2023年11月26日
メンゲレと私 原題:A Boy's Life
監督:クリスティアン・クレーネス、フロリアン・ヴァイゲンザマー
『ゲッベルスと私』 (2018年公開)、『ユダヤ人の私』 (2021年公開)に続く「ホロコースト証言シリーズ」3部作の最終作。
リトアニア出身のユダヤ人、ダニエル・ハノッホ(1932年生まれ)。9歳の時、カウナス郊外のゲットーに送られ、その後、12歳でアウシュヴィッツ強制収容所に連行された。多くの子供が到着後にガス室で殺されたが、金髪の美少年だったダニエルは、ヨーゼフ・メンゲレ医師の「選別」により奇跡的に生き延びた。非人道的な人体実験を繰り返したメンゲルは、神のように崇められ、すべての者の生存権は彼の手にあり、“死の天使”の異名を持っていた。だた、ダニエルが見た真の地獄は終戦末期に連合軍の攻勢から逃れるため強制的に連れていかれた「死の行進」であった。暴力、伝染病、カニバリズム・・・少年は人類史の最暗部を目撃する。
取材当時91歳のダニエルが、子供時代に味わった地獄を語る合間に、様々なアーカイブ映像が流れます。ロシアの風刺アニメーション『シネマ・サーカス』、ソ連のプロパガンダ映画『モスクワ攻防戦』、1961年にアイヒマンに見せたアウシュヴィッツ強制収容所でカートので死体やガス室に送られた人々の所持品を運ぶ姿、米兵を洗脳し国民を団結させるための映像等々・・・ 人はいかに映像で騙されてしまうのかを教えられます。起こった事実が後世の人の目に触れるという利点もありますが。
ホロコーストで犠牲となったユダヤ人の子供たちは約150万人。そのうち、アウシュヴィッツ強制収容所に連行されたユダヤ人の子供は推定21万6千人で、45年1月にソ連軍が収容所を解放した際、生存していた子供たちは、わずか451人。
奇跡的に生き延びたダニエルは、1945年5月にアメリカ軍によって解放され、兄のウリとイタリアで再会し、兄弟はその後パレスチナに入国しています。
映画の最後に、ダニエルは、「イスラエルでラヘルと出会い、幸せな家庭を築いた。“素晴らしき甘い人生”だ」と語ります。皮肉にも聞こえますが、生き抜いたお蔭で手に入れた人生には違いありません。
ダニエルの発言の中で気になったことがありました。
リトアニアがソ連に占領されたとき、ソ連の人たちも軍人も優しかったけれど、その後、ドイツに占領された時、町にドイツ人が来る前にリトアニア人がユダヤ人を殺したのだそうです。また、ホロコーストから解放された後に行ったオーストリアでも、オーストリア人はユダヤ人に冷たかったけれど、イタリアでは優しく迎えてくれたという発言がありました。
前作『ユダヤ人の私』の折に、「オーストリアの反ユダヤ主義はドイツ人が持ち込んだものではなく、オーストリアで何世紀にもわたって培われ、カトリック教会がそれを後押しした」と知りました。リトアニアの反ユダヤ主義はどこから生まれたものなのでしょう・・・
ヨーロッパ各地で嫌われ、ホロコーストを生き抜いた人たちが戦後作った国イスラエル。
暮らしていたパレスチナ人を追い出す形で国を作り、さらにまた、ガザ地区に閉じ込めたパレスチナ人を、ハマスがテロリストだからという理由をつけて攻撃する暴挙。
ホロコーストの加害者は別にいるのに、これでは弱い者いじめ。
お互いを認め合って共存できる世界は、どうして実現しないのでしょう・・・(咲)
ユダヤ人の大虐殺を描いた映画はこれまでも数多くあった。それでも、この大虐殺を生き抜いた人たちが生きている間にいろいろな証言を記録しておいてほしい。そして、その体験したことが二度とおこらないように公開していってほしい。ま、過去の過ちを繰り返さないということを学ばない人が多いから、今も戦争が続いているのだろうから、効果のほどはなんともいえないが…。
非人道的な人体実験を繰り返したメンゲレは死の決定権をもっていた。そんな中、ダニエル・ハノッホさんはメンゲレに気にいられ奇跡的に生き延びた。ダニエルさんが語ったリトアニアでの当時の話は貴重である。
彼が語ったことで印象に残っているのは下記の証言。
・「リトアニア人がユダヤ人を殺し、ドイツ人は見ていた」
ナチスがユダヤ人の大虐殺を行ったと言われているが、各国で、その国の人たちがユダヤ人に対しておこなってきたことはあまり問われていない。
・「人間を死に追いやるラインを見ていた」
生き延びた人たちは、こういう立場だった人が多いので、負い目をもっていることが多いのでしょう。
・「番号が私の名前。アイデンティティを無くした」
「番号が私の名前」というのはこれまでも何人もの証言者たちから出ているが、この言葉を聞いていたから、今、日本で進んでいるマイナンバー制度に対して番号で管理される社会への疑問がある。だからマイナンバーカードは作っていない。
・「解放されて食料も探したが、文房具(鉛筆と紙)を探した。」
鉛筆と紙を求めたのは、自分の体験を忘れないうちに記録するためだったのでしょう。ダニエルさん、あちこち連れまわされたのに、その地名などをちゃんと覚えていて証言していたのは、記憶が確かなうちに記録しておいたからかもしれないと思いました(暁)。
2021年/オーストリア/96分/モノクロ
日本語字幕:吉川美奈子
配給:サニーフィルム
後援:オーストリア大使館、オーストリア文化フォーラム東京、イスラエル大使館
公式サイト:https://www.sunny-film.com/shogen-series
★2023年12月3日(日)東京都写真美術館ホール
12月6日(水)大阪・第七芸術劇場、12月9日(土)沖縄・桜坂劇場にて公開
東京都写真美術館ホール
『メンゲレと私』
上映期間:2023年12月3日(日)~12月15日(金)
休映日:2023年12月4日(月)、11日(月)、13日(水)
『ゲッベルスと私』 ※12月9日(土)、10(日)のみ上映 12;30~
『ユダヤ人の私』 ※12月9日(土)、10(日)のみ上映 14:50
・参考資料 シネマジャーナルHP 特別記事
『北のともしび ノイエンガンメ強制収容所とブレンフーザー・ダムの子どもたち』
東志津監督インタビュー
2023年09月01日
ヒンターラント(原題:Hinterland)
監督・脚本:ステファン・ルツォヴォツキー「ヒトラーの贋札」
撮影:ベネディクト・ノイエンフェルス
出演:ムラタン・ムスル(ペーター・ペルク)、リヴ・リサ・フリース(テレーザ・ケルナー博士)、マックス・フォン・デル・グローベン(パウル・セヴェリン)、マルク・リンパッハ(ヴィクトア・レンナー)、マルガレーテ・ティーゼル(管理人)
第一次世界大戦が終結、ロシアの捕虜収容所から帰還したオーストリアの兵士たち。ドナウ川をさかのぼり、故郷のウィーンを目指している。力尽きた者は川に捨てられた。たどり着いた故郷は敗戦のため荒廃、皇帝は国外へ逃亡し、共和国となっていた。元刑事のペーター・ペルク中尉は、帰る家も家族も失った戦友に自分の住所を渡す。戻った家は空で、長い留守の間妻は生活に追われ、田舎へ移っていた。
拷問の跡がある死体が発見された。ペーターのメモを持っていたため、警察が容疑者として連行する。その後も痛めつけられた死体が次々と見つかり、帰還兵だったことが共通していた。敏腕刑事だったペーターは捜査に協力することになる。それは自分の心の闇と向き合うことでもあった。
まるでダークファンタジーのような画面は、全編ブルーバックで撮影したのだそうです。背景が何もないところで俳優は演技をし、後で描き込まれた背景と合成するわけですね。陰惨な物語なのに、どのシーンも絵画的で美しいのです。冒頭、死にゆく若い兵士を仲間が取り囲む場面は一人一人の表情が光に浮かび上がり、レンブラントの名画”夜警”のようでした。
皇帝や国のために戦い、ロシアに抑留されて戻ったペーターは、アカと呼ばれて蔑まれます。戦友たちは帰る家がありません。消息不明の兄を探し続けるセヴェリン警部、死体を検分するテレーザ・ケルナー博士は「戦争が終わり、共和制になってから女性でも医師の仕事ができるようになった」といいます。様々な立場の人々たちの人にスポットが当たっていくにつれ、不可解な殺人事件の真相解明も進んでいきます。
「Hinterland」とは「後背地」。港湾や都市などの背後にある土地のことをいうのだそうです。この映画でのヒンターラント(後背地)とは何を指していたのでしょうか?宿題。(白)
舞台は、1918年に第一次世界大戦が終結して、2年程経った1920年頃のウィーン。
地獄のような抑留生活を耐え抜いて帰ってきた故郷は変わり果てていました。
1270年以来この地を支配してきたハプスブルク家。戦争前には、オーストリア、ハンガリー、チェコ、スロバキア、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ウクライナの一部、ポーランドの一部を領土とする巨大な帝国となっていました。フランツ・ヨーゼフも約70年間皇帝として君臨していました。帝国が崩壊し共和国になりましたが、国土はほぼ今のオーストリアだけと大幅に縮小。超大国の威信を持って戦地に赴いた人たちにとって、生きて帰ったものの複雑な思いがあったことと思います。
東から逃げてきたユダヤ人が「イスラエル再建を」のビラを撒いていて、「彼らを養うために戦ったのか」とののしる声も聞こえ、ロマノフ王朝が崩壊しソ連となった影響も垣間見られます。
それでも、戦前から変わらないウィーンも映画に映し出されています。
『第三の男』で有名な観覧車のあるプラーター公園、白と赤の路面電車(1897年より電化車両)、シュテファン大聖堂とその脇にある大鐘プンマリン・・・
このプンマリンは、1683年にオスマン帝国軍が敗退した時に残していった大砲などの武器を溶かして鋳造したもの。トルコ人の両親のもとにウィーンで生まれた名優ムラタン・ムスルが主役ペーターとして、この大鐘のそばで殺人鬼を追い詰めるのですから、なんとも面白い!
ウィーンのカフェ文化も、オスマン帝国軍が敗退時に置いていったコーヒー豆を使って、取り残されたトルコ人がカフェを開業したのが始まりといわれています。
ジャズの生演奏を聴きながら女医のテレーザとカフェでくつろぐペーター。「戦前は、ワルツとオペレッタだけだった」と語っています。趣向は変わってもカフェ文化は健在。
それにしても、今も世界の各地で領土を巡って続く戦争・・・ 権力者の思惑で犠牲になるのは、戦争などには加担したくない庶民。むなしいです。(咲)
2021年/オーストリア、ルクセンブルク/カラー/シネスコ/99分
配給:クロックワークス
(C)FreibeuterFilm / Amour Fou Luxembourg 2021
https://klockworx-v.com/hinterland/
★2023年9月8日(金)ロードショー
2023年07月08日
大いなる自由(原題:Große Freiheit /英題:Great Freedom)
監督・脚本:セバスティアン・マイゼ
共同脚本:トーマス・ライダー
撮影監督:クリステル・フルニエ(『水の中のつぼみ』『トムボーイ』『ガールフッド』)
編集:ジョアナ・スクリンツィ
音楽:ニルス・ペッター・モルヴェル、ペーター・ブロッツマン
出演:フランツ・ロゴフスキ(『希望の灯り』『未来を乗り換えた男』)
ゲオルク・フリードリヒ、アントン・フォン・ルケ、トーマス・プレンほか
第二次世界大戦後のドイツ。男性の同性愛を禁じた刑法175条の下、ハンスは自身の性的指向を理由に繰り返し投獄される。同房の服役囚ヴィクトールは彼を嫌悪し遠ざけようとするが、腕に彫られた番号から、ハンスがナチスの強制収容所から直接刑務所に送られたことを知る。己を曲げず何度も懲罰房に入れられる「頑固者」ハンスと、長期の服役によって刑務所内での振る舞いを熟知しているヴィクトール。反発から始まった二人の関係は、長い年月を経て互いを尊重する絆へと変わっていく 。
20余年にもわたって愛する自由を求め続けたハンスの物語。ナチスが各地に作った収容所には政治犯、ユダヤ人、ロマ、障碍者、さらに同性愛者も送られていました。この2時間足らずの中に終戦後、保守派が同性愛嫌悪を助長した60年代、社会が変化していき175条が撤廃される90年代の社会が刑務所を通して描かれます。刑務所から出られず過酷な日々を送るハンスですが、ヴィクトールとの交流が親しいものになっていくことで、観客も少しホッとします。
「憲法は国民を縛るものではなく、権力を持つ人=為政者を縛るもの」と聞いたのは「憲法くん」でした。理不尽な法律がまかり通っているとき、それで誰が得をするのか考えなくては。差別の意識は社会にも個人にも根強く浸透しているように思います。まずは自分の内側を覗いてみましょう。覗いてみます。(白)
ドイツ刑法175条(1871~1994)は1871年に制定され、ナチスが台頭してから厳罰化、戦後もそのまま東西ドイツで引き継がれていたのだそうです。西ドイツでは1969年に21歳以上の男性同性愛は非犯罪化され、1994年にようやく撤廃された。約120年間に14万もの人が処罰されたといわれる。
※刑法175条は男性のみを対象としており、女性同性愛はその存在さえ否定されたことから違法と明記されていなかった。
旧東ドイツの刑務所跡で撮影された本作。同性愛者というだけで投獄された人たちの無念な思いがずっしり伝わってきました。1958年には、東ドイツで刑法改正により175条が事実上無効になり、映画の中で、「東ドイツに逃げよう。収監されない」という言葉が出てきます。東から西に逃げたい人の多かった時代にです。
映画のラスト、Marcel Mouloudjiの歌う「L'Amour, l'Amour, l'Amour」が、のびのびと響き、自由に愛せる喜びを感じさせてくれました。
一方で、今でもチェチェン共和国やイランなど、同性愛が罪とされる国があることに、理不尽な思いが募りました。(咲)
2021年カンヌ国際映画祭ある視点部⾨審査員賞受賞
2022年アカデミー賞国際⻑編映画賞オーストリア代表作品。
2021年/オーストリア、ドイツ/116分/1:1.85/カラー/R15+
配給:Bunkamura Subsidized by German Films
©2021FreibeuterFilm•Rohfilm Productions
https://greatfreedom.jp/
2023年7月7日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次公開
2023年04月09日
マネーボーイズ(原題:金錢男孩 Moneyboys)
監督・脚本:C.B. Yi(シービー・イー)
出演:クー・チェンドン(フェイ)、クロエ・マーヤン(ルールーほか)、リン・ジェーシー(シャオライ)、バイ・ウーハン(ロン)、ザック・ルー
田舎から都会に出てきて、恋人シャオライと暮らしているフェイ。親に仕送りするために男娼の仕事をしている。親はお金は受け取るものの、同性愛者の息子を一族の恥、として認めない。ある日フェイが顧客から暴行を受けてもどってきた。激高したシャオレはその男を探して仕返しをするが、男のt手下たちに袋叩きに遭ってしまう。警察に捕まるのを恐れたフェイは逃げ出し、シャオレイの元には帰らなかった。
5年後、男娼を続けて羽振り良いフェイのもとに、自分もフェイと同じ仕事をする、と幼馴染のロンが転がり込んできた。そしてフェイは偶然シャオレイと再会する。
C.B. Yi監督は中国からオーストリアに移住し、ウイーン・フィルム・アカデミーでミヒャエル・ハネケに師事しました。これが初長編です。ゲイカップルの切ない愛情と、社会での立ち位置、人間関係の葛藤を描いています。
フェイがアパートの5階の部屋から出ていく場面は長回しで、足を引きながら階段を降り、明るい外に出ていって初めてタイトルが出てきます。そして5年後、別の街で別の人との部屋。スコープ画面に必要なものを入れても、うるさくならない画面構成が美しいです。
主演のクー・チェンドンはギデンス・コー監督の『あの頃、君を追いかけた』(2011)の高校生役の印象が残っています。ボールペンで背中をつつかれていましたっけ。はや32歳になりました。
同い年のリン・ジェーシーの俳優デビューは遅く、台湾のテレビドラマ「悪との距離」(2019)「お仕事です!~The Arc of Life~」(2021)で人気が出ました。この2本は日本でも配信で見ることができます。『3人の夫』(2018)で驚かせたクロエ・マーヤンがこの作品では3人の女性を演じています。どの人か当ててね。(白)
2021年/オーストリア、フランス、台湾、ベルギー合作/カラー/シネスコ/120分
配給:ハーク
(C) KGP Filmproduktion, Zorba, ARTE France Cinéma,Flash Forward Entertainment, La Compagnier Cinematographique&Panache Productions 2021
https://hark3.com/archives/1872
★2023年4月14日(金)より全国順次公開
2022年05月01日
スージーQ 原題:Suzi Q
2022年5月6日より全国順次公開 公開劇場情報
アメリカの1960年代以降の音楽、フォーク、カントリー、ロックなどの分野を代表する歌い手を紹介する「極上のロック・ドキュメンタリー ROCKUMENTARY2022」の3本が公開され、その第一弾として『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』が公開されている。そしてあとの2本が『スージーQ』と『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』。それでは『スージーQ』を紹介します。
女性ロックシンガーの草分けスージー・クアトロ
道を切り拓いたのは彼女だった
監督・製作:リーアム・ファーメイジャー
製作:テイト・ブレイディ
編集:サラ・エドワーズ
撮影:ジャック・イートン、ジェームズ・ナトール、デヴィッド・リチャードソン
出演:スージー・クアトロ、アリス・クーパー、ジョーン・ジェット、デボラ・ハリー、シェリー・カーリー、リタ・フォード、
黒レザーのジャンプスーツ。レザーのスーツ姿で仁王立ちするジャケット写真は、“スージー・クアトロ”の代名詞とも言える。小柄な体で大きなベースを弾きながらしゃがれ声でシャウトするスージーQことスージー・クアトロ。キュートな姿でバックバンドの男たちを率いて歌う姿がとても神々しい。そこに至るまでの彼女のエネルギッシュな半生を描いたドキュメンタリー。
70歳を超えてもなお現役で活躍する女性ロックシンガーの草分け的存在であるスージー・クアトロは、車の町アメリカ・デトロイトに生まれ、音楽一家に育ち、60年代に姉妹で結成した「プレジャー・シーカーズ」というバンドを作り地元で活躍していた。しかし、スージーだけがメジャーに引き抜かれ、イギリスに渡ってデビューする話が出て、迷った末、その道を進むことになった。ロンドンでの成功。しかし、そのことが家族との確執を生む。成功しながらも苦しい時代を過ごす。そして、イギリスでは活躍していたものの、アメリカでの成功はなかなか難しかった。女性ロックンローラー誕生の真実に迫る。
多くの女性に影響を与えた彼女の魅力。彼女を追ってロッカーになった女性たち、スージーを崇拝するジョーン・ジェットや、デボラ・ハリー、 シェリー・カーリー、スージーと共にツアーに同行したアリス・クーパー等、女性ロッカー総出演で、彼女の音楽を語る。そして、周りのバンドメンバーや、音楽関係者、そして家族が彼女を語る。
女性ロック歌手の草分け的存在として1970年代に一世風靡したスージー・クアトロということだけど、私自身はこの3本のシリーズの中で、スージー・クアトロは名前しか知らなかった。私はロック系のがなり立てるような歌い方とかエレキギターの音が好きではなかったので、自分から聴いてみようとはしていなかった。ただ、ラジオや街中で流れていた音楽は自然に入ってくるので、知らずに聴いていたということは多々あった。ベースを弾きながらバックバンドを従えて歌うスージーQの姿を観て、どこかで見たことあったかもと思ったし、70を越えた今もロックしている姿を観て、かっこいい!! 素晴らしい!!と思った。
このドキュメンタリ―を観て、彼女の黒いレザーのジャンプスーツの姿やベースギターをかき鳴らす姿を見て、そういえばこういう写真や映像は見たことあったなと思った。でもこの人がスージーQだとは認識していなかった。そしてYouTubeで検索してみたら、「ワイルド・ワン」や「キャン・ザ・キャン」、「メロウなふたり(Stumblin' In)」「悪魔とドライブ(Devil Gate Drive)」など聴いたことがあったと思った。
彼女はデトロイト出身だったけど、成功したのはイギリスはヨーロッパ。そしてオーストラリアや日本でも活躍したけど、アメリカではなかなかヒットが生まれなかったというけど、それは彼女にとってはつらいことだったのではないだろうか。
スージーはアメリカ人にしては小柄な女性のよう。大きなベースギターを弾く姿を観て、身体の割に大きすぎて弾きにくそうと思ったし、かなり下の位置で弾いている姿を観て、この位置で弾きやすいのだろうかとも思った。私自身小柄で、ギターを弾く時にストラップを一番短くしても長く、とても弾きずらかったのを思いだした。彼女はそうは感じていないのだろうか。あるいは慣れてしまえば、そうは思わないのか。そんなことも思った。でもYouTubeを見ていたら、そういうギターばかり使っているわけでもなさそうだから、臨機応変に使っているのかな。
余談だけど、この映画の中に、スージーQに憧れてロックアーティストになったというジョーン・ジェットが出てきたけど、私は彼女が話している姿を初めて見た。私自身はジョーン・ジェットのことは、香港の映画俳優&歌手である劉徳華(アンディ・ラウ)の歌う「我恨我痴心」という歌の元歌がジョーン・ジェットの「I Hate Myself for Loving You」ということを知った1994年から知っていたのだけど、彼女が歌う「I Hate Myself for Loving You」の映像を見たのは、今回YouTubeで検索していて出てきたので初めて見た。アンディの「我恨我痴心」は1994年、香港でのアンディのコンサートで見てとても気になり、CDやコンサートDVDなどで見ていたのだけど、その頃はYouTubeなんてないし、元歌は音しか聴けなかった。
今回、こういうのも含めて、50年近い前の映像もたくさんあって、今やそれをYouTubeなどで見ることができるということを知り、楽しみが増えた。でもYouTubeを見始めると際限がない。関連歌手や歌が次から次へと出てきてついつい見続けてしまう。スージーQもたくさんYouTubeでたくさん見た。大関のCMにも出ていたということも知った(笑)。こんなのも載っているんだね(暁)。
公式HP https://unpfilm.com/rockumentary2022/
提供:ジェットリンク
2019年製作/104分/オーストラリア
配給:アンプラグド
アメリカの1960年代以降の音楽、フォーク、カントリー、ロックなどの分野を代表する歌い手を紹介する「極上のロック・ドキュメンタリー ROCKUMENTARY2022」の3本が公開され、その第一弾として『リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス』が公開されている。そしてあとの2本が『スージーQ』と『ローレル・キャニオン 夢のウェストコースト・ロック』。それでは『スージーQ』を紹介します。
女性ロックシンガーの草分けスージー・クアトロ
道を切り拓いたのは彼女だった
監督・製作:リーアム・ファーメイジャー
製作:テイト・ブレイディ
編集:サラ・エドワーズ
撮影:ジャック・イートン、ジェームズ・ナトール、デヴィッド・リチャードソン
出演:スージー・クアトロ、アリス・クーパー、ジョーン・ジェット、デボラ・ハリー、シェリー・カーリー、リタ・フォード、
黒レザーのジャンプスーツ。レザーのスーツ姿で仁王立ちするジャケット写真は、“スージー・クアトロ”の代名詞とも言える。小柄な体で大きなベースを弾きながらしゃがれ声でシャウトするスージーQことスージー・クアトロ。キュートな姿でバックバンドの男たちを率いて歌う姿がとても神々しい。そこに至るまでの彼女のエネルギッシュな半生を描いたドキュメンタリー。
70歳を超えてもなお現役で活躍する女性ロックシンガーの草分け的存在であるスージー・クアトロは、車の町アメリカ・デトロイトに生まれ、音楽一家に育ち、60年代に姉妹で結成した「プレジャー・シーカーズ」というバンドを作り地元で活躍していた。しかし、スージーだけがメジャーに引き抜かれ、イギリスに渡ってデビューする話が出て、迷った末、その道を進むことになった。ロンドンでの成功。しかし、そのことが家族との確執を生む。成功しながらも苦しい時代を過ごす。そして、イギリスでは活躍していたものの、アメリカでの成功はなかなか難しかった。女性ロックンローラー誕生の真実に迫る。
多くの女性に影響を与えた彼女の魅力。彼女を追ってロッカーになった女性たち、スージーを崇拝するジョーン・ジェットや、デボラ・ハリー、 シェリー・カーリー、スージーと共にツアーに同行したアリス・クーパー等、女性ロッカー総出演で、彼女の音楽を語る。そして、周りのバンドメンバーや、音楽関係者、そして家族が彼女を語る。
女性ロック歌手の草分け的存在として1970年代に一世風靡したスージー・クアトロということだけど、私自身はこの3本のシリーズの中で、スージー・クアトロは名前しか知らなかった。私はロック系のがなり立てるような歌い方とかエレキギターの音が好きではなかったので、自分から聴いてみようとはしていなかった。ただ、ラジオや街中で流れていた音楽は自然に入ってくるので、知らずに聴いていたということは多々あった。ベースを弾きながらバックバンドを従えて歌うスージーQの姿を観て、どこかで見たことあったかもと思ったし、70を越えた今もロックしている姿を観て、かっこいい!! 素晴らしい!!と思った。
このドキュメンタリ―を観て、彼女の黒いレザーのジャンプスーツの姿やベースギターをかき鳴らす姿を見て、そういえばこういう写真や映像は見たことあったなと思った。でもこの人がスージーQだとは認識していなかった。そしてYouTubeで検索してみたら、「ワイルド・ワン」や「キャン・ザ・キャン」、「メロウなふたり(Stumblin' In)」「悪魔とドライブ(Devil Gate Drive)」など聴いたことがあったと思った。
彼女はデトロイト出身だったけど、成功したのはイギリスはヨーロッパ。そしてオーストラリアや日本でも活躍したけど、アメリカではなかなかヒットが生まれなかったというけど、それは彼女にとってはつらいことだったのではないだろうか。
スージーはアメリカ人にしては小柄な女性のよう。大きなベースギターを弾く姿を観て、身体の割に大きすぎて弾きにくそうと思ったし、かなり下の位置で弾いている姿を観て、この位置で弾きやすいのだろうかとも思った。私自身小柄で、ギターを弾く時にストラップを一番短くしても長く、とても弾きずらかったのを思いだした。彼女はそうは感じていないのだろうか。あるいは慣れてしまえば、そうは思わないのか。そんなことも思った。でもYouTubeを見ていたら、そういうギターばかり使っているわけでもなさそうだから、臨機応変に使っているのかな。
余談だけど、この映画の中に、スージーQに憧れてロックアーティストになったというジョーン・ジェットが出てきたけど、私は彼女が話している姿を初めて見た。私自身はジョーン・ジェットのことは、香港の映画俳優&歌手である劉徳華(アンディ・ラウ)の歌う「我恨我痴心」という歌の元歌がジョーン・ジェットの「I Hate Myself for Loving You」ということを知った1994年から知っていたのだけど、彼女が歌う「I Hate Myself for Loving You」の映像を見たのは、今回YouTubeで検索していて出てきたので初めて見た。アンディの「我恨我痴心」は1994年、香港でのアンディのコンサートで見てとても気になり、CDやコンサートDVDなどで見ていたのだけど、その頃はYouTubeなんてないし、元歌は音しか聴けなかった。
今回、こういうのも含めて、50年近い前の映像もたくさんあって、今やそれをYouTubeなどで見ることができるということを知り、楽しみが増えた。でもYouTubeを見始めると際限がない。関連歌手や歌が次から次へと出てきてついつい見続けてしまう。スージーQもたくさんYouTubeでたくさん見た。大関のCMにも出ていたということも知った(笑)。こんなのも載っているんだね(暁)。
公式HP https://unpfilm.com/rockumentary2022/
提供:ジェットリンク
2019年製作/104分/オーストラリア
配給:アンプラグド