2021年06月20日
1秒先の彼女(原題:消失的情人節 My Missing Valentine)
監督・脚本:チェン・ユーシュン『熱帯魚』『ラブ・ゴーゴー』
エグゼクティブ・プロデューサー:イエ・ルーフェン、リー・リエ
出演:リー・ペイユー(ヤン・シャオチー)、リウ・グァンティン(ウー・グアタイ)、ヘイ・ジャアジャア(ペイ・ウェン)、ダンカン・チョウ(リウ・ウェンセン)
郵便局で働くシャオチーは、仕事も恋も冴えない日々を送っていた。子どものころから何をするのにも人よりワンテンポ早い。写真撮影では必ず目をつむっているし、映画では人より早く笑ってしまい、冷たい視線をあびている。彼女は街で出会ったハンサムなダンス講師ウェンセンと、恋が成就するかもしれない“七夕バレンタイン”にデートの約束をした。準備万端整えて眠りについたシャオチー、しかし目を覚ますと、既にバレンタインの翌日になっていた。大切な一日はどこへ消えてしまったの?
楽しみにしていたデートの日(の記憶)がまるまる消えてしまったシャオチー、それなのに日焼けをしているってどういうこと? カメラに残っていた画像から、出かけた場所を探し出します。記憶に全くないんだけれど、そこに写っているのはまぎれもなく自分なんだもの!!
「!」と「?」がいっぱいのこのストーリー、シャオチーと原因を作った「彼」グアタイ、それぞれの視線で同じ時を観られるので「こんなところに伏線が!」と気づきがあって面白さ倍増です。初めからもう一度観たくなってしまうラブストーリーでした。二人のキャラがよく描けていて、一歩間違えば「イタイ」人になってしまうところを、可愛さを感じられるところで止めています。
自分を振り返ればせっかちなくせに(いや、だから)抜けていて、やっぱり目をつぶった写真が何枚もありました。今やカメラの性能がよくなってシャッター速度も自在なので、失敗は少ないはず。(白)
少女の頃から、何をしても皆より1秒早かったシャオチー。同級生だったグアタイは、逆にトロい少年でした。大人になっても、グアタイは女性に対しても奥手。ダンス講師ウェンセンがぐいぐいシャオチーにアプローチしているのを後ろで黙ってみている姿を、映画を観ているこちらはいらつきながらも、うぶで可愛いな~と思ってしまいます。
『熱帯魚』(95)『ラブ ゴーゴー』(97)と、初期作品から奇想天外な作風で楽しませてくれたチェン・ユーシュン監督には、『祝宴!シェフ』公開の折にインタビューの機会をいただきました。
http://www.cinemajournal.net/special/2014/shukuen/index.html
その時の記事の最後に「トニー・ヤンとキミ・シアさんという美男美女を起用されましたが、二人共、2枚目半のキャラクターにされたところに、監督らしさを感じました」と書いていました。まさに、今回も同じ!
郵便局でシャオチーの隣に座っている超モテの可愛い女子を演じているヘイ・ジャアジャアは“美しすぎる囲碁棋士”として有名だそうで、リー・ペイユー演じるシャオチーは、男に縁のなさそうなブスにさえ見えてしまいます。グアタイに海に連れていかれた時のシャオチーの笑顔のなんと素敵なこと! グアタイを演じたリウ・グァンティンも、ほんとはイケメンなのに、のろくてヘタレな青年に見えます。チェン・ユーシュン監督のマジックですね。(咲)
陳玉勲(チェン・ユィシュン)監督が映画界に帰ってきた!
『熱帯魚』(95)、『ラブ ゴーゴー』(97)のあと映画の世界を離れ、以来16年ぶりに撮ったのが『祝宴!シェフ』(13)。その間、CMやミュージックビデオの世界で活動していたらしい。長編映画復帰3作目が、この『1秒先の彼女』。陳玉勲監督の作品が大好きだった私は、映画の世界にいつ戻ってくるのだろう。日本公開されるのだろうと心待ちにしていた。そして、この『1秒先の彼女』が公開される。
以前の作品にもあったユーモア感、ポップなのにノスタルジー感のある不思議な世界。不器用に生きている人にやさしくて観終わった後に心をほんわかさせる映画スタイルは健在だった。思いもよらない展開や、クスッと笑えるシーンの数々。世の中のペースに合わずに生きる人への温かいまなざし。ちょっとずれて生きている人へのエールが嬉しい。
シャオチーが消えた「1日」を探し、訪れたのは美しい海辺の町。見覚えあるような海岸線。公式HPによると『熱帯魚』(95)の舞台になった嘉義県・東石村とのことだけど、『熱帯魚』の撮影が行われたのは、近隣の台南市・大甲というところらしい。今年1月に日本公開された『越年 Lovers』(郭珍弟/グオ・チェンディ監督)の3話目に出てきた彰化という場所もこんな景色だった。地図で調べたら「東石村」「大甲」「彰化」は台中の南部にある場所だった。きっと同じような海岸線の景色が見えるような場所なのでしょう。
下調べをしないまま観たけど、観終わった後、友人から「周群達(ダンカン・チョウ)が出ていたね。久しぶりに観た」と言われ、「え!、どこに?」と思ったら、あのキザなダンス教師役だった。『僕の恋、彼の秘密』(04)、『靴に恋する人魚』(05)では可愛い青年という感じだったのに、ずいぶんと変わってしまっていてわからなかった。李霈瑜(リー・ペイユー)も劉冠廷(リウ・グァンティン)も、他の作品で観た記憶はあるのだけど、どの作品だったのかわからない。出演作をみてみたけど観たことない作品ばかり。劉冠廷に関してはフィルメックスで観た『無聲(むせい)』(20)だったのかも。
陳玉勲監督には、『熱帯魚』、『ラブ ゴーゴー』でインタビューしています。
興味ある方はアクセスしてみてください(暁)。
『熱帯魚』http://cineja-film-report.seesaa.net/article/468743078.html
『ラブ ゴーゴー』http://cineja-film-report.seesaa.net/article/468765261.html
第 57 回台湾アカデミー賞(金馬奨)最多 5 部門受賞
(作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、視覚効果賞)
第 25 回釜山国際映画祭 オープンシネマ部門 正式出品
2020年/台湾/カラー/シネスコ/119分/中国語
配給:ビターズ・エンド
(C)MandarinVision Co, Ltd
https://bitters.co.jp/ichi-kano/
★2021年6月25日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
2021年04月18日
風が踊る [デジタルリマスター版](原題:風兒踢踏踩)
監督・脚本:ホウ・シャオシェン
出演:フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、アンソニー・チャン、メイ・ファン
CMの撮影で澎湖島を訪れた女性カメラマン・シンホエ(フォン・フェイフェイ)は、事故で視力を失った青年チンタイ(ケニー・ビー)と知り合う。その後ふたりは台北で偶然再会を果たし、シンホエはなにかとチンタイの世話を焼いてしまう。チンタイは角膜移植が決まり、成功すれば目が見えるようになる。シンホエはCM監督のローザイ(アンソニー・チャン)と結婚する予定だったが、チンタイの人柄に惹かれていき、どちらにもはっきり伝えることができない。
「台湾巨匠傑作選2021_侯孝賢監督デビュー40周年記念<ホウ・シャオシェン大特集>」のうちの1本。公開当時はまだ香港のエンタメ作品を観ていて、台湾モノは後回し。このたび初めて観た作品です。香港映画でお馴染みのケニー・ビー、アンソニー・チャンが出演していて、あらまあと懐かしくなりました。当時アイドルだったというフォン・フェイフェイが、ちゃっかりして明るいシンホエに扮して可愛らしいです。服装や笑いをとるところが時代を感じさせますが、澎湖島や台北、シンホエの故郷の鹿谷の暮らしが垣間見られます。親と娘、男性と女性の結婚観など、今も昔も変わらないエピソードが織り込まれています。(白)
『風が踊る』(1981年)は、ホウ・シャオシェン監督のデビュー作『ステキな彼女』(1980年)と同時期に観た記憶がありました。調べてみたら、日本初公開は『風が踊る』1998年2月14日、『ステキな彼女』1998年2月7日でした。
どちらの作品にも、フォン・フェイフェイ、ケニー・ビー、アンソニー・チャンの3人が出ていて、観た当時、話がなんだかごちゃまぜに記憶されたように思います。
はっきり覚えているのは、阿B(ケニー・ビー)が爽やかだったということだけ。
ケニー・ビーも、アンソニー・チャンも、ウィナーズ(温拿)という1970年代に「香港のビートルズ」とも言われて人気だった5人組のメンバー。私がレスリー・チャンに落ちる前にファンだったアラン・タムがウィナーズのボーカルなので、映画を観たときに二人を知っていた次第。
『ステキな彼女』『風が踊る』の2本を1998年に観て、それからしばらくして香港に行った時に、たまたまウィナーズの再結成コンサートを香港コロシアムでやってました。空いていた席が、ステージの真後ろ。彼らの背中を見る位置だったのですが、ちゃんと時々振り返って顔を見せてくれました。
今回、23年ぶりに『風が踊る』を観たわけですが、最初はほんとに観たのかしらと思う位、記憶が蘇りませんでした。絶対観た!と、確信を持てたのが、ケニー・ビー演じるチンタイが、目の見えない人たちの為に読み聞かせを頼んでいる人の都合が悪くて、急遽、シンホエを連れていって、本(カラマーゾフの兄弟!)を読んでもらった場面。目の見えない人たちが一生懸命点字タイプを打ちながら聞いている姿をはっきりと覚えていました。
今回の<ホウ・シャオシェン大特集>の中に、『ステキな彼女』はありませんが、こちらもいつかまた観てみたいです。(咲)
中華圏の監督としては侯孝賢監督の作品が一番好きな時期もありました。特に初期の頃の抒情性のあるノスタルジックな作品が好きでした。なので、日本で観ることができた作品はほとんど観ていたので、この作品も観ていたつもりだったのですが、試写で確認したら観たことがなく、今回のリマスター版で初めて観ました。
この作品は侯孝賢監督の2作目の作品。1981年の作品で、服装や髪形、風俗、村や町の雰囲気、乗り物、建物などに時代を感じますが、侯孝賢の作品に流れる映画の雰囲気、ほっこりさせるものがありました。侯孝賢監督の作品といえば、海辺や山間部の田舎町、いたずら好きな子供たち、その子供たちの失敗、あるいはずっこけ風景、学校、授業風景、緑が多いところを走るローカル線、古い列車、単線の線路、バイクの疾走、そんなシーンを思い浮かべますが、その後の作品につながる片りんもたくさん出てきました。
第一作目の『ステキな彼女』同様、当時人気歌手だった鳳飛飛(フォン・フェイフェイ)と鐘鎭濤(ケニー・ビー)、それに陳友(アンソニー・チェン)が出演していたけど、まだそんなに名を知られていない侯孝賢監督の作品に、そういう人たちが出ていたということが今となっては驚き。あるいはそういう人たちが出てくれたことで、監督の名が知られるようになっていった部分もあるのか? 私は『悲情城市』で侯孝賢監督のことを初めて知ったので、あの頃の台湾や香港の芸能界事情にはうとかったから、そのへんのいきさつとかはわからない。
でも侯孝賢監督には先見の明というか、撮影地を後に有名にさせる何かがあるのかも。撮影クルーがCM 撮影のために訪れた澎湖(ポンフー)島。この島はのちの『風櫃(フンクイ)の少年』の撮影地にもなりました。映画に写っていたのはひなびた島だったけど、今やこの島は観光地として賑わっているらしい。『悲情城市』に出てきた九份も、金山の賑わいが去って、寂れた街だったけど、この映画以降ここも観光地になり、今や観光客がたくさん訪れ、土日は人込みがすごくて歩くのも思うようにいかない状態になっている。『恋恋風塵』に出てきた十分駅や駅のそばの列車が人家すれすれに走っていた十分老街も、今やお土産屋が並ぶ一大観光地になっている。侯孝賢監督作品が好きで、撮影地である九份と十分は、これらの映画以降5回も訪れた私です(笑)。大好きな侯孝賢監督の映画でしたが、残念ながら『好男好女』あたりからあまり好きではなくなりました(暁)。
1981 年/台湾/シネスコ/92 分
原題:風兒踢踏踩
英題:Cheerful Wind ©1982 Kam Sai (H.K.) Company /
© 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.
配給:オリオフィルムズ
提供:竹書房/オリオフィルムズ
https://taiwan-kyosho2021.com/
★2021年4月17日(土)より~6 月 11 日(金) 新宿 K’s cinema 他順次上映
台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督40周年記念 ホウ・シャオシェン大特集
2021年 4月17日(土)〜 6月11日(金)
新宿K's cinema他順次上映 上映スケジュール
今年の「台湾巨匠傑作選2021」は、2020年に映画監督生活40周年を迎えた侯孝賢監督(ホウ・シャオシェン)の特集上映が行われる。侯孝賢の、監督、主演、プロデュース作品、オリビエ・アサイヤス監督による貴重なドキュメンタリーを含む全22作品が上映される。今回の特集は、同年11月に中華圏映画のアカデミー賞と称される金馬奨の名誉賞(終身成就賞)を受賞したことを記念したもの。また、ホウ・シャオシェン特集のほか、「隠れた名作台湾映画発掘!貴重な未公開映画上映&解説」も開催される。

侯孝賢が主演した「台北ストーリー」(監督エドワード・ヤン)の劇中衣装を洋服店で物色中のヤンと侯孝賢_写真提供:朱天文
上映されるのは、台湾ニューシネマの誕生と表される『坊やの人形』から、世界の映画人から評価された『風櫃(フンクイ)の少年』『冬冬(トントン)の夏休み』『童年往事 時の流れ』といった初期傑作群。89年にベネチア国際映画祭金獅子賞受賞し、中華圏映画初の世界三大映画祭グランプリ受賞の快挙を成し遂げた大作『悲情城市』は、35ミリフィルムでの上映。
監督デビュー2作目『風が踊る』はデジタルリマスター版での披露となり、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』は4Kデジタルリマスター版で劇場初上映。プロデュース作からは、『One Day いつか』(監督:ホウ・チーラン)を日本初上映、今夏劇場公開予定の『日常対話』(監督:ホアン・フイチェン)を特別上映。
『風が踊る』
![『風が踊る[デジタルリマスター版]』メイン_R_R.jpg](https://cinejour2019ikoufilm.up.seesaa.net/image/E3808EE9A2A8E3818CE8B88AE3828B5BE38387E382B8E382BFE383ABE383AAE3839EE382B9E382BFE383BCE789885DE3808FE383A1E382A4E383B3_R_R-thumbnail2.jpg)
(C)1982 Kam Sai (H.K.) Company c 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.
『HHH:侯孝賢』

(C)AMIP-La Sept ARTE-INA-France 1997
「隠れた名作台湾映画発掘!貴重な未公開映画上映&解説」は、台湾映画コーディネーター・江口洋子さんが選んだ5作品を披露。『大仏+』(監督:ホアン・シンヤオ)、『狂徒』(監督:ホン・ズーシュアン)、『よい子の殺人犯』(監督:ジャン・ジンシェン)、『High Flash 引火点』(監督:ジャン・ジンシェン)、『アリフ・ザ・プリン(セ)ス』(監督:ワン・ユーリン)がラインナップされ、各回上映終了後、江口さんの解説映像を上映する。
『よい子の殺人犯』(最乖巧的殺人犯)

ⓒ 2019 ANZE PICTURES Co. , Ltd. ALL RIGHTS
『High Flash 引火点』(引爆點)

Ⓒ闊世電影股份有限公司
台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督40周年記念 ホウ・シャオシェン大特集
公式HP
◆You tube URL
「騒豆花 新宿ミロード店」タイアップ!
配給:オリオフィルムズ 提供:竹書房/オリオフィルムズ
配給・宣伝協力:トラヴィス
協力:竹書房|松竹|ぴあ|熱帯美術館ENGAWA|山形 国際ドキュメンタリー映画祭|アクセスエー|A PEOPLE CINEMA|太秦|ディメンション|華文創股份有限公司|
貴金影業傳媒股份有限公司|時光草莓電影有限公司| 安澤映畫有限公司|闊世電影股份有限公司|蔓菲聯爾創 意製作有限公司|東京国際映画祭|アジアンパラダイス| 台湾映画同好会(順不同)
協賛:騒豆花 新宿ミロード店
後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
新宿K's cinema他順次上映 上映スケジュール
今年の「台湾巨匠傑作選2021」は、2020年に映画監督生活40周年を迎えた侯孝賢監督(ホウ・シャオシェン)の特集上映が行われる。侯孝賢の、監督、主演、プロデュース作品、オリビエ・アサイヤス監督による貴重なドキュメンタリーを含む全22作品が上映される。今回の特集は、同年11月に中華圏映画のアカデミー賞と称される金馬奨の名誉賞(終身成就賞)を受賞したことを記念したもの。また、ホウ・シャオシェン特集のほか、「隠れた名作台湾映画発掘!貴重な未公開映画上映&解説」も開催される。

侯孝賢が主演した「台北ストーリー」(監督エドワード・ヤン)の劇中衣装を洋服店で物色中のヤンと侯孝賢_写真提供:朱天文
上映されるのは、台湾ニューシネマの誕生と表される『坊やの人形』から、世界の映画人から評価された『風櫃(フンクイ)の少年』『冬冬(トントン)の夏休み』『童年往事 時の流れ』といった初期傑作群。89年にベネチア国際映画祭金獅子賞受賞し、中華圏映画初の世界三大映画祭グランプリ受賞の快挙を成し遂げた大作『悲情城市』は、35ミリフィルムでの上映。
監督デビュー2作目『風が踊る』はデジタルリマスター版での披露となり、『フラワーズ・オブ・シャンハイ』は4Kデジタルリマスター版で劇場初上映。プロデュース作からは、『One Day いつか』(監督:ホウ・チーラン)を日本初上映、今夏劇場公開予定の『日常対話』(監督:ホアン・フイチェン)を特別上映。
『風が踊る』
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(C)1982 Kam Sai (H.K.) Company c 2018 Taiwan Film Institute. All rights reserved.
『HHH:侯孝賢』

(C)AMIP-La Sept ARTE-INA-France 1997
「隠れた名作台湾映画発掘!貴重な未公開映画上映&解説」は、台湾映画コーディネーター・江口洋子さんが選んだ5作品を披露。『大仏+』(監督:ホアン・シンヤオ)、『狂徒』(監督:ホン・ズーシュアン)、『よい子の殺人犯』(監督:ジャン・ジンシェン)、『High Flash 引火点』(監督:ジャン・ジンシェン)、『アリフ・ザ・プリン(セ)ス』(監督:ワン・ユーリン)がラインナップされ、各回上映終了後、江口さんの解説映像を上映する。
『よい子の殺人犯』(最乖巧的殺人犯)

ⓒ 2019 ANZE PICTURES Co. , Ltd. ALL RIGHTS
『High Flash 引火点』(引爆點)

Ⓒ闊世電影股份有限公司
台湾巨匠傑作選2021 侯孝賢監督40周年記念 ホウ・シャオシェン大特集
公式HP
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「騒豆花 新宿ミロード店」タイアップ!
配給:オリオフィルムズ 提供:竹書房/オリオフィルムズ
配給・宣伝協力:トラヴィス
協力:竹書房|松竹|ぴあ|熱帯美術館ENGAWA|山形 国際ドキュメンタリー映画祭|アクセスエー|A PEOPLE CINEMA|太秦|ディメンション|華文創股份有限公司|
貴金影業傳媒股份有限公司|時光草莓電影有限公司| 安澤映畫有限公司|闊世電影股份有限公司|蔓菲聯爾創 意製作有限公司|東京国際映画祭|アジアンパラダイス| 台湾映画同好会(順不同)
協賛:騒豆花 新宿ミロード店
後援:台北駐日経済文化代表処台湾文化センター
2021年01月17日
越年 Lovers
劇場公開 2021年1月15日 劇場情報
監督・脚本:郭珍弟(グオ・チェンディ)
プロデューサ::片原朋子 吉村和文 饒紫娟 陳世庸
美術:陳炫劭 遠藤雄一郎 VFX:嚴振欽
照明:譚凱富 衣裳指導:黃中觀 宮本まさ江
サウンドデザイン:羅頌策
編集:陳博文
音楽:トマ・フォゲンヌ
原作:岡本かの子「越年 岡本かの子恋愛小説集」(角川文庫)/「老妓抄」(新潮文庫)
出演 役柄(俳優名)
第1部
シャオラン(ヤオ・アイニン)インシューにビンタされた会社員
インシュー(オスカー・チュウ)シャオランをビンタした元同僚
イエナ(レニー・リー)おせっかいなシャオランの同僚
第2部
佐藤寛一(峯田和伸)太郎の幼なじみ
西村碧(橋本マナミ)太郎の恋人
文月(菜葉菜)斎藤先生の娘
太郎(結城貴史)寛一の幼なじみ
第3部
モーリー(ユー・ペイチェン)
チェンナン(ウー・ホインシュウ)
岡本かの子の小説を元に、日本、台湾、マレ ーシアの年越しの風景を舞台に、恋に不器用な3組の男女がが織りなす3つのオムニバス物語。素直になれない風変わりな恋が描かれる。
第1話 台北。会社の帰り、エレベーターに乗ろうとしたら、いきなり同じ会社の男性インシューにビンタされた女性シャオラン(ヤオ・アイニン)。このシーンから始まる。次の日会社に行ったらインシューは前日でやめていた。おせっかいな同僚の女性イエナにあおられ、インシューが住んでいるという迪化街へ二人で探しに行く。なぜ、いきなりビンタをくらったかわからず、会社に訴えるか仕返しするか、二人はインシューを探し歩く。二人はインシューをみつけられるのか。なぜ彼はシャオランをなぐったのか。
第2話 雪の山形が舞台。東京で暮らす寛一の元に親友の太郎から電話があり、故郷の山形に向かう。山形に久しぶりに帰った寛一は幼なじみで初恋相手の碧と数十年ぶりに再会する。斎藤先生の家に幼なじみが集まり新年会。蔵王に行ったり、碧の実家の西村写真館を訪ねたりするが、太郎とは連絡がつかない。山形弁と山形のおいしいものが出てきて、山形県人でなくても郷愁を感じた。太郎は何のために寛一を山形に呼び出したのか。しかし、肝心の太郎はいない。二人の間の進展はあるのか。
第3話 台湾彰化。亡き母が営んでいた食堂を片付けるモーリー。モーリーは片付けながら幼い頃を思い出していた。店には客がいっぱいいて、料理を客に出すのを手伝っていた。彰化は牡蠣の養殖が盛んで、店の自慢料理は牡蠣そうめん。みんなこれを食べていた。チェンナンがやってきて作業を手伝う。水槽には魚がいる。風が強い場所らしい。そして雨まで降ってきた。雨音や雨漏りの中、二人はたわいもない話をする。モーリーは「ここに長くいるつもりはない。この家を売るつもりだから、水槽の魚たちをお願い」と頼む。チェンナンは「本心なのか?」と聞く。そしてトラックで帰っていくのだが…。
恋なのか、そうでないのか、そんな恋心の目覚めのようなものが描かれる。でも、こんな恋があってもいいと思わせてくれる。年越ししたら新しい人生に出会えるかもしれない。
第一話。私にとっては、去年行った台北の迪化街が出てきてびっくり。新型コロナウイルスの影響で海外旅行が制限される直前に台湾に行き、この問屋街にも行った。以前、ここの朝市にも行ったことがある。乾燥海産物がたくさん並んでいた。そして、第一話の伏線に中国の往年の女優・歌手である白光(パイクァン)の映像やマレーシアにある白光の墓地が出てきた。もしかしたら流れていた曲も白光のものだったのかも。調べてみたけど使われた曲の情報はわからずだった。
第二話の舞台は山形で、このところ続けて行っている山形国際ドキュメンタリー映画祭の時に行く場所や食べ物などが出てきてうれしかった。山形駅前、山形交通のバスセンター、霞城公園、蔵王スキー場地蔵岳山頂 樹氷、玉こんにゃくと稲花(いが)餅などなど。しかもこの稲花餅を食べていた喫茶店は、私も入った喫茶店だった。そこで私も稲花餅を食べた(笑)。もっとも、その時期はそこしかやっている店がなかった。それに、渋谷駅のシーンで岡本かの子の息子である岡本太郎の絵が出てきた。そこも、私がいつも通るところ。
第三話に出てくる彰化は行ったことがない場所だったけど、「牡蠣そうめん」がおいしそうだった。食べてみたい。新型コロナ感染の非常事態で、あちこち出かけられないので、旅気分を楽しみながらこの映画を観た。(暁)。
ちなみに2020年最後に観た映画が『越年 Lovers』でした。その時の感想をシネマジャーナルHP スタッフ日記に書いています。
・2020年最後に観た映画『越年 Lovers』と2021年最初に観た映画『きらめく拍手の音』(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/479577610.html
台湾、日本、マレーシアの年越しの風景の中で不器用な3組の男女が織りなす恋物語をオムニバスで綴っています。岡本かの子が80年ほど前に書いた小説「越年」と「家霊」に着想を得た台湾の女性監督・郭珍弟が脚本を書きました。
第1話は男性社員が女性社員を帰りしなに平手打ちすることから話がスタート。好きな子に意地悪をしたくなる男の子心理はいくつになってもかわらないもの? 女性には理解できませんね。
第2話は深々と降り積もる雪景色が美しいのですが、見ている方まで寒くて凍ってしまいそう。ともに山形出身の橋本マナミと峯田和伸が互いに想いあっているのに言葉にできないじれったさをじんわりと魅せてくれます。
第3話は(暁)さんも書いているように牡蠣そうめんが美味しいそう。どうやって作るのか、知りたくなります。(堀)
公式サイト:http://etsunen.com
製作:ジェイアンドケイ・エンタテインメント ダイバーシティメディア
花千樹電影有限公司 現代電影沖印股份有限公司 台北市電影委員會
(財)台北市文化基金會 臺北市文化局 臺北市政府
協力:彰化縣 山形県 山形フィルムコミッション
配給・宣伝:ギグリーボックス
後援:台北駐日経済文化代表処
2019年製作/116分/G/台湾・日本合作 中国語 日本語/シネマスコープ
監督・脚本:郭珍弟(グオ・チェンディ)
プロデューサ::片原朋子 吉村和文 饒紫娟 陳世庸
美術:陳炫劭 遠藤雄一郎 VFX:嚴振欽
照明:譚凱富 衣裳指導:黃中觀 宮本まさ江
サウンドデザイン:羅頌策
編集:陳博文
音楽:トマ・フォゲンヌ
原作:岡本かの子「越年 岡本かの子恋愛小説集」(角川文庫)/「老妓抄」(新潮文庫)
出演 役柄(俳優名)
第1部
シャオラン(ヤオ・アイニン)インシューにビンタされた会社員
インシュー(オスカー・チュウ)シャオランをビンタした元同僚
イエナ(レニー・リー)おせっかいなシャオランの同僚
第2部
佐藤寛一(峯田和伸)太郎の幼なじみ
西村碧(橋本マナミ)太郎の恋人
文月(菜葉菜)斎藤先生の娘
太郎(結城貴史)寛一の幼なじみ
第3部
モーリー(ユー・ペイチェン)
チェンナン(ウー・ホインシュウ)
岡本かの子の小説を元に、日本、台湾、マレ ーシアの年越しの風景を舞台に、恋に不器用な3組の男女がが織りなす3つのオムニバス物語。素直になれない風変わりな恋が描かれる。
第1話 台北。会社の帰り、エレベーターに乗ろうとしたら、いきなり同じ会社の男性インシューにビンタされた女性シャオラン(ヤオ・アイニン)。このシーンから始まる。次の日会社に行ったらインシューは前日でやめていた。おせっかいな同僚の女性イエナにあおられ、インシューが住んでいるという迪化街へ二人で探しに行く。なぜ、いきなりビンタをくらったかわからず、会社に訴えるか仕返しするか、二人はインシューを探し歩く。二人はインシューをみつけられるのか。なぜ彼はシャオランをなぐったのか。
第2話 雪の山形が舞台。東京で暮らす寛一の元に親友の太郎から電話があり、故郷の山形に向かう。山形に久しぶりに帰った寛一は幼なじみで初恋相手の碧と数十年ぶりに再会する。斎藤先生の家に幼なじみが集まり新年会。蔵王に行ったり、碧の実家の西村写真館を訪ねたりするが、太郎とは連絡がつかない。山形弁と山形のおいしいものが出てきて、山形県人でなくても郷愁を感じた。太郎は何のために寛一を山形に呼び出したのか。しかし、肝心の太郎はいない。二人の間の進展はあるのか。
第3話 台湾彰化。亡き母が営んでいた食堂を片付けるモーリー。モーリーは片付けながら幼い頃を思い出していた。店には客がいっぱいいて、料理を客に出すのを手伝っていた。彰化は牡蠣の養殖が盛んで、店の自慢料理は牡蠣そうめん。みんなこれを食べていた。チェンナンがやってきて作業を手伝う。水槽には魚がいる。風が強い場所らしい。そして雨まで降ってきた。雨音や雨漏りの中、二人はたわいもない話をする。モーリーは「ここに長くいるつもりはない。この家を売るつもりだから、水槽の魚たちをお願い」と頼む。チェンナンは「本心なのか?」と聞く。そしてトラックで帰っていくのだが…。
恋なのか、そうでないのか、そんな恋心の目覚めのようなものが描かれる。でも、こんな恋があってもいいと思わせてくれる。年越ししたら新しい人生に出会えるかもしれない。
第一話。私にとっては、去年行った台北の迪化街が出てきてびっくり。新型コロナウイルスの影響で海外旅行が制限される直前に台湾に行き、この問屋街にも行った。以前、ここの朝市にも行ったことがある。乾燥海産物がたくさん並んでいた。そして、第一話の伏線に中国の往年の女優・歌手である白光(パイクァン)の映像やマレーシアにある白光の墓地が出てきた。もしかしたら流れていた曲も白光のものだったのかも。調べてみたけど使われた曲の情報はわからずだった。
第二話の舞台は山形で、このところ続けて行っている山形国際ドキュメンタリー映画祭の時に行く場所や食べ物などが出てきてうれしかった。山形駅前、山形交通のバスセンター、霞城公園、蔵王スキー場地蔵岳山頂 樹氷、玉こんにゃくと稲花(いが)餅などなど。しかもこの稲花餅を食べていた喫茶店は、私も入った喫茶店だった。そこで私も稲花餅を食べた(笑)。もっとも、その時期はそこしかやっている店がなかった。それに、渋谷駅のシーンで岡本かの子の息子である岡本太郎の絵が出てきた。そこも、私がいつも通るところ。
第三話に出てくる彰化は行ったことがない場所だったけど、「牡蠣そうめん」がおいしそうだった。食べてみたい。新型コロナ感染の非常事態で、あちこち出かけられないので、旅気分を楽しみながらこの映画を観た。(暁)。
ちなみに2020年最後に観た映画が『越年 Lovers』でした。その時の感想をシネマジャーナルHP スタッフ日記に書いています。
・2020年最後に観た映画『越年 Lovers』と2021年最初に観た映画『きらめく拍手の音』(暁)
http://cinemajournal.seesaa.net/article/479577610.html
台湾、日本、マレーシアの年越しの風景の中で不器用な3組の男女が織りなす恋物語をオムニバスで綴っています。岡本かの子が80年ほど前に書いた小説「越年」と「家霊」に着想を得た台湾の女性監督・郭珍弟が脚本を書きました。
第1話は男性社員が女性社員を帰りしなに平手打ちすることから話がスタート。好きな子に意地悪をしたくなる男の子心理はいくつになってもかわらないもの? 女性には理解できませんね。
第2話は深々と降り積もる雪景色が美しいのですが、見ている方まで寒くて凍ってしまいそう。ともに山形出身の橋本マナミと峯田和伸が互いに想いあっているのに言葉にできないじれったさをじんわりと魅せてくれます。
第3話は(暁)さんも書いているように牡蠣そうめんが美味しいそう。どうやって作るのか、知りたくなります。(堀)
公式サイト:http://etsunen.com
製作:ジェイアンドケイ・エンタテインメント ダイバーシティメディア
花千樹電影有限公司 現代電影沖印股份有限公司 台北市電影委員會
(財)台北市文化基金會 臺北市文化局 臺北市政府
協力:彰化縣 山形県 山形フィルムコミッション
配給・宣伝:ギグリーボックス
後援:台北駐日経済文化代表処
2019年製作/116分/G/台湾・日本合作 中国語 日本語/シネマスコープ
2020年10月25日
私たちの青春、台湾 原題:我們的青春,在台灣
2020/10/31(土)よりポレポレ東中野他全国順次公開!
劇場情報
監督:傅楡(フー・ユー)
製作:洪延儀(ホン・ティンイー)
主題歌:楊彝安(ヤン・イーアン)
出演
陳為廷(チェン・ウェイティン)
蔡博芸(ツァイ・ボーイー)
不安定な台中関係下の台湾で三人の若者は夢見た
台湾ひまわり運動のリーダー、人気ブロガーの中国人留学生。
ドキュメンタリー映画監督がみつけた「私たち」の未来への記録
このドキュメンタリーの主人公は陳為廷(チェン・ウェイティン)と蔡博芸(ツァイ・ボーイー)。
陳為廷は1990年、台湾の苗栗県生まれ。中国政府の脅威に直面したことで、台湾の主権を守りたいと考え、仲間と共に反政府運動を行う学生運動に参加し、2014年に起こったひまわり運動では林飛帆と共にリーダーを務めた。ひまわり運動は23日間に及ぶ立法院を(台湾の国会に相当)占拠。統率が取れた組織力、世界に向けたメディア戦略などで「成功」をおさめたといわれている。しかしカメラは理想の「民主主義」の困難さに直面し多くの課題があったことを映し出した。
蔡博芸は1992年中国湖州生まれ。台湾の大学が2011年、大陸の学生に開放され、留学生第一期生として台湾の大学に留学する。高校生の時に自由や民主主義に興味をもち、台湾に来て、巻き起こっていた社会運動に共鳴し参加することになる。彼女のブログ「我在台湾・我正青春」(台湾で過ごす青春)は話題となり、10万人以上のフォロワーを持つ人気ブロガーになった。台湾の社会運動に参加し、民主主義について積極的に発信する異色の中国人留学生。
二人の姿は社会運動を通し“民主主義”を実現し、未来を切りひらいていく輝きに満ち溢れていた。傅楡監督は二人と出会い、彼らの姿をカメラで記録してゆく。しかし結果的にひまわり運動は、その後、失速していく。それは監督が求めていた未来ではなかったが、その失意は監督自身が自己と向き合うきっかけとなった。
蔡英文総統の再選、女性議員がアジアトップ水準の4割、アジア初の同性婚法制化、優れた新型コロナ対策など、世界で注目される台湾。
2014年のひまわり学生運動に至る道は突然起こったのではなく、1987年の戒厳令解除の以前からある市民運動、学生運動などの流れがあってのこと。歴史を変え理想の民主主義を目指した人たちに出会い、監督は記録を始めたが、社会を変えていくことの難しさ、悩み、もがく若者たちの青春を捕らえた。台湾のひまわり運動、香港の雨傘運動を記録したドキュメンタリーはたくさんありますが、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された作品を参考までに下記に記しています(暁)。
恥ずかしながら台湾のひまわり運動について、この作品を見るまでまったく知りませんでした。2014年、香港の雨傘運動、日本のSEALDsとともにアジアで盛り上がった学生運動1つであり、23日間に及ぶ立法院(日本における国会に相当)占拠や統率の取れた組織力、全世界に向けたメディア戦略などで稀に見る成功を収めた学生運動と言われているそうです。
立法院占拠のきっかけになったのは、国民党による「サービス貿易協定」強行採決で、この内容についてはよく分からかったものの、若者たちが自分たちの未来のために何を考え、どう行動したのかは伝わってきます。まだまだ世の中、捨てたもんじゃないと思った一方で、占拠した立法院内で今後の方向性を決めるのは、一部のリーダーたちによる密室での会議というのはいかがなものか。全員で話し合うのは難しいけれど、選ばれた人しか入れない密室での会議では彼らが否定した政治の仕組みを変わらない。民主主義って言葉を掲げるのは簡単ですが、それを本当に行うのは難しいのですね。
ドキュメンタリー映画のいいところは、知らなかったことを学び、考える機会になることだとこの作品で改めて実感しました。(堀)
公式HP
2017年製作/116分/G/台湾
配給:太秦
参考作品(暁)
●山形国際ドキュメンタリー映画祭2015で上映されたもの
『太陽花(ひまわり)占拠』 原題:太陽、不遠
英題:Sunflower Occupation
監督:太陽花運動映像記録プロジェクト[傅榆(フー・ユィ)、王佩芬(ワン・ペイフェン)、陳育青(チェン・ユィチン)、蔡崇隆(ツァイ・チョンロン)、蔡静茹(ツァイ・チンルー)、黃兆徽(ホアン・チャオフイ)、李家驊(リー・ジアホア)、李惠仁(リ・ホイレン)、周世倫(チョウ・シィルン)]
台湾/2014/中国語/カラー/Blu-ray/120分
多くの独立系映像制作者が参加し台湾立法院占拠を様々な角度から捕らえたもの。傅榆(フー・ユィ)監督も参加している。
https://www.yidff.jp/2015/cat041/15c062.html
『革命まで』 原題:幾乎是,革命
英題:Almost a Revolution
香港/2015/広東語/カラー/Blu-ray/174分
監督・脚本:郭達俊(クォック・タッチュン)、江瓊珠(コン・キンチュー)
撮影、編集、録音、提供:郭達俊
雨傘革命を記録したドキュメンタリー。
https://www.yidff.jp/2015/cat041/15c061.html
*シネマジャーナルHP 特別記事『革命まで』
郭達俊監督&江瓊珠監督インタビュー記事
http://www.cinemajournal.net/special/2016/kakumeimade/index.html
●山形国際ドキュメンタリー映画祭2017で上映されたもの
『乱世備忘 ― 僕らの雨傘運動』
(山形国際ドキュメンタリー映画祭2017で上映後、日本公開)
香港/2016/広東語/カラー/Blu-ray/128分
監督、撮影:陳梓桓(チャン・ジーウン)
雨傘革命を記録したドキュメンタリー。
https://www.yidff.jp/2017/cat041/17c046.html
*シネマジャーナルHP 特別記事
『乱世備忘 ― 僕らの雨傘運動』陳梓桓監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yellowing/index.html
劇場情報
監督:傅楡(フー・ユー)
製作:洪延儀(ホン・ティンイー)
主題歌:楊彝安(ヤン・イーアン)
出演
陳為廷(チェン・ウェイティン)
蔡博芸(ツァイ・ボーイー)
不安定な台中関係下の台湾で三人の若者は夢見た
台湾ひまわり運動のリーダー、人気ブロガーの中国人留学生。
ドキュメンタリー映画監督がみつけた「私たち」の未来への記録
このドキュメンタリーの主人公は陳為廷(チェン・ウェイティン)と蔡博芸(ツァイ・ボーイー)。
陳為廷は1990年、台湾の苗栗県生まれ。中国政府の脅威に直面したことで、台湾の主権を守りたいと考え、仲間と共に反政府運動を行う学生運動に参加し、2014年に起こったひまわり運動では林飛帆と共にリーダーを務めた。ひまわり運動は23日間に及ぶ立法院を(台湾の国会に相当)占拠。統率が取れた組織力、世界に向けたメディア戦略などで「成功」をおさめたといわれている。しかしカメラは理想の「民主主義」の困難さに直面し多くの課題があったことを映し出した。
蔡博芸は1992年中国湖州生まれ。台湾の大学が2011年、大陸の学生に開放され、留学生第一期生として台湾の大学に留学する。高校生の時に自由や民主主義に興味をもち、台湾に来て、巻き起こっていた社会運動に共鳴し参加することになる。彼女のブログ「我在台湾・我正青春」(台湾で過ごす青春)は話題となり、10万人以上のフォロワーを持つ人気ブロガーになった。台湾の社会運動に参加し、民主主義について積極的に発信する異色の中国人留学生。
二人の姿は社会運動を通し“民主主義”を実現し、未来を切りひらいていく輝きに満ち溢れていた。傅楡監督は二人と出会い、彼らの姿をカメラで記録してゆく。しかし結果的にひまわり運動は、その後、失速していく。それは監督が求めていた未来ではなかったが、その失意は監督自身が自己と向き合うきっかけとなった。
蔡英文総統の再選、女性議員がアジアトップ水準の4割、アジア初の同性婚法制化、優れた新型コロナ対策など、世界で注目される台湾。
2014年のひまわり学生運動に至る道は突然起こったのではなく、1987年の戒厳令解除の以前からある市民運動、学生運動などの流れがあってのこと。歴史を変え理想の民主主義を目指した人たちに出会い、監督は記録を始めたが、社会を変えていくことの難しさ、悩み、もがく若者たちの青春を捕らえた。台湾のひまわり運動、香港の雨傘運動を記録したドキュメンタリーはたくさんありますが、山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映された作品を参考までに下記に記しています(暁)。
恥ずかしながら台湾のひまわり運動について、この作品を見るまでまったく知りませんでした。2014年、香港の雨傘運動、日本のSEALDsとともにアジアで盛り上がった学生運動1つであり、23日間に及ぶ立法院(日本における国会に相当)占拠や統率の取れた組織力、全世界に向けたメディア戦略などで稀に見る成功を収めた学生運動と言われているそうです。
立法院占拠のきっかけになったのは、国民党による「サービス貿易協定」強行採決で、この内容についてはよく分からかったものの、若者たちが自分たちの未来のために何を考え、どう行動したのかは伝わってきます。まだまだ世の中、捨てたもんじゃないと思った一方で、占拠した立法院内で今後の方向性を決めるのは、一部のリーダーたちによる密室での会議というのはいかがなものか。全員で話し合うのは難しいけれど、選ばれた人しか入れない密室での会議では彼らが否定した政治の仕組みを変わらない。民主主義って言葉を掲げるのは簡単ですが、それを本当に行うのは難しいのですね。
ドキュメンタリー映画のいいところは、知らなかったことを学び、考える機会になることだとこの作品で改めて実感しました。(堀)
公式HP
2017年製作/116分/G/台湾
配給:太秦
参考作品(暁)
●山形国際ドキュメンタリー映画祭2015で上映されたもの
『太陽花(ひまわり)占拠』 原題:太陽、不遠
英題:Sunflower Occupation
監督:太陽花運動映像記録プロジェクト[傅榆(フー・ユィ)、王佩芬(ワン・ペイフェン)、陳育青(チェン・ユィチン)、蔡崇隆(ツァイ・チョンロン)、蔡静茹(ツァイ・チンルー)、黃兆徽(ホアン・チャオフイ)、李家驊(リー・ジアホア)、李惠仁(リ・ホイレン)、周世倫(チョウ・シィルン)]
台湾/2014/中国語/カラー/Blu-ray/120分
多くの独立系映像制作者が参加し台湾立法院占拠を様々な角度から捕らえたもの。傅榆(フー・ユィ)監督も参加している。
https://www.yidff.jp/2015/cat041/15c062.html
『革命まで』 原題:幾乎是,革命
英題:Almost a Revolution
香港/2015/広東語/カラー/Blu-ray/174分
監督・脚本:郭達俊(クォック・タッチュン)、江瓊珠(コン・キンチュー)
撮影、編集、録音、提供:郭達俊
雨傘革命を記録したドキュメンタリー。
https://www.yidff.jp/2015/cat041/15c061.html
*シネマジャーナルHP 特別記事『革命まで』
郭達俊監督&江瓊珠監督インタビュー記事
http://www.cinemajournal.net/special/2016/kakumeimade/index.html
●山形国際ドキュメンタリー映画祭2017で上映されたもの
『乱世備忘 ― 僕らの雨傘運動』
(山形国際ドキュメンタリー映画祭2017で上映後、日本公開)
香港/2016/広東語/カラー/Blu-ray/128分
監督、撮影:陳梓桓(チャン・ジーウン)
雨傘革命を記録したドキュメンタリー。
https://www.yidff.jp/2017/cat041/17c046.html
*シネマジャーナルHP 特別記事
『乱世備忘 ― 僕らの雨傘運動』陳梓桓監督インタビュー
http://www.cinemajournal.net/special/2017/yellowing/index.html