2022年08月16日
WKW 4K ウォン・カーウァイ 4K
第53回カンヌ国際映画祭にてトニー・レオンが主演男優賞を獲得し、ウォン・カーウァイ監督の代表作となった『花様年華』(2000)。その制作20周年を記念し、監督自らの手により過去作を4Kレストアするプロジェクトが実施されました。その中より、珠玉の5作品『恋する惑星』『天使の涙』『ブエノスアイレス』『花様年華』『2046』がスクリーン上映されます。
この度のレストアについて、ウォン・カーウァイ監督自身、「単なる焼き直しではなく、新たに生まれ変わった作品」とコメントされています。画面サイズ、色味など、かなり多くの箇所が修正されている点にもご注目ください。
公式サイト:http://unpfilm.com/wkw4k/
★2022年8月19日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
『恋する惑星 4K』原題:重慶森林/英題:Chungking Express
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル、アンドリュー・ラウ
出演:トニー・レオン、フェイ・ウォン、ブリジット・リン、金城武、ヴァレリー・チョウ
1994年/香港/102分/1.66:1/広東語/5.1ch
刑事223号は、別れた恋人が好きだったパイナップルの缶詰を買い続けていた。だが、彼女を忘れるため、バーの片隅で出会った金髪の女性に声をかけて一夜を過ごすことになる。その頃、刑事223号もよく立ち寄る小食店に新しい店員が入ってくる。新入りのフェイは、夜食を買いに来た警官663号に恋心を抱き、偶然手に入れた彼の家の鍵で部屋に忍び込み……。
★シネマジャーナル 33号(1995年6月発行)『恋する惑星』金城武来日会見(1995年5月)
Webでお読みいただけます。
http://www.cinemajournal.net/bn/33/chungking.html
『天使の涙 4K』原題:墮落天使/英題:Fallen Angels
監督・脚本:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル
出演:レオン・ライ、ミシェール・リー、金城武、チャーリー・ヤン、カレン・モク
1995年/香港/99分/2.39:1/広東語/5.1ch
エージェントの女は、仕事以外で顔を合わせることがほぼない殺し屋の男に密かな恋心を抱いていた。足を洗いたいと考えている殺し屋はある大雨の日、金髪の女に出会い、互いのぬくもりを求める。一方、期限切れのパイナップル缶を食べて口がきけなくなったモウは、夜な夜な他人の店で勝手な商売を楽しむ日々。そんな中、失恋娘と出会い初めての恋をする。
★シネマジャーナル37号(1996年6月発行)
特集『天使の涙』王家衛監督、金城武 来日会見
Webでお読みいただけます。
http://www.cinemajournal.net/bn/37/angels.html
『ブエノスアイレス 4K』原題:春光乍洩/英題:Happy Together
監督・脚本・製作:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル
出演:トニー・レオン、レスリー・チャン、チャン・チェン
1997年/香港/96分/1.85:1/広東語・中国語・スペイン語/5.1ch
香港から南米アルゼンチンへやって来たウィンとファイ。自由奔放なウィンと、そんなウィンに振り回されっぱなしのファイは何度も別れてはヨリを戻している。これも"やり直す"ための旅だったが、些細なことからまた痴話喧嘩をして別れ別れに。しばらくしてふたりは再会を果たし、怪我をしたウィンをファイが看病しながら一緒に暮らすようになるが……。
★シネマジャーナル42号 (1997年12月発行)女たちの映画評
『花様年華 4K』原題:花樣年華/英題:In the Mood for Love
監督・脚本・製作:ウォン・カーウァイ
撮影:クリストファー・ドイル、リー・ピンビン
出演:トニー・レオン、マギー・チャン
2000年/香港/98分/1.66:1/広東語/5.1ch
1962年の香港。地元新聞社の編集者であるチャウと、商社で秘書として働くチャンは同じアパートへ同じ日に引っ越してきて、隣人となる。やがてふたりは、互いの伴侶が不倫関係であることに気付き、一緒に時間を過ごすことが多くなる。誰にも気づかれないよう慎重に、裏切られ傷ついた者同士が次第にささやかな共犯にも似た関係を育んでいくが――。
★Web版シネマジャーナル 特別記事『花様年華』記者会見 2000/11/2 新宿パークハイアット
http://www.cinemajournal.net/special/2001/kayonenka/index.html
シネマジャーナル51号(2001年1月発行)香港映画祭公式セレモニーレポート
シネマジャーナル52号(2001年4月発行)女たちの映画評
シネマジャーナル67号(2006年春発行)私のこの1本
『2046 4K』原題・英題:2046
監督・脚本・製作:ウォン・カーウァイ 撮影:クリストファー・ドイル、ライ・イウファイ、クワン・プンリョン
出演:トニー・レオン、コン・リー、フェイ・ウォン、木村拓哉、チャン・ツィイー、カリーナ・ラウ、チャン・チェン、ドン・ジェ、マギー・チャン
2004年/香港/129分/2.35:1/広東語・中国語・日本語/5.1ch/R15+
1960年代後半の香港。記者で作家のチャウはかつてひとりの女を心の底から愛したが結ばれることはなかった。過去の思い出から逃れるように自堕落な生活を送っていた彼は、ある日ジンウェンと出会う。彼女には日本人の恋人タクがいたが、父親の反対でタクは日本に帰ってしまった。チャウはふたりに触発され近未来小説を書き始める。
今回、4Kで蘇ったウォン・カーウァイの5作品は、どれもこれも公開時はもちろん、その後も機会があると何度か観た懐かしい作品です。
中でも、『ブエノスアイレス』は、香港での公開を知って、香港に飛んでいって観たのでした。DVDも持っているし、何度観たのかわかりません。
今回4Kで蘇った『ブエノスアイレス』、どれほど綺麗なことでしょう・・・
そして、今回のラインナップに『欲望の翼』が入っていないのが残念!と思ったのですが、実は2018年2月、Bunkamuraル・シネマほかにてデジタルリマスター版が公開されているので、入っていないのですね。2005年以降日本での上映権が消失していたものが、実に13年ぶりにスクリーンで上映されたのでした。
上映権が切れるという時にも、デジタルリマスター版の上映も、もちろんレスリー追っかけ仲間と一緒に観に行きました。DVDを持っていても、大きな画面で観るのは格別です。
今回の「WKW 4K」5作品も、ぜひ劇場で味わいたいと思います。(咲)
2022年08月14日
時代革命 原題:時代革命 Revolution of Our Times
2022年8月13日 渋谷ユーロスペースほか全国順次公開
劇場情報
牙をむき出した権力に、自由は傷だらけになって立ち向かう
監督:周冠威(キウイ・チョウ)
2019年の「逃亡犯条例」改正案は、香港を中国の権威主義的支配下に置き、香港人の自由を制約するものだった。香港の人々はこの逃亡犯条例改正案に反対して立ち上がり、大規模デモが起きた。法案が提出されて以降の香港市民の抵抗運動を、その歴史的背景を入れながら、最前線で戦う若者たちの姿を描いた。
10代~30代の男女を中心に多くの人がデモに参加。それに70代と思われる陳爺さんも、若者に負けないくらい元気に参加。飛び交う催涙弾、ゴム弾、火炎瓶。壮絶な運動の約180日間を多面的に描いた本作。
デモの参加者たちは「逃亡犯条例改正案の完全撤回」「普通選挙の導入」など五大要求を掲げ、6月16日には約200万人(主催側発表)に膨れ上がった。これは香港の人口の約3割という人数。警察との衝突は徐々に激しさを増す。それどころか元朗駅では黒社会の人たちがデモ参加者を襲うという場面も出てきた。まるで香港映画さながら。青年が警官に銃撃されるショッキングな場面も映し出される。
あの時、香港で何があったのか、市民は何と戦っていたのか、香港の事情に詳しくない人へも整理してわかりやすく組み立てている。そして2020年、政府はより厳しい「国家安全法」を立ち上げ、これまでのようにデモをすることすらできなくなった。
監督は『十年』の中で、『焼身自殺者』を監督した周冠威(キウィ・チョウ)で、他のスタッフ名は安全上の理由で明かされていない。
2022年5月8日に行われた香港行政長官選挙に警察出身の李家超氏一人だけが中国政府の後押しで立候補。当選した。ますます香港市民への締め付けが厳しくなるだろう。香港返還時の一国二制度の約束はないに等しい。
香港の民主化運動を追うドキュメンタリー。去年(2021)のフィルメックスでは妨害を避けるため、直前まで題名を伏せて特別上映され、満席だった。
リーダー不在だが、SNSを駆使してデモ隊は、集合、離散を繰り返す。立法会、地下鉄駅、香港中文大学、香港理工大学など、運動は大きなうねりを巻き起こし、「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、時代の革命だ)」「香港人、加油(がんばれ)」と声を上げて抗議した。しかし、増える逮捕者。「ささやかな我が命を200万人に捧ぐ」という遺書を残し自殺する者も。
これまで、こういうデモの映像は、細々とでも自主上映できたが、今は上映することができなくなってしまった。日本で公開されることで、香港の実情が忘れられないように、映像が残り、応援になっていくことを願う。
この映画と共に、香港の人たちの抵抗の歴史を描いた『Blue Island 憂鬱之島』(チャン・ジーウン監督)という作品も公開されている。まだ観ていない方はぜひ両作品を観て、目に焼き付けてください(暁)。
公式HP
2021年製作/158分/G/香港
配給:太秦

シネマジャーナルHP 特別記事
『時代革命』 キウィ・チョウ監督インタビュー
劇場情報
牙をむき出した権力に、自由は傷だらけになって立ち向かう
監督:周冠威(キウイ・チョウ)
2019年の「逃亡犯条例」改正案は、香港を中国の権威主義的支配下に置き、香港人の自由を制約するものだった。香港の人々はこの逃亡犯条例改正案に反対して立ち上がり、大規模デモが起きた。法案が提出されて以降の香港市民の抵抗運動を、その歴史的背景を入れながら、最前線で戦う若者たちの姿を描いた。
10代~30代の男女を中心に多くの人がデモに参加。それに70代と思われる陳爺さんも、若者に負けないくらい元気に参加。飛び交う催涙弾、ゴム弾、火炎瓶。壮絶な運動の約180日間を多面的に描いた本作。
デモの参加者たちは「逃亡犯条例改正案の完全撤回」「普通選挙の導入」など五大要求を掲げ、6月16日には約200万人(主催側発表)に膨れ上がった。これは香港の人口の約3割という人数。警察との衝突は徐々に激しさを増す。それどころか元朗駅では黒社会の人たちがデモ参加者を襲うという場面も出てきた。まるで香港映画さながら。青年が警官に銃撃されるショッキングな場面も映し出される。
あの時、香港で何があったのか、市民は何と戦っていたのか、香港の事情に詳しくない人へも整理してわかりやすく組み立てている。そして2020年、政府はより厳しい「国家安全法」を立ち上げ、これまでのようにデモをすることすらできなくなった。
監督は『十年』の中で、『焼身自殺者』を監督した周冠威(キウィ・チョウ)で、他のスタッフ名は安全上の理由で明かされていない。
2022年5月8日に行われた香港行政長官選挙に警察出身の李家超氏一人だけが中国政府の後押しで立候補。当選した。ますます香港市民への締め付けが厳しくなるだろう。香港返還時の一国二制度の約束はないに等しい。
香港の民主化運動を追うドキュメンタリー。去年(2021)のフィルメックスでは妨害を避けるため、直前まで題名を伏せて特別上映され、満席だった。
リーダー不在だが、SNSを駆使してデモ隊は、集合、離散を繰り返す。立法会、地下鉄駅、香港中文大学、香港理工大学など、運動は大きなうねりを巻き起こし、「光復香港、時代革命(香港を取り戻せ、時代の革命だ)」「香港人、加油(がんばれ)」と声を上げて抗議した。しかし、増える逮捕者。「ささやかな我が命を200万人に捧ぐ」という遺書を残し自殺する者も。
これまで、こういうデモの映像は、細々とでも自主上映できたが、今は上映することができなくなってしまった。日本で公開されることで、香港の実情が忘れられないように、映像が残り、応援になっていくことを願う。
この映画と共に、香港の人たちの抵抗の歴史を描いた『Blue Island 憂鬱之島』(チャン・ジーウン監督)という作品も公開されている。まだ観ていない方はぜひ両作品を観て、目に焼き付けてください(暁)。
公式HP
2021年製作/158分/G/香港
配給:太秦

シネマジャーナルHP 特別記事
『時代革命』 キウィ・チョウ監督インタビュー
2022年04月09日
バーニング・ダウン 爆発都市(原題:拆弾専家2)
監督・脚本:ハーマン・ヤウ
アクション監督:ニッキー・リー
出演:アンディ・ラウ(プン・センフォン)、ラウ・チンワン(ドン・チョクマン)、ニー・ニー(ポン・レン)
爆弾処理班のエース、フォンは数々の難事件を解決してきた。しかしある事件で爆発に巻き込まれ、左脚を失ってしまう。懸命にリハビリを続け、義足を作り職場復帰を目指すが、配属されたのは内勤だった。現場復帰の希望は叶えられず、フォンは自暴自棄になり警察を辞めて姿を消してしまった。再び姿を現したのはテロ組織「復生会」が起こしたホテル爆破事件の現場だった。警察の被疑者となったが、負傷したフォンは爆発の後遺症で記憶を失い、自分の名前も出てこない。入院中のフォンは「復生会」に連れ出されてしまった。テロ組織とフォンは繋がりがあるのか?
香港国際空港が爆発炎上する場面で映画がスタートします。このテロは「怒り」が引き起こしたとナレーションが入り、思わず世界中で起きている紛争やテロを思い起こしました。小さな怒りが集まって大きな闘争となったり、個人的な怒りが引き金になったりするのかもしれません。
爆弾処理班でのバディだったフォンは片脚を失い現場には戻れず、ドンは昇進と明暗が分かれました。だからといって、せっかくのスキルを悪いことに使うか?今まで人助けをしてきたのに、と疑問がわきます。いつも正義の味方役だったアンディ・ラウも、いつからか複雑な役回りをするようになりました。白か黒かだけではなく、その間に無限の灰色があり、この映画の中でアンディ扮するフォンは揺れ動きます。
繁華街や高層ビル、様々なロケーションでの大がかりな撮影やアクションシーンに、目を見張ります。テロ組織のボスにはツェ・クワンホウ(謝君豪)。
観ている間、緊張が続きますが、行けなくなって久しい香港の街市が観られます。アンディやチンワンを始め、レイ役のフィリップ・キョンほか、お馴染みの香港俳優が変わらず元気なのも嬉しい作品でした。(白)
アンディ・ラウとラウ・チンワンが一刻を争う爆弾処理に臨む姿にはらはらしながらも、背景の香港に心が躍りました。
香港国際空港に始まり、空港と中環の香港駅を結ぶ機場快線、旺角の女人街(通菜街)や屋根付き歩道橋、屋上にプールのあるホテル、昼に夜に空から映した香港の全景・・・ 香港の魅力がたっぷり♪ 全編、ダイナミックなシーンが展開するのですが、青馬大橋のラストは特に圧巻でした。この橋の建設中、まだ橋が繋がってない時に、真下の海を船で通ったことを思い出しました。久しく行ってない香港に飛んでいきたくなりました♪
1990年代、香港に足繁く通っていた頃、デートしたい男優の上位にラウ・チンワンが入っていて、え~どこがいいの?と思ったものですが、久しぶりに本作で観て、なるほど魅力的と! この映画では、アンディ・ラウがひねくれた役柄なので、余計にいい男に見えるのですね。そのアンディ・ラウも、最後には、これぞ男!という姿を見せてくれます。
最後に流れる主題歌「相信我」はアンディ・ラウの作詞。恋人役のニー・ニーとのデュエットが切ないです。(咲)
アンディ・ラウとニー・ニーの珠玉のデュエット『バーニング・ダウン 爆発都市』MV
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=-MkyZSfXcTs
『バーニング・ダウン 爆発都市』予告編
https://burning-down.com/
『バーニング・ダウン 爆発都市』予告編 block for hong kong and china"
https://www.youtube.com/watch?v=RJYO9vCNb-A
『バーニング・ダウン 爆発都市』 メイキング
https://www.youtube.com/watch?v=vgPxMQzCukU
2020年/香港・中国/カラー/シネスコ/121分
配給:アルバトロス・フィルム
(C)2020 ALL RIGHTS RESERVED BY UNIVERSE ENTERTAINMENT LIMITED
https://burning-down.com/
★2022年4月15日(金)ロードショー
2021年12月19日
レイジング・ファイア(原題:怒火・重案)
監督・脚本:ベニー・チャン
製作:ドニー・イェン、 ベニー・チャン
撮影:フォン・ユンマン
アクション監督:ドニー・イェン
スタントコーディネート:谷垣健治
出演:ドニー・イェン(チョン)、ニコラス・ツェー(ンゴウ)、チン・ラン(チョン警部の妻)
東九龍警察本部のチョン警部は凶悪犯ウォンを逮捕できるはずだった。しかし上層部の嫌がらせで、チョン警部チームは4年越しで追った事件から外されてしまった。先輩のイウ警部のチームが乗り込んだが、仮面をつけた5人が待ち構えておりウォンの逮捕どころか、チーム全員が殉死してしまう。イウ警部が絶命前に見た犯人は意外な人物だった。
4年前、大手銀行会長が誘拐され、警察は秘密裡に調査していた。担当官のンゴウはある男から自白を得て会長を救助するが、自白を強要された男は死んでしまった。当時ンゴウはチョンの後輩で彼を目標として慕っていたが、正義感の強いチョンは仲間のためでも嘘の証言ができない。「どんなことをしても吐かせろ。責任は取る」と言った上官は認めず、ンゴウと部下たちは有罪となった。
刑期を終えて出所した彼らが自分たちを切り捨て、見捨てた者への復讐を始めたのだった。
チョン警部は悪を憎み、人情に厚く愛妻家です。もうすぐ初めての子どもも生まれます。正義感が強い故に、上層部の汚職にも厳しく法を曲げることは許せません。静かな武闘家イップ・マンを演じたドニー・イエンがまっすぐで熱血な警部役。敵対するンゴウをニコラス・ツェー。1999年の『ジェネックス・コップ』(ベニー・チャン監督)あたりから観ているのに、ドニー・イェンと互角に渡り合う役ができるようになったのねぇ。親戚の子を見るように感慨深いものがあります。20歳ころの香港の紅館コンサートでも堂々としていて、感心しました。今や40代になって香港映画界でも中堅です。ニコラスの新人時代、ヤンチャな彼を鍛えてくれたベニー・チャン監督は映画を完成させ、公開を待たずに昨年8月58歳で亡くなられました。
『天若有情(邦題:アンディ・ラウの逃避行)』(1990年)以来、情のある作品のファンでした。この作品も悪に走った人の心情を丁寧に、私利私欲に走る人間を厳しく描いています。香港映画でお馴染みの俳優陣の登場と、身体をはったアクション、カーチェイスも見どころ。もっとベニー・チャン監督作品が観たかったですが…。エンドロールでニコラス・ツェーの歌と一緒に監督の映像が流れますので、最後までご覧ください。(白)
ベニー・チャン監督が、ドニー・イェンとニコラス・ツェーを起用して作った映画となれば、期待も高まります。美しい香港の全景が空から映し出されて、それだけでもう胸がいっぱい。大通りで繰り広げられるダイナミックなカーチェイスや銃撃戦に、暗い地下での殺戮。久しぶりに、これぞ香港アクションという映画でした。でも、これがベニー・チャン監督の遺作になってしまったとは! デビュー作の『天若有情(邦題:アンディ・ラウの逃避行)』も、香港の魅力がたっぷりのアクション映画で忘れられません。『香港国際警察/NEW POLICE STORY』では、ニコラス・ツェーたちが香港コンベンションセンターの屋根を転がり落ちる場面をスタントでなく自分たちで演じていて、度肝を抜かれました。
ニコちゃん(ニコラス・ツェーのこと、ついこう呼んでしまいます)を初めて生で見たのは、1997年8月。英国が6月30日に返還式典の前に雨の中で離別の儀式を行ったグランドで行われた香港の人気歌手たちのコンサートでのことでした。俳優・謝賢の息子が歌手デビューと注目されていて、シルバーの衣装のニコちゃんは、ちょっと生意気に見えました。久しぶりに本作で見たニコラスは、もうニコちゃんというのははばかれるほど、魅力ある男になってました。
そして、ドニー・イェン。最初に観たのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』(1992年)で、すっかり怖いイメージを植え付けられてしまったのですが、今や、イップ・マンシリーズで穏やかな印象になり、本作では、なんと、冒頭から愛妻家を演じていて微笑ましいです。
映画の中で、「白と黒だけでなくグレーゾーンがある」ことが語られ、最後に流れるニコラスの歌う歌詞にも「一生過ちを犯さぬ者がいるだろうか」とあったのが強く印象に残った映画でした。(咲)
残念ながらこの作品はまだ観ていないのですが、香港電影金像奨で撮影したドニー・イエンとニコラス・ツェの写真をアップします。

甄子丹(ドニー・イェン)・汪詩詩(Cissy Wang)夫妻
2012年第31回香港電影金像奨授賞式にて 撮影:宮崎暁美

謝霆鋒(ニコラス・ツェ)『硝子のジェネレーション』で新人賞受賞
左右はプレゼンテーターの千葉真一と呉君如
第18回香港電影金像奨(1999)にて 撮影:宮崎暁美
2021年/香港・中国/カラー/シネスコ/126分
配給:ギャガ
(C)Emperor Film Production Company Limited Tencent Pictures Culture Media Company Limited Super Bullet Pictures Limited ALL RIGHTS RESERVED
https://gaga.ne.jp/ragingfire/
★2021年12月24日(金)ロードショー
2021年10月31日
花椒(ホアジャオ)の味 原題「花椒之味」 英題 Fagara
2021年11月5日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開
劇場情報
脚本・監督:麥曦茵(ヘイワード・マック)Director: Heiward MAK
監制(プロデューサー):許鞍華(アン・ホイ)、朱嘉懿(ジュリア・チュウ)
撮影監督:葉紹麒(イップ・シウケイ)[HKSC]
美術&スタイリング・ディレクター:張兆康(チャン・シウホン)
編集:麥曦茵、鐘邵康(チョン・シウホン)
配樂(音楽):波多野裕介
出演:
父 夏亮(ハー・リョン):鍾鎮濤(ケニー・ビー)
娘 如樹(ユーシュー):鄭秀文(サミー・チェン)、
娘 如枝(広東語読みユージー、北京語読みルージー):赖雅妍(メーガン・ライ)
娘 如果(広東語読みユーグォ、北京語読みルーグオ):李曉峰(リー・シャオフェン)
如枝母 張雅玲(チャン・ヤーリン):劉瑞琪(リウ・ルイチー)
如果祖母 劉芳(リウ・ファン):吳彥姝(ウー・イエンシュー)
父の友人の麻酔医蔡浩山(チョイ・ホーサン):任賢齊(リッチー・レン)
如樹の元恋人郭天恩(クォック・ティンヤン):劉徳華(アンディ・ラウ)
『花椒(ホアジャオ)の味』公式サイト
2019年/中国・香港/広東語・北京語/118分
日本語字幕:最上麻衣子/字幕協力:大阪アジアン映画祭/G
写真クレジット
© Dadi Century (Tianjin) Co., Ltd. Beijing Lajin Film Co., Ltd. Emperor Film Production Company Limited Shanghai Yeah! Media Co., Ltd. All Rights Reserved.
花椒はしびれるような辛さがあるけど味わい深い
自分と母親を置いて家を出てしまった父(ケニー・ビー)とは距離を置いていた如樹(サミー・チェン)は、父の急死で自分に異母姉妹が二人いることを知る。一人は母親と共に台北に住む如枝(メーガン・ライ)、もう一人は祖母と重慶に住む如果(リー・シャオフェン)。香港・中国・台湾の三地に分かれた姉妹が父の死を機に葬儀の席で出会う。初めて顔を合わせた3人は、始めはよそよそしかったけど、父親の店を切り盛りする中でそれぞれの事情を越えて理解しあう。
父は香港島大抗で火鍋店を経営していたが結構繁盛していた。賃貸契約期間が残っていて、途中で解約すると違約金を払わなくてはならなかったり、雇われていた従業員がすぐには仕事をみつけられないというような事情があって、如樹は店を続けることにした。店を再開したら目の回る忙しさに。疲れきった如樹は重慶と台北に帰っていた姉妹に手伝ってくれるようにSOSを出す。それぞれ居場所をみつけようとしていた二人は戻ってきてくれて、三人は協力しあって店を切り盛りする。
しかし、父の作った火鍋の出し汁の在庫が少なくなった時、レシピが従業員には伝わっていないことがわかった。父の残した火鍋スープのレシピを再生する過程で、育った文化も境遇も違う三人に姉妹としての情と絆が芽生えてくる。それぞれが抱える問題も描きながら、店を立て直す姿が描かれる。家族とのわだかまりや、自分の進んで行く方向の模索など、それぞれの夢と現実をかかえながら歩む女性たちの姿が美しい。そして、父の友人(リッチー・レン)や、元恋人(アンディ・ラウ)など男性人の励ましも嬉しい。「花椒」はピリッと渋くて辛いけどおいしい。
麥曦茵(ヘイワード・マック、『烈日当空』)の日本初紹介作。『恋の紫煙』の脚本家でもある。エリック・ツァン、パン・ホーチョンに見出された新世代の才能。その才能に惚れ込みアン・ホイがプロデューサーを担当。原作はエイミー・チャンの小説「我的愛如此麻辣」。2020年第39回香港電影金像奨に11部門ノミネート。張兆康が最優秀美術受賞。
コロナ禍で自粛期間が始まる直前の去年3月、東京から大阪に行き、大阪アジアン映画祭で最初に観た。「今年は大阪に行くのやめる。あなたもやめたほうがいいわよ」というまわりのこの映画祭ファンの声があったけど、それでも私はこの作品を観たいという思いを胸に大阪に行ったのでした。結局、この映画祭以降、あいち国際女性映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭など、地方の映画祭には行くことができず、いまだにその状態が続いているのですが、この『花椒(ホアジャオ)の味』はあいち国際女性映画祭でも上映され、しかもこの映画祭のカタログには私自身が作品紹介を書いたにもかかわらず、行けなくて残念でした。でも、その時点では日本公開されるとは思っていなかったので、公開が決まって嬉しかったです。
この物語そのものはどうなんだろうと思う。この環境にある3人の女性が協力して店を切り盛りするなんてことは発想すらできない。男(父)にとって都合のいいことだから。香港、台湾、中国と3か所に、別々の家族を作り、そんなに年の離れていない娘が3人もいるという設定。私だったら、「なんだこの男。女(妻)をとっかえひっかえ変えて許せない」と思ってしまう。長女の如樹(サミー・チェン)も、そういう思いがあるから父と間を置いていたのでしょう。しかも、自分以外に娘が二人も別にいるということさえ伝えていなかったのだから、そりゃあ、父の葬式で初めて知った時の気持ちは複雑だったんじゃないかな。それを乗り越えて3人の協力体制になるわけだけど、これぞプロデューサーのアンホイティストという感じ。あるいは香港的というべきか。
父親役がケニー・ビーというのも好感度あげている。ケニー・ビーは温拿楽隊(ザ・ウィナーズ)の ボーカルで俳優としても活躍。1970年代から台湾映画に出演、80年代以降香港映画にも出演している。
如樹役のサミー・チェンもベテラン歌手であり、主演作も多い女優でもある。第21回香港電影金像奨(2002)では『ダイエット・ラブ 』『鍾無艶』『ファイティング・ラブ』の3作品が主演女優賞にノミネートされた。また2020年の第39回香港電影金像賞奨では『花椒の味』と『聖荷西謀殺案』の2作品が主演女優賞にノミネートされた。
如枝役のメーガン・ライは『愛到底』(09)、『あの頃、君を追いかけた』(11)などに出演。如果役のリー・シャオフェンはフォン・シャオガン監督の『芳華-Youth-』(17)に出演している。如樹の母は出てこないけど、次女の母役は台湾の女優、張雅玲(チャン・ヤーリン)。『迷走廣州』で第五十七回金馬獎(2020)で助演女優賞にノミネートされた。また、如果の祖母役は吳彥姝(ウー・イエンシュー)。中国映画界の中国国家一級俳優。シルヴィア・チャン監督の『妻の愛、娘の時』(17)では田舎のお婆さんを演じた。今回のモダンなお婆さんの姿と比較して、とても同人物とは思えない。
そしてリッチー・レン(台湾)とアンディ・ラウ(香港)。二人ともベテランの歌手であり俳優である。二人とも日本でコンサートを行ったことがある。リッチー・レンは『星願 あなたにもういちど』(1999)での演技が印象的だった。アンディ・ラウはアン・ホイ監督の『望郷』(1982)で映画デビュー以来120本以上の作品に出演している。サミー・チェンとの共演作も多く、『ニーディング・ユー』『ダイエット・ラブ』(00)、『インファナル・アフェア 無間道』(02)、『イエスタデイ・ワンスモア』(04)などで共演している。また、歌手としても活躍し「香港四天王」の一人。
プロデューサーのアン・ホイ監督を撮ったドキュメンタリー作品『我が心の香港』(文念中/マン・リムチョ監督)も、11月6日(2021)に公開される。(暁)
劇場情報
脚本・監督:麥曦茵(ヘイワード・マック)Director: Heiward MAK
監制(プロデューサー):許鞍華(アン・ホイ)、朱嘉懿(ジュリア・チュウ)
撮影監督:葉紹麒(イップ・シウケイ)[HKSC]
美術&スタイリング・ディレクター:張兆康(チャン・シウホン)
編集:麥曦茵、鐘邵康(チョン・シウホン)
配樂(音楽):波多野裕介
出演:
父 夏亮(ハー・リョン):鍾鎮濤(ケニー・ビー)
娘 如樹(ユーシュー):鄭秀文(サミー・チェン)、
娘 如枝(広東語読みユージー、北京語読みルージー):赖雅妍(メーガン・ライ)
娘 如果(広東語読みユーグォ、北京語読みルーグオ):李曉峰(リー・シャオフェン)
如枝母 張雅玲(チャン・ヤーリン):劉瑞琪(リウ・ルイチー)
如果祖母 劉芳(リウ・ファン):吳彥姝(ウー・イエンシュー)
父の友人の麻酔医蔡浩山(チョイ・ホーサン):任賢齊(リッチー・レン)
如樹の元恋人郭天恩(クォック・ティンヤン):劉徳華(アンディ・ラウ)
『花椒(ホアジャオ)の味』公式サイト
2019年/中国・香港/広東語・北京語/118分
日本語字幕:最上麻衣子/字幕協力:大阪アジアン映画祭/G
写真クレジット
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花椒はしびれるような辛さがあるけど味わい深い
自分と母親を置いて家を出てしまった父(ケニー・ビー)とは距離を置いていた如樹(サミー・チェン)は、父の急死で自分に異母姉妹が二人いることを知る。一人は母親と共に台北に住む如枝(メーガン・ライ)、もう一人は祖母と重慶に住む如果(リー・シャオフェン)。香港・中国・台湾の三地に分かれた姉妹が父の死を機に葬儀の席で出会う。初めて顔を合わせた3人は、始めはよそよそしかったけど、父親の店を切り盛りする中でそれぞれの事情を越えて理解しあう。
父は香港島大抗で火鍋店を経営していたが結構繁盛していた。賃貸契約期間が残っていて、途中で解約すると違約金を払わなくてはならなかったり、雇われていた従業員がすぐには仕事をみつけられないというような事情があって、如樹は店を続けることにした。店を再開したら目の回る忙しさに。疲れきった如樹は重慶と台北に帰っていた姉妹に手伝ってくれるようにSOSを出す。それぞれ居場所をみつけようとしていた二人は戻ってきてくれて、三人は協力しあって店を切り盛りする。
しかし、父の作った火鍋の出し汁の在庫が少なくなった時、レシピが従業員には伝わっていないことがわかった。父の残した火鍋スープのレシピを再生する過程で、育った文化も境遇も違う三人に姉妹としての情と絆が芽生えてくる。それぞれが抱える問題も描きながら、店を立て直す姿が描かれる。家族とのわだかまりや、自分の進んで行く方向の模索など、それぞれの夢と現実をかかえながら歩む女性たちの姿が美しい。そして、父の友人(リッチー・レン)や、元恋人(アンディ・ラウ)など男性人の励ましも嬉しい。「花椒」はピリッと渋くて辛いけどおいしい。
麥曦茵(ヘイワード・マック、『烈日当空』)の日本初紹介作。『恋の紫煙』の脚本家でもある。エリック・ツァン、パン・ホーチョンに見出された新世代の才能。その才能に惚れ込みアン・ホイがプロデューサーを担当。原作はエイミー・チャンの小説「我的愛如此麻辣」。2020年第39回香港電影金像奨に11部門ノミネート。張兆康が最優秀美術受賞。
コロナ禍で自粛期間が始まる直前の去年3月、東京から大阪に行き、大阪アジアン映画祭で最初に観た。「今年は大阪に行くのやめる。あなたもやめたほうがいいわよ」というまわりのこの映画祭ファンの声があったけど、それでも私はこの作品を観たいという思いを胸に大阪に行ったのでした。結局、この映画祭以降、あいち国際女性映画祭、山形国際ドキュメンタリー映画祭など、地方の映画祭には行くことができず、いまだにその状態が続いているのですが、この『花椒(ホアジャオ)の味』はあいち国際女性映画祭でも上映され、しかもこの映画祭のカタログには私自身が作品紹介を書いたにもかかわらず、行けなくて残念でした。でも、その時点では日本公開されるとは思っていなかったので、公開が決まって嬉しかったです。
この物語そのものはどうなんだろうと思う。この環境にある3人の女性が協力して店を切り盛りするなんてことは発想すらできない。男(父)にとって都合のいいことだから。香港、台湾、中国と3か所に、別々の家族を作り、そんなに年の離れていない娘が3人もいるという設定。私だったら、「なんだこの男。女(妻)をとっかえひっかえ変えて許せない」と思ってしまう。長女の如樹(サミー・チェン)も、そういう思いがあるから父と間を置いていたのでしょう。しかも、自分以外に娘が二人も別にいるということさえ伝えていなかったのだから、そりゃあ、父の葬式で初めて知った時の気持ちは複雑だったんじゃないかな。それを乗り越えて3人の協力体制になるわけだけど、これぞプロデューサーのアンホイティストという感じ。あるいは香港的というべきか。
父親役がケニー・ビーというのも好感度あげている。ケニー・ビーは温拿楽隊(ザ・ウィナーズ)の ボーカルで俳優としても活躍。1970年代から台湾映画に出演、80年代以降香港映画にも出演している。
如樹役のサミー・チェンもベテラン歌手であり、主演作も多い女優でもある。第21回香港電影金像奨(2002)では『ダイエット・ラブ 』『鍾無艶』『ファイティング・ラブ』の3作品が主演女優賞にノミネートされた。また2020年の第39回香港電影金像賞奨では『花椒の味』と『聖荷西謀殺案』の2作品が主演女優賞にノミネートされた。
如枝役のメーガン・ライは『愛到底』(09)、『あの頃、君を追いかけた』(11)などに出演。如果役のリー・シャオフェンはフォン・シャオガン監督の『芳華-Youth-』(17)に出演している。如樹の母は出てこないけど、次女の母役は台湾の女優、張雅玲(チャン・ヤーリン)。『迷走廣州』で第五十七回金馬獎(2020)で助演女優賞にノミネートされた。また、如果の祖母役は吳彥姝(ウー・イエンシュー)。中国映画界の中国国家一級俳優。シルヴィア・チャン監督の『妻の愛、娘の時』(17)では田舎のお婆さんを演じた。今回のモダンなお婆さんの姿と比較して、とても同人物とは思えない。
そしてリッチー・レン(台湾)とアンディ・ラウ(香港)。二人ともベテランの歌手であり俳優である。二人とも日本でコンサートを行ったことがある。リッチー・レンは『星願 あなたにもういちど』(1999)での演技が印象的だった。アンディ・ラウはアン・ホイ監督の『望郷』(1982)で映画デビュー以来120本以上の作品に出演している。サミー・チェンとの共演作も多く、『ニーディング・ユー』『ダイエット・ラブ』(00)、『インファナル・アフェア 無間道』(02)、『イエスタデイ・ワンスモア』(04)などで共演している。また、歌手としても活躍し「香港四天王」の一人。
プロデューサーのアン・ホイ監督を撮ったドキュメンタリー作品『我が心の香港』(文念中/マン・リムチョ監督)も、11月6日(2021)に公開される。(暁)