2024年08月04日
夜の外側 イタリアを震撼させた55日間 原題:Esterno note 英題:Exterior, Night
監督・原案・脚本:マルコ・ベロッキオ
原案:ジョヴァンニ・ビアンコーニ、ニコラ・ルズアルディ
原案・脚本:ステファノ・ビセス
脚本:ルドヴィカ・ランポルディ、ダヴィデ・セリーノ
出演:ファブリツィオ・ジフーニ、マルゲリータ・ブイ、トニ・セルヴィッロ、ファウスト・ルッソ・アレジ、ダニエーラ・マッラ
赤い旅団によるアルド・モーロ元首相誘拐事件を6つの視点で描いた55日間
相次ぐテロリズムにより、イタリアが社会的、政治的混乱にあった「鉛の時代」。
1978年3月のある朝、戦後30年間にわたってイタリアの政権を握ってきたキリスト教民主党の党首で、元首相のアルド・モーロが、極左武装グループ「赤い旅団」に襲撃、誘拐される。
世界が注目し、イタリア中が恐怖に包まれたその日から、55日間の事件の真相を、アルド・モーロ自身、救出の陣頭指揮を執った内務大臣フランチェスコ・コッシーガ、モーロと旧知の仲である教皇パウロ6世、赤い旅団のメンバーであるアドリアーナ・ファランダ、そして妻であるエレオノーラ・モーロの視点から描く。
『夜よ、こんにちは』(03)で同事件を「赤い旅団」側から描いたマルコ・ベロッキオ監督が、「すでに語られた物語には戻らない」という自身のルールを破り、外側〈政府、法王、神父、警察、教授、妻、子供たち…、様々な立場で事件に関与した人々〉の視点を交えて、6エピソードで描いた一大巨編。
赤い旅団の視点で描いた『夜よ、こんにちは』では、ほとんどの場面が監禁された室内でした。 外側から描いた本作では、様々な場所で、様々な人たちが、アルド・モーロ元首相救出に動いたことが描かれます。前編(Ⅰ~Ⅲ)と後編(Ⅳ~Ⅵ)、各170分、休憩を挟みましたが、息を殺して一気に見入りました。
事件が結末を迎えるまでの55日間、イタリア全土がニュースを見守ったのを同じような思いで映画に入り込みました。当時の家族のお気持ちを思うとやるせないです。(咲)
2022年/イタリア/イタリア語・英語/340分(前編:170分/後編:170分/カラー/1.85:1/5.1ch
字幕翻訳:岡本太郎
配給:ザジフィルムズ
公式サイト:https://www.zaziefilms.com/yorusoto/
★2024年8月9日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー
2024年07月21日
幸せのイタリアーノ 原題:Corro da te
監督:リッカルド・ミラー二
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ミリアム・レオーネ、ピエトロ・セルモンティ、ヴァネッサ・スカレーラ、ピラール・フォリアティ、アンドレア・ペンナッキ、カルロ・デ・ルッジエーリ、ジュリオ・バーゼ、ピエラ・デッリ・エスポスティ(友情出演)、ミケーレ・プラチド(特別出演)
よこしまな“恋”は“嘘”のはじまり…
成功したスポーツシューズメーカーの経営者ジャンニは、独身で女たらしの49歳。ある日、亡き母のアパートで母の車椅子に座っていると、若く美しいアレッシアが引越しの挨拶にやってくる。彼を車椅子が必要な人だと勘違いした彼女から、実家での食事に招かれる。いそいそと出かけていくと、事故で車椅子が必要になった姉キアラを紹介される。アレッシアにはめられたと思いつつ、美しいヴァイオリニストのキアラと一夜を共にできるか仲間と賭けをする。健常者であることを隠して、車椅子でデートするジャンニ。やがて、障がいを受け入れ前向きに生きる彼女に本当に恋をしてしまう…。
「魅力的な女性をみたら、とにかく声をかける」がイタリア男性のイメージ。本作の主人公ジャンニは、まさにそんな男。ひょんなことから車椅子が必要な人と勘違いされてしまったジャンニが、今さら違うとも言えず、車椅子生活を装う姿が笑いを誘います。障がい者に対して、憐みの気持ちを持っていた彼が、障がいを持つ人も心は健常者と同じと気づく姿に、私も学ばされました。
フランス映画『パリ 嘘つきな恋』(18)のリメイクの本作。イタリアの風情もたっぷり描かれています。ジャンニのランニングコースに、ローマ南部のデヴェレ川沿いやサンタンジェロ城。キアラがヴァイオリンのソリストとしてオーケストラと共演するのは、トリノの古いオペラハウスの一つレッジョ劇場。
奇跡を求めてフランスのルルドに行く場面は、コロナ禍で本場での撮影は叶わず、トリノに作ったセットで撮ったとのこと。
原題のCorro da teは、「あなたのもとに駆けつける」という愛する人が自分を必要としていたら誰もが口にする言葉なのだとか。(咲)
★イタリア映画祭2023上映作品
★ナストロ・ダルジェント賞(イタリア映画記者組合賞)コメディ女優賞受賞
2022年/イタリア/イタリア語/113分/カラー/1:2.35/5.1ch
字幕:関口英子
配給:オンリー・ハーツ
後援:イタリア大使館/イタリア文化会館
公式サイト:http://cdt.onlyhearts.co.jp/
★2024年7月26日(金)よりシネスイッチ銀座他にて全国順次公開
2024年07月04日
潜水艦コマンダンテ 誇り高き決断 原題:Comandante
監督:エドアルド・デ・アンジェリス
CAST
ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ: サルヴァトーレ・トーダロ艦長役
マッシミリアーノ・ロッシ: ヴィットリオ・マルコン副長役
ヨハン・ヘルデンベルグ: ヴォーゲル艦長役(ベルギー人)
アルトゥーロ・ムゼッリ: ダニロ・スティエポヴィッチ役
ジュゼッペ・ブルネッティ: ジジーノ・マグニフィコ役
ジャンルカ・ディ・ジェンナーロ: ヴィンチェンツォ・ストゥンポ役
ヨハネス・ヴィリックス: ジャック・レクレルク役(ベルギー人)
ピエトロ・アンジェリーニ: イヴァーノ・レアンドリ役
マリオ・ルッソ: サルヴァトーレ・ミンニーティ役
セシリア・ベルトッツィ: アンナ役
パオロ・ボナチェッリ: ベッティ役
シルヴィア・ダミーコ: リナ・トーダロ役
実話を基に描いた、海の男たちの誇りと絆の戦争秘話
1940 年 10 月、イタリア海軍潜水艦コマンダンテ・カッペリーニは、イギリス軍への物資供給を断つために地中海からジブラルタル海峡を抜けて大西洋に向かっていた。その途中、船籍不明の貨物船に遭遇する。艦砲を装備し、戦争地帯で灯火管制をしての航行であったためこれを撃沈。だがそれは中立国であるはずのベルギー船籍の自衛武装を備えた貨物船カバロ号だった。“イタリア海軍一無謀な少佐”サルヴァトーレ・トーダロ艦長は「ナチなら見殺しにするだろうが、我々は人間は助ける」と、海に放り出された乗組員たち26人を救助し、彼らを最寄りの安全な港まで運ぶ決断を下す。狭い潜水艦の艦内に無理矢理彼らを収容し、潜航するのもあきらめ、自らの危険も覚悟のうえで、無防備状態のままイギリス軍の支配海域を航行していく・・・
助けたベルギー船の若き乗組員ジャック・レクレルクは、イタリア語だけでなくフランス語、ポルトガル語、英語、ラテン語、古代ギリシャ語も出来る語学の達人。彼のお陰で意思疎通を図ることができたのでした。
そも、イタリアの北から南までが統一されたのはそれほど古い話でなく、トーダロ艦長が、「(北の)リヴォルノと(南の)シチリアでは、言葉も文化も気候もかけ離れている」と語る場面がありました。
潜水艦の料理人ジジーノは、イタリアのどこの料理も作れるのが自慢です。予定外に26人も乗せた為、材料も底をついてきます。それでも、ベルギーの国民食は?と、彼らのために懐かしい料理を作ります。教えてもらいながら作ったのは、なんとポテトフライ! ハンバーガーについてくるお馴染みのポテトフライです。(少し太めらしいです)ベルギーの国民食だとは知らなったので、ちょっと驚き。
ベルギーの乗組員たちを助けた勇気あるサルヴァトーレ・トーダロ艦長ですが、2年後に戦死。従軍中に生まれた娘に会えないまま亡くなられたのですが、助けられたジャック・レクレルクはじめ数名が、奥様と娘さんに会いにいったというその後の話に涙。
エンドロールで流れるのは、最初は愛を歌った曲ですが、そのあとはイタリア料理の名前が延々と語られます。途中から字幕が無くなりますが、マカロニやスパゲッティなどお馴染みの単語が聴こえてきました。潜水艦の中の息苦しさを、最後に吹き飛ばしてくれました。
世界の各地で戦火の絶えない今、人権を重んじたトーダロ艦長に思いを馳せていただければと思います。(咲)
2023年ヴェネツィア国際映画祭オープニング作品
2023年/イタリア・ベルギー/イタリア語・オランダ語・英語/シネマスコープ/121分
字幕翻訳:岡本太郎
後援:イタリア文化会館
配給:彩プロ
公式サイト:https://comandante.ayapro.ne.jp/
★2024年7月5日(金)より、TOHOシネズ日比谷ほか全国公開
2024年04月24日
エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 原題:Rapito
監督:マルコ・ベロッキオ
脚本:マルコ・ベロッキオ、スザンナ・ニッキャレッリ
出演:パオロ・ピエロボン、ファウスト・ルッソ・アレジ、バルバラ・ロンキ、エネア・サラ、レオナルド・マルテーゼ
1858年、ボローニャ。ユダヤ人のモルターラ家に、教皇直属の兵士たちが押し入る。枢機卿の命で、もうすぐ7歳になる息子エドガルドを連れ去るのが目的だった。エドガルドは生後6か月のころ、キリスト教徒の使用人アンナから洗礼を授けられていたことから、異端審問所でカトリック教育を受けさせなければならないというのだ。
エドガルドの父モモロは、息子を奪還するべくユダヤ人組織の協力を仰ぐ。教会による非人道的なエドガルド・モルターラ誘拐の報は世界中に広がる。
だが、教皇ピウス9世は、洗礼を受けたエドガルドは永遠にカトリック教徒だとして親元への返還には応じない。そんな中、エドガルドは司祭からのカトリック教徒としての教育を受け入れていく・・・
わが子を取り戻そうと奔走する両親と、権力強化のため決して返還に応じようとしない教会側の争いは、イタリアをはじめ、時の皇帝ナポレオンやロスチャイルド家ら、全世界を巻き込んだ論争となりました。スティーヴン・スピルバーグが映画化に向けて書籍の原作権を押さえていましたが、映画化を実現したのはイタリアの巨匠マルコ・ベロッキオでした。これまでイタリアの史実をベースに描き続けてきたマルコ・ベロッキオ監督だからこそ描けたものと感じます。
1870年9月、イタリア王国軍がローマのピア門を破り入場した時、青年になったエドガルドを兄が迎えに来るという場面がありました。
中世以降、小国に分裂していたイタリアが、統一したイタリア王国として建国されたのは、1861年。ローマなどの教皇領が1870年に普仏戦争に乗じて併合され、イタリア半島はほぼ統一されたという歴史を今さらながら知りました。
本作からは、何より宗教が人間に及ぼす力を突き付けられました。キリスト教徒の使用人アンナは、赤ちゃんが瀕死の状態にあると思い込んで、リンボ(辺獄)に行かせない為にと洗礼を授けたのです。このことで思い出したのですが、私の知人が癌で余命数日の時に、家族が洗礼を受けさせました。本人はすでに意識不明だったそうで、よもやカトリック教徒として葬られることになるなどと思っていなかったと思います。家族の信仰を押し付けるのはいかがなものでしょう。
エドガルドの父モモロは、息子を返す条件は、家族が改宗することと言われますが、決して改宗することはありませんでした。信仰心のない私にも、宗教の力を感じさせてくれるエピソードでした。(咲)
東京国際映画祭2023年上映タイトル:KIDNAPPED(英題)
2023/イタリア、フランス、ドイツ/カラー/イタリア語/134分
後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
配給:ファインフィルムズ
公式サイト:https://mortara-movie.com/
★2024年4月26日(金)よりYEBISU GARDEN CINEMA、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
2024年04月19日
死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版 原題:SACCO E VANZETTI
2024年4月19日 新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー 劇場情報
©UNIDIS JOLLY FILM
91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)
必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。
昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。
『死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版』
モリコーネの音楽とバエズの歌が心を撃つ─。
カンヌ国際映画祭男優賞受賞の名作実話ドラマが4Kリマスター・英語版で待望の劇場リバイバル!
監督・脚本:ジュリアーノ・モンタルド
撮影:シルヴァーノ・イッポリティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
歌:ジョーン・バエズ
出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ、リカルド・クッチョーラ、ミロ・オーシャ、シリル・キューザック、ロザンナ・フラテッロ
1920年、イタリア移民への差別と労働問題が叫ばれていたボストン。靴職人のニコラ・サッコと魚行商人のバルトロメオ・ヴェンゼッティは、運悪く護身用のピストルを携帯していた廉(かど)で警察に逮捕される。全くの事実無根にもかかわらず、イタリア移民のアナーキストという理由だけで、ふたりは身に覚えのない製靴会社の現金強盗殺人事件の容疑者にされてしまう。だが、裁判での証言・証拠はことごとく、彼らが犯人であることを示していた。やがて彼らに有罪の判決が下るが…。
1920年代のアメリカで実際に起こった悪名高き冤罪事件“サッコ=ヴァンゼッティ事件”。その人種的、思想的差別と偏見に満ちた裁判の一部始終を、ジュリアーノ・モンタルド監督が冷徹に映画化。サッコ役のリカルド・クッチョーラが迫真の演技で、1971年度カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。エンニオ・モリコーネが音楽を手がけ、本作に賛同した活動家で歌手のジョーン・バエズが主題歌(「勝利への讃歌」)と挿入歌(「サッコとヴァンゼッティのバラード」)の2曲を歌っている。
エンニオ・モリコーネ プロフィール HPより
1928年ローマ生まれ。幼少の頃からトランペットを習い、その後サンタ・チェチーリア音楽院で作曲を学ぶ。卒業後はイタリアRCAレコードの看板アレンジャーとして活躍し、61年『ファシスト』(未)で映画音楽家デビューを飾った。セルジオ・レオーネ監督の“ドル3部作”(64~66)で注目を集め、『天国の日々』(78)でアカデミー賞作曲賞にノミネートされ、世界的地位と名声を確立した。
その後も『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)『ミッション』(86)『アンタッチャブル』(87)『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)『バグジー』(91)『海の上のピアニスト』(98)『マレーナ』(00)など数々の名作でその才を発揮。アカデミー賞作曲賞に6度ノミネートされ、『ヘイトフル・エイト』(15)でついに受賞を果たす。91年の生涯で500本以上もの映画・テレビ音楽を手がけた。2020年ローマで死去。
2023年には愛弟子で親友のジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)が公開され、話題を呼んだ。
公式HP https://www.morricone-ss.com/
1971年/イタリア/125分/カラー/ビスタサイズ/DCP/英語モノラル
1972年5月5日 日本初公開
配給:キングレコード
©UNIDIS JOLLY FILM
91年の生涯で、500作品以上もの映画・TV作品の音楽を手がけた映画音楽界の巨匠、エンニオ・モリコーネ(1928-2020)
必聴!必見!モリコーネの名曲がスクリーンに甦る!!
映画『モリコーネ 映画が恋した音楽科』(21)でも取り上げられた、名匠エンニオ・モリコーネが手がけた名曲映画2作品の特選上映。
昨年(2023)劇場公開されたジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)での大きな感動と称賛を経て、3/22(金)から彼の出世作であり代表作の『荒野の用心棒』(64)『夕陽のガンマン』(65)『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』(66)の“ドル3部作”が4K劇場リバイバルされるなど、いま再びモリコーネ・リスペクト、再評価の動きが高まっている。
これらの動きに連動するかたちで、4/19(金)より『モリコーネ 映画が恋した音楽家』でも取り上げられた『死刑台のメロディ』(71)の4Kリマスター版と、日本初公開となる『ラ・カリファ』(70)の2作品を、『永遠のフィルム・マエストロ エンニオ・モリコーネ特選上映 Morricone Special Screening×2』として上映。
『死刑台のメロディ 4Kリマスター・英語版』
モリコーネの音楽とバエズの歌が心を撃つ─。
カンヌ国際映画祭男優賞受賞の名作実話ドラマが4Kリマスター・英語版で待望の劇場リバイバル!
監督・脚本:ジュリアーノ・モンタルド
撮影:シルヴァーノ・イッポリティ
音楽:エンニオ・モリコーネ
歌:ジョーン・バエズ
出演:ジャン・マリア・ヴォロンテ、リカルド・クッチョーラ、ミロ・オーシャ、シリル・キューザック、ロザンナ・フラテッロ
1920年、イタリア移民への差別と労働問題が叫ばれていたボストン。靴職人のニコラ・サッコと魚行商人のバルトロメオ・ヴェンゼッティは、運悪く護身用のピストルを携帯していた廉(かど)で警察に逮捕される。全くの事実無根にもかかわらず、イタリア移民のアナーキストという理由だけで、ふたりは身に覚えのない製靴会社の現金強盗殺人事件の容疑者にされてしまう。だが、裁判での証言・証拠はことごとく、彼らが犯人であることを示していた。やがて彼らに有罪の判決が下るが…。
1920年代のアメリカで実際に起こった悪名高き冤罪事件“サッコ=ヴァンゼッティ事件”。その人種的、思想的差別と偏見に満ちた裁判の一部始終を、ジュリアーノ・モンタルド監督が冷徹に映画化。サッコ役のリカルド・クッチョーラが迫真の演技で、1971年度カンヌ国際映画祭男優賞を受賞した。エンニオ・モリコーネが音楽を手がけ、本作に賛同した活動家で歌手のジョーン・バエズが主題歌(「勝利への讃歌」)と挿入歌(「サッコとヴァンゼッティのバラード」)の2曲を歌っている。
エンニオ・モリコーネ プロフィール HPより
1928年ローマ生まれ。幼少の頃からトランペットを習い、その後サンタ・チェチーリア音楽院で作曲を学ぶ。卒業後はイタリアRCAレコードの看板アレンジャーとして活躍し、61年『ファシスト』(未)で映画音楽家デビューを飾った。セルジオ・レオーネ監督の“ドル3部作”(64~66)で注目を集め、『天国の日々』(78)でアカデミー賞作曲賞にノミネートされ、世界的地位と名声を確立した。
その後も『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(84)『ミッション』(86)『アンタッチャブル』(87)『ニュー・シネマ・パラダイス』(88)『バグジー』(91)『海の上のピアニスト』(98)『マレーナ』(00)など数々の名作でその才を発揮。アカデミー賞作曲賞に6度ノミネートされ、『ヘイトフル・エイト』(15)でついに受賞を果たす。91年の生涯で500本以上もの映画・テレビ音楽を手がけた。2020年ローマで死去。
2023年には愛弟子で親友のジュゼッペ・トルナトーレ監督によるドキュメンタリー映画『モリコーネ 映画が恋した音楽家』(21)が公開され、話題を呼んだ。
公式HP https://www.morricone-ss.com/
1971年/イタリア/125分/カラー/ビスタサイズ/DCP/英語モノラル
1972年5月5日 日本初公開
配給:キングレコード