2025年01月09日

FPU ~若き勇者たち~ 原題:維和防暴隊 英題:Formed Police Unit

2025年1月10日~ TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
劇場情報

© 2024 Zhongzhong (Huoerguosi) Films Co., Ltd. & Wanda Pictures (Huoerguosi) Co., Ltd. All Rights Reserved

監督:李達超(リー・タッチウ)
製作総指揮:劉偉強(アンドリュー・ラウ)
撮影:ファン・ユェンマン(H.K.S.C.)
美術:チュン・イーフン
アクション指導:シャ・シアロン、チェン・ジュンジー、フー・シャオガン
出演
分隊長 ユー・ウェイトン役 黄景瑜(ホアン・ジンユー)
狙撃手 ヤン・ジェン役 王一博(ワン・イーボー)
通訳/連絡係 ディン・フイ役 鐘楚曦(チョン・チューシー)
小隊長 ジョウ・ジアシュエン 欧豪(オウ・ハオ)
国連警察 作戦部長 ファビオ・トーマス:トーマス・フィケ

命を懸けて挑む、中国の国際平和維持警察隊FPUを描く

反政府武装集団と政府軍の武力紛争が続くアフリカの国へ、国連の要請を受けた中国の国連平和維持警察隊「FPU」(Formed Police Unit)が派遣された。チームワークを重んじる分隊長ユー(ホアン・ジンユー)や、正義感が強い狙撃手ヤン(ワン・イーボー)らは、一触即発で武力衝突が起こりうる最も危険なエリアで勤務することになる。内戦状態が続く中、大量虐殺、テロ攻撃、暗殺、暴動、人質事件などが頻発するこの地で、幾度となく命の危機に直面する彼らだったが、命がけの任務に邁進する。しかし、ユーとヤンの間には、ヤンの父を巡って因縁があり、ユーに対して不信感を持っていた。
そんな中、拘束されていた、大量虐殺を指揮していた人物が裁判にかけられることになり、証言者たちを出廷させるため、「FPU」のメンバーは彼らを守りながら裁判所に向かうが…。台風が接近する中、その証言者たちを奪取しようとする者たちが襲ってくる。暴風雨の中、死闘が続くが、なんとかそこを脱することができた。しかし、通訳だったディン・フイ隊員が命を落としてしまう。そんな彼らの活動を描く中国製ミリタリーアクション。

中国の若手俳優ホアン・ジンユー&ワン・イーボーが夢の競演!

モデル出身で、高校生の青春BLドラマ「ハイロイン」の主役で鮮烈デビューしたホアン・ジンユーがリーダー役を好演。『オペレーション:レッド・シー』からさらに進化したミリタリーアクションを演じ、若手トップ俳優の実力を発揮
中韓ボーイズグループUNIQのダンサー&ラッパーとしてデビューし、TV時代劇ドラマ「陳情令」でブレイクし、2024年には3本の主演映画『無名』『ボーン・トゥ・フライ』『熱烈』が日本で立て続けに公開されたワン・イーボーが、人命救助に情熱を燃やす青年を熱演。複雑な役どころを繊細に演じ、ハイスペックな身体能力を披露し、過酷なアクションをこなしている。『インファナル・アフェア』シリーズのアンドリュー・ラウ監督が製作総指揮に名を連ね、武術監督出身のリー・タッチウが監督を務めた。


公式HP https://hark3.com/FPU/
2024年製作/101分/PG12/中国
配給:ハーク
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2024年12月22日

夏が来て、冬が往く  原題:夏來冬往 英題:Hope for A New Life

『夏が来て、冬が往く』ポスタービジュアル_R_R.jpg
©MICRO ENTERTAINMENT TIMES FILM CO. LTD.


2024年12月27日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー
劇場情報

夏が来て冬が来る。冬が去るとやがてまた夏が来る
親が子を育て、暮らしを営む。
その子が新たに生まれた子を育て、世代が移っていく。
それはまるで四季のよう


彭偉(ポン・ウェイ)監督、
撮影:孟德静(モン・ダージン)
美術:谢首洁(シェ・ショウジェ)
編集:李德华(リー・ダーホア)
制作:牧義寛
音楽:西村大介、黒田征一
効果・整音:丹雄二
CG:石川浩作
編集:宮澤誠一、飯田一史

出演
三女 林佳妮(リン・チアニー)役:雪雯 シュエ・ウェン
長女 鄭文鳳(チョン・ウェンフォン)役:曽韵蓁 ゼン・ユンジェン
次女 張曉莉(チャン・シャオリー)役:陈昊明 チェン・ハオミン
生母 藩三喜(パン・サンシー)役:王亜軍 ワン・ヤージュン
チアニーの養父 林小宝(リン・シャオバオ)役:楊涵斌ヤン・ハンビン 
チアニーの恋人 姚志遠(ヤオ・ジーユェン)役:孫序博 スン・シューボー
長男(弟)鄭文龍(チョン・ウェンロン)役:王馳 ワン・チー

中国の美しい海辺の町が舞台。家の都合で養子に出された三女佳妮(チアニー)。深圳(シンセン)に住む佳妮だが、実父が死去と連絡があり自分が養子だったと知る。葬式に出席のため、生家がある青島(チンタオ)に向かった佳妮だが、佳妮には二人の姉と長男である弟がいることわかった。しかも弟はとても自分に対して排他的。実家に入れず、家族でないから出ていけという。自分を手放した母にも納得がいかない。そんな佳妮が青島で過ごした3日間の心の軌跡と家族愛を描いた物語。家父長制による男尊女卑の考え。一人っ子政策のもと、女の子は養子に出されてしまった。この地方に伝わるという伝統文化や、女性であるための理不尽な扱い、男女差別の実態が浮かび上がる。家とは、家族とは、男女のあり方とは?を問いかける。中国の新鋭、彭偉(ポン・ウェイ)監督の長編デビュー作。

深圳の貿易会社で働く林佳妮(リン・チアニー)は、恋人姚志遠(ヤオ・ジーユェン)からプロポーズされたが結婚に踏み切れずにいた。理由は、自分たちの持ち家がないこと。中国では昔からそう言われてきて、家がなければ結婚できないと考えていた佳妮は、価値観の違う恋人からのプロポーズに応えられずにいた。
そんな時、生き別れになっていた実父が亡くなったとの知らせを受け、葬儀に参列するため生家を訪ねた佳妮は、自分には他に2人の姉と弟がいて、長女と長男は実家、次女と自分が養女に出されていたことを知った。海を望む青島近くののどかな村で家族の温もりを味わいながら、母や姉たちのこれまでの暮らしと、さまざまな思いを知っていく。しかし、母が佳妮たちを捜した裏には別の理由があったことを知り愕然とする。
結婚しない選択をする女性が増え、少子高齢化をたどっている中国。失業率の上昇などの将来への不安の他に、1980年頃から導入された「一人っ子政策」(2015年に撤廃された)で女性より男性の数が多いという背景もある。男尊女卑の考え方が根強い地方では女児の誕生は歓迎されず、養女に出されるケースも多かった。
長編映画が初となる彭偉(ポン・ウェイ)監督は、これまであまり取り上げられることのなかった、このような中国社会のひずみにスポットを当てた。中国で実際にあった家族のエピソード数件を盛り込み、多くの女性たちが経験しているのに、あまり表に出てこなかった心の傷に寄り添う。中国で映像制作の仕事に従事し、日本大学芸術学部映画学科で学んだ経歴を持つ彭監督。この作品は、撮影や脚本制作は中国で、仕上げ作業は日本で行い、中日共同作品として完成された。

監督 彭 偉(ポン・ウェイ)フィルモグラフィ 公式HPより
1984年7月19日生まれ、中国 黒竜江省出身。
(黒竜江省は、中国最大の食糧産地、平原は景色が美しく、
ロシアに隣接しており、最低温度は零下50度を記録したことがある。
日本大学芸術学部映画学科卒。中国にて映像制作に携わる。
06年、短編映画『10元の偽札』が第7回北京大学映画祭に入選。
18年、短編映画『雪の味』が日本大学芸術学部湯川制賞を受賞。
22年に撮影した本作が長編初監督となる。
東京国際映画祭2023「東京・中国映画週間」新鋭監督賞受賞。

「中国では昔から家がなければ結婚できないと言われてきた」と、ここでは言っているけど、そうだったの?と思った。私がこれまで300本以上観て来た中国映画ではそういう話は出てきたことがなかったように思う。社会主義になった中国では、ほとんど職場と結びついた社宅のような住宅が多かったし、「結婚するには持ち家が必要」という価値観に出会ってこなかった。古い田舎町ならともかく、深圳という近代的な街に住んでいて、そういう考え方がある?と、佳妮の価値観に疑問が残った。それとも、少し豊かになった現代中国で、そういう価値観が出てきているのか。
また、生家があるという青島での、あまりに理不尽な男尊女卑の考え方にも疑問が残った。こちらも、海外からの交流もある現代的な街だし、いくら山の上にある村とはいえ、見下ろせば青島の町や港が見渡せるような場所で、こんなことってあり?と思った。社会主義になり「男と女が天下を支える」と、女性の地位も上がり、共産党の女性幹部や政府高官、職場の女性幹部もいる中国。そうはいっても、地方の田舎町や農村では、昔からの男女差別、家父長制は、今でも残っているとは思うけど、こんなに都会に近い場所でも、家父長制、家制度、男尊女卑が残っているのだろうか。場所の設定が違うのではないかという思いが残った。どこまでも男が大事、家が大事。中国の女たちも耐えてきたんだということが描かれる(暁)。


公式サイト https://natsugakite-fuyugayuku.com
(2023年/中国/カラー/98分/ビスタ/5.1ch)
日本語字幕:樋口裕子(日本シネアーツ)
英語字幕:平田早苗 (スプラウト)
協力:日本大学芸術学部映画学科 北海道映画舎
配給:アークエンタテインメント
配給協力:クロスメディア
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2024年10月18日

国境ナイトクルージング 原題:燃冬 英題:The Breaking Ice

10月18日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

Ⓒ 2023 CANOPY PICTURES & HUACE PICTURES

『イロイロ ぬくもりの記憶』(爸媽不在家2013)、シンガポールの陳哲藝(アンソニー・チェン)監督最新作

監督・脚本:陳哲藝(アンソニー・チェン)
出演:
ナナ 周冬雨(チョウ・ドンユイ)『少年の君』
ハオフォン 劉昊然(リウ・ハオラン)
シャオ 屈楚蕭(チュー・チューシアオ)
日本語字幕:本多由枝

やり場のない寂しさに閉じこめられた若者たち
偶然の出会いが孤独な魂をリスタートさせる

母のプレッシャーに心を壊したエリート社員。オリンピック出場を断念した元フィギュアスケーター。勉強が苦手で故郷を飛び出した料理人。挫折感を抱え、閉塞感の中で生きる3人が、中国と北朝鮮の国境の街、延吉で出会った。磁石のように引き寄せられ、数日間を過ごす。極寒の延吉をクルーズするうちに孤独がほどけていった。国境沿いの凍てついた街で偶然出会った3人の男女の5日間を描いた。
選ばれた地は中国東北部、吉林省延辺朝鮮族自治州の延吉。北朝鮮と国境を接していて、中国と朝鮮の文化が混ざり合う都市。漢字とハングルが混じり合う異国情緒豊かなネオンサインは夜の延吉名物で、本編にも収められている。中国と北朝鮮との国境を流れる豆満江(とまんこう)を渡り、北朝鮮から密入国する人も多く、脱北者が身を潜めて暮らす都市でもある。

ストーリー
友人の結婚式に出席するため、冬の延吉を訪れたハオフォン(リウ・ハオラン)。披露宴が終われば、翌朝のフライトまで予定はない。観光ツアーに参加したら、スマートフォンを紛失。観光ガイドのナナ(チョウ・ドンユイ)がお詫びにハオフォンを夜の延吉に連れ出した。男友達のシャオ(チュー・チューシアオ)も合流し、飲み会は盛り上がり、ナナの部屋にまでなだれ込んで朝方まで飲み明かした。
翌朝、ハオフォンは寝過ごし、上海に戻るフライトを逃し途方に暮れる。運に見放されたハオフォンだが、逆に心は開放された気分になり、シャオの提案で3人はバイクに乗り、国境クルージングに出掛ける。雪山と冷たく澄み切った空の中、凍った川の向こうに広がる隣国を眺めながらクルージングは続く。極寒の延吉をクルーズするうちに3人は少しづつ絆を深めてゆく。


アンソニー・チェン監督
1984年生まれ。シンガポール出身の脚本家、監督、プロデューサー。2007年に短編映画『AH MA(原題)』でシンガポール人として初めてカンヌ国際映画祭で特別賞を受賞。長編デビュー作『イロイロ ぬくもりの記憶』(2013年)はカンヌ国際映画祭カメラドールを受賞したのを皮切りに、第14回東京フィルメックスで観客賞を受賞、台湾金馬奨では、作品賞・新人監督賞・助演女優賞・脚本賞の4冠に輝き、世界の映画祭を席巻した。 2作目の『熱帯雨』(2019年)はトロント国際映画祭でプラットフォーム賞にノミネートされ、東京フィルメックのコンペ部門に出品。続く、長編3作目『DRIFT(原題)』は、初の英語作品であり、2023年のサンダンス映画祭でプレミア上映された。『国境ナイトクルージング』は初の中国語作品である。

公式HP  https://kokkyou-night.com/
2023年/中国・シンガポール/中国語・一部韓国語/100分/1:2.00/5.1ch/
提供:ニューセレクト
配給:アルバトロス・フィルム



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太陽の少年 4Kレストア完全版  原題:『阳光灿烂的日子』

10月18日(金)より新宿シネマカリテにて公開!シネマスコーレ、第七藝術劇場ほか全国順次公開 劇場情報
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文化革命時代の青年の青春ストーリーが蘇る

監督・脚本:姜文(チアン・ウェン)
 出演作『芙蓉鎮』『紅いコーリャン』、監督作『鬼が来た!』
原作:王朔(ワン・シュオ)「動物凶猛」
撮影:顧長衛(クー・チャンウェイ)『紅いコーリャン』『さらばわが愛/覇王別姫』
製作総指揮 文雋(マンフレッド・ウォン)劉暁慶(リウ・シャオチン)
出演:
馬小軍(マー・シャオチュン)役 夏雨(シア・ユイ)
米蘭(ミーラン)役 寧静(ニン・チン)
劉憶苦(イクー)役 耿楽(コン・ラー)
小軍の父:王学圻(ワン・シュエチー)
小軍の母:斯琴高娃(スーチン・カオワー)
ペイペイ役 陶虹(タオ・ホン)
小軍成人役 姜文(チアン・ウェン)
カンフー先生 馮小剛(ファン・シャオカン)

『鬼が来た!』(00/カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ)の姜文監督×『紅いコーリャン』『さらばわが愛/覇王別姫』の撮影監督顧長衛×ヴェネチア国際映画祭・主演男優賞の夏雨で贈る、中国発・青春映画の傑作『太陽の少年』が<4Kレストア完全版>として上映される。失われた約10分のシーンも復活。キーワードは「初恋」と「記憶」と「夏」。

1970年代、文化大革命下の北京。馬家の父親は軍の仕事で遠方に行っていて不在。息子で中学生の小軍(シャオチュン)は幼馴染の悪友たちと町を闊歩し、労働や下放で不在の家に合鍵を作って忍び込むことを繰り返していた。
ある日、シャオチュンは忍び込んだ家で赤い水着でほほ笑む少女米蘭(ミーラン)の写真を発見。彼女に憧れる。やがて彼女が家に戻った時に会うようになった。そして、彼女が仲間内で話題になっているミーランであることを知ると、仲間たちに紹介するが。シャオチュンの兄貴分の劉憶苦(イクー)がミーランと親しくなり、シャオチュンの心は騒ぐ。
物語は、シャオチュンが約20年前の1970年代の少年時代に想いを馳せる回想形式で語られる。激動の文化大革命の時代。大人の姿がまばらな北京の街を舞台に、シャオチュンたち悪ガキ仲間は自転車で走り回る。文化大革命下、こんな青春もあったと描かれ、淡い恋をノスタルジックに描きつつ、少年の凶暴なまでのエネルギーを、ユーモアを交えて描きだす。中国で公開された1996年、大ヒット。日本では1997年に公開され話題になった。

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1988年秋、日本公開された『芙蓉鎮』(謝晋監督)を観て、主人公役の姜文(チアン・ウェンの演技に魅せられた私は、それ以来中国映画を観始め、2年の間に約200本の中国映画を観た。そして、『芙蓉鎮』はいろいろな上映会に通い、結局27回観た。1989年には『紅いコーリャン』(張芸謀初監督作品)が日本公開され、姜文は押しも押されぬスターになっていた。
『芙蓉鎮』を観て2週間後にはラジオで中国語講座まで始め、そして、1996年には北京語言学院に6週間の語学留学をした。その時に、運良く姜文に取材することができた。この映画の主人公を演じた夏雨君が北京の中央戯劇学院で勉強をしていて、北京電影学院に留学していた日本人の友人が知り合いだったので、彼にインタビューし、夏雨君が姜文につなげてくれて姜文にもインタビューすることができた。もちろん、この『太陽の少年』についての取材だった。インタビューの後、夏雨君はミーランが住んでいるという設定の建物まで案内してくれた。この4Kレストア完全版を観ながら、その時のことを思いだした。そして姜文インタビューの時の撮影地での右往左往も思い出した。今、思えば大胆な行動だったなあと思う。
当時は日本公開が決まっていなかったし、私はまだ観ていなかったので、この映画に対する思いを聞いた。その時の記事はシネマジャーナル本誌38号(1996年発行)に掲載されているが、現在38号の在庫はなく、この4Kレストア完全版公開に合わせて、ネットでも見ることができるようにアップしました。下記アドレスからアクセスください。
この時、姜文に次回作の構想について聞いたら、通訳の人が追い付かないくらい熱心に語っていたけど、それが『鬼が来た!』(00/カンヌ国際映画祭審査員特別グランプリ)のことだった。突然やってきた、見ず知らずの日本のミニコミ誌の取材によく答えてくれたと思う。当時、北京に留学していた何人もの日本人の方たちにお世話になった。
この『太陽の少年』は姜文の監督デビュー作。原作者の王朔も町の実力者役でカメオ出演しているし、馮小剛監督も学校の先生役で出演している。寧静(ニン・チン)はその後の活躍が著しかったし、そのほかにも実力派の俳優たちが出演し、夏雨や少年たちを支え、この映画を重厚なものにしてくれている。約10分の未公開シーンを加えた完全版とのことだけど、どの部分がその部分なのかは、ちょっとわからなかった。観たことないシーンかなというのがいくつかあったので、そこが足された部分なのかなと思って観た(暁)。


<第51回ヴェネチア国際映画祭・主演男優賞(シア・ユイ)>
<1997年度・キネマ旬報外国映画ベストテン第2位>

■予告編
https://youtu.be/MYoxeBaDVtQ

1994/中国・香港合作/140min/カラー/ドルビーステレオ
提供:JAIHO 配給:Diggin’
公式サイト:https://heatofthesun-movie.com

*参考資料 1996年北京公開時のレポートと姜文監督、主演の夏雨君へのインタビュー記事が掲載されたシネマジャーナル本誌から、記事をアップしています。

●シネマジャーナル38号(1996) 目次
38号内記事 
・北京特集
北京電影学院大学院/監督科での一年間とは&姜文インタビュー印象記
http://www.cinemajournal.net/bn/38/beijing01.html
・姜文インタビュー! 
八一映画製作所にて/初監督作品『陽光燦爛的日子(太陽の少年)』について聞く
http://www.cinemajournal.net/bn/38/beijing02.html
・夏雨インタビュー   北京市内にて
『阳光灿烂的日子』(『太陽の少年』)でベネチア映画祭主演男優賞を最年少で受賞
http://www.cinemajournal.net/bn/38/beijing03.html
・北京滞在記+劉徳華のコンサートを見に香港へも行ってきましたの記
http://www.cinemajournal.net/bn/38/beijing04.html

●シネマジャーナル34号(1995) 目次 
34号記事 
・北京便り 『阳光灿烂的日子』北京で公開!
(1997年日本公開時のタイトルは『太陽の少年』)
http://www.cinemajournal.net/bn/34/fujioka.html

*参照記事2 『太陽の少年』ロケ地探訪
●シネマジャーナルHP製作者Yさんの北京旅日記(2002年) 
https://surgery.matrix.jp/pics/beijing2002a/index.html

●こんな記事もみつけました!
亞細亞と キネマと 旅鴉 『太陽の少年』ロケ地案内
http://www.gangm.net/china/inTheHeatOfTheSun/index.html

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2024年09月22日

西湖畔(せいこはん)に生きる  原題:草木人間 英題:Dwelling by the West Lake

2024年9月27日(金)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次公開 劇場情報

「西湖畔に生きる」ポスターs_R_R.jpg
©Hangzhou Enlightenment Films

『春江水暖~しゅんこうすいだん』のグー・シャオガン監督の山水映画第二弾

監督・脚本:顧暁剛(グー・シャオガン)
撮影監督:郭達明(グオ・ダーミン)
音楽:梅林茂
出演:
目蓮/ムーリエン役:呉磊(ウー・レイ)
苔花/タイホア役:蒋勤勤(ジアン・チンチン)
老銭/チェンさん役:陳建斌(チェン・ジエンビン)
万晴/ワン・チン役:王佳佳(ワン・ジアジア) 

浙江省杭州の西湖畔。最高峰の中国茶・龍井(ロンジン)茶の生産地として有名な西湖の沿岸に暮らす母と息子の関係を軸に、マルチ商法など経済環境の変化の中で揺れる家族の姿を美しい風景の中に描いた。10年前に父が行方不明になり、母の苔花と生きて来た青年目蓮。父を探すためにこの地で進学。卒業を控えて、今は求職活動をしている。
息子と生活するため、杭州にやって来た母の苔花は茶摘みで生計を立てていたが、茶商の錢と恋仲に。しかし、家族や仲間に知られてしまい、茶摘みの仕事ができなくなり、苔花は同郷の友人 金蘭に誘われ、彼女の弟が取り仕切るイベントに参加。マルチ商法に取り込まれ、詐欺まがいの仕事に参加するようになってしまった。
この仕事にのめりこみ、お金を稼ぐようになった母は自信を持つようになり、活発に。息子の目蓮は母に、だまされていると言うが、苔花は聞く耳持たず。

2019年の東京フィルメックスで、審査員特別賞を受賞した顧暁剛監督のデビュー作『春江水暖〜しゅんこうすいだん』を観て感動。まだ若いのに熟練の監督作のような映画を作った監督に感心した。フィルメックスでの上映の時、引き続き第二弾を作ると言っていたので新作に期待していたが、これがその新作。1作目の『春江水暖〜しゅんこうすいだん』の表現方法とは違う方法で2作目を描いたが「様々な変化を迎える中国社会の中で精いっぱいに生きる家族の変遷」という、最初の作品への思いはこの作品の中でも生きている。
監督は東京国際映画祭の時のトークの中で原題について、「原題の『草木人間』は「茶」という字を分解したもの(草と木の間に人が入ると茶という字になる)、この映画では、お茶は作品の重要な要素です」と語っている。そして「この作品を作っている時、人というのは天と地の間の草木のようだと感じました。路傍にはえている草、自分が育つところも選べない小さな草木のよう。そんな草木でも太陽の方を向き生命の意義を見出す。草木は生きとし生けるものの象徴。庶民にとっての生活や努力に対する希望の象徴です。山水画の雰囲気を残しつつ、マルチ商法のような社会の問題をどう描くかは挑戦でした」と語っていた。
中国には「目連救母」という言葉があります。地獄に落ちた母を息子目連が救い出そうとする話です。その「目連救母」を題材に、地獄をマルチ商法に変え、人の世とどう結びつけるかを描いたそうです。昨年の東京国際映画祭映画祭で黒澤明賞を受賞しています(暁)。


公式HPはこちら https://moviola.jp/seikohan/ 
配給:ムヴィオラ、面白映画 
2023年|中国映画|118分

*シネマジャーナル 黒澤明賞受賞対談記事
山田洋次&グー・シャオガン(黒澤明賞受賞)対談
http://cineja3filmfestival.seesaa.net/article/501430459.html
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