2025年03月27日

マリア・モンテッソーリ 愛と創造のメソッド  原題:Maria Montessori (La Nouvelle Femme)

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(C)Geko Films – Tempesta – 2023

監督・脚本:レア・トドロフ
出演:ジャスミン・トリンカ 、レイラ・ベクティ、ラファエル・ソンヌヴィル=キャビー、ラファエレ・エスポジト、ピエトロ・ラグーザ、アガト・ボニゼール、セバスティアン・プドゥル、ラウラ・ボレッリ、ナンシー・ヒューストン

子どもの権利のために闘う それが私の運命
20世紀初頭のイタリア・ローマ。マリア・モンテッソーリ(ジャスミン・トリンカ)は、ある「成功者」と出会う。フランスの有名なクルチザンヌ(高級娼婦)リリ・ダレンジ(レイラ・ベクティ)だ。リリは娘の学習障がいが明るみに出そうになったとき、自分の名声を守るためにパリから逃亡してきたのだった。マリアはこの時期すでに画期的な新しい教育法の基礎を築いていた。リリはマリアを通して、娘はただの障がいのある女の子ではなく、強い意志と才能を持った人として、ありのままの娘を知るようになる。マリアに共鳴したリリは、男性中心社会の中でもがくマリアの野望の実現に手を貸すのだが……。

モンテッソーリ教育の生みの親、マリア・モンテッソーリの劇的な人生。
ブルジョア社会の運命さえも変えた、強く知的なひとりの女性の物語。
Amazon創業者ジェフ・ベゾス、Google創業者ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、シンガーソングライターのテイラー・スウィフト、将棋の藤井聡太などが受けたことでも注目されるモンテッソーリ教育。本作は、その生みの親であるマリア・モンテッソーリがメソッドを獲得し、1907年に「子どもの家」を開設するまでの苦悩に満ちた7年間を描いた物語。

レア・トドロフ(監督・脚本)
パリ、ウィーン、ベルリンで政治学を学び、その後ドキュメンタリー映画を主に活動してきたレア・トドロフ。2012年初のドキュメンタリー「Saving Humanity during Office Hours」を監督し、14年には「Russian Utopia」を共同監督。15年にジャンナ・グルジンスカ監督のオルタナティブ教育をテーマにしたドキュメンタリー「School Revolution: 1918-1939」の脚本を執筆。そして、遺伝性疾患を持って生まれた娘の誕生が本作制作への決定的な契機となった。本作が長編劇映画、初監督。

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SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2024 国際コンペティション部門で上映された折に登壇したレア・トドロフ監督


モンテッソーリという苗字が、独特の教育メソッドの名前として世界に広まりました。100年以上前の、まだまだ男尊女卑が横行していた時代に、シングルマザーの医師という立場で、後世に残る功績を残した女性の生き様。レア・トドロフ監督は、想像力を駆使して、マリア・モンテッソーリの敵的な人生を描き上げています。そこには、レア・トドロフ監督自身の障がいを持った娘の存在があったとのこと。どんな子どもであっても、生きる喜びを感じることができるような教育であってほしいと願います。(咲)

「シュタイナー教育」という名前は知っていたけど、「モンテッソーリ教育」という言葉は、この映画で初めて知りました。基本的な考え方は「子どもには生来、自立・発達していこうとする力があり、その力が発揮されるためには発達に見合った環境」が必要ということだそうです。そんな教育方法を100年以上前に、提唱したのが女性だったということが驚きでした。しかも、イタリア初の女性医師だったという。とはいえ、19世紀に、彼女の道を築いていった困難は相当だったでしょう。これはシスターフッドの映画でもある。それは今の時代にも女性に必要なこと。それは嬉しいことでもあり、残念なこと。ほんとの意味で女性が活躍できる時代がきてほしい(暁)。

2023年/フランス・イタリア/イタリア語・フランス語/99分/1:1.85/5.1ch
字幕:杉本あり
配給:オンリー・ハーツ
協力:国際モンテッソーリ協会(AMI)
後援:在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
イタリア大使館/イタリア文化会館
公式サイト:http://maria.onlyhearts.co.jp/
★2025年3月28日(金)よりシネスイッチ銀座、シネ・リーブル池袋、UPLINK吉祥寺他にて全国順次公開
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2025年03月15日

湖の見知らぬ男   原題:L'inconnu du lac

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©️ 2013 Les Films du WorsoArte / France Cinéma / M141 Productions / Films de Force Majeure


監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:ピエール・ドゥラドンシャン、クリストフ・パウ、パトリック・ダスマサオ、ジェローム・シャパット、マチュー・ヴェルヴィッシュ 他

青年フランクは車を降りて森を抜け、その先に広がる美しい湖の畔にいく。
そこには裸で寝そべる男たち。顔見知りの男に声をかけ、服を脱いで湖で泳いでいると、離れたところに服を着た男が座っているのが目のとまり、話しかける。アンリと名乗る男は木こりで、かつては対岸に家族と来ていたが、離婚したという。フランクはといえば、市場で野菜売りをしていたが、今は次の仕事を模索中。
湖から小麦色に焼けた、鍛え上げられた体の男があがってきて、フランクは彼を追って森の茂みに入っていく。その男ミシェルとフランクは恋に落ちる。
ある夕方、フランクは湖で喧嘩する2人を目撃する。その数日後、ミシェルの恋人だった男性が溺死体で発見される・・・

解説を何も読まずに映画を観たのですが、まず、湖畔に男が点々と一人で過ごしていて、あ~ そういう場所なのだと! それにしても、ほとんどの男が裸なのに、あまりにあっけんからんとして卑猥な感じはしません。そんな彼らも事件が起きて、刑事がやってくると、さすがに下を隠します。
フランクもミシェルも、そして、ここに来る男たちは皆、自分と相性のいい男を探し求めて、彷徨います。離婚したアンリもまた、心地よく会話できる相手を求めて、湖畔に通っているらしいと感じます。そんな中で、ひたすら自分の仕事を全うしようとする刑事・・・

フランクがアンリに声をかけた時に話題にした、「湖に10メートルのナマズがいる」「いや、5メートル」「4メートルはある」という会話が可笑しかったです。初対面の人と何を話すのか・・・ 天気の話や、どこから来た?というのは、ありきたり。巨大ナマズか・・・! 
これもまたアラン・ギロディ監督の独特の世界でした。(咲)


2013年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 監督賞&クィア・パルム賞受賞

2013年/フランス/97分/カラー/スコープ/ドルビーSRD
日本語字幕:今井祥子
配給 サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/alain-guiraudie
★2025年3月22日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開



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ノーバディーズ・ヒーロー  原題:Viens je t'emmene

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© 2021 CG CINÉMA / ARTE FRANCE CINÉMA / AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA / UMÉDIA

監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:ジャン=シャルル・クリシェ、ノエミ・ルヴォウスキー、イリエス・カドリ、ミシェル・マジエロ、ドリア・ティリエ 他

フランスの中央にある街クレルモン=フェラン。季節はクリスマス。
ランニング中の独身中年男メデリックは、路上の娼婦に目を奪われ、声をかける。
「君と寝たい。タダでね」と誘う彼。
「なぜタダなの?」と呆れる彼女。
「売春には反対だから」
「約束があるの。夫もいるし」。
彼女の夫が車で迎えに来る。「電話して」とメモを渡すメデリック。

娼婦のイザドラからすぐに電話がかかってくる。
「8時15分に、フランスホテルのフロントで“イザドラを”と」。

夜、ホテルのフロントには老人のルナールと、どう見ても未成年に見える若い黒人女性のシャルレーヌ。
205号室と言われ、部屋にいく。
服を脱ぎ、事を始めるが、テレビから街でテロが起きたとのニュース。
「帰らなきゃ」と言うイザドラ。
「大変だぞ!」といきなり彼女の夫ジェラールが部屋に入ってくる。

メデリックが帰宅すると、アラブ系の青年にお金を無心される。2ユーロを渡すと、「これじゃケバブも買えない」と言われる。
翌日、テロ現場に行ってみるメデリック。犯人の一人は20歳のモロッコ系だという。
帰宅すると、昨日のアラブ系の青年セリムがまたいて、家に入れてほしいという。テロ犯のように思えて、警察に通報し、彼は連行される。
翌日、セリムが釈放されたけれど行き場がないというので、家に入れる・・・

2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ以降、イスラーム=テロという図式が出来上がってしまいましたが、さらに、2015年のパリ同時多発テロで、フランスでもテロが身近になり、アラブ系の人たちがテロ犯という疑いの目で見られたり、そうでなくても怖れられ、排除される傾向があることを本作は見せてくれました。
メデリックは、セリムがテロ犯ではないかと疑いつつも、家に入れてあげるという寛容な気持ちを持っていて救われます。売春反対だから、娼婦にお金を払えないという論理には笑ってしまいますが・・・
それにしても、50代半ばの娼婦イザドラが、夫公認で、しかも郊外のなかなか瀟洒な家に住んでいることに驚きます。なぜイザドラは娼婦を続けるのか・・・ 
童貞のアラブ系青年を、自爆テロの前に天国に行けるようにと手ほどきしようとするのも、思えば健気です。
アラブ系青年セリムをメデリックが家に入れたことについて、アパートの住人たちが語る言葉からは、フランスらしさも教えられました。「何もしない」「様子をみる」がフランス的だそうです。
ブラックユーモアも交えながら、今の世相を語った物語。これもアラン・ギロディ風? (咲)

2022年ベルリン国際映画祭パノラマ部門 オープニング作品

2022年/フランス/100分/カラー/1.85/5.1
日本語字幕:本多茜
配給 サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/alain-guiraudie
★2025年3月22日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開
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ミゼリコルディア  原題:Misericordia

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© 2024 CG Cinéma / Scala Films / Arte France Cinéma / Andergraun Films / Rosa Filmes


監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:フェリックス・キシル、カトリーヌ・フロ、デュラ、ジャック・ドゥヴレ、ジャン=バティスト・デュラ、デヴィッド・アヤラ 他

セザール賞8部門にノミネート。
フランスでスマッシュヒットの最新作


秋、紅葉が美しく、石造りの家が建ち並ぶ南西フランスの村。ジェレミーは車を走らせ、かつて働いていたパン屋の店主の葬儀に参列するため帰郷する。店主のエレガントな未亡人マルティーヌの勧めで家に泊まることになる。息子のヴァンサンは、かつての親友だ。
ジェレミーは旧友のワルターを訪ね、ゆっくり飲もうと約束する。
一泊だけのつもりが、思いのほか長引く滞在。なかなか帰らないジェレミーに、ヴァンサンは「おふくろと寝る気か?」と嫌な顔をする。
そんな中、ヴァンサンが行方不明になる・・・

ジェレミーが久しぶりに帰郷した村。
かつて勤めていたパン屋の店主の未亡人マルティーヌと親しげですが、その息子ヴァンサンや、旧友ワルターがジェレミーと同年代で、マルティーヌは年上。
ジェレミーが村を出た理由がちょっと気になります。
ヴァンサンの失踪事件で、警察が動きます。女性警官の存在感がなかなか。髭面の警官も可笑しい。
ジェレミーが教会を訪れると、「告解したい」という神父。神父が告解? 逆じゃないのか? 
それぞれの人物との会話で進む物語。
なんとも不思議な独特な世界。
ミゼリコルディアとは「慈悲」という意味。その意図することが、わかったような、わからないような・・・ 観終わって、なんだか狐につままれたよう!(咲)


2024年カンヌ国際映画祭プレミア部門 正式出品
2024年ルイ・デリュック賞 / 2025年セザール賞8部門ノミネート

2024年/フランス/103分/カラー/2.35/5.1
日本語字幕:手束紀子
配給 サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/alain-guiraudie
★2025年3月22日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開



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アラン・ギロディ監督3作品一挙公開 『ミゼリコルディア』『ノーバディーズ・ヒーロー』『湖の見知らぬ男』 

現代フランスを代表する映画作家にして、日本劇場未公開の異才
アラン・ギロディ監督一挙3作品公開!!


『ミゼリコルディア』(2024年)
『ノーバディーズ・ヒーロー』(2022年)
『湖の見知らぬ男』(2013年)

配給 サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/alain-guiraudie
★2025年3月22日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開


アラン・ギロディ(Alain Guiraudie)
1964年、フランスのアヴェロン県ヴィルフランシュ=ド=ルエルグ生まれ。サスペンスにユーモアを織り交ぜた官能的で独創的な映画が特徴的。これまで、短編3作品、中編2作品、長編7作品を監督している。これまでの主な受賞は、2001年ジャン・ヴィゴ賞、2013年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・監督賞とクィア・パルム賞、2024年ジャン・デリュック賞など。フランスで最も権威のあるカイエ・デュ・シネマ誌の年間ベストテン第1位に2013年と2024年に選出されている。最新作『ミゼリコルディア』は、フランスの劇場公開で、動員23万人を突破し、世界21カ国での公開が決まった、インディペンデント映画としては異例の大ヒットを記録している。


『ミゼリコルディア』  原題:Misericordia
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© 2024 CG Cinéma / Scala Films / Arte France Cinéma / Andergraun Films / Rosa Filmes
監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:フェリックス・キシル、カトリーヌ・フロ、デュラ、ジャック・ドゥヴレ、ジャン=バティスト・デュラ、デヴィッド・アヤラ 他

2024年カンヌ国際映画祭プレミア部門 正式出品
2024年ルイ・デリュック賞 / 2025年セザール賞8部門ノミネート
2024年/フランス/103分/カラー/2.35/5.1
日本語字幕:手束紀子

セザール賞8部門にノミネート。フランスでスマッシュヒットの最新作

秋、紅葉が美しく、石造りの家が建ち並ぶ村。ジェレミーは、かつて働いていたパン屋の店主の葬儀に参列するため帰郷する。男の未亡人マルティーヌの勧めで家に一泊だけすることになるが、思いのほか長引く滞在。そんな中、起きた謎の失踪事件—— 未亡人の息子ヴァンサン、音信不通となっていたかつての親友ワルター、奇妙な神父フィリップ、そして、村の秘密を知っている警官。村に立ち込めるそれぞれの思惑と欲望。
シネジャ作品紹介

『ノーバディーズ・ヒーロー』 原題:Viens je t'emmene
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© 2021 CG CINÉMA / ARTE FRANCE CINÉMA / AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA / UMÉDIA
監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:ジャン=シャルル・クリシェ、ノエミ・ルヴォウスキー、イリエス・カドリ、ミシェル・マジエロ、ドリア・ティリエ 他

2022年ベルリン国際映画祭パノラマ部門 オープニング作品
2022年/フランス/100分/カラー/1.85/5.1
日本語字幕:本多茜

娼婦への愛に悶絶する男と地元で起きた自爆テロ—— 
賛否沸騰のギロディ流社会派コメディー

冬、クリスマス前、師走の街。独身男性のメデリックは、ランニング中に見ず知らずの売春婦イザドラに一目惚れし口説くが、嫉妬深い夫の乱入で邪魔をされる。同時に市街では大規模なテロが発生—— 突然メデリックのアパートに現れたアラブ系の青年セリム、仕事とプライベートの区別がないフロランス、混乱する近隣住人たちとホテルフロントの老人と少女。愛に突き進むメデリックの周りで発生する予期せぬトラブルが周辺を巻き込んでゆく。
シネジャ作品紹介


『湖の見知らぬ男』 原題:L'inconnu du lac
misiranu.jpg
©️ 2013 Les Films du WorsoArte / France Cinéma / M141 Productions / Films de Force Majeure
監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:ピエール・ドゥラドンシャン、クリストフ・パウ、パトリック・ダスマサオ、ジェローム・シャパット、マチュー・ヴェルヴィッシュ 他

2013年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 監督賞&クィア・パルム賞受賞

2013年/フランス/97分/カラー/スコープ/ドルビーSRD
日本語字幕:今井祥子

男性同士が出会う湖で、死体が発見される—— 
ギロディの名を知らしめた伝説の傑作スリラー

夏、美しくブルーに輝く湖。ここは男性同士が出会うためのクルージングスポットになっている。ヴァカンス中に訪れた若い青年フランクは魅力的なミシェルと出会い恋に落ちる。ある夕方、フランクは湖で喧嘩する2人を目撃する。その数日後、ミシェルの恋人だった男性が溺死体で発見された。捜査の手が入った男たちの楽園は一転して不穏な空気が立ち込める。情熱が恐怖を上回る瞬間、自らの欲望に身を任せてゆく——
シネジャ作品紹介




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