2026年02月20日
ポーラX 4Kレストア版 原題:Pola X
監督・脚本:レオス・カラックス
原作:ハーマン・メルヴィル「ピエール」
脚本:レオス・カラックス、ジャン=ポル・ファルゴー、ローラン・セドフスキー
撮影:エリック・ゴーティエ
編集:ネリー・ケティエ
音楽:スコット・ウォーカー
出演:ギョーム・ドパルデュー、カテリーナ・ゴルベワ、カトリーヌ・ドヌーヴ
『ポンヌフの恋人』から8年の沈黙を破り発表されたカラックス最大の衝撃作
覆面作家のピエール(ギヨーム・ドパルデュー)は、母マリー(カトリーヌ・ドヌーヴ)や婚約者リュシー(デルフィーヌ・シュイヨー)と、裕福で満ち足りた田園生活を送っている。そんなある日、黒髪の女性の視線に気づく。内戦のボスニアから逃れてきたイザベル(カテリーナ・ゴルベワ)は、ピエールの腹違いの姉だという。イザベルの魅力に強く惹かれたピエールは、母や結婚を間近にしたリュシーに別れを告げ、イザベルとその連れの女性たちと共にパリに出る・・・
19世紀半ばのアメリカ小説、ハーマン・メルヴィルの「ピエール」(1852)の映画化で、タイトルの『ポーラX』は小説の仏題"Pierre ou les ambiguité" (ピエール、あるいは曖昧なるもの)の頭文字Polaに謎のXをつけたもの。原作「ピエール」は「白鯨」の翌年にメルヴィルが熱狂のうちに書き上げ、その内容から「メルヴィル発狂す」とまで報じられた背徳的で虚無的な長編小説であり、カラックスは18歳の頃に読み「自分のために書かれたかのような奇妙な感覚」を抱いたという。それを泥沼のユーゴ内戦など20世紀末の文脈に置き直し、アクチュアルな話として、また自身の物語として読み直そうとした。主人公ピエールと姉かもしれぬイザベルは、混沌の中で血にまみれた奔流に溺れる双子の孤児のようだ。二人の絶望の深み、そしてその果てにあるあらゆる愛憎としがらみからの超越を、壮絶なロマンティシズムの物語として描いた『ポーラX』は、20世紀の映画シーンの終わりにカラックスが発した魂のメッセージだった。
本作はフランス・ドイツ・日本・スイス合作映画で、『ポンヌフの恋人』の製作費のせいでプロデューサー・出資者が見つからなかった中、日本からはシナリオ・デベロップメント段階から製作を援助、長期にわたってバックアップし続け完成された。日本ではシネマライズ渋谷で1999年10月から19週公開された。(公式サイトより引用)
冒頭、「この世界はたがが外れている。なんの悪意か、それを正す役目に生まれるとは」という言葉。「ハムレット」第1幕最後の独白で、原作「ピエール」第9章でも引用されている言葉。それに続いて、墓地を空爆する戦闘機の映像。その後の、森に囲まれたお城のような邸宅との対比が強烈です。
その大邸宅で、亡くなった父の遺品を整理する母に、「お父さんは外交官で東側にいたことがあるの?」とピエールが尋ねます。その後に出会うイザベルは、父親が東にいた時に出来た娘と推察。異母姉弟と知りながら、強く惹かれあい愛し合う二人。
レオス・カラックス監督の初期三作『ボーイ・ミーツ・ガール』『汚れた血』『ポンヌフの恋人』で、自身の分身を演じた俳優ドニ・ラヴァンではなく、ピエール役にギョーム・ドパルデュー(名優ジェラール・ドパルデューの息子)を起用。
ギョームは、『ポーラX』の中でもバイクに乗っているシーンが多く出てきますが、95年にバイク事故を起こした時の傷が悪化して、2003年に脚を切断しているそうです。その後、2008年に肺炎により37歳で亡くなられています。もっと活躍してほしかったと残念です。(咲)
1999年/フランス・ドイツ・日本・スイス合作/カラー/135分/DCP
日本語字幕:斎藤敦子
配給:ユーロスペース
公式サイト:https://carax4k.com/
★2026年2月21日よりユーロスペースほか全国順次公開
2026年01月30日
ボーイ・ミーツ・ガール 4Kレストア版 英題:Boy Meets Girl
監督・脚本:レオス・カラックス
撮影:ジャン=イヴ・エスコフィエ
美術:セルジュ・マルソルフ
編集:ネリー・ムニエ
録音:ジャン・ユマンスキ
製作:アラン・ダアン
出演:ミレーユ・ペリエ、ドニ・ラヴァン
夢の断片のように美しいモノクロームの映像
夜のパリをさまようアレックスの恋
レオス・カラックスすべての出発点、アレックス3部作の始まり
夜のセーヌ川。幼い少女を抱きながら運転する女性。助手席にはスキーの道具。「出てけというから出てきたの。山へ行くわ」。川べりで数珠を繰る男トマに、「今日は何日?」と尋ね、スカーフを落として去る女。トマのところに来たアレックスが、女の落としたスカーフを拾う。そのアレックスは部屋の壁に描いたパリの地図に、自分のしてきたことを記している。今日は初めての殺人未遂。
失恋したアレックスは、パーティーでミレーユと出会い、お互いの恋について語りあう。1年前、男と暮らすためパリにきたミレーユ。CMモデルになる夢は破れたという。一目でミレーユに心奪われたアレックスはうたた寝する彼女の短く切られた髪を撫でる。明日は兵役につくというアレックス。自分はシネアスト。将来作る映画のタイトルを考えているとミレーユに語る・・・
ドニ・ラヴァン演じるアレックス(カラックスの本名)を主人公とする、カラックスの出発点となる長編デビュー作。
1960年生まれのカラックスが『ボーイ・ミーツ・ガール』(83年)を監督したのは22歳のとき。カンヌ映画祭ではヤング大賞を受賞し「神童(ヴンダーキント)」「恐るべき子供(アンファン・テリブル)」と騒がれ始め、多くの国際映画祭にも招待、85年度シネデクヴェルト(映画発見)賞も受賞。
美男とはいえない、ちょっとゴツい顔だちのドニ・ラヴァン演じるアレックスの恋物語。一度観たら、忘れられない顔。恋には程遠いなんて言ったら失礼だけど、およそ甘い恋物語にはなりそうにないドニ・ラヴァンを、自分の分身ともいえるアレックスに起用したカラックス監督の思いを知りたいです。
その後の、『汚れた血』も『ポンヌフの恋人』も、ドニ・ラヴァンあっての作品。ごつい顔が愛おしくなってくるのも不思議です。(咲)
1983年/フランス/モノクロ/104分
日本語字幕:関美冬
配給:ユーロスペース
公式サイト:https://carax4k.com/
★2026年1月31日(土)よりユーロスペースほか全国公開
◆レオス・カラックス監督 初期傑作4Kレストアで2026年1月より連続公開◆
弱冠26歳でルイ・デリュック賞、ベルリン国際映画祭アルフレッド・バウアー賞に輝きカラックスの評価を決定づけた『汚れた血』1月10日(土)~
“ゴダールの再来”とカンヌを沸かせた長編デビュー作『ボーイ・ミーツ・ガール』1月31日(土)~
カラックス最大の衝撃作『ポーラX』2月21日(土)~
2026年01月29日
マーズ・エクスプレス 原題:Mars Express
© Everybody on Deck - Je Suis Bien Content - EV.L prod - Plume Finance - France 3 Cinéma - Shine Conseils - Gebeka Films – Amopix
監督:ジェレミー・ペラン
声の出演(吹替版):佐古真弓、安元洋貴、内田夕夜、三瓶由布子
声の出演(字幕版):レア・ドリュッケール、マチュー・アマルリック、ダニエル・ンジョ・ロベ、マリー・ブーヴェ
ときは23世紀――西暦2200年。
地球での仕事を終え、活動拠点である火星にマーズ・エクスプレスに乗って戻ってきた私立探偵 アリーヌ 。「行方不明になっている大学生の娘を探してほしい」という男の依頼を受けて、アンドロイドの相棒カルロスと共に捜索を開始する。
調査の過程で、火星の首都ノクティスの暗部に足を踏み入れていく二人を待ち受けていたのは、腐敗した街の裏側、強大な権力を持つ企業の陰謀、そして人間とロボットが共存する社会の根幹を揺るがす事態だった。
本作で長編監督デビューを果たしたジェレミー・ペラン監督が最新の宇宙研究に基づいて描いた渾身のオリジナルストーリー。
火星は、太陽系の惑星の中で地球に最も環境が似ているのだとか。その火星で、人間とロボットが共存する未来を描いたアニメーション。今から175年後の未来が舞台だけど、思いのほか今とかけ離れていない雰囲気。そんなものかなと思いつつ、これまで思い描いてきた火星のイメージと違って、ちょっと戸惑いました。(咲)
2023年/フランス/89分
配給:ハーク、トムス・エンタテインメント
公式サイト:https://marsexpress.jp/
★2026年1月30日(金)より全国ロードショー
2025年12月28日
ネリーに気をつけろ! ネリー・カプラン レトロステペクティブ
=監督紹介=
ネリー・カプラン Nelly Kaplan
1931年4月11日、ブエノスアイレスに生まれる。大学では経済学を学ぶ。パリでフィルムアーキビスト、新聞記者を経て、1954年、フランスの無声映画界の名匠アベル・ガンス監督に出会い、映画製作の道へ。短編、ドキュメンタリー映画を監督したのち、1969年初長編『海賊のフィアンセ』が公開、以後映画のほかにテレビ作品の脚本も手掛ける。著作も多数。2020年11月12日、新型コロナウイルスに罹患し、死去。
ネリー・カプラン監督の作品をこのたび初めて知りました。全然古くありません。どのヒロインたちも強くて、明るくて、アハハと笑えて元気に映画館を後にできます。(白)
配給:グッチーズ・フリースクール
https://www.nellykaplan.jp/
★2025年12月26日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次公開
『海賊のフィアンセ』(原題:La fiancée du pirate)
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ミシェル・ファブル
撮影:ジャン・バダル
音楽:ジョルジュ・ムスタキ1
出演:ベルナデット・ラフォン(マリー)、ジョルジュ・ジェレ、アンリ・ザルニアック、クレア・モーリア、ジュリアン・ギオマール、パスカル・マゾッティ、ジャック・マラン、ミシェル・コンスタンタン、ルイ・マルほか
マリーは子どものころ母と身を寄せた村で、村人たちの手伝いをしてほそぼそと暮らしてきた。美しく成長したマリーに男たち(農場主の女性も)の目が注がれるようになったころ、母がひき逃げに遭い亡くなってしまった。おまけに可愛がっていたヤギまで殺されてしまう。独りぼっちになったマリーは、それまでの差別や理不尽な扱いを我慢しない!と反撃に転じる。
「もうタダじゃない!」と男たちから現金や金目のものを受け取り、「売春」を始めたマリーは散財して家の中をモノで飾り立てました。ドレスを買い、念入りにメイクしたマリーはますます綺麗になり、男たちが通ってきます。手に入れたテープレコーダーで会話を録音。証拠もバッチリです。「夫泥棒!!」と妻たちは罵り、泣きくれます。復讐を果たしたマリーは家を焼き、ハイヒールを脱いで新しい人生に旅立ちます。(白)
1969年製作/107分
『パパプティバトー』(原題:Papa les petits bateaux...)
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ルネ・ギョネ
原作:ジャン・ラボルド "Bande de raptés
撮影:リカルド・アロノヴィッチ
音楽:アンドレ・ポップ
製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
出演:シーラ・ホワイト、ミシェル・ブーケ、ジュディット・マーレ、ミシェル・ロンズデール(マイケル・ロンズデール)、ピエール・モンディ、シドニー・チャップリンほか
大富豪の令嬢クッキーは今日もご乱心。走るスポーツカーから、服を一枚一枚脱いでは放り投げ、タオル一枚になって逮捕されてしまった。。また新聞種になってしまうがどこ吹く風。そんな彼女をギャングが狙い、父親に身代金を要求した。クッキーは間抜けなギャングたちを一人ずつ誘惑し、味方にしてしまう。
ポスターのとおり「変顔」得意なクッキーをイギリス人女優のシーラ・ホワイトが演じてとてもチャーミングです。フランス語ネイティブではないので、余計に可愛らしく聞こえるようです(違いがわかりません)。ギャングはみんなひどい目に遭うのですが、あくまでも明るくコミカルに進んでいき、クッキーの頭の良さと百面相が印象に残ります。(白)
1971年製作/102分
『シャルルとリュシー』(原題:Charles et Lucie)
監督:ネリー・カプラン
原案:ジャン・シャポー
脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
撮影:ジルベール・サンドス
音楽:ピエール・ペレ
出演:ダニエル・チェカルディ、ジネット・ガルサン、ジョルジュ・クレース、ネリー・カプランほか
シャルルとリュシーの老夫婦は慎ましい生活を送っていた。そこへ弁護士と名乗る男性が訪れ、遠い親類が亡くなって南仏の豪邸が遺産として遺されたと告げる。大喜びで事務所へ赴き、言われるままに相続のための費用を作る。思い出のある家具もみんな売り払い、遺産の一部という高級車に乗り込んで出かけた二人…。目当ての住所には小さなあばら家があっただけ。電話はすでにつながらなくなっていた。
最近この手の話には敏感になっている我々はすぐに眉に唾をつけるはず。そうなんです!アレです!
踏んだり蹴ったりの目に遭った二人は喧嘩しながら、どこかを目指して進んでいきます。思ってもみなかった展開で、ストーリー運びがうまいなあと感心。ネリー・カプラン監督が旅の途中で出会う占い師役で出演。(白)
1979年製作/98分
『愛の喜びは』(原題:Plaisir d'amour)
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー
撮影:ジャン=フランソワ・ロバン
音楽:クロード・ボラン
出演:ピエール・アルディティ、フランソワーズ・ファビアン、ピエール・デュクス、ドミニク・ブラン、セシル・サンス・デ・アルバ、ハインツ・ベネント、ジャン=ジャック・モローほか
文学者ド・ビューラドールは、南国の孤島へ降り立った。裕福な一族の家庭教師の仕事を得る予定だ。現れた雇い主は三世代の3人の女。ドー、その娘クロ、クロの娘ジョー。生徒はジョーの妹で13歳のフロだが、外国にいるという。それぞれ魅力的な三世代の女たちは、新任家庭教師を誘惑していく。
お屋敷には男性の運転手と料理人がいるだけ。伴侶らしい男性は見当たらず、尋ねても私たちだけと当然のように返されます。ド・ビューラドールは、自分の魅力で彼女たちが近づいたと自惚れています。パーティに男性客が来てそうではないことに気づかされます。行儀よく、すましていたビューラドールの外側が次々と剥がれ落ちていくさまは、おかしくて少し悲しくて、やっぱりおかしいです。(白)
1991 年製作/106 分
ネリー・カプラン Nelly Kaplan
1931年4月11日、ブエノスアイレスに生まれる。大学では経済学を学ぶ。パリでフィルムアーキビスト、新聞記者を経て、1954年、フランスの無声映画界の名匠アベル・ガンス監督に出会い、映画製作の道へ。短編、ドキュメンタリー映画を監督したのち、1969年初長編『海賊のフィアンセ』が公開、以後映画のほかにテレビ作品の脚本も手掛ける。著作も多数。2020年11月12日、新型コロナウイルスに罹患し、死去。
ネリー・カプラン監督の作品をこのたび初めて知りました。全然古くありません。どのヒロインたちも強くて、明るくて、アハハと笑えて元気に映画館を後にできます。(白)
配給:グッチーズ・フリースクール
https://www.nellykaplan.jp/
★2025年12月26日(金)よりBunkamuraル・シネマ渋谷宮下ほか全国順次公開
(C)1969 Cythère films – Paris
『海賊のフィアンセ』(原題:La fiancée du pirate)
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ミシェル・ファブル
撮影:ジャン・バダル
音楽:ジョルジュ・ムスタキ1
出演:ベルナデット・ラフォン(マリー)、ジョルジュ・ジェレ、アンリ・ザルニアック、クレア・モーリア、ジュリアン・ギオマール、パスカル・マゾッティ、ジャック・マラン、ミシェル・コンスタンタン、ルイ・マルほか
マリーは子どものころ母と身を寄せた村で、村人たちの手伝いをしてほそぼそと暮らしてきた。美しく成長したマリーに男たち(農場主の女性も)の目が注がれるようになったころ、母がひき逃げに遭い亡くなってしまった。おまけに可愛がっていたヤギまで殺されてしまう。独りぼっちになったマリーは、それまでの差別や理不尽な扱いを我慢しない!と反撃に転じる。
「もうタダじゃない!」と男たちから現金や金目のものを受け取り、「売春」を始めたマリーは散財して家の中をモノで飾り立てました。ドレスを買い、念入りにメイクしたマリーはますます綺麗になり、男たちが通ってきます。手に入れたテープレコーダーで会話を録音。証拠もバッチリです。「夫泥棒!!」と妻たちは罵り、泣きくれます。復讐を果たしたマリーは家を焼き、ハイヒールを脱いで新しい人生に旅立ちます。(白)
1969年製作/107分
(C)1971 Cythère films – Paris
『パパプティバトー』(原題:Papa les petits bateaux...)
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー、ルネ・ギョネ
原作:ジャン・ラボルド "Bande de raptés
撮影:リカルド・アロノヴィッチ
音楽:アンドレ・ポップ
製作:ネリー・カプラン、クロード・マコフスキー
出演:シーラ・ホワイト、ミシェル・ブーケ、ジュディット・マーレ、ミシェル・ロンズデール(マイケル・ロンズデール)、ピエール・モンディ、シドニー・チャップリンほか
大富豪の令嬢クッキーは今日もご乱心。走るスポーツカーから、服を一枚一枚脱いでは放り投げ、タオル一枚になって逮捕されてしまった。。また新聞種になってしまうがどこ吹く風。そんな彼女をギャングが狙い、父親に身代金を要求した。クッキーは間抜けなギャングたちを一人ずつ誘惑し、味方にしてしまう。
ポスターのとおり「変顔」得意なクッキーをイギリス人女優のシーラ・ホワイトが演じてとてもチャーミングです。フランス語ネイティブではないので、余計に可愛らしく聞こえるようです(違いがわかりません)。ギャングはみんなひどい目に遭うのですが、あくまでも明るくコミカルに進んでいき、クッキーの頭の良さと百面相が印象に残ります。(白)
1971年製作/102分
© 1979 Cythère films - Paris
『シャルルとリュシー』(原題:Charles et Lucie)
監督:ネリー・カプラン
原案:ジャン・シャポー
脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー、クロード・マコフスキー
撮影:ジルベール・サンドス
音楽:ピエール・ペレ
出演:ダニエル・チェカルディ、ジネット・ガルサン、ジョルジュ・クレース、ネリー・カプランほか
シャルルとリュシーの老夫婦は慎ましい生活を送っていた。そこへ弁護士と名乗る男性が訪れ、遠い親類が亡くなって南仏の豪邸が遺産として遺されたと告げる。大喜びで事務所へ赴き、言われるままに相続のための費用を作る。思い出のある家具もみんな売り払い、遺産の一部という高級車に乗り込んで出かけた二人…。目当ての住所には小さなあばら家があっただけ。電話はすでにつながらなくなっていた。
最近この手の話には敏感になっている我々はすぐに眉に唾をつけるはず。そうなんです!アレです!
踏んだり蹴ったりの目に遭った二人は喧嘩しながら、どこかを目指して進んでいきます。思ってもみなかった展開で、ストーリー運びがうまいなあと感心。ネリー・カプラン監督が旅の途中で出会う占い師役で出演。(白)
1979年製作/98分
(C)1991 Cythère films - Les studios de Boulogne - Pathé cinema
『愛の喜びは』(原題:Plaisir d'amour)
監督:ネリー・カプラン
脚本:ネリー・カプラン、ジャン・シャポー
撮影:ジャン=フランソワ・ロバン
音楽:クロード・ボラン
出演:ピエール・アルディティ、フランソワーズ・ファビアン、ピエール・デュクス、ドミニク・ブラン、セシル・サンス・デ・アルバ、ハインツ・ベネント、ジャン=ジャック・モローほか
文学者ド・ビューラドールは、南国の孤島へ降り立った。裕福な一族の家庭教師の仕事を得る予定だ。現れた雇い主は三世代の3人の女。ドー、その娘クロ、クロの娘ジョー。生徒はジョーの妹で13歳のフロだが、外国にいるという。それぞれ魅力的な三世代の女たちは、新任家庭教師を誘惑していく。
お屋敷には男性の運転手と料理人がいるだけ。伴侶らしい男性は見当たらず、尋ねても私たちだけと当然のように返されます。ド・ビューラドールは、自分の魅力で彼女たちが近づいたと自惚れています。パーティに男性客が来てそうではないことに気づかされます。行儀よく、すましていたビューラドールの外側が次々と剥がれ落ちていくさまは、おかしくて少し悲しくて、やっぱりおかしいです。(白)
1991 年製作/106 分
2025年11月15日
ベ・ラ・ミ 気になるあなた(原題:漂亮朋友/ Bel Ami)
監督・脚本:ゲン・ジュン
出演:シュー・ガン、ジャン・ジーヨン、シュエ・バオホー、ユエン・リーグオ、ジャン・シュン、ワン・ズーシン、チェン・シュエンユ、ワン・チン
中国黒竜江省の雪深い町。大餅ダービン売りのシュー・ガンは、毎日出来立てをバイクで配達する。顧客から「小さい」「髪が入っていた」と言われても謝るでもなく、無言で走り去る。理髪師の若い男シャンチュエンに別れを告げられても執着を捨てられない。三度目の別れを告げられたシュー・ガンは、やっと彼の店を後にした。
古道具屋を営むジャン・ジーヨンは、妻との関係が冷え切って罵倒される日々。食堂で初めて会った男に「同志だろ。仲間に入れてくれ」と声をかけるも拒まれる。公衆トイレでは「同性の友人募集」の貼り紙を撮影したり、ハッテン場のカフェを訪ねたりする。
一方、食堂でジーヨンが目撃した女性カップルのアブとリウ・インは理髪師のシャンチュエンとその恋人シアオ・ホータオを巻き込み、人工授精で子を持とうと計画中。
黒竜江省を中心に活躍する監督と旧知の中年俳優陣が実名で登場。若手と女優陣は役名があります。美少年&美青年がからむBLものではありません。ファンタジーではない、ちょっとおかしくてうら寂しい中年ゲイの恋模様です。レズビアンの二人の精子提供者に対する要求は厳しく、監視される青年が気の毒に思えるほど。異性愛者同士の結婚願望は生活の苦しさもあいまって、誰もかれもが結婚しなきゃという風潮ではないようですが、ゲイの方たちの相手探しはより切実。あの手この手で近づき探し出す努力がいるようです。
ところどころで笑わせて、少し物悲しく、ラストはなんだか暖かくなる作品でした。
2024年第61回金馬奨にて主演男優賞(ジャン・ジーヨン)、撮影賞、編集賞、観客賞を受賞。大阪アジアン映画祭2025では『イケメン友だち』のタイトルで上映されました。かの国では制作も上映もできないラブ・ストーリー。(白)
2024年/フランス・ポルトガル合作/カラー/116分
配給:パンドラ
http://pan-dora.co.jp/belami/
★2025年11月15日(土)より渋谷ユーロスペースにて公開


