2025年03月02日
白夜 4Kレストア版 原題:Quatre Nuits d'un rêveur
監督・脚本:ロベール・ブレッソン
原作:ドストエフスキー
撮影:ピエール・ロム
録音:ロジェ・ルテリエ
美術:ピエール・シャルボニエ
編集:レイモン・ラミ
出演:ギヨーム・デ・フォレ、イザベル・ヴェンガルテン、ジャン=モーリス・モノワイエ
ポンヌフの宵闇に心を通わせるジャックとマルト。恋と愛にうつろう四夜の物語。
画家のジャックは、ある夜、ポンヌフで思い詰めた表情をしている美しい女性マルトに出会う。翌晩、お互いの素性を語り合うジャックとマルト。ジャックは孤独な青年で、理想の女性との出会いを夢見ていた。一方のマルトは恋した相手に「結婚できる身分になったら一年後に会おう」と去られていた。そして今日がちょうどその一年後。マルトに熱い気持ちを抱きながらも、彼と出会えるよう献身するジャック。だが三夜目になっても男は現れず、マルトの心もジャックに惹かれ始めていた。そして運命の第四夜……。
★近年ではフランスでさえ上映不可能だった幻の逸品の4Kレストア版
原作はドストエフスキーの短篇。舞台をパリにして描いた恋の物語。
パリのセーヌ川に架かる橋、ポンヌフ(新しい橋)で飛び降り自殺しそうな女性マルトを引き留めたジャック。 思いつめて泣いていたのは、1年後にポンヌフで会おうと約束していた男性が現れないから。
母と二人暮らしのマルトは、厳しい母から逃げたくて、下宿人の男性に恋をしたのですが、彼は奨学金をもらって遠くの地の大学へ。(恋した理由が安易だ!)
出会ったジャックに、「下宿人になって」とまで言って、惚れた模様。
一方のジャックも女性に惚れやすくて、マルトに恋に落ちます。
恋は、タイミングだなぁ~とつくづく。 そして、まさかの第4夜・・・
あ~切ない。(咲)
1971年/フランス・イタリア合作/フランス語/カラー/83分/1.66:1 /モノラル/DCP
日本語字幕:寺尾次郎
配給:エタンチェ、ユーロスペース
公式サイト:https://www.motoei.com/post_future/
★2025年3月7日(金)ユーロスペース、角川シネマ有楽町ほか全国公開
2025年02月28日
デュオ 1/2のピアニスト (原題:Prodigieuses)
監督:フレデリック・ポティエ & ヴァランタン・ポティエ
撮影監督:ダニー・エルセン
音楽:ヴァルダ・カコン、ダン・レヴィ
コンポーザー:ダン・レヴィ
音響:マルク・ドワーヌ
出演:カミーユ・ラザ(クレール・ヴァロア)、メラニー・ロベール(ジャンヌ・ヴァロア)、フランク・デュボスク(父 セルジュ)、イザベル・カレ(母 カトリーヌ)、エリザ・ダウティ、ティボー・デシュラー
双子の姉妹、クレールとジャンヌは幼いころから父の厳しい指導のもとピアノにうちこんできた。姉のクレールはあがり症の妹ジャンヌをいつも励まし、寄り添ってきた。内気なジャンヌは姉に背中を押してもらいながら、ピアノへの情熱は負けていない。2人はよきライバルであり、かけがえのない仲間でもあった。目標の名門カールスルーエ音楽院に2人とも入学を果たし、両親も大喜び。しかしクラス分けの試験でジャンヌは力を出し切れずクレールとは別クラスになってしまう。
生まれたときから一緒の双子の姉妹が、ピアノに才能を発揮し励ましあいながら成長していきます。ところが選抜され力の差があらわになると、楽しいだけではなくなります。父親が娘たちをアスリートのように叱咤激励し、目に見える結果を出すことを重んじているのには「ちょっと勘弁して」と思ってしまいました。
全くの門外漢なので、合っていないかもしれませんが、大事なのは何より演奏が好きなこと、良い耳やセンスがあること、加えて鍛錬でしょうか?姉妹はどれも十分に持ち合わせているように見えます。それが、特別なクラスに選ばれたクレールの身に異変が起こり、原因が「先天性」と知ったときのショックはいかばかり。駆け上がったはずの階段から突き落とされたどころではありません。妹のジャンヌにも同じことが現れるのは必須です。
この映画の本題はその後から。実在する双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹が苦難の道をどう切り開いていったのか、劇場でご覧ください。(白)
2024/フランス/フランス語・ドイツ語・英語/DCP/109分
配給:シンカ/フラッグ
c2024 / JERICO- ONE WORLDFILMS- STUDIOCANAL- FRANCE 3 CINEMA
https://www.flag-pictures.co.jp/duo-pianist/
★2025年2月28日(金)より、新宿ピカデリーほか公開中
2025年01月26日
映画を愛する君へ 原題:Spectateurs!
監督・脚本:アルノー・デプレシャン
出演:ルイ・バーマン、クレマン・エルヴュー=レジェ、フランソワーズ・ルブラン、ミロ・マシャド・グラネール(『落下の解剖学』)、サム・シェムール、ミシャ・レスコー、ショシャナ・フェルマン、ケント・ジョーンズ、サリフ・シセ、マチュー・アマルリック(『フレンチ・ディスパッチ』)
映画と映画館がもたらす魔法を語るシネマ・エッセイ
デプレシャンの日本初公開作『そして僕は恋をする』(96)でマチュー・アマルリックが演じた役ポール・デダリュスの一代記の形をとり、デプレシャンの分身ともいえるポールの映画人生を描く。
祖母に連れられて初めて映画館を訪れた6歳の時。14歳の時に16歳と偽って映画館に潜りこんだこと。
学生時代の映画部での上映会。22歳の時、大学で映画を学んだ記憶。
30歳になり人生の岐路に立つポールは、映画館でトリュフォーの『大人は判ってくれない』(59)を観て、評論家から映画監督に転身しようと決意した。
デプレシャンの自伝的な作品でありながら、誰もが共感し楽しめる物語。これは映画と映画館へのラブレター。
19世紀末に誕生してから現在に至るまでの映画50本以上が登場して、きっと誰しも思い出の場面に出会えることでしょう。人生の一部になっている映画があることに気づかされます。
映画館への愛もたっぷり。配信で観ることが多くなってしまいましたが、映画館という空間で観る高揚感は格別です。
デプレシャン監督の映画愛をたっぷり感じさせてくれる一作です。(咲)
フランス映画祭2010で『クリスマス・ストーリー』が上映された時に来日したマチュー・アマルリック(左)とアルノー・デプレシャン監督(右)
2024年/88分/フランス
配給:アンプラグド
公式サイト:https://unpfilm.com/filmlovers/
★2025年1月31日(金) 新宿シネマカリテほか全国順次公開
2025年01月09日
エマニュエル 原題:EMMANUELLE
監督:オードレイ・ディヴァン(『あのこと』)
脚本:オードレイ・ディヴァン、レベッカ・ズロトヴスキ
原案:エマニエル・アルサン著「エマニエル夫人」
出演:ノエミ・メルラン(『燃ゆる女の肖像』『TAR/ター』)、ウィル・シャープ、ジェイミー・キャンベル・バウアー、チャチャ・ホアン、アンソニー・ウォン、ナオミ・ワッツ
1974年、シルヴィア・クリステルのエロティックな姿が一大センセーショナルを巻き起こした『エマニエル夫人』から、50年。
官能小説「エマニエル夫人」を大胆に解釈し、現代に蘇らせた物語。
エマニュエルは仕事で香港の高級ホテルの査察依頼を受ける。香港に向かうフライトの中で、男をトイレに誘い込む。その様子を見ていた男、ケイ・シノハラは、エマニュエルが査察する為に滞在するホテルの同じ階の部屋が定宿だった、ダムのエンジニアだという。思わせぶりに彼を誘ってみるが、部屋には来ない。ホテルのCCTV室の監視者から、「ケイ・シノハラにはお決まりの行動がなく、部屋では寝ない」と聞かされる。ある夜、ケイから貰ったライターに書かれた名前を頼りに雑居ビルの奥深くにある会員制倶楽部に赴く・・・
外交官夫人が赴任先のタイを舞台に繰り広げた官能的な『エマニエル夫人』が、香港を舞台にキャリアウーマンの心からの性の目覚めを描いた物語に。
『あのこと』で女性の痛みを描いたオードレイ・ディヴァン監督。「痛みを描けるなら、悦びも描けるかもしれない」と、本作に取り組んだとのこと。
エマニュエルは、確かに魅力ある美人だけど、「金融業?」と言い当てられるように、賢くて、近寄りがたいところも感じます。それでも男なら誘いに乗ってくるはずと思っている節もあって、あまり好感が持てなかったのですが、監督インタビューに、「女性キャラクターは必ずしも好人物でなくてもよいと考えています」とあって、監督の思惑にまんまとはめられたのでした。
香港が舞台であることにそそられたのですが、なによりアンソニー・ウォン(秋生ちゃん!)の出演が気になりました。濡れ場があったら・・・と想像までしてしまったのですが、彼の役どころは「The Eye」。CCTV室の監視者でした。
ホテルの位置は、窓の眼下に見えるヴィクトリア湾の風景から、香港島の湾仔あたりと推測。「Rosefield Palace Hotel」と出てきますが、実在しません。エンドロールにGrand Hyatt Hong Kongとありましたので、推測通り、湾仔のホテルでした。ここには、2度程しか行ったことがないので、ロビーの雰囲気に記憶がありませんでした。
そして、怪しげな会員制倶楽部のある雑居ビルは、かの有名な重慶大厦(チョンキンマンション)。この会員制倶楽部の正体がまた香港らしくて笑いました。(咲)
2024/フランス/カラー/シネスコ/5.1ch デジタル/105 分/R15+
字幕翻訳:牧野琴子
配給:ギャガ ギャガロゴ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/emmanuelle/
★2025 年 1 月 10 日(金) TOHOシネマズ 日比谷他全国公開
2024年12月22日
ブルースの魂 原題:LE BLUES ENTRE LES DENTS 英題:THE BLUES UNDER THE SKIN
2024.12.28(土)新宿K’s cinema、UPLINK吉祥寺他にて 全国順次公開
上映情報
B.B.キング生誕100周年記念公開 2022年デジタル修復版
制作から50年を経て、アメリカで、そして日本で初の劇場公開
2022年デジタル修復版
監督・脚本:ロバート・マンスーリス
字幕:福永詩乃
出演ミュージシャン:B.B.キング バディ・ガイ ジュニア・ウェルズ ルーズヴェルト・サイクス ロバート・ピート・ウィリアムズ マンス・リプスカム ブッカ・ホワイト ソニー・テリー ブラウニー・マギー ファリー・ルイス ジミー・ストリーター
出演俳優:ローランド・サンチェス オニケ・リー アメリア・コルテス ウィリアム・L・エヴァンス
人生の苦しみに痛む魂の回復力 ブルースの核心が浮かび上がる。
伝説的なブルース・ミュージシャンたちの衝撃的なパフォーマンスと、
ハーレムに住む若いカップルの愛と苦闘
ブルースは19世紀後半ごろアメリカ南部で、アフリカ系アメリカ人の間から発生した音楽。悲しみ・憂鬱の感情が英語では「ブルー(blue)」の色でたとえられることに由来している。黒人霊歌、フィールドハラー (農作業時の叫び声)や、ワーク・ソング(労働歌)などから発展したといわれている。アコースティックギターの弾き語りを基本としたのがデルタ・ブルースと言われている。悲しみ・憂鬱の感情が英語では「ブルー(blue)」の色でたとえられることに由来。
音楽ドキュメンタリー作家ロバート・マンスーリスが、下火になっていたアメリカン・ブルースの名残をフィルムに収めようと、1970年代初頭、本物のデルタ・ブルースを求めてミシシッピ・デルタを旅したドキュメンタリー。B.B.キングをはじめとする伝説的なミュージシャンたちにインタビューを行い、演奏に密着し撮影した。目的は音楽を記録するだけでなく、ブルースをこれほどまでに表現豊かで心揺さぶる音楽にしている文化的・政治的要因を探ることだった。
合間に、ハーレムに住む若いカップル(ローランド・サンチェスとオニケ・リー)の波乱含みの関係をドラマチックに描き、貧困や偏見との闘いを表している、ドキュメンタリーとフィクションの境界線を曖昧にして、見るものをブルースの核心へと誘っている。
フレディ(ローランド・サンチェス)は子供のころ、生活のためノースカロライナ州から母親に連れられてニューヨークにきた。しかし、武装強盗の罪で5年間服役、出所後ハティ(オニケ・リー)と結婚し二人で母親の家に居候している。刑務所内の病院で働いた経験を生かして看護助手をやろうと職探しをするがうまくいかない。ハティに金を無心してはビリヤード場に出入りし鬱とした日々を過ごしている。そんなフレディに嫌気がしたハティは、仕事帰りに立ち寄るなじみのバーでブルースを歌う男と駆け落ちを図るが、うまくいかない。
監督:ロバート・マンスーリス紹介 HPより
ギリシャからスイスに亡命
1929年にギリシャのコモティニで生まれたロビロス・マンソウリス(ロバート・マンス―リス)は、ドイツ軍の占領に対するレジスタンスに参加した。戦後アメリカのシラキュース大学で映画製作を学んだ後、一時ギリシャに戻るが、1966年に監督した『Face to Face(英題)』が軍事独裁政権との間で問題となり、スイスのジュネーブに亡命。そして1968年ころ、マンスーリスは『A l’Affiche du Monde(世界のポスター)』というTVポップ・ミュージック・シリーズのエピソードを監督するため、パリに招かれる。
ビートルズやローリング・ストーンズも
マンスーリスは、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、ジャック・ブレル、ジョーン・バエズ、サン・ラ、リッチー・ヘヴンズ、カレン・ダルトン、ブッカー・T・&・ザ・MGsといった影響力のあるミュージシャンたちを撮影し、高い評価を得ることができた。
ブルースを題材にした最初の映画
マンスーリスと彼のクルーは街から街へと飛び回り、テキサスでは刑務所の作業員、メンフィスではファーリー・ルイス、バトンルージュではロバート・ピート・ウィリアムズ、ニューオーリンズではルーズヴェルト・サイクスを撮影することができた。マンスーリスは当初から、このプロジェクトを単なるテレビドキュメンタリーのシリーズ以上のものにしたいと考えていた。
「自分の人生を演じる人たちを登場させる映画も作りたいと思っていた。まだパリにいた頃、『ブルースの魂』の準備のために、ハーレムの黒人たちの精神分析的な事例を集めた本を読んだ。そして、ブルースの本当の物語は人生経験であることに気づいた。つまり、ブルースの言葉とその背後にある感情に命を与えなければならない。私はブルースの歌のようなシンプルな物語を書き、それを撮影することに成功した」。
半世紀を経ての公開
『ブルースの魂』はアメリカでは完成から50年経った現在までほとんど上映されなかったが、2024年7月正式な米国初公開が今回の2Kレストア版でついになされた。
マンスーリスは2022年4月21日パリで亡くなった。享年92歳。
今から60年も前の中学生のころ、アメリカの人種差別の問題に興味を持ち、そして、黒人差別に関する本を読み、黒人たちの音楽にも興味が広がり、黒人霊歌や黒人たちが歌うブルースなどにも聴くようになった。あの頃は中学生だったし、レコードプレイヤーも持っていなかったので、もっぱらラジオから流れる歌を聴いていたから、名前は聞いたことがあっても顔は知らなかった。その後フォークソングにも興味が広がったけど事情は同じ。よほど有名で、TVや本に出てくる人以外は、相変わらず聴いたことはあっても顔は知らなかった。だから、最近になって、あの頃の音楽ドキュメンタリー映画が公開されるようになって、あの歌を歌っていた人はこんな顔の人だったんだと思うことも多い。この映画でもたくさんのミュージシャンが出て来て歌っているが、歌は聴いたことがあるような気がするが、ここに出てきた人で名前を知っているのはB.Bキングくらい。でも、タイトル通り、「魂」を感じさせるものだった。監督が製作したドキュメンタリーの中にジョーン・バエズの名前があったがぜひ観てみたい。私にとってはボブ・ディランより評価があってもいいと思っている人。彼女の生き方に影響を受けた(暁)。
予告編
公式HP
1973年(2022年2K修復版)/フランス/英語/88分/1:1.33/
配給:オンリー・ハーツ 協力:ブルース&ソウル・レコーズ


