2026年01月12日

アバウトアス ・バット・ノット・アバウトアス(原題:About Us But Not About Us)

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監督・脚本:ジュン・ロブレス・ラナ
撮影:ニール・ダザ
出演:ロムニック・サルメンタ(エリック)、イライジャ・カンラス(ランス)

フィリピンの大都会マニラ。コロナ禍中で外出や集まりが制限されている。
文学教授のエリックは、著名な小説家である同性の恋人マルコスを亡くしたばかり。喪失感を抱えているが、教え子で作家志望のランスと再会の約束をしていた。高級レストランで食事をとり、好きなものや音楽など共通の話題を探すのは楽しかった。しかし、マルコスの話をきっかけにその場の空気が一変する。ランスはエリックを見つめながら、これまで見たことがないマルコスの姿を語った。エリックの知っているマルコスとは違う。にわかには信じられないがそれも「真実」なのか?

レストランで向かい合う二人の会話劇。エリック教授は、以前から若いランスに空いている部屋を貸しているようです。そこへマルコスがやってきたとランスが口火を切ります。二人の会話に「マルコスが登場」するときは、小道具を使い、エリックとランスがマルコスを演じます。こういう演出は初めて見ました。緻密な構成の脚本と、二人の演技力がものを言います。
レストランではコロナのため、90分の時間制限があることを告げられます。その時間どおりにラストまで進みます。ワンシチュエーションで動きは少なく、二人をかわるがわる見ているだけなのに、最後まで目も耳もひきつけられました。年上のエリックが、生徒のランスに教授らしく話しているのですが、ランスが徐々に本心を見せてエリックも観客もあっけにとられます。ゾクゾク。
楽しみが削がれてしまいますので、説明するのはこのへんでやめておきましょう。
ジュン・ロブレス・ラナ監督はフィリピン映画の第一人者です。2016年の東京国際映画祭コンペ作品の『ダイ・ビューティフル』は笑ったり泣いたりの面白い作品でした。予想通り主演男優賞と観客賞を受賞。監督、また新作を携えて日本にいらしてくださーい。(白)


2022年/フィリピン/カラー/91分
配給:サムワンズガーデン
(C)The IDEAfirst Company, Octobertrain Films, Quantum Films
https://someonesgarden.org/aboutusbutnot/
★2026年1月17日(金)よりシアター・イメージフォーラム他にて全国順次公開
posted by shiraishi at 22:00| Comment(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月24日

デリカド  原題:DELIKADO

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(C)2022 DELIKADO LLC

監督:カール・マルクーナス
製作総指揮:ジョディ・アレン、ビーディー・フィンジー、サパナ・バシン、アレクサンドラ・ジョーンズ、ジム・バターワース、 他
プロデューサー:マーティ・シジュコ、マイケル・コリンズ、カラ・マグサノック・アリッパラ、カール・マルクーナス
撮影監督:トム・バニガン 編集:マイケル・コリンズ、エリック・ダニエル・メッツガー
音楽:ナイニータ・デサイ
登場人物:ロバート・チャン、ニエヴェス・ロセント、エフレン・バラダレス、ルベン・アルザガ、ロドリゴ・ドゥテルテ

命懸けで森を守る。これはもはや戦争だ。
気候変動の最前線でフィリピン“最後の秘境”を決死で守る環境活動家たちを追うドキュメンタリー


フィリピンのパラワン島は“最後の秘境”、“最後の生態系フロンティア”として名高く、アジア屈指のリゾートとなった「世界で最も美しい島」。ここには
世界中から観光客やダイバーが訪れる。しかし、この一見のどかな熱帯の島では、違法伐採や違法漁業が横行している。この雄大な生態系を守るため、地元の環境保護団体を束ねるパラワンNGOネットワーク(PNNI)が立ち上がった。
環境警備隊である彼らの闘いは戦争に近い。違法伐採者はライフルで武装しており、命を落とすメンバーが後を絶たない。PNNIの代表ボビーは環境弁護士として仲間と共に、パラワン島の生態系を“経済発展”のために破壊しようとする腐敗した政治家や実業家を相手に命がけの闘いを挑む。
パラワン島を守るためエコツーリズムの推進を掲げる候補者の町長再選にも協力するが、時のドゥテルテ大統領に殺害予告を受ける。
果たして彼らは“最後の秘境”を守ることができるのだろうか──。

響いてくるチェーンソーの音を頼りに森を進み、違法伐採者を捕まえるPNNIのメンバーたち。押収したチェーンソーを事務所の前に積み上げた姿が圧巻。その数700台以上。違法に伐採した木材を運んだ船やトラックも事務所の敷地内に展示されています。
モラルのない違法伐採者が、あまりにも多いことに驚きますが、環境を命がけで守ろうとする活動家がわずかでもいることに救われます。けれども、権力を握る政治家たちの意識を変えない限り、違法伐採を根絶できないであろうことも、本作は示唆しています。フィリピンだけでない、世界の問題。悲しい現実を突きつけられた思いです。(咲)


本作の主人公 PNNI代表、ロバート・“ボビー”・チャン 弁護士来日 緊急決定! 
シアター・イメージフォーラムでアフタートークが行われます。
●5/31(土)11:00の回上映後
●6/01(日)11:00の回上映後


2022年/98分/米国・フィリピン・英国・オーストラリア・香港/ドキュメンタリー
配給:ユナイテッドピープル
公式サイト:https://unitedpeople.jp/delikado/
★2025年5月31日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー




posted by sakiko at 16:10| Comment(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年01月21日

500年の航海 原題:Balikbayan#1-memories of overdevelopment redux VI

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監督、撮影、編集、美術:キドラット・タヒミック
出演:キドラット・タヒミック、ジョージ・スタインバーグ 他
第65回ベルリン国際映画祭カリガリ賞受賞
世界一周の途上、フィリピンのセブ島沖で先住民の首長ラプラプによって命を落としたマゼラン。来たる2021年はマゼランによる世界周航から500年。実はマゼラン、旅の途中で他界し、本当に世界一周を達成したのはマラッカ出身の奴隷エンリケだったという説をもとに、監督自ら奴隷エンリケを演じ、家族や友人達をキャスティング。1980年頃から、この映像を撮り続け35年の歳月をかけて完成させた大長編の最新作。

640.jpg(C)Kidlat Tahimik


フィリピンのインディペンデント映画の巨匠、キドラット・タヒミック監督自身の映画人生を見ているような、ドキュメンタリーとフィクションが入り混じった手法でつくられている作品。映画業界だけではなく「越後妻有アートトリエンナーレ」「あいちトリエンナーレ」などでも作品を発表し、美術界隈でも話題のキドラット・タヒミック。地元のバギオではアーティスト村も作っていて、若手アーティストの育成にも尽力。私にとっては映画監督と言うより芸術家の印象が強く(映画は総合芸術だろって言ってしまえば、それまでなんですが、爆) そのバギオの「アーツ・ギルド」にも絶対行ってみたい!! いただいたプレス資料の中に、とんでもなくステキな言葉が書いてありました 「どうか祖先や家族の声、愛する方の声に耳を傾けてください。そうすることで宇宙の声を聞くことができるはずです。いつも笑顔で、宇宙に耳を傾けて、というのが私からのメッセージです」 忘れずに大切に実践していこう。 (千)

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◆500年の航海、公開記念 キドラット・タヒミック特集上映開催決定
2017/フィリピン/161分 (C)Kidlat Tahimik
配給:シネマトリックス
公式WEB
https://cinematrix.jp/tahimik_japan/
★2019年1月26日より渋谷イメージフォーラムほか全国順次公開



posted by chie at 00:00| Comment(0) | フィリピン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする