2024年05月16日

PS1 黄金の河  原題:Ponniyin Selvan: Part One

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© Madras Talkies © Lyca Productions

監督:マニラトナム(『ボンベイ』)
音楽:A.R.ラフマーン
出演:ヴィクラム、アイシュワリヤー・ラーイ、ジェヤム・ラヴィ、カールティ、トリシャー・クリシュナン

★2022年のタミル語映画トップヒット作

★インディアンムービーウィーク2023パート2上映作品

★1992年のボンベイ大暴動を題材とした『ボンベイ』(95)は日本でも劇場公開され、その後『アンジャリ』(90)『ディル・セ 心から』(98)などが日本で公開されたマニラトナム監督が長年温めてきた、ベストセラー歴史小説『Ponniyin Selvan(ポンニ河の息子)』の映像化作品

10世紀末のタミル地方中部、チョーラ朝は最盛期を目前にしていたが、宮廷では王位簒奪の陰謀が進行していた。マルチスターの歴史絵巻。

10世紀末の南インド・タミル地方中部、最盛期を目前にしたチョーラ朝。スンドラ王には、二人の息子と一人の娘がいた。長男アーディタは北のラーシュトラクータ朝と戦い、次男アルンモリは南に向かいランカ島に上陸する。
王位継承者であるアーディタは、財務大臣パルヴェータが他の重鎮たちと共謀して、本来の王位継承者であるマドゥラーンタカンを担ぎ上げようとしていることに気づく。実は、24年前、前王が急死した時、王子であるマドゥラーンタカンが幼かった為、前王の甥であるスンドラが王位についたのだ。スンドラ王は、王子が成人しても王位を譲らず、自分の長男に王位を譲る気でいる。
謀反の動きを知ったスンドラ王の娘クンダヴァイ姫は、アルンモリを呼び戻そうと、ランカ島に伝令を送る。
謀反の中心人物パルヴェータの若い妻ナンディニーは、実は、かつてアーディタと恋仲だった。ナンディニーが孤児であることから、結婚を許されず、彼女は復讐しようと目論んでいた・・・

登場人物が多くて、しかも名前が長くて、なかなか覚えられません。
人間関係も複雑なのですが、上記のあらすじを頭に入れて観れば、なんとかわかるのではないかと思います。
よくわからないながらも、女性たちは綺麗だし、謀反を中心にした物語なので、いったい誰が次の王位につくのか、わくわくします。
本作は、Part1なので、まだまだ先が見えません。
原題のPonniyin Selvanとは、「カーヴェーリー河の息子」という意味。ラージャラージャ1世が子供の頃にカーヴェーリー河に落ちたところを、河の女神の助けによって助かったことから付けられた名前。後のラージャラージャ1世になるのは、さて誰なのでしょう。原作があるので、答えはすぐにわかりますが、ここでは伏せておきます。
マニラトナム監督の映画でお馴染みのAR・ラフマーンが音楽を担当していて、安定感があります。 Part2が早く観たくなる歴史絵巻です。(咲)


◆後編『PS2 大いなる船出』(原題:Ponniyin Selvan Part Two)は6月14日(金)から公開されます。

2022年/インド/タミル語/167分/G
字幕:大西美保 監修:小尾淳 協力:安宅直子
配給:SPACE BOX 宣伝:シネブリッジ
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/ps-movie/
★2024年5月17日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国順次公開 




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2024年02月25日

ストリートダンサー 原題:Street Dancer 3D

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(C)Remo D’Souza Entertainment (C)T-Series (C)UTV Motion Pictures

監督:レモ・デソウザ(『フライング・ジャット』)
出演:ヴァルン・ダワン(『スチューデント・オブ・ザ・イヤー 狙え! No.1!!』)、シュラッダー・カプール(『サーホー』)、プラブデーヴァー(『Rラージクマール』)、ノーラー・ファテーヒー(『バーフバリ伝説誕生 完全版』)

ロンドンを舞台に、インド系移民とパキスタン系移民の2つのダンスグループが、世界一のダンサーを決めるダンス大会「グラウンド・ゼロ」で、優勝を競う物語。

ロンドンで生まれ育ったインド人のサヘージ(ヴァルン・ダワン)は、インド系の仲間たちと「ストリート・ダンサー」というチームでダンスを踊っている。ダンスで膝を痛めた兄のインデル(プニト・パタク)が子どもたちにダンス指導ができるようにとダンススタジオを用意する。自分で踊れなくなったインデルにとって、弟サヘージがダンス大会「グラウンド・ゼロ」で優勝することが夢だ。
一方、パキスタン系移民の娘イナーヤト(シュラッダー・カプール)は、「ルール・ブレイカーズ」というグループを率いて踊っている。
超絶ダンサーのアンナー(プラブ・デーヴァー)がオーナーを務めるレストランで、二つのダンスグループは、インドとパキスタンのクリケットの試合を観戦しながら、喧嘩になる。「ここで喧嘩しないで、ダンス大会で競ってくれ」と仲介に入るアンナー。
ある日、イナーヤトは、アンナーがレストランの残り物を違法滞在している移民たちに配っていることを知る。違法移民の中には、国に帰りたくても帰れない人たちもいることを知ったイナーヤトは、ダンス大会の賞金10万ドルを彼らのために使いたいと、優勝を勝ち取ることを決意する・・・

イナーヤトは、ダンスをしている時には、はじけていて、服装もお腹が見えたりしているのですが、家に入る前には、そっとスカーフを被ります。パキスタン移民の家族が、ムスリムらしく暮らしている様子が垣間見れます。イナーヤトがダンスをしていることは、もちろん家族には秘密です。
サヘージは、両親の故郷であるインドのパンジャーブに行った時に、近所のシク教徒の青年4人からイギリスに行きたいとせがまれ、仲介業者からお金を貰って、自分のダンスの音楽隊だと偽って、イギリスに入国させます。けれども入国後は彼らと決別してしまいます。
その後、サヘージはライバルチームのイナーヤトが、アンナーを手伝って違法移民の人たちに食事を配っていることを知るのですが、その中に、自分が見捨てたシク教徒の4人がいて驚きます。彼らは仲介業者に言われた場所に行ったものの、仕事は得られず、パスポートも燃やし、髪の毛も切られていました。シク教徒にとって髪の毛を切ることはご法度。涙が出ます。
現在のイギリス首相リシ・スナク氏は、イギリスで初めてのアジア系首相。
父方の祖父母は英領インド帝国パンジャーブ地方のグジュラーンワーラー出身のヒンズー教徒で、印パ分離独立後にはパキスタン領となっています。
二つのダンスチームが、クリケットの観戦をしている時、応援しているのがインドなのかパキスタンなのかで、それぞれのルーツがわかりますが、見た目ではほとんどどっちがどっちかわかりません。 パンジャーブ地方が、印パ分離独立でインド側とパキスタン側に二つに分かれたごとく、広いインド亜大陸。多様な人たちがどっちに属しているかは、歴史的背景があってのことだと感じます。

本作では、イギリスで恵まれない人たちに炊き出しを行っているシク教徒系の団体Nishkam SWAT(Sikh Welfare and Awareness Team)の活動がベースになっていて、最後に実際の彼らの活動が映し出されています。
シク教といえば、お寺でのランガル(パンジャーブ語で無料で食事を提供するという意味)が有名。『聖者たちの食卓』(フィリップ・ウィチュス監督、2011年)を思い出しました。

さて、二つのチームは準決勝まで勝ち進み、いよいよ優勝を競うことになります。
結果は、映画をどうぞご覧ください。(咲)


インディアンムービーウィーク2023パート2 で上映されたものが、一般公開されることになりました。

2020年/インド/ヒンディー語/142分  (*ウルドゥー語も)
日本字幕翻訳:佐藤裕之
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/streetdancer/
★2024年3月1日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
posted by sakiko at 01:58| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月31日

ただ空高く舞え  原題:Soorarai Pottru(勇者に敬礼)

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©2D Entertainment and the other all rights reserved

監督:スダー・コーングラー(『最終ラウンド』)
脚本:スダー・コーングラー他
翻案:G.R.ゴーピナート著「Simply Fly: A Deccan Odyssey」
制作:スーリヤ(『24』『Mr.ハンサム-Perazhagan』『NGK』『ジャイ・ビーム-万歳ビームラーオ -Jai Bhim』、ジョーティカー(『チャンドラムキ-Chandramukhi』)
撮影:N・ボンミレッディ 
音楽:G・V・プラカーシュ・クマール 
編集:サテーシュ・S 
出演:スーリヤ、アパルナー・バーラムラリ(『響け!情熱のムリガンダム-Sarvam Thaala Mayam』)

庶民を1ルピーで空を飛ばせてみせる!

インド初の格安航空会社「エア・デカン」の創設者G・R・ゴーピナート大尉著「Simply Fly: A Deccan Odyssey」に基づく物語。

教師の父に逆らい防衛学校に入り空軍士官となったネドゥマーラン。父危篤の知らせを受け、空港に行くがファーストクラスしか席がなく、お金が足りず、仕方なく陸路で故郷に向かうが、死に目どころか葬儀にさえ間に合わなかった。これを機に、ネドゥマーランは空軍の同期生セビーとチェの3人で、庶民でも乗れる格安航空会社「デカン航空」を創る決意をする。計画が軌道に乗り始め、ネドゥマーランはパン屋を営むボンミと結婚する。ネドゥマーランが“ヒーロー”と仰ぐジャズ航空の創設者パレーシュに共同経営を持ちかけるが、飛行機は富裕層のものと断られ、さらにあの手この手で邪魔をされる・・・

金策に行き詰った時、遠慮がちに妻にお金を貸してくれと頼むのですが、妻のボンミは頼まれた以上のお金を出してくれます。村の人たちもこぞってお金を提供すると申し出てくれて、なんとか開業にこぎつけます。初フライトには、母と妻と娘も乗せて安全を保障。母の手には父の写真・・・ 起業家の話ですが、家族の物語にもなっていて、ほろりとさせられます。女性監督らしい細やかな演出を感じます。妻のボンミが自立している女性なのも素敵です。機内食も、妻の経営するパン屋から調達! 
掃除婦さんやオートリキシャ運転手さんのような人達でも乗れるようにと、ほんとに1ルピーの席も用意したそうです。その仕組みは、どうぞ映画をご覧ください。(咲)


2020年/インド/タミル語/150分/シネスコ/5.1ch
配給:インド映画同好会
公式サイト:http://idemovie.org X:@indoeigadokokai
★2024年1月6日(土)より新宿K’s cinema他全国順次公開

『ヴィクラムとヴェーダ ヒンディ語版』同時期公開

posted by sakiko at 03:43| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ヴィクラムとヴェーダ  原題:Vikram Vedha

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©Y Not Studio and the others all rights reserved

監督/脚本:ブシュカル&ガーヤトリ(『ヴィクラムとヴェーダー』タミル語版)
制作:S・シャシカーント他  
撮影:P・S・ヴィノード  
音楽:サム・C・S 
編集:リチャード・ケヴィン・A
出演:リティク・ローシャン(『WARウォー!!』『バンバン!』)、サイフ・アリー・カーン(『エージェント・ヴィノッド最強のスパイ』)

2017年に大ヒットしたタミル語映画『ヴィクラムとヴェーダー』の監督自身によるヒンディー語リメイク (タミル語版はヴェーダー、ヒンディー語版はヴェーダ)

古都ラクナウ。優秀な警視ヴィクラムは、同僚の警視アッバースと共に、悪党ヴェーダを標的にして、偽装襲撃(エンカウンター・キリング。司法に因らず、警察が容疑者を殺害する行為)に血道を上げている。ところが、ヴェーダが自首してきて、ヴィクラムに13年前のことを話し出す。当時カーンプルを支配するギャングの親玉の新米部下だったヴィクラム。溺愛する弟シャタクが、因縁をつけられ手に鉄串を刺され、ヴェーダは復讐に乗り出した。ここでヴェーダはヴィクラムに問う。シャタクに鉄串を刺した実行犯を罰するべきか、指令を出したボスを罰するべきかと。
ヴェーダは古くから伝承されたインドの説話集「屍鬼二十五話」を基にしながら「善と悪」「善と悪の境界線」を語り続け、最後にヴィクラムは我を忘れるほど驚愕する・・・

ヴィクラム警視の妻プリヤーはよりによってヴェーダの担当弁護士で、ヴェーダを保釈します。ヴェーダの行方を知りたいヴィクラムは妻の通話を盗聴。仕事を家庭に持ち込まないでと、家の外で仕事の話をする二人。プリヤーは、ヴェーダを探すならと、「ニハーリーとクルチャー」を出す料理屋をヒントに出します。ニハーリーは北インドからパキスタンにかけて作られるお肉のシチュー。クルチャーはパンの一種。クルチャーを3回ニハーリーにつけて食べるのが流儀と映画の中で食しています。
プリヤーはなかなかのやり手弁護士ですが、ゥ゙ェーダの弟シャタクの恋人チャンダーもまた利発な女性。事件に絡んできます。
いったい誰が悪人なのか・・・ よ~く注意して観ていないと、話がこんがらがりますが、あまり細かいことは気にせず、リティク・ローシャン演じるヴィクラム警視とサイフ・アリー・カーン演じるヴェーダの会話、そして、魅力的な女性たちに注目して楽しんでください。 ラクナウの町の風情も味わえます。(咲)


2022年/インド/ヒンディー語/157分/シネスコ/5.1ch
配給:インド映画同好会
公式サイト:http://idemovie.org X:@indoeigadokokai
★2024年1月6日(土)より新宿K’s cinema他全国順次公開

『ただ空高く舞え』同時期公開



posted by sakiko at 03:38| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月10日

燃えあがる女性記者たち 原題:Writing With Fire

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(C)BLACK TICKET FILMS. ALL RIGHTS RESERVED


監督、編集、製作:リントゥ・トーマス&スシュミト・ゴーシュ

山形国際ドキュメンタリー映画祭2021年のアジア千波万波部門で、『燃え上がる記者たち』のタイトルで上映され、市民賞を受賞した作品。

2002年にウッタル・プラデーシュ州チトラクート地区にて、カースト外の不可触民である「ダリト」の女性たちによって週刊の地方新聞として創刊された「カバル・ラハリヤ」(ニュースの波)。
2016年、独自のビデオチャンネルを立ち上げ、デジタル配信へと移行する。
主要メディアが扱わない事件も取り上げ、スマホを駆使して取材に奮闘する女性記者たちの姿を追う。

女性ばかりで取材して作っているなんて、シネジャと共通するところがあるわぁと親近感を持って見ていました。が、大きく違うのは「いのちがけ」なところ。特に誰もしなかったことに踏み出した「初めの一歩」にはどんなに勇気をふりしぼったことか。国も違えば社会背景も違うので比べられませんが、志の高さに感嘆、あの熱意に共感します。彼女たちを応援したくなりました。
丁寧に取材し、発信していくことで少しずつ社会が変わり、あとに続く若い人が現れます。キラキラした目で「先輩たちのようになりたい」という後輩たち。若くないけれど、私もそうなりたい。(白)


山形国際ドキュメンタリー映画祭2021年 『燃え上がる記者たち』(インド)Q&A
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/500697660.html

2021年/インド/ドキュメンタリー/ヒンディー語/DCP/93分
日本語字幕:福永 詩乃
配給:きろくびと
公式サイト:https://writingwithfire.jp/
★2023年9月16日(土)より渋谷ユーロ・スペースほか全国順次公開.




posted by sakiko at 13:12| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする