレンティナ(ティエッサ・ウィンバック)。彼女は出生届の名であるラウルではなく、通称名で学校に通う手続きのため蒸発した父を探している。未だ恋を知らないゲイのジュリオ(ロナルド・ボナフロ)、未婚の母のアマンダ(レティシア・フランコ)など新しい友人や新生活にも慣れてきたが、自身がトランスジェンダーであることを伏せて暮らしていた。そんな中、参加した年越しパーティーで見知らぬ男性に襲われる事件が起きる。それをきっかけにSNSでのネットいじめや、匿名の脅迫、暴力沙汰など様々な危険が襲い掛かるのだった…

ブラジルはLGBTQの権利保障に対して前向きに動き、同性婚が認められた。その一方で差別はいまだ根強く残っており、トランスジェンダーの中途退学率は82%、そして平均寿命は35歳と言われている。
監督のカッシオ・ペレイラ・ドス・サントス、プロデューサーで監督の姉であるエリカ・ペレイラ・ドス・サントスはともにLGBTQであり、自分たちのような人物たちを社会がもっと認識してほしいという望みから映画を作ったという。
主人公のヴァレンティナを演じているのは実際にトランスジェンダーのティエッサ・ウィンバック。77万人の登録者がいるYouTubeチャンネルを運営している。演技経験はなかったものの、ヴァレンティナの言葉にできない辛さや悲しみが全身からにじみ出ていたのは自身が経験してきたことだからだけでなく、YouTuberとして表現してきたことが活きているのだろう。
希望を感じるラストに後味はとてもいい。ただ、フィクションだからこういう風に終われたのではないか。いや、このラストがリアルに感じられるような社会が早く来るよう、社会全体の意識が変わることを切に願う。(堀)


2020年/ブラジル映画/ポルトガル語/95分/スコープサイズ/カラー
配給:ハーク
(C)2020 Campo Cerrado All Rights Reserved.
公式サイト:https://hark3.com/valentina/
★2022年4月1日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
posted by ほりきみき at 23:25| Comment(0) | ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年09月05日

マイ・バッハ 不屈のピアニスト(原題:Joao, o Maestro)

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監督:脚本:マウロ・リマ
プロデューサー:ブルーノ・レザビシャス
撮影:パウロ・バイネル
出演:アレクサンドロ・ネロ(ジョアン成年)、ロドリゴ・パンドルフ(ジョアン青年)、ダヴィ・カンポロンゴ(ジョアン幼少)、カコ・シオークレフ(ピアノ教師)、フェルナンダ・ノーブル(最初の妻)、アリーン・モラエス(妻)

幼い頃からピアノが得意だったジョアンは、瞬く間にとその才能を伸ばし13歳でプロとなった。20歳でカーネギーホールでの演奏デビューを飾っり“20世紀最も偉大なバッハの奏者”として世界的に活躍するまでになる。
一流の演奏家として世界を飛び回っていたジョアンだったが、不慮の事故により右手の3本の指に障害を抱えてしまう。ピアニストとして生命線である指が動かせなくなった彼はリハビリに励み、再びピアニストして活動できるまでになる。ついに復帰を果たし自身の代名詞ともいえるバッハの全ピアノ曲収録という偉業に挑戦をしていたところ、さらなる不幸が襲いかかった。

ブラジルのピアニスト、ジョアン・カルロス・マルティンスの伝記映画。子ども時代、青年時代、成年時代と3人の俳優がジョアンを演じています。ピアノ演奏の場面も多く、どのシーンも本人が演奏しているように見えます。プレスには言及されていませんが、動きは本人のものでしょう。得意な楽器が何もない私など、どれを見てもははーっと感服するばかり。
最初の事故で指が動かなくなっても決して諦めず、リハビリに励んだジョアンですが、さらに何度もの試練がやってきます。たった一つでさえ、乗り越えられず屈服してしまいそうなのに。
重なる不幸にめげず、片手で、さらには握りこぶしで、と道を開いていくジョアンの姿が素晴らしい!誰もができることではありません。が、ちょっとのことで愚痴っちゃいられないと背筋がシャキン!!と伸びますよ。この偉業の一方なかなかのプレイボーイだった一面も描いていて、人間臭いところもあるのねとちょっと安心します。(白)


クリント・イーストウッドも映画化を考えたという。若くして世界的な活躍をしていたピアニストが2度の不幸に見舞われたにもかかわらず、その苦難を乗り越えて、音楽の道を切り開いていく。確かにクリント・イーストウッドが興味を示しそうな内容だ。プロデューサーであるブルーノ・レザビシャスはジョアン・カルロス・マルティンスが指揮を務めるコンサート会場で「この物語はブラジル人こそが映画化すべきだ」と直談判し、映像化にこぎつけた。
話を暗く、重いものにしたくなかったからだろうか。ものすごい苦労があったはずなのだが、いつもするりと乗り越えてしまう。またジョアンがいつの間にか結婚をしているなど、パーソナルな部分に説明不足を感じた。それはジョアン本人から音楽家としての功績などにフィーチャーしてほしいというリクエストがあって、脚本の方向性を修正したからのようだ。クリント・イーストウッドが作ったら、もっと人間ジョアン・カルロス・マルティンスが深く描かれたのかもしれない。
しかし、音楽家としての功績にスポットを当てたので、ジョアンがピアノを弾くシーンが多い。しかも、それはジョアン・カルロス・マルティンス本人が弾いたものを使っている。心地よいバッハのメロディーに酔いしれる2時間となった。(堀)


2017年/ブラジル/カラー/117分
配給:イオンエンターテイメント
http://my-bach.jp/
★2020年9月11日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 08:56| Comment(0) | ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年07月12日

ぶあいそうな手紙

7月18日シネスイッチ銀座で公開 劇場情報

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(C)CASA DE CINEMA DE PORTO ALEGRE 2019

監督:アナ・ルイーザ・アゼベード
製作総指揮:ノラ・グラール
脚本:アナ・ルイーザ・アゼベード、ジョルジ・フルタード
脚本協力:セネル・パス
出演
エルネスト:ホルヘ・ボラーニ
ビア:ガブリエラ・ポエステル
ラミロ:ジュリオ・アンドラーヂ
ハビエル:ホルヘ・デリア
アウレア・バチスタ

ブラジル発の心温まる物語!
ブラジル南部ポルトアレグレ出身のアナ・ルイーザ・アゼベード監督の作品。
この街に住むエルネストは78歳で一人暮らし。隣国ウルグアイからやって来て46年。
部屋には本がたくさんあり、写真も部屋中に飾ってあり、教養もありそうだけど、融通がきかず頑固者。だんだん目が見えにくくなっている。そんな父を見て、サンパウロに住む息子のラミロは一緒に住もうと言い出すが耳もかさない。隣に住んでいるのはアルゼンチンから来たハビエル。年の頃は同じくらいで、数少ない友人でもある。
ある日、エルネストのところにウルグアイから1通の手紙が届いた。差出人はウルグアイ時代の友人の妻からだった。ハビエルが読もうかというが、強がって「大丈夫」と答えたもののやはり字が見えない。通ってくるブラジル人の家政婦に読んでもらおうとしたが、ポルトガル語ならともかく、スペイン語のためうまくは全部は読めずにいた。ただ、わかったのは友人が亡くなったということ。
*ブラジルの公用語はポルトガル語。ウルグアイ、アルゼンチンの公用語はスペイン語。
偶然知り合ったブラジル娘のビアが手紙を読んでくれるようになった。返信の代筆も。これがきっかけで二人の交流が始まる。ビアはそのアパートに叔母がいて手伝いで出入りしているというが嘘だった。しかし、ビアの嘘もわかった上で交流を続ける。「手紙の読み書き」のため、一人暮らしのエルネストの部屋にビアが出入りするようになるが…それは、エルネストの人生が変わる始まりだった。
仕事も恋もうまくいっていないのかワケありのビア、隣人ハビエルは心を許せる友人ではあるけど、ついつい強がりを言ってしまう。ウルグアイの友人の妻ルシア、父を手元に呼ぶかわりにアパートを売り払おうともくろむ息子。そんななかで心を正直に伝えられないエルネストが最後に宛てた手紙の相手は?
ほんのり苦くて可笑しくて、あたたかいラテンアメリカの話。

コロナ禍の緊急事態の中、2ヶ月近く自粛して自宅待機していたのですが、解禁になった時に最初に観たのがこの作品でした。久しぶりの外出に足も体もよろよろふらふらと出かけたので、この作品の内容が身につまされました。でも、映画を観る喜びとともに心温まる内容に、私もうまくこの状態を打破できるか希望をちょっと持つことができました。年を取ると若い頃と違って、思うように動いたり行動したりできなくなってきます。エルネストはどんな生涯をへてこのアパートで暮らしているのかはわかりませんでしたが、部屋の様子から写真をやってきた人だろうなということはわかりました。部屋にたくさんの写真が飾られていて写真の引き伸ばし機がさりげなく写ったからです。
日本からブラジルに移住した人たちはほとんどが農業移民でしたが、国内で食べていけなくなった人がほとんどでした。でもエルネストはブラジルに渡って46年ということなので、1975年前後にブラジルに渡ったのでしょう。南米各国で軍政下などで避難民が多く出た時期でもあります。それを逃れての移住だったのかもしれません。そのへんも知りたいと思いました。
ブラジルはかつて「人種のルツボ」といわれていましたが、いろいろな国からの移民が多かったからでしょう。私自身は実は中学生くらいの頃にアマゾンに興味をもち、それからブラジルに移住したいと考えていたので、中学生の頃、ブラジル、アマゾン、移住関係の本をずいぶん読んだ覚えがあります。とうとう移住はできませんでしたが、いつか南米に行ってみたいとずっと考えていました。そして、去年、ピースボートの船で世界一周の船旅に出た時に、ブラジル(リオデジャネイロ)、ウルグアイ(モンテビデオ)、アルゼンチン(ヴィエノスアイレス)に立ち寄りました。そんなこともあり、この映画に出てくる3カ国の関係とか興味深かったです。
また、スペイン語とポルトガル語は意外に近い言語のようです。この旅でも実感しました。私は英語もそんなには話せないし、ましてやポルトガル語(アルファベットといくつかの挨拶言葉で挫折)もスペイン語(旅に出る前にTVでスペイン語講座を見たり、船の中のスペイン語講座にも行ってはみたけどほとんど覚えられず)もほとんどわからず状態ですが、この3カ国の街中では英語は全然通じず、いくら得意でないといっても英語が通じないのは買い物などにとても不便でした。この作品ではブラジル娘のビアがスペイン語の手紙の代読と代筆をするというのがミソでした。そしてラストの展開に注目!(暁)。


人生、まだまだ何が起こるかわからない!
エルネストは、手紙が読めないほど目も見えなくなっていて、息子も一人暮らしを心配して呼び寄せようとしています。まさに老いていくのみの様相。ところがどっこい! こんな人生を私も送りたいという選択をするのです。関連して色々書きたいことがあるのに、ネタバレになるので書けないのが、すご~く残念です。ぜひ、ラストを楽しみにして劇場でご覧になってください。

舞台になっているポルトアレグレは、ブラジル最南部の町。アナ・ルイーザ・アゼベード監督の住む町で、ヨーロッパからの移民が多く、白人が80%。また、ウルグアイやアルゼンチンと近いので、両国での独裁政権の圧政から逃れて移住してきた人も多いとのこと。彼らは母語のスペイン語と、ブラジルのポルトガル語をミックスした「ポルトニョール」を話しているそうです。
主役のエルネストを演じたホルヘ・ボラーニは、ウルグアイの名優。『ウィスキー』(2004年)で、やはりブラジルに住むウルグアイ人の役でした。隣人の友人ハビエルはアルゼンチンから来た設定で、演じているホルヘ・デリアは、やはりアルゼンチンの方。
エルネストやハビエルが、どういう事情でポルトアレグレに移住してきたかは、言葉の端々や手紙の内容から類推するしかないのですが、知らない土地で、冗談を言いあえるいい隣人に恵まれたいものだと思わせる関係です。
まだまだ書きたいことはいっぱい♪ 心に響く映画です。(咲)


参考資料(暁)
やっと映画を観に行き始めました。そしてあっという間に3週間
(『ぶあいそうな手紙』試写を観にいった時の話が載っています)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/475968319.html

公式HP
2019年製作/123分/ブラジル
原題:Aos olhos de Ernesto
配給:ムヴィオラ


posted by akemi at 20:25| Comment(0) | ブラジル | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする