2022年10月16日

クリエイション・ストーリーズ~世界の音楽シーンを塗り替えた男~  原題:Creation Stories

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(C)2020 CREATION STORIES LTD ALL RIGHTS RESERVED

製作総指揮:ダニー・ボイル
監督:ニック・モラン
脚本:アーヴィン・ウェルシュ&ディーン・キャヴァナー
出演:ユエン・ブレムナー、スーキー・ウォーターハウス、ジェイソン・フレミング、トーマス・ターグーズ、マイケル・ソーチャ、メル・レイド、レオ・フラナガン、ジェイソン・アイザックス

クリエイション・レコーズ創設者 アラン・マッギーの波乱に満ちた人生

1960年、スコットランド、グラスゴー生まれのアラン。ロックスターを夢見て粋がってみるが、保守的な父親は理解を示さない。ロンドンに出るしかない!と、バンド仲間たちとロンドンへ。サッチャー首相の起業支援一人40ポンドを貰って、クリエイション・レコーズを設立。トラブル続きのレーベル運営だったが、アランは宣伝の才能を開花させていく。次第に人気バンドを輩出する人気レーベルとなるが、その一方、レーベル運営のプレッシャーや家庭問題によって精神的に追い詰められていく・・・

クリエイション・レコーズが排出したオアシス、プライマル・スクリーム、ティーンエイジ・ファンクラブ、マイ・ブラッディ・ヴァレンタインなどのことは、まったく知らなかったのですが、グラスゴー出身の赤毛の小男アランのハチャメチャ人生をしっかり楽しみました。父親との確執、逆に、「お父さんを見返してね」と旅立ちにあたりお小遣いをくれたお母さん。家族の関係を描いた映画でもあります。電車に乗り遅れたことがもたらす運命も描かれています。くすっと笑ったり、ほろっとしたり・・・ こんな人物がそばにいたら、なんだか大変だろうなぁ~。(咲)

2021年/イギリス/110分/PG12
配給:ポニーキャニオン
公式サイト:https://creation-stories.jp/
★2022年10月21日(金)より新宿シネマカリテほかにて全国ロードショー

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2022年10月09日

スペンサー ダイアナの決意   原題:Spencer

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© 2021 KOMPLIZEN SPENCER GmbH & SPENCER PRODUCTIONS LIMITED


監督:パプロ・ラライン(『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』)
出演:クリステン・スチュワート(『トワイライト』シリーズ、『チャーリーズ・エンジェル』)、ジャック・ファーシング(「風の勇士 ポルダーク」)、ティモシー・スポール (『英国王のスピーチ』)、サリー・ホーキンス(『シェイプ・オブ・ウォーター』、ショーン・ハリス『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』)

1991 年12月24日。英国ロイヤルファミリーの人々は、いつものようにクリスマスを祝うため、エリザベス女王の私邸サンドリンガム・ハウスに集まった。ダイアナ妃は、生家の近くにもかかわらず道に迷い、エリザベス女王よりも遅れて到着する。玄関で待ち構えていたグレゴリー少佐から、さっそく王室のしきたりである体重を測ることを強要される。
夫チャールズ皇太子との仲は既に冷え切っていたが、集まった王族の人々は平静を装っていた。息詰まる思いに、ダイアナは邸を抜け出し、自分が育ったスペンサー家の邸宅に向かうが、老朽化で立ち入り禁止になっていた。仕方なく邸に戻り、息子たちの寝室に忍び込み、やっと安らぎを覚える。
そしてクリスマス、一族での記念撮影、教会での礼拝と決められた行事が続くが、チャールズ皇太子と口論となり、ついにディナーを無視して、息子たちを車に乗せ再び生家へと向かう。幸せな少女時代を過ごした地で、ダイアナは人生を変える一大決心をする・・・

チリ人であるパプロ・ラライン監督が、将来の王妃の座を捨ててでも、自分のアイデンティティを確立しようとしたダイアナを描いた作品。脚本は、イギリス人のスティーヴン・ナイトに依頼。ダイアナを演じたクリステン・スチュワートを始め、メインの俳優はイギリス人。ただ、不必要なメディアの注目を避けるため、撮影はイギリスではなく、ドイツで行っています。
ダイアナの36年という短い人生の中の、さらに3日間という限られた時間を想像力たくましく描いた映画ですが、不実な夫に悩まされる中、思い切った決断をしたダイアナの心情はしっかり伝わってきました。
原題『Spencer』に託した監督の思いも、ずっしりと感じました。(咲)


★ダイアナ元皇太子妃、非業の死から25年。
 彼女に迫る映画2作品が連続公開されます。


『プリンセス・ダイアナ』(9/30公開) 
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/491794369.html
駆け抜けた激動の人生をアーカイブ映像で振り返ったドキュメンタリー
ぜひ、こちらを先にご覧になってから、『スペンサー ダイアナの決意』を!


2021年/イギリス・ドイツ/117分/英語/カラー/4K ヨーロピアンビスタ/5.1ch・7.1ch
日本語字幕:川嶋加奈子
配給:STAR CHANNEL MOVIES
後援:ブリティッシュ・カウンシル 読売新聞社
公式サイト:https://spencer-movie.com/
★2022年10月14日(金)、TOHO シネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー



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2022年09月25日

プリンセス・ダイアナ  原題:The Princess

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© 2022 DFD FILMS LIMITED. ALL RIGHTS RESERVED.

監督:エド・パーキンズ(Netflix『本当の僕を教えて』)
製作:サイモン・チン、ジョナサン・チン(アカデミー賞®2度受賞『シュガーマン 奇跡に愛された男』『マン・オン・ワイヤー』)

ダイアナ元皇太子妃 非業の死から25年
駆け抜けた激動の人生をアーカイブ映像で振り返る

1961年7月1日、オールドソープ子爵(後に伯爵)の令嬢としてノーフォーク州サンドリンガムで生まれ、ダイアナ・フランセス・スペンサーと名付けられる。
1981年2月24日、チャールズ皇太子との婚約発表。7月29日、ロンドンのセントポール大聖堂にて挙式。
1982年6月21日、第一子ウィリアム王子出産。
1984年9月15日、第二子ヘンリー王子出産。のちにこの頃から夫婦間の気持ちの上での関係は終わっていたと語る。
1986年5月、チャールズ皇太子と共に初来日。
1992年12月、チャールズ、ダイアナ両者が別居に合意。
1994年6月 チャールズ、カミラ夫人との関係を認める。
1996年8月28日、離婚成立。親権は両者平等に持つ。
離婚後も王室の一員として、「Diana, Princess of Wales」と呼ばれる。
ケンジントン宮殿に住み続け、事務所もそこに置き、王室の公務はほとんど無くなるが、様々な慈善活動を行う。
1997年8月31日午前0時35~40分頃、パリで交通事故にあい重傷を負い、病院に運ばれるも死亡。同乗していた恋人ドディ・アルファイドと運転手は即死。
9月6日、ウェストミンスター寺院で葬儀。


映画は、1997年8月31日深夜、オテル・リッツ・パリの前に群がるパパラッチを映し出して始まります。
チャールズ皇太子との婚約が噂される頃から、常にマスコミに追い掛け回されたダイアナ。お伽話のお姫様のような結婚式に世界の誰もが魅了されました。そして、チャールズの不倫の恋を知ったのを機に破綻していく結婚生活。その後、献身的に慈善活動を行う中で新たな出会いのあったダイアナを、マスコミは執拗に追いかけ続けました。その結果が、パパラッチを交わす為にスピードを出し過ぎ激突事故。
恋人ドディがエジプト人の大富豪の息子で、彼と結婚させまいとした陰謀説も出ましたが、真相は不明。ダイアナは、1996年、パキスタン系イギリス人の心臓外科医ハスナット・カーンと出会い恋人関係にありましたが、本作では触れられず。本命はハスナットだったのではという説も。
イスラーム文化圏贔屓の私は、エジプト系やパキスタン系の男性に惹かれたダイアナに親近感を持っていたのですが、映画の中で、関係の冷え切ったチャールズ皇太子と共に公式訪問したインドで、ダイアナがタージ・マハルに癒されたという場面があって、なるほどと! あと、今回、初めて知って驚いたのは、恋人ドディに婚約者がいたという事実でした。
リアルタイムでダイアナの人生を知っていた私にとっては、ほとんどの出来事が「懐かしい」ものでしたが、若い世代の方たちにとっては、この映画は、ダイアナの激動の人生を知る良い機会になると思います。  当時はなかったSNSの功罪を考える機会にもなるのではないでしょうか。

それにしても、あの衝撃的なダイアナの事故死から25年!
ついこの間のように思い出します。
葬儀の日は、ずっとBBCをつけて見守りました。棺の後ろを歩くウィリアム王子とヘンリー王子の姿が痛々しかったのですが、先日のエリザベス女王の葬儀の時にも、二人が棺の後ろを歩く姿に、25年前の二人が重なりました。二人にとっても、つらい記憶を思い出したときだったのではと思います。 
歴史に「もし」はありませんが、ダイアナが別の男性と結婚していたなら、パパラッチに追いかけられることもなく、平穏で幸せな人生をおくったかもしれないと思ってしまいました。
パーキンズ監督は、あえてナレーションやテロップによる解説を加えることなく、膨大な素材の中から厳選して、ダイアナの人生を綴っているのですが、そこからは、メディアの功罪を強く感じさせられます。SNSで誰しもが情報を拡散できる時代となった今、それはメディアだけの問題でないことも考えさせられました。(咲)



2022年/イギリス/109分/英語/カラー/ビスタ/5.1ch
日本語字幕:佐藤恵子/字幕監修:多賀幹子
後援:ブリティッシュ・カウンシル 読売新聞社
配給:STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト:https://diana-movie.com/
★2022年9月30日(金)TOHOシネマズシャンテ、Bunkamuraル・シネマほか全国ロードショー



posted by sakiko at 19:44| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ダウントン・アビー 新たなる時代へ(原題:Downton Abbey: A New Era)

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監督:サイモン・カーティス
脚本・原作・製作:ジュリアン・フェロウズ
撮影:アンドリュー・ダン
音楽:ジョン・ラン
プロダクションデザイン:ドナル・ウッズ
衣裳:アナ・メアリー・スコット・ロビンズ
出演:ヒュー・ボネヴィル(ロバート・クローリー)、ジム・カーター(チャールズ・カーソン)、ミシェル・ドッカリー(メアリー・タルボット)、エリザベス・マクガヴァン(コーラ・クローリー)、マギー・スミス(バイオレット・クローリー)、イメルダ・スタウントン(モード・バッグショー)、ペネロープ・ウィルトン(イザベル・グレイ)

1928年、英国北東部ダウントン。広大な領地を治めるグランサム伯爵ロバートらは喜びの日を迎えていた。亡き三女シビルの夫トムが、モード・バグショーの娘と結婚したのだ。華やかな宴とは裏腹に、屋敷は傷みが目立ち、長女メアリーが莫大な修繕費の工面に悩んでいたところへ、映画会社から新作を屋敷で撮影したいというオファーが。謝礼は高額だ。父の反対を押し切ってメアリーは撮影を許可し、使用人たちは胸をときめかせる。
一方、ロバートは母バイオレットが、モンミライユ侯爵から南仏にある別荘を贈られたという知らせに驚く。その寛大すぎる申し出に疑問を持ち、妻コーラ、次女イーディス夫妻、トム夫妻、引退したはずの老執事カーソンとリヴィエラへと向かう。果たして海辺の別荘に隠された秘密は、一族の存続を揺るがすことになるのか―!?

大ヒットしたイギリスのTVシリーズ「ダウントン・アビー」劇場版の第2弾。劇場版の前作は1927年に国王夫妻がダウントン・アビーを訪問するという一大イベントが中心です。監督は代わって『黄金のアデーレ 名画の帰還』のサイモン・カーティス。連続ドラマをぎゅっと濃縮した映画版は、屋敷内部の調度品や住人たちの華麗な衣裳などを大きな画面で観ることができます。時代を映したドレスやヘアスタイルにも多くのスタッフが関わっています。エンドロールに登場する人数の多さに驚きます。素晴らしい画面を一時停止してよくよく見たい気持ちになるのも、これだけの人たちの努力の結晶だからでしょう。
書ききれないほどたくさんのキャストはほぼ続投。新しく増えたのは映画撮影に関わる人々、監督役のヒュー・ダンシー、女優役のローラ・ハドックら、ナタリー・バイ、ジョナサン・ザッカイほか南仏の別荘の持ち主たち。
映画撮影がちょうどサイレントからトーキーに移る時代で、その撮影方法の違いが細かに見て取れます。台詞が入っていなくても良かったサイレント時代、台詞回しにも演技力が必要になったトーキー。悩む女優を励ますのが、ダウントンの使用人たちでした。南仏の別荘での顛末は、謹厳なバイオレットの青春時代を知らせてくれましたし、ダウントン・アビーの人たちそれぞれの秘めた気持ちも上手に出して、幸せな方向に持っていってくれる脚本に感謝。劇場を出るとき、ああ良かったと思いたいですもん。(白)


2022年/イギリス、フランス合作/カラー/シネスコ/125分
配給:東宝東和
(C)2021 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.(C) 2022 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED.
https://downton-abbey-movie.jp/
https://www.facebook.com/DowntonAbbeyMovie.JP/
https://twitter.com/DowntonAbbey_JP
こちらでドラマを10分でおさらい!
★2022年9月30日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 18:11| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月10日

ボイリング・ポイント/沸騰  原題:BOILING POINT

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(C)MMXX Ascendant Films Limited

製作・監督・脚本:フィリップ・バランティーニ 
出演:スティーヴン・グレアム(『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』『アイリッシュマン』)、ヴィネット・ロビンソン(「SHERLOCK/シャーロック」)、レイ・パンサキ(『コレット』)、ジェイソン・フレミング(『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』『ベンジャミン・バトン数奇な人生』)

クリスマス直前の金曜日の夜。ロンドンの人気高級レストランのオーナーシェフ、アンディ・ジョーンズは、店に急ぎながら妻に電話している。別居して2か月、今晩は息子ネイサンと会う約束をしていたのにとても無理。直接謝りたいのに息子はつかまらない。店に着くと、スタッフが開店準備に追われている中、衛生検視官が抜き打ち検査に来ていて、厳しくチェック。安全評価が「5」から「3」に落とされてしまう。アンディが衛生管理ファイルの記入を怠っていたのも一因だった。スタッフからは食材の注文忘れを指摘され、さらに、宿敵のシェフ、アリステアの予約が入っていると聞かされ、頭が痛い。ほどなく開店。フロアもキッチンも大忙し。そんな中、アリステアがやってくる。予告なしにグルメ評論家のサラを同伴して・・・

アンディの元同僚で今はテレビでも活躍する宿敵のシェフであるアリステア。来店するなり、アンディに「ナマステ」とインド式に挨拶し、料理を注文したあと、「小皿でザアタル(アラビア語でハーブ類の総称)を持ってきて」と頼みます。まず、この男、何者?と興味を惹かれましたが、アンディに借金を返せと無理を言ったり、共同経営の危なげな話を持ちかけたりと、なんだか信用できないいい加減な男。アンディにとってはアリステアとのやり取りだけでも頭が痛いのに、次から次へと問題が起こって、アンディの精神状態は沸騰点に達します。それも、アンディが会えない息子に電話するたびに、これでもかとトラブル発生! しか~し、そも、オーナーシェフとはいえ仕事中の私用電話、いいの?とちょっといらつきました。そんなアンディですが、副シェフの給料アップを共同オーナーに了承を得なければという問題は常に頭から離れません。
監督が、レストラン業界内で起きている、うつ病、薬物乱用、人種差別、ハラスメント、同性愛 嫌悪など、改革を切実に必要としている問題を描きたかったのだとわかり、アンディの周りで次々にトラブルが起こった意味を納得しました。
厨房、フロア係、客・・・と、多くの人物が登場して、様々な「問題」が起こります。「13卓はプロポーズ予定で、女性はピーナッツアレルギー」という注意があって、予測通り、女性が発作を起こしてしまうのですが、それすら、問題の一つという位! 
満席のレストランを舞台に、キッチンとフロアでの出来事を90分ワンショットで描き切ったことに、ただただお疲れさまのひと言です。(咲)


2021/イギリス/英語/95 分
字幕:石田泰子
配給:セテラ・インターナショナル
© MMXX Ascendant Films Limited
公式サイト:http://www.cetera.co.jp/boilingpoint/
★202年7月15日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国公開

posted by sakiko at 18:22| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする