2025年10月02日
ジュリーは沈黙したままで 原題:Julie zwijgt 英題:Julie Keeps Quiet
監督:レオナルド・ヴァン・デイル
出演:テッサ・ヴァン・デン・ブルック、クレール・ボドソン、ピエール・ジェルヴェー、ローラン・カロン
ある日、信頼していたコーチが指導停止に。
その影には、将来有望なテニスプレーヤーの自殺。
15歳の少女・ジュリーは、なぜ沈黙しつづけるのか?
ベルギーのテニス・アカデミーに所属する15歳のジュリー(テッサ・ヴァン・デン・ブルック)。彼女は、いくつもの試合に勝利し、奨学金も獲得している将来を有望視されているプレーヤーだ。ある日、突然、担当コーチのジェレミー(ローラン・カロン)が指導停止になったことを知らされる。彼の教え子で実力あるアリーヌが不可解な状況下で自ら命を絶った事が関係しているらしい。ベルギー・テニス協会の選抜入りテストを間近に控えるなか、クラブに所属する全選手を対象にジェレミーについてのヒアリングが行われる。彼と最も近しい関係だったジュリーには大きな負担がのしかかる。ジェレミーの代わりのコーチであるバッキーのもと、日々のルーティンを崩さず、トレーニングに打ち込み続けるジュリーだったが、なぜかジェレミーに関する調査には沈黙を続ける……。
スポーツの世界、実力がなければ秀でることができないのは当然のこと。劇中、「親が裕福ならジュニアプロまでは簡単」という言葉がありました。ある程度の実力があれば、あとは金次第? 特にテニスは裕福な層のスポーツというイメージがあります。 お金より大事なのは、やはり強靭な精神。何事にも動揺しないことが、実力を最大限に発揮する力なのだと、ジュリーを見て思わせてくれました。(咲)
2024年/ベルギー・スウェーデン合作/オランダ語・フランス語・ドイツ語/100分/カラー/5.1ch/1.85:1/G
日本語字幕:橋本裕充.
配給:オデッサ・エンタテインメント
公式サイト:https://odessa-e.co.jp/julie_keeps_quiet/
★2025年10月3日(金)より新宿シネマカリテ、 ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
2025年07月19日
MELT メルト(英題:Het Smelt)
監督:フィーラ・バーテンス
脚本:フィーラ・バーテンス、マーテン・ロイクス
原作:リゼ・スピット「The Melting(原題)」
撮影:フレデリック・フォン・ザンディク
音楽:ビョルン・エリクソン
出演:ローザ・マーチャント(少女時代のエヴァ)、シャルロット・デ・ブリュイヌ(大人のエヴァ)、セバスティアン・デワーレ、、
ブリュッセルでカメラマン助手の仕事をしているエヴァは、恋人も親しい友人もなく、両親とは長らく絶縁している孤独な女性。そんなエヴァのもとに一通のメッセージが届く。幼少期に不慮の死を遂げた少年ヤンの追悼イベントが催されるというのだ。そのメッセージによって13歳の時に負ったトラウマを呼び覚まされたエヴァは、謎めいた大きな氷の塊を車に積み、故郷の田舎の村へと向かう。それは自らを苦しめてきた過去と対峙し、すべてを終わらせるための復讐計画の始まりだった……。
女優として20年以上のキャリアを持つベルギー人フィーラ・バーテンスの初監督作品。
小さな村でいつも近所の男の子二人とつるんで遊んでいたエヴァ。男の子は街からやってきた大人びた女の子に目を奪われます。仲間外れになりたくないエヴァは、背伸びしてゲームにも参加するのですが。子どもの遊びと許されない結果を招き、エヴァの心身は深く傷つきます。みんなが知り合いのようなところで、エヴァは孤立してしまいました。これまで娘のようにかわいがってくれていたおばさんも、我が子可愛さに手のひらを返したように突き放します。いつまでもエヴァの傷は癒えることはなく、戻ったときに一人でもわかってくれる人がいたならと思わずにいられません。氷の塊に愕然。
少女のエヴァ役のローザ・マーチャントには配慮しつつ演出したのでしょう。彼女が将来どんな女優さんになって現れるのか楽しみです。(白)
2023年 サンダンス映画祭で最優秀演技賞(ワールド・シネマ・ドラマティック部門)
ベルギーのアカデミー賞にあたるマグリット賞で最優秀フランドル映画賞を受賞
2023年/ベルギー、オランダ合作/カラー/111分/PG12
配給:アルバトロス・フィルム
(C)Savage Film - PRPL - Versus Production-2023
https://melt-film.com/
★2025年7月25日(金)ほか全国ロードショー
2025年03月02日
Playground/校庭 原題: Un Monde 英題:Playground
監督・脚本:ローラ・ワンデル(長編デビュー)
出演:マヤ・ヴァンダービーク、ガンター・デュレ、カリム・ルクルー(『またヴィンセントは襲われる』(24))、 ローラ・ファーリンデン(『ハッピーエンド』(18))
7歳の少女ノラ。小学校に入学する日、友だちがひとりもいないノラにとって、3つ年上の兄アベルが頼りだ。兄に抱きついて泣きじゃくるノラは、父にうながされてようやく学校に入る。昼休み、兄のもとに行くが、邪険にされる。ようやく同じクラスの女の子たちと仲良くなるが、ある日、兄が大柄なガキ大将にいじめられているのを見てショックを受ける。大好きな兄を助けたいと思うが、アベルは「誰にも言うな」「関わるな」という。それでも兄が心配なノラは父に告げる・・・。
校庭でくったくなく遊んでいる子どもたち・・・と思いきや、裏では陰湿ないじめが起こっているのは、どこの国でもあることなのでしょう。
お誕生日会に、全員を呼ぶといいながら、仲間外れにするということもありがち。
さらに、ノラの場合は、父親が学校に送り迎えしていることを、同級生たちに、「お父さんは失業者。働かないで家でお金を待ってる人」とまで言われてしまいます。
「サッカーをやる人は差別主義。自分のことしか考えない」とか、子どもたちは、大人たちが話している言葉から自然に偏見を身に着けてしまうものなのか・・・と、ちょっと悲しくなりました。
学校には、アイシャやスレイマンなどイスラーム系の名前の子どももいて、ベルギーにも移民が多いことを感じさせてくれました。学校は、どんな民族や宗教の子どもたちとも共生することを学ぶ場であってほしいと願います。(咲)
ローラ・ワンデル(監督・脚本)
1984 年ベルギー生まれ。ベルギーの視聴覚芸術院(IAD)で映画製作を学ぶ。在学中に短編映像『Murs (原題)』 (07) を制作。その後、初の短編映画 『O négati (原題)』(10)を製作した後、2014年に監督した短編映画『Les corps étrangers (原題)』ではカンヌ国際映画祭の短編コンペティション部門に選出された。本作で初の長編映画デビューを飾り、第74回 カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品され、国際批評家連盟賞受賞。また、第94回アカデミー賞国際長編映画賞ショートリストにまで選出され、世界中の映画祭を席巻しセンセーショナルなデビューを飾った。最新作である『In Adam‘s Interest』(25年撮影開始予定)では、ジャン=ピエール&リュック・ダルデンヌ製作のもと、レア・ドリュッケール(『CLOSE クロース』(23))、アナマリア・ヴァルトロメイ(『あのこと』(22))をキャストに迎え、小児科病棟で働く看護師と、ある母子が直面する困難を描くドラマ作品を手がける。(公式サイトより)
2021年/ベルギー/フランス語/72分/ビスタ/5.1ch
日本語字幕:岩辺いずみ
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム
後援:駐日ベルギー大使館
公式サイト:https://playground-movie.com/
★2025年3月7日(金) 新宿シネマカリテ、シネスイッチ銀座ほか全国公開.
2024年01月24日
Here 原題:Here
脚本・監督:バス・ドゥヴォス
撮影監督:グリム・ヴァンデケルクホフ
音楽:ブレヒト・アミール
キャスト
シュテファン(主人公のルーマニア人移民労働者):シュテファン・ゴタ
シュシュ(主人公の植物学者):リヨ・ゴン
セドリック(レストランのマネージャー):セドリック・ルヴエゾ
ミハイ(整備工場のボス):テオドール・コルバン
サーディア(共有庭園の婦人):サーディア・ベンタイブ
アンカ(シュテファンの姉):アリーナ・コンスタンティン
シュファン(シュシュの叔母):シュファン・ワン
ブリュッセルに住む建設労働者のシュテファン。4週間の夏季休業を言い渡され、アパートを引き払い故郷のルーマニアに帰国するか悩んでいる。姉や友人たちにお別れの贈り物として冷蔵庫の残り物で作ったスープを配ってまわる。出発の準備が整ったシュテファンは、ある日、森を散歩中に以前レストランで出会った女性のシュシュと再会。そこで初めて彼女が苔類の研究者であること知る̶。森を歩きながら、シュシュは多様な苔のこと教えてくれる。これまで知らなった世界。シュテファンは静かにシュシュの話に惹かれていく・・・
苔にそんなにたくさん種類があるんだ~と、私もシュテファンと一緒に驚きました。
雇用主の都合で、長期休暇やクビになってしまう、立場の弱い移民労働者の悲哀を思いました。
苔の研究をしているシュシュは、中国系ベルギー人という設定。演じたリヨ・ゴンは、ブリュッセルの著名な国立映画・演劇学校INSAS(The Institut national supérieur des arts du spectacle et des techniques de diffusion)で映画編集の学士号を取得。ふだんは映画の編集者としていて活躍していて、『Here』で初めて長編映画の主演を務めています。公開にあわせて来日されます。地道な研究者を演じたリヨ・ゴンさんに、ぜひ会いに劇場にいらしてください。(咲)
★公開記念トークイベント開催!
登壇者:バス・ドゥヴォス監督、『Here』主演 リヨ・ゴンさん
①2月2日(金)『Here』18:55の回
上映後トーク・Q&A/終了後におふたりによるサイン会実施
②2月3日(土)『Here』18:55の回
上映後トーク・Q&A/終了後におふたりによるサイン会実施
③2月6日(火)『Here』18:55の回
上映後トーク・Q&A
※2月6日(火)はサイン会の開催はありません。
第73回ベルリン国際映画祭エンカウンターズ部門最優秀作品賞 & 国際映画批評家連盟賞 (FIPRESCI賞)
2023年/ベルギー/オランダ語・フランス語・ルーマニア語・中国語/83分/DCP(16mm撮影)/スタンダード
日本語字幕:手束紀子
配給:サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/here
★2024年2月2日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国ロードショー
ゴースト・トロピック 原題:Ghost Tropic
脚本・監督:バス・ドゥヴォス
撮影監督:グリム・ヴァンデケルクホフ
音楽:ブレヒト・アミール
キャスト:
主人公の掃除婦・ハディージャ:サーディア・ベンタイブ
コンビニの女性店員:マイケ・ネーヴィレ
警備員:シュテファン・ゴタ *『Here』で主人公のシュテファンを演じている
救急隊員:セドリック・ルヴエゾ
近隣の男性:ウィリー・トマ
娘:ノーラ・ダリ
ブリュッセルで掃除婦として働くハディージャ。一日の仕事を終え、最終電車で家路につくが、寝過ごして終点まで行ってしまう。娘に電話するも連絡がつかない。バスもなく、もう歩いて帰るしかない。途中のショッピングモールで、警備員に頼み込んで中に入れてもらいATMでお金をおろそうとするが残高がほとんどない。ひたすら歩いていく途中で、倒れこんでいるホームレスの男性を見かけ、通報して保護してもらう。閉店間際のコンビニで紅茶を飲む。店員の女性が車で送ってくれることになる・・・
寒い冬のブリュッセルの一夜の物語。
スカーフをきちっり被って髪の毛を隠しているハディージャは、北アフリカのどこかの国から移民してきた敬虔なムスリマ。倒れているホームレスを見過ごすことができません。彼が可愛がっていたと思われる犬も一緒の保護してほしいと頼むのですが、断られ、このままでは凍死してしまうと心配します。
かつて家政婦をしていた家の台所で料理をしている青年を見かけ、不法侵入者だとわかりつつ、警察が咎めようとするのを止めます。
移民してきたベルギーで、つらい思いもしてきたと思うのに、弱者に気遣いできるのは、イスラームのいたわりの精神がハディージャに根付いているからだと思います。
多様な人たちが暮らすベルギー。ハディージャの職場では、休憩時間に肌の色の違う人たちが談笑している光景が出てきます。ハディージャが帰り道に出会う人々も多種多様。バス・ドゥヴォス監督が日々みている人たちの姿が、この映画にも反映されていることを感じました。(咲)
第72回カンヌ国際映画祭監督週間正式出品
2019年/ベルギー/フランス語/84分/DCP(16mm撮影)/スタンダード
日本語字幕:手束紀子
配給:サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/ghosttropic
★2024年2月2日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国ロードショー


