9月28日(土)新宿 K’s cinema他 順次公開
監督: 謝光誠(シエ・グアンチェン) 第1回長編監督作
脚本:鄧依涵(デン・イーハン)
キャスト
雷艾美 エミー・レイズ
柯奐如 クー・ファンルー
蔭山征彦 カゲヤマユキヒコ
蔡力允 ツァイ・リーユン
楊子儀 ヤン・ズーイ
子供がほしい同姓カップルの物語
2018年秋、台湾で同姓婚を巡る是非の国民投票が話題になっていた中で公開されて話題となった映画『バオバオ フツウの家族』(原題:親愛的卵男日記)が日本公開される。
ロンドンに住むレズビアンカップルのジョアンとシンディ、友人であるゲイカップルのチャールズとティム。二組の同姓カップルが「赤ちゃんが欲しい」と考え、協力して妊活を始める。人工授精で双子を妊娠したシンディ。生まれてきた赤ちゃんは、ひとりづつ引き取って、それぞれのカップルが育てる約束だったが、ひとり流産してしまった。ひとりになってしまったので、子供が奪われるのではないかと思ったシンディは、精神不安定になってしまい、ひとり台湾に戻ってきた。
しかし、親元に帰れないシンディが頼ったのは幼馴染の警官タイ。子供の頃からシンディに密かに好意を寄せていたタイは、理由も聞かずに自分がお腹の子の父になると言うのだが、シンディの心は癒されない。自分がレズビアンであることも打ち明けられない。ジョアンはシンディを追って台湾へ。一方ゲイカップルのほうもティムの滞在期間が終わり台湾に戻った。舞台はロンドンから台湾へ。
数か月たち、シンディの出産の日。そこには、ティムの母、チャールズの両親、シンディの父、タイ、そしてジョアンがいた。シンディとジョアン、そして赤ちゃんはこれからどうするのか…。赤ちゃんをどちらが育てるのかをめぐって、新しい家族の形の模索が始まる。
シンディ役は、日本とフランスのハーフで司会者として人気のエミー・レイズ。ジョアンを演じるクー・ファンルーはアイドルドラマからアート映画まで国内外でキャリアを積む実力派。チャールズ役は、台湾で活躍する日本人俳優 の蔭山征彥。映画音楽を手がけたり、『念念』(2015年)では脚本家として香港電影評論学會の脚本賞を受賞するなどマルチな才能の持ち主で、今後のさらなる活躍が楽しみな存在。(公式HPより)
なお『念念』は、『あなたを、想う。』というタイトルで11月2日(土)よりユーロスペース・横浜シネマリンほかで全国順次公開される。
チャールズ役の蔭山征彦さんへのインタビュー記事はこちら
バオバオとは中国語では「宝宝」と書き、赤ちゃんのこと。沖縄でも赤ちゃんのことをバオバオと言っていて、字も「宝宝」で同じ。台湾、中国からの影響があるのでしょう。それにしても赤ちゃんは宝なんですね。
私は結婚制度(家制度)に疑問があったので結婚しなかったし、子供をほしいと思ったこともありません。同性愛の人たちもそういう意味で、既存の結婚制度の中で生きることに反発を感じている人たちだと思っていたので(私の周りの同性愛の方たちはだいたいそう)、最近同姓婚というのが話題になったりして、「どうして結婚なんてしたがるの?」と思っています。ましてや同姓を愛することにしたのに、子供をほしがるというのはもっとわからずです。なので、この映画のように、レズビアンの人とゲイの人で協力しあって子作りするという設定自体が??なのですが、時代の流れで変わってきているのだなと思いつつやはり私には理解できず。かつてはそんなことは考えられなかったけど、現代ではそういう人たちも出てきたのかなと思いながら観ました。それにしてもロンドンで活躍していたり、台湾と行ったり来たりと、まるでトレンディドラマのような作りで、台湾映画もそういう流れがあるのかな(暁)。
公開情報
関東
東京 新宿Kʼs cinema 9/28(土)
神奈川 横浜シネマリン 10/19(土)
中部
愛知 名演小劇場 10/12(土)
近畿
大阪 第七芸術劇場 10/19(土)
京都 京都みなみ会館 近日予定
兵庫 神戸アートビレッジセンター 11月予定
2018年/台湾/97分/1:1.85/
原題:親愛的卵男日記 英題:BAOBAO
©Darren Culture & Creativity Co.,Ltd
配給:オンリー・ハーツ /GOLD FINGER
協力:GENXY/ビームス
後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
2019年09月22日
2019年08月11日
ラブ ゴーゴー 原題:愛情来了 英題:Love Go Go
監督・脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勲)
プロデューサー:シュー・リーコン(徐立功)
撮影:リャオ・ベンロン(廖本榕)
出演:タン・ナ(坣娜)、シー・イーナン(施易男)、リャオ・ホイヂェン(廖慧珍)、チェン・ジンシン(陳進興)
30代なのに年より老けて見える冴えない男性アシェンは、叔母のパン屋で働くケーキ職人。いつもレモンパイを買いに来る美人が、仲良しだった同級生のリーホァだと気づく。彼女に気持ちを伝えようと、テレビの素人のど自慢番組に出ることを決意。猛特訓を始める。
アシェンと同じアパートに住む明るく食欲旺盛なおデブちゃんのリリー。拾ったポケベルの持ち主の男性シューペイの声に惹かれ、2週間後に会う約束をする。ダイエットに勤しむが、努力の甲斐もないまま、当日待ち合わせの動物園に向かう。
内気なアソンは痴漢撃退グッズのセールスマン。リーホァの美容室に行くが、なかなかセールスを切り出せず、髪の毛を切ってもらう羽目に。そんな中、リーホァの恋人の妻が半狂乱でリーホァに詰め寄る。思わずピストル型の護身グッズを女に向ける・・・
原題「愛情来了」とは、恋愛の予感。
恋には縁遠い雰囲気の3人の、それぞれの恋愛模様。目的に向かって努力する姿が、なんとも微笑ましい。思う通りにはなかなかいかないけれど、人生なんて、こんなものと、ちょっと安心させられる。
公開当時に観たけれど、印象に残っているのは、おデブちゃんの女の子が、痩せようとして一生懸命フラフープしている姿だけ。こんな話だったんだ~と新鮮♪
アシェンの創作ケーキに付ける名前が、とてもお洒落。のど自慢より、ケーキで彼女を落とせるのでは? (咲)
『ラブ ゴーゴー』というよりは『愛情来了』のタイトルのほうが、恋する気持ちがやってきそうな気配のこの映画の内容にピッタリだと思うんだけど。これも20年近く前に観ているので、忘れている部分があったけど、場面を観ながらストーリーが蘇ってきた。陳監督が描く主人公たちは美男美女ではなく等身大で、なんか親近感を感じる。20年前に観た時には知らなかったけど、今回,観てみたら、主人公アシェンのところに居候?しているギター弾きの青年は、なんと『海角七号』に出演していた馬念先(マー・ニェンシェン)だと気がついた。馬拉桑(マラサン)という地酒を販売するセールスマンの役でベースを弾く役だった。昔の映画を観ると、こういう発見が面白い(暁)。
第34回金馬奨最優秀助演女優賞・最優秀助演男優賞
1997年/台湾/113分
©Central Pictures Corporation
配給:オリオフィルムズ、竹書房
公式サイト:https://nettai-gogo.com/
日本初公開:1998年12月12日
★2019年8月17日(土)より新宿K’s cinema 他全国順次公開
熱帯魚 原題:熱蔕魚 英題: Tropical Fish
監督・脚本:チェン・ユーシュン(陳玉勲)
エグゼクティブ・プロデューサー:ワン・トン(王童)
撮影:リャオ・ベンロン(廖本榕)
主演:リン・ジャーホン(林嘉宏)、シー・チンルン(席敬倫)、リン・チェンシェン(林正盛)、ウェン・イン(文英)
高校受験を控えたツーチャンは、夢見がちな少年。片思いの相手に渡すことのないラブレターを書いたり、物語の世界に逃避したりして勉強には熱が入らない。
ある日、ニュースで見た誘拐事件の被害少年が犯人らしき男と一緒にいるのを見かけ、助けようとするが、自分も誘拐されてしまう。主犯の男が二人を手下の優しい男アケンに預けて身代金を取りに行く途中、交通事故で死んでしまう。途方に暮れたアケンは、二人を連れて祖母や弟妹が暮らす東石漁港に行き、身代金奪取作戦を練る。加熱するテレビ報道で、ツーチャンが受験生と知ったアケンは妹の教科書や参考書を差し出し、勉強できる環境を整えて励ます。
入試を数日後に控えた頃、脅迫電話を逆探知され、警察の捜査が東石漁港にも迫ったことを知り、アケンはツーチャンたちを船に乗せて沖に逃げる・・・
テレビ報道が、ツーチャンが入試に参加できるのかどうかとヒートアップしている中、当のツーチャンは、誘拐されていることも、受験を控えていることも忘れて、のどかな東石漁港での日々を謳歌している風なのが楽しい。人生で、何が大切なのかを、ちょっぴり考えさせてくれる一作。時を経て観て、懐かしさもいっぱい♪(咲)
約20年ぶりに見た本作。細かいところは忘れていて、こんなだったっけ?と思いながら懐かしく観ました。間の抜けた誘拐犯と、誘拐されたようには思えない子供たちの姿。そして田舎に行ってはローカル色いっぱいの登場人物がユニークで、とてものどかな雰囲気とスローな生活が心和ませてくれました。
それにしても誘拐犯役を林正盛監督が演じていたとは。すっかり忘れていました。とぼけた感じがとてもいい。この人が映画監督とは思えないですよね(笑)。陳玉勲監督、最近はどんな映画を作っているのでしょう。またぜひ観たいです。林正盛監督の作品も(暁)。
チェン・ユーシュン監督が1995年に発表した長編デビュー作。
日本での公開を前に1996年12月に行ったチェン・ユーシュン監督インタビュー(シネマジャーナル40号掲載)をリニューアルして転載しています。ぜひご一読ください。
http://cineja-film-report.seesaa.net/article/468743078.html
第48回ロカルノ国際映画祭青豹賞・国際批評家連盟賞
第32回金馬奨最優秀脚本賞・最優秀助演女優賞
1995年モンペリエ映画祭 ゴールデンパンダ賞
1995年製作/108分/台湾
配給:オリオフィルムズ、竹書房
公式サイト:https://nettai-gogo.com/
日本初公開:1997年4月5日
★2019年 8月17日(土)より新宿K’s cinema 他全国順次公開