2024年4月19日 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー 劇場情報
©UNIDIS JOLLY FILM
91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)
必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。
昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。
『死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版』
モリコーネの音楽とバエズの歌が心を撃つ─。
カンヌ国際映画祭男優賞受賞の名作実話ドラマが4Kリマスター・英語版で待望の劇場リバイバル!
監督・脚本:ジュリアーノ・モンタルド
撮影:シルヴァーノ・イッポリティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
歌:ジョーン・バエズ
出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ、リカルド・クッチョーラ、ミロ・オーシャ、シリル・キューザック、ロザンナ・フラテッロ
1920年、イタリア移民への差別と労働問題が叫ばれていたボストン。靴職人のニコラ・サッコと魚行商人のバルトロメオ・ヴェンゼッティは、運悪く護身用のピストルを携帯していた廉(かど)で警察に逮捕される。全くの事実無根にもかかわらず、イタリア移民のアナーキストという理由だけで、ふたりは身に覚えのない製靴会社の現金強盗殺人事件の容疑者にされてしまう。だが、裁判での証言・証拠はことごとく、彼らが犯人であることを示していた。やがて彼らに有罪の判決が下るが…。
1920年代のアメリカで実際に起こった悪名高き冤罪事件“サッコ=ヴァンゼッティ事件”。その人種的、思想的差別と偏見に満ちた裁判の一部始終を、ジュリアーノ・モンタルド監督が冷徹に映画化。サッコ役のリカルド・クッチョーラが迫真の演技で、1971年度カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。エンニオ・モリコーネが音楽を手がけ、本作に賛同した活動家で歌手のジョーン・バエズが主題歌(「勝利への讃歌」)と挿入歌(「サッコとヴァンゼッティのバラード」)の2曲を歌っている。
エンニオ・モリコーネ プロフィール HPより
1928年ローマ生まれ。幼少の頃からトランペットを習い、その後サンタ・チェチーリア音楽院で作曲を学ぶ。卒業後はイタリアRCAレコードの看板アレンジャーとして活躍し、61年『ファシスト』(未)で映画音楽家デビューを飾った。セルジオ・レオーネ監督の“ドル3部作”(64~66)で注目を集め、『天国の日々』(78)でアカデミー賞作曲賞にノミネートされ、世界的地位と名声を確立した。
その後も『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)『ミッション』(86)『アンタッチャブル』(87)『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)『バグジー』(91)『海の上のピアニスト』(98)『マレーナ』(00)など数々の名作でその才を発揮。アカデミー賞作曲賞に6度ノミネートされ、『ヘイトフル・エイト』(15)でついに受賞を果たす。91年の生涯で500本以上もの映画・テレビ音楽を手がけた。2020年ローマで死去。
2023年には愛弟子で親友のジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)が公開され、話題を呼んだ。
公式HP https://www.morricone-ss.com/
1971年/イタリア/125分/カラー/ビスタサイズ/DCP/英語モノラル
1972年5月5日 日本初公開
配給:キングレコード
2024年04月19日
2024年01月21日
ノスタルジア 4K修復版 原題:NOSTALGHIA
監督・脚本:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:トニ一ノ・グエッラ
撮影監督:ジュゼッペ・ランチ
出演:
アンドレイ・ゴルチャコフ:オレーグ・ヤンコフスキー
ドメニコ:エルランド・ヨセフソン
エウジュニア:ドミツィアナ・ジョルダーノ
ゴルチャコフの妻:パトリツィア・テレーノ
髪に夕オルを巻いた女:ラウラ・デ・マルキ
ドメニコの妻:デリア・ボッカルド
清掃人:ミレーナ・ヴコティッチ
イタリア中部トスカーナ地方、霧に包まれた森。モスクワから来た詩人アンドレイ・ゴルチャコフと通訳の女性エウジェニアを乗せた車が着く。アンドレイは、18 世紀にイタリアを放浪したロシアの音楽家パヴェル・サスノフスキーの足跡を辿っている。農奴制が敷かれた故国に戻り自死したサスノフスキーを追う旅。その旅も終りに近づき、アンドレイは病に冒されていた。
古都シエナ南東の村。エウジェニアはピエロ・デラ・フランチェスカが描いた「マドンナ・デル・パルト」(出産の聖母)を見に行こうと誘うが、アンドレイは同行しない。ひとりで教会に入るエウジェニア。燭の炎がまばゆい光を放つ聖母像に祈りを捧げる女たち。聖母像の胸からたくさんの鳥が飛び立つ。
シエナの聖カタリナも訪れたという古の温泉地バーニョ・ヴィニョーニ。エウジェニアがアルセーニイ・タルコフスキーの詩集をイタリア語訳で読んでいると、アンドレイが「詩は翻択不可能。やめておけ」と言う。トルストイもプーシキンもロシア理解の為に訳は必要という彼女に、国境をなくせばいいと答えるアンドレイ。
温泉地で人々に狂信者と噂されるドメニコという男。世界の終末が訪れたと信じ、家族で 7 年間もあばら家に閉じこもり、聖カタリナと言葉を交わしたと触れ回っている。シェパード犬をつれて散歩している彼の姿に、強く心を打たれたアンドレイがたどたどしいイタリア語で話しかけると、ドメニコは自分が果たせなかった願いを託す。蝋燭の火を消さずに広場を往復することができたなら、世界は救われると言う・・・
54年の短い生涯で8作品の劇映画を世に送り出し、今なお多くの映画人や芸術家に影響を与え続ける、旧ソ連映画界の巨匠アンドレイ・タルコフスキー。
1962年に長編1作目『僕の村は戦場だった』を監督、ヴェネチア国際映画祭でサン・マルコ金獅子賞等を受賞。1967年にロシアの伝説的な画家を描いた『アンドレイ・ルブリョフ』を完成させるが、歴史解釈をめぐってソ連当局の激しい批判を受け、5年間の上映禁止を言い渡される。一方で同作品は1969年のカンヌ国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞。その後も『惑星ソラリス』(72)、『鏡』(75)、『ストーカー』(79)で世界的な評価を確立するが、ソ連国内の厳しい検閲は続き、ソ連を出国。長編6作目となる『ノスタルジア』は、初めてソ連国外のイタリアで3年半かけて製作された。1983年カンヌ国際映画祭で「この映画の創造に対する特別大賞」「国際映画批評家連盟賞」「エキュメニック審査員賞」の3冠に輝いた。
今回公開される『ノスタルジア 4K修復版』は、2022年に撮影監督ジュゼッペ・ランチ監修のもと、ローマのチネテカ・ナチオナーレの協力で4K修復が行われたもの。ボローニャ復元映画祭2022でワールドプレミアされた。
詩情溢れる映像に秘められた燃えたぎるような思い。カラーで撮られたイタリアでのサスノフスキーを追うアンドレイの旅には、故国を離れたタルコフスキーの思いが重なります。
セピア色の単色で撮られているのは、ロシアの故郷でしょうか。女性、子ども、犬、馬・・・。ラストには、イタリアの大きな遺跡の中に佇む故郷の小さな家・・・ さらに帰れない地への切ない気持ちが迫ってきました。母の思い出に捧ぐとありました。涙。
あと、アンドレイが、「イタリア人は靴を持ちすぎる。この靴は、10年履いている!」と叫ぶ場面があって、タルコフスキーがイタリアで暮らして感じた実感の一つなのだろうと、思わずクスッとしてしまいました。 (咲)
1983 年/イタリア=ソ連合作/ビスタ/カラー/126 分
日本語字幕:橋本克己
配給:ザジフィルムズ
公式サイト:http://www.zaziefilms.com/nostalghia4k/
★2024年1月26日(金)よりBunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー!
2024年01月08日
弟は僕のヒーロー 原題:Mio fratello rincorre i dinosauri
監督:ステファノ・チパーニ
出演:アレッサンドロ・ガスマン、イザベラ・ラゴネーゼ、ロッシ・デ・パルマ、フランチェスコ・ゲギ、ロレンツォ・シスト、ロベルト・ノッキ、アリアンナ・ベケローニ
5歳のジャックは、両親から弟が出来ると聞いて大喜び。 姉妹二人にいつも負かされていたから、これで対等だと! 家族皆でジョーという名前(愛称)も決める。ところが生まれてきたジョーはダウン症。両親は子どもたちに弟ジョーは「特別な子」と伝える。幼いジャックは、ジョーがスーパーヒーローだと思っていたが、やがて「特別」の意味を悟り、ジャックはだんだん弟の存在を隠すようになる。高校生になり、好きな女の子もいる場で、弟について取り返しのつかない嘘をついてしまう。さらに、友人が弟のために作ってくれたYouTubeを削除し、ネオナチの仕業だと噂を広める・・・
イタリアに住む高校生のジャコモ・マッツァリオールが、2015年3月21日「世界ダウン症の日」に合わせて、ダウン症の弟ジョーを主人公に一緒に撮影した5分のショートムービー『ザ・シンプル・インタビュー』をYouTubeに公開。瞬く間にイタリア国内外で60万回を超えて再生され、大手出版社の目に留まり、ジャコモは弟との物語を執筆。本作は、2016年に出版された小説「弟は僕のヒーロー(原題:Mio fratello rincorre i dinosauri)」の待望の映画化。ジャコモは、映画の脚本に携わっています。 (ジャコモさん、イケメンです! 下記の動画をご覧ください。)
『弟は僕のヒーロー』主人公のモデル!原作&脚本家ジャコモ・マッツァリオールメッセージ動画
「弟は僕のヒーロー」
著/ジャコモ・マッツァリオール 訳/関口英子
装画:ヨシタケシンスケ
発行:小学館文庫(2023年12月6日発売)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09407285
ジャックがついた大きな嘘には脚色もあるけれど、ほとんどが原作者ジャコモ自身の経験に基づく実話。自由奔放で時に問題を起こすジョーに煩わしくなる気持ちも正直に描いています。両親は、ジャックが嘘をついたことを「親だから許す」と言います。両親がいなくなってからのジョーが心配だというジャックに、両親は「あなたたちがいる」と信頼しています。ジャックの心配は、それよりも、ダウン症のジョーが先に死んでしまうのではということに、ほろっとさせられました。こうして家族皆がジョーを支えているのですが、医師は「妊娠中に検査してダウン症とわかれば、別の選択もできたのに」と両親に伝えています。障がいを持つ子を育てるのは大変だけど、「別の選択」をするのも勇気のいること。
本作では、家族や叔母が、ジョーを特別視しないで、いつも明るく見守っている姿に、爽やかな気持ちになりました。(咲)
2019年/イタリア、スペイン/イタリア語/102分/カラー/2.39:1/5.1ch
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:https://mimosafilms.com/hero/
★2024年1月12日(金)シネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
2023年11月08日
蟻の王(原題:Il signore delle formiche)
監督・脚本:ジャンニ・アメリオ
脚本:エドアルド・ペティ、フェデリコ・ファバ
撮影:ルアン・アメリオ・ウイカイ
美術:マルタ・マッフッチ
編集:シモーナ・パッジ
出演:ルイジ・ロ・カーショ(アルド・フライバンティ)、エリオ・ジェルマーノ(エンニオ)、レオナルド・マルテーゼ(エットレ)、サラ・セラヨッコ(グラツィエラ)
1960年代のイタリア。劇作家で詩人、蟻の研究者のアルド・フライバンティは芸術サークルを主宰している。若いエットレは博識のアルドを尊敬し、足しげく通ってきた。恋に落ちた二人はローマで同棲生活を送るが、当時同性愛は許されなかった。エットレの母親は息子をアルドから引き離し、矯正施設へ入れる。若者相手の警察に通報されたアルドは「教唆罪」で逮捕、罪を問われることになった。イタリア共産党機関紙「ウニタ」の記者エンニオは疑問を感じ、法廷を取材のため傍聴する。
「同性愛はない、したがって法律もない」とされていたムッソリーニの独裁政権時代。「教唆罪」は文字通り「そそのかして」罪を犯させるということ。
根強い偏見・差別はいとも簡単に暴力に変わります。幸せに暮らしていたエットレは、ベッドに縛り付けられ、電気ショックの「治療」を施されます。キラキラした青年だったエットレが、見る影もなく衰えた姿で証言台に立つシーンに胸打たれます。レオナルド・マルテーゼが鮮烈。『輝ける青春』(2003)を始め、名作に出演してきたルイジ・ロ・カーショがアルド。
なぜ『蟻の王』なのか、予告編にもチラッとヒントがありました。(白)
2022年/イタリア/カラー/ビスタ/140分
配給:ザジフィルムズ
© Kavac Srl / Ibc Movie/ Tender Stories/ (2022)
HP:http://www.zaziefilms.com/arinoo/
★2023年11月10日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開!
2023年10月01日
旅するローマ教皇 原題:In Viaggio
脚本・監督:ジャンフランコ・ロージ(『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』『国境の夜想曲』)
第266代ローマ教皇フランシスコ
本名:ホルヘ・マリオ・ベルゴリオ
1936年12月17日、イタリアからの移民の子として、アルゼンチンのブエノスアイレスで生まれる。
教皇フランシスコは 9年で37回 旅に出た。
53か国を歴訪し 重要な問題について発言した。
連帯と尊厳 貧困と難民を語り 戦争を非難した。
本作は2013年のイタリア、ランペドゥーサ島から始まり、2022年の新型コロナウイルスのパンデミック下のマルタの訪問で終わる。難民問題、紛争に苦しむ中東やアフリカ、アメリカでは平和について語り、世界で唯一の被爆国である日本では黙とうを捧げる。森林火災、台風など自然災害を受けた土地を訪れ環境問題を語り、イスラム教や正教会の指導者と会見し融和を訴える。カトリック教会で起きた性的虐待については謝罪する・・・。
ローマ教皇と共に世界各地を巡り、様々な問題を知る83分。
印象深い言葉や場面がいくつもあります。イスラエルを訪れた時には、上空から見える分離壁と入植地に圧倒され、パレスチナ側で高く立ちはだかる分離壁に手を置き祈る姿にじ~んとさせられました。アルメニアで、1915年に起きたアルメニア人虐殺について語ったことから、トルコのエルドアン大統領との間に気まずい沈黙の時が流れます。
2019年のアラブ首長国連邦訪問は、ローマ教皇として初めてのイスラーム発祥の地であるアラビア半島入り。2021年のイラクでは、シーア派最高権威シスタニ師を訪問しますが、ここでも沈黙の時。こうした他宗教との対話を積極的にはかる姿を、他者とは融和をはかろうとしない人たちに見てほしいものです。(咲)
世界中を旅するローマ教皇を通して、世界で今何が起きているのかを知り、旅を通して見えてくる世界の痛み、未来への希望。「戦争は狂気です 貪欲と非寛容 そして権力欲は戦争を決断させる動機になります。戦争は貧困しか生みません。兵器は死そのものです。共に未来を築かなければ私たちに未来はないのです。夢を見続けましょう」と語る教皇。フランシスコ教皇の言葉は現在の世界情勢を映し出し、私たちの心を揺さぶる(暁)。
第79回ヴェネチア国際映画祭 アウト・オブ・コンペティション部門 正式出品
2 0 2 2 年/イタリア/カラー/ 1 :1 . 8 5/5.1 c h /8 3 分/イタリア語、スペイン語、英語
日本語字幕:鈴木昭裕
資料監修:土肥秀行
カトリック中央協議会 広報推薦
配給:ビターズ・エンド
公式サイト:https://www.bitters.co.jp/tabisuru/
★2023年10月6日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下、新宿武蔵野館ほかで全国ロードショー