2025年01月19日

蝶の渡り  原題:პეპლების იძულებითი მიგრაცია 英題:Forced Migration of Butterflies

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(C)STUDIO-99

監督:ナナ・ジョルジャゼ
出演:ラティ・エラゼ、タマル・タバタゼ、ナティア・ニコライシヴィリ

ジョージア。1991年。ソ連からの独立が近づき、希望に満ちた<どんちゃん騒ぎ>で新年を迎える若者たち。
しかし、ソ連崩壊後、ジョージアは独立を宣言するものの、ロシアとの戦争で領土の一部を喪失。アブハジアと南オセチアは今もロシア占領下にある・・・

27年後。
画家コスタは祖父母の代からの古びた家の半地下に暮らしている。そこに集まるのは、かつての芸術家仲間たち。才能があってもうまくいかない。仕事がない。コスタは明日の電気代にも困るほどだ。
新年を迎えようとしている日、音楽家のミシャとムラ、衣装や帽子を作っているロラ、今は修道院にいるナタも集まっている。そこにコスタの昔の恋人ニナが戻ってくる。
そんな時、音楽家のミシャと付き合っているタソが、コスタの絵を買いたいというアメリカ人コレクターを連れてくる。なんと彼がニナに一目惚れ! その場でプロポーズ。さて、どうなる・・・?!

コスタの部屋にある絵をすべて買いたいというコレクターに、コスタは「蝶の渡り」の絵だけは手放しません。原語の意味は「蝶の強制移住」。ジョージョアでは様々な理由で移住せざるをえない人たちがいることも意味しているようです。
芸術家たちが、食べていけない状況の中でも、仲間たちと集い、冗談を飛ばしている姿に切なくなります。より良い生活を求めて、女たちは条件のいい男になびくのも、わかるような気がします。
仲間たちの姿を、若い時からヴィデオカメラに収めているナタは、アブハジアの戦争で夫ズラを亡くし、今は見習い修道女。
歴史に翻弄されながら、皆で寄り添い、生き抜こうとする人たちの味わい深い群像劇。(咲)



監督・脚本 ナナ・ジョルジャゼ
Nana Jorjadze
1948年、トビリシに生まれる。1968年から1974年まで建築家として働いた後、現在のショタ・ルスタヴェリ演劇映画ジョージア国立大学に入学。以降、女優業のほか衣装や美術などで様々な映画に関わるが、監督を志す。1986年、長編第一作『ロビンソナーダ 私の英国人の祖父』でジョージア初のカンヌ国際映画祭カメラ・ドール(新人監督賞)受賞。1996年の『シェフ・イン・ラブ』はアカデミー外国語映画賞にノミネートされた最初のジョージア映画となり、2000年の『シビラの悪戯』も数々の国際映画祭で受賞。2019年にはジョージアワインについてのユニークなドキュメンタリー『Prime Meridian of Wine』を発表。1992年のカンヌ国際映画祭審査員、1997年のヴェネツィア国際映画祭審査員はじめ、これまで100以上の国際映画祭で審査員を務め、名実ともにジョージアを代表する女性監督。本作はジョージアの首都で開催された2023年トビリシ国際映画祭のオープニングを飾り、ジョルジャゼ監督は映画への貢献に対して金のプロメテウス賞を受賞。
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(C)3003 film production, 2019
★ラナ・ゴゴベリゼ監督『金の糸』(2019)で主演を務めている。


トビリシ国際映画祭(ジョージア)オープニング作品
金のプロメテウス賞(映画への貢献に対して)受賞


2023年/ジョージア/89分/カラー/ジョージア語
配給:ムヴィオラ
https://moviola.jp/butterfly/
★2025年1月24日(金)より新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開


posted by sakiko at 01:08| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月05日

ブラックバード、ブラックベリー、私は私。(原題:Shashvi shashvi maq'vali’)

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監督:エレネ・ナヴェリアニ
原作:タムタ・メラシュヴィリ
撮影:アグネス・パコズディ
出演:エカ・チャヴレイシュヴィリ(エテロ)、テミコ・チチナゼ(ムルマン)

エテロは48歳で独身。ジョージアの小さな村で育ち、母親が病気でなくなってからは父と兄の世話を続けてきた。今は一人になって雑貨店を営んでいる。ブラックベリーを摘んでいたエテロは、ブラックバード(クロツグミ)の声に気をとられて崖から足を滑らせてしまう。なんとか自力で這い上がると、村人たちが自分の遺体を囲んでいる臨死体験をする。店に戻った彼女は、いつものように商品の配達に来たムルマンを思わず見つめてしまう。性衝動にかられ、48歳にして初体験をした彼女はムルマンが自分に好意を持っていたことを知る。噂好きの村人たちに知られないように、ムルマンとの約束を心待ちにするようになった。

エテロを演じたエカ・チャヴレイシュヴィリは、主に舞台で活躍する女優さん。太い眉に鋭い目、どっしりとした存在感のある体型は、ゆるぎない意思と生活力を感じさせます。
ジョージアは戦前の日本のような家父長制が残っていて、独り身の女性には風あたりが強いようです。口さがない女たちは、エテロが結婚せずにいることや体型を揶揄しますが、独り身の自由を謳歌しているエテロは、取り合いません。失礼な物言いにはきっちりと反論もし、全く正論で溜飲が下がります。エテロは街に出かけて、好きなケーキを食べ、女性カップルの店で話に花を咲かせ、と自分一人の楽しみもちゃんと持っています。友人の娘とは年の離れた友達付き合いができます。既婚者のムルマンと親しくなって、乙女のようにときめきますが独り占めにしようなどとは思いません。
こんな「お一人様」人生もいいなぁと思っていると、想定外のラストが!これは吉なのか?(白)


2023年/ジョージア、スイス/カラー/ジョージア語/110分
配給:パンドラ
(C)- 2023 - ALVA FILM PRODUCTION SARL - TAKES FILM LLC
http://www.pan-dora.co.jp/blackbird/

★2025年1月3日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、アップリンク吉祥寺にて公開中
posted by shiraishi at 15:03| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2024年10月26日

ゴンドラ  原題:GONDOLA

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(C)VEIT HELMER-FILMPRODUKTION,BERLIN AND NATURA FILM,TBILISI

監督&脚本:ファイト・ヘルマー(『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』)
撮影:ゴガ・デヴダリアニ(『⾦の⽷』)
美術:バチョ・マハラゼ(『ブラ!ブラ!ブラ! 胸いっぱいの愛を』)
出演:
ニノ:ニニ・ソセリア
イヴァ:マチルド・イルマン
駅⻑:ズカ・パプアシヴィリ
未亡⼈:ニアラ・チチナゼ
⾞椅⼦の男:ヴァチャガン・パポヴィアン
少年:ルカ・ツェツクラゼ
少⼥:エレネ・シャヴァゼ

山間をすれ違う赤い2台のゴンドラ
二人の女性の車掌が心を通わす


黒いリボンが巻かれた赤いゴンドラに棺が乗せられ、山の下に運ばれる。黒い喪服の女性が見送る。ゴンドラの車掌の男性が亡くなったのだ。村の人たちが皆、棺を見守る。
亡くなった男性の娘イヴァが村に帰ってくる。ゴンドラの車掌になる。ゴンドラは2台あって、先輩の女性の車掌ニノが運転を教えてくれる。駅⻑は威張り屋のおじさんで、どうやらニノに気があるらしいが、ニノは駅⻑が好きじゃない。⾞椅⼦の⽼⼈を追い払ったりして、意地悪だからだ。ニノは航空会社のCAになる夢を叶えようと、履歴書をジョージア航空に送る。
イヴァとニノは、すれ違うゴンドラの中からいろいろな形で挨拶を交わしたり、駅に着くたびチェスの一手をさしたり、心を交わしていく。ニノに振られた駅長が、腹いせでチェス盤をめちゃめちゃにしてしまったとき、イヴァはニノを慰めるように素敵で美味しいオープンサンドを作ってプレゼントする。
2⼈の距離がどんどんと近づいていく。ニノの家に急ぐイヴァ。抱き合う2⼈。が、航空会社からの⼿紙を⾒つけたイヴァは、ニノがゴンドラの乗務員をやめるつもりでいることに怒って帰ってしまう。 しかし、翌朝。⽔鉄砲をニノにプレゼントするイヴァ。2⼈は仲直りして、ゴンドラでの⽔鉄砲合戦を⼦供のように楽しむ・・・

ジョージアの山あいを走るゴンドラを舞台に、若い女性の車掌どうしの淡い恋や、人々の日々の営みを、いっさいセリフなしで描いた映画。
2023年の東京国際映画祭のコンペティション部門で上映された折、セリフがないことに、途中からちょっと居心地の悪い思い。上映後のQ&Aで、ファイト・ヘルマー監督が、「セリフのない映画を気に入ってくれた観客とは友達」と開口一番。私、友達になれないかもと、その時には思ったのでした。
実は、ファイト・ヘルマー監督には、『世界でいちばんのイチゴミルクのつくり⽅』が公開された折にインタビューして、映画で使ったイチゴをいただいたりして、お友達になっていたのでした。

公開を前に、もう一度、拝見。女性車掌二人の淡い恋物語と共に、可愛い少年少女の初恋らしきものも語られていて、こんなにいろんなことが散りばめられた物語だったのかと!映像がとにかく素晴らしいです。ジョージアのメインの撮影地のゴンドラは、実は1台だけ。行き交う2台のゴンドラは別の場所で撮影したそうです。詳細は下記の記事をご覧ください。(咲)


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東京国際映画祭コンペティション部門『ゴンドラ』Q&A報告 (咲)

山やスキーが好きなので、ゴンドラやロープウエイにはよく乗ります。若いころは山登りやスキーをするために、今は景色を見るために。上に上っていく時の周りの景色や、下に広がる様々な景色、遠くに見える山や湖の姿が移動と共に移り変わっていく様子、雪景色も新緑も好きですが、特に紅葉の時期の景色が大好きです。日本では主に観光や娯楽用としてゴンドラはありますが、この映画に出てくるゴンドラは、人の行き来、荷物を運んだり、学校に通ったりと山の上の村と下の村?を結ぶ、生活の必需品として出てきます。そして冒頭では、このゴンドラの車掌だった人の棺が出てきて、びっくりしました。人々の生活の営みとしてのゴンドラを舞台に、二人の女性の交流が描かれ、村人たちの生活も上から見えます。こんなに生活に密着したゴンドラがあることを知りました。それにしても生活に密接にかかわる交通機関としてのゴンドラなのに、スチュワーデスみたいな制服で乗っているんだと思いました。可愛かったけど(笑)。
と、「旅サラダ」という番組を見ながらこの文章を書いていたら、中国湖南省張家界という街から世界遺産武陵源を結ぶゴンドラが出てきました。『AVATAR(アバター)』で描かれたところです。このゴンドラも家々が広がる街中から山へと向かっていました。山水画のような景色、絶景でした。街中から山へ向かうゴンドラって、海外ではけっこうあるのかな(暁)。


2023年/ドイツ、ジョージア/85分/1 : 1.85/5.1ch
配給:ムヴィオラ
公式サイト:https://moviola.jp/gondola/
★2024 年 11 月 1 日(金)より新宿シネマカリテ、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開


posted by sakiko at 03:07| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年02月20日

金の糸  原題:OKROS DZAPI 英語題: GOLDEN THREAD

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©️ 3003 film production, 2019

監督・脚本:ラナ・ゴゴベリゼ
撮影:ゴガ・デヴダリアニ
音楽:ギヤ・カンチェリ
出演:ナナ・ジョルジャゼ、グランダ・ガブニア、ズラ・キプシゼ

トビリシ旧市街の古い家。石畳の道を見下ろす部屋。
“失われた時を求めて・・・”
作家のエレネはパソコンに向かい、人生を振り返る。
今日は彼女の79歳の誕生日。だが、一緒に暮らしている娘夫婦は忘れている。それどころか、娘ナトから姑のミランダにアルツハイマーの症状が出始め、一人住まいは心配なので、この家に連れてくると告げられる。
エレネはミランダが来るなら自分が彼女に家に移ると言い張る。ソ連時代に政府高官だったミランダには苦い思い出があるのだ。
そんな折、60年前の恋人アルチルから誕生日を祝う電話がかかってくる。かつてのように野の花を届けたいと。石畳の通りで朝までタンゴを踊った若き日を思い出す二人。
「妻を亡くし、君しか話し相手がいない」と、その日以来、折に触れて電話してくるアルチル。
一方、引っ越してきたミランダとの暮らしは、エレネの心をかき乱す。
テレビ出演したアルチルを見て、「昔、私に思いを寄せていた青年」というから、エレネはさらに面白くない。
自分と同じ名前の曾孫のエレネに、「金継ぎ」アート作品を壁に飾りながら、陶磁器の破損部分を金色に仕上げる日本の伝統的な修復技法を説明し、自分の過去の確執も修復したいと語る・・・

大粛清もあったソ連時代を経て、独立したジョージア。エレネはソ連政府の高官だったミランダから著書の出版禁止を言い渡され、その後、書けないでいたことをミランダにぶちまけます。小さな人形を作りながら、曾孫に、「私のお母さんが流刑中に作っていたのよ」と語るエレネ。
本作を91歳で紡いだラナ・ゴゴベリゼ監督。母ヌツァ・ゴゴベリゼは1934年に『ウジュムリ』を製作したジョージア最初の女性監督。父レヴァンは1937年の大粛清で処刑され、母も10年もの間、流刑されています。残されたラナは孤児院を経て、おばに引き取られ、成長後、強制収容所から帰還した母と再会。そんな過去も本作に反映されています。
トビリシの趣のある旧市街の家で、ゆるやかに語られる本作。2019年に亡くなった世界的作曲家ギヤ・カンチェリによる音楽が、静かに奏でられ、過去へのさまざまな思いにいざなわれました。
ジョージア映画祭2022で、ラナ・ゴゴベリゼ監督の『インタビュアー』(1978年)が上映され、観ることができました。妻であり母でありながら新聞記者として、様々な女性たちに取材するソフィコ。夫には家を留守にすることの多い仕事を辞めないからと浮気され、上司からは、出張のないポジションを提示されます。女性が本領を発揮できない家父長社会でもがく姿が鮮やかに描かれていました。
エレネを演じたナナ・ ジョルジャゼは、『インタビュアー』でインタビューを受ける女性の一人を演じていました。女優だけでなく、衣装や美術などで様々な映画に関わり、1979年に『ソポトへの旅(Mogzauroba Sopotshi)』で監督デビューもしているジョージアを代表する女性監督の一人。心に葛藤を抱えたエレネを素敵に演じています。(咲)



☆ラナ・ゴゴベリゼ監督メッセージ☆
公開を前に、93歳のラナ・ゴゴベリゼ監督より、今年で閉館となる岩波ホールと観客に向けたメッセージが届きました。

岩波ホールにはたくさんの思い出があります。80年代に私の映画『インタビュアー』を上映してくださったこと、その後『転回』が東京国際映画祭に選ばれて来日した際(その時の審査委員長はグレゴリー・ペックでした!)、温かく歓迎してくださったこと、私はその時、監督賞をいただいたのですが、当時、岩波ホールの総支配人だった髙野悦子さんが、私以上に喜んで、二人で抱き合って喜んだことが今でも思い出されます。映画への情熱が身体中から溢れ出ているような、忘れられない女性でした。歳をとると、かつての知人たちが次々にいなくなっていくものです。けれど、何歳になっても新しい出会いはあります。『金の糸』が日本で、若い世代の方たちとも出会えることを楽しみにしています。


◆ラナ・ゴゴベリゼ監督オンライン舞台挨拶
日時:2/26(土)13:00の回&15:30の回上映後
会場:岩波ホール

◆『金の糸』上映後トーク
スケジュール:※すべて13:00の回上映後
3/3(木)加藤登紀子さん(歌手)
3/10(木)はらだたけひでさん(画家・ジョージア映画祭主宰)①
3/17(木)ティムラズ・レジャバさん(駐日ジョージア大使)
3/24(木)はらだたけひでさん②
3/31(木)はらだたけひでさん③
4/7(木)五月女颯さん(ジョージア文学・批評理論研究)
4/14(木)廣瀬陽子さん(慶応大学教授・コーカサス地域研究)


2019年/ジョージア=フランス/91分
字幕:児島康宏
配給:ムヴィオラ
©️ 3003 film production, 2019
公式サイト:http://moviola.jp/kinnoito/
★2022年2月26日(土)より東京・岩波ホールほか全国順次公開




posted by sakiko at 11:40| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年08月18日

聖なる泉の少女  原題:NAMME

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監督・脚本:ザザ・ハルヴァシ
撮影:ギオルギ・シュヴェリゼ
出演:マリスカ・ディアサミゼ、アレコ・アバシゼ、エドナル・ボルクヴァゼ、ラマズ・ボルクヴァゼ、ロイン・スルマニゼ

山あいの村。聖なる泉のまわりに人々が集まっている。意識を失った青年を水で清める若い女性。先祖代々、泉を守ってきた一家。3人の息子は、それぞれジョージア正教の神父、イスラームの聖職者、無神論の科学者となり、老いた父は娘ツィナメ(愛称ナーメ)に一家の使命を託そうとしているのだ。器の中でずっと一匹で生き続けている魚。「もはや我が家の魚でなく村の皆のもの。我々が守らなければ」という父。
だが、ナーメは村を訪れた青年に恋をし、ほかの娘のように自由に生きたいと憧れる・・・

舞台はジョージアの南西部、トルコとの国境を接するアチャラ地方の山深い村。
映画のもとになったのは、この地に口承で伝わってきた物語。監督も祖母から聞かされたという。
「大昔、泉の水で人々の心や体の傷を癒していた娘がいました。いつしか彼女は他の人々のように暮らしたいと願い、自らの力を厭うようになりました。そして、ある日、力の源だった魚を解き放ち、彼女は他の人々と同じ生活に帰っていきました」

ナーメを演じた細面のマリスカ・ディアサミゼが、神秘的な風情で、まさに聖なる少女。最後に残った娘に跡を継がせようという父の悲痛な思いは理解できるが、3人の兄が好きな道を歩んでいるのに、娘にとっては納得がいかないだろう。

キリスト教のジョージア正教が大多数を占める国だが、この地域ではイスラーム教徒も多い。教会の鐘の音と、モスクからの祈りを呼びかける声が響き合う土地柄。
そんなのどかな地に、水力発電所が建設されることになり、不協和音のごとく機械的な音が響いてくる。伝統は途絶え、自然が破壊される、まさに世界の各地で起こっていることを象徴している。だが、そんな異質な場面も吹き飛ぶほど、静寂で味わい深い余韻。(咲)

東京国際映画祭 2017年 コンペティション部門で『泉の少女ナーメ』のタイトルで上映された。

2017年/ジョージア・リトアニア/ジョージア語/91分/カラー
配給:パンドラ
後援:在日ジョージア大使館
公式サイト:http://namme-film.com/
★2019年8月24日(土)岩波ホールにてロードショー、全国順次公開




posted by sakiko at 09:05| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする