9/20(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開 劇場情報
変わらないハサミの音、シャボンの香り、
ここは、アールイさんのちいさな理髪店。
監督・脚本:傅天余(フー・ティエンユー)
製作:呉念真(ウー・ニェンチェン)、呉明憲(ウー・ミンシェン)
撮影:チャン・シータン
音楽:ジョン・シンミン
主題歌:洪佩瑜(ホン・ペイユー)
アールイ:陸小芬(ルー・シャオフェン)
チュアン:傅孟柏(フー・モンボー)
シン:陳庭妮(アニー・チェン)
リン:方志友(ファン・ジーヨウ)
ナン:施名帥(シー・ミンシュアイ)
農家の若者:陳柏霖(チェン・ボーリン)
アンディ:林柏宏(リン・ボーホン)
フー・ティエンユー監督が、自分の母親をモデルに書き上げた脚本を元に、台中にある実家の理髪店で撮影、3年の月日をかけて完成させた作品。ノスタルジックだけど、理髪店を利用する常連客とのやりとり、家族間の微妙な関係、時の流れとともに「老い」の訪れがあり、それでも理髪店を続ける母を暖かい目で見つめます。
台中の町はずれで40年にわたり理髪店を営む店主のアールイ(ルー・シャオフェン)。今日も、いつものように店に立ち、常連客相手にハサミの音を響かせている。息子の卒業式に出席するために整髪にやって来た紳士、夢枕に立った亡き妻に「髪は黒いほうが良い」と言われ、初めて白髪染めにやって来る老人、親に内緒で流行りのヘアスタイルにして欲しいとやってきた中学生など、けっこう忙しい。時が止まったように見える店も、少しづつ季節は巡る。
3人の子どもたちはすでに家を出て、それぞれの道を歩んでいるがアールイの心配は尽きない。台北でスタイリストをしている長女シン(アニー・チェン)、次女リン(ファン・ジーヨウ)は街のヘアサロンで美容師、長男ナン(シー・ミンシュアイ)は定職に就かぬまま一攫千金を夢見ている。子供たちは実家の店にはなかなか顔を見せず、頼りになるのは近くで自動車修理店を営む次女の元夫チュアン(フー・モンボー)だけ。
娘や息子に「理髪店は時代遅れ」と言われても、40年続けた店と常連客を大切にし、アールイは充実した日々を送っている。そんなある日、離れた町から通ってくれていた常連客の「先生」が病の床に伏し、理髪店に通えなくなったことを知り、アールイは、店に「本日公休」の札を掲げ、愛用の理髪道具を持ち、古びた愛車で「先生」の住む町へ向かう。
その日実家を訪れた長女のシンは、母が店を休んでいることを知り、ナンやリンに理由を聞くが誰も知らない。スマホは食卓に置きっぱなしで連絡も取れず、車もなく、3人は母を案じていた。
アールイは車で出かけたものの、久しぶりの運転で慣れず、アクシデントに見舞われ、それでもいろいろな人に助けられ、「先生」の家にたどり着き、散髪をすることができた。
主演は、本作で24年ぶりに銀幕復帰を果たした『客途秋恨』(アン・ホイ監督/90)で母親役を演じたルー・シャオフェン。「こんな脚本をずっと待っていた」と出演を即決し、約4か月間ヘアカットの猛特訓を積んで撮影に臨んだ。本物の理髪師さながらのハサミ捌きと、ブランクを感じさせない演技で、台北電影奨主演女優賞、大阪アジアン映画祭 薬師真珠賞(俳優賞)を受賞。作品は観客賞も受賞。アールイに反発的な次女リンを演じたファン・ジーヨウが台湾金馬奨 助演女優賞、次女の元夫で心優しいチュアンを演じたフー・モンボー(『返校 言葉が消えた日』19)が台北電影奨 助演男優賞を受賞した。『藍色夏恋』(02)のチェン・ボーリン、『僕と幽霊が家族になった件』(22)のリン・ボーホンが、特別出演しています。
プロデュースは、ホウ・シャオシェン監督『悲情城市』(89)、『恋恋風塵』(87)の共同脚本で知られ、エドワード・ヤン監督『ヤンヤン 夏の想い出』(00)の主演で知られる台湾ニューシネマの重鎮ウー・ニェンチェンが担当。
遠方に住む顧客の1人が病気になり理髪店に通えなくなったことを知り、店に「本日公休」の札を下げ、道具を持って車で自らそこまで出向こうとする主人公。途中でいろいろなことがあり、出会いもあり、人の助けも借りて顧客の家にたどりつき、病床の常連客の髪を切る。そして家に戻る。そんな一日を描いていたが、なんとも心にしみる作品だった。病床で髪を切るシーンでは、思わず涙が出た。子供たちとの関係、常連客との関係、助けてくれる次女の元夫。途中で出会った農民役?のチェン・ボーリンとの話も面白い。畑のど真ん中で、散髪する光景は圧巻だった。そして、仕事が終わり、理髪店に戻って、日常がまた始まる。でも、それまでとちょっと違うような日常のような気がした(暁)。
公式HPはこちら
2023年製作/106分/G/台湾
配給:ザジフィルムズ、オリオフィルムズ
協力:大阪アジアン映画祭
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
2024年09月15日
2024年07月25日
台北アフタースクール 原題:成功補習班 英題:After School
7月26日(金)よりシネマート新宿他、全国順次公開!
(C)2023 Drama Draft Dragon Film Production Co., Ltd.
監督が亡き恩師をモデルに描いた青春回顧録
監督:藍正龍(ラン・ジェンロン)
出演:詹懷雲(ジャン・ファイユン)、邱以太(チウ・イータイ)、巫建和(ウー・ジエンハー)、林奕嵐(シャーリーズ・ラム)、侯彥西(ホウ・イエンシー)
字幕:小木曽三希子/字幕協力: 東京国際映画祭
大人になって忘れていた、大切な“何か”を思い出す
監督は、台湾のドラマ「アウトサイダー〜闘魚〜」でブレイクした人気俳優ラン・ジェンロン。亡き恩師陳俊志(ミッキー・チェン)と監督との実話をもとに、懐かしい青春の日々を描いた。数々の映画やドラマへの出演で注目を浴びたラン監督が、初監督作『ぼくの人魚姫』に続き、メガホンを取った青春回想録。
1994年、台北の予備校「成功補習班」に通っていた3人組、チャン・ジェンハン、チェン・シャン、ワン・シャンハー。高校3年、大学入試まであと約1か月。成功補習班に代理講師が着任してくる。それが、彼らの人生を大きく変えることになるシャオジー先生との出会いだった。受験勉強という枠にとらわれない授業で、生徒たちに寄り添い、彼らの心を掴む。自分の信じる道を進み、自分らしく生きる先生と過ごすうちに、3人は自分自身と向き合い、自分を見つめ直していく。
イタズラ好きな彼らは予備校で「成功三剣士」と呼ばれた問題児。卒業後それぞれの道を歩んでいた3人は、入院中の恩師、シャオジー先生のお見舞いを機に久しぶりの再会を果たした。先生の言葉をきっかけにかつての予備校へ足を踏み入れると、そこに残された自らの青春に触れ、懐かしい日々が次々と蘇ってきた。
新進気鋭の俳優から実力派俳優まで多彩な俳優陣が集結。第36回東京国際映画祭(2023)ワールド・フォーカス部門に選出され(「成功補習班」というタイトル)、第25回台北映画祭クロージング作品として上映された。
公式HP
2023年/台湾/シネスコ/5.1ch/118分/中国語
ワールド・フォーカス台湾電影ルネッサンス2023
共催:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
字幕協力: 東京国際映画祭/配給:ライツキューブ
(C)2023 Drama Draft Dragon Film Production Co., Ltd.
監督が亡き恩師をモデルに描いた青春回顧録
監督:藍正龍(ラン・ジェンロン)
出演:詹懷雲(ジャン・ファイユン)、邱以太(チウ・イータイ)、巫建和(ウー・ジエンハー)、林奕嵐(シャーリーズ・ラム)、侯彥西(ホウ・イエンシー)
字幕:小木曽三希子/字幕協力: 東京国際映画祭
大人になって忘れていた、大切な“何か”を思い出す
監督は、台湾のドラマ「アウトサイダー〜闘魚〜」でブレイクした人気俳優ラン・ジェンロン。亡き恩師陳俊志(ミッキー・チェン)と監督との実話をもとに、懐かしい青春の日々を描いた。数々の映画やドラマへの出演で注目を浴びたラン監督が、初監督作『ぼくの人魚姫』に続き、メガホンを取った青春回想録。
1994年、台北の予備校「成功補習班」に通っていた3人組、チャン・ジェンハン、チェン・シャン、ワン・シャンハー。高校3年、大学入試まであと約1か月。成功補習班に代理講師が着任してくる。それが、彼らの人生を大きく変えることになるシャオジー先生との出会いだった。受験勉強という枠にとらわれない授業で、生徒たちに寄り添い、彼らの心を掴む。自分の信じる道を進み、自分らしく生きる先生と過ごすうちに、3人は自分自身と向き合い、自分を見つめ直していく。
イタズラ好きな彼らは予備校で「成功三剣士」と呼ばれた問題児。卒業後それぞれの道を歩んでいた3人は、入院中の恩師、シャオジー先生のお見舞いを機に久しぶりの再会を果たした。先生の言葉をきっかけにかつての予備校へ足を踏み入れると、そこに残された自らの青春に触れ、懐かしい日々が次々と蘇ってきた。
新進気鋭の俳優から実力派俳優まで多彩な俳優陣が集結。第36回東京国際映画祭(2023)ワールド・フォーカス部門に選出され(「成功補習班」というタイトル)、第25回台北映画祭クロージング作品として上映された。
公式HP
2023年/台湾/シネスコ/5.1ch/118分/中国語
ワールド・フォーカス台湾電影ルネッサンス2023
共催:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
字幕協力: 東京国際映画祭/配給:ライツキューブ
2024年07月04日
郷愁鉄路~台湾、こころの旅~ 原題:南方、寂寞鐵道 英題:On The Train
7月5日(金)新宿武蔵野館ほか全国順次公開 その他劇場情報
美しい台湾南部の風景、そこに生きる鉄道員とその家族たち、険しい自然と人間の諦めない戦い、この土地に残る人々の記憶
監督:簫菊貞(シャオ・ジュイジェン)
プロデューサー:陳博文(チェン・ボーウェン)、沈邑頴(シェン・イーイン)
音楽:陳明章/陳明章音楽工作有限公司(チェン・ミンジャン)、謝韻雅/MIA(シェ・ユンヤー)
編集:陳博文(チェン・ボーウェン)/陳昱璁(チェン・ユーツォン)
音響:杜篤之(ドゥ・ドゥーチー)/謝青㚬(シェ・チンジュン)
日本語字幕:樋口裕子
台湾南部の鉄道路線「南廻線」。「南廻線」を支える鉄道員とその家族、そして同線を愛する人々の想いを記録した台湾初の鉄道文化ドキュメンタリー作品『郷愁鉄路~台湾、こころの旅~』。
屏東県枋寮駅から台東県台東駅までを結ぶこの路線は、パイナップル畑や、線路の近くまで迫る海など大自然の中をSLやディーゼル列車がのんびりと走り抜ける旅情豊かな路線だったそうですが、2020年に全線電化され、その模様は変化を遂げました。
台湾でドキュメンタリー監督として活躍し、山形ドキュメンタリー映画祭にも出品経験のあるシャオ・ジュイジェン監督が4年の歳月をかけ、失われていく沿線の原風景と鉄路をカメラにおさめ、鉄道員やその家族、「南廻線」を愛する人々の想いを記録として残しています。
台湾には5回行ったけど、台北以北しか行ったことがない。九份へ行くのに台北から電車で行ったこともあるし、そこからさらに平溪線に乗り、『台北に舞う雪』の舞台である平溪線終点の菁桐駅まで行ったこともある。そして、いつか台北以南の列車の旅にも行ってみたいと思っていた。台湾一周もしたいと思っていたけど、バスで行くか列車で行くのがいいのか、漠然と考えてはいた。そんな時、この映画を観たので、これは断然列車での一周だなと思った。
この「南廻線」というのは、旅情豊かな路線だと思ったし、それを支えてきた人々の思いがひしひしと伝わってきた。日本もそうだけど、電化されたことで早く行けたり、便利にはなっただろうけど、人情とか旅情は変わってしまったかもしれない。でも、この映画で沿線の景色を見たら、いつか行ってみたいと思った(暁)。
公式サイトアドレス:https://on-the-train-movie.musashino-k.jp/
製作:Pineal Culture Studio(上善醫文化工作室)
2023年/台湾/106分/DCP/
翻訳協力:小田急電鉄株式会社/G
配給:武蔵野エンタテインメント
6月1日にはシャオ・ジュイジェン監督が来日しての上映会とトークショーが行われた。
*参照記事
シネマジャーナルHP 特別記事 2010年
台湾ロケ地めぐり 平渓線沿線 『台北に舞う雪』公開記念
http://www.cinemajournal.net/special/2010/pingxi/index.html
シネマジャーナルHP スタッフ日記 2024年
台湾映画・台湾関連映画を5本も観た1週間(暁) 『春行』『中村地平』『狼が羊に恋をするとき』『村と爆弾』『郷愁鉄路』
http://cinemajournal.seesaa.net/article/503671145.html
美しい台湾南部の風景、そこに生きる鉄道員とその家族たち、険しい自然と人間の諦めない戦い、この土地に残る人々の記憶
監督:簫菊貞(シャオ・ジュイジェン)
プロデューサー:陳博文(チェン・ボーウェン)、沈邑頴(シェン・イーイン)
音楽:陳明章/陳明章音楽工作有限公司(チェン・ミンジャン)、謝韻雅/MIA(シェ・ユンヤー)
編集:陳博文(チェン・ボーウェン)/陳昱璁(チェン・ユーツォン)
音響:杜篤之(ドゥ・ドゥーチー)/謝青㚬(シェ・チンジュン)
日本語字幕:樋口裕子
台湾南部の鉄道路線「南廻線」。「南廻線」を支える鉄道員とその家族、そして同線を愛する人々の想いを記録した台湾初の鉄道文化ドキュメンタリー作品『郷愁鉄路~台湾、こころの旅~』。
屏東県枋寮駅から台東県台東駅までを結ぶこの路線は、パイナップル畑や、線路の近くまで迫る海など大自然の中をSLやディーゼル列車がのんびりと走り抜ける旅情豊かな路線だったそうですが、2020年に全線電化され、その模様は変化を遂げました。
台湾でドキュメンタリー監督として活躍し、山形ドキュメンタリー映画祭にも出品経験のあるシャオ・ジュイジェン監督が4年の歳月をかけ、失われていく沿線の原風景と鉄路をカメラにおさめ、鉄道員やその家族、「南廻線」を愛する人々の想いを記録として残しています。
台湾には5回行ったけど、台北以北しか行ったことがない。九份へ行くのに台北から電車で行ったこともあるし、そこからさらに平溪線に乗り、『台北に舞う雪』の舞台である平溪線終点の菁桐駅まで行ったこともある。そして、いつか台北以南の列車の旅にも行ってみたいと思っていた。台湾一周もしたいと思っていたけど、バスで行くか列車で行くのがいいのか、漠然と考えてはいた。そんな時、この映画を観たので、これは断然列車での一周だなと思った。
この「南廻線」というのは、旅情豊かな路線だと思ったし、それを支えてきた人々の思いがひしひしと伝わってきた。日本もそうだけど、電化されたことで早く行けたり、便利にはなっただろうけど、人情とか旅情は変わってしまったかもしれない。でも、この映画で沿線の景色を見たら、いつか行ってみたいと思った(暁)。
公式サイトアドレス:https://on-the-train-movie.musashino-k.jp/
製作:Pineal Culture Studio(上善醫文化工作室)
2023年/台湾/106分/DCP/
翻訳協力:小田急電鉄株式会社/G
配給:武蔵野エンタテインメント
6月1日にはシャオ・ジュイジェン監督が来日しての上映会とトークショーが行われた。
*参照記事
シネマジャーナルHP 特別記事 2010年
台湾ロケ地めぐり 平渓線沿線 『台北に舞う雪』公開記念
http://www.cinemajournal.net/special/2010/pingxi/index.html
シネマジャーナルHP スタッフ日記 2024年
台湾映画・台湾関連映画を5本も観た1週間(暁) 『春行』『中村地平』『狼が羊に恋をするとき』『村と爆弾』『郷愁鉄路』
http://cinemajournal.seesaa.net/article/503671145.html
2024年06月02日
狼が羊に恋をするとき 原題:南方小羊牧場 英題:When a Wolf Falls in Love with a Sheep
2024年6月14日(金)より下北沢トリウッドにて公開
「予備校に行くね」と、恋人はメモを残し姿を消した
プロデューサー:廖士涵(リャオ・シーハン)
監督・脚本:侯季然(ホウ・チーラン)
脚本:ヤン・ユエンリン(楊元鈴)、ホー・シンミン(何昕明)、チェン・チンヨウ(陳慶祐)
字幕:鈴木真理子
出演:柯震東(クー・チェンドン)、簡嫚書(ジエン・マンシュウ)、郭書瑤(グオ・シューヤオ)、蔡振南(ツァイ・チェンナン)、張書豪(チャン・シューハオ)、謝欣穎(シエ・シンイン)、林慶台(リン・チンタイ)
本作は2012年秋の台湾公開後、日本ではSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013長編コンペティション部門、カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2014(東京)、台湾映画祭2015(福岡)と相次いで上映されたが、一般公開はされないままだった。その作品が10年の時を経て公開される。
*参照記事
シネマジャーナルHP 特別記事
「祝10周年! SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」記事はこちら
この中に『狼が羊に恋をするとき』の紹介あり
「予備校に行くね」というメモを残し、恋人のイーインが姿を消してしまった。落ち込むタンだったが、彼女を捜しにやってきたのは台北駅近くの予備校が集まる「南陽街」。タンはひょんなことから印刷屋の店長に拾われ住み込みで働き始める。近隣の予備校から依頼されるテスト用紙の印刷に明け暮れるうち、とある予備校の原稿に羊のイラストが描かれていることに気が付く。羊のイラストを描いていたのは「必勝予備校」のアシスタント・小羊(シャオヤン)だった。イラストレーターを目指す彼女は、海外留学してしまった元カレの帰りをこの予備校で働きながら待っていた。タンはある日、羊のイラストが描かれたテスト用紙の原稿に遊び心から狼のイラストを描き足してしまい、間違って印刷してしまう。印刷されたテスト用紙は納品されてしまい、テスト用紙上で狼と羊は会話を始めてしまう。このことは、瞬く間に学生たちの話題になっていった。「狼は誰?」。そんなある日、タンはシャオヤンが元カレのことをあきらめこの街を去ろうとしていることを知る。
実写に、アニメーションやコマ撮りの映像を加え、独特の世界観を創り出した本作は、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督がプロデュースした『有一天(ONE DAY)』(10)で長編デビューしたホウ・チーラン監督。長編2作目である。10年も前の作品なのに古さを感じない。
主演は『赤い糸 輪廻のひみつ』のクー・チェンドン。大ヒット青春映画『あの頃、君を追いかけた』に続く主演2作目。そしてクー・チェンドンの相手役を演じたジエン・マンシュウにとっては、映画初出演にして初主演となる記念碑的作品だった。ふたりの初々しさがまぶしい。そして、その後の活躍を予感させる演技だった。
2013年の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」で観たが、まさか10年もたって日本公開されるとは思ってもみなかった。でも、今、観ても古くない。予備校街の光景は、今もこんな状態なのかもと思ったし、二人の初々しい演技を観て、若々しさを感じた。
試験用紙に、羊のイラストを描いてしまうなんていうのは、日本では考えられないけど、台湾ではそういう遊び心が通じるのだろうか。受験生のつかの間の癒しになっていたというのが、ちょっと面白かった(暁)。
2012年/台湾/85分/カラー/シネスコ/5.1ch/
配給:台湾映画同好会 配給協力:台湾映画社
協力:SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、トリウッド
作品HP:https://note.com/sheeplovermovie/
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=VxLgeXkip1s
「予備校に行くね」と、恋人はメモを残し姿を消した
プロデューサー:廖士涵(リャオ・シーハン)
監督・脚本:侯季然(ホウ・チーラン)
脚本:ヤン・ユエンリン(楊元鈴)、ホー・シンミン(何昕明)、チェン・チンヨウ(陳慶祐)
字幕:鈴木真理子
出演:柯震東(クー・チェンドン)、簡嫚書(ジエン・マンシュウ)、郭書瑤(グオ・シューヤオ)、蔡振南(ツァイ・チェンナン)、張書豪(チャン・シューハオ)、謝欣穎(シエ・シンイン)、林慶台(リン・チンタイ)
本作は2012年秋の台湾公開後、日本ではSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2013長編コンペティション部門、カリテ・ファンタスティック!シネマコレクション2014(東京)、台湾映画祭2015(福岡)と相次いで上映されたが、一般公開はされないままだった。その作品が10年の時を経て公開される。
*参照記事
シネマジャーナルHP 特別記事
「祝10周年! SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」記事はこちら
この中に『狼が羊に恋をするとき』の紹介あり
「予備校に行くね」というメモを残し、恋人のイーインが姿を消してしまった。落ち込むタンだったが、彼女を捜しにやってきたのは台北駅近くの予備校が集まる「南陽街」。タンはひょんなことから印刷屋の店長に拾われ住み込みで働き始める。近隣の予備校から依頼されるテスト用紙の印刷に明け暮れるうち、とある予備校の原稿に羊のイラストが描かれていることに気が付く。羊のイラストを描いていたのは「必勝予備校」のアシスタント・小羊(シャオヤン)だった。イラストレーターを目指す彼女は、海外留学してしまった元カレの帰りをこの予備校で働きながら待っていた。タンはある日、羊のイラストが描かれたテスト用紙の原稿に遊び心から狼のイラストを描き足してしまい、間違って印刷してしまう。印刷されたテスト用紙は納品されてしまい、テスト用紙上で狼と羊は会話を始めてしまう。このことは、瞬く間に学生たちの話題になっていった。「狼は誰?」。そんなある日、タンはシャオヤンが元カレのことをあきらめこの街を去ろうとしていることを知る。
実写に、アニメーションやコマ撮りの映像を加え、独特の世界観を創り出した本作は、侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督がプロデュースした『有一天(ONE DAY)』(10)で長編デビューしたホウ・チーラン監督。長編2作目である。10年も前の作品なのに古さを感じない。
主演は『赤い糸 輪廻のひみつ』のクー・チェンドン。大ヒット青春映画『あの頃、君を追いかけた』に続く主演2作目。そしてクー・チェンドンの相手役を演じたジエン・マンシュウにとっては、映画初出演にして初主演となる記念碑的作品だった。ふたりの初々しさがまぶしい。そして、その後の活躍を予感させる演技だった。
2013年の「SKIPシティ国際Dシネマ映画祭」で観たが、まさか10年もたって日本公開されるとは思ってもみなかった。でも、今、観ても古くない。予備校街の光景は、今もこんな状態なのかもと思ったし、二人の初々しい演技を観て、若々しさを感じた。
試験用紙に、羊のイラストを描いてしまうなんていうのは、日本では考えられないけど、台湾ではそういう遊び心が通じるのだろうか。受験生のつかの間の癒しになっていたというのが、ちょっと面白かった(暁)。
2012年/台湾/85分/カラー/シネスコ/5.1ch/
配給:台湾映画同好会 配給協力:台湾映画社
協力:SKIPシティ国際Dシネマ映画祭、トリウッド
作品HP:https://note.com/sheeplovermovie/
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=VxLgeXkip1s
2024年04月19日
赤い糸 輪廻のひみつ 原題:月老 Till We Meet Again ★4/19再ロードショー
監督・脚本:ギデンズ・コー
出演:クー・チェンドン、ビビアン・ソン、ワン・ジン、マー・ジーシアン
落雷で命を落とし冥界に連れてこられた青年・孝綸(シャオルン)。生前の記憶をすっかり失くしていた。 同じく若くして命を落とし冥界にやってきた女性ピンキーとともに、〈 月老ユエラオ 〉として現世で人々の縁結びをすることになる。
ある日、ふたりの前に1頭の犬が現れ、 シャオルンは失っていた記憶を取り戻す。それは初恋の 小咪(シャオミー)に、果たせないままに終わってしまった“ある約束”だった・・・
月老(ユエラオ)の法則
その1.ジェンダーもセクシュアリティも何物も愛を妨げない
その2.赤い糸で結ばれると、愛が実るまで命が尽きることはない
『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー監督が、再び、クー・チェンドンとタッグを組んだ映画『赤い糸 輪廻のひみつ』。
2011年の東京国際映画祭で『あの頃、君を追いかけた』を観て、間違いなくこの年一番の映画と確信するほど気に入って、その後、何度か観た大好きな映画。
『あの頃、君を追いかけた』で、高校生役を演じたクー・チェンドンが、10年経って、どんな姿を見せてくれるのかと、昨年、12月22日に『赤い糸 輪廻のひみつ』が公開された時に、絶対観たいと思ったのですが、シネマート新宿での上映時間が私の予定と合わなくて、見損ねてしまったのでした。
この度、下北沢トリウッドと、塚口サンサン劇場での再ロードショーが決まり、拝見させていただくことができました。
クー・チェンドンは、すっかり大人になりましたが、ふっと見せる、してやったり~という表情や、不良っぽい雰囲気がたまりません。 かと思えば、生前の自分への反省からか涙することも。
ビビアン・ソン演じるシャオミーも、実にキュート。
またまたギデンズ・コー監督にしてやられました!
(公式サイトに掲載されている山崎貴監督のコメントと期せずして同じような表現になってしまいました!)
見逃していた方、もう一度観たい方、ぜひこの機会にご覧ください。(咲)
『赤い糸 輪廻のひみつ』 2023年12月22日公開時の紹介
http://cinejour2019ikoufilm.seesaa.net/article/501822320.html
『あの頃、君を追いかけた』2013年9月14日公開時の紹介
http://www.cinemajournal.net/review/2013/index.html#anokoro_kimiwo
2021年/台湾/128分/カラー/シネスコ/5.1ch
後援:台北駐日経済文化代表処 台湾文化センター
配給:台湾映画社、台湾映画同好会
公式サイト:https://taiwanfilm.net/yuelao/
★2024年4月19日(金)より下北沢トリウッドにて再ロードショー
兵庫県・塚口サンサン劇場: 5/3(金・祝)~5/9(木)