2019年08月18日

聖なる泉の少女  原題:NAMME

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監督・脚本:ザザ・ハルヴァシ
撮影:ギオルギ・シュヴェリゼ
出演:マリスカ・ディアサミゼ、アレコ・アバシゼ、エドナル・ボルクヴァゼ、ラマズ・ボルクヴァゼ、ロイン・スルマニゼ

山あいの村。聖なる泉のまわりに人々が集まっている。意識を失った青年を水で清める若い女性。先祖代々、泉を守ってきた一家。3人の息子は、それぞれジョージア正教の神父、イスラームの聖職者、無神論の科学者となり、老いた父は娘ツィナメ(愛称ナーメ)に一家の使命を託そうとしているのだ。器の中でずっと一匹で生き続けている魚。「もはや我が家の魚でなく村の皆のもの。我々が守らなければ」という父。
だが、ナーメは村を訪れた青年に恋をし、ほかの娘のように自由に生きたいと憧れる・・・

舞台はジョージアの南西部、トルコとの国境を接するアチャラ地方の山深い村。
映画のもとになったのは、この地に口承で伝わってきた物語。監督も祖母から聞かされたという。
「大昔、泉の水で人々の心や体の傷を癒していた娘がいました。いつしか彼女は他の人々のように暮らしたいと願い、自らの力を厭うようになりました。そして、ある日、力の源だった魚を解き放ち、彼女は他の人々と同じ生活に帰っていきました」

ナーメを演じた細面のマリスカ・ディアサミゼが、神秘的な風情で、まさに聖なる少女。最後に残った娘に跡を継がせようという父の悲痛な思いは理解できるが、3人の兄が好きな道を歩んでいるのに、娘にとっては納得がいかないだろう。

キリスト教のジョージア正教が大多数を占める国だが、この地域ではイスラーム教徒も多い。教会の鐘の音と、モスクからの祈りを呼びかける声が響き合う土地柄。
そんなのどかな地に、水力発電所が建設されることになり、不協和音のごとく機械的な音が響いてくる。伝統は途絶え、自然が破壊される、まさに世界の各地で起こっていることを象徴している。だが、そんな異質な場面も吹き飛ぶほど、静寂で味わい深い余韻。(咲)

東京国際映画祭 2017年 コンペティション部門で『泉の少女ナーメ』のタイトルで上映された。

2017年/ジョージア・リトアニア/ジョージア語/91分/カラー
配給:パンドラ
後援:在日ジョージア大使館
公式サイト:http://namme-film.com/
★2019年8月24日(土)岩波ホールにてロードショー、全国順次公開




posted by sakiko at 09:05| Comment(0) | ジョージア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする