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監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン(『雪の轍』)
脚本:アキン・アクシュ、エブル・ジェイラン、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
出演:デニズ・ジェリオウル、メルヴェ・ディズダル、ムサブ・エキチ、エジェ・バージ
トルコ東部、雪深いインジェス村の公立学校で美術を教えるサメット。教師というだけで村人から尊敬され、お気に入りの生徒セヴィムにも慕われているが、赴任して4年経ち、早くこの僻地から抜け出しイスタンブルに転任したいと画策している。
しかし、ある日、同居している同僚のケナンと共に、セヴィムから虚偽に“不適切な接触”を告発されてしまう。同じ頃、違う学校の美しい英語教師ヌライと知り合う。ヌライは理想を持って社会と戦う中で、テロに巻き込まれ片足を失い義足だ。同僚のケナンをヌライに引き合わせると、二人は意気投合していく。ある日、町でヌライに出会い、ケナンと二人で休日に家に来てと誘われるが、サメットは一人でヌライの家を訪ねる・・・
セヴィムから告発されたサメットはどうなるのか、ケナンを裏切りヌライに会いにいった顛末は? そして、サメットは希望通りこの僻地を抜け出せるのか・・・
これまでのジェイラン監督の作品同様、登場人物たちの会話で綴られる198分。早口の会話に息もつけず、見入りました。サメットが、実に自己中の嫌な男なのですが、語る言葉の中には、人間らしい本音も感じてしまいます。
最後の方で、サメットたちが山を上って遺跡に行く場面があって、そこは地震で石造の頭が地面に落ちて並んでいるネムルートダー(ダー:山)。雄大な世界遺産。コンマゲネ王国の王アンティオコス1世が紀元前62年に建てた、王自身の座像を含む8 - 9 m の巨大像が並びます。ギリシャ神話やペルシャ神話の神々の像があって、様々な文明が交差した地であることを物語っています。
東トルコでは、一年の半分は雪に埋もれ、旅に不向き。4月末~10月中旬が旅行シーズン。十数年前にやっと旅することができました。現代社会では僻地とされる東トルコですが、様々な文明の遺跡の宝庫。
さて、二つしか季節のない地で暮らす人たち。歴史が根差した地は、彼らにどんな思いを至らしているのでしょうか・・・ (咲)

サメット役のデニズ・ジェリオウルさんは、2018年の東京国際映画祭で上映された『シレンズ・コール』で主演を務めておられ、来日されました。『シレンズ・コール』記者会見 Q&A
ヌライ役 メルヴェ・ディズダル カンヌ国際映画祭最優秀女優賞受賞(トルコ人初)
2023/トルコ・フランス・ドイツ/198分
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/2kisetsu/
★2024年10月11日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!