2025年09月25日

キス・ザ・フューチャー  原題:Kiss the Future

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監督:ネナド・チチン=サイン
プロデューサー:マット・デイモン、ベン・アフレック、サラ・アンソニー
登場人物:クリスティアン・アマンプール、ボノ、ビル・カーター、アダム・クレイトン、ビル・クリントン、ジ・エッジ他

「戦争中のサラエボに U2 を呼びたい」
一人のクレイジーなアイデアが不可能を現実に


「過去を忘れて、未来にキスを、サラエボ万歳!」。U2が1997年9月23日、4万5千人を前にサラエボで行ったライブは、今も語り継がれている。かつてサラエボの人々は民族・宗教に関係なく共存していたが、紛争は人々を引き裂いていた。ライブはそんな人々を音楽の力で再び一つにするものだった。本作は、U2がボスニア紛争終結後にサラエボでライブする約束を果たすまでを追ったベン・アフレックとマット・デイモンがプロデュースしたドキュメンタリー。

<4.5万人が感涙した伝説のサラエボ・ライブの舞台裏が初めて明らかに!>/span>

銃弾が飛び交う危険なボスニア紛争中、若者たちは解放を求め夜な夜な地下で行われていたパンクロックライブに熱狂していた。そんな彼らにとって世界的アーティストで戦争や人権など社会的なメッセージを発信していたU2は憧れの存在だった。ある日、アメリカの援助活動家のビル・カーターはU2をサラエボに招くことを思いつく。U2はサラエボ行きを決意するが、安全面の観点から断念。であればと、ビルは衛星中継で戦火のサラエボからの様子をU2のZOO TVツアーに届けることに成功する。そして約束通り、戦後しばらくしてU2がボスニアで行った平和と民族の融和のためのライブは、人々に強烈な印象を残すことになる。世界各地で戦争が絶えない今、U2のメッセージは時代を超えて私たちの心を震わせる。

教会とモスクが並んで立つサラエボの街角が大写しにされます。
かつては、宗教や民族の違う人たちが共存していたことを示す光景。
その均衡が崩れて内戦に。
その最中に、人気ロックグループであるU2を招いてのライブを行ったとは!
人々の気持ちを一つにしようという試み。 ライブの一瞬のひと時だけでも、様々なルーツの人たちが心が一つになったなら、それはそれで大成功だったと思います。
U2のことは、名前しか知らなかったのですが、彼ら自身の原点がアイルランド紛争だったと知りました。内戦による心の痛みを知る彼らだからこそ、サラエボの人たちの心に響くものがあったのだと思いました。
今なお、世界の各地で絶えない紛争。 音楽で心を一つにできたならと願います。(咲)


2023年/ドキュメンタリー/アメリカ・アイルランド/103分
制作:Fifth Season 
配給:ユナイテッドピープル
公式サイト:https://unitedpeople.jp/kiss/
★2025年9月26日(金)キノシネマ新宿 ほか全国順次ロードショー


posted by sakiko at 14:17| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年09月04日

九月と七月の姉妹(英題:September Says)

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監督・脚本:アリアン・ラベド
原作:デイジー・ジョンソン「九月と七月の姉妹」(東京創元社刊/市田泉訳)
音楽:ジョニー・バーン
出演:ミア・サリア(ジュライ)、パスカル・カン(セプテンバー)、ラキー・タクラー(母・シーラ)、ニーヴ・モリアーティ(ジェニファー)、スージー・ベンバ(ダンスのインストラクター)

生まれたのはわずか10か月違い、一心同体のセプテンバーとジュライ。攻撃的な姉は妹を支配し、内気な妹はそれを受け入れ、強い絆で結ばれている。シングルマザーの母が入るすきまはないくらいだ。二人が通うオックスフォードの学校でのいじめをきっかけに、一家はアイルランドの海辺近くにある亡き父の一族の家へと引っ越すことになった。長年放置されていた<セトルハウス>での生活は何かを変えるのか?

同じドレスで並ぶ少女二人に『シャイニング』のワンシーンを思い出します。これから不穏なことが起こりそうな・・・。
セプテンバーは父親似、ジュライは母親似のようです。父親は影も形も出てきません。
「おバカなジュライ」と妹を呼ぶ姉は”September Says”といつも妹を操り、服従させています。英語圏の子どもたちがよく遊ぶ”Saimon Says”というゲームで、「サイモン」役の命令には必ず従います。ただしこの”Saimon Says”の一言がないのに動いたらアウトです。セプテンバーの命令にそんな逃げ道はなく、だんだんひどくなります。可愛がっているように見せて支配し、おとなしい妹ジュライは従うことで安心している共依存のように見えます。母親は娘たちより自分のことでいっぱい、自分の部屋にこもりがちで手に余る問題がおきればそこから逃げ出しています。姉妹という密接な関係、家という閉鎖的な空間での主従関係やトラウマを描いていますが、後味がうむむです…
アリアン・ラベド監督はギリシャ系フランス人女優・監督で、ヨルゴス・ランティモス監督のパートナーでもあります。原作のデイジー・ジョンソンは、デビュー作でブッカー賞の候補になり、こちらは2作目。(白)


2024年/アイルランド、イギリス、ドイツ合作/カラー/100分
配給:SUNDAE
(C)Sackville Film and Television Productions Limited / MFP GmbH / CryBaby Limited, British Broadcasting Corporation, ZDF/arte 2024
https://sundae-films.com/september-says/
★2025年9月5日(金)全国ロードショー
posted by shiraishi at 23:06| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月25日

パフィンの小さな島(原題:Puffin Rock and the New Friends)

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監督:ジェレミー・パーセル
助監督:ロレイン・ローダン
脚本:サラ・ダディ
声の出演:新田恵海(ウーナ)、田所あずさ(イザベル)、上野樹里(ママ)、西垣俊作(パパ)、高野麻里佳(ババ)

パフィン(ニシツメドリ)の女の子ウーナと弟のババは、アイルランドの西にある小さな”トンガリ島”に住んでいる。ある日嵐が吹き荒れ、故郷を失った動物たちが島に逃れてきました。パフィンの仲間のエトピリカのイザベルもその一人です。ウーナは何かと声をかけますが、イザベルはなかなかうちとけることができません。けれどもみんなの仲間に入りたいのです。ある日、イサベルが誰にも相談せず自分一人でしたことが、思いがけないことになってしまいました。

『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』『ウルフウォーカー』を送り出したアニメ・スタジオ カートゥーン・サルーンの最新作がやってきました。監督はジェレミー・パーセル。ヒロインのウーナは絶滅危惧種に指定されているパフィンという海鳥。ペンギンのように白と黒の羽色、黄色とオレンジの嘴が大きくて目立ちます。足も嘴とお揃いのオレンジ。
あとからやってくるエトピリカのイザベルも同じ仲間で、やはり絶滅危惧種だそうです。そんな珍しい鳥が生息しているアイルランドにちょっと行って見たくなります。
映画は絵本のように、美しい色使いとやさしい言葉で島の動物たちや植物たちを見せていきます。人間界でこのごろ問題になっている「多様性を認めて、仲良く暮らしている」姿がありました。新しい暮らしに飛び込み、居場所を探すイザベルの寂しさは、故郷を離れて生きねばならない人たちと同じでしょう。
声高に何かを訴えるわけではありませんが、あとからじんわりとしみてくる映画でした。小さなお子様もぜひご一緒に。(白)


2023年/アイルランド、イギリス/カラー/80分
配給:チャイルド・フィルム
© 2023 Puffin Rock and The New Friends
提供:チャイルド・フィルム/代々木アニメーション学院/チャンス イン/ミッドシップ 
後援:アイルランド大使館
https://child-film.com/puffin/
X:@cartoonsaloonjp 
★2025年5月30日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー

posted by shiraishi at 14:33| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年04月06日

プロフェッショナル(原題:In the Land of Saints and Sinners)

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監督:ロバート・ロレンツ
脚本:テリー・ロー、マーク・マイケル・マクナリー
撮影:トム・スターン
出演:リーアム・ニーソン(フィンバー・マーフィー)、ケリー・コンドン(デラン・マッキャン)、ジャック・グリーソン(ケビン)、キアランハインズ(ビンセント)、コルム・ミーニイ(ロバート・マキュー)

1970年代の北アイルランド。長年裏稼業として殺し屋を続けて来たフィンバー・マーフィは、引退すると決めた。静かに暮らしていたところへ、首都で爆破事件を起こしたアイルランド共和軍(IRA)の過激派テログループが村に逃げてくる。そのうちの一人が、隠れ家にしていた遠戚の少女を虐待していたのを知った。怒りにかられて制裁したフィンバーを、今度はテロ仲間(男の姉)が狙う。

物書きと称してひっそりと暮らしているフィンバーは、その村の人々と顔見知り。現職警官の友人までいます。正義と信じて爆破テロを実行するデランは、紛争で親を亡くし、姉弟2人で活動に身を投じているうちに冷酷になっていったようです。ケリー・コンドン迫力倍増していて怖い。フィンバーは、依頼された殺しからは手を引きましたが、幼い少女はじめコミュニティの人々を傷つけたくありません。静かな老後は遠ざかりました。
クリント・イーストウッドと長年仕事をしてきたロバート・ロレンツ監督、『マークスマン』に続いて2度目のリーアム・ニーソンとのタッグです。前作はメキシコ人の少年、今回は近所の少女、命がけで弱者を守る渋い役が似合います。パターンといえばそうですが、期待どおりにアクションを展開してくれるリーアム・ニーソン。出身地アイルランドを舞台に、テロも辞さない過激派グループと、殺し屋稼業の男の「正義」がぶつかりました。まだまだ活躍してくれそうです。(白)


2024年製作/アイルランド/106分/G
原題または英題:In the Land of Saints and Sinners
配給:AMGエンタテインメント
(C)FEGLOBAL LLC ALL RIGHTS RESERVED劇場公開日:2025年4月11日
https://professional-movie.jp
strong>★2025年4月11日(金)より全国ロードショー

posted by shiraishi at 18:30| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年06月15日

探偵マーロウ  原題:Marlowe

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(C)2022 Parallel Films (Marlowe) Ltd. / Hills Productions A.I.E. / Davis Films

監督:ニール・ジョーダン
出演:リーアム・ニーソン、ダイアン・クルーガー、ジェシカ・ラング、アドウェール・アキノエ=アグバエ、ダニー・ヒューストン、アラン・カミング
原作:「黒い瞳のブロンド」(ベンジャミン・ブラック/小鷹信光 訳 早川書房刊)

1939年10月、アメリカ・ロサンゼルス。探偵フィリップ・マーロウの事務所にブロンドの美女クレアが訪ねてくる。他界した父は石油業界にいて裕福。母はアイルランド出身の有名な女優だという。「突然姿を消した愛人ニコ・ピーターソンを探してほしい」との依頼をマーロウは引き受ける。映画界で売れてない下っ端の役者ニコの家に行ってみる。隣人は7週間前から姿を見ないといい、その間にメキシコ人が二人訪ねてきたと聞かされる。さらに警察で、ニコがコルバタクラブの外の道で轢き逃げされ亡くなったことを知る。クレアに確認しにいくと、轢き逃げで死んだのは周知の事実だけど、先週、見かけたのだという・・・

ハリウッドの富裕層が集うコルバタクラブ前の道での事故に、権力者が絡んでいるはずと捜査を進めるマーロウ。けれども、妹のリンが兄ニコの遺体だと確認したといわれます。有名女優であるクレアの母ドロシーもマーロウの前に現れ、さて、真相は?
ダイアン・クルーガー演じるクレアと、ジェシカ・ラング演じる母ドロシーの雰囲気がとても似ていて、いかにも母娘という感じ。どちらも貫禄たっぷりです。
リーアム・ニーソン銀幕デビュー45周年、出演100本目の作品。これまでハンフリー・ボガート、ロバート・ミッチャムなどが演じてきた探偵マーロウを、一度演じてみたかったというリーアム・ニーソン。私自身は、ほかのマーロウを観ていないし、原作も読んでいないので、リーアム演じる思慮深く紳士的な探偵マーロウにとても好感が持てました。
背景にさりげなく流れるジャズに、1960年代に夢中になってみていたロサンゼルスを舞台にしたTVの探偵ドラマ「サンセット77」を思い出しました。
冒頭にヒトラーの言葉が流れ、映画の後半には鍵十字の旗が並ぶ撮影現場が出てきます。アメリカはまだ参戦していませんが、ちょうど第二次世界大戦がヨーロッパで口火を切ったころが舞台なのも興味深かったです。
ちなみに本作はアメリカ映画ではなく、アイルランド人のニール・ジョーダン監督が、北アイルランド出身のリーアム・ニーソンを主役にして描いた映画。アイルランド訛りの英語が味わえるらしいです。(咲)


2022年/アイルランド・スペイン・フランス/英語/109分/カラー/PG12)
配給:STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト:https://marlowe-movie.com/
★2023年6月16日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー



posted by sakiko at 09:07| Comment(0) | アイルランド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする