2025年03月15日

アラン・ギロディ監督3作品一挙公開 『ミゼリコルディア』『ノーバディーズ・ヒーロー』『湖の見知らぬ男』 

現代フランスを代表する映画作家にして、日本劇場未公開の異才
アラン・ギロディ監督一挙3作品公開!!


『ミゼリコルディア』(2024年)
『ノーバディーズ・ヒーロー』(2022年)
『湖の見知らぬ男』(2013年)

配給 サニーフィルム
公式サイト:https://www.sunny-film.com/alain-guiraudie
★2025年3月22日(土) シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開


アラン・ギロディ(Alain Guiraudie)
1964年、フランスのアヴェロン県ヴィルフランシュ=ド=ルエルグ生まれ。サスペンスにユーモアを織り交ぜた官能的で独創的な映画が特徴的。これまで、短編3作品、中編2作品、長編7作品を監督している。これまでの主な受賞は、2001年ジャン・ヴィゴ賞、2013年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門・監督賞とクィア・パルム賞、2024年ジャン・デリュック賞など。フランスで最も権威のあるカイエ・デュ・シネマ誌の年間ベストテン第1位に2013年と2024年に選出されている。最新作『ミゼリコルディア』は、フランスの劇場公開で、動員23万人を突破し、世界21カ国での公開が決まった、インディペンデント映画としては異例の大ヒットを記録している。


『ミゼリコルディア』  原題:Misericordia
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© 2024 CG Cinéma / Scala Films / Arte France Cinéma / Andergraun Films / Rosa Filmes
監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:フェリックス・キシル、カトリーヌ・フロ、デュラ、ジャック・ドゥヴレ、ジャン=バティスト・デュラ、デヴィッド・アヤラ 他

2024年カンヌ国際映画祭プレミア部門 正式出品
2024年ルイ・デリュック賞 / 2025年セザール賞8部門ノミネート
2024年/フランス/103分/カラー/2.35/5.1
日本語字幕:手束紀子

セザール賞8部門にノミネート。フランスでスマッシュヒットの最新作

秋、紅葉が美しく、石造りの家が建ち並ぶ村。ジェレミーは、かつて働いていたパン屋の店主の葬儀に参列するため帰郷する。男の未亡人マルティーヌの勧めで家に一泊だけすることになるが、思いのほか長引く滞在。そんな中、起きた謎の失踪事件—— 未亡人の息子ヴァンサン、音信不通となっていたかつての親友ワルター、奇妙な神父フィリップ、そして、村の秘密を知っている警官。村に立ち込めるそれぞれの思惑と欲望。
シネジャ作品紹介

『ノーバディーズ・ヒーロー』 原題:Viens je t'emmene
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© 2021 CG CINÉMA / ARTE FRANCE CINÉMA / AUVERGNE-RHÔNE-ALPES CINÉMA / UMÉDIA
監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:ジャン=シャルル・クリシェ、ノエミ・ルヴォウスキー、イリエス・カドリ、ミシェル・マジエロ、ドリア・ティリエ 他

2022年ベルリン国際映画祭パノラマ部門 オープニング作品
2022年/フランス/100分/カラー/1.85/5.1
日本語字幕:本多茜

娼婦への愛に悶絶する男と地元で起きた自爆テロ—— 
賛否沸騰のギロディ流社会派コメディー

冬、クリスマス前、師走の街。独身男性のメデリックは、ランニング中に見ず知らずの売春婦イザドラに一目惚れし口説くが、嫉妬深い夫の乱入で邪魔をされる。同時に市街では大規模なテロが発生—— 突然メデリックのアパートに現れたアラブ系の青年セリム、仕事とプライベートの区別がないフロランス、混乱する近隣住人たちとホテルフロントの老人と少女。愛に突き進むメデリックの周りで発生する予期せぬトラブルが周辺を巻き込んでゆく。
シネジャ作品紹介


『湖の見知らぬ男』 原題:L'inconnu du lac
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©️ 2013 Les Films du WorsoArte / France Cinéma / M141 Productions / Films de Force Majeure
監督・脚本:アラン・ギロディ 
出演:ピエール・ドゥラドンシャン、クリストフ・パウ、パトリック・ダスマサオ、ジェローム・シャパット、マチュー・ヴェルヴィッシュ 他

2013年カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 監督賞&クィア・パルム賞受賞

2013年/フランス/97分/カラー/スコープ/ドルビーSRD
日本語字幕:今井祥子

男性同士が出会う湖で、死体が発見される—— 
ギロディの名を知らしめた伝説の傑作スリラー

夏、美しくブルーに輝く湖。ここは男性同士が出会うためのクルージングスポットになっている。ヴァカンス中に訪れた若い青年フランクは魅力的なミシェルと出会い恋に落ちる。ある夕方、フランクは湖で喧嘩する2人を目撃する。その数日後、ミシェルの恋人だった男性が溺死体で発見された。捜査の手が入った男たちの楽園は一転して不穏な空気が立ち込める。情熱が恐怖を上回る瞬間、自らの欲望に身を任せてゆく——
シネジャ作品紹介




posted by sakiko at 16:43| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年03月02日

白夜 4Kレストア版  原題:Quatre Nuits d'un rêveur

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© 1971 Robert Bresson

監督・脚本:ロベール・ブレッソン
原作:ドストエフスキー
撮影:ピエール・ロム
録音:ロジェ・ルテリエ
美術:ピエール・シャルボニエ
編集:レイモン・ラミ
出演:ギヨーム・デ・フォレ、イザベル・ヴェンガルテン、ジャン=モーリス・モノワイエ

ポンヌフの宵闇に心を通わせるジャックとマルト。恋と愛にうつろう四夜の物語。

画家のジャックは、ある夜、ポンヌフで思い詰めた表情をしている美しい女性マルトに出会う。翌晩、お互いの素性を語り合うジャックとマルト。ジャックは孤独な青年で、理想の女性との出会いを夢見ていた。一方のマルトは恋した相手に「結婚できる身分になったら一年後に会おう」と去られていた。そして今日がちょうどその一年後。マルトに熱い気持ちを抱きながらも、彼と出会えるよう献身するジャック。だが三夜目になっても男は現れず、マルトの心もジャックに惹かれ始めていた。そして運命の第四夜……。

★近年ではフランスでさえ上映不可能だった幻の逸品の4Kレストア版

原作はドストエフスキーの短篇。舞台をパリにして描いた恋の物語。
パリのセーヌ川に架かる橋、ポンヌフ(新しい橋)で飛び降り自殺しそうな女性マルトを引き留めたジャック。 思いつめて泣いていたのは、1年後にポンヌフで会おうと約束していた男性が現れないから。
母と二人暮らしのマルトは、厳しい母から逃げたくて、下宿人の男性に恋をしたのですが、彼は奨学金をもらって遠くの地の大学へ。(恋した理由が安易だ!)
出会ったジャックに、「下宿人になって」とまで言って、惚れた模様。
一方のジャックも女性に惚れやすくて、マルトに恋に落ちます。
恋は、タイミングだなぁ~とつくづく。 そして、まさかの第4夜・・・
あ~切ない。(咲)


1971年/フランス・イタリア合作/フランス語/カラー/83分/1.66:1 /モノラル/DCP
日本語字幕:寺尾次郎
配給:エタンチェ、ユーロスペース
公式サイト:https://www.motoei.com/post_future/
★2025年3月7日(金)ユーロスペース、角川シネマ有楽町ほか全国公開


posted by sakiko at 16:42| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年02月28日

デュオ 1/2のピアニスト (原題:Prodigieuses)

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監督:フレデリック・ポティエ & ヴァランタン・ポティエ
撮影監督:ダニー・エルセン
音楽:ヴァルダ・カコン、ダン・レヴィ
コンポーザー:ダン・レヴィ
音響:マルク・ドワーヌ
出演:カミーユ・ラザ(クレール・ヴァロア)、メラニー・ロベール(ジャンヌ・ヴァロア)、フランク・デュボスク(父 セルジュ)、イザベル・カレ(母 カトリーヌ)、エリザ・ダウティ、ティボー・デシュラー

双子の姉妹、クレールとジャンヌは幼いころから父の厳しい指導のもとピアノにうちこんできた。姉のクレールはあがり症の妹ジャンヌをいつも励まし、寄り添ってきた。内気なジャンヌは姉に背中を押してもらいながら、ピアノへの情熱は負けていない。2人はよきライバルであり、かけがえのない仲間でもあった。目標の名門カールスルーエ音楽院に2人とも入学を果たし、両親も大喜び。しかしクラス分けの試験でジャンヌは力を出し切れずクレールとは別クラスになってしまう。

生まれたときから一緒の双子の姉妹が、ピアノに才能を発揮し励ましあいながら成長していきます。ところが選抜され力の差があらわになると、楽しいだけではなくなります。父親が娘たちをアスリートのように叱咤激励し、目に見える結果を出すことを重んじているのには「ちょっと勘弁して」と思ってしまいました。
全くの門外漢なので、合っていないかもしれませんが、大事なのは何より演奏が好きなこと、良い耳やセンスがあること、加えて鍛錬でしょうか?姉妹はどれも十分に持ち合わせているように見えます。それが、特別なクラスに選ばれたクレールの身に異変が起こり、原因が「先天性」と知ったときのショックはいかばかり。駆け上がったはずの階段から突き落とされたどころではありません。妹のジャンヌにも同じことが現れるのは必須です。
この映画の本題はその後から。実在する双子の天才ピアニスト、プレネ姉妹が苦難の道をどう切り開いていったのか、劇場でご覧ください。(白)


2024/フランス/フランス語・ドイツ語・英語/DCP/109分
配給:シンカ/フラッグ
c2024 / JERICO- ONE WORLDFILMS- STUDIOCANAL- FRANCE 3 CINEMA
https://www.flag-pictures.co.jp/duo-pianist/
★2025年2月28日(金)より、新宿ピカデリーほか公開中

posted by shiraishi at 23:40| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月26日

映画を愛する君へ   原題:Spectateurs!

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(C)2024 CG Cinema / Scala Films / Arte France Cinema / Hill Valle

監督・脚本:アルノー・デプレシャン
出演:ルイ・バーマン、クレマン・エルヴュー=レジェ、フランソワーズ・ルブラン、ミロ・マシャド・グラネール(『落下の解剖学』)、サム・シェムール、ミシャ・レスコー、ショシャナ・フェルマン、ケント・ジョーンズ、サリフ・シセ、マチュー・アマルリック(『フレンチ・ディスパッチ』)

映画と映画館がもたらす魔法を語るシネマ・エッセイ

デプレシャンの日本初公開作『そして僕は恋をする』(96)でマチュー・アマルリックが演じた役ポール・デダリュスの一代記の形をとり、デプレシャンの分身ともいえるポールの映画人生を描く。
祖母に連れられて初めて映画館を訪れた6歳の時。14歳の時に16歳と偽って映画館に潜りこんだこと。
学生時代の映画部での上映会。22歳の時、大学で映画を学んだ記憶。
30歳になり人生の岐路に立つポールは、映画館でトリュフォーの『大人は判ってくれない』(59)を観て、評論家から映画監督に転身しようと決意した。
デプレシャンの自伝的な作品でありながら、誰もが共感し楽しめる物語。これは映画と映画館へのラブレター。

19世紀末に誕生してから現在に至るまでの映画50本以上が登場して、きっと誰しも思い出の場面に出会えることでしょう。人生の一部になっている映画があることに気づかされます。
映画館への愛もたっぷり。配信で観ることが多くなってしまいましたが、映画館という空間で観る高揚感は格別です。
デプレシャン監督の映画愛をたっぷり感じさせてくれる一作です。(咲)


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フランス映画祭2010で『クリスマス・ストーリー』が上映された時に来日したマチュー・アマルリック(左)とアルノー・デプレシャン監督(右)

2024年/88分/フランス
配給:アンプラグド
公式サイト:https://unpfilm.com/filmlovers/
★2025年1月31日(金) 新宿シネマカリテほか全国順次公開



posted by sakiko at 20:08| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2025年01月09日

エマニュエル 原題:EMMANUELLE

Emmanuelle.jpg
(C)2024 CHANTELOUVE - RECTANGLE PRODUCTIONS – GOODFELLAS – PATHÉ FILMS

監督:オードレイ・ディヴァン(『あのこと』
脚本:オードレイ・ディヴァン、レベッカ・ズロトヴスキ
原案:エマニエル・アルサン著「エマニエル夫人」
出演:ノエミ・メルラン(『燃ゆる女の肖像』『TAR/ター』)、ウィル・シャープ、ジェイミー・キャンベル・バウアー、チャチャ・ホアン、アンソニー・ウォン、ナオミ・ワッツ

1974年、シルヴィア・クリステルのエロティックな姿が一大センセーショナルを巻き起こした『エマニエル夫人』から、50年。
官能小説「エマニエル夫人」を大胆に解釈し、現代に蘇らせた物語。


エマニュエルは仕事で香港の高級ホテルの査察依頼を受ける。香港に向かうフライトの中で、男をトイレに誘い込む。その様子を見ていた男、ケイ・シノハラは、エマニュエルが査察する為に滞在するホテルの同じ階の部屋が定宿だった、ダムのエンジニアだという。思わせぶりに彼を誘ってみるが、部屋には来ない。ホテルのCCTV室の監視者から、「ケイ・シノハラにはお決まりの行動がなく、部屋では寝ない」と聞かされる。ある夜、ケイから貰ったライターに書かれた名前を頼りに雑居ビルの奥深くにある会員制倶楽部に赴く・・・

外交官夫人が赴任先のタイを舞台に繰り広げた官能的な『エマニエル夫人』が、香港を舞台にキャリアウーマンの心からの性の目覚めを描いた物語に。
『あのこと』で女性の痛みを描いたオードレイ・ディヴァン監督。「痛みを描けるなら、悦びも描けるかもしれない」と、本作に取り組んだとのこと。
エマニュエルは、確かに魅力ある美人だけど、「金融業?」と言い当てられるように、賢くて、近寄りがたいところも感じます。それでも男なら誘いに乗ってくるはずと思っている節もあって、あまり好感が持てなかったのですが、監督インタビューに、「女性キャラクターは必ずしも好人物でなくてもよいと考えています」とあって、監督の思惑にまんまとはめられたのでした。
香港が舞台であることにそそられたのですが、なによりアンソニー・ウォン(秋生ちゃん!)の出演が気になりました。濡れ場があったら・・・と想像までしてしまったのですが、彼の役どころは「The Eye」。CCTV室の監視者でした。
ホテルの位置は、窓の眼下に見えるヴィクトリア湾の風景から、香港島の湾仔あたりと推測。「Rosefield Palace Hotel」と出てきますが、実在しません。エンドロールにGrand Hyatt Hong Kongとありましたので、推測通り、湾仔のホテルでした。ここには、2度程しか行ったことがないので、ロビーの雰囲気に記憶がありませんでした。
そして、怪しげな会員制倶楽部のある雑居ビルは、かの有名な重慶大厦(チョンキンマンション)。この会員制倶楽部の正体がまた香港らしくて笑いました。(咲)



2024/フランス/カラー/シネスコ/5.1ch デジタル/105 分/R15+
字幕翻訳:牧野琴子
配給:ギャガ ギャガロゴ
公式サイト:https://gaga.ne.jp/emmanuelle/
★2025 年 1 月 10 日(金) TOHOシネマズ 日比谷他全国公開

posted by sakiko at 16:44| Comment(0) | フランス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする