2025年08月27日

グラン・ブルー 完全版(原題:Le Grand Bleu)

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監督:リュック・ベッソン
脚本:リュック・ベッソン、ロバート・ガーランド
撮影:カルロ・ヴァリーニ
音楽:エリック・セラ
出演:ジャン=マルク・バール(ジャック)、ロザンナ・アークエット(ジョアンナ)、ジャン・レノ(エンゾ)

幼いころ、ギリシャの海辺で育ったジャンとエンゾ。スキンダイビング(素潜り)が得意で挑戦的なエンゾは、おとなしいジャックにライバル心を燃やしていた。ジャックは父を海で亡くし、海とイルカが好きなまま大人になった。ペルーで一人潜水の仕事をしている。保険調査の仕事でアメリカからやってきたジョアンナは、命綱もつけずに素潜りをするダイバーのジャックに心惹かれる。エンゾはジャックをようやく探し出し、フリーダイビングの大会に誘う。2人は競い合いながら新しい記録をうちたてていく。

リュック・ベッソン監督は子供の頃から海に親しみ、グラン・ブルーの世界に魅せられました。伝説的なダイバー、ジャック・マイヨールがモデルのこの映画を29歳で手がけ、1988年フランス全土で公開、若者を中心に大ヒットしました。日本では1988年、1992年に公開、2010年にはデジタル修復されたバージョン、今回はさらに鮮明に美しくなって4Kでの公開です。
ジャックやエンゾは実在の人物ですが、エピソードや恋人のジョアンナの存在など脚色されています。年代設定も少し現代寄りです。
潜水記録への挑戦は命がけで、映画では100m越えは危険だと大会中止になっています。現在の素潜り記録は?と検索すると2007年ヘルベルト・ニッチュ(オーストリア)が出した深度214mと倍です!この記録は破られていません。
ダイバーの記録への挑戦、友情、恋愛の要素もありますが、何よりも海の様々な表情を堪能できます。静かで暗く、死と隣り合わせの深海に魅せられたジャックといっしょに168分海の青に染まってください。(白)


1988年/フランス、イタリア合作/カラー/168分
配給:KADOKAWA
(C)1988 GAUMONT
https://movies.kadokawa.co.jp/le-grand-bleu/
★2025年8月29日(金)ほか全国ロードショー
posted by shiraishi at 00:28| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年07月03日

『オルエットの方へ』4Kリマスター版   原題: Du côté d’Orouët

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© 1973 V.M. PRODUCTIONS / ANTINÉA

監督・脚本・台詞:ジャック・ロジエ
助監督:ジャン゠フランソワ・ステヴナン
撮影:コラン・ムニエ
音楽:ゴング
出演:ベルナール・メネズ、ダニエル・クロワジ、フランソワーズ・ゲガン、キャロリーヌ・カルティエ

パリでタイピストとして働くジョエルは、9月初め、友人のカリーンに誘われて、キャロリーヌの持つ大西洋に面した田舎町の別荘でヴァカンスを過ごすことにする。それぞれの部屋を決め、階下のお店でワッフルを食べたり、海で海老をとったり、気ままに過ごす日々。そんなある日、偶然を装ってジョエルの上司ジルベールが現れる。テントに泊まっていて、嵐で外はつらいから泊めてくれと言われるが、庭先の壁際にテントを張るのならと許す。
翌朝、さっそく3人はジルベールをからかって遊ぶ。近くのオルエットの農場に行き、たくさんのウナギをもらってくる。
ある日、海辺で凧をあげていたら、凧がヨットのマストに引っかかってしまう。ヨットの主パトリックも交え、5人で過ごす日々。ジョエルは彼に惹かれていくが・・・

ジョエルは会社で交代で取るヴァカンスの番が、やっと9月にまわってきました。カリーンがヴァカンスのプランを話に来た時に、ジョエルに気のある上司のジルベールがそばにいて聞いていて、追いかけてきた次第。ジョエルは、もう1年くらいジルベールが気のある素振りをしているのに気がついていたのですが、ジョエルにはその気がないようです。別荘で、毎日、何をしようかとちょうど退屈していた時にジルベールが現れたので、3人はいいように彼を巻き込んだ感じ。 ジルベールは彼女たちを喜ばせようと、大きなアナゴを手に入れた時には、張り切って調理するのですが、時間がかかりすぎて、出来上がった時には、女の子たちはもうお眠の時間。なんだかジルベールの努力が空回りで気の毒になってしまいます。それでも、「気のいいジルベールがいなかったら最低のヴァカンスだった」という女の子たちの言葉をジルベールに聞かせたかった!
3週間ちょっとのヴァカンスは、日本人の私たちにはうらやましい長さですが、日本でフランス系の会社に勤めていた友人は、「5週間連続休暇を取れと会社は言うけど、長すぎて無理」と嘆いてました。
本作からは、フランス流ヴァカンスの過ごし方を垣間見ることができました。
タイトルのオルエットは、別荘のある大西洋に面したフランス中西部の田舎町、サン=ジル=クロワ=ド=ヴィの近くにある村。Orouëtの oの後に rが続く発音は、フランス人にとっても難しいようで、皆で何度も発音していて可笑しかったです。 フランス語科の友人が、rの発音練習を、水を含まずにうがいをする感じと言っていたのを思い出しました。(咲)


1971年/フランス/フランス語/カラー/162分/1.37 :1/モノラル/DCP
日本語字幕:寺尾次郎
配給:エタンチェ、ユーロスペース
公式サイト:https://www.jacquesrozier-films.com
★2025年7月5日(土)よりユーロスペースほか全国順次公開



◆同時開催:ジャック・ロジエ監督特集
7月5日(土)~18日(金) 渋谷・ユーロスペース
※全て2K上映。
『アデュー・フィリピーヌ』2Kレストア版(1962年/110分)
『トルテュ島の遭難者たち』4Kレストア版(1976年/146分)
『メーヌ・オセアン』4Kレストア版(1985年/136分)
『フィフィ・マルタンガル』デジタルレストア版(2001年/120分)

短篇集(合計54分)
『ブルー・ジーンズ』2Kレストア版(1958年/24分)
『バルドー/ゴダール』2Kレストア版(1963年/10分)
『パパラッツィ』2Kレストア版(1963年/20分)

詳細はこちらで!
http://eurospace.co.jp/works/detail.php?w_id=000889



posted by sakiko at 20:17| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年06月01日

マリリン・モンロー 私の愛しかた(原題:Dream Girl: The Making of Marilyn Monroe)

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監督・脚本・編集:イアン・エアーズ
出演:マリリン・モンロー

1926年6月1日ノーマ・ジーン誕生。母親が望まない子どもだったため、すぐに里子に出された。8歳で母の元に戻ったが、下宿人の英国俳優から性的虐待を受ける。16歳で結婚し、軍のカメラマンに見出されモデルの仕事を始める。女優になりたい夢を夫は理解せずラスベガスへ移住後、20歳で離婚する。裏社会の大物バグジーに気に入られ、芸名をマリリン・モンローとした。
端役で芸能界にデビュー後、少しずつ俳優の階段を上がる。ブロンドのおバカな娘のイメージから抜け出すため、演技の勉強を始める。野球選手のジョー・ディマジオと結婚、ジョーは家庭に入ってほしかったが、彼女は映画出演を続け結婚生活は破綻した。アクターズスタジオで演技の勉強を続け、当時では珍しい自分のプロダクションを持った。スターの地位は確固としたものになったが、華やかな恋愛を繰り返したイメージと裏腹に、マリリンは薬物に手を出し、1962年8月4日ただ一人で亡くなった。

享年36歳のマリリンは誰もが知る往年の大スターです。映画に出て活躍し華やかなスター生活を送ったのは10年ほどだそうですが、多くの映画ファンにその後も忘れられない印象を残しています。膨大な映像や写真、関係者の話からはセルフプロデュースにたけた頭の良い女性の姿が浮かび上がってきます。期待される姿で登場し、屈託ない笑顔をふりまいていた彼女はプロの女優でした。
仕事に打ち込み、演技を追求して良い結果が生まれ、充実した時間だったはず。ただ愛情に恵まれなかった子ども時代を取り戻すように、良い家庭も持ちたかったのではと思いますが、淋しい最期に「ほんとはどうだったの?」と聞きたくなります。元夫のジョー・ディマジオが葬儀を取り仕切ったと知って「大切に思っていたんだ」とちょっと嬉しい気持ちになりました。(白)


『マリリン・モンロー 瞳の中の秘密』(2012年、監督:リズ・ガーバス)も、マリリン・モンローの実像に迫る映画でした。
今回公開されるのは、2022年に没後60年を迎える際に立ち上がったドキュメンタリー映画。監督を務めたイアン・エアーズは、4歳の時にTVで「ハッピーバースデー」を歌うマリリンの姿に魅了され、その後に出版された彼女の伝記本を読み、マリリンの人生に大きな興味を持っていたそうです。
のちに大統領となったジョン・F・ケネディはじめ、多くの大物男性を魅了したマリリン・モンロー。 中でも、アーサー・ミラーと出会い、「演技派俳優になれる」と言われたことは、セックスシンボルのように思われていたマリリンにとって、どれほど嬉しかったことでしょう。
小さい時に教会で「映画を観にいくような人間は地獄に落ちる」と教えられたマリリンが、それをものともせず、映画の世界に邁進したことに、あらためて信念を持った人だなぁ~と思いました。(咲)



2022年/フランス/カラー/120分
配給:彩プロ
(C)2023-FRENCH CONNECTION FILMS
https://marilynmonroe.ayapro.ne.jp/
★2025年5月30日(金)より全国ロードショー

posted by shiraishi at 15:27| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月24日

秋が来るとき   原題:Quand vient l'automne

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© 2024 – FOZ – FRANCE 2 CINEMA – PLAYTIME

監督・脚本:フランソワ・オゾン(『8 人の女たち』、『ふたりの 5 つの分かれ路』、『苦い涙』)
共同脚本:フィリップ・ピアッツォ
出演:エレーヌ・ヴァンサン、ジョジアーヌ・バラスコ、リュディヴィーヌ・サニエ、ピエール・ロタン

80歳のミシェル。パリのアパートを娘に譲り、今は、自然豊かなブルゴーニュの田舎で一人暮らしをしている。家庭菜園で採れた野菜で料理を作り、日曜日には教会へ。近くに住む親友のマリー=クロードとは姉妹のように仲がよく、収監されている彼女の息子ヴァンサンとの面会の為に、車で送っていくのもミシェルの役目だ。
パリに住む娘ヴァレリーから、秋の休暇を利用して孫ルカを連れていくと連絡をもらい、マリー=クロードと森にキノコを採りにいく。キノコ料理を振舞うが、唯一それを口にしたヴァレリーが食中毒を起こし、ヴァレリーはルカを連れてパリに帰ってしまう。孫ルカと過ごすのを楽しみにしていたミシェルは、パリに行くが・・・

母親がキノコで毒殺しようとしたと言うほど、ヴァレリーはミシェルのことを信用せず嫌っている理由が明かされた時、はっとさせられます。一方、マリー=クロードは息子が道をはずしたのは、自分のせいと悔やみ、それが身体にも出てしまいます。成人したら、もう本人の責任と思いますが、母親にとっては、いつまでも子どもなのですね。
登場人物のそれぞれが秘密を抱え、自分の人生のため、そして近しい人たちの幸せのため、秘密を封印します。これもまた処世術。

美しい撮影地は、ブルゴーニュ地方コーヌ=シュル=ロワール近郊のドンジー。監督が子供の頃、毎年休暇を過ごした場所だそうです。
そして、キノコ料理で中毒を起こしたエピソードは、子供の頃、叔母が自ら摘んできたキノコを料理して振る舞った時に、叔母以外の家族全員が中毒を起こしたという経験から着想。叔母だけがキノコ料理を口にしなかったのだとか。
1943年生まれのエレーヌ・ヴァンサンが、これまでの人生への複雑な思いを抱えたミシェルを気丈に演じて、素敵です。(咲)


第72回サン・セバスティアン映画祭 脚本賞&助演俳優賞受賞!

2024年/フランス/フランス語/103分/ビスタ/カラー/5.1ch
日本語字幕:丸山垂穂
配給:ロングライド、マーチ
公式サイト:https://longride.jp/lineup/akikuru/
★2025年5月30日(金)新宿ピカデリー、TOHOシネマズ シャンテほか全国公開





posted by sakiko at 21:06| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年05月11日

季節はこのまま   原題:Hors du temps 英題:Suspended Time

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(C)Crole Bethuel

監督・脚本:オリヴィエ・アサイヤス(『夏時間の庭』『冬時間のパリ』「イルマ・ヴェップ」)
出演:ヴァンサン・マケーニュ(『女っ気なし』)、ミシャ・レスコー(『SAINT LAURENT/サ ンローラン』)、ナイン・ドゥルソ、ノラ・アムザウィ(『オークション 〜盗まれたエゴン・シ ーレ』)、モード・ワイラー(『ライオンは今夜死ぬ』)、ドミニク・レイモン(『感傷的な運 命』)、マグダレナ・ラフォン

5年前のロックダウンの「あの日々」を描いたロマンス・コメディ・・・

2020年4月、新型コロナウイルスのパンデミックにより世界中で外出が制限された春。
映画監督のポールと音楽ジャーナリストで弟のエティエンヌは、子どもの頃に暮らした郊外の家に閉じこもって生活することになる。二人とも、本格的な交際を始めたばかりの彼女であるモルガン、そしてキャロルがそばにいる。
母が1947年にハンガリーを逃れてきて初めて植えた木、父が使っていたドイツ製のタイプライター・・・ 懐かしい風景の中での暮らしなのに、勝手が違って、外出禁止で世界から切り離されたよう。一緒に住んで初めて知る互いのこと… すべてが「止まってしまった」時間のなかで、不安を抱えながらもゆっくりと、たしかにそこにある光、愛と人生の新たな側面を発見していく・・・

オリヴィエ・アサイヤス監督による「自伝的コメディ」。風貌のまったく違うヴァンサン・マケーニュがアサイヤス監督の分身であるポールを演じているのですが、周りから、性格がまさにアサイヤス監督だと指摘されたとか。
毎日のようにAmazonで何か買ってしまうポール。弟から「悲惨な労働条件の会社から購入して」と皮肉られ、さらに毎日のように来る「配達人から感染するかも」と言われてしまいます。
兄も弟も、離婚したり前の彼女と別れたりで、新しい彼女と付き合い始めたばかり。それが、ロックダウンで濃密な暮らしをすることになったのですから、いろいろ目にもついてしまうでしょう。兄弟も、小さい頃、無邪気に一緒に遊んでいた頃とは違います。
あれから5年も経って、そういえば、閉じ込められたあの日々は、自由に友達にも会えなくて大変だったと思い出します。一方で、家族と濃密な暮らしをおくった貴重な日々だったという方もいることでしょう。そんな日々を思い出させてくれる物語。(咲)


第 74 回ベルリン国際映画祭 コンペティション部門正式出品

2024 年/フランス/105 分/1.85:1/5.1ch
字幕翻訳:手束紀子
配給:Bunkamura
公式サイト:https://kisetsufilm.com/
★2025年5月9日(金)より Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次ロードショー




posted by sakiko at 19:42| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする