2022年11月20日

シスター 夏のわかれ道  原題:我的姐姐

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© 2021 Shanghai Lian Ray Pictures Co.,Ltd. All Rights Reserved

監督:イン・ルオシン (殷若昕)
脚本:ヨウ・シャオイン(游暁頴)
主題歌:「Sister」 ワン・ユエン(王源)
出演:チャン・ツィフォン(張子楓)、シャオ・ヤン(肖央)、ジュー・ユエンユエン(朱媛媛)、ダレン・キム(金遥源)

四川省成都。看護師として病院で働くアン・ラン(安然)は、医者になるため北京の大学院進学を目指して受験勉強に励んでいた。そんなある日、 疎遠だった両親が交通事故で急死し、6歳の弟アン・ズーハン(安子恒)が残される。アン・ランは看護師として働き始めた時に家を出たので、入れ違いで生まれた弟とは一緒に暮らしたことがなかった。弟が現れたことで、アン・ランの人生計画はかき乱される。葬式が終わり、父方の伯母アン・ロンロン(安蓉蓉) も母方の叔父ウー・ドンフォン(武東風)も、ズーハンは実の姉であるアン・ランが育てるべきだという。だが、アン・ランは「弟は養子に出す」と宣言。すぐに養子先を探し始め、父が遺した自分名義のアパートも売却する手続きを始める。養子先が見つかるまで仕方なくズーハンと同居し、面倒を見始めるが、幼いズーハンは両親の死を理解できずに我儘ばかり。恋人も彼女の苦境にピントはずれの助けを出して、イライラさせるだけ。ようやく人づてに養子先を紹介される。庭のある家で暮らす金持ちの夫婦は、ズーハンを一目で気に入ってくれる。北京に旅立つ日が近づく。弟を養子に迎えた夫婦に呼ばれる。家を売ったお金の半分を養父母に渡そうとすると、お金はいらないので、合意書にサインをしてほしいといわれる。その条件を聞いて、アン・ランはズーハンの手を引いて走り出す・・・

ものすごく年の離れた弟ですが、一人っ子政策が2015年に解除された賜物。実は、アン・ランの両親は、まだ一人っ子政策(1979年~2015年)の時代に、娘に足の障害があるので、第2子を産みたいと申請したことがあるのです。それを知ったアン・ランが、わざとスカートを穿いたことから嘘だとばれて許可が却下され、父親に怒られたという過去があったのです。 北京の大学の医学部に進学したかったのに、娘は親の面倒を見るべきと、地元の大学の看護科に志望を勝手に書き換えられたという恨みもアン・ランにはありました。
父の姉であるアン・ロンロンが、西瓜を一緒に食べながら語る場面があります。母親はいつも弟優先で、西瓜を内緒で弟だけに食べさせていたこと、大学のロシア語科に受かった時もダメと言われたこと、仕事でモスクワに滞在していた時にも弟に出来た赤ちゃんの面倒を見るために呼び戻されたと語ります。その時に買ってきたマトリョーシカにロシア語で語りかけるアン・ロンロンの姿に、女であるために夢を叶えられなかった悲哀を感じました。 伯母の時代は、まだ一人っ子政策の前ですが、それでも、息子が優先された時代でした。 一人っ子政策が解除されて、無理やり堕胎されたりの悲劇はなくなったとはいえ、男児優先の風潮は続いているのでしょうか・・・ 
アン・ランが自分の人生を切り開いていきたいという思いの中で、血の繋がった弟のことも考えようとする姿が素敵でした。でも、なんとか自分の道を歩いていってほしいと強く思いました。
これは余談ですが、本作の舞台になっている成都には、32年前に行ったことがあって、町の変貌ぶりに驚きました。 アン・ランが弟と地下鉄に乗る場面があって、おぉ~成都にも地下鉄が出来たのだと。 四川料理といえば、辛いと聞いていましたが、唐辛子というより山椒の辛さなのですね。 アン・ランがお母さんの作る肉饅頭は、花椒で口がしびれてしまうと語る場面がありました。確かに成都で食べた本場の麻婆豆腐は花椒の味がきつかったです。 でも、辛くないまろやかなお料理もあって、四川料理は辛いだけじゃないということも知った成都の旅でした。
成都の公園で、纏足のおばあさんたちが十数名で集っていて、よちよち歩いていたのも思い出しました。足は小さいのが美しいという勝手な解釈で、中国の女性たちが蹂躙されていた時代もあったのだと思いました。女性はいつになったら真の自由を手にできるのでしょう・・・(咲)


「自分が目標とする人生を選ぶか、姉として生きるか」その葛藤が描かれる。
疎遠だった両親が事故死しして、突然現れた6歳の弟を“育てる”ことになるのだが、映画の案内に「見知らぬ弟があらわれる」とあり、弟が生まれたことを知らなかったということなのだろうか、それほど両親と疎遠だったのかと思った。
『花椒(ホアジャオ)の味』でも、主人公は父の葬式で自分に異母姉妹がいることを知り、早々に打ち解け、父の火鍋店を助け合って続けるということが描かれていたが、こちらはそうはいかない。突然現れた「幼い弟の面倒をみなくてはならない」と、両親の姉弟など親戚からいきなり押し付けられたのだから。自分の夢を強制的に諦めさせられそうになることに、無性に腹が立ち、強引な行動に出るが、それもわかる。私でも、この状態だったらそうしただろう。
そもそも医師志望だったのに、女だからという理由で、両親に自分の進路を勝手に変えられてしまったということが許せないアンランは、自力で医者を目指していたのだから、そう簡単に諦めることはできない。それにとても共感する。
(咲)さんが書いている、伯母さんと西瓜を食べるシーンは、私もこの作品の山場である感動的なシーンだと思い、やはり女性の脚本家、監督ならではの思いが込められていると思った。
幼い弟と一緒に暮らすうち情がわいてきたとしても、やはり医者になるという目標を達成してほしいと思いながら観ていたのだけど、最後をどう解釈したらいいのか。養子に出した家から弟を連れだした時、引き取った家の人は引き止めもせずというのが腑に落ちないし、連れだしたけど、彼女はあの時点で実家も売り、病院もやめ、北京に行くという状態だったはずだけど、その状態でどうするのでしょう。その状態で北京に行くという意味なのか、あるいは四川省で弟と一緒に生きていくという意味なのか、判断に迷うところ。最後のシーンは、観た人の解釈に任せるということらしいのですが、私としては、アンランは成都に留まるのではなく、北京に行って新しい生活に挑戦するという方向であってほしいと思った。
男女平等が進んでいるようにみえる中国でも、北京や上海などの都会以外では、まだまだ男尊女卑の考え方が人々の中にあり、女性が家族や男兄弟のために我慢や犠牲を強いられているという現実があるのだなと思った作品でした(暁)。


2021年/中国語/127分/スコープ/カラー/5.1ch
日本語字幕:島根磯美
配給:松竹
公式サイト:https://movies.shochiku.co.jp/sister/
★2022年11月25日(金)より新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、シネ・リーブル池袋ほか全国公開
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2022年09月25日

1950 鋼の第7中隊 原題:长津湖 英題:The Battle at Lake Changjin

劇場公開2022年9月30日TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
劇場情報
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朝鮮戦争における長津湖での中国軍とアメリカ軍の戦いを中国側から描く

製作費270億円をかけ、映画スタッフ1.2万人、エキストラ7万人、450社に及ぶVFXスタジオが参加するなど、壮大なスケールで描かれる戦争スペクタクル『1950 鋼の第7中隊』。朝鮮半島の主権をめぐって韓国と北朝鮮が争った「朝鮮戦争」だが、戦ったのは朝鮮人だけではなかった。
朝鮮民主主義人民共和国の側には中国が援軍し、韓国側はアメリカ軍中心の「国連軍」がついた。この映画は、その中で、アメリカ軍中心の「国連軍」と中国軍が直接戦った「長津湖の戦い」を描いた。1950年11月27日に勃発した、現在の朝鮮民主主義人民共和国の咸鏡南道長津郡長津湖周辺で行われた戦闘の一つ。仁川から朝鮮半島に上陸し、38度線を越えて中朝国境に迫っていた「アメリカ」に危機感を持った中国は人民志願軍を派遣した。中国軍と「アメリカ軍」が初めて激突した戦闘で、朝鮮戦争の中でも最も熾烈な戦いとして知られている。極寒の過酷な環境のもと、激しい戦いを続け、「アメリカ軍」を38度線まで退け、戦況を逆転へと導いたターニングポイントとなった戦いを描いた。

『黄色い大地』『さらば、わが愛/覇王別姫』のチェン・カイコー監督、『北京オペラブルース』『セブンソード』のツイ・ハーク監督、『ツインズ・エフェクト』『ブラッド・ウェポン』のダンテ・ラム監督、中国、香港を代表する3人の監督を起用し、『黒砲事件』のホアン・チェンシン監督がプロデュースした戦争大作。朝鮮戦争の歴史に詳しいチェン・カイコー監督が史実に基づく全体的なストーリー部分を手掛け、歴史観や豊富な知識をもとに、登場人物の表現描写において手腕を発揮。ツイ・ハーク監督は得意とする特撮技術や独自の美学を表現した。戦闘シーンはアクション分野が得意なダンテ・ラム監督が見事に再現。3人の得意分野を合わせることで、兵士の感情表現と、迫真のリアリズム溢れる作品になった。

スタッフ・キャスト
監督:陳凱歌(チェン・カイコー)、徐克(ツイ・ハーク)、林超賢(ダンテ・ラム)
製作:黄建新(ホアン・チェンシン)
出演
呉 京(ウー・ジン) 伍千里役 
易 烊千璽(イー・ヤンチェンシー) 伍万里
段 奕宏(ドアン・イーホン) 談子為
朱 亜文(チュー・ヤーウェン) 梅生
張 涵予(チャン・ハンユー) 宋時輪
胡軍(フー・ジュン)雷睢生
韓東君(エルビス・ハン)平河
黄軒(ホアン・シュアン)毛岸英

零下41度の極寒の山中 “鋼の第7中隊”として知られる兵士たちが繰り広げた長津湖の戦いを映画化

国民党との「国共内戦」が終結し、1949年に中華人民共和国ができたばかり。やっと戦いが終わり、地元に戻った人民志願軍・第9兵団 第7中隊長の伍千里(ウー・ジン)は、戦死した兄の百里の遺灰を持って帰る。軍の手当で彼は両親に家を建てることを約束した。しかし、落ち着くまもなく中国が朝鮮戦争に参戦し、軍に呼び戻される。弟の万里(イー・ヤンチェンシー)は一緒に行きたいと言うが、両親の面倒を見るようにと千里は伝えた。
千里が戻った第7中隊は、前線に無線機を届けるように指示を受け、朝鮮に向かう列車に乗ろうとしたところで万里の姿を見つけた。帰るように説得したが、弟の揺るがぬ意志を目の当たりにし入隊を許可した。列車は移動中に爆撃され、第7中隊は徒歩での移動を余儀なくされる。途中、米軍機と遭遇し兵士たちは遺体をよそおうが容赦なく銃撃されたり、いろいろな困難を乗り越え、無線機を前線の総司令部に届けた。しかし充分な休息を取る間もなく前線に出発。
しかし無線機の発信から、米軍の探知機が総司令部の場所を特定し、戦闘機で基地を爆撃に到来。防空壕に避難した中国軍だったが、司令室にある地図を取りに戻った兵士が爆撃を受ける。その人物は彭徳懐将軍の秘書として劉という偽名で従軍していた毛沢東の息子、毛岸英だった。
一方「長津湖」に向かった第7中隊は、十分な食料や防寒具もなく、過酷な氷点下での行軍を続け、やっと「長津湖」にたどり着き、11月27日の夕刻、長津湖を陣地とする米第31歩兵連隊掃討作戦が開始され、中国人民志願軍と米軍による「長津湖の戦い」の火蓋が切って落とされた。

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厳しい戦いの中で生死を共にする兵士たちには、中国で活躍する俳優陣が参加している。第7連隊の精神的支柱である連隊長の伍千里を演じるのは『戦狼 ウルフ・オブ・ウォー』(2017)のウー・ジン。弟、伍万里に扮するのは『少年の君』(2019)のイー・ヤンチェンシー。退役間近の砲兵小隊長の雷睢生にフー・ジュン。そのほか『迫り来る嵐』のドアン・イーホン、『マンハント』のチャン・ハンユー、『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』のホアン・シュアンなども出演している。

朝鮮戦争を描いた映画は、日本では主に韓国が作ったものを観る場合が多かったが、そこにはほとんど中国軍のことは出てこなかった気がする。北朝鮮作も観たことはあるが、そこにも中国軍のことはほとんど出てこなかったと思う。そういう意味では、朝鮮戦争に中国軍も参戦していたということを知る機会になるかもしれない。私自身は、中国側から朝鮮戦争を描いた映画は、これまで現中映(現代中国映画上映会)で上映された作品などで観たことがあるけど、日本で一般公開される作品が出てきたことは興味深い。
これまで観てきた、中国が描いた朝鮮戦争の映画に比べればプロパガンダ色は少し控えめな感じだが、やはり香港の監督二人が参加しているというのもあるかもしれない。でもこのご時勢で観れば中国の宣伝映画ではあるかな。
それにしても朝鮮人や韓国人は一人も出てこなくて、中国兵とアメリカ兵だけというのは、なんだか不自然な気がする。中国軍と北朝鮮の兵とが一緒に行動するとか、アメリカ軍の中に韓国兵はいなかったのだろうかと思った。それでも、朝鮮戦争そのものの記憶が薄れている現在、中国側からの朝鮮戦争を描いた作品を観れば、また違う見方もできると思う。
毛沢東の息子、毛岸英が朝鮮戦争で亡くなったということも出てきました。私はそのことは知ってはいたけど、毛沢東には3人の息子がいたというのをこの作品で知りました。長男は亡くなっていて、三男は病弱、次男の岸英が朝鮮戦争に行ったのですね。
この紹介文を書くのにネットでいろいろ検索していたら、やはり中国映画で朝鮮戦争を描いた『バトル・オブ・ザ・リバー 金剛川決戦』(原題:金剛川)という作品が今年(2022)1月に日本で上映されていたことを知った。「のむコレ'21」(2021年10月22日~/東京・シネマート新宿、大阪・シネマート心斎橋)上映作品となっていたけど、全然知らなかった。残念。朝鮮戦争末期の1953年、燕山部と呼ばれる師団が金城の前線に赴き、主力部隊を援護するよう命じられる。金城に向かう道はただひとつ、金剛川に掛かる橋を渡らなければならないが、米軍の爆撃機が橋を壊してしまう。というような内容で、これも中国でヒットしたらしいが、この作品も、この『長津湖』も韓国では、上映の妨害にあったという(暁)。


公式HP https://1950-movie.com/
2021年製作/175分/R15+/中国
原題:長津湖 The Battle at Lake Changjin
配給:ツイン
posted by akemi at 21:13| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年07月16日

あなたがここにいてほしい(原題:我要我們在一起  英題:Love Will Tear Us Apart)

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監督:シャー・モー(沙漠)
原作:リ―・ハイボー(李海波)
  《與我十年長跑的女友明天要嫁人了》
プロデューサー:チェン・クォフー(陳国富)
主題歌:empty world(這世界那麼多人)
歌:カレン・モク(莫文蔚)
出演:チュー・チューシアオ(リュー・チンヤン)、チャン・ジンイー(リン・イーヤオ)
日本語版吹き替え:古川雄輝(リュー・チンヤン)、三森すずこ(リン・イーヤオ)

白蒲高校に通うリュー・チンヤンは美人で優等生のリン・イーヤオに一目ぼれ。なんとか彼女にラブレターを渡すが、それを生活指導担当のヤオ先生にみつかってしまう。頭を丸めて校内放送で謝罪すれば見逃すと言われ、チンヤンはなんとその校内放送で彼女に告白した。数年後イーヤオは一流大学に合格、チンヤンは専門学校へ。いつか2人でマンションに住みたいと、建設現場で真面目に働くチンヤンだったが彼女の家族にはいい顔をされない。そんなときに学生時代からの友人のダーチャオからの頼みで、大きなプロジェクトを仕切ることになった。

2013年1月中国の「ドウバン」というサイトに《與我十年長跑的女友明天要嫁人了》「十年間一緒にいた彼女は明日他人の嫁に行く」という長い文章が投稿され、話題となりました。若者の結婚までに出逢う様々な出来事が共感を呼び、社会現象になったそうです。すぐにこの映画化権を獲得したプロデューサーが、長い時間をかけて脚本を練り、シャー・モー監督を見出して8年がかりで作品が完成しました。チュー・チューシアオは『流転の地球』(Netflix配信中)の主演で大注目、チャン・ジンイーはこれが初主演作です。
10年前、チンヤンとイーヤオは高校生のころに知り合い、家柄や学歴の差も越えて愛を育んできました。チンヤンは一本気で手抜きも贈収賄もしません。誠実なのに、問題が次々と起こって苦労ばかりが続き、なんだか男性版「おしん」のようで気の毒になりました。
イーヤンは母親の反対を押し切ってチンヤンと暮らしますが、楽しい日々は短くお金の心配が絶えません。手を差し伸べる男性が現れて、2人の間に水を差し…。原作のタイトルどおり、他の男に嫁ぐか否かはぜひ劇場でご覧ください。(白)


2021年/中国/カラー/シネスコ/105分
配給:リスキット
https://anakoko.jp/
https://twitter.com/anakoko722
★2022年7月22日(金)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー
posted by shiraishi at 23:39| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年06月03日

クラウディ・マウンテン(原題:峰爆 Cloudy Mountain)

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監督:李 駿(リー・ジュン).
音楽:出演:朱 一龍(ジュー・イーロン)、黄 志忠(ファン・チーチョン)、陳 数(チェン・スゥー)、焦 俊艳(ジャオ・ジュンイェン)、成 泰燊(チェン・タイシェン)、張 国立(チャン・グォリー)、張 譯(チャン・イー)、白客(バイケー)

中国西南部、周囲を山々に囲まれた街は春節を前に賑わいを見せている。一方、山では10年を要した高速鉄道を通すためのトンネル掘削工事がようやく終わりを迎えようとしていた。休暇を返上し、工期に間に合わせるために働く技術者たち。地質学の専門家ホン・イージョウ(ジュー・イーロン)もその日、変動し続ける地殻の再調査にあたっていた。ところが、トンネル内で突然の湧水が技術者たちを襲い、街では大規模な地盤の陥没が発生する。やがて2時間以内に地殻変動により山が崩落し、大量の土砂が市街地へ流れ込むことが発覚する。未曾有の危機から16万の住民を救うには山を爆破するしかない!タイムリミットが迫る中、イージョウが作業に名乗りを上げる。

中国の大がかりなディザスター(自然災害)作品。中国のCG技術の進歩と、潤沢な製作費が想像できます。災害に負けずに立ち向かう人の姿は感動を呼びますが、それにしても次々と問題が起こりすぎ。そしてまた、主人公が困った人を助けるために現れてくれるんです。そ、それは無理~と言わず、見守りましょう。コロナ以降いろいろ苦難を抱える人が増えているでしょうから、ヒーローに活躍してほしい!すっきりしたい!そんな気持ちに応えてくれます。
地震、津波、水害と次々災害に襲われる日本では他人事ではありません。こんな活躍はできなくとも、できる備えをしておきましょう。
ジュー・イーロンは連続ドラマで日本に知られるようになったところです。時代劇、現代劇どちらでもイケメンぶりが目立ちます。歌手でもあって羅大佑の「追夢人」をカバーしている動画がありました。メイクのせいかちょっとトニーレオンにも似ています。(白)


山の崩落から町を救うため、命がけで立ち向かう地質学者ホン・イージョウ。まさにヒーローなのですが、それにしても春節で帰ってくる父にあまりに冷たい。実は、父親は元鉄道兵で、やはり仕事優先で家族をないがしろにしたことを息子は根に持っているのです。その父とのわだかまりが、大災害に立ち向かう中でとけるというのが、本作のクライマックス。まさにお涙ちょうだい。こういう映画が、今の中国では受けるのでしょうねぇ。
息子を演じたジュー・イーロンがトニー・レオンなら、父親を演じたホァン・ジージョンは、奥田瑛二さんに見えました。(咲)


2021年/中国/カラー/ビスタ/114分/G
配給:クロックワークス
(C)2021 CHINA FILM CO.,LTD
https://klockworx-asia.com/mountain/
★2022年6月10日(金)ロードショー

posted by shiraishi at 20:35| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2022年05月13日

ワン・セカンド 永遠の24フレーム (原題:一秒鐘 One Second)

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(C)Huanxi Media Group Limited

監督:チャン・イーモウ
脚本:チャン・イーモウ、ヅォウ・ジンジー
撮影:チャオ・シャオティン
出演:チャン・イー(逃亡者)、リウ・ハオツン(リウの娘)、ファン・ウェイ(ファン電影)

1969年文化大革命まっただなか。強制労働所送りになった男は、妻と別れ最愛の娘とも疎遠になっていた。数年後「ニュース映画22号」の中に娘が映っていると聞き、それを一目観たいがために強制労働所から逃げ出した。次の村へと運ばれるフィルム1缶が盗まれるのを目撃した男は、その後を追う。盗んだのは孤児のリウ。弟と二人暮らしのリウにはフィルムがどうしても必要なわけがあった。
リウからフィルムを取り戻した男は、映写技師のファンに手渡すことができたが、一難去ってまた一難。今度は他のフィルムが運搬中に落下して引きずられ、傷だらけになってしまったのだ。逃亡中の男は娘の場面を観るまでは保安隊に捕まるわけにいきません。上映は間に合うのか? リウの問題は片付くのか? 

広大な砂漠のシーンが美しいです。美しいけれども、これで作物が育つのか?どうやって水を得て生活をしているのか?と気になってしまいました。
名前の明かされない逃亡者の男とリウの攻防は何度も繰り返され、口の達者なリウにやり込められたり、出しぬかれたりが笑いを呼びます。背景に強制労働や貧困を描きながら、映画愛が満ちていました。村の人たちが数ヶ月に一度の上映を待ちわびていること、映写技師が慕われ、仕事に誇りをもっていることがわかります。上映のために村をあげて協力する人々、上映時に超満員の観客が熱狂する場面には胸がいっぱいになります。劇中映画は父と娘の情愛を描いた『英雄子女』。映写技師のファンにも父親としての反省がありました。父親の想いはどの時代、どこの国でも変わりません。
チャン・イーモウ監督が見出した新星リウ・ハオツンは、この作品で第15回アジア・フィルム・アワード新人賞を受賞。ずっと男の子みたいですが、親代わりに弟を守る姉の愛情が伝わります。笑顔が見られるまで辛抱してください。コン・リーやチャン・ツィイーを継ぐ女優に育ちますように。(白)


映画1本が数缶に分かれ、結構な重さ(20~30キロ)だった時代。映画の重さだけ、人々の映画への思いも熱かったのではないでしょうか。それが、長年、会ってない娘の姿が、ほんの1秒(ワン・セカンド)でも出ているとなれば、なんとしてでも観たいのが親心。泣けます。
髪の毛がボサボサで男の子みたいだったリウ・ハオツンが、やっと見せてくれる少女の姿は初々しくて、『初恋のきた道』で初めて観たチャン・ツィイーの愛らしさを彷彿させられました。
フィルムがからまったのを必死に修復する場面があります。デジタルが主流となった今では考えられません。
チャン・イーモウ監督の若い時代の経験や思い出がぎっしり詰まった映画愛に溢れる珠玉の1作。(咲)


ニュース映画に映った娘の姿を観たいとフィルムを追う父親と、貧しいながらもけなげに生きている少女と、映画を上映することに情熱を燃やす興業主の偶然の出会いを描くドラマ。
野外に白い幕を張って村人が集まって映画を観る光景は、中国映画の中で幾度となく描かれてきた。張芸謀(チャン・イーモウ)監督作品の中でも何度も描かれてきたと思うけど、それ自体が主体に描かれてきたことはなかったかもしれない。野外に白い幕を張って映画を観るというのは、日本でも昔あった。私が小学生低学年くらいまであったと思う。観た記憶がある。たぶん1960年代前半くらいまでは、東京でもあったのではないかと思う。その後は亡くなってしまったけど、学校で1年に1回くらい大きい教室や講堂に集まって映画を観た記憶は小学校高学年まである。なので、この中国での光景も1960年代後半の時代なので、同じころ日本でもあった光景だと思う。東京でもそうなので、地方だったらもっと後まであったかも。
それにしても、映画を観るという行為と映画愛に満ち溢れた映画だった。
自分の娘が一秒鐘(1秒間)描かれているという情報を得た、男(張譯=チャン・イー)はなんとかその映像を観たいと労働改造所から逃亡するが、砂漠を歩き続けて上映されるという村まで歩く。その砂漠の景色は張芸謀らしく雄大さと美しい光景、そして自然の厳しさも映し出す。村は砂漠の向こうにあるのか。そこの関係はわからない。そして村についた逃亡者の男は、映画のフィルムが入った缶を運ぶ配達人に偶然出会った?
そして、それを盗んだリウの娘(劉浩存=リウ・ハオツン)をみつけ、おいかけていく。見失ってしまうけど、映画が上映される村(場所)の食堂でビャンビャン麵を食べようとしている娘からそれを奪って食べるのだけど、そこに偶然出くわしたのがファン電影のファン(范偉=ファン・ウェイ)。取り戻したフィルムをファンに渡した時、男は娘が盗んだとは言わない。この3人を中心にして物語は進む。それにしても、単純な物語の中に、映画への愛、男の娘への愛、リウの娘の父親や弟に対する思い、それらをうまくからませながら、1本の作品ができているというのはさすがです。
私は映像ではなく、スチール写真の現像などの技術者だったので、フィルムを洗って、拭いて、乾かすシーンを見て、同じような経験をしたことがあるので、思わず「張芸謀、やったね」とニヤリとしてしまいました。もちろんあんなざつな処理は普通ありえないけど、あの場ではしょうがなかったのだろうし、あれがベストの解決方法だったと思ったそして映し出された映像と何回も上映するシーンは感動だった。優しさとずる賢さ両面をもつファンを演じた范偉(ファン・ウェイ)は元々コメディアンなので、そういうのがうまい。日本でいえば、伊東四朗さんみたいな感じかも。
主人公の張譯(チャン・イー)は観たことあると思ったけど『クライマーズ』『帰れない二人』『山河ノスタルジア』『最愛の子』などの作品にも出ていた。これまで名前を知らなかった。そして劉浩存(リウ・ハオツン)は、今回張芸謀監督に見いだされた新人(暁)。


2020年/中国/カラー/シネスコ/103分
配給:ツイン
(C)Huanxi Media Group Limited
https://onesecond-movie.com/
★2022年5月20日(金)ロードショー
posted by shiraishi at 20:31| Comment(0) | 中国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする