2019年04月15日

松竹ブロードウェイシネマ『シー・ラヴズ・ミー』 (原題:She Loves Me) 

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監督:デヴィッド・ホーン
脚本:ジョー・マスタロフ
作曲:ジェリー・ボック
作詞:シェルドン・ハーニック
音楽監督:ポール・ジェミニャーニ
振付:ウォーレン・カーライル
演出:スコット・エリス
出演:ザカリー・リーヴァイ、ローラ・ベナンティ、ジェーン・クラコウスキー、ギャヴィン・クリール

アマリア(ローラ・ベナンティ)とジョージ(ザカリー・リーヴァイ)は同じ香水店で働くが、ことあるごとに衝突を繰り返す犬猿の仲。お互いに折れる様子がない。ふたりとも匿名の文通相手に好意を抱いている。ところが、その匿名の相手はお互い同士だった。ついに恋しい文通相手の正体を知ったふたりは、めでたく恋を成就させることができるのだろうか。

「松竹ブロードウェイシネマ」は、本場ブロードウェイの舞台を手頃な価格でゆったりと映画館で楽しむプロジェクト。第一弾として上映される本作はトム・ハンクス&メグ・ライアン主演の大ヒット映画「ユー・ガット・メール」の原点で、第70回トニー賞(ミュージカル部門ミュージカル・リバイバル作品)でミュージカル装置デザイン賞(デヴィッド・ロックウェル)を受賞したミュージカルである。
上演開始前からカメラは回り始め、客席を映してから、オーケストラ・ピットを見せる。まるでチケットに記された席を探して座り、ほっとしたところで周りを見渡したような気持ちになる。臨場感たっぷり。
想い合っている男女が互いの気持ちを知らずに喧嘩をしてしまう。そこに社長やほかの店員たちの思惑が絡んでくるから、観客までどきどきハラハラ。引きとアップを巧みに使い分けたカメラワークとわかりやすい日本語字幕に、いつの間にか引き込まれていく。ミュージカルってどんな感じなの?と思っている人には入門編としてお勧めしたい。(堀)


2016年/アメリカ/16:9/133分/5.1ch
配給:松竹
©BroadwayHD/松竹 
公式サイト:https://www.facebook.com/ShochikuBroadwayCinema
★2019年4月19日(金)東劇より限定3週間特別公開、5月24日(金)から大阪なんばパークスシネマ&名古屋ミッドランドスクエア シネマにて限定公開
posted by ほりきみき at 02:05| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月14日

ビューティフル・ボーイ(原題:Beautiful Boy)

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監督:フェリックス・ヴァン・ヒュルーニンゲン
原作:デヴィッド・シェフ、ニック・シェフ
脚本:ルーク・デイヴィス
製作:ブラッド・ピット
撮影:ルーベン・インペンス
美術:イーサン・トーマン
音楽:ゲイブ・ヒルファー
出演:スティーヴ・カレル(デヴィッド・シェフ)、ティモシー・シャラメ(ニック・シェフ)、モーラ・ティアニー(カレン・バーバー)、エイミー・ライアン(ヴィッキー・シェフ)、ケイトリン・ディヴァー(ローレン)

ニックは成績優秀でスポーツ万能な学生。父親デヴィッドの再婚相手ヴィッキーとも仲良く、小さな弟妹にも優しい兄だった。そんな彼がふとしたことでドラッグに溺れ、快楽を求めてエスカレートしていく。家族が気づいたときは抜け出せなくなっていた。デヴィッドは自慢の息子の変貌に愕然とするが、全てを包みこんで更生を助ける。

新聞の全面広告にティモシー・シャラメのアップが掲載されました。どこから見ても美青年の彼が、細身の身体をさらに減量してドラッグ中毒のニックを演じます。家族に愛され、容姿に恵まれ、希望大学全てに合格し、恋人がいても薬物中毒に陥ってしまいます。「病気じゃない。自分が選んだ結果だ」と父に訴えるニックが痛ましいです。
アメリカでは年間7万人もが薬物の過剰摂取で死亡しているとか。有名人、歌手や俳優が亡くなればニュースになります。多いですよね。その背後にそんなにも多くの人が亡くなっている世の中ってなんなんでしょう。
この原作は中毒を克服したニックと、その父親がそれぞれに書いた手記をもとにしています。今や人気脚本家となったニックもエンドロールに父親と一緒に登場。何度堕ちても見放さなかった家族の愛情が勝った!と祝福したいです。しかし、そういう絆や助力に恵まれずにいる人が断然多いはずです。そして怖いのが使用は中学生まで低年齢化しているということ。映画の中で父親がジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」を子守唄に、息子を寝かしつける場面があたたかくてじーんとしました。(白)


2018年/アメリカ/カラー/ビスタ/120分/R-15
配給:ファントム・フィルム
(C)2018 AMAZON CONTENT SERVICES LLC.
http://beautifulboy-movie.jp/
★2019年4月12日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 15:19| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年04月13日

ハロウィン 原題:Halloween

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監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン 
脚本:ダニー・マクブライド、デヴィッド・ゴードン・グリーン 
製作:ジェイソン・ブラム 
音楽:ジョン・カーペンター、コーディ・カーペンター
出演:ジェイミー・リー・カーティス、ジュディ・グリア、アンディ・マティチャック、ニック・キャッスルほか

ジャーナリストのデイナとアーロンは、40年前のハロウィンに起きた凄惨な殺害事件の真相を追っていた。殺人鬼の名前はマイケル・マイヤーズ。彼は40年間、一言も話すことなく動機や感情は一切不明。あまりの恐怖に人々は彼を“ブギーマン”と名付けた。事件の被害者で唯一の生き残りローリー・ストロードにインタビューするも収穫はなかった。しかし、ローリーは再びマイケルが目の前に現れることを恐れ、いつ起きるか分からない非常事態に一人備えていたのだ。その予感は最悪の形で現実となる。ハロウィン前夜、精神病棟から患者を輸送する車が横転し、マイケルが脱走してしまう。娘のカレンはローリーの言うことを信じず、孫娘アリソンもパーティに出かけてしまっている。ローリーは再び街に解き放たれた“ブギーマン”と対峙することを決意。恐怖に満ちたハロウィンの夜が始まる―。

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© 2018 UNIVERSAL STUDIOS
ホラーを苦手とする女子は、シネマジャーナル読者にも多いはず…。でも本作なら受け入れられる要素は十分ではなかろうか。なぜなら本作のテーマは「フェミニズムと母性愛」だからだ。
40年前にはハイスクールガールだったヒロインのローリーことジェイミー・リー・カーティスは、今や娘と孫もいる貫禄を備えた「おばあちゃん」! だが、力強く鋭い眼差し、他者を寄せ付けない凛とした佇まいは、本作の空気感を支配している。
映画の決定権がヒロインに委ねられた、という意味では『エイリアン』におけるリプリー、『ターミネーター』のサラ・コナーと同様の存在なのだ。
ローリーは狂気にも似た執念を以て、自らの棲家を堅牢な“要塞”に造形した。全ては因縁のブギーマンと対峙するためだ。孫には暖かな居場所に見えた“おばあちゃんち”が、対ブギーマン仕様と化しているのも可笑しい。
親子三代の女たちが優れたチーム力を発揮するのと対象的に、ブギーマンは40年前と同じく黙して語らない。不気味さは健在だ。しかも数場面ではあるが、あのニック・キャッスルが40年ぶりにブギーマンを演じているのもファンには嬉しい。

外連味ある演出、音楽、街の風景…、全てがジョン・カーペンター(今回は製作総指揮と音楽)監督版のオリジナルを踏襲し、リスペクトしたスタッフの力が結集した映画であると感じられた。(幸)


2018年/アメリカ/カラー/デジタル/英語/106分/R-15
配給:パルコ 宣伝:スキップ
公式サイト:http://halloween-movie.jp/
★2019年4月12日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国公開
posted by yukie at 12:32| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月31日

バイス  原題:Vice

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監督・脚本:アダム・マッケイ『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
出演:クリスチャン・ベール『ダークナイト』、エイミー・アダムス『アメリカン・ハッスル』、スティーヴ・カレル『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』、サム・ロックウェル『スリー・ビルボード』

1960年代半ば、不真面目な学生だったディック・チェイニー(クリスチャン・ベイル)はイェール大を退学となり、電気工として働き始めるが、酒癖の悪さは治らず、警察の世話になってしまう。恋人のリン(エイミー・アダムス)に激怒され、「二度と失望させない」と誓う。その後、連邦議会のインターンシップに参加し、共和党の下院議員ドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)のもとで働き始めたチェイニーは、権力の中に自分の居場所を見いだす。やがて、頭角を現したチェイニーは史上最年少の34歳でジェラルド・フォード政権の大統領首席補佐官になり、ジョージ・H・W・ブッシュ政権下では国防長官に選ばれた。そして、ジョージ・W・ブッシュ(サム・ロックウェル)政権で副大統領に就任する。

同時多発テロ事件をきっかけにアメリカがイラク侵攻を決めた瞬間をクライマックスに、それを陰で牽引したといわれるディック・チェイニーの政治家人生を描いている。と書くと、真面目で難しい政治映画と思われてしまうかもしれない。しかし、コメディ出身のアダム・マッケイ監督は茶目っ気たっぷりに演出し、政治に疎い者にも分かりやすく、詳しい人にはさらに興味を抱かせる。しかも役者のなりきりぶりが半端ない。チェイニー役のクリスチャン・ベールは体重を約20キロ激増して、見事に20代から70代まで演じ切り、ブッシュ大統領役のサム・ロックウェルの眉を寄せた顔はブッシュ本人と見紛うばかり。本作はアカデミー賞 メイクアップ&ヘアスタイリング賞に輝いた。
なお、「記者たち 衝撃と畏怖の真実」ではイラク侵攻の裏側を暴こうとする新聞記者たちの奮闘を描いているので、セットで見ると、どちらの作品もより理解が深まるはずである。
また、本作について、町山智浩氏が公開前の試写会で行われたトークイベントで詳細な解説をした。そのレポートはこちらから。(堀)


アメリカ合衆国 第46代副大統領ディック・チェイニー。
ジョージ・W・ブッシュ政権で、副大統領を務めた男。
本作は、田舎の大学を卒業後、電気工をしていたチェイニーが、上院議員だったドナルド・ラムズフェルドと出会ったことから、妻の後押しもあって政治家をめざし、ついには副大統領となり、ブッシュ大統領を裏で操っていたことを暴いた、まさかの実話。
釣りが好きだというチェイニー。石油会社の役員として、地方都市でのんびりと釣りを楽しみながら暮らしていてくれれば、中東情勢は違っていたかもしれない・・・
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ブッシュといえば、この写真のように靴を履いたままの足を机に乗せている失礼な姿が思い浮かぶ。イラク侵攻当時、恐らくCNNだったと思うのだが、イラク派兵前の兵士が、軍でイラクの人たちの習慣を学んだと得意げに話す中で、「こんな風に、靴を履いた足を机に乗せてはいけないそうです」と語っていたのを思い出す。靴を履いたまま家の中に入ることさえ失礼なのにと呆れたものだ。それほど習慣の違う国に、アメリカは土足で上がりこんで滅茶苦茶にしたのだ。独裁政権のイラクに民主主義を植えつけるなどという大義名分を掲げて!  
9,11の同時多発テロ後のアメリカ政府の対応を見ていて、単純で短絡そうなジョージ・W・ブッシュ大統領をうまく操っているのが、チェイニーはじめネオコン(新保守主義者)の連中だという印象を持っていた。石油の利権のためにイラク侵攻を画策したといわれていたけれど、本作を観て、まさにそうだったのだと唸った。
それにしても、チェイニーはじめ登場人物が皆そっくりで大笑い。もとのお顔はどうだったっけ?とわからない位。政治の裏舞台を暴いているけれど、しっかり楽しめる作品になっているのも凄い。(咲)

『バイス』公開記念 映画評論家・町山智浩氏トークイベント

提供:バップ、ロングライド 
配給:ロングライド
© 2018 ANNAPURNA PICTURES, LLC. All rights reserved.
http://www.longride.jp/vice/
★2019年4月5日(金)TOHOシネマズ 日比谷他全国ロードショー





posted by sakiko at 17:25| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2019年03月28日

ダンボ(原題:Dumbo) 

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監督:ティム・バートン
撮影:ベン・デイビス
美術:リック・ハインリクス
衣装:コリーン・アトウッド
編集:クリス・レベンゾン
音楽:ダニー・エルフマン
出演:コリン・ファレル(西島秀俊)、マイケル・キートン(井上和彦)、ダニー・デヴィート(浦山迅)、エヴァ・グリーン(沢城みゆき)

メディチ(ダニー・デヴィート)率いるサーカスに誕生した子象は、新しい看板としてショーに出るが、“大きすぎる耳”のせいで、ダンボと呼ばれ、 観客から笑いものにされてしまう。ある日、サーカスの元看板スターだったホルト(コリン・ファレル)の子どもたちが、ダンボと遊んでいると、ダンボが大きな耳を使って飛べることを発見する。大都会ニューヨークの巨大テーマパーク“ドリームランド”を経営する大興行師のヴァンデヴァー(マイケル・キートン)は、 “空飛ぶ子象”の噂を聞きつけ、メディチのサーカス団を騙して、ダンボを手に入れようと企む。愛する母と引き離され、ヴァンデヴァーのショーに出演させられるダンボ。サーカス団の仲間たちは、ダンボ親子を救出する作戦を立てる。ついに決行の日。ショーの晴れ舞 台に立つダンボ。サーカス団の仲間たちによる、想像を超えた救出作戦とは?

大きな耳を翼のようにして空中を飛ぶ象のダンボ。初期のディズニーを代表する名作『ダンボ』(1941年)を見たことがなくても、その名前を知っている人は多いだろう。そんなダンボをティム・バートン監督が実写映画化した。今回は人間とコラボレーションして、子どもだけでなく、むしろ大人こそ見てほしい内容となっている。
母と引き離されたダンボを支えるのは、サーカス団のスター・ホルトの子どもであるミリーとジョー。戦争に行った父の留守中に母を亡くした2人だからこそ、ダンボの寂しさに寄り添える。ダンボが母象と会えるように奮闘するのは、ダンボを通じて、自分たちも母に会う喜びを感じたかったのかもしれない。飛ぶのを躊躇うダンボに、ミリー自身が自分の力を信じる行動を取り、ダンボに発破をかけた。
また戦争で左腕を失ったホルトはサーカス団での居場所が見つけられない。子どもたちがいちばん辛いときにそばにいてやれなかったことで、親としても距離感がある。しかし、「完璧な親はいない。信じてほしいたけ」と空中ブランコのスター、コレット(エヴァ・グリーン)からアドバイスされ、子どもたちに向き合う。
ダンボだけでなく、サーカス団の父子もありのままの自分を受け入れ、一歩を踏み出していく。自分らしくいることの大切さを作品は伝えている。
ところで、ダンボはDumbo と綴るが、その名前の由来が映画で文字遊びのように描かれている。またクライマックスにも似たような文字遊びがあるので、見落としませんように。(堀)


2019年/アメリカ/カラー/112分
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
(C)2019 Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved
公式サイト:http://disney.jp/dumbo/
★2019年3月29日(金) 全国公開


posted by ほりきみき at 00:00| Comment(0) | アメリカ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする