2023年09月10日
マルセル・マルソー 沈黙のアート 原題:L'art du Silence 英題:The Art of Silence
監督:マウリッツィウス・スタークル・ドルクス
パントマイムの神様マルセル・マルソーの知られざる事実
ボロボロのシルクハットと赤いバラ、白塗りメイクで世界に知られる道化師“ビップ”(BIP)。言葉をひと言も発せず、身ぶりと表情だけですべてを表現するマルソーの舞台。
それは、第二次世界大戦中、レジスタンスに身を投じ、ユダヤ人孤児300人余をスイスに逃がしたことに端を発している。危険な状況下で声を発さないコミュニケーション方法は、戦後独自の芸術表現に昇華されたのだ。
ユダヤ人精肉店に生まれ、アウシュヴィッツで父を殺されたマルセル・マルソー。
マルセルと共にレジスタンスに参加した従弟、彼の遺志を継ぐ家族、ろうの世界的パントマイマー、クリストフ・シュタークルら、マルソーを知る人物が登場し、彼の魅力を語る。
マルセル・マルソーのことを知ったのは、2021年8月27日に日本公開された劇映画『沈黙のレジスタンス ユダヤ孤児を救った芸術家』を通じてのことでした。
フランスでもユダヤ人迫害が激化し、ユダヤ人であるマルセルはフランス風にマルソーと名乗り、ユダヤ人孤児を助けたのです。戦後は、世界各地でパントマイム・パフォーマンスを披露したマルセルですが、どんな思いでいたのでしょう・・・
マルセルの娘さんが語っていた中で印象に残ったことがあります。
「ペルシアのシャーに会いに行くというので、ペルシアの猫(フランス語で猫はChatシャ)かと思ったら、王様(シャー)だったという場面。パフレヴィー2世が映り、その後、王制反対の人たちの姿。マルセルは、反体制派の支援もしたとありました。調べてみたら、マルセルは、1978年にテヘランのthe Roudaki Hall(革命後The Vahdat Hallに名前を変えています)で公演していることがわかりました。、私が1978年5月に初めてイランを訪れた時に、そのルーダキーホールの近くで食事したことがあり、ちょっと縁を感じた次第です。(咲)
2022年/スイス=ドイツ/独語・英語・仏語/カラー&モノクロ/81分
日本版字幕:松岡葉子
後援:一般社団法人日本パントマイム協会
配給:パンドラ
公式サイト:http://www.pan-dora.co.jp/marceau/
★2023年9月16日(土)シアター・イメージフォーラムにて公開
2021年03月11日
地球で最も安全な場所を探して 英題:Journey to the Safest Place on Earth
2021年2月20日(土)シアター・イメージフォーラムにて公開他全国順次公開
上映情報
監督:エドガー・ハーゲン
撮影:ペーター・インデルガンド
録音:ジャン・ピエール・ジェス
編集:ポール・マイケル・セドラセック、エドガー・ハーゲン
音楽:トメク・コルチンスキー
プロデュ―サ―:ヘリクリ・バンディ
製作:ミラ・フィルム
スイス/2013年/100分
”核のごみ”を捨てる場所はみつかるのか?
原発推進論者の科学者と反原発の映画監督が
”世界⼀安全な場所”を探す旅に出る
この60年間で高レベル核廃棄物35万トン以上が世界で蓄積されてきた。それらの放射能を含む核廃棄物は、人間や環境に害を与えない安全な場所に長期に渡って保管する必要がある。しかし、そのような施設がまだ作られていないにも関わらず「核のごみ」は増え続けている。そんな中、スコットランド出身でスイス在住の核物理学者で、国際的に活動している廃棄物貯蔵問題専門家のチャールズ・マッコンビーが世界各地の同胞たちとこの問題に取り組む姿をスイス人のエドガー・ハーゲン監督が撮影。
チャールズとエドガー監督の2人は、放射性廃棄物で汚染されたアメリカ先住民居留地の神聖な山・ユッカマウンテン、イギリスのセラフィールド、中国・ゴビ砂漠、青森県六ヶ所村、スウェーデン、スイスなど世界各地の最終処分場候補地を巡る旅に出る。
未来の世代に対する今の時代に生きている私たちの責任、解決方法など、様々な問題を提起。
果たして10万年後にも安全な、"楽園"を探すことはできるのか―。
廃炉も含め約60基の原発を抱える原発大国でもある日本。2020年、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が最終処分場候補地として名乗りを上げ、2020年11月から文献調査が開始されているという。
●エドガー監督から日本公開に向けてのメッセージ
現在原子炉は、世界で400基ほどあり、核廃棄物を作り出しているにも関わらず、その処理方法を見つけられないまま、原子力エネルギーを生産し続けています。そこで、この問題を世界的に解決しようと取り組んでいる人々と一緒に映画を作ろうと考えました。
この問題は全世界的に渡る問題です。核廃棄物の処分方法が問題になり始めた70年代から40年近く、どう処理するかの解決方法を見つけないまま走ってしまっている問題をこの映画では追っています。この40年間の、何かを試みては失敗するという繰り返しの歴史を照らし出しています。
日本は確実にこの問題について真剣に考えないといけない国だと思っています。50基以上の原子炉があり、それと同時にたくさんの核廃棄物があり、地政学的にも地震が多かったりと複雑な問題を持っているので、この問題を真剣に考えないといけないと思っています。現在、日本では北海道の2町村が名乗りを上げています。そこが適しているかは引き続き調査が必要ですが、2つの地域が名乗りを上げることで核廃棄物について議論しようと思う事は良いことだと思います。必ずしもそれが解決方法だ、ということは簡単には言えませんが。
このタイミングで日本でたくさんの方に観て頂けることを望んでいます。日本でも議論をし、意見交換すべき作品になれば幸いです。
この狭い日本に、現在(2020年)50基以上の原発があり、建築予定の原発は16基。稼働中の原発は9基だという。あとは原発はあっても稼働していないのか? それは幸いというべきか、でもなんて無駄なことをしてくれたのかとも思う。この映画は核廃棄物の処分場が用意できていないまま、原発の建設を進めている現状が描かれている。これまでもいくつもの核廃棄物処理場をめぐる映画があったけど「核廃棄物処理」の問題は進展のないまま。
これまで、スリーマイル島(1979)、チェルノブイリ(1986年)など大きな原発事故があり、2011年の福島の事故があって、原子力に対する安全神話は崩れ、放射能の危険性がこんなに叫ばれているのに、まだ原子力事業を進めようとしている人たちにぜひ観てもらいたい。ちゃんと核廃棄物の処理の問題が解決されてもいないのに、原発の建設を進めることは人類に対する犯罪のように感じる。原発を作って、あとの処理は後の方たちよろしくと先送りにしてしては地球に対するぼうとくではないのか(暁)。
参照:原子力発電所の現状(資源エネルギー庁データ)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf
『地球で最も安全な場所を探して』というタイトルを聞いたとき、てっきり人間が住むのに安全な場所を探す話かと勘違いしました。実際には核廃棄物をいかに安全に処理するかの話です。
理系の娘が就活の真っ最中ですが、インフラ業界を志望しています。東京電力も候補の1つ。昨年の夏以降、何度も説明会に参加し、オンラインでのインターンシップ(緊急事態宣言が発令しなかったら福島で行われるはずでした)も参加しました。インターンシップでどんなことをしたのかを娘に聞いたところ、いかに安全に廃炉にするかを日々研究しているとのこと。娘は福島のコースを選びましたが、もし柏崎のコースを選んでいたら、原子力の安全な活用方法を研究している方々の話を聞くことになったそう。娘が東京電力とご縁があるかわかりません。しかし、いろいろな視点で安全に向けて必死に取り組んでいる人たちが日本にもいることを娘の就活を通じて知りました。
原子力発電は危険だから止めるべきという主張も理解できますが、電気を使わないで生活はできません。ではどうしたらいいのか。本作を考えるきっかけにして、人々が意識していくことが大事なのではないかと思います。(堀)
『地球で最も安全な場所を探して』公式HPはこちら
後援:在日スイス大使館
日本語字幕:平井かお
予告編制作:株式会社ネツゲン
宣伝美術:追川恵子
配給:きろくびと
スイス/2013年/英語•ドイツ語•中国語•日本語/カラー/DCP/100分
参考
放射性放射性廃棄物、核廃棄物の再生利用などを描いた映画
『チャルカ~未来を紡ぐ糸車~』 監督:島田恵
劇場公開 2017年8月12日
『福島 六ヶ所 未来への伝言』 監督:島田恵
劇場公開 2014年2月15日
『放射性廃棄物 終わらない悪夢』 監督:エリック・ゲレ
劇場公開 2011年10月22日
『100,000年後の安全』 監督:マイケル・マドセン
日本公開 2011年4月2日
『六ヶ所村ラプソディー』 監督:鎌仲ひとみ
2006年10月7日公開
『六ヶ所人間記』 監督:山邨伸貴 倉岡明子
劇場公開 1985年10月26日
『夏休みの宿題は終らない』監督:山邨伸貴 製作:倉岡明子
劇場公開 1990年1月29日
『田神有楽』 監督:加藤哲
劇場公開 2002年11月30日
『下北核半島からの報告 核燃料サイクル』 監督:森弘太
1988年
『海盗り――下北半島・浜関根』監督:土本典昭
1984年
上映情報
監督:エドガー・ハーゲン
撮影:ペーター・インデルガンド
録音:ジャン・ピエール・ジェス
編集:ポール・マイケル・セドラセック、エドガー・ハーゲン
音楽:トメク・コルチンスキー
プロデュ―サ―:ヘリクリ・バンディ
製作:ミラ・フィルム
スイス/2013年/100分
”核のごみ”を捨てる場所はみつかるのか?
原発推進論者の科学者と反原発の映画監督が
”世界⼀安全な場所”を探す旅に出る
この60年間で高レベル核廃棄物35万トン以上が世界で蓄積されてきた。それらの放射能を含む核廃棄物は、人間や環境に害を与えない安全な場所に長期に渡って保管する必要がある。しかし、そのような施設がまだ作られていないにも関わらず「核のごみ」は増え続けている。そんな中、スコットランド出身でスイス在住の核物理学者で、国際的に活動している廃棄物貯蔵問題専門家のチャールズ・マッコンビーが世界各地の同胞たちとこの問題に取り組む姿をスイス人のエドガー・ハーゲン監督が撮影。
チャールズとエドガー監督の2人は、放射性廃棄物で汚染されたアメリカ先住民居留地の神聖な山・ユッカマウンテン、イギリスのセラフィールド、中国・ゴビ砂漠、青森県六ヶ所村、スウェーデン、スイスなど世界各地の最終処分場候補地を巡る旅に出る。
未来の世代に対する今の時代に生きている私たちの責任、解決方法など、様々な問題を提起。
果たして10万年後にも安全な、"楽園"を探すことはできるのか―。
廃炉も含め約60基の原発を抱える原発大国でもある日本。2020年、北海道の寿都(すっつ)町と神恵内(かもえない)村が最終処分場候補地として名乗りを上げ、2020年11月から文献調査が開始されているという。
●エドガー監督から日本公開に向けてのメッセージ
現在原子炉は、世界で400基ほどあり、核廃棄物を作り出しているにも関わらず、その処理方法を見つけられないまま、原子力エネルギーを生産し続けています。そこで、この問題を世界的に解決しようと取り組んでいる人々と一緒に映画を作ろうと考えました。
この問題は全世界的に渡る問題です。核廃棄物の処分方法が問題になり始めた70年代から40年近く、どう処理するかの解決方法を見つけないまま走ってしまっている問題をこの映画では追っています。この40年間の、何かを試みては失敗するという繰り返しの歴史を照らし出しています。
日本は確実にこの問題について真剣に考えないといけない国だと思っています。50基以上の原子炉があり、それと同時にたくさんの核廃棄物があり、地政学的にも地震が多かったりと複雑な問題を持っているので、この問題を真剣に考えないといけないと思っています。現在、日本では北海道の2町村が名乗りを上げています。そこが適しているかは引き続き調査が必要ですが、2つの地域が名乗りを上げることで核廃棄物について議論しようと思う事は良いことだと思います。必ずしもそれが解決方法だ、ということは簡単には言えませんが。
このタイミングで日本でたくさんの方に観て頂けることを望んでいます。日本でも議論をし、意見交換すべき作品になれば幸いです。
この狭い日本に、現在(2020年)50基以上の原発があり、建築予定の原発は16基。稼働中の原発は9基だという。あとは原発はあっても稼働していないのか? それは幸いというべきか、でもなんて無駄なことをしてくれたのかとも思う。この映画は核廃棄物の処分場が用意できていないまま、原発の建設を進めている現状が描かれている。これまでもいくつもの核廃棄物処理場をめぐる映画があったけど「核廃棄物処理」の問題は進展のないまま。
これまで、スリーマイル島(1979)、チェルノブイリ(1986年)など大きな原発事故があり、2011年の福島の事故があって、原子力に対する安全神話は崩れ、放射能の危険性がこんなに叫ばれているのに、まだ原子力事業を進めようとしている人たちにぜひ観てもらいたい。ちゃんと核廃棄物の処理の問題が解決されてもいないのに、原発の建設を進めることは人類に対する犯罪のように感じる。原発を作って、あとの処理は後の方たちよろしくと先送りにしてしては地球に対するぼうとくではないのか(暁)。
参照:原子力発電所の現状(資源エネルギー庁データ)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/electricity_and_gas/nuclear/001/pdf/001_02_001.pdf
『地球で最も安全な場所を探して』というタイトルを聞いたとき、てっきり人間が住むのに安全な場所を探す話かと勘違いしました。実際には核廃棄物をいかに安全に処理するかの話です。
理系の娘が就活の真っ最中ですが、インフラ業界を志望しています。東京電力も候補の1つ。昨年の夏以降、何度も説明会に参加し、オンラインでのインターンシップ(緊急事態宣言が発令しなかったら福島で行われるはずでした)も参加しました。インターンシップでどんなことをしたのかを娘に聞いたところ、いかに安全に廃炉にするかを日々研究しているとのこと。娘は福島のコースを選びましたが、もし柏崎のコースを選んでいたら、原子力の安全な活用方法を研究している方々の話を聞くことになったそう。娘が東京電力とご縁があるかわかりません。しかし、いろいろな視点で安全に向けて必死に取り組んでいる人たちが日本にもいることを娘の就活を通じて知りました。
原子力発電は危険だから止めるべきという主張も理解できますが、電気を使わないで生活はできません。ではどうしたらいいのか。本作を考えるきっかけにして、人々が意識していくことが大事なのではないかと思います。(堀)
『地球で最も安全な場所を探して』公式HPはこちら
後援:在日スイス大使館
日本語字幕:平井かお
予告編制作:株式会社ネツゲン
宣伝美術:追川恵子
配給:きろくびと
スイス/2013年/英語•ドイツ語•中国語•日本語/カラー/DCP/100分
参考
放射性放射性廃棄物、核廃棄物の再生利用などを描いた映画
『チャルカ~未来を紡ぐ糸車~』 監督:島田恵
劇場公開 2017年8月12日
『福島 六ヶ所 未来への伝言』 監督:島田恵
劇場公開 2014年2月15日
『放射性廃棄物 終わらない悪夢』 監督:エリック・ゲレ
劇場公開 2011年10月22日
『100,000年後の安全』 監督:マイケル・マドセン
日本公開 2011年4月2日
『六ヶ所村ラプソディー』 監督:鎌仲ひとみ
2006年10月7日公開
『六ヶ所人間記』 監督:山邨伸貴 倉岡明子
劇場公開 1985年10月26日
『夏休みの宿題は終らない』監督:山邨伸貴 製作:倉岡明子
劇場公開 1990年1月29日
『田神有楽』 監督:加藤哲
劇場公開 2002年11月30日
『下北核半島からの報告 核燃料サイクル』 監督:森弘太
1988年
『海盗り――下北半島・浜関根』監督:土本典昭
1984年
2019年11月14日
小さい魔女とワルプルギスの夜(原題:Die kleine Hexe)
監督:マイク・シェーラー
原作:オトフリート・プロイスラー
脚本:マティアス・パフト
出演:カロリーネ・ヘルフルト(小さい魔女)、ズザンネ・フォン・ボルソディ(ルンプンペル)、アクセル・プラール(アブラクサスの声)
小さい魔女は、森の奥の小さい家にカラスのアブラクサスと住んでいる。年はまだほんの127才。アブラクサスはただのカラスじゃない、なんたって口がきけて小さい魔女のたった一人の相談相手で友達だった。小さい魔女の夢はワルプルギスの夜にブロッケン山で踊ること。でもまだ若い小さい魔女には招待状は届かない。そこでこっそり忍び込むことにした。まんまと踊りの輪に入れた小さい魔女は大喜び、けれども運の悪いことに、意地悪なルンペンプルおばさんに見つかってしまった。こってり油を搾られたうえに、罰としてほうきが燃やされ、来年のワルプルギスの夜に良い魔女になったかどうかのテストを受けることになった。
1957年に発表されたこの「小さい魔女」のお話は、ドイツの児童文学作家のプロイスラ―によって書かれました。ほかに「小さい水の精」「大盗賊ホッツェンプロッツ」(=大どろぼうホッツェンプロッツ)などがあります。この小さい魔女は黒い服にとんがり帽子ではなく、普通のおばさんのような服、頭にはスカーフをかぶっています。退屈は嫌い、面白いことが大好きで、魔女の決まり事をあまり守りません。そそっかしくてアブラクサスによく文句を言われています。
小さい魔女の特殊メイクは鼻だけのようで、ちょっと先っぽが長めになっています。もっと年を取った魔女は曲がるみたい。
ホウキで空飛ぶ場面の景観も素晴らしいですが、魔女の家そのものも、中の様々な家具や道具や小物に目を奪われます。面白そうなものがいっぱい。静止画面にしてよーく観たいくらいです。原作にはもっとエピソードが詰まっています。映画を観てから読むと、本の中で小さな魔女が活躍する場面が浮かびますよ。(白)
2018年/スイス、ドイツ/カラー/103分
配給:ショウゲート
(C)2017 Claussen+Putz Filmproduktion GmbH / Zodiac Pictures Ltd / Studiocanal Film GmbH / Frank-Markus Barwasser - All Rights Reserved
https://littlewitch-movie.jp/
★2019年11月15日(金)ロードショー
2019年08月29日
ブルーノート・レコード ジャズを超えて(原題:BLUE NOTE RECORDS: BEYOND THE NOTES)
監督:ソフィー・フーバー
出演:ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、ルー・ドナルドソン、ノラ・ジョーンズ、ロバート・グラスパー、アンブローズ・アキンムシーレ、ケンドリック・スコット、ドン・ウォズ、アリ・シャヒード・ムハマド(ア・トライブ・コールド・クエスト)、テラス・マーティン、ケンドリック・ラマー(声の出演) ほか
第二次世界大戦前夜、ナチス統治下のドイツからアメリカに移住した二人の青年、アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフ。大のジャズ・ファンであった彼らは、1939 年にニューヨークで小さなレコード会社「ブルーノート・レコード」を立ち上げた。
レコーディングにあたって、アーティストに完全な自由を渡し、かつ新曲を書くよう励ます。理想を求め、妥協することのないライオンとウルフの信念は、ジャズのみならず、アート全般やヒップホップ等の音楽に消えることのない足跡を残してきた。
左:ロバート・グラスパー、右:ハービー・ハンコック
左:ウェイン・ショーター、中央:ソフィー・フーバー、右:ドン・ウォズ
深夜のラジオで聞いていたのか、耳に残っている曲がいくつもありました。創始者がドイツから逃れてきたユダヤ系移民の青年アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフ(ライオンとウルフ?とびっくりしたけれど、ウルフの綴りがWolff、オオカミはwolf)。その二人と、アフリカン・アメリカンのアーティストたちの交流のようすを見ることができるのは、とても貴重。人種差別もひどかった時代、BLUE NOTE RECORDSは心の拠り所であったでしょう。お金儲けのためでなく、本当に好きなものを共有している幸せそうな笑顔に、こちらもじんわり温かくなります。
この80年の間にブルーノート・レコードから世に送り出されたレコードは1000枚にもなるそうで、しかも最初の姿勢が今も変わっていないというのにさらに感動してしました。カメラマンでもあったウルフが撮影した写真は、ほとんどのレコードジャケットに使われています。ポジフィルムがたくさん登場します。写真の好きな方も観る価値あり。(白)
2018年/スイス・アメリカ、イギリス合作/85分
配給:EASTWORLD ENTERTAINMENT
協力:スターキャット
https://www.universal-music.co.jp/cinema/bluenote/
★2019年9月6日(金)よりBunkamura ル・シネマほか全国順次公開