2023年11月26日

バッド・デイ・ドライブ(原題:Retribution)

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監督:ニムロッド・アーントル
脚本:クリストファー・サルマンプール
出演:リーアム・ニーソン(マット・ターナー)、ノーマ・ドゥメズウェニ、リリー・アスペル、ジャック・チャンピオン、エンベス・デイヴィッツ。マシュー・モディーン

ベルリンのある朝。金融関係のビジネスマンのマットは仕事人間。それでも子どもたちを学校に送り届けるために車のドアを開けた。子どもたちと乗り込んで走り始めたとたん、携帯に着信がある。知らない男の声が「車に爆弾をしかけた。降りると作動する。これから指示に従わないと爆破する」と告げられる。驚いて座席の下を確認すると爆破装置のようなものが見えた。犯人は何者で、何が狙いなのかわからないままマットは車を止めることなく走り続ける。マットの様子に子どもたちもおびえ、犯人はマットに確認させるかのように、同僚の乗った車を予告のうえ、爆破した。

子ども2人と爆弾をのせたまま、ベルリンの街を走り続けるマット。愛がは事件とリアルタイムで進行します。リーアム・ニーソンは子どもを守って戦う父親役が多かった気がしますが、今回は車から降りられずなかなかアクションを起こせません。
その上、妻が離婚の相談に出かけていることを知らされます。
オリジナル脚本はアルベルト・マリーニ。2015年のスペイン映画『暴走車 ランナウェイ・カー』をリメイクしています。ほかにドイツ版『タイムリミット 見知らぬ影』、韓国版『ハード・ヒット 発信制限』がありますが、特にサスペンスものはストーリーがわかると面白さが減ってしまうので、極力情報を入れずに観るのをおすすめします。私は韓国版を観ていますので、ドキドキするより同じところや違うところを探したり比べたりをしていました。それもまた一つの楽しみ方ではあります。(白)


2023年/イギリス・アメリカ・フランス合作/カラー/91分G
配給:キノフィルムズ
(C)2022 STUDIOCANAL SAS - TF1 FILMS PRODUCTION SAS, ALL RIGHTS RESERVED.
https://bdd-movie.jp/
★2023年12月1日(金)絶・対・着席
posted by shiraishi at 13:27| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月24日

ヒッチコックの映画術   原題: My Name Is Alfred Hitchcock 

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(c)Hitchcock Ltd 2022
 
監督:マーク・カズンズ

“サスペンス映画の神様”アルフレッド・ヒッチコック。1899年8月13日ロンドン郊外に生まれ、厳格なカトリックの家庭で育った。1915年、ヘンリー電信ケーブル会社に入社し、広告部門で製図工からデザイナーとなる。1920年にイズリントン撮影所へ入所後、サイレント映画の字幕制作を手掛けるようになり、やがて脚本や助監督を担当。ヒットメイカーとして君臨。イギリス映画界初のトーキー映画となった『恐喝(ゆすり)』(29)を監督する。イギリス映画界からハリウッドへ渡ってからも、監督作の『レベッカ』(40)が第13回アカデミー賞で作品賞を受賞するなど、輝かしいフィルモグラフィを積み上げてきた。50年代に全盛期を迎え、1957年からは「ヒッチコック劇場」でテレビの世界にも進出。
サイレント映画からトーキー映画、モノクロ映画からカラー映画への移行、映画の画面比率がスタンダードサイズから大型してゆく変遷や、テレビの台頭による映画産業の斜陽化。さらには映画が3D化する時代にも遭遇するなど、ヒッチコックの映画人生は映画の歴史と共に歩んできた。1979年にはイギリス王室からナイト<サー>の爵位を受けた。1980年にハリウッドで亡くなる。
未完成に終わった幻の監督デビュー作「Number 13」(1922)の監督デビューから100年。ヒッチコック作品は今なお映画を愛する者たちを魅了し続けている。本作は「本人」が自身の監督作の裏側を紐解くスタイルで、その“面白さの秘密”を解き明かしていく。

10代の頃に、テレビで放映されていた「ヒッチコック劇場」を毎週楽しみに観ていて、それがまさしくこの映画のように、ヒッチコック自らがナビゲートする形。最初と最後に必ず出てきて語るので、大柄で特徴のある姿は目に焼き付きました。30分の短い番組でしたが、毎回、謎解きの後に、諭すように人生訓を語るのが面白かったものです。もっとも、当時は日本語吹き替えでヒッチコック本人の声ではありませんでしたが。
映画の冒頭で、「脚本&ナレーション:アルフレッド・ヒッチコック」と出てきます。どんな風に、本人の声を紡いだのかしら?と思ったら、最後に種明かし。物真似名人の俳優アリステア・マクゴーワンがヒッチコックの声を担当されたとのこと。すっかり騙されました。
本作では、これまであまり観たことのなかったイギリス時代の作品から、『ダイヤルMを廻せ!』『裏窓』『めまい』『鳥』などお馴染みのハリウッド時代の作品まで、数多くの名作を垣間見ながら、ヒッチコックの遊び心に富んだ映画作りの秘密を知ることが出来ました。(咲)


2022年/イギリス/英語/120分/カラー/1:1.78/5.1ch
字幕翻訳: 小森亜貴子
配給: シンカ
公式サイト:https://synca.jp/hitchcock
★2023年9月29日(金)新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA、角川シネマ有楽町ほか全国公開



【本作で引用されるヒッチコック作品】
※年代順、(未)=日本劇場未公開(特集上映等は除く)、(TV)=TV映画

<イギリス時代 サイレント作品>
『快楽の園』(1925)The Pleasure Garden
『下宿人』(1927)The Lodger
『ダウンヒル』(1927)Downhill
『リング』(1927)The Ring
『農夫の妻』(1928)The Farmer’s Wife
『シャンパーニュ』(1928)Champagne
『マンクスマン』(1929)The Manxman

<イギリス時代 トーキー作品>
『恐喝(ゆすり)』(1929)Blackmail
『ジュノーと孔雀』(1930)Juno And The Paycock (未)
『殺人!』(1930)Murder! (未)
『リッチ・アンド・ストレンジ』(1931)Rich And Strange (未)
『第十七番』(1932)Number 17 (未)
『ウィンナー・ワルツ』(1934)Waltzes From Vienna (未)
『暗殺者の家』(1934)The Man Who Knew Too Much
『三十九夜』(1935)39 Steps
『サボタージュ』(1936)Sabotage
『第3逃亡者』(1937)Young And Innocent
『バルカン超特急』(1938)The Lady Vanishes
『巌窟の野獣』(1939)Jamaica Inn

<アメリカ時代>
『レベッカ』(1940)Rebecca
『海外特派員』(1940)Foreign Correspondent
『スミス夫妻』(1941)Mr. And Mrs. Smith
『断崖』(1941)Suspicion
『逃走迷路』(1942)Saboteur
『疑惑の影』(1943)Shadow Of A Doubt
『救命艇』(1944)Lifeboat
『白い恐怖』(1945)Spellbound
『汚名』(1946)Notorious
『パラダイン夫人の恋』(1947)Paradine Case
『ロープ』(1948)Rope
『山羊座のもとに』(1949)Under Capricorn
『舞台恐怖症』(1950)Stage Fright
『見知らぬ乗客』(1951)Strangers On A Train
『私は告白する』(1953)I Confess
『ダイヤルMを廻せ!』(1954)Dial M For Murder
『裏窓』(1954)Rear Window
『泥棒成金』(1955)To Catch A Thief
『ハリーの災難』(1955)Trouble With Harry
『知りすぎていた男』(1956)The Man Who Knew Too Much
『間違えられた男』(1957)The Wrong Man
『めまい』(1958)Vertigo
『北北西に進路を取れ』(1959)North By Northwest
『サイコ』(1960)Psycho
『鳥』(1963)The Birds
『マーニー』(1964)Marnie
『引き裂かれたカーテン』(1966)Torn Curtain
『トパーズ』(1969)Topaz
『フレンジー』(1972)Frenzy
『ファミリー・プロット』(1976)Family Plot

<一部監督作品>
「Memory of the Camps」(1945)(TV)
posted by sakiko at 00:33| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年09月17日

ロスト・キング 500年越しの運命(原題:The Lost King)

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監督:スティーヴン・フリアーズ
原作:フィリッパ・ラングレー、マイケル・ジョーンズ
脚本:ジェフ・ポープ、スティーヴ・クーガン
音楽:アレクサンドル・デスプラ
出演:サリー・ホーキンス(フィリッパ・ラングレー)、スティーヴ・クーガン(ジョン・ラングレー)、ハリー・ロイド(リチャード3世/ピート)、マーク・アディ(リチャード・バックリー)

フィリッパ・ラングレー45歳、夫と別居し息子二人と暮らしている。長年勤めた職場では、上司に理不尽な評価を受けて落ち込んでも生活のためにやめるわけにはいかない。家庭も仕事もうまくいかず、苦悩の日々を過ごしていたがある日転機が訪れる。息子の付き添いで舞台「リチャード三世」を観劇したことで、これまでのリチャード三世への印象が大きく変わった。
歴史書を読み漁り、講演会に出かけ、ファンの集いにも顔を出した。没後のプロバガンダやシェイクスピアの史劇により、甥たちを殺した冷酷非情な王として悪名が史実となってしまったのではないか?自分が周囲の人々に正しく理解されていないように・・・。
フィリッパは夫が呆れるほどリチャード三世に没頭し、いまだ見つかっていない遺骨を探そうと思い立つ。

宣伝のキャッチは「推し活」です。思わず、そうそうと思ってしまいました。故人だろうが、王様だろうが、気になる人は気になります。フィリッパの灰色だった毎日に光が差して、先へ行く道を照らしたのに違いありません。これが、事実を元にした話だというのに驚きます。きっとニュースになったはずですが、全く記憶にありません。
フィリッパの視線の先には舞台で観たリチャード三世が幻影となって現れ、言葉まで交わします。自問自答ですが、「一人推し活」の彼女にはおおいに慰めと力になったはず。表情や足取りが変わっていきます。
フィリッパの探索を冷笑していた学者や大学が、いざ遺骨が見つかると態度を変えるのが噴飯ものですが、主婦と大学の研究者ではこんなことになるものなんですね…。遺骨が見つかり、王として葬儀が行われ、国民に追悼されたことで良かったというべきでしょうね。サリー・ホーキンスは『しあわせの絵の具 愛を描く人 モード・ルイス』『シェイプ・オブ・ウォーター』以来見損ねていましたが、不思議な話でも「そんなこともあるかも、あってほしい」と納得させる力があります。(白)


2022年/イギリス/カラー/ビスタ/108分
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
(C)PATHE PRODUCTIONS LIMITED AND BRITISH BROADCASTING CORPORATION 2022 ALL RIGHTS RESERVED.
https://culture-pub.jp/lostking/
★2023年9月22日(金)TOHOシネマズシャンほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 14:06| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ファッション・リイマジン(原題:Fashion Reimagined)

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監督:ベッキー・ハトナー
撮影:ダニエル・ゴッツ
出演:エイミー・パウニー、クロエ・マークス、ペドロ・オテギ

2017年4月、英国ファッション協議会とVOGUEによって、その年の英国最優秀新人デザイナーに選ばれたエイミー・パウニーは、賞金の10万ポンドで《Mother of Pearl》をサステナブル(将来にわたって持続可能)なブランドへと変えることを決意する。
当時ファッション業界は大量消費の真っ只中で、サステナビリティはニッチなトピックだった。
原材料から製造過程まで、すべてにおいてサステナブルなコレクションは、「No Frills(飾りは要らない)」と名づけられる。コレクションの発表は、2018年9月のロンドン・ファッション・ウィーク。準備期間はわずか18ヶ月!一からの原料探しが始まった。

世界の有名デザイナーの映画は数々あれど、個性や斬新なアイディア、生み出す苦労などが注目されてきました。この作品に登場するエイミー・パウニーのように、「地球の限りある資源を大切に地球にも身体にも優しいファッション」というのは初めてです。それもすでに供給されている素材でなく、人任せにせずに自分自身が探し出すとは!!
ウールなら羊の生産者を探し、製品となるまで全ての過程を把握していくのは、長い長い道のりです。これまでのように、たくさん作って売って、捨てて、また購入してもらうというのでなく、長く大事に使ってゴミにしない。「毎年、千億もの服が作られ、その5分の3が購入した年に捨てられる」なんて知りませんでした。自分はゆったり目が好きなのと、体型がほとんど変わっていないのとで、何十年も着ている服があります。超サステナブル!(白)


2022年/イギリス/カラー/ビスタ/100分
配給:フラッグ
(C)2022 Fashion Reimagined Ltd
https://www.flag-pictures.co.jp/fashion-reimagine/
★2023年9月22日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 13:34| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年07月22日

ルードボーイ トロージャン・レコーズの物語  原題:Rudeboy The Story of Trojan Records

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監督:ニコラス・ジャック・デイヴィス 
撮影:ジョナス・モーテンセン 
編集:クリス・デュベーン
出演:ロイ・エリス、リー・スクラッチ・ペリー、デリック・モーガン、ポーリーン・ブラック、ドン・レッツ、ケン・ブース、トゥーツ・ヒバート、ザ・パイオニアーズ、マルシア・グリフィス、バニー・リー、キング・エドワース、ダンディ・リヴィングストン、ロイド・コクソン、ネヴィル・ステイプル、デイヴ・バーカー

レゲエの誕生、そして全世界の音楽シーンに大きな影響を与えた伝説のレーベル「トロージャン・レコーズ」の栄光と転落を描いたドキュメンタリー。

1956年ジャマイカ、西キングストン地区。デューク・リードが開業した酒場トレジャー・アイルの名物は“トロージャン”と名付けられた巨大なサウンド・システム。アメリカ産のR&Bやブギのレコードのリズムにあわせ、人々が集い踊るダンスフロアと化していた。やがてリードは地元のシンガーやバンドを集め、オリジナルのレコードを吹き込む。デリック・モーガンが唄う「Lover Boy」は大ヒットを記録。その後も多くのシンガーを輩出し、ジャマイカ発のR&Bは独特の進化を遂げ、スカやロックステディ、そしてレゲエが誕生した。
一方、ジャマイカ独立を機に多くのジャマイカ人が移住したイギリスに、アジア系(インド系)ジャマイカ人の実業家リー・ゴプサルがいた。ジャマイカで誕生したレゲエに新たなビジネスのチャンスを見出し、1967年に英国初のレゲエ専門の音楽レーベル「トロージャン・レコーズ」を立ち上げる。イギリスに渡った“トロージャン”は多くのジャマイカ人に愛されただけでなく、労働者階級の白人ユースカルチャーとも共鳴。1970年4月26日ウェンブリー・スタジアムで開催されたレゲエ・フェスティバルには一万人を超える黒人と白人の若者で満席となり、レゲエは人種を超えた大きなムーブメントを巻き起こす。しかしやがてトロージャン・レコーズの事業は傾き始め、倒産の危機を迎えてしまうのである・・・。

音楽シーンに詳しくない私は、レゲエというと、ジャマイカ発祥で、そこからアメリカに渡って広がったというイメージでした。本作を観て、ジャマイカ独立後、イギリスに移住したジャマイカの人たちによって、イギリスでさらなる発展を遂げたことを知りました。
当時の映像と再現ドラマが、とても自然に組み合わされていて、再現ドラマも当時の映像が残っていたものなのかと思うほど。1950年代後半から1960年代という時代の色がとてもよく出ていて、郷愁を覚えました。(咲)



2018年/イギリス/英語/85分/カラー/DCP
日本語字幕:上條葉月
配給・宣伝:ダゲレオ出版(イメージフォーラム・フィルム・シリーズ) 
公式サイト:http://www.imageforum.co.jp/rudeboy/
★2023年7月29日(土)よりシアター・イメージフォーラム他順次公開




posted by sakiko at 21:27| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする