2022年07月16日

あなたがここにいてほしい(原題:我要我們在一起  英題:Love Will Tear Us Apart)

anatagakokoni.jpg

監督:シャー・モー(沙漠)
原作:リ―・ハイボー(李海波)
  《與我十年長跑的女友明天要嫁人了》
プロデューサー:チェン・クォフー(陳国富)
主題歌:empty world(這世界那麼多人)
歌:カレン・モク(莫文蔚)
出演:チュー・チューシアオ(リュー・チンヤン)、チャン・ジンイー(リン・イーヤオ)
日本語版吹き替え:古川雄輝(リュー・チンヤン)、三森すずこ(リン・イーヤオ)

白蒲高校に通うリュー・チンヤンは美人で優等生のリン・イーヤオに一目ぼれ。なんとか彼女にラブレターを渡すが、それを生活指導担当のヤオ先生にみつかってしまう。頭を丸めて校内放送で謝罪すれば見逃すと言われ、チンヤンはなんとその校内放送で彼女に告白した。数年後イーヤオは一流大学に合格、チンヤンは専門学校へ。いつか2人でマンションに住みたいと、建設現場で真面目に働くチンヤンだったが彼女の家族にはいい顔をされない。そんなときに学生時代からの友人のダーチャオからの頼みで、大きなプロジェクトを仕切ることになった。

2013年1月中国の「ドウバン」というサイトに《與我十年長跑的女友明天要嫁人了》「十年間一緒にいた彼女は明日他人の嫁に行く」という長い文章が投稿され、話題となりました。若者の結婚までに出逢う様々な出来事が共感を呼び、社会現象になったそうです。すぐにこの映画化権を獲得したプロデューサーが、長い時間をかけて脚本を練り、シャー・モー監督を見出して8年がかりで作品が完成しました。チュー・チューシアオは『流転の地球』(Netflix配信中)の主演で大注目、チャン・ジンイーはこれが初主演作です。
10年前、チンヤンとイーヤオは高校生のころに知り合い、家柄や学歴の差も越えて愛を育んできました。チンヤンは一本気で手抜きも贈収賄もしません。誠実なのに、問題が次々と起こって苦労ばかりが続き、なんだか男性版「おしん」のようで気の毒になりました。
イーヤンは母親の反対を押し切ってチンヤンと暮らしますが、楽しい日々は短くお金の心配が絶えません。手を差し伸べる男性が現れて、2人の間に水を差し…。原作のタイトルどおり、他の男に嫁ぐか否かはぜひ劇場でご覧ください。(白)


2021年/中国/カラー/シネスコ/105分
配給:リスキット
https://anakoko.jp/
https://twitter.com/anakoko722
★2022年7月22日(金)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 23:39| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月03日

クラウディ・マウンテン(原題:峰爆 Cloudy Mountain)

cloudy.jpg

監督:李 駿(リー・ジュン).
音楽:出演:朱 一龍(ジュー・イーロン)、黄 志忠(ファン・チーチョン)、陳 数(チェン・スゥー)、焦 俊艳(ジャオ・ジュンイェン)、成 泰燊(チェン・タイシェン)、張 国立(チャン・グォリー)、張 譯(チャン・イー)、白客(バイケー)

中国西南部、周囲を山々に囲まれた街は春節を前に賑わいを見せている。一方、山では10年を要した高速鉄道を通すためのトンネル掘削工事がようやく終わりを迎えようとしていた。休暇を返上し、工期に間に合わせるために働く技術者たち。地質学の専門家ホン・イージョウ(ジュー・イーロン)もその日、変動し続ける地殻の再調査にあたっていた。ところが、トンネル内で突然の湧水が技術者たちを襲い、街では大規模な地盤の陥没が発生する。やがて2時間以内に地殻変動により山が崩落し、大量の土砂が市街地へ流れ込むことが発覚する。未曾有の危機から16万の住民を救うには山を爆破するしかない!タイムリミットが迫る中、イージョウが作業に名乗りを上げる。

中国の大がかりなディザスター(自然災害)作品。中国のCG技術の進歩と、潤沢な製作費が想像できます。災害に負けずに立ち向かう人の姿は感動を呼びますが、それにしても次々と問題が起こりすぎ。そしてまた、主人公が困った人を助けるために現れてくれるんです。そ、それは無理~と言わず、見守りましょう。コロナ以降いろいろ苦難を抱える人が増えているでしょうから、ヒーローに活躍してほしい!すっきりしたい!そんな気持ちに応えてくれます。
地震、津波、水害と次々災害に襲われる日本では他人事ではありません。こんな活躍はできなくとも、できる備えをしておきましょう。
ジュー・イーロンは連続ドラマで日本に知られるようになったところです。時代劇、現代劇どちらでもイケメンぶりが目立ちます。歌手でもあって羅大佑の「追夢人」をカバーしている動画がありました。メイクのせいかちょっとトニーレオンにも似ています。(白)


山の崩落から町を救うため、命がけで立ち向かう地質学者ホン・イージョウ。まさにヒーローなのですが、それにしても春節で帰ってくる父にあまりに冷たい。実は、父親は元鉄道兵で、やはり仕事優先で家族をないがしろにしたことを息子は根に持っているのです。その父とのわだかまりが、大災害に立ち向かう中でとけるというのが、本作のクライマックス。まさにお涙ちょうだい。こういう映画が、今の中国では受けるのでしょうねぇ。
息子を演じたジュー・イーロンがトニー・レオンなら、父親を演じたホァン・ジージョンは、奥田瑛二さんに見えました。(咲)


2021年/中国/カラー/ビスタ/114分/G
配給:クロックワークス
(C)2021 CHINA FILM CO.,LTD
https://klockworx-asia.com/mountain/
★2022年6月10日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 20:35| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月13日

ワン・セカンド 永遠の24フレーム (原題:一秒鐘 One Second)

one second.jpg
(C)Huanxi Media Group Limited

監督:チャン・イーモウ
脚本:チャン・イーモウ、ヅォウ・ジンジー
撮影:チャオ・シャオティン
出演:チャン・イー(逃亡者)、リウ・ハオツン(リウの娘)、ファン・ウェイ(ファン電影)

1969年文化大革命まっただなか。強制労働所送りになった男は、妻と別れ最愛の娘とも疎遠になっていた。数年後「ニュース映画22号」の中に娘が映っていると聞き、それを一目観たいがために強制労働所から逃げ出した。次の村へと運ばれるフィルム1缶が盗まれるのを目撃した男は、その後を追う。盗んだのは孤児のリウ。弟と二人暮らしのリウにはフィルムがどうしても必要なわけがあった。
リウからフィルムを取り戻した男は、映写技師のファンに手渡すことができたが、一難去ってまた一難。今度は他のフィルムが運搬中に落下して引きずられ、傷だらけになってしまったのだ。逃亡中の男は娘の場面を観るまでは保安隊に捕まるわけにいきません。上映は間に合うのか? リウの問題は片付くのか? 

広大な砂漠のシーンが美しいです。美しいけれども、これで作物が育つのか?どうやって水を得て生活をしているのか?と気になってしまいました。
名前の明かされない逃亡者の男とリウの攻防は何度も繰り返され、口の達者なリウにやり込められたり、出しぬかれたりが笑いを呼びます。背景に強制労働や貧困を描きながら、映画愛が満ちていました。村の人たちが数ヶ月に一度の上映を待ちわびていること、映写技師が慕われ、仕事に誇りをもっていることがわかります。上映のために村をあげて協力する人々、上映時に超満員の観客が熱狂する場面には胸がいっぱいになります。劇中映画は父と娘の情愛を描いた『英雄子女』。映写技師のファンにも父親としての反省がありました。父親の想いはどの時代、どこの国でも変わりません。
チャン・イーモウ監督が見出した新星リウ・ハオツンは、この作品で第15回アジア・フィルム・アワード新人賞を受賞。ずっと男の子みたいですが、親代わりに弟を守る姉の愛情が伝わります。笑顔が見られるまで辛抱してください。コン・リーやチャン・ツィイーを継ぐ女優に育ちますように。(白)


映画1本が数缶に分かれ、結構な重さ(20~30キロ)だった時代。映画の重さだけ、人々の映画への思いも熱かったのではないでしょうか。それが、長年、会ってない娘の姿が、ほんの1秒(ワン・セカンド)でも出ているとなれば、なんとしてでも観たいのが親心。泣けます。
髪の毛がボサボサで男の子みたいだったリウ・ハオツンが、やっと見せてくれる少女の姿は初々しくて、『初恋のきた道』で初めて観たチャン・ツィイーの愛らしさを彷彿させられました。
フィルムがからまったのを必死に修復する場面があります。デジタルが主流となった今では考えられません。
チャン・イーモウ監督の若い時代の経験や思い出がぎっしり詰まった映画愛に溢れる珠玉の1作。(咲)


ニュース映画に映った娘の姿を観たいとフィルムを追う父親と、貧しいながらもけなげに生きている少女と、映画を上映することに情熱を燃やす興業主の偶然の出会いを描くドラマ。
野外に白い幕を張って村人が集まって映画を観る光景は、中国映画の中で幾度となく描かれてきた。張芸謀(チャン・イーモウ)監督作品の中でも何度も描かれてきたと思うけど、それ自体が主体に描かれてきたことはなかったかもしれない。野外に白い幕を張って映画を観るというのは、日本でも昔あった。私が小学生低学年くらいまであったと思う。観た記憶がある。たぶん1960年代前半くらいまでは、東京でもあったのではないかと思う。その後は亡くなってしまったけど、学校で1年に1回くらい大きい教室や講堂に集まって映画を観た記憶は小学校高学年まである。なので、この中国での光景も1960年代後半の時代なので、同じころ日本でもあった光景だと思う。東京でもそうなので、地方だったらもっと後まであったかも。
それにしても、映画を観るという行為と映画愛に満ち溢れた映画だった。
自分の娘が一秒鐘(1秒間)描かれているという情報を得た、男(張譯=チャン・イー)はなんとかその映像を観たいと労働改造所から逃亡するが、砂漠を歩き続けて上映されるという村まで歩く。その砂漠の景色は張芸謀らしく雄大さと美しい光景、そして自然の厳しさも映し出す。村は砂漠の向こうにあるのか。そこの関係はわからない。そして村についた逃亡者の男は、映画のフィルムが入った缶を運ぶ配達人に偶然出会った?
そして、それを盗んだリウの娘(劉浩存=リウ・ハオツン)をみつけ、おいかけていく。見失ってしまうけど、映画が上映される村(場所)の食堂でビャンビャン麵を食べようとしている娘からそれを奪って食べるのだけど、そこに偶然出くわしたのがファン電影のファン(范偉=ファン・ウェイ)。取り戻したフィルムをファンに渡した時、男は娘が盗んだとは言わない。この3人を中心にして物語は進む。それにしても、単純な物語の中に、映画への愛、男の娘への愛、リウの娘の父親や弟に対する思い、それらをうまくからませながら、1本の作品ができているというのはさすがです。
私は映像ではなく、スチール写真の現像などの技術者だったので、フィルムを洗って、拭いて、乾かすシーンを見て、同じような経験をしたことがあるので、思わず「張芸謀、やったね」とニヤリとしてしまいました。もちろんあんなざつな処理は普通ありえないけど、あの場ではしょうがなかったのだろうし、あれがベストの解決方法だったと思ったそして映し出された映像と何回も上映するシーンは感動だった。優しさとずる賢さ両面をもつファンを演じた范偉(ファン・ウェイ)は元々コメディアンなので、そういうのがうまい。日本でいえば、伊東四朗さんみたいな感じかも。
主人公の張譯(チャン・イー)は観たことあると思ったけど『クライマーズ』『帰れない二人』『山河ノスタルジア』『最愛の子』などの作品にも出ていた。これまで名前を知らなかった。そして劉浩存(リウ・ハオツン)は、今回張芸謀監督に見いだされた新人(暁)。


2020年/中国/カラー/シネスコ/103分
配給:ツイン
(C)Huanxi Media Group Limited
https://onesecond-movie.com/
★2022年5月20日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 20:31| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月01日

僕と彼女のファースト・ハグ(原題:温暖的抱抱 Warm Hug)

bokutokanojo.jpg

監督・脚本:チャン・ユエン(常遠)
出演:チャン・ユエン(バオバオ)、リー・チン 李沁(ウェンヌワン)

超潔癖症のピアノ教師、バオバオ。人と触れ合うなどもってのほか、毎日自分のルール通りに過ごし、周囲とうまく付き合えない。ある朝、出勤途中にバイクと衝突するという予定外の事故に遭う。相手のウェンヌワンを追って、彼女が出場する音楽番組に入り込んでしまった。バオバオが思いがけず人気者になってしまい、2人組で音楽バトルに出ることになった。ミュージシャンのウェンヌワンは、バオバオとは正反対のズボラな性格で、バオバオは戸惑うことばかり。

原題の『温暖的抱抱』はそのまま2人の主人公の名前と同じ音です。孤独だったバオバオ(鮑抱)と正反対の天然女性ウェンヌワン(温暖)のラブコメ。
バオバオの潔癖症は両親の育て方が原因のようです。2人ともが超超潔癖症。小さいころから抱っこされたこともありません。バオバオのほかにも、こだわりの強い人たちがたくさん登場して、おかしくもやるせなくもあります。監督・脚本・主演のチャン・ユエンは人気コメディアン。最初のころはバスター・キートンのような無表情ですが、ウェンヌワンによって少しずつ変わっていくのが見どころ。
散らかり放題のウェンヌワンの部屋を耐えきれずに片づけてしまうバオバオ、うちにも出張して来てほしいです。
韓国映画『プランマン〜恋のアラームが止まらない!』(チョン・ジェヨン、ハン・ジミン)(2013年)を大胆に翻案したものだそうですが未見。そちらも見てみたい。(白)


この映画を観て、私も(白)さん同様、バオバオに我が家に来てもらって、片づけてほしい!と、真っ先に思ってしまいました。
そして、思い出したのが、大学時代の超潔癖症の同級生。いつもステンレスのケースにアルコールに浸したガーゼを持ち歩いていて、机や椅子を綺麗に拭いてから座ってました。後から行って、詰めて~と言っても決して詰めてくれなかった! なんでも度が過ぎると「変り者」と思われてしまいますね。バオバオも、変人扱いされていましたが、超潔癖症から抜け出していくと共に、周りの人たちに受け入れられていって、ほっとさせられました。
本作は、中国で8.5億元(約150億円)を超える大ヒット。
監督・脚本・主演のチャン・ユエン(常遠)は喜劇集団・開心麻花で活躍する人気コメディアンですが、重要な役どころで出ているシェン・トン(沈騰)は喜劇王と言われている方。どこかで観たような・・と思ったら、『愛しの故郷(ふるさと)』(2020年11月6日公開)や『こんにちは、私のお母さん』(2022年1月7日公開)に出ていた方でした。
最近の中国映画、特に、爆笑モノはほとんど観ていないので、わからないのですが、このほかの出演者 乔杉(チャオ・シャン)、 馬麗(マー・リー)、艾倫(アイルン)、田雨(ティアン・ユー)、王智(ワン・ズー)、魏翔(ウェイ・シャン)といった方々、中国の人たちには馴染み深い役者さんたちなのだろうなと思いました。(咲)


2020年/日本/カラー/シネスコ/112分
配給:クロックワークス
(C)2020 Aim Media Co., Ltd. Huayi Brothers Pictures Ltd. Huanxi Media Group Limited (Tianjin) All rights reserved
https://klockworx-asia.com/warmhug/
★2022年5月6日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 16:28| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年01月30日

再会の奈良 原題:又見奈良

12022.2/4(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次公開 / 1/28(金)より奈良県にて先行上映 劇場情報
b218ae2d5117a8c4_R.jpg
©2020“再会の奈良”Beijing Hengye Herdsman Pictures Co.,Ltd,Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)

中国残留孤児の娘と母の60年にわたる「絆」 
中国と日本の戦争の歴史を今に伝え、問いかける


スタッフ・キャスト
監督・脚本:鵬飛(ポンフェイ)
エグゼクティブプロデューサー:河瀬直美、賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
出演:國村隼、吴彦姝(ウー・イエンシュー)、英澤(イン・ズー)、秋山真太郎、永瀬正敏
撮影:廖本榕(リャオ・ペンロン)
音楽:鈴木慶一  編集:陳博文(チェン・ボーウェン)
照明:斎藤徹 録音:森英司 美術:塩川節子
共同製作:21インコーポレーション 
後援:奈良県御所市 

『再会の奈良』は、河瀬直美監督がエグゼクティブディレクターを務める「なら国際映画祭」が、今後の活躍を期待する若手の映画監督を招き、奈良を舞台に映画を制作する、“今と未来、奈良と世界を繋ぐ”映画製作プロジェクト、「NARAtive2020」から生まれた日中合作映画。

奈良・御所市を舞台に、日中の国境を越えた中国残留孤児の家族の絆を描き、日中の魅力あふれる演技人が出演。歴史に翻弄された「中国残留孤児」とその家族がたどる運命、互いを思い合う気持ちを、2005年秋の奈良を舞台に切なくもユーモア豊かに紡いでいます。監督・脚本は、中国の鵬飛(ポンフェイ)。フランスの映画学校を卒業後、蔡明亮(ツァイ・ミンリャン)監督の現場で助監督・共同脚本などを務め、ホン・サンス監督のアシスタントプロデューサーも務めています。本作は3本目の長編。2作目の『ライスフラワーの香り(米花之味)』が、2018年の「なら国際映画祭」で観客賞を受賞し、“今と未来、奈良と世界を繋ぐ”映画製作プロジェクト「NARAtive2020」の監督に選出され、奈良を舞台にした本作『再会の奈良』を製作。エグゼクティブプロデューサーは奈良出身で「なら国際映画祭」のエグゼクティブ・ディレクターでもある河瀬直美監督(自らの境遇から製作された『につつまれて』『かたつもり』を始め、『萌の朱雀』『殯の森』など奈良を舞台にした映画を多数作ってきた)と中国映画「第六世代」のジャ・ジャンクー監督(『一瞬の夢』『山河ノスタルジア』『長江哀歌』など)が務めている。

メイン補正_R_R.jpg
©2020“再会の奈良”Beijing Hengye Herdsman Pictures Co.,Ltd,Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)

1994年に日本に帰国させた中国残留孤児の養女麗華と数年前から連絡が途絶えたのを心配して、中国から陳ばあちゃんが、孫娘のような存在の小澤(シャオザー)を頼って一人奈良にやって来た。手掛かりは麗華の写真と日本から届いた十数通の手紙だけ。麗華の日本名も分からない。麗華を捜し始めた2人は一雄という男性と知り合い、元警察官だったという一雄と麗華捜しを始める。紅葉最中の奈良・御所を舞台に言葉の壁を越えて不思議な縁で結ばれた3人のおかしくも心温まる旅が始まる。異国の地での新たな出会いを通して、陳ばあちゃんは愛する娘との再会を果たせるのか。
麗華探しを手伝う元警察官の一雄を演じるのは、河瀬直美監督の『萌の朱雀』(97)で映画初主演し、『男たちの挽歌』(92)、『哭声/コクソン』(16)、『マンハント』(18)、『MINAMATA-ミナマタ-』(21)など海外作品の出演も多い國村隼。養女探しに来日した養母役には『妻の愛、娘の時(相愛相親)』『花椒(ホアジャオ)の味(花椒之味)』などの日本公開作がある、1938年生まれ83歳のウー・イエンシュー。シャオザー役にはポンフェイ監督の長編デビュー作『 地下香(Underground Fragrance)』で女優デビューを果たし、同監督の長編2作目『ライスフラワーの香り』では主演を演じ、共同脚本も務めた中国の若手女優イン・ズー。物語の鍵を握る寺の管理人を演じるのは『あん』(15)、『光』(17)、『Vision(18)』で河瀨監督と過去3度組んできた永瀬正敏が友情出演。そういえば永瀬正敏も『ミステリー・トレイン』『KANO 1931海の向こうの甲子園』など海外の監督作品、海外を舞台にした作品への出演が多い。シャオザーの元恋人役は劇団EXILEの秋山真太郎と、豪華な出演人。撮影は『河』(97)、『Hole-洞』(98)、『楽日』(03)、『西瓜』(05)、『郊遊<ピクニック>』(13)など多くのツァイ・ミンリャン作品を撮ってきたリャオ・ペンロン。ポンフェイ監督作品は2作目の『ライスフラワーの香り』と本作で撮影を担当している。音楽を担当したのは、はちみつぱい、ムーンライダーズなどで活躍し、PANTAや高田渡ともユニットを組んだこともある鈴木慶一。映画音楽の分野では北野武監督作品の音楽を多数手がけている。

サブ9_R_R.jpg
©2020“再会の奈良”Beijing Hengye Herdsman Pictures Co.,Ltd,Nara International Film Festival, Xstream Pictures (Beijing)

連絡が取れなくなってしまった中国残留孤児の娘を探す陳おばあちゃんと、協力するシャオザーと元警察官の一雄。3人の珍道中的ロードムービーではあるけど切ない。そして日本語ができない陳ばあちゃんのユーモアたっぷりな肉屋でのジェスチャーが面白い。これだけでも心休まる。さすが83歳のベテラン俳優。
そして紅葉の奈良の景色が素晴らしい。奈良には3回くらいしか行ったことがないけど、中学校の修学旅行で行った興福寺や法隆寺なども出てきて懐かしかった。こういう奈良の定番観光地だけでなく、山里の柿の出荷工場や日本酒の酒蔵などの光景も出てきて、古都奈良の魅力とともに、人々の人情、中国から日本に来た人たちも出演し、残留孤児の実情と現在日本に来ている中国人の実情も垣間見える。
中国残留孤児や中国残留婦人など中国残留邦人たちは、戦後の引き揚げ事業の時に日本に帰れず、そのあと中国の内戦、国交の断絶のため、1972年の国交回復まで帰れなくなり、日本にやっと帰れることになったのは1981年頃。1945年の終戦から36年もたっていた。日本に帰国しても肉親が見つからなかったり、日本語が話せなかったりして、日本社会で生きていくのに大変な苦労をしている人が多い。日本の国策で満州に行ったのに、帰国した人たちへの国の支援は充分とは言えない。しかも、もう戦後77年。中国残留邦人のことを知らない若者たちも増えた。せめて、そういう人たちがいるということを忘れないためにも、こういう映画は大きな役目をしているのではないかと思う。1972年に日中国交正常化され、50周年の節目となる2022年。たくさんの人にこの作品を観てほしい(暁)。


今と未来、奈良と世界をつなぐ映画制作プロジェクト「NARAtive(ナラティブ)」では、これまでなら国際映画祭で受賞した世界各地の監督たちが、奈良県の各地を舞台にそれぞれの「奈良」を描いてきました。
「NARAtive(ナラティブ)」公式サイト https://narative.jp/
NARAtive2010 『光男の栗』 監督:趙曄(チャオ・イェ)/中国  橿原市
NARAtive2010 『びおん』 監督:山崎都世子/日本 奈良市田原地区
NARAtive2012 『祈/Inori』 監督:ペドロ・ゴンザレス・ルビオ/メキシコ  十津川村
NARAtive2014 『ひと夏のファンタジア』監督:チャン・ゴンジェ/韓国  五條市
NARAtive2016 『東の狼』 監督:カルロス・M・キンテラ/キューバ  東吉野村
NARAtive2018 『二階堂家物語』 監督 : アイダ・パナハンデ/イラン 天理市


私がこれまでに観たのは、『東の狼』 『二階堂家物語』 の2作品ですが、監督の出身国との繋がりは特になく、監督たちが奈良に思いを巡らして描いたものでした。今回の『再会の奈良』は、ポンフェイ監督が自身の出身国である中国と日本を繋いで紡いだ作品で、NARAtive作品として素敵な着地をしていると思いました。何より、1982年生まれで残留孤児が話題になった頃を知らない若い監督が作ったことに意義を感じました。 本作を通じて、日本や中国の若い世代に残留孤児という悲しい歴史を知っていただければと願います。(咲)



『再会の奈良』公式サイト 
2020年製作/99分/G/中国・日本合作
原題:又見奈良 Tracing Her Shadow
配給:ミモザフィルムズ

*シネマジャーナルHP記事
・特別記事
再会の奈良』ポンフェイ監督インタビュー
・スタッフ日記
『再会の奈良』に出演の女優吴彦姝(ウー・イエンシュー)さん

*参考資料
・「満蒙平和記念館」長野県阿智村に2013年(平成25年)4月オープン
満蒙開拓のミニ知識
posted by akemi at 19:32| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする