2022年01月23日

ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ  原題:Rockfield:The Studio on the Farm

劇場公開 2022年1月28日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
劇場情報


(C)2020 Ie Ie Rockfield Productions Ltd.

スタッフ・キャスト
監督:ハンナ・ベリーマン
撮影:パトリック・スミス
編集:ルパート・ハウスマン
音楽:アレクサンダー・パーソンズ
日本語字幕:大塚美左恵
出演
キングズリー・ウォード、チャールズ・ウォード、オジー・オズボーン、ロバート・プラント、リアム・ギャラガー、クリス・マーティン、ティム・バージェス、ジム・カー

伝説はこの場所で生まれた 英国のロック史を紐解く作品
農場を史上最も成功した音楽スタジオに変えた兄弟と名曲誕生の物語

1970年代から2000年代にかけブリティッシュロックの名曲を多数生み出した伝説の音楽スタジオの歴史をたどったドキュメンタリー。ロンドンから西へ230キロ。ウェールズの農場にある伝説の音楽スタジオ「ロックフィールド」。キングズリーとチャールズのウォード兄弟が1963年頃、農場内の屋根裏部屋を改修して世界初の宿泊可能な音楽スタジオを設立した。














2020年製作/96分/G/イギリス
原題:Rockfield: The Studio on the Farm
配給:アンプラグド
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2021年12月11日

夜空に星のあるように  原題:Poor Cow

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©1967 STUDIOCANAL FILMS LTD.

監督・脚本:ケネス(ケン)・ローチ(『麦の穂をゆらす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』)
原作・脚本:ネル・ダン
製作:ジョセフ・ジャンニ
製作協⼒:エドワード・ジョセフ
撮影:ブライアン・プロビン
編集:ロイ・ワッツ
⾳楽:ドノヴァン
出演:テレンス・スタンプ(『イギリスから来た男』)、キャロル・ホワイト、ジョン・ビンドン、クイーニ・ワッツ、ケイト・ウィリアムス

ケン・ローチ監督の長編映画デビュー作。

ロンドンの労働者階級に生まれた18歳のジョイ。泥棒家業のトムと結婚し妊娠。出産の日、トムは病院に来ないどころか、狭い家に帰ると一日早く帰ったと怒られる。トムに大金が入り、広い家に引っ越すが、やがてトムは仲間と仕組んだ強盗に失敗して逮捕されてしまう。ジョイは息子のジョニーを連れて叔母の家に身を寄せる。トムの強盗仲間のデイヴが訪ねてくる。ジョイは優しいデイヴに惹かれ、一緒に暮らすようになる。ジョニーのことも実の息子のように可愛がってくれるが、デイヴも逮捕され、懲役12年の刑となってしまう。ジョイは、パブで働き始める。デイヴに手紙を書き続け、出所したら、一緒に暮らしたいとトムとの離婚手続きも始める。だが、トムが出所し、結局、トムと暮らし始める。半年は幸せだったけれど、そんな日も長くは続かなかった・・・

社会的弱者に寄り添った作品を作り続けてきたケン・ローチ監督。 初の長編では、泥棒稼業とわかっている男と暮らす健気で明るいジョイの姿を描き出しています。冒頭の出産シーンは圧巻。生まれて来る子は母親を選べません。母親のステータスで育つ環境も決まってしまいます。そこから抜け出せるかどうかは、成長過程での本人次第ですが、ジョニーに泥棒家業は継いでほしくないなぁ~と。  
今年1月に公開されたジェームズ・マーシュ監督の『キング・オブ・シーヴズ』も、実在の窃盗団をモデルにした映画でした。イギリスには、職業欄:泥棒があるのかと思うほど!
ジョイは、夫にあっけんからんと、「今度はどこを襲ったの?」と聞くのですが、ケン・ローチ監督は、【泥棒とは結婚するな】と小見出しをつけています。 でも、そうして生きていくしかない悲しさでしょうか。(咲)


『夜空に星のあるように』特報youtubeリンク
https://youtu.be/PM7twl1KguA

1967年/イギリス/ヨーロピアン・ビスタ/カラー/102分
配給:コピアポア・フィルム  提供:キングレコード
©1967 STUDIOCANAL FILMS LTD.
公式サイト:https://yozoranihoshi.com/#pageTop
★2021年12月17日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開·



posted by sakiko at 23:54| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年11月28日

天才ヴァイオリニストと消えた旋律   原題:The Song of Names

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© 2019 SPF (Songs) Productions Inc., LF (Songs) Productions Inc., and Proton Cinema Kft

監督:フランソワ・ジラール
製作総指揮:ロバート・ラントス 
音楽:ハワード・ショア 
ヴァイオリン演奏:レイ・チェン
原作:ノーマン・レブレヒト著「The Song of Names」
出演:ティム・ロス、クライヴ・オーウェン、ルーク・ドイル、ミシャ・ハンドリー、キャサリン・マコーマック

1951年、ロンドン。21歳のユダヤ人の天才ヴァイオリニスト、ドヴィドル・ラパポートの初演奏を待ち構える貴族や国会議員、タイムズ紙の批評家たち。開演時間が間近に迫る。ドヴィドルをサポートし初舞台を企画したギルバード・シモンズ(スタンリー・タウンゼント)と、その息子マーティンがやきもきして待つが、ドヴィドルはとうとう現れなかった。
35年後、マーティン(ティム・ロス)は、妻のヘレン(キャサリン・マコーマック)と二人で暮らしていた。忽然と消えたドヴィドルのことを、マーティンは片時も忘れたことがなかった。第二次世界大戦下、ヴァイオリンの指導者を探してポーランドから父親に連れられてやってきたユダヤ人の少年ドヴィドル。その才能を見抜いて父が家に引き取った時、マーティンは同い年の9歳だった。自信満々で生意気なドヴィドルを嫌っていたマーティンだったが、ナチスドイツがポーランドに侵攻したニュースに、家族の写真を見ながら涙するドヴィドルを励ましたことをきっかけに、二人は兄弟のような絆を結んでいたのだ。
ある日、コンクールの審査員をしていたマーティンは、あるヴァイオリニストが演奏前にドヴィドルと同じ仕草をしたのを見て、ドヴィドルが生きていることを確信。探し出す旅に出る・・・

ポーランドにいたドヴィドルの両親や姉妹は、終戦後、行方不明になってしまい、マーティンの父がポーランドに赴いて探すのですが、トレブリンカ収容所に移送されたという記録だけが残っていました。このことが、初演奏にドヴィドルが戻ってこなかったことと深く関わっていたのです。
原作では、ドヴィドルを引き取ったロンドンの家族もユダヤ人だったのを、映画ではキリスト教の家庭に変更。マーティンは、「ドヴィドルのせいでベーコンも食べられない」と文句を言っていて、ユダヤの食習慣に配慮していたことが伺えます。13歳の時に行うユダヤの成人式「バル・ミツバ」にもマーティンは臨席するのですが、その後、ドヴィドルはシナゴーグでマーティンを立ち会わせて、タリス(お祈りの時のショール)やキッパ(帽子)を切り刻み、ユダヤであることを捨てます。そんな彼が、またユダヤであることを自ら選んだのが、この映画の肝。いったい何があったのか、どうぞ劇場でご確認ください。
映画の原題にもなっている「The Song of Names(名前たちの歌)」は、ホロコーストで犠牲になった人たちの名前を美しい旋律で記憶に留めたもの。犠牲になった人たちの名前を後世に伝えて、魂を悼むものなのです。
ユダヤ人が「記憶の民」であることを思い起こさせてくれる物語でしたが、ユダヤでない監督が、よく丹念に調べて作られたと感心しました。 堀木さんによる監督インタビューをぜひお読みください。(咲)


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『天才ヴァイオリニストと消えた旋律』フランソワ・ジラール監督インタビュー


2019年/イギリス・カナダ・ハンガリー・ドイツ/英語・ポーランド語・ヘブライ語・イタリア語/DCP/スコープサイズ/5.1ch/113分
字幕翻訳:櫻田美樹
配給:キノフィルムズ 提供:木下グループ
公式サイト:https://songofnames.jp/
★2021年12月3日(金) 新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町他全国公開



posted by sakiko at 19:28| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月24日

モーリタニアン 黒塗りの記録   原題:THE MAURITANIAN

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(C)2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.

監督:ケヴィン・マクドナルド(『ラストキング・オブ・スコットランド』『消されたヘッドライン』)
原作:モハメドゥ・ウルド・スラヒ「モーリタニアン 黒塗りの記録」(河出文庫)
出演:ジョディ・フォスター ベネディクト・カンバーバッチ タハール・ラヒム シャイリーン・ウッドリー ザッカリー・リーヴァイ

2001年11月、モーリタニア。モハメドゥ・スラヒ(タハール・ラヒム)は、9.11同時多発テロの首謀者の1人として拘束される。ヨルダンなどを経て、キューバにある米軍のグアンタナモ収容所に移送される。裁判は一度も開かれないまま時が経ち、2005年、人権派弁護士ナンシー・ホランダー(ジョディ・フォスター)が、「不当な拘禁」だとしてモハメドゥの弁護を買って出る。時を同じくして、9.11 の戦犯法廷で政府が望む死刑第 1 号にモハメドゥの名があがり、起訴をスチュアート中佐(ベネディクト・カンバーバッチ)が担当する。中佐はハイジャックされた機の副操縦士だった親友の無念を晴らそうと意気込んでいた。
ナンシーは通訳兼アシスタントの若手弁護士テリー・ダンカン(シャイリーン・ウッドリー)を伴ってモハメドゥと面談し、証言として手記を書くよう説得する。ナンシーたちは、モハメドゥの手記から厳しい尋問や拷問が横行する実態を知り息を飲むと共に、彼のユーモアと人間味に溢れた人柄に惹かれていく。政府に請求していた軍による調査資料がようやく届くが、中身はほとんど真っ黒に塗りつぶされていた。スチュアート中佐側に届く資料も同様だった・・・

本作の原作であるモハメドゥ・ウルド・スラヒの手記「モーリタニアン 黒塗りの記録」が出版されたのは、まだモハメドゥ本人がキューバのグアンタナモ米軍基地に収容中の2015年のこと。軍による調査資料が黒塗りだったのと同様、アメリカ政府による検閲で多くが黒く塗りつぶされた状態のまま出版されています。
手記を読んで、モハメドゥの文章にあるウィットや詩のような美しさや英知に驚き、彼のストーリーに心を動かされた製作のロイド・レヴィンたちが、手記のオプション権を獲得し、製作を決めたのは、まだモハメドゥがグアンタナモに収容中のことでした。何らかの罪で起訴されることなく、2016 年 10月 16 日にようやく釈放されました。拘禁は 14 年 2 か月にも及びました。
悪名高きグアンタナモ収容所には、少なくとも 15 人の子どもを含む約 780 人が各地から連行され、司法手続きなしに厳しい尋問や拷問、長期拘禁を強いられています。国際社会や人権団体からの非難が相次ぎ、2009 年オバマ政権が閉鎖を表明しましたが、いまだに閉鎖されていません。

映画の中で、モハメドゥの「アメリカは正義の国と信じていたのに、恐怖で支配するとは思っていなかった」とう言葉が、まさにそうだ!と胸に響きました。(正確にいえば、「アメリカは正義をふりかざす国と思っていたのに」が、私の気持ちですが)
冒頭、モーリタニアの大きなテントの中で結婚を祝う宴が開かれている最中、モハメドゥは母たちが心配する中、突然連行されます。9・11同時多発事件後の「テロとの戦い」のもと、グアンタナモに収容された780人だけでなく、世界で多くの人たちが、いわれなき罪に問われ、このように家族との平穏な日々を壊されたことに思いが至りました。拘束されないまでも、イスラーム圏の出身者というだけで監視されたり偏見の目で見られることは欧米だけでなく、日本でも聞きます。

モハメドゥは、あれほどまで長年にわたり自由を奪われ屈辱的な拷問も受けたのに、「私は許そうと思う。それが私の神の教えだから」と語ります。映画の最後に、モハメドゥ本人が釈放されて、故国で大勢に出迎えられ、目を輝かせている姿が映し出されます。タハール・ラヒムが、限りなく本人の雰囲気に近づけて演じていたのを感じました。

ちょうど、この映画の紹介記事を書こうと思っていた矢先に、友人でエッセイスト・写真家の加藤智津子さんから、『モーリタニアン 黒塗りの記録』についてお便りをいただきました。何度もモーリタニアに通っていて、日本モーリタニア友好協会の理事でもある加藤さん。映画を未見の立場で書かれていますが、とても参考になります。映画の中で映し出された美しいモーリタニアの風景をもっと味わえるブログです。
https://www.chizukokato.com/blog

このブログの中で、映画の最後に出てきたモハメドゥ本人が帰国した時の映像が含まれた「Guardian」が制作したドキュメンタリー(22分)もご紹介されています。
「My Brother’s Keeper: a former Guantánamo detainee, his guard and their unlikely friendship」
https://www.youtube.com/watch?v=IH-h3h22Hck
最後に会ってから13年後、元看守のひとりである Steve Wood がモーリタニアまで会いにきます。Steve は、イスラームに改宗していて、モハメドゥと並んで祈る姿にじ~んとさせられました。 (咲)



2021 年/イギリス/英語・アラビア語・フランス語/129 分/ドルビーデジタル/カラー/スコープ
字幕翻訳:櫻田美樹
配給:キノフィルムズ
提供:木下グループ
© 2020 EROS INTERNATIONAL, PLC. ALL RIGHTS RESERVED.
公式サイト:https://kuronuri-movie.com/
★2021年10 月 29 日(金) TOHO シネマズ 日比谷ほか全国ロードショー



posted by sakiko at 19:50| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2021年10月22日

ビルド・ア・ガール(原題:How to Build a Girl)

thumbnail_『ビルド・ア・ガール』ポスター.jpg

監督:コーキー・ギェドロイツ
原作・脚本:キャトリン・モラン
出演:ビーニー・フェルドスタイン(ジョアンナ・モリガン)、パディ・コンシダイン(パット・モリガン)、サラ・ソルマーニ(アンジー・モリガン)、アルフィー・アレン(ジョン・カイト)、ローリー・キナストン(クリッシー・モリガン)、エマ・トンプソン(アマンダ・ワトソン)

1993年、イギリス郊外。16歳の女子高生ジョアンナは、貧しくも優しい両親や兄弟の家族7人で暮らしている。文才や想像力にたけ、あふれる表現欲求や自己実現を持てあますジョアンナは、学校では冴えない子扱い。定番のヒロインと自分は全然違うよねと納得しつつも、悶々とした日々を送っていた。兄クリッシーの勧めで大手音楽情報誌「D&ME」のライターに応募し、ロンドンへ一人で乗り込む。仕事を手に入れたジョアンナは赤い髪にセクシーなファッションで、“ドリー・ワイルド”へと生まれ変わる。音楽ライターとして人気者となったジョアンナだったが、取材で出会ったロック・スターのジョン・カイトに夢中になってしまい、冷静な記事を書けずに大失敗。編集部の提案で、今度は歯に衣着せぬ毒舌ライターに変身…。

試写を観て女子高生がこんな過激な!と仰天しました。子だくさんの家に育って、自立を願う女子はこのくらい押しが強くないといけないようです。幸いにもジョアンナには才能とガッツがありました。壁のピンナップ写真も彼女を全力応援(笑)。
出版界も音楽業界も男性中心のきつい社会。若い女の子が飛び込めば、セクハラもパワハラにも負けずにつっぱらなければ芽を出せません。ビーニー・フェルドスタインがくじけず諦めず、パワフルに演じて爽快ですが、自分の娘だったら心配でたまりません。ジョアンナが恋するロック歌手は『ゲーム・オブ・スローンズ』のアルフィー・アレン。エマ・トンプソン上司がジョアンナに最高の助言をしてくれます。90年代の音楽シーンに詳しい方はもっと楽しめそうです。
キャトリン・モランの半自伝的小説「女の子をつくる方法」(How To Build a Girl/2014)が原作です。図書館にはキャトリン・モランの著作「女になる方法 ―ロックンロールな13歳のフェミニスト成長記」(2011/日本では2018年青土社より刊行)が1冊だけありました。饒舌な文章で主人公が大人になり、結婚し、子どもを持った30代半ばくらいまでが書かれています。興味のある方はこちらも。(白)


2020年/イギリス/カラー/シネスコ/105分
配給:ポニーキャニオン、フラッグ
(C)Monumental Pictures, Tango Productions, LLC, Channel Four Television Corporation, 2019
https://buildagirl.jp/
★2021年10月22日(金)より公開中
posted by shiraishi at 12:28| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする