2020年03月23日

デッド・ドント・ダイ 原題:THE DEAD DON’T DIE

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監督・脚本:ジム・ジャームッシュ
製作:ジョシュア・アストラカン
製作・音楽:カーター・ローガン
撮影監督:フレデリック・エルムズ
美術:アレックス・ディジェルランド
衣装:キャサリン・ジョージ
メイクアップ:ジュディ・チン
出演: ビル・マーレイ 、アダム・ドライヴァー、ティルダ・スウィントン、クロエ・セヴィニー、スティーヴ・ブシェミ、ダニー・グローヴァー、ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、ロージー・ペレス、イギー・ポップ、セレーナ・ゴメス、トム・ウェイツ、RZA

ロバートソン署長(ビル・マーレイ)、ピーターソン巡査(アダム・ドライヴァー)、モリソン巡査(クロエ・セヴィニー)が見守るのどかな田舎町センターヴィルで、死者が墓場から次々とよみがえる。ゾンビは生前の活動に引き寄せられるように町をさまよい、時間を追うごとに増殖していた。三人の警察官や葬儀屋のゼルダ(ティルダ・スウィントン)、住民たちは、生き残りを懸けてゾンビの大群に立ち向かう。

『パターソン』から3年ぶりの新作はゾンビコメディ。だが、そこはジャームッシュらしくスプラッターでも血ドバ~!でもなく、長閑で飄々とした味わいに仕上がっている。ゾンビたちが生前の嗜好を残す点が面白い。イギーポップ(怪演!)は、コーヒーゾンビ。ギターゾンビやWiFiゾンビ、ブルートゥースゾンビ、ファッションチェックをするゾンビまで!
米国の平和な田舎町に湧き出たゾンビらをアダム・ドライバー扮する警官がライトセーバーならぬナタでバッサバッサと斬り捨てる。、『スター・ウォーズ』ネタも用意されているので、お見逃しないように。

日本刀捌きがあまりにもカッコいい葬儀屋のティルダ・スウィントンは、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』でも吸血鬼を演じ、ジャームッシュとの相性は良いようだ。事実、ティルダ・スウィントンはジャームッシュがゾンビ映画を撮ることを予感していたという。
ジャームッシュは、ゾンビ映画の元祖ジョージ・A・ロメロ監督を崇拝しており、映画製作を始めたときからゾンビ映画を撮る構想を練っていたと語っている。
『ストレンジャー・ザン・パラダイス』の公開時から観続けてきたジャームッシュ。ジャームッシュらしいゆる~い間合いと切口を見せてくれた本作を観て、なぜか”母親”のような安心感を抱いた(笑) (幸)


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製作:スウェーデン/アメリカ/2019/104分/ アメリカンビスタサイズ/カラー/5.1ch
提供:バップ
提供・配給ロングライド
Credit : Abbot Genser / Focus Features (C) 2019 Image Eleven Productions, Inc. (C) 2019 Image Eleven Productions, Inc. All Rights Reserved.
公式サイト:https://longride.jp/the-dead-dont-die/
★TOHOシネマズ日比谷ほかにて2020年近日公開★


posted by yukie at 12:31| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

エジソンズ・ゲーム 原題:The Current War: Director’s Cut

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監督:アルフォンソ・ゴメス=レホン
製作総指揮:マーティン・スコセッシ
出演:ベネディクト・カンバーバッチ、マイケル・シャノン、トム・ホランド、ニコラス・ホルト

19世紀のアメリカ。白熱電球を事業化した発明家のトーマス・エジソン(ベネディクト・カンバーバッチ)は、大規模な送電には直流が適していると考えていた。だが実業家のジョージ・ウェスティングハウス(マイケル・シャノン)は、交流の方が安価で遠くまで電気を送れるとして、交流式送電の実演会を開いて成功させる。それを知ったエジソンは、世論を誘導しようとする。

当初、ワインスタイン・カンパニーの作品としてトロント国際映画祭でj上映されるも、創業者のハーヴェイ・ワインスタインがセクハラ訴訟で失脚。製作会社が破産に追い込まれ、公開延期となっていた曰く付きの作品だ。製作総指揮を務めるマーティン・スコセッシが撮り直しや再編集を敢行するなど、アルフォンソ・ゴメス=レホン(TVシリーズ「glee/グリー」などを演出)の監督ながら、スコセッシの”光と影”が濃厚に感じられる活力に溢れた秀作である。

映画の内容も、まさに”光”を追い求める男たちの思惑や戦略、電流戦争による人生の毀誉褒貶が描かれる。そこには敗者としての”影”が宿っていることも映画は忘れない。19世紀シカゴ万博における眩い光が表象するように、本作の映像美は圧巻だ。電気が世界を照らす。国際基準を得た者だけが獲得し得る栄光と光芒をカメラは澱みなく映し出す。

流麗な音楽、19世紀を再現した質感ある衣装と意匠。細部のディテールに凝った映画だけが持つ重厚感が隅々に満ちている。が、一番の貢献は俳優陣だろう。米国の話にも関わらず、エジソン役にベネディクト・カンバーバッチ、その秘書にはトム・ホランド、ニコラス・ホルトのニコラ・テスラ役というように、マイケル・シャノン以外の殆どのキャストは女優陣に至るまで英国勢なのだ。
カンバーバッチはエジソンが持つ傲慢さと狂気を、トム・ホランドは若い助手としての焦燥を巧みに演じる。極めつけは天才ニコラ・テスラに扮するニコラス・ホルトだ。テスラの持つ気品と才気、悲劇的な末路まで予兆させる難役を短い出番ながら観客の心に焼き付かせた。英国名優陣を堪能する映画でもある。

ライバルを追い落とすためには手段を選ばぬネガティブキャンペーン、裏取引…。ビジネスバトルは現代にも通ずる普遍性を呈した内容である。今年の必見作となろう。(幸)


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配給:KADOKAWA
製作/アメリカ/2019/108分/カラー/シネマスコープ/5.1ch
(C)2019 Lantern Entertainment LLC. All Rights Reserved.
公式サイト:https://edisons-game.jp/sp/index.html
★TOHOシネマズ日比谷ほかにて近日公開予定★
posted by yukie at 12:26| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月20日

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY (原題:Birds of Prey: And the Fantabulous Emancipation of One Harley Quinn)

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監督:キャシー・ヤン
出演:マーゴット・ロビー、メアリー・エリザベス・ウィンステッド、ロージー・ペレス、ジャーニー・スモレット=ベル、ユアン・マクレガー

<悪のカリスマ>ジョーカーと別れ、すべての束縛から放たれたハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)。モラルのない天真爛漫な暴れぶりが街中の悪党たちの恨みを買うなか、謎のダイヤを盗んだ少女を守るため、悪を牛耳る残忍でサイコな敵ブラックマスクとの全面対決へ! 悪 VS 悪のカオスな戦いを前に、ハーレイはとってきおきの切り札、クセ者だらけの最凶チームを新結成。ヴィランたちの世界で、予測不能のクレイジー・バトルが始まる。

『スーサイド・スクワッド』で人気を博したハーレイ・クインを主人公にした作品だが、<悪のカリスマ>ジョーカーの彼女ということさえ分かっていれば、『スーサイド・スクワッド』未見でもまったく問題ない。ジョーカーに捨てられたハーレイが恋に踏ん切りをつけ、自立していく様を描く。
いつもは強気で傍若無人なハーレイも今回ばかりはメンタルがボロボロ。それを強がった発言で必死に隠そうとする。「なんだハーレイも私たちと変わらないのね」と身近に感じるのではないか。
もちろん、セクシーで、クレイジーで、アクロバティックなアクションシーンも見どころ。縦横無尽に暴れ回るハーレイをマーゴット・ロビーがすらりと伸びた肢体で魅せる。マーゴットの当たり役となった。(堀)


2020年/109分/PG12/アメリカ
配給:ワーナー・ブラザース映画
© 2020 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved. BIRDS OF PREY and all related characters and indicia c&TM DC Comics.
http://wwws.warnerbros.co.jp/harleyquinn-movie/
★2020年3 月 20 日(金)全国ロードショー
posted by ほりきみき at 00:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月08日

コロンバス     原題: COLUMBUS

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監督・脚本・編集:コゴナダ
撮影:エリシャ・クリスチャン 
美術:アドリアーン・ハルスタ 
衣装:エミリー・モラン 
音楽:ハンモック
出演:ジョン・チョー、ヘイリー・ルー・リチャードソン、ロリー・カルキン、パーカー・ポージー、ミシェル・フォーブス

米国インディアナ州コロンバス。
ここは、モダニズム建築の宝庫。
韓国系アメリカ人のジンは、高名な建築学者の父が講演ツアー中にコロンバスで倒れ、看病のために滞在することになる。ジンは、地元の図書館で働くケイシーという女性と出会う。コロンバスの建築に詳しいケイシーに案内され、町を巡る日々。ジンは父との確執があって建築に対して複雑な思いを抱えていて、モダニズム建築の町コロンバスを早く立ち去りたい。一方、ケイシーは薬物依存症の母の介護でこの町を離れることができない。二人の思いが交錯する・・・

ル・コルビュジエに代表されるモダニズム建築は、1920年代に機能主義の建築として成立。本作の舞台コロンバスには、エーロ・サーリネンによるミラー邸やノース・クリスチャン教会の他、IMペイ、リチャード・マイヤー、ジェームス・ポルシェックなどの代表作が存在します。物語はそれらの建物を巡りながら進み、まさにモダニズム建築は第二の主人公。 私にとって、モダニズム建築はちょっと無機質であまり心地いいものじゃないなという印象。
一方で、監督は小津安二郎監督映画に欠かせない脚本家の野田高悟に因んでコゴナダと名乗る韓国系アメリカ人。静かに進む映画からは、小津監督への思いが満ち溢れています。無愛想な建物が優しく思えるほど! (咲)


2017年/アメリカ/カラー/103分/英語・韓国語/DCP
配給::ブロードウェイ
©2016 BY JIN AND CASEY LLC ALL RIGHTS RESERVED
公式サイト:http://columbus.net-broadway.com/
★2020年3月14日(土)シアター・ イメージフォーラムほか全国順次公開




posted by sakiko at 14:28| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月07日

ビッグ・リトル・ファーム 理想の暮らしのつくり方  原題:The Biggest Little Farm

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監督: ジョン・チェスター
出演: ジョン・チェスター、モリー・チェスター

ロサンゼルスに住んでいた映像制作者ジョンと料理家モリーの夫妻。殺処分寸前の犬を引き取りトッドと名付けて飼い始めるが、鳴き声がうるさいと苦情を受け、郊外に移り住む決意をする。料理家モリーにとって、身体にいい食べ物を育てることも夢だった。200エーカー(東京ドーム役17個分)の荒れ果てた農地との闘いが始まる。
試行錯誤で農地を耕し土壌を作りなおす日々。5年ほど経ち、野生生物や様々な昆虫が戻ってきて、害虫の侵入を減らし、雑草も土に帰るようになる・・・

本作は、激しい山火事が迫ってきて動物たちを避難させる場面で始まります。まさに自然との闘い。ですが、その後に語られるジョンとモリー夫妻の農場での8年間は、自然を愛で、自然に学びながら、自然と共生する暮らし。
ジョンは農場に移った時から記録映像を撮っていましたが、映画にしようと決意したのは、木を枯らすアブラムシが消え、テントウムシがたくさん戻ってきたのを目にした時。夫妻の努力が実って、農場の環境が改善されたのです。荒れ果てた大地を豊かな農地にするまでの、気の遠くなるような日々。それは、私たちに自然の摂理に決して逆らってはいけないことを教えてくれます。(咲)

2018年/アメリカ/英語/91分/シネスコ
配給:シンカ
公式サイト:http://synca.jp/biglittle/
★2020年3月14日(土)シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、 YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開





posted by sakiko at 22:01| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする