2020年01月18日

イーディ、83歳 はじめての山登り  原題:Edie

2020年1月24日公開 シネスイッチ銀座ほか 劇場情報

!cid_51985B20-2A78-4AC7-BC72-DCF51676ED94.jpg
(C)2017 Cape Wrath Films Ltd.


監督・脚本:サイモン・ハンター
脚本:エリザベス・オハローラン
撮影:オーガスト・ジェイコブソン
美術:クリス・リッチモンド
衣装:ジョージナ・ネイピア
音楽:デビー・ワイズマン
キャスト
シーラ・ハンコック
ケビン・ガスリー
ウェンディ・モーガン
エイミー・マンソン
ポール・ブラニガン

2017年製作/102分/G/イギリス
配給:アットエンタテインメント
公式HP 

いつだって手遅れなんてことはない

30年間夫の介護に人生を捧げてきた83歳のイーディ。やっと解放され、これから自分のために時間を使おうと思ったのに娘からは老人ホームへの入居を勧められ、人生の終わりを感じていた。そんな時、町のフィッシュアンドチップスの店で「追加の注文をしても良い?」と聞いたイーディに、「何も遅すぎることはないさ」と店員が答えた。その言葉に勇気を得たイーディは、かつて父が手紙で一緒に登ろうと行ってきていたスコットランドのスイルベン山に行ってみようと思いたち、夜行列車に乗りロンドンからスコットランドへ。
駅で鉢合わせして、偶然知り合っった地元の登山用品店の青年ジョニーをトレーナーとして雇い、山頂へ登る訓練を始める。イーディはこれまでの生活のせいかかたくなな態度で、何かを受け入れたり、頼ったりということができない。そんな態度が災いし、最初はジョニーとぶつかるが、ジョニーの丁寧な指導を受け入れていく。登山道の歩き方、登山グッズの使い方、地図の見方を教わり、ルートのとり方などを学んでいく。準備を整えたイーディはついにスイルベン山へ向かうのだが…。
83歳のイーディを演じるのは、撮影時イーディと同じ83歳だったシーラ・ハンコック。実際に山に登り過酷な撮影に挑んだという。またスイルベン山頂からの息をのむほど雄大で迫力ある景色もすばらしい。一歩踏み出せば人生は豊かになると勇気づけられる作品。

EDIE main.jpg
(C)2017 Cape Wrath Films Ltd.

そんなに仲が良かったわけではなかった夫が病気になり、介護が必要な生活になってしまい、それから30年という長い間の介護生活。そこからやっと解放されて、これから自分のやりたいことができると思ったもののすでに83歳。やれることは限られている。そんな中からどう考えても無理だろうと思う登山をしてみようと思うイーディ。若い頃、父親からスイルベン山に一緒に行こうという葉書が届いて、そのことを思い出したからだった。老人ホームに入れようとする娘の様子を見て、その前に行っておかなくてはと列車に乗ってでかけてしまう。実行してしまえばこちらのもの。イギリスを南から北へ、かなり長い旅。それにしても若い頃に登山をしていたわけではなく、せいぜいキャンプぐらいしか経験がないのに山へ行こうというのは、かなり無謀な選択だともいえる。
私は20歳から約25年くらい登山が趣味で、あちこちの山に行っていたけど、その後映画にはまって、結局、映画を取り、山には登らなくなってしまった。車で行って山を眺めたりはしているけど、登山らしきことはもう15年くらいしていない。5年前には心臓手術をして、その後は荷物を背負って歩くことはほとんどしていない。そして駅の階段でさえ上るのがきつい状態。
83歳といえば、よほど訓練を続けた人でなければきっと同じような状態じゃないかと思うけど、それでもお父さんが「一緒に行こう」と行っていた山に行こうと思う気持ち。なんだか意地のような気もする。ジョニーと何日か訓練したものの、いざ山に登るという時に一人でいくと言い出したことがその表れだと思った。ジョニーは山の経験がほとんどない老人を一人で送り出したけど、登山をしていた者からすれば、経験の少ない老人を一人で山に送り出すなんて考えられない。日本とイギリスでは考え方が違うのかもしれないけど。それでも高尾山程度の山ならわかるけど、スイルベン山はテントで一泊しないと登れない山だし、人がほとんどいない。そんな中をイーディは一人で歩き続けて山頂を目指す。
まわりに人がいなくて、たった一人でテントで眠るというのは、けっこう怖い経験。この作品の中で動物が移動していくシーンが描かれていたけど、イーディは動物の鳴き声にまんじりともしない。私も山の中でたった一人でテントを張って寝たとき、回りに何か音がするたびヒヤヒヤした経験がある。そして次の日は雨にも降られ、強い風にテントは飛んでいってしまった。そんな中を登っていったわけだけど、そんな経験をしたからか、ジョニーが助っ人に来てくれた時のイーディの笑顔が素敵だった。人の親切を素直に受け入れられるイーディの姿がそこにあった。そして山頂からの景色の素晴らしさ。それにしても大きな山を登ったんだな、よく登頂できたなとほっとした(暁)。


30年続いた夫の介護が終わり、いよいよ自由な日々と思いきや、娘が施設入居の手続きを進める。私の人生、こんなはずじゃなかったと、かつて父親と登る約束をしたスコットランドの山に登ることにしたのだが。。。
人との関わり方が下手で意固地な態度ばかり取ってしまうイーディが若者に登山のイロハを学び、助けを受け入れていくようになっていく。それにつれてイーディの表情が柔らぎ、笑顔が増えていく。
自分一人でがんばらず、助けを借りることも大事。子育てや介護のときにそれに気づいていれば、ここまで不満を抱え込むことはなかっただろう。しかし、ここにきてやっとそれに気づく。人生、遅すぎることはないというのは生き方にも当てはまるのだと伝わってきた。
しかし、まったくの初心者がいきなりハイレベルな登山に挑むのは問題があると思う。これを見て真似する人が出て、イーディのようなラッキーに恵まれなかったら大変なことになる。その辺りをもう少し触れてくれるといいのにと心配になった。(堀)


posted by akemi at 10:04| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月14日

彼らは生きていた 英題:THEY SHALL NOT GROW OLD

dabc51f704783d31.jpg

製作・監督:ピーター・ジャクソン

終結から約100年経った第1次世界大戦の記録映像を『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどのピーター・ジャクソン監督が再構築したドキュメンタリー。イギリスの帝国戦争博物館が所蔵する2,200時間を超える映像を、最新のデジタル技術で修復・着色・3D化して、BBCが所有する退役軍人のインタビュー音声などを交えながら、戦場の生々しさと同時に兵士たちの人間性を映し出す。
第1次世界大戦中、戦車の突撃や激しい爆撃、塹ごうから飛び出す歩兵など、厳しい戦闘が続いていた。だが、死と隣り合わせの兵士たちも、時にはおだやかな様子で休息や食事を取り、笑顔を見せる。

数多公開される新作の中で、”これは必見の価値あり!”と断言できる映画は年に数本もない。一般的には『ロード・オブ・ザ・リング』などの娯楽作で知られるピーター・ジャクソン監督が、第1次世界大戦の映像をレストアした本作は、まさに”必見”のドキュメンタリーである。
100年前、英国BBCがこれほど仔細に兵士たちの日常を記録していたこと、15歳前後の若い志願兵が多かった事実など、次から次へと繰り出される”真実”に、眼を見張らされ通しの99分だった。更に驚くのはジャクソンら製作チームが手掛けた再構築性である。英国の帝国戦争博物館が所蔵する膨大な映像を最新のデジタル技術で小さな塵、傷まで修復し、資料に基づき着色、3D化したのだ。それぞれが切れ切れに異なるスピードで撮影されていた映像を24フレームに統一。”1秒”24コマである。気の遠くなるような作業だったろう。

映像だけではない。BBCは退役軍人たちの当時を振り返る取材音声などを所有していた。それら音源をナレーションとして構成し、読唇術から当時のお国訛りまで再現。英国アクセントに耳ざとい者としては、どの証言一つ足りとも聞き逃すまいと耳を傾けた。

戦争に希望を抱いていた時代、労働者階級の男たちは挙って志願した。「15歳?18歳に見えるから、そう書いとけ。はい、合格」…今では考えられない緩さである。「3食メシが食えて楽しかった」と語る兵士たち。前半は拍子抜けするほど楽しげな映像が多い。ユーモアや紅茶、バグパイプ、キルト、ラム酒などといった生活習慣を忘れないのが英国流。

戦況は泥沼化し、次第に深刻さを増す戦場。死屍累々たる光景が日常になる。映画は傷んだ死体の山もモザイクなしで映し出す。100年前の出来事が、五感を通して伝わる迫真力。あまりの生々しさに言葉を失うが、眼を背けてはいけない。その中で捕虜として捕らえられた独兵たちとの友愛的交流は救いだ。こうして100万言尽くしても映画の本質は伝わらない。ジャクソン監督の祖父も従軍した戦争。渾身の労作・傑作だ。
あなたの人生のうちの99分をこの映画に捧げてほしい。世界中の戦争・諍いごとがなくなることを願いながら…。(幸)


640-190.jpg


戦場の臨場感が半端ないからこそ、かえってフィクションに見えてしまいました。戦時下で、よくもここまで被写体に近寄って撮れたものだと驚いたら、次の戦争のために反省点をチェックできるよう、きちんと記録していたのだそう。日本軍にはなかった発想にさらに驚いきました。
「国のため」と年齢制限に届かない若者までが率先して志願しましたが、支給物資は不足。戦場では次々と命が散っていく。砲撃の瞬間はその振動まで伝わってくるかのようなリアルな映像に戦争の悲惨さがより際立ちます。こんなことは二度としてはいけませんね。(堀)


第1次世界大戦の塹壕戦を描いた映画で真っ先に思い出すのが、『西部戦線異状なし』(ルイス・マイルストン監督、1930年/アメリカ)。蝶が飛んできて、主人公が塹壕からそっと手をのばしたところを狙撃されて命を落とすシーンを、蝶が好きだった母があの兵士の気持ちが痛いほどわかるとよく言っていました。そして、最後に流れるのが「西部戦線異状なし」の報告。兵士一人や二人亡くなっても、それは異状ではないというのが戦争だと空しくなったものです。

『戦場のアリア』(クリスチャン・カリオン監督、2005年/フランス・ドイツ・イギリス合作)は、1914年、最前線での塹壕の中でクリスマスをむかえた3カ国の兵士たちが一夜限りの休戦協定を結んで共にクリスマスを過ごした実話に基づいた物語。
『彼らは生きていた』では、最初の方で、イギリス人とドイツ人が会食中に開戦を知らされ、「戦うのは明日からにしよう」と楽しく会食を続けます。国家どうしの戦争さえなければ、人と人は国や民族が違っても親しくできるものなのだとつくづく思います。

そして、 『緑はよみがえる』 (エルマンノ・オルミ監督、2014年/イタリア)でも、前線をはさんで塹壕に潜む兵士たちの姿が描かれていました。「敵は鉄条網の向こうにいるのではない、理不尽な命令をぬくぬくとした部屋から発している上層部こそ戦地に送られた若者たちの敵だ」という言葉が強く印象に残っています。
『彼らは生きていた』は、本物の塹壕戦を体験した歩兵たちの記録映像。これまでに観てきた戦争映画どころじゃない、ほんとうに生きていた人たちの姿。時にカメラに見せる笑顔に、どうしてあんなに明るい笑顔が見せられたの?と悲しくなりました。
着た切り雀で何日も何日も塹壕に潜み、死と隣り合わせの日々。彼らを戦場に送った権力者たちは、彼らがどんなつらい思いをしているかなど考えもせず命令をくだしているのです。
第一次世界大戦から100年経った今、命令をくだす権力者だけでなく、兵士もまた、塹壕に潜むなどという思いをせず、遠隔操作でドローンやミサイルで適地の人々を殺すのが戦争。犠牲になる多くが罪のない庶民。命令をくだす権力者だけでなく、戦争に直接加担する兵士がつらい思いをしないのでは、戦争はどんどんエスカレートするのではないかと危惧します。
『彼らは生きていた』を、実際に戦争に加担する権力者や兵士にこそ観てもらって、戦争とは人が虚しく死ぬものなのだということを認識してほしいと切に思います。(咲)


最近、古い映画をデジタルに変換したリマスター版というのが多く出ているけど、これは戦争の現場で撮った実際の画像を元にデジタル化したもの。100年前の映像が残っていて、今の技術でこんなに鮮明な画像として蘇っている。まさに映像の魔術だと思った。100年も前に戦争の現場で撮っていたとは。作り物ではない。この時代に生きた人たちの実際の姿。思い。戦争の現実。
戦争に行った若者たちが、年齢を偽ってまで志願していったことが語られるが、その若者たちをそういう思いにさせた偽政者たちがいたから。それは第2次世界大戦でもそうだったし、ベトナム戦争や湾岸戦争でもそうだった。そして現代ではフェイクニュースにだまされてはならない(暁)。


製作国イギリス/ニュージーランド/2018/99分/パートカラー/シネマスコープ/5.1ch
配給:アンプラグド
公式サイト:http://kareraha.comstrong>
★2020年1月25日(土)よりシアター・イメージフォーラムほかにて公開★




posted by yukie at 14:24| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月06日

イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり(原題:The Aeronauts)

into.jpg

監督:トム・ハーパー
脚本:ジャック・ソーン
音楽:スティーヴン・プライス
主題歌:シグリッド
出演:フェリシティ・ジョーンズ(アメリア)、エディ・レッドメイン(ジェームズ)、ヒメーシュ・パテル、トム・コートネイ

1862年のロンドン。気象学者のジェームズは気象予測を実現するために気球で空へと上がり、経過の記録をしたいと願っていた。周囲は荒唐無稽と笑い、賛同者も得られない。一方、気球操縦士のアメリアは夫を亡くした後、生きる気力も失っていたが、もう一度気球に乗ることで立ち直ろうとしていた。世界記録に挑戦する一大ショーとして、多くの観客の声援を受けて気球は飛び立つ。そこにはアメリアに頼み込んで、同乗できることになったジェームズもいた。初めて目にする空からの眺めに驚きながらジェームズはさっそく調査を開始する。

実際にこういう気球での調査があったのだそうですが、映像はどうやって撮影したの?という驚きと美しさにあふれています。CGも駆使しているのでしょうが、生身で風を感じているような爽快さがあります。と同時に、突風が吹いたり思わぬ変動に直面したときの恐怖も感じますので、高いところの苦手な人(私!)はご注意ください。
研究熱心、頭で考えるジェームズと、自由奔放で自分の経験と身体能力に裏打ちされた実践型のアメリア。対極にいる二人が協力して大事を成すまでの過程はドキドキです。これはぜひ大きな画面で。(白)


「博士と彼女のセオリー」のフェリシティ・ジョーンズとエディ・レッドメインが再び共演するとは! それだけで作品への興味が高まります。
実話を基にしているものの、エンタメ性を高めるような、あっと驚くシーンが随所に挟み込まれ、かなりアレンジがされています。ファンタジーに近いかもしれません。
とはいえ、実話は気象が学問になったきっかけのチャレンジ。天気予報を見るたびに、この作品を思い出してしまいそうです。(堀)


2019年/イギリス、アメリカ/カラー/シネスコ/110分
配給:ギャガ
(C)2019 AMAZON CONTENT SERVICES LLC.
https://gaga.ne.jp/intothesky/
★2020年1月17日(金)全国ロードショー
posted by shiraishi at 17:08| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月05日

フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛をこめて  原題:Fisherman's Friends

fishermanz.jpg

監督:クリス・フォギン
出演:ダニエル・メイズ、デヴィッド・ヘイマンジェームズ・ピュアフォイ、デイヴ・ジョーンズ、タペンス・ミドルトン

イギリス南西部コーンウォール地方の小さな港町ポート・アイザックで、1995年に慈善事業の資金集めのために結成された漁師たちによる舟歌バンド“フィッシャーマンズ・フレンズ”。彼らが、2010年に契約金100万ポンドでメジャーレビューし全英トップ10入りを果たした実話をもとにしたヒューマンドラマ。

ロンドンで音楽業界の敏腕マネージャーとして活躍するダニーは、結婚間近の悪友ヘンリーを連れ、独身最後のお楽しみに大西洋に面した小さな港町ポート・アイザックへ男ばかりで繰り出す。港で舟歌を歌う漁師たちを見かけて、上司のトロイはダニーに「彼らと契約するまで帰るな」とダニーを置き去りにして帰っていく。
舟歌を歌っていたのは、漁師たち10人からなるコーラスバンド“フィッシャーマンズ・フレンズ”。週1回、港で慈善コンサートを行っているが、あくまで趣味だという。リーダーのジムはかなりのひねくれ者だ。ダニーはジムの娘、オーウェンが経営するB&Bに泊まり、彼らを説得する作戦を練る。
漁船に一緒に乗ったり、彼らがよく息抜きに集う最年少ローワンの経営するパブに行ったりし、ようやく契約にこぎつける。だが、上司トロイは「契約を取れというのは冗談」とせせら笑う。ダニーはライバル会社に掛け合い、テレビ番組への出演を決める。それも、女王陛下の誕生日を祝う特別番組だ。ところが、生番組で彼らは国歌『God Save the Queen (女王陛下万歳)』ではなく、コーンウォール賛歌を歌い始めた・・・


ポート・アイザックのあるコーンウォール地方は、ロンドンから車で6時間ほどのところですが、アングロ・サクソンの侵攻後も、ケルト人が生き延びた地。コーニッシュ(コーンウォール人)の意識が強く、今も独自の文化を育みながら暮らしているとのこと。
国歌でなくコーンウォール賛歌を歌ったことで、ダニーは真っ青になるのですが、彼らの茶目っ気と、素晴らしい歌声は大受け。そも、“フィッシャーマンズ・フレンズ”というバンド名が、イギリス人なら誰でも知っているミント系トローチの名前と同じだということも、親しまれた理由だそうです。
“フィッシャーマンズ・フレンズ”が活躍する一方で、ローワンの経営するパブが経営難で売りに出されるという話が進行します。イギリス人にとって、パブはただお酒を飲むだけでなく、くつろぎの場所。イギリス全土で個人経営のパブが存続の危機にあるという実情も映画に込めたそうです。
映画の中では、メンバーのキャラクターを織り交ぜた人物像を作っていますが、本物の“フィッシャーマンズ・フレンズ”の歌う姿も出てきます。
メジャーレビューして9年が経ち、2014年には最高齢のピーター・ロウが80歳で亡くなっています。また、2013年にメンバーのトレヴァー・グリルとツアー・マネージャーのポール・マクミューレンがライブ会場のドアの下敷きになって事故死したことから、映画の最後に「トレヴァーとポールに捧ぐ」とあります。
漁師の男たちの素晴らしいハーモニーをいつかポート・アイザックの海辺で聴いてみたくなる一作です。(咲)


2019年/イギリス/英語/112分
配給:アルバトロス・フィルム
公式サイト:https://fishermans-song.com/
★2020年1月10日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国出航!
posted by sakiko at 21:33| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年01月04日

ティーンスピリット 原題:Teen Spirit

1.jpg

監督・脚本:マックス・ミンゲラ
エグゼクティブ音楽プロデューサー・作曲:マリウス・デ・ヴリーズ
音楽スーパーバイザー: スティーヴン・キジッキ
撮影監督: オータム・ドゥラルド・アルカパウ
出演:エル・ファニング、ズラッコ・ブリッチ、レベッカ・ホール、アグニェシュカ・グロホフスカ

シングルマザーに育てられた移民のヴァイオレット・ヴァレンスキ(エル・ファニング)は、イギリスの片田舎のワイト島で暮らしていた。引っ込み思案で心の支えは音楽だけの彼女はある日、世界的なオーディション番組「ティーンスピリット」の出演者を決める予選がワイト島で開催されることを知る。ヴァイオレットは歌手になる夢をかなえるため、オーディションに参加する。

てっきり「アメリカン・アイドル」的な”スモールタウンガール・エスケープもの(勝手にジャンル分け(笑))”と決めつけて試写へ臨んだところ、冒頭からクオリティの高さに驚かされる!舞台は英国ワイト島。重く垂れ込めた空、暗い海、荒涼とした自然を背景に佇む孤独な少女。
母(アグニエシュカ・グロホウスカが好演)と2人暮らしの質素な屋内を逆光スモークに照らし出す陰影に富むカメラワーク。ワイト島に於けるポーランドの移民文化もさり気なく紹介しつつ、少女の成育歴を説明する仕掛けだ。
巧い!”『ラ・ラ・ランド』のスタッフが再結集した青春音楽映画”との惹句が踊っているため、挿入楽曲を期待していたら、透明感溢れるオータム・ドゥラルドの自然光撮影にすっかり魅せられた。

もちろん、吹替なしで挑んだエル・ファニングの力強い歌声、ケイティ・ペリーやアリアナ・グランデらの楽曲を欧風に編曲した構成は見応え、聴き応えがある。が、やはり音響設計面でもクロアチア移民として、少女の能力を見出すズラッコ・ブリッチの味わい深い名演、居住宅のクロアチア文化に惹き付けられてしまう。

これは、ワイト島で生まれ、イタリアにルーツを持つ名匠の父アンソニー・ミンゲラへ向けた息子からのオマージュのような気がする。俳優としても知られるマックス・ミンゲラの長編監督デビュー作。また楽しみな才能に出逢えた。
尚、『リトル・ダンサー』『ロケットマン』などの俳優ジェイミー・ベルが製作に名を連ねている点にもご注目を。(幸)


2019年製作/94分/PG12/イギリス・アメリカ合作/カラー
配給:KADOKAWA
(C) 2018 VIOLET DREAMS LIMITED
公式サイト:https://teenspirit.jp/
★2020年1月10日(金)より、角川シネマ有楽町、新宿ピカデリーほか全国で公開★
posted by yukie at 20:03| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする