2019年12月07日

映画 ひつじのショーン UFOフィーバー! (原題:Shaun the Sheep Movie: Farmageddon)

shaun2.jpg
 
監督:リチャード・フェラン、ウィル・ベッカー
脚本:ジョン・ブラウン、マーク・バートン

ショーンが仲間たちと暮らす牧場のある田舎町の外れにUFOが不時着した。乗っていたのは宇宙人の女の子ルーラ。ひょんなことから牧場に迷い込んだルーラと知り合ったショーンは意気投合。ショーンの仲間たちもルーラに魅了される。
一方、宇宙人探知省のエージェント・レッドが調査に来たことで、田舎町はUFOフィーバーに。牧場主はフィーバーに乗じて、UFOのテーマパーク“ファーマゲドン”を作り、一儲けをしようと企む。
やがて事情を知ったショーンたちはルーラを家に帰してあげようと奔走するが、エージェント・レッドに見つかり、捕らえられてしまう。ショーンたちはルーラを無事、故郷に帰してあげることができるのか。

セリフはないが話はわかる。よく練られた脚本とクレイ・アニメーションの細かい作業をこなした制作チームのがんばりは絶賛モノ。
今回はショーンたちが暮らす町にUFOが不時着。帰れなくなった幼い宇宙人を助けようと奮闘する。いつもながらショーンたちの見事なコンビネーションには笑ってしまう。
子供は何をしでかすかわからない。目が離せないのはどこの星でも同じよう。ルーラの父母の苦労や心配に共感。一方で、秘密組織の女性がトラウマを克服する場面にほろっとした。(堀)


2019年/イギリス・フランス/アニメーション/英語/カラー/シネスコ/5.1ch/86分
配給:東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
©2019 Aardman Animations Ltd and Studiocanal SAS. All Rights Reserved.
公式サイト:https://www.aardman-jp.com/shaun-movie/
★2019年12月13 日(金)全国ロードショー
posted by ほりきみき at 23:33| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月05日

家族を想うとき 原題:Sorry We Missed You

IMG_0354.JPG

監督:ケン・ローチ『わたしは、ダニエル・ブレイク』『ジミー、野を駆ける伝説』
脚本:ポール・ラヴァティ『わたしは、ダニエル・ブレイク』『ジミー、野を駆ける伝説』
出演:クリス・ヒッチェン、デビー・ハニーウッド、リス・ストーン、ケイティ・プロクター

マイホームを持ちたいと考えている父のリッキーは、フランチャイズの宅配ドライバーとして独立する。母のアビーは、介護士として働いていた。夫婦は家族の幸せのために働く一方で子供たちと一緒に居る時間は少なくなり、高校生のセブと小学生のライザ・ジェーンはさみしさを募らせていた。ある日、リッキーが事件に巻き込まれる。

今年の洋画暫定1位(12月だからほぼ決定?)の秀作をご紹介できることが嬉しくて堪らない。前作『わたしは、ダニエル・ブレイク』から3年。監督ケン・ローチはブレない。社会的構造悪を指摘し、その中で生きるしかない市井の人々に差し向ける視線。今、目の前で起きている出来事であり、俳優が演じていることを忘れさせるほどのリアルな演出。
労働者階級の世界を描かせたら世界でも右に出る監督はいないだろう。カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドール2冠の巨匠になっても、スター俳優や商業主義とは無縁のようだ。ローチの優しさと温かな精神がある限り、この世は未だ救いがある、と確信してしまう。

英国ニューカッスルに住む主人公のささやかな夢は家族ためのマイホーム。個人事業主の宅配ドライバーになり、トラックのローンが生計を苦しめる構造は日本と同じだ。長時間労働により家族との関係は軋む。そんな中でも笑える場面が多いのはローチの演出意図か、英国のユーモアを欠かさない国民体質からか。深刻さを全面に押し出しても辛くなるだけ。労働者階級が好むスポーツ・サッカーファンの口論対決の件には爆笑させられる。

社会派ヒューマンドラマをここまで泣かせ、大いに笑ってエンターテイメントの至上極みまで高め且つ深度を達せられる監督はローチだけ。滅多に出会えない秀作をお見逃しなく!ちなみに、原題の「Sorry We Missed You」は宅配不在票の定型文と、会えない家族への思いを伝えるダブルミーニングだろう。(幸)


IMG_0355.JPG

この作品の俳優さん、みな好演ですが誰一人これまで知りませんでした。そのせいもあってか、ドキュメンタリーを見るようでした。経済破綻は庶民の生活を直撃しました。借金を返し家を手に入れようと、真面目に働けば働くほど夫婦には疲れがたまり、子どもたちのためだったはずなのに、裏腹になってしまう悲しさ。小さなエピソードの積み重ねを見るうちに、この家族に思い入れしてしまいます。
宅配はこんなに過酷な仕事だったのか!?と唖然。誰かの犠牲で便利に暮らしていたならネット通販でなく、店舗で買おうと殊勝な決心をするほど、身につまされます。妻のアビーと同じような訪問介護の仕事をした経験があるので、彼女が良いケアをしているのがわかります。そちらも、びっしりと詰まったスケジュールに縛られて、しわ寄せは息子や娘に。ところどころで笑わせられながら、何をどうすればこの人たちが幸せになれるのか、宿題をもらった気分です。(白)


父が始めたフランチャイズ契約の宅配ドライバーのブラックさ。コンビニエンスストアの24時間営業にフランチャイズ契約のオーナーが苦しんでいる話を思い出す。
作品では妻が介護の仕事の移動で車を使っているのに、夫はそれを売って、宅配用の車を購入していた。男の仕事がメインで、女の仕事はサブなのか。この点でも日本における男尊女卑と同じものを感じてしまった。家事は妻が担っているのだから、妻こそ優遇されるべきなのに。
家族のために働いているはずなのに、仕事は子どもと過ごす時間を奪い、寂しさが子どもを不安定にしていく。どうすればいいのか。ケン・ローチ監督は答えを出さず、見る者に問いかける。
ところで、これは本筋からは外れるかもしれないが、息子は親への不満を仲間との悪戯書きアートで発散させる。しかも、ペイント道具を万引きしていた。不満な気持ちはわかる。しかし、他人に迷惑をかけてまですることか。息子の年齢ならアルバイトもできるはず。金銭的苦労は親だけが背負い込まず、子どもとも共有すべきだったのかもしれない。(堀)


2019年/イギリス・フランス・ベルギー/英語/100分/アメリカンビスタ/カラー/5.1ch/
提供:バップ、ロングライド 
配給:ロングライド
photo: Joss Barratt, Sixteen Films 2019
© Sixteen SWMY Limited, Why Not Productions, Les Films du Fleuve, British Broadcasting Corporation, France 2 Cinéma and The British Film Institute 2019
公式サイト:https://longride.jp/kazoku/
★12月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開★
posted by yukie at 13:49| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年12月02日

ラスト・クリスマス 原題:Last Christmas

IMG_0350.JPG

監督:ポール・フェイグ
原案:エマ・トンプソン、グレッグ・ワイズ
脚本:エマ・トンプソン、ブライオニー・キミングス
出演:エミリア・クラーク、ヘンリー・ゴールディング、ミシェル・ヨー、エマ・トンプソン

ケイト(エミリア・クラーク)は、ロンドンのクリスマスショップで働いているが、なかなか仕事に集中できず生活も荒れ気味だった。そんなとき突如現れた謎の青年トム(ヘンリー・ゴールディング)が、たちまち彼女の抱えるさまざまな問題点を洗い出し、解決に導く。ケイトは彼に好意を抱くが二人の仲は進展せず、やがて彼女はある真実にたどり着く。

一斉を風靡した英国のポップデュオ「ワム!」のクリスマス定番曲「ラスト・クリスマス」にインスパイアされたオリジナルラブストーリーである。そういえば、ジョージ・マイケルが天国へと旅立ったのも2年前のクリスマス…。英国のみならず世界中の”ソウル・ソング”とも言えるこの名曲は、キュンとする思い、クリスマスの高揚感、キラキラな想い出、恋の予感、家族の幸せ…などなどを胸いっぱいに詰め込んだメロディ宝石箱のようだ。

プレゼントの中身は??ネタばれするのでお伝えできないが、とにかく観て!としか言いようがない。きっと誰もがハッピーで華やいだ気持ちになること請け合いの映画。同じくクリスマスの”愛され映画”として根強い人気を誇る『ラブ・アクチュアリー』に出演した女優エマ・トンプソンが原案・脚本・出演(主演エミリア・クラークの母)を果たしている。ロンドンのクリスマスシーズンを知り尽くした人だけに、ちゃんとツボを押さえた構成だ。
単なるロマコメに留まらず、移民問題、格差社会、LGBTや家族の絆といった現代社会を見据える視点も欠かさない。

近年はドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」で人気だが、『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』『世界一キライなあなたに』など映画での活躍も目覚ましいエミリア・クラークのコメディエンヌぶり、伸びやかな歌声は映画を明るい兆しへと導く。
彼女が恋をする謎のイケメン、ヘンリー・ゴールディングは動き、表情ともしなやかで本当に魅力的だ。ミシェル・ヨーとの『クレイジー・リッチ!』親子共演も楽しい。

「ワム!」の「恋のかけひき」「ウキウキ・ウェイク・ミー・アップ」などの楽曲と、懐かしいPV映像まで映し出される場面には胸が熱くなった。少しも陳腐化しない名曲群が映画となり、ファンを楽しませてくれる。ジョージ・マイケルからの贈り物を受取ったようだった。(幸)


試写状をいただきながら見逃してしまったので、きのう劇場で観てきました。エミリア・クラーク可愛い!ヘンリー・ゴールディング素敵(若いころのチョウ・ユンファを思い出す)!とミーハーな感想でごめんなさい。クリスマスのデート映画にぴったりな楽しくて、キュンとする映画でした。ポーっと観ていても、ちゃんとはりめぐらされていた伏線をエンドロールでもう一度確かめられます。サンタことミシェル・ヨーが経営するクリスマス・ショップの楽しいこと!路地まで飾られたロンドンのクリスマスが堪能できます。

バスの中で若い男性が外国人夫婦にぶつける心無い言葉に、車内が凍り付いてしまった中ケイトが一言声をかけてくれてホッとしました。しかし、あの男性は失業して不幸せだったのかも、誰かに当たらずにいられなかったのかもしれません。
イギリスの移民の数は10年前の約2倍とか、8人に1人は外国から来た人です。日本の受け入れは遅々として進んでいませんが。ケイト一家も東欧から逃れてきて父はキャリアを生かせません。
楽しい中にいろいろな問題がちりばめてある映画です。日本にもたくさんの問題があって、すぐにどうこうできないけれど、自分を振り返っても自分のことだけで人生終えてしまいそうだけれど。現実に理想を引き下ろすんじゃなく、現実がこうだから上を見なくちゃね。トムが何度も言っています。「上を見てごらん」って。別の視点を持ったら気づきが増えて、人生は少し違ったものになります。そしてケイトのように、ちょっと大変な人の手助けができたらいいな。(白)


2019年製作/103分/G/イギリス
配給:パルコ ユニバーサル映画
© Universal Pictures
©2019 UNIVERSAL STUDIOS
公式サイト:https://lastchristmas-movie.jp/
★12月6日(金) TOHOシネマズ シャンテほか全国公開 ★
posted by yukie at 22:33| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月23日

THE INFORMER/三秒間の死角(原題:THE INFORMER)

informer.jpg 

監督:アンドレア・ティ・ステファノ
出演:ジョエル・キナマン、ロザムンド・パイク、コモン、アナ・デ・アルマス、クライヴ・オーウェン

自由の身と引き換えに、FBIの情報屋になったピートは、最後の任務を迎える。潜入先のマフィアのボス"将軍"の麻薬取引現場にFBI捜査官ウィルコックスを導き、組織を一気に壊滅させるのだ。成功すれば、愛する家族との幸せな暮らしが待っている。
ところが、取引現場でマフィアの仲間が取引相手を射殺してしまい、さらにその取引相手が潜入捜査をしていたNY市警の警官だったことが判明する。NY市警の追跡をかわすため、将軍は仮釈放中のピートに、刑務所に戻って内部の麻薬取引を仕切れと命令する。
やむなく刑務所に舞い戻り、麻薬組織を立ち上げつつ、FBIにリークする関係者を探り始めるピート。そんな中、事態が急変。ある重大なトラブルから、ピートはFBIに切り捨てられ、マフィア、NY市警、刑務所の看守、自分を取り巻くすべての組織から命を狙われることになった。 絶対絶命の崖っぷちで、唯一逃げられる一瞬の死角があることにピートは気づく。果たして、ピートの脱出劇の行方は? 

1つの想定外が全てを狂わせ、状況は雪だるま式に悪化。FBI、マフィア、NY市警、囚人すべての組織から命を狙われる。まったく先が全く読めない展開に、ラストまで緊張感が続く。それでも家族だけは守ろうと奮闘する主人公にジョエル・キナマン。イケメン過ぎて堪らない!
そして、このところ出演作の公開が続くロザムンド・パイクが本作にも非情になりきれずに苦しむ捜査官として登場。印象に残る演技を見せた。
しかし、邦題につけられた副題の「三秒間の死角」がよくわからなかった。三角な死角はあった気がするが。。。(堀)


2019/カラー/5.1ch/イギリス・アメリカ・カナダ/スコープ/113分
配給:ショウゲート
©Wild Wag films Productions 2018
公式サイト:https://informer-movie.jp/
★2019年11月29日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
posted by ほりきみき at 12:00| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年11月04日

スペインは呼んでいる (原題:The Trip To Spain)

trip-to-spain.jpg
 
監督:マイケル・ウィンターボトム
撮影:ジェームズ・クラーク
出演:スティーヴ・クーガン、ロブ・ブラインドン

イギリスの人気コメディアンで俳優のスティーヴ・クーガンは、ニューヨーク・タイムズからスペイン中を旅して書くグルメ記事の連載依頼を受ける。スティーヴは前回のイタリアへの旅にも同行してくれた旧友のロブ・ブライドンを誘う。スペインの北部から地中海に面するマラガまで約1,000マイルを南下する。

スティーヴ・クーガンとロブ・ブライドンが本人役でグルメ取材するシリーズ第3弾でスペインに。実生活でも親しいふたりが美味しい料理とワインを楽しみながら、映画ネタ満載の軽妙な会話をモノマネ付きで繰り広げる。その裏で思い悩むのはキャリアや家族のこと。まだまだなのか、もうなのか。50代の位置付けは難しい。他人事ではない。
ラストの先が気になったが、第4弾があるらしいと聞き、胸をなでおろした。(堀)


旅をしながらスペインの歴史や文化についてのウンチクが炸裂する二人の会話。
私が特に注目したのは下記の部分だ。
ムーア人が711年以降スペインを支配していた時代について話がおよんだ時に、ロジャー・ムーアの物真似をするロブ。そんな脇で、スティーヴが「ムーア人が来たころヨーロッパは暗黒時代だった」「数の体系も、天文学も医学も進んでいた」「ギリシアの学問もムスリムがアラビア語に翻訳して伝えてくれた」と語り続ける。「ムーア人はカトリックより寛容だった」という言葉も。イスラーム王朝のスペイン支配時代、高めの税金を払えば改宗しなくてよかったのに、キリスト教徒がスペインを奪還した後、ユダヤ教徒もイスラーム教徒と一緒に追い出されたという歴史がある。(そのユダヤ教徒を受け入れたのがイスラーム世界だったということも忘れないでほしいところ!)
「(ロジャー)ムーアはムスリムじゃない」というロブの落ちで笑わせてくれるが、それを現代のISIS(イスラム国)の台頭にもつなげているところが、さすが、『イン・ディス・ワールド』を作ったマイケル・ウィンターボトム監督だ。
スペインを旅していると、ここは元々ムーア人が城を作ったという町が実に多い。本作に登場する崖の上に作られた町クエンカもそんな一つ。私も訪れたことがあって、泊まったパラドール(国営宿舎)が出て来て懐かしかった。修道院を利用した趣のある宿。お城や屋敷など伝統的建造物を宿舎にしたパラドールは、食事も郷土食豊かで、スペインを旅するなら是非泊まりたい宿。映画を観て、パラドールを巡る旅をしたくなること請け合い! (咲)


2017 年/イギリス/108 分/カラー/ビスタ/
配給:ハーク
©SKY UK LIMITED 2017.
公式サイト:http://hark3.com/trip-to-spain/
★2019年11 月 8 日(金)より Bunkamura ル・シネマにて公開





posted by ほりきみき at 18:06| Comment(0) | イギリス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする