2025年07月19日
エレベーション 絶滅ライン(原題:Elevation)
監督・製作:ジョージ・ノルフィ
出演:アンソニー・マッキー(ウィル)、モリーナ・バッカリン(ニーナ)、マディー・ハンソン(ケイティ)、ダニー・ボイドjr(ハンター)
“リーパー”と呼ばれる謎のモンスターが地下穴から多数出現。人類の95%を死滅させて3年が経った。リーパーが標高2,500メートル以上の山岳地帯には侵入してこないのに気づく。各地に点在するコミュニティで生き残った人々が細々とくらしている。
ウィルは妻をリーパーに殺され、息子のハンターと二人残りロッキー山脈のコミュニティにいる。ハンターは肺の病気を患っていて、持ち出した薬が残り少なくなった。ウィルは息子の命をつなぐため、薬がある街の病院まで山を下るつもりだ。必ず手に入れて戻らなければ、息子も亡くしてしまう。リーパーの研究をしている科学者ニーナを訪ね、方法を練ることにした。
モンスターを相手のサバイバル+アクション+ドラマ。大ヒットしたホラー映画『クワイエット・プレイス』(2018)のプロデューサー、ブラッド・フラーが製作に参加。クワイエット・プレイスでは「音」が鍵でした。視覚はないかわり聴覚に優れたモンスターが飛来してきて、少しの音にも反応して人間は”瞬殺”でした。
本作で2,500メートルが境界となる理由は謎ですが、世界各地の高地に住んでいる人間は助かったということなんでしょうね。「音」より、「高さ」の縛りのほうがまだましな気がします。しかし、高山病のリスクもあり、多くの人が生活してきたのはそれ以下の場所です。コミュニティの物資はだんだん不足して、下山しなければ手に入らないものも出てきます。制作側もあれこれアイディアをひねり出しています。
コロナウイルスに翻弄され、見えない恐怖を体験した(まだ消えていません)私たちが怖いものは、以前と少し変わったかもしれません。それでもパパ役のアンソニー・マッキーはカッコいいし、女性たちも活躍します。(白)
2025年/アメリカ/カラー/91分
配給:アットエンタテインメント
(C)2024 6000 Feet, LLC. All Rights Reserved.
https://elevationmoviejp.com/
★2025年7月25日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国順次公開
2025年07月07日
BAD GENIUS/バッド・ジーニアス
監督:J・C・リー
脚本:J・C・リー、ジュリアス・オナー
出演:カリーナ・リャン(リン)、ジャバリ・バンクス(バンク)、テイラー・ヒックソン(グレース)、サミュエル・ブラウン(パット)、ベネディクト・ウォン(モウ/リンの父)
リンはアメリカに移民した両親の元に生まれ、父子家庭で育った。高校進学は経済的に苦しかったが、成績優秀のため名門高校に特待生として入学し授業料が免除になった。同級生は裕福な親のコネで入学した子が多い。女優志望の気のいいグレースと友達になるが、落第寸前で困っていた。テスト中、リンは彼女を助けようとカンニングさせてしまう。グレースの恋人のパットは、リンの才能を生かそうと劣等生たちへの裏ビジネス=カンニングを持ち掛ける。リンの収入は増えたが、父にも言えないこのバイトに、リンは呵責に心が痛む。リンと同じく特待生で入学した母子家庭のバンクは苦々しい思いで見ていた。
オリジナル版はタイのバズ・プーンピリヤ監督の『バッド・ジーニアス 危険な天才たち』(2017)。リメイク作品の登場人物の名前や性格などほぼそのままでした。オリジナルより30分短いのですが、父と娘の部分はより丁寧に、他はテンポよくスリリングにまとめています。
天才的な頭脳を持つリンがあれこれと考えるカンニング方法は、伝えられた方も結構な判断力、瞬発力が求められます。記憶に全く自信のない私など、絶対に無理!!普通に勉強した方がよほど楽に見えてしまいます。ヒロインに抜擢されたカリーナ・リャンは両親が中国からの移民2世。リン役にはおおいに共感したのではないでしょうか。これが初の主演作です。
父親モウ役のベネディクト・ウォンは『ドクター・ストレンジ』(2016)で主役のベネディクト・カンバーバッチの相棒、ウォンを演じていました。香港の俳優 林雪(ラム・シュ)を思い出す風貌で目に止まります。(白)
2024年/アメリカ/カラー/97分
配給:ギャガ
(C)Stewart Street LLC
https://gaga.ne.jp/badgenius/
★2025年7月11日(金)全国ロードショー
2025年06月23日
フォーチュンクッキー 原題:FREMONT
監督:ババク・ジャラリ
脚本:カロリーナ・カヴァリ、ババク・ジャラリ
出演:アナイタ・ワリ・ザダ、グレッグ・ターキントン、ジェレミー・アレン・ホワイト(「一流シェフのファミリーレストラン」『アイアンクロー』『アフター・エブリシング』)
カリフォルニア州フリーモント。アフガニスタン出身のドニヤは、中国系アメリカ人の営むフォーチュンクッキー工場で働き、夜はアフガン料理屋でドラマを見ながら過ごす単調な日々をおくっている。カーブルの米軍基地で通訳として働いていた彼女は、タリバン復権で逃れてきて8か月。過酷な経験から、今も慢性的な不眠症に悩まされている。精神科の予約をしているが、なかなか順番が来ない。
ある日、クッキーに入れるメッセージを担当していたファンが急死。ドニヤが後任に指名される。タイプライターに向かって、メッセージを考えるドニヤ。新たな出会いを求めて、その中の一つに自分の電話番号を書いたものをこっそり紛れ込ませる。すると間もなく1人の男性から、会いたいとメッセージが届く。そこには指定の場所と、「鹿を呼び出してください」と書かれていた。ドニヤは車を借りて指定の場所へ向かう・・・
フォーチュンクッキーは、薄い生地のクッキーの中におみくじが入ったもの。広東人のオーナーから、「内容は良すぎても悪すぎてもいけない、短すぎても長すぎてもいけない、美徳は中庸」と教えられます。
フリーモントには、アジア系の移民が多く、アフガニスタン系アメリカ人も多く住む町だそうです。Donyaという名前、ドニヤと公式サイトに表記されていますが、ドンヤー(世界という意味)という表記が近いと思うのですが、様々な国の人が共に暮らす町にぴったりの名前。
同じアパートに暮らすアフガン男性が、精神科の番を譲ってくれて、ドニヤはようやく精神科医の診療を受けることができます。医師にフォーチュンクッキーをあげるのですが、医師はその簡潔なメッセージを真似て、自分も書いてみたら心が落ち着いたとドニヤに語ります。 この医師との会話も、なんとも可笑しいです。
ドニヤを演じたアナイタ・ワリ・ザダは、アフガニスタン生まれ。国営放送のテレビ局の司会者・ジャーナリストとして活躍していましたが、2021年8月のタリバン復権で、国外に脱出。ドニヤと同じような経験をしていて、ドニヤの思いを体現しています。初演技と思えない自然体。
ババク・ジャラリ監督は、1978年、イラン北東部のゴルガーン生まれ。主にロンドンで育ち、東欧研究の学位と政治学の修士号を取得した後、ロンドン・フィルム・スクールで映画制作を学んでいます。本作が、4作目の長編映画。
モノクロの映像が味わい深く、絶妙な会話の数々に人生の悲哀や喜びを感じさせられました。 それにしても、「鹿」の正体には大笑い! (咲)
2023年/アメリカ/英語、ダリー語、広東語/91分/モノクロ/1.37:1/5.1ch/G
字幕:大西公子
配給:ミモザフィルムズ
公式サイト:https://mimosafilms.com/fortunecookie/
★2025年6月27日(金)よりシネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町、ホワイトシネクイントorシネクイント、アップリンク吉祥寺ほか全国ロードショー
カーテンコールの灯 原題:Ghostlight
監督:ケリー・オサリヴァン、アレックス・トンプソン(『セイント・フランシス』)
脚本:ケリー・オサリヴァン
出演:キース・カプフェラー、キャサリン・マレン・カプフェラー 、タラ・マレン、ドリー・デ・レオン
アメリカ、郊外の海辺の町。建設作業員のダンは、昨年家族に起きた悲劇から立ち直れず、仲が良かった妻や思春期の娘とすれ違いの日々を送っていた。ある日、工事の音がうるさいと声をかけてきた中年の女性から、アマチュア劇団の稽古場に誘われる。 経験もなく、最初は乗り気でなかったダンだったが、個性豊かな団員たちと過ごすうちに、自分の居場所を見つけていく。劇団では「ロミオとジュリエット」を上演予定で、ジュリエット役は、ダンに声をかけてきた中年の女性。当初のロミオ役が下りたため、ダンが突然ロミオ役に抜擢される。だが、自身のつらい経験が重なって次第に演じることができなくなる。本番当日、家族や仲間の想いが詰まった舞台の幕がついに開く・・・
ダンの家族に、去年、いったい何があったのか・・・ それが、「ロミオとジュリエット」の練習をするうちに、次第に明らかになっていって、「ロミオとジュリエット」とも重なる状況に、観ている私にも、ダンの苦しい思いが迫ってきました。 演劇で、刑務所に収監されている囚人が更生をはかるといったことも行われますが、果たして、ダンや家族にとって、この「ロミオとジュリエット」はどんな影響を与えたのでしょうか・・・
ダンを演じたのは、シカゴの舞台や映画で長年活躍してきた名優キース・カプフェラー。妻と娘を演じているのは、実生活でもキースの家族である妻タラ・マレンと娘キャサリン・マレン・カプフェラー。本物の家族が演じた物語。
それにしても、こんなに年を取ったロミオとジュリエット! 観ているうちに、これもありかと思わせてくれました。(咲)
2024年/アメリカ/英語/115分/5.1ch/カラー/PG12)
日本語字幕:小坂 志保
配給:AMGエンタテインメント
公式サイト:https://amg-e.co.jp/item/curtaincall/
★2025年6月27日(金)Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下他全国公開
2025年06月22日
F1®/エフワン(原題:F1: The Movie)
監督:ジョセフ・コシンスキー(『トップガン マーヴェリック』)
脚本:アーレン・クルーガー
撮影:クラウディオ・ミランダ
音楽:ハンス・ジマー
出演:ブラッド・ピット(ソニー・ヘイズ)、ダムソン・イドリス(ジョシュア)、ケリー・コンドン(ケイト)、ハビエル・バルデム(ルーベン)、トビアス・メンジーズ(ピーター)、サラ・ナイルズ(バーナデット)
若くして天才レーサーと期待されながら、事故で無冠のままF!®から姿を消したソニー・ヘイズ。荒れた時期を経て、売りに出される寸前の最弱チームにやって来た。かつての盟友ルーベンに請われたのだった。新人のジョシュアは「爺いがいまさら」と受け入れられない。チームも常識破りのソニーの言動に振り回され、ルーベンはソニーが乗るたび大破される車に頭を抱える。しかし各地のレースを転戦してきた経験をもとに結果を出し、ソニーは次第にチームの信頼を勝ち取っていく。
2022年世界中を熱狂させた『トップガン マーヴェリック』の布陣が再結集した本作。俳優も同じように数か月の特訓を経て、F1®カーを自ら運転しています。トップガンは海軍の、こちらはF1®の全面協力を得て制作されました。レースシーンは、実際にF1®グランプリ開催中のサーキットで撮影されていますから、大迫力なのも納得です。走行中のシーンは自分が運転席にいるようで、身体に力が入ります。大きな画面と良い音響の劇場で、ぜひぜひ体感してください。
そしてドラマをけん引する俳優陣です。近年はプロデューサー業のほうが目立っていたブラッド・ピットがスクリーンに戻ってきました!こんなブラピ様が観たかったですよね!? 1963年12月生まれの彼は還暦を過ぎましたが、チャーミングな笑顔は変わらず。遠目に見てもカッコいい、近ければもっといい(そんな機会はありませんが)。どうか年齢を重ねても、これまでと同じく自然にまかせていてほしいです(切望)。(白)
2025年/アメリカ/カラー/155分
配給:ワーナー・ブラザース
(C)2025 WARNER BROS. ENT. ALL RIGHTS RESERVED.
https://wwws.warnerbros.co.jp/f1-movie/
★2025年6月27日(金)全国ロードショー


