2024年03月21日

ロッタちゃんと赤いじてんしゃ 原題:Lotta pa Brakmakargatan 英題:A CLEVER LITTLE GIRL LIKE LOTTA

2024年3月22日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA 、新宿シネマカリテ、 ヒューマントラストシネマ有楽町 他、全国にて順次公開
上映情報

xaMf38WA_R_R.jpg
©1992 AB SVENSK FILMINDUSTRI ALL RIGHTS RESERVED

『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』2Kリマスター版
1992年製作/78分/スウェーデン 
2000年6月24日(日本初公開)

スタッフ・キャスト
監督・脚本:ヨハンナ・ハルド
製作:ワルデマル・ベルゲンダール
原作:アストリッド・リンドグレーン
撮影:オーロフ・ヨンソン
美術:ラッセ・ベストフェルト
衣装:インゲル・ペーション
音楽:ステファン・ニルソン
出演
ロッタ:グレテ・ハブネショルド
姉ミア:リン・グロッペスタード
兄ヨナス:マルティン・アンデション
ママ:ベアトリス・イェールオース
パパ:クラース・マルムベリー
ベルイさん:マルグレット・ベイベルス

「長くつ下のピッピ」で有名なスウェーデンの国民的童話作家アストリッド・リンドグレーンが生んだ、もう一人のスーパー・ヒロイン、5歳の女の子ロッタちゃんと家族、彼女の相棒であるブタのぬいぐるみバムセが巻き起こすゆかいなエピソード。その数々はおしゃれで可愛く、やさしくて温かい。懐かしさを感じさせる何気ない日常がつむぎだす幸せの玉手箱。

ロッタはスウェーデンのヴィンメルビューで、両親と兄ヨナスや、姉ミアと暮らす女の子。買い物に行きたいのに風邪をひいたので、ママは許してくれない。我慢できないロッタは黄色いレインコートを着て雨の中へ飛び出して遊びにいく。春にはパパの運転する車で、家族5人で湖へピクニックに出かける。お兄ちゃんが溺れそうになったり、バムセが行方不明になったりしたけど、無事帰ってきた。
自転車に乗って出かけていく兄や姉の姿に羨望の念を抱いたロッタは、三輪車を卒業して自転車が欲しいと主張するが両親は取り合わない。ロッタが期待していた5歳の誕生日にも、プレゼントの自転車はなかった。業を煮やしたロッタは、悪知恵を働かせ、燐りのベルイさんの家の納屋にある自転車を無断で持ち出すが、大きな自転車で、小さいロッタには使いこなせない。そうまでして自転車に乗りたい思いは伝わるのか…。
大人たちの愛情に包まれながら、兄や姉と仲良く過ごすロッタの生活。春から夏にかけての日々を北欧の豊かな自然の中に描く。

公式HPより
監督・脚本 ヨハンナ・ハルド
1945年7月20日生まれ。写真学校を卒業後、スチルのカメラマンとして『刑事マルティン・ベック』(76)などの映画の現場に参加、その後映画製作を学び、短編映画の製作を開始した。脚本家として『LOVE ME!』(86)やTVシリーズを手掛け、89年にアストリッド・リンドグレーン原作の短編“Hoppa högst”、90年に同じく“Pelle flyttar till Komfusenbo”を監督、『ロッタちゃんと赤いじてんしゃ』(92)が長編デビュー作となり、続けて『ロッタちゃん はじめてのおつかい』(93)を撮った。その後、『カッレくんの冒険』(96)、『太陽の誘い』(98)などの脚本を手掛けている。


当時の撮影で使用されたロッタちゃんの相棒・"バムセ"(豚のぬいぐるみ) がスウェーデンより緊急来日!! 上映期間中は「新宿シネマカリテ」の劇場ロビーにて、展示されるそうです。
また、本作の公開を記念し、バムセの再販決定が発表されると大きな反響を呼ぶなど、日本でも根強い人気がある。

その他、「ヒューマントラストシネマ有楽町」ではオリジナルドリンクの提供、「YEBISU GARDEN CINEMA」ではロッタちゃんギャラリーが展示されるなど、公開に合わせて様々な企画が開催されています。
posted by akemi at 20:36| Comment(0) | スウェーデン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年02月25日

ロッタちゃん はじめてのおつかい(原題:Lotta 2 - Lotta flyttar hemifran)

LwvRdXkQ.jpg

監督・脚本:ヨハンナ・ハルド
原作:アストリッド・リンドグレーン
撮影:オーロフ・ヨンソン
音楽:ステファン・ニルソン
出演:グレテ・ハヴネショルド(ロッタ)、ベアトリス・イェールオース(ママ)、リン・グロッペスタード(ミア)、マルティン・アンデション(ヨナス)、クラース・マルムベリー(パパ)、マルグレット・ヴェイヴェルス(ベルイさん)

ニイマン家のロッタちゃんは5歳。チクチクするのでキライなセーターをロッタちゃんはハサミで切り刻んでしまう。ママが帰る前に、お隣のベルイさんちに家出をした。ベルイさんは、物置の2階にロッタちゃんの部屋を作ってくれた。お兄ちゃんのヨナスとお姉ちゃんのミア、パパとママまで訪ねてくるけれど帰ってなんかやらない。
雪が積もった日、ロッタちゃんはママのお使いでベルイさんにお見舞いのパンを届けに行く。ゴミ袋も引き受けたら、パンとバムセ(豚のぬいぐるみ/ロッタちゃんの親友)の入った袋のほうを間違ってゴミ箱に入れてしまった!収集車に持って行かれたバムセは見つかるのか?
クリスマスにツリーが手に入らなくて困っているパパとママ、ヨナスとミアはがっかりして泣いている。ロッタちゃんが起こした奇跡とは?
もう一つ、復活祭の日にまたまたロッタちゃんが大活躍。3つのエピソードを上映。

2000年に日本で公開され、大ヒットしたロッタちゃんが戻ってきました。当時私も観て、自分や子どもたちの小さかったころを思い出したものです。このたび2Kリマスター版でリバイバル上映されます。撮影当時ロッタちゃんと同じ5歳だったグレテ・ハヴネショルドは今どんな女性に成長しているのでしょう。撮影は原作者アストリッド・リンドグレーン(1907~2002)の故郷ヴィンメルビー(Vimmerby)にある”アストリッド・リンドグレーン・ワールド(Astrid Lindgren Värld)とヴィンメルビーのあちこちで撮影されたもの。
5歳の女の子の頑固さや独立心、「あたしってなんでもできる」という自己肯定を生意気と思うか、すごいと思うか。あなたはどちらでしょう。
この映画の大人たちはロッタちゃんを頭ごなしに叱ったり、大人のルールで縛ったりしません。子育てのヒントになります。兄や姉も「そうかい」「そうなの」と受け入れてくれます。今やそっちの方がファンタジーに思えるかも。
インテリアや小物が素敵、ロッタちゃんファッションも可愛いです。もしも機会がもてたならこのテーマパークに行って、リンドグレーンの著書の主人公たちピッピやカツレくんやロッタちゃんの遊んだ街を楽しみたいものです。長旅に耐えられるうちに。(白)


ロッタちゃんは、5歳なのに自立心が強くて、ちょっと意地悪にも見えて、なんて子だ!と最初は思ってしまいます。でも、お隣の一人暮らしのベルイおばさんにも気遣いのできる子。具合の悪いベルイおばさんに頼まれて雑誌を買いにいくと、お店の人はちゃんとベルイさんの読んでいる雑誌を知っています。
お菓子屋を営むギリシャ人のバシリスさんは、「スウェーデンの人たちは、土曜日に少しお菓子を買うだけなので商売にならない」と嘆いて、国に帰ってしまいます。もしかしたら、子どもたちに、お菓子は土日やお祝い事の日だけと躾けているのかなと思いました。
クリスマスや復活祭を大事にするスウェーデンの小さな町の人たちの暮らしが垣間見れました。(咲)


1993年/スウェーデン/カラー/ビスタ/85分
配給:エデン
(C)1993 AB SVENSK FILMINDUSTRI ALL RIGHTS RESERVED
https://lotta-eden.jp/
★2024年3月1日(金)ロードショー
3月22日(金)から『ロッタちゃんと赤い自転車』公開予定です。

posted by shiraishi at 14:06| Comment(0) | スウェーデン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月09日

“敵”の子どもたち   原題:Children of the Enemy

tekinokodomo.jpg

監督・脚本:ゴルキ・グラセル・ミューラー
プロデューサー:クリストフ・ヘネル、エリカ・マルムグレン

娘がISIS(イスラム国)メンバーと結婚し7人の子を遺し亡くなった。
スウェーデンのミュージシャン、パトリシオ・ガルヴェスは、シリアにいる孫7人を救うため命がけの旅に出た・・・

パトリシオ・ガルヴェスの娘、アマンダは元妻と共にイスラム教徒に改宗。スウェーデンで最も悪名高いISISメンバーと結婚し、2014年にカリフ国家建設に加わるためシリアに密航してしまう。帰国の説得は上手くいかなかった。
2019年、ISIS掃討作戦で夫婦共に殺され、1歳から8歳の7人の幼い子どもたちが遺された。「せめて孫は救いたい」と、パトリシオは危険を顧みず孫の救出を決意する。
救助団体からの連絡で孫がシリア北東部のアルホル難民キャンプにいることが判明。スーツケースにおもちゃや靴を詰め込みシリアとの国境近くのイラクの都市へと向かう。
SNSでは「敵の子どもたちを連れて帰るな」など大量の批判があった。スウェーデン当局も解放に前向きでない中、パトリシオは孫を救い出すため自らシリア入りする。

娘アマンダや、その母である元妻がどういう動機や経緯でイスラムに改宗したのかは描かれていないのですが、ヨーロッパの各国で、改宗してISISに参加した人たちが数多くいます。ISISが掃討され、シリアに取り残された欧州出身者やその子どもたちの多くが行き場を失っていると聞きます。
「産めよ増やせよ」で7人の子を産んだアマンダ。幼い子たちがスマホでクルアーンを聴いたり、「アッラーアクバル」と叫んだりしていて、やめさせたいと思う一方、「娘が愛した神を尊重してほしい」とつぶやくパトリシオの姿に涙が出ました。
祖父母に養育権はなく、孫たちは身元を隠して、普通のスウェーデンの子どもとして養父母のもとで育てられているとのこと。子どもには罪はないけれど、いつか両親のことをあばかれて非難されるようなことがないことを願うばかりです。(咲)


2021年/スウェーデン・デンマーク・カタール/ドキュメンタリー/97分
配給:ユナイテッドピープル
公式サイト https://unitedpeople.jp/coe/
★2023年9月16日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー


posted by sakiko at 14:02| Comment(0) | スウェーデン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年02月18日

逆転のトライアングル(原題:Triangle of Sadness)

gyakuten.jpg

監督・脚本:リューベン・オストルンド
撮影:フレドリック・ウェンツェル
出演:ハリス・ディキンソン(カール)、チャールビ・ディーン(ヤヤ)、ドリー・デ・レオン(アビゲイル)、ウディ・ハレルソン(船長)

モデルで人気インフルエンサーのヤヤと、男性モデルのカールは恋人同士。レストランの支払いで当然のようにカールに支払わせるヤヤに、カールは思わず文句を言ってしまった。落ち目のカールの何倍もの収入のあるヤヤもたまには、気遣ってほしいのだ。大喧嘩になっても、ヤヤが招待された豪華客船クルーズの旅にカールも同伴する。
そこで乗り合わせたのは、超のつくお金持ちばかり。アプリ開発で億万長者となった実業家、ロシアの新興財閥「オリガルヒ」、上品な老夫婦は世界中に武器を売って稼いだ武器商人だった。理不尽な乗客の要求にこたえるクルーたち、もちろん高額なチップを期待してのこと。アルコール依存症の船長が主催した豪華ディナーを楽しむ夕べに船が難破し、海賊に襲われてしまった。彼らは沈没した船から逃れ、無人島に流れ着く。

リューベン・オストルンド監督の『フレンチアルプスで起きたこと』は強烈に印象に残っています。人間があまり見せたくない内側の本音を白日のもとにさらけ出して、居心地の悪い思いをさせてくれます。自分が思っているほど善人ではないとか、小さい人間だとか認めるのは恥ずかしくて悔しいですもん。
この作品ではタイタニックのような豪華客船に乗り込んだ超セレブなお金持ちたちが、お金にあかせて贅沢三昧。そのまま豪華な船旅が続くと思いきや、大事件に遭遇します。無人島に着いてからが、監督の本領発揮。これまで頼っていたお金も地位も関係ない世界で、一番強かったのは誰あろう、船内では最下層トイレ清掃員のアビゲイルでした。彼女は非常用の水や食料を確保したうえ、海から獲物を捕り、調理しと、サバイバル能力ゼロのセレブたちのトップに君臨します。ブラックユーモア満載のこの作品、自分に置き換えてあなたは笑えるでしょうか?
無人島でなくとも、天災・人災に遭って平常の生活ができなくなったとき、どうやって生き延びたらと考えてみましょう。最初の犠牲者でいいや、と弱音を吐かず「最低限自分に何が必要か」書き出して準備しても損はありません。
清掃人のアビゲイルを演じたのはフィリピンの女優ドリー・デ・レオン。メンドーサ監督製作総指揮の『評決』(2019)で助演女優賞を受賞しているベテラン女優です。ヤヤを魅力たっぷりに演じたチャールビ・ディーンは、2022年に細菌性敗血症のために32歳で急逝しました。合掌。(白)


☆カンヌ国際映画祭パルムドール受賞

2022年/スウェーデン/カラー/シネスコ/147分
配給:ギャガ
Fredrik Wenzel (C) Plattform Produktion
https://gaga.ne.jp/triangle/
★2023年2月23日(祝・木)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 13:29| Comment(0) | スウェーデン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年08月28日

ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル(原題:Se upp for Jonssonligan)

gang4.jpg

監督:トーマス・アルフレッドソン
脚本:トーマス・アルフレッドソン、ヘンリック・ドーシン
出演:ヘンリック・ドーシン(シッカン)、ヘダ・スターンステット(ドリス)、ダーヴィド・スンディン(ハリィ)、アンダース・ヨハンソン(ラグナル・ヴァンヘデン)

シッカンはスウェーデンでは超有名な金庫破り。ハリィとドリス、ラグナル、3人の仲間たちと計画を練り、奇想天外なやり方でお宝を手に入れる。今日も今日とて倉庫に保管されている大量のコインを盗み出していた。華麗に去る予定がシッカン一人が現場に残されてしまった。刑期を終えて出所する彼を仲間が迎えに来た。刑務所の図書館に入り浸り、次のターゲットを定めていたシッカンはさっそく仲間たちに計画を打ち明ける。しかし、3人はそれぞれ足を洗うと宣言、みんなで住んでいた住処を出て行った。シッカンはまたもや一人残ってしまった。
一方、ストックホルムの北方民族博物館でフィンランド王の王冠が見つかった。スウェーデンのグローヴバル企業のこの王冠を手に入れ、フィンランド貴族の末裔を引き込み、王政を復活させようと誘う。そのためには、王冠に埋め込む伝説の石「カレリアのハート」を見つけ出す必要があった。その石こそがシッカンのターゲットだったのだが、彼はまだ知らなかった・・・。

イェンソン一味の映画がスウェーデンに登場したのは40年前。シリーズ作品となり、多くの人がこれを見て育ったのだそうです。日本でいえば「ルパン3世」のごとく愛され、いつまでも人気のある作品のようです。トーマス・アルフレッドソン監督は『ぼくのエリ 200歳の少女』(2010)『裏切りのサーカス』(2012)を手がけました。本作は全く違ったコメディ作品で、リメイクになりますが、オリジナルの良いところを受け継ぎ、新しいティストも加えました。
犯罪集団ながら誰も傷つけず、欲深な人間を揶揄、素直に共感できます。俳優さんはどの人も馴染みはありませんが、リーダーのシッカン、ハリィとラグナルは凸凹コンビ、3人の男性の誰よりしっかりして見えるのがハリィの奥さんのドリス。ドラえもんの仲間のしずかちゃんと思ってください。峰不二子のように最後に横取りしたりはしません。大人も子どもも一緒に楽しめる作品です。(白)


2019年/スウェーデン/カラー/ビスタ/122分
配給:キノフィルムズ
(C)FLX FEATURE AB. ALL RIGHTS RESERVED
https://movie.kinocinema.jp/works/thejonssongang
★2022年9月2日(金)kino cinéma立川髙島屋S.C.館ほか全国順次公開
posted by shiraishi at 11:07| Comment(0) | スウェーデン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする