監督・脚本:フィリップ・ファラルドー(『ぼくたちのムッシュ・ラザール』『グッド・ライ~いちばん優しい嘘~』)
原作:「サリンジャーと過ごした⽇々」(ジョアンナ・ラコフ 著/井上里 訳/柏書房)
出演:マーガレット・クアリー、シガニー・ウィーバー、ダグラス・ブース、サーナ・カーズレイク、ブライアン・ F ・オバーン、コルム・フィオールほか
1995年、秋、ニューヨーク。作家を夢見るジョアンナ。職探しに人材紹介会社を訪ねる。「作家志望は敬遠されるから出版社はダメね」と、老舗出版エージェンシーを薦められる。著者の代理人として出版社へ企画を持ち込んだり、著作物の権利管理を代行する仕事。ジョアンナは、J.D.サリンジャー担当のマーガレットの下で働き始める。
日々の仕事は、世界中から毎日大量に届くサリンジャーへの熱烈なファンレターに返事を出すこと。でも、ジョアンナは「ライ麦畑でつかまえて」どころか、サリンジャーの小説を一つも読んでなかった。
定型文で返事を出せと指示されていたが、戦争体験を打ち明ける退役軍人、作家志望の娘を亡くした母親、返事を貰えれば落第せずに済むという学生・・と、熱心に語り掛ける手紙に、ジョアンナは自分の署名入りで返事を書き始める。
そんなある日、ボスの不在時にサリンジャーからの電話を取る。「人嫌いという噂は嘘よ」とボスから聞いていた通り、「会えるのを楽しみにしてるよ」と気さくに話しかけてくれるサリンジャー。ジョアンナが詩を書くと知って、その後も電話で励ましてくれる。
ようやくボスから数点の原稿を渡され、ふさわしい雑誌を選んで売り込むよう任される。担当した作品の出版が初めて決まり、上司から、「これで一人前ね」と言われる・・・
目をきらきらさせて、水を得た魚のようにはつらつと働くジョアンナが、とてもキュート。ジョアンナはいつか作家になりたいという目標に向かって、日々邁進しているのです。まだ若い時に、自分のやりたいことを見つけられるっていいなと思いました。

フィリップ・ファラルドー監督には、『ぼくたちのムッシュ・ラザール』が公開された折にインタビューしたことがあって、こんな爽やかな作品を作ってくれた!と、懐かしく思い出しました。
サリンジャーは、なかなか姿を見せないのですが、映画のラスト、ジョアンナが外出先から帰ってくると、シガニー・ウィーバー演じる上司を訪ねてきていて歓談中。 ジョアンナがサリンジャーと直接会えたかどうかは、ぜひ劇場で! ラストがとても爽やかで素敵です。(咲)
2020年/アイルランド・カナダ合作/101分/ビスタ
提供:カルチュア・パブリッシャーズ、ビターズ・エンド
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://bitters.co.jp/mynydiary/
★2022年5月6日(金)新宿ピカデリー、Bunkamura ル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー