2020年03月22日

サーホー  原題:SAAHO

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監督:スジート
出演:プラバース(『バーフバリ』シリーズ)、シュラッダー・カプール、マンディラ・ベーディー、ニール・ニティン・ムケーシュ、ジャッキー・シュロフ、チャンキー・パーンデー

ムンバイ、下町の朝。集合住宅で鳴り響く一発の銃声を合図に起こる宝石店窃盗事件。実行犯は皆逮捕されるが、黒幕を誰も知らない。ムンバイ警察署幹部は、凄腕のアショーク(プラバース)を覆面捜査官に任命する。
この事件の3週間前、ロイ(ジャッキー・シュロフ)という事業家が暗殺される。かつてボンベイ(現ムンバイ)の暗黒街の顔役だったが、抗争に破れ、20年前にインドから遠く離れた近未来的な犯罪都市ワージーに逃れた男。ロイは金や石油の裏取引で組織を発展させ、ワージーを仕切るプルドヴィラージ(ティーヌー・アーナンド)から後継者に指名されるまでになった。だが、後継者になれなかったプルドヴィラージの息子デーヴラージ(チャンキー・パーンデー)との抗争を恐れ、ロイは独自にロイ・グループとしてインド政府からも優遇措置を受け事業を展開していたのだ。
ロイ一家が密かに育てていた一人息子ヴィシュワク(アルン・ヴィジャイ)は、資産2兆ルピー(約3兆5500万円)を保管した金庫のカギとなるブラックボックスがムンバイにあると明かす。秘書のカルキ(マンディラ・ベーディー)がムンバイに赴く。
このことを知ったアショークは、女性刑事アムリタ(シュラッダー・カプール)を相棒にして、特命チームを指揮し、ブラックボックスを市警が入手すれば犯罪組織のムンバイ進出を阻止できると奔走する・・・


冒頭の宝石店窃盗事件から、近未来都市ワージーの犯罪組織の抗争、ムンバイでの暗殺事件・・・と、めまぐるしく物語が転回してクラクラ。しかも登場人物が似たような顔つきの人が多くて、前半はなんだか訳のわからないうちに過ぎていきました。後半、女性刑事のアムリタと、秘書のカルキの二人の女性が、美しくてカッコいいなぁ~と見とれているうちに、話の筋は、まぁどうでもいいっか~と楽しむことに。
こんがらないように予習したい方は、アジア映画巡礼のサイトをどうぞ!

私がこれまでに観たテルグ映画で現代を舞台にしたものは、それほど多くありませんが、いずれもちょっと暴力的で泥臭い印象でした。本作は、ワージーという近未来都市も出てくるだけあって、おしゃれな面も。インド映画に欠かせない歌って踊ってのシーンも垢抜けてます。踊る水着の美女たちに札びらが舞う場面には、呆気にとられましたが・・・
『バーフバリ』シリーズでプラバースが好きになった方には、アクションだけでなく楽しめる場面がたくさん!
私は謎の男を演じたニール・ニティン・ムケーシュが気になりました。ほかの男性と雰囲気が違うから目に止まったのかも! (咲)


「バーフバリ」シリーズで主人公バーフバリを演じて一躍有名になったプラバースが主演するということでインド映画ファン以外からも注目を集めている。スジート監督はその期待に十分応えてくれる作品に仕上げてくれた。とにかく展開がゴージャス! 銃撃戦や肉弾戦だけでなく、カーアクション、アベンジャーズかと思うような空中戦が次々と繰り広げられる。登場人物が多いので、最初のうちは人間関係を理解するのがちょっと難しいのだが、とりあえず見ていて楽しいので大丈夫。冒頭の強盗事件も多数の協力者たちは犯罪の意識はなく、その行為も罪に問えるようなことではない。それがジグソーパズルのように組み合わされて、とんでもない事件となる。そのカラクリを説明するシーンはピタゴラスイッチ的な展開で見ていてワクワクしてくるだろう。そして、ラストが近づいて、様々な伏線が一気に回収されるとすべてがすとんと理解できるから不思議。
ヒロイン役のシュラッダー・カプールは4月24日公開の『きっと、またあえる』でもヒロインを演じる若手の注目女優。名前を覚えておくといいかもしれない。(堀)

2019年/インド/テルグ語/5.1ch/2時間49分
配給:ツイン
公式サイト:https://saaho.jp/
★2020年3月27日(金)全国ロードショー




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2020年02月16日

プレーム兄貴、王になる  原題:Prem Ratan Dhan Payo

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監督:スーラジ・バルジャーティヤ
出演:サルマン・カーン(『バジュランギおじさんと、小さな迷子』)、ソーナム・カプール(『パッドマン 5億人の女性を救った男』)、二―ル・二ティン・ムケ―シュ、ディーパク・ドブリヤル(『ヒンディー・ミディアム』)、アヌパム・ケール(『ホテル・ムンバイ』)

プリータムプルの町の貧乏役者プレーム(サルマン・カーン)は正義感が強くて、面倒見がよく、皆からアニキと慕われている。被災者に手を差しのべるマイティリー王女(ソーナム・カプール)の姿に一目惚れ。王女が、婚約者のプリータムプル王国のヴィジャイ王子(サルマン・カーン:二役)の王位継承式にやってくると聞きつけ、集めた募金を直接渡したいと、プレームは、相棒のカンハイヤ(ディーパク・ドブリヤル)と王宮のある街をめざす。プレームは街中で王子の家来に声をかけられる。実は、プレームは王子ヴィジャイと瓜二つ。王子が継承者争いで命を狙われ意識不明で、4日後に迫る王位継承式に替え玉として出てほしいというのだ。王子に成りすましたプレームは憧れの王女に会うが、王女は王子の傲慢さに心を閉ざしていた。異母兄弟たちとの関係も悪く、二人の妹たちは口も聞いてくれない。しかも、弟のアジャイ(二―ル・二ティン・ムケ―シュ)は、配下のチラグ(アーマーン・コーリ)に指示して王子の命を狙う張本人だった。疑心渦巻く王室の内情を知ったプレームは、人々の心を溶かそうと人肌脱ぐ・・・

勧善懲悪に、歌って踊っての場面満載の、久しぶりにボリウッドの王道を行く作品。このところ、スタイリッシュだったり、社会派だったりと、いわゆるマサラ・ムービーとは違ったテイストのインド映画の公開が続いて、あえてそういう映画を選んで公開しているのかと思っていました。実は、ボリウッド自体、オーソドックスな作りの映画が減っているらしいです。私自身、歌って踊っての場面はあまり好きじゃなかったのですが、やっぱりこれぞボリウッド!と楽しみました。

原題『Prem Ratan Dhan Payo』は、「愛という宝石の富を手に入れた」という意味。スーラジ・バルジャーティヤ監督の1989年の初監督作品『Maine Pyar Kiya』で、プレームという役名で主役デビューしたサルマン・カーン。その後、スーラジ監督の『Hum Aapke Hain Koun...』(1994年)、『Hum Saath-Saath Hain: We Stand United』(1999年)でも、サルマンが演じた主役の名前はプレーム。16年ぶりに二人がタッグを組んだ本作、インド公開の折は、「プレームが帰ってきた」がキャッチコピーだったそうです。プレームは愛という意味。本作では、家族のいないプレームが、家族なのに愛のない王家の人々が愛を取り戻すことに一役買います。

本作で目を奪われるのが、豪華な鏡の宮殿。英領インド時代に独立を認められていた数多くの藩王国の宮殿を撮影に使ったのではなく、この映画のために設計に2年かけ、300人のスタッフが24時間体制で90日間で作ったもの。しかも、同じ宮殿を3つ! 1000万枚以上の鏡を使ったそうです。
このほか、ラジャスターンの世界遺産クンバルガル砦や、マハラジャの子孫から借りた超高級クラシックカーを利用した場面などもみどころです。英領インド時代の藩王国の王様であるマハラジャ(ヒンドゥー)やナワーブ(イスラーム)の称号は、1971年に廃止されましたが、本作で描かれるような王位継承を今も行う「王国」もあるそうです。血の争いにならないことを願うばかりです。(咲)

2015年/インド/ヒンディー語/シネスコ/5.1ch/164分
配給:SPACEBOX
公式サイト:https://prem-aniki.jp/
★2020年2月21日(金)全国順次ロードショー




posted by sakiko at 17:14| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月22日

燃えよスーリヤ!!    原題:Mard Ko Dard Nahi Hota

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監督: ヴァーサン・バーラー
出演: アビマニュ・ダサーニー、ラーディカ―・マダン、グルシャン・デーヴァイヤー、マヘーシュ・マーンジュレーカル

スーリヤは生まれつき痛みを感じない特異な体質。そのため、いじめっ子たちの標的にされていた。彼を守ってくれるのは幼なじみの女の子スプリだけだ。そんなスーリヤに、祖父はたくさんのアクション映画のVHSを渡す。スーリヤはその中で、「空手マン」と呼ばれる片足の男マニの“百人組手”の映像に衝撃を受け、カンフーマスターになることを誓う。
大人になったスーリヤは、カンフーの特訓を積み、痛み知らずの身体を武器に、街の悪党たちと日々戦っていた。そんなある日、チンピラたちに誘拐されそうになる女性を助けようとしたところに、幼い日に離ればなれになってしまったスプリが現われる。彼女は空手マンに弟子入りし、道場を経営していた。伝説の空手マン・マニに会えたスーリヤ。しかし、彼から、双子の弟ジミーが街を牛耳る悪党になってしまい、大切な師匠の形見を奪われ、スプリも危険にさらされていると聞く。スーリヤは空手マンと愛するスプリのため、悪の組織に立ち向かう・・・

なんとも泥臭くおどろおどろしいポスターに、ちょっと引いてしまったのですが、思いのほかスタイリッシュな作風。スローモーションや静止画、はたまた早送りと映像に工夫を凝らしています。香港映画の影響を受けたそうですが、模倣ではなく独自のスタイル。くどそうだと毛嫌いしないで、まずは観てください。なかなか心温まる物語です。
思えば、『燃えよスーリヤ!!』の邦題は、ブルース・リー主演の名作『燃えよドラゴン』(1973) からきているのですね。(原題は、痛みを感じない男) 私が引いてしまったポスターも『燃えよドラゴン』のポスターのパクリ(いやいや、オマージュ!)だったとわかりました。 松岡環さんのアジア映画巡礼に詳しく出ていますので、ぜひご覧ください。(咲)


監督はブルース・リーのファンであり、それ以上にアクションが好きで好きでたまらないよう。主人公は古いDVDでアクションを独習するが、映し出される作品から監督の好みが伝わってきた。
ハイスピードカメラで撮影したスローモーションを多用し、アクションを細やかに見せる。ヒロインは小柄ながら、しなやかな動きで男性と互角に戦う。見ていて惚れ惚れ!主人公よりカッコいいかも。(堀)


2018年/インド/カラー/アメリカンビスタ/ヒンディー語・英語/138分
配給:ショウゲート
公式サイト:http://moeyo-surya.jp/
★2019年12月27日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国公開
posted by sakiko at 09:05| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月10日

盲目のメロディ インド式殺人狂騒曲   原題:Andhadhun

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監督:シュリラーム・ラガヴァン
出演:アーユシュマーン・クラーナー、タブー、ラーティカ・アープテ―、アニル・ダワン、マナフ・ヴィジ、ザキ―ル・フセイン

アーカーシュは、盲目のピアニスト。ひょんなことで恋に落ちたソフィの父の店でピアノを演奏させてもらっている。ある日、彼の演奏に惚れこんだ往年の大スター、プラモード(アニル・ダワン)から妻シミー(タブー)の誕生日祝いにサプライズでピアノを弾いてほしいと頼まれる。ところが、訪れた豪邸で、シミーとその浮気相手がプラモードを殺してしまったのを見てしまう。実は、盲目なのは嘘で、芸術のために盲目を装っていただけなのだ。その場は見えないフリをして切り抜けるが、通報しなくてはと警察に行くと、なんと警察署長(マナフ・ヴィジ)はプラモードを殺した浮気相手だった・・・

洒落た店でピアノを弾くアーカーシュ。そして訪ねたモダンな豪邸で繰り広げられる殺人の顛末。スタイリッシュなサスペンスかと思いきや、警察で出くわすのが、当の殺人犯の浮気相手! 思わず笑ってしまいます。この後、思わぬ展開に。
アーカーシュ役を演じたアーユシュマーン・クラーナーは、自らピアノ演奏もこなしていますが、コミカルな演技も絶妙。でも、笑ってばかりいられない、予測不能なおぞましいできごとに、クラクラさせられました。
ラガヴァン監督は、フランスの短編映画『L‘Accordeur(The Piano Tuner)』(2010年)から着想を得て、本作を製作したとのこと。また違ったタイプのインド映画の登場です。(咲)


盲目を偽わるピアニストが殺人事件に遭遇。犯人から命を狙われ、本当に視力を失う。恐ろしい企みが絡み、敵味方が二転三転。目まぐるしい展開が繰り広げられる。誰を信じればいいのか。人間不信に陥りそう。
最後に笑うのは誰か。主人公は見えているのか。最後の最後までわからない。しかし、伏線はきっちり回収される。脚本の細やかさに驚かされた。(堀)


2018年/インド/ヒンディー語/シネスコ/5,1ch/138分
配給:SPACEBOX 宣伝:シネブリッジ
公式サイト:http://m-melody.jp/
★2019年11月15日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
posted by sakiko at 14:33| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年10月12日

ガリーボーイ   原題:Gully Boy

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監督:ゾーヤー・アクタル
脚本:リーマー・カーグティー
製作:ファルハーン・アクタル
出演:ランヴィール・シン、アーリアー・バット、シッダーント・チャトゥルヴェーディー、カルキ・ケクラン、ヴィジャイ・ラーズ、ヴィジャイ・ヴァルマー

ムンバイ空港近くのダラヴィ地区のスラムに住むイスラーム教徒の青年ムラド(ランヴィール・シン)。両親は彼が貧困から抜け出せるよう頑張って大学に通わせている。13歳の頃から付き合っているガールフレンドのサフィナ(アーリアー・バット)は、同じイスラーム教徒だが、父親はスラムで開業している医師で裕福。サフィナも外科医を目指している。
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若い第二夫人を家に連れてきてひと悶着起こした父が、足を骨折し、ムラドは父の代わりに大邸宅のお抱え運転手を務めることになる。格差社会を目の当たりにして、鬱屈した気持ちになるムラド。そんな折、大学の構内でのコンサートで、MCシェール(シッダーント・チャトゥルヴェーディー)の歌に惹きつけられる。言葉とリズムで気持ちを自由に表現するラップに魅せられたムラドは、詩を書いてシェールに渡すが、「自分で歌え」と言われる。ムラドはガリーボーイ(路地裏の少年)と名乗り、シェールの助けを得てラッパーに成長していく。若い女性プロデューサーのスカイ(カルキ・ケクラン)によってスタジオでのレコーディングも果たす。アメリカのラッパーNAS(ナズ)のムンバイ公演の前座で歌うラッパーをバトルで選ぶことを知り、スターを夢見て優勝を目指す・・・

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もともとヒップホップ音楽が好きだったゾーヤー監督。NaezyとDivineの二人のラッパーと出会い、その歌と人生に惹かれ、物語を紡ぐことを決意。リーマーと共に徹底的なリサーチを経て作り上げた映画。
スラムで暮らす青年が、インドの階級社会の現実に鬱屈しながらも、ラップと出会い、自身の思いを語り、スターを目指す成長物語と思いきや、さすが、女性の監督と脚本家が作った物語。女性たちが自分の人生を切り開いていく姿をも見事に描いていて痛快。ラップが苦手な私も、たっぷり楽しめた。 ラップが、ヒンディー語やウルドゥ―語のムンバイ訛りで歌われているのも魅力。(咲)


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ゾーヤー・アクタル監督&リーマー・カーグティー(脚本)インタビュー

2018年/インド/154分/カラー/シネスコ/5.1ch
日本語字幕:藤井 美佳/字幕監修:いとうせいこう
配給:ツイン
公式サイト: http://gullyboy.jp/
★2019年10月18日(金) より新宿ピカデリーほか全国ロードショー




posted by sakiko at 21:23| Comment(0) | インド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする