2026年01月11日
旅の終わりのたからもの 原題:TREASURE
監督:ユリア・フォン・ハインツ
出演:レナ・ダナム、スティーヴン・フライ
1991年、ポーランド、ワルシャワ。ニューヨーク生まれのルーシー(レナ・ダナム)は、両親の故郷に初めて降り立つ。ホロコーストを生き抜き約50年ぶりの帰郷となる父エデク(スティーヴン・フライ)も一緒だ。ルーシーは、すぐにも列車で両親の暮らしていたウッチの家に行きたいのに、父は列車は嫌だと、タクシー運転手ステファンの車を貸し切ったという。ショパン博物館や観光地に娘を連れまわす父。ようやくウッチに着き、祖父の代から経営していた紡績工場に案内される。翌日、エデクが家族と共に暮らしていた家を訪ねる。外観だけ眺めて帰ろうとする父に、中を見せて貰おうとドアをノックするルーシー。両親がこの家に残したものを取り戻そうとする娘を父は止める。
気持ちがすれ違ったまま、翌日、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所を訪れ初めて父の口から恐ろしい記憶を聞く。それでも二人の心の溝は埋まらない。ついに父と別れNYへ帰ると決めたルーシーに、エデクは「やり残したことがある」と宣言し、ルーシーをある場所に連れていく・・・
原作はホロコーストを生き抜いた父を持つオーストラリアの著名な作家、リリー・ブレットが実体験をもとに書き上げた小説「Too Many Men」。監督は2024年にヴェネチア映画祭審査員も務めたドイツの俊英、ユリア・フォン・ハインツ。ハインツ自身もホロコースト生存者の孫。
戦前両親が暮らしていた家に、強引に中に入ったルーシー。今暮らしている人に、「前の住人のものが残っていましたか?」と聞くのですが、「何もなかった」と言われます。でも、ソファは父にとって慣れ親しんだもの。さらに、ティーセットは母が愛用していたものだとわかります。 思えば、パレスチナの地では、パレスチナ人を追い出した家にホロコーストを生き延びたユダヤ人が住みつき、かつての住人のものを使ったという話を聞きます。その家を去らなければならなかった人にとっては、思い出のある大事なものだったはず。平気でお古を使う神経は、物不足だったとしても私にはわかりません。
さて、ユーモアもたっぷり交えて描いた父と娘の旅。最後にみつける「たからもの」とは? (咲)
2024年/独・仏/英語、ポーランド語/112分/カラー/5.1ch/スコープ/G
字幕翻訳:渡邉貴子
提供:木下グループ
配給:キノフィルムズ
公式サイト:https://treasure-movie.jp/
★2026年1月16日(金)よりkino cinéma 新宿他全国公開
2025年09月28日
「特集 ザンドラ・ヒュラー ——変幻する〈わたし〉のかたち」★初公開『レクイエム』『エリザベートと私』『二対一』
2023年に『関心領域』と『落下の解剖学』の主演で世界的評価を決定づけ、映画界を象徴する存在となった、ドイツの名優ザンドラ・ヒュラー。2016年の『ありがとう、トニ・エルドマン』で国際的に注目を集めて以来、歴史劇、社会派ドラマ、コメディまで多様なジャンルを横断し、型にはまらない演技で観る者を魅了し続けています。
本特集では、これまで日本で公開された名作に加え、日本初公開となる『レクイエム』『エリザベートと私』『二対一』の3作品を含む全7本が一挙上映されます。
★上映後イベント★
ザンドラ・ヒュラー×金原由佳 特別対談映像ほか、上映後に行われるイベント。ぜひご注目ください。
◉10/3(金)19:00 『二対一』 ゲスト:吉川美奈子(字幕翻訳者)
◉10/5(日)13:00 『レクイエム』 ザンドラ・ヒュラー特別インタビュー映像上映 ゲスト:月永理絵(映画ライター)
◉10/6(月) 19:00 『エリザベートと私』 ゲスト:村上由鶴(写真研究・美術評論、『アートとフェミニズムはだれのもの?』著者)
◉10/8(水) 19:00 『希望の灯り』:ゲスト:松永美穂(ドイツ文学者、翻訳家、早稲田大学文学学術院教授) 杵淵博樹(クレメンス・マイヤー『夜と灯りと』翻訳者、東京女子大学教授)
◉10月11日(土) 16:00 『関心領域』 ゲスト:山崎まどか(コラムニスト)
◉特集上映作品(全7本)
『落下の解剖学』(2023/ジュスティーヌ・トリエ監督)
第76回カンヌ国際映画祭 パルムドール受賞
『関心領域』(2023/ジョナサン・グレイザー監督)
第96回アカデミー賞 国際長編映画賞・音響賞受賞
『ありがとう、トニ・エルドマン』(2016/マーレン・アーデ監督)
第89回アカデミー賞 外国語映画賞ノミネート
『希望の灯り』(2018/トーマス・ステューバー監督)
第68回ベルリン国際映画祭 正式出品
★『エリザベートと私』(2023/フラウケ・フィンスターヴァルダー監督)
★『二対一 東ドイツ通貨統一の夏に発見した大切なこと』(2024/ナーチャ・ブルンクホルスト監督)
★『レクイエム』(2006/ハンス=クリスティアン・シュミット監督) ベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)受賞
※★=日本初公開
公式サイト:https://www.goethe.de/ins/jp/ja/kul/nlk/san.html
★2025年10月3日(金)ー10月16日(木)までYEBISU GARDEN CINEMAにて開催
ザンドラ・ヒュラー Sandra Hüller
1978年、旧東ドイツ・ズール生まれ。ベルリンの名門・エルンスト・ ブッシュ演劇芸術大学で学び、舞台俳優としてキャリアをスタート。 2006年『レクイエム』でベルリン国際映画祭銀熊賞(最優秀女優賞)を受賞し、映画界に鮮烈な印象を残す。以後『ありがとう、トニ・エルドマン』(2016)など国際的評価を受ける作品に出演。2023年には 『落下の解剖学』『関心領域』の2作で主演を務め、カンヌとアカデミー賞を席巻。2025年はハリウッド作にも出演し、今や世界が注目する ドイツを代表する俳優です。
◆上映作品概要◆
『落下の解剖学』 原題:Anatomie d'une chute
©2023 L.F.P. – Les Films Pelléas / Les Films de Pierre / France 2 Cinéma / Auvergne‐Rhône‐Alpes Cinéma
監督・脚本:ジュスティーヌ・トリエ
共同脚本:アルチュール・アラリ
出演:ザンドラ・ヒュラー、スワン・アルロー、ミロ・マシャド・グラネール、アントワーヌ・レナルツ
人里離れた雪山の山荘で、男が転落死した。はじめは事故と思われたが、次第にベストセラー作家である妻サンドラ(ザンドラ・ヒュラー)に殺人容疑が向けられる。現場に居合わせたのは、視覚障がいのある11歳の息子だけ。事件の真相を追っていく中で、夫婦の秘密や嘘が暴露され、登場人物の数だけ〈真実〉が現れるが――
★シネジャ作品紹介
2023年/フランス/カラー/ビスタ/152分/5.1chデジタル/G
字幕翻訳:松崎広幸
配給:ギャガ
『関心領域』 原題:The Zone of Interest
© Two Wolves Films Limited, Extreme Emotions BIS Limited, Soft Money LLC and Channel Four Television Corporation 2023
監督・脚本:ジョナサン・グレイザー
原案:マーティン・エイミスの同名小説
出演:クリスティアン・フリーデル、ザンドラ・ヒュラー
アウシュビッツ強制収容所の隣にある屋敷で、ひと組の家族が暮らしている。父は収容所の所長、母は庭を整え、子どもたちは草の上を走る。青空が広がり、日常の音が満ちるその家のすぐ向こう側では、煙突から絶え間なく黒煙が立ち上っている。家族の会話の背後に、壁の向こうの気配が確かに存在している。誰もそのこと を言葉にしないまま、穏やかに時が流れていく――
★シネジャ作品紹介 http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/503379428.html
2023年/イギリス・アメリカ・ポーランド合作/105分/G
字幕翻訳:松浦美奈
配給:ハピネットファントム・スタジオ
『希望の灯り』 原題:In den Gängen
© 2018 Sommerhaus Filmproduktion GmbH
監督:トーマス・ステューバー
原作:クレメンス・マイヤー「通路にて」
出演:フランツ・ロゴフスキ、ザンドラ・ヒュラー
ライプツィヒ近郊の田舎町に建つ巨大スーパー。在庫管理係として働きはじめた無口な青年クリスティアンは、一緒に働く年上の女性マリオンに恋心を抱く。仕事を教えてくれるブルーノは、そんなクリスティアンを静かに見守っている。少し風変わりだが素朴で心優しい従業員たち。それぞれ心の痛みを抱えているからこそ、互いに立 ち入りすぎない節度を保っていたが――
★シネジャ作品紹介
2018年/ドイツ/125分/G
字幕翻訳:大西公子
配給:彩プロ
『ありがとう、トニ・エルドマン』 原題:Toni Erdmann
© Komplizen Film
監督・脚本:マーレン・アーデ
出演:ペーター・ジモニシェック、ザンドラ・ヒュラー
ブカレストで働く娘イネスとの距離に悩む陽気な父ヴィンフリート。突然訪ねてきた彼に、イネスは戸惑いながらも数日を共に過ごす。だが一度帰国したはずの父は、「トニ・エルドマン」と名乗る奇妙な人物になりきり、再び娘の前に現れる。かけがえのない絆を取り戻すために、正反対の父娘が、ふざけた仮面の奥で、少しずつ心を通わせていく――
★シネジャ作品紹介
2016年/ドイツ・オーストリア合作/162分/PG12
字幕翻訳:吉川美奈子
配給:ビターズ・エンド
『エリザベートと私』 原題:Sisi & Ich ★日本初上映
©2023 Frauke Finsterwalder / Walker + Worm Film / MMC Independent / C‑Films AG / Dor Film Produktionsgesellschaft
監督・脚本:フラウケ・フィンスターヴァルダー
出演:ザンドラ・ヒュラー、スザンネ・ヴォルフ、ゲオルク・フリードリヒ
19世紀末。結婚も修道院も拒んだハンガリーの伯爵令嬢イルマは、母に命じられ、孤独に暮らすオーストリア皇后エリザベート(シシィ)の侍女となる。ギリシャ・コルフ島の女性だけの館で、風変わりな皇后に振り回されながらも、イルマはやがて彼女に心を奪われていく。装いも暮らしも皇后に合わせ、共に旅を重ねるうちに、ふたりの関係は歪んだ共依存へと変化する――
未婚で42歳になり、結婚か修道院かと迫られたイルマ。拒否したことで、ギリシャの島で皇后エリザベートに仕えることになります。夜、エリザベートにクモを探してと呼び出されます。エリザベートも変わり者ですが、イルマも負けてない変わり者。
アルジェリアにミモザアイスを求めて、二人で船で渡ります。食べようとしたところで、靴に釘が。アラブの男からハシシ(麻薬)をもらいます。
スペンサー伯の家で馬に乗るのですが、馬の名はラスタムというペルシア語(本来の発音はロスタム)と、オリエンタリズムも垣間見ることのできた作品でした。(咲)
2023年/ドイツ・オーストリア・スイス合作/カラー/132分
字幕翻訳:吉川美奈子
『二対一 東ドイツ通貨統一の夏に発見した大切なこと』 原題:Zwei zu Eins ★日本初上映
© 2024 Row Pictures GmbH, Zischlermann Filmproduktion GmbH, Lichtblick Film & TV Produktion GmbH, ZDF, ARTE
監督:ナーチャ・ブルンクホルスト
脚本:ナーチャ・ブルンクホルスト
出演:ザンドラ・ヒュラー、マックス・リーメルト、ロナルト・ツェアフェルト、ぺーター・クルト
1990年夏、ある東ドイツの町。幼なじみのマーレン、ロベルト、フォルカーは、旧体制下で廃棄されるはずだった大量の紙幣が詰まった地下坑道を発見する。貨幣価値を失った金
を手に、彼らは仲間と協力し、物資と交換するための独自の流通網を築き上げていく。自由と混乱が交錯する統一前夜、西側資本主義に小さな反旗を翻すその行動は、やがて 人生を揺るがす大きな冒険へと発展していく――
東西ドイツ統一で使えなくなる東の紙幣を大量に手にしたマーレンたち。同じアパートの人たちを巻き込み、皆で西の紙幣に交換する作戦を立てます。交換期限まで、あと3日! 銀行での交換が無理ならと西の良品を大量に買い込みます。さらに、外国にいた人の交換期限はまだ先と知り、空港に着いた外交官をも巻き込む作戦に。マーレンの幼い娘が、流通していない200マルク札で大きな熊の縫いぐるみを買ったことから、当局が何かがおかしいと気づくのですが・・・ いやもう、面白かったです。(咲)
2023年/ドイツ/100分
字幕翻訳:吉川美奈子
『レクイエム』 原題:Requiem ★日本初上映
©2006 Hans‑Christian Schmid/23/5 Filmproduktion GmbH
監督:ハンス=クリスティアン・シュミット
脚本:ベルント・ランゲ
出演:ザンドラ・ヒュラー、ブルクハルト・クラウスナー、イモゲン・コッゲ
1970年代、ドイツの田舎町。てんかんを抱えるミヒャエラ・クリングラーは、敬虔な母に反対されながらも教育学を学ぶため大学に進学する。新たな生活を始めた彼女は、旧友
ハンナと再会し、医療的な助けを受けるよう促される。しかし発作の再発を機に薬を断ち、「悪魔に取り憑かれた」と信じるようになる。心の闇を深めていくミヒャエラの前に、彼女の信仰を揺るがす2人の神父が現れる――
21歳の大学生役のザンドラ・ヒュラー。実年齢は少し上ですが、若い! ダンスパーティでは、理系の男子学生に声をかけられ恋もします。てんかん持ちの彼女に、神父は悪魔に取り憑かれていると誤った導きをしてしまいます。ザンドラの迫真の演技が凄い! (咲)
2006年/ドイツ/カラー/93分
字幕翻訳:吉川美奈子
2025年04月06日
ゲッベルス ヒトラーをプロデュースした男 原題:Führer und Verführer 英題:Goebbels and the Führer
監督・脚本:ヨアヒム・A・ラング
撮影:クラウス・フックスイェーガー
出演:ロベルト・シュタットローバー、フリッツ・カール、フランツィスカ・ワイズ
なぜ多くのドイツ人が犯罪的な 政権に従って戦争と大量殺戮に走ったのか
1945年4月、ソ連軍がベルリンに迫る中、写真や資料を暖炉の火で燃やすゲッベルス。「 私は民衆の扇動方法を公表してこなかった」「 私が総統を伝説にした」と豪語する。
4月30日、ヒトラーの自殺を見届け、遺言で新首相に任命されるも、翌5月1日、ゲッベルス夫妻は6人の子供たちとともに 自殺した。
1933年のヒトラー首相就任から1945年にヒトラーが亡くなるまでの間、プロパガンダを主導する宣伝大臣として、国民を扇動してきたヨーゼフ・ゲッベルス。
本作は、ゲッベルスが、いかにユダヤ人の一掃と侵略戦争へと突き進むヒトラーの先鋒を担ぐようになったかを、加害者からの目線で時系列で追った物語。
1938年、戦争を更に拡大しようとするヒトラーに、平和的な併合を主張するゲッ ベルス。ライバルたちは、宣伝大臣は宣伝より女に夢中だとヒトラーに告げ口する。ヒトラーの信頼を失ったゲッベルスは、愛人との関係も断ち切られ、自身の地位を回復させるため、ヒトラーが望む反ユダヤ映画を製作し、大衆を扇動する演説や戦勝パレードを次々と企画する・・・。
絶大的な権力を握った人物が、その取り巻きによって、さらに権力を行使していく様を見せつけてくれました。彼らの行ったようなフェイクニュースやプロパガンダが、今も繰り返されて世界にはびこっていることを憂います。それでも、ヒトラーやゲッベルスの末路が自死という悲劇であったように、握った権力は永遠ではないことを、世の独裁者は思い知ってほしいと思います。本作が反面教師になることを願ってやみません。でも、肝心の権力者が本作を観てくれるでしょうか・・・ (咲)
2024年/128分/ドイツ・スロバキア/ドイツ語
日本語字幕:廣川芙由美
配給:アットエンタテインメント
公式サイト:https://www.goebbelsmovie.com/
★2025年4月11日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開
2025年02月09日
セプテンバー5 原題:SEPTEMBER 5
監督・脚本:ティム・フェールバウム(『HELL』、『プロジェクト:ユリシーズ』)
出演:ジョン・マガロ(『パスト ライブス/再会』)、ピーター・サースガード(『ニュースの天才』)、ベン・チャップリン、レオニー・ベネシュ(『ありふれた教室』)、ほか
全世界が初めて目にしたテロ事件生中継
報道のあり方を、今だからこそ考えてみたい
1972年のミュンヘン夏季オリンピック。会期半ばの9月5日、パレスチナ武装組織「黒い九月」が、イスラエル選手団宿舎を襲撃し二人を殺害したあと、9名を人質に立てこもる。アメリカのABCスポーツ番組チー ムは、突如人質事件を中継することになる・・・
ほぼ、放送室内が舞台の本作。司会者ジム・マッケイが語る当時のオリジナル映像と、今回撮影したシーンを融合させた映像は、1972年の雰囲気そのもの。当時使われていたものにこだわって、様々なものを集めた製作チームの努力の賜物です。
ミュンヘンオリンピック開催中に起きたテロ事件については、当時、テレビで知って、大きなショックを受けたものです。それでも、その時には、私はまだイスラエルとパレスチナの関係を深く考えていなかったように思います。50年以上の時を経て、本作が出来たと知って、イスラエルとパレスチナの関係が、さらに混迷を深めている中で、どんな立ち位置で描いたのかが、まず気になりました。映画を拝見して、時系列で事件を追い、両国の関係についての政治的なメッセージは込めず、報道はどうあるべきかを描いたものだと感じました。
テロ犯が立てこもった部屋には、テレビがあり、彼らが見ることへの配慮をする取材班。
人質が解放されたらしいとの報が入ったときに、他社に先駆けて報道することよりも、確実な情報であるかに重きを置くべきとの場面がありました。今や報道機関だけでなく、個人が自由に情報を発信できる時代。フェイクニュースに惑わされる人たちも多々いる今だからこそ、本作が作られた意義は大きいと思いました。男性ばかりの報道チームの中で、ドイツ語の通訳だけが女性。人質事件が起きて、彼女の役割はさらに増します。冷静沈着に、ドイツ語の情報を的確に通訳して伝える姿を体現したドイツの女優レオニー・ベネシュ、とても素敵です。(咲)
2024年/ドイツ・アメリカ合作/英語・ドイツ語/95分/G
配給:東和ピクチャーズ
公式サイト:https://september5movie.jp/
★2025年2月14日(金)公開
2025年02月02日
ステラ ヒトラーにユダヤ人同胞を売った女 原題:Stella. Ein Leben 英題:Stella. A Life.
(C)2023 LETTERBOX FILMPRODUKTION / SevenPictures Film / Real Film Berlin / Amalia Film / DOR FILM / Lago Film / Gretchenfilm / DCM / Contrast Film / blue Entertainment
監督:キリアン・リートホーフ(『ぼくは君たちを憎まないことにした』)
脚本:キリアン・リートホーフ、 マルク・ブルーバウム、ヤン・ブラーレン
出演:パウラ・ベーア(『水を抱く女』)、 ヤニス・ニーヴーナー(『コリーニ事件』)
1940年8月、ベルリン。18歳のステラ・ゴルトシュラーク(パウラ・ベーア)は、アメリカに渡りジャズシンガーになることを夢見ていた。ユダヤ人の両親が、つてを頼って、なんとかアメリカのビザを手に入れようとしていたが、ドイツでは多くのユダヤ人がビザを待っていて、叶わぬ夢だった・・・。
ナチスはパリも陥落させた。
3年後、工場で強制労働を強いられているステラ。ユダヤ人に偽造パスポートを販売するロルフと出会い、恋に落ちると、同胞や家族が隠れて生活する中、ロルフの手伝いをしながら街中を歩き、自由を謳歌するステラ。
ある日、ついにゲシュタポに逮捕される。拷問を受けたステラは、アウシュヴィッツへの移送を免れるため、ベルリンに隠れているユダヤ人逮捕に協力することを余儀なくされる。
生き残るために同胞を裏切ったステラは、終戦後、裏切ったユダヤ人仲間から裁判をかけられる・・・。
ステラは、金髪で青い目というアーリア人にも見える風貌のユダヤ女性。黄色い星をはずして、夜の町に遊びにいっても、ユダヤ人だとは見破られません。 勝気で、ともすれば嫌な女性にみえる描かれ方ですが、アウシュヴィッツ行きを逃れるための自己防衛として、密告者という選択ができるなら、誰しもその誘惑にかられるのではないでしょうか。 ステラはアウシュヴィッツ行きこそ逃れましたが、戦後、同胞を裏切ったことへの思いは彼女を苦しめ、幸せな人生を送っていないようです。
2025年1月27日、アウシュヴィッツ強制収容所解放から、80年を迎えました。 記念式典で、生き延びた方たちが、憎しみを持たないことが平和につながることを強調されていました。 あれほどまでに過酷な思いをされた方たちの言葉は貴重です。人種や宗教の違いなどで、差別し、それが戦争にも至ることが、今も世界からなくならないのが悲しいです。(咲)
2023年/121分/ドイツ・オーストリア・スイス・イギリス/ドイツ語・英語/PG12
日本語字幕:吉川美奈子
配給:クロックワークス
公式サイト:https://klockworx.com/movies/stella/
★, 2025年2月7日. (金)より 新宿武蔵野館ほか全国公開


